JP2739092B2 - 熱時感圧性接着剤並びにその粘着部材及び部品供給テープ - Google Patents

熱時感圧性接着剤並びにその粘着部材及び部品供給テープ

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、常温での見掛け弾性率が高いアクリル系共
重合体を用いてなり、室温での仮止め性と耐クリープ性
に優れる新規な熱時感圧性接着剤、並びにその粘着部
材、及びかかる粘着部材に電子部品を連設保持させてな
る部品供給テープに関する。
発明の背景 耐クリープ性に優れる感圧性接着剤が求められて久し
い。耐クリープ性の良好な感圧性接着剤は部品や掛け具
等の固定保持用途に適するが、その場合には仮止めのた
めの常温での接着力に優れることも要求される。殊に、
部品供給テープを形成するための粘着部材である接着テ
ープの場合には、耐クリープ性と室温仮止め性の両立が
強く求められる。すなわち部品供給テープは、電子部品
をそのリード線を介し接着テープに紙基材等で挟みつけ
るようにしてスダレ状の配列に連設保持させたものであ
り、電子計算機による制御下に、個々の電子部品をその
リード線の末端部を切断して連設状態を解きつつ、順次
自動的に作製工程に組入れて回路基板等を組立るシステ
ム(実公昭43−12368号公報)に用いるものである。こ
のシステムにあって、電子部品連の位置ズレは感知不能
による電子計算機の制御不能を招き、自動組入れをスト
ップさせる。そのため部品供給テープの形成に用いる接
着テープには、電子部品の位置ズレを防止して高精度な
等間隔平行連設状態を維持する良好な耐クリープ性が要
求される。また、部品供給テープ形成時において電子部
品を加熱固定処理するまでの間、常温での仮止め状態を
良好に維持する接着力が要求される。
従来の技術 従来、耐クリープ性を改良した感圧性接着剤として
は、常温での見掛け弾性率が0.5〜2.5kg/cm2の通例の感
圧性接着剤に、高融点(70〜200℃)の樹脂を添加した
ものが知られていた(特開昭53−121038号公報、特公昭
56−13040号公報)。
しかしながら、上記した部品供給テープに要求される
耐クリープ性と常温接着力を両立させることが困難な問
題点があった。すなわち、耐クリープ性の達成には高融
点樹脂の多量添加(50〜200重量部)が必要になりその
場合、常温での仮止めに必要な常温接着力が発現しな
い。さりとて、常温接着力を上げるべく高融点樹脂の添
加量を減らせば耐クリープ性が満足されず、電子部品の
位置ズレ等の致命的問題を誘発する。そのため、耐クリ
ープ性を優先して高融点樹脂を多量添加する組成として
いる現状であるが、その場合、前記の常温接着力に劣る
問題点のほか、耐衝撃性に劣る問題点、低接着力のため
低温保存ができない問題点、固定に高温処理を要して電
子部品に影響したり、接着テープの支持基材に耐熱性が
要求される問題点、必要以上に熱溶融状態が継続しそれ
による電子部品の位置ズレ防止のため冷却処理を要する
問題点、耐湿性や耐候性が低下する問題点、相分離等の
経時変化を生じやすくなる問題点、高融点樹脂の流出に
よる耐溶剤性の低下の問題点なども発生する。
発明が解決しようとする課題 従って本発明は、上記した問題点の克服を課題とす
る。殊に、高融点樹脂の使用が不用な、またそれを併用
する場合でも少量の添加でよく、かつ約40〜80℃の低温
活性で固定処理できて、電子部品のリード線貼着後の冷
却工程が不要であり、しかも低温保存できる接着特性を
有して経時変化も起こし難い熱時感圧性接着剤の開発を
課題とする。
課題を解決するための手段 本発明は、常温での見掛け弾性率が高く、特異なガラ
ス転移点を有するアクリル系共重合体を用いることによ
り、前記の課題を達成したものである。
すなわち、本発明は、アルキル基の炭素数が2〜14の
アクリル酸系アルキルエステル単量体50〜95重量部と、
これと共重合可能なビニル系単量体50〜5重量部とから
なり、ガラス転移点が−33〜27℃で、常温における見掛
け弾性率が5kg/cm2以上であるアクリル系共重合体から
なることを特徴とする熱時感圧性接着剤、並びに 前記の熱時感圧性接着剤の層を支持基材に設けてなる
ことを特徴とする粘着部材、及び 前記の粘着部材に電子部品をそのリード線を介してス
ダレ状の配列で連設保持させてなることを特徴とする部
品供給テープを提供するものである。
作用 見掛け弾性率が高く、特異なガラス転移点を有する上
記のアクリル系共重合体を用いることにより、常温での
接着力と耐クリープ性に優れる熱時感圧性接着剤を得る
ことができる。また、高融点樹脂の少量の添加で耐クリ
ープ性の改善を達成することができる。その結果、リー
ド線を介した電子部品の室温での仮止め、低温活性によ
る短時間固定処理、低温保存が可能になり、耐衝撃性が
低下するなどの高融点樹脂の多量添加による上記した弊
害が回避される。
発明の構成要素の例示 本発明において用いられるアクリル系共重体は、アル
キル基の炭素数が2〜14のアクリル酸系アルキルエステ
ル単量体50〜95重量部と、これと共重合可能なビニル系
単量体50〜5重量部の共重合体からなる。本発明では、
ガラス転移点が−33〜27℃で、常温における見掛け弾性
率が5kg/cm2以上のアクリル系共重合体が用いられる。
ビニル系単量体の使用量が5重量部未満では、凝集力
の改善不足で常温における見掛け弾性率を5kg/cm2以上
にできず耐クリープ性に乏しいし、50重量部を超えると
前記のガラス転移点を達成できない。
ガラス転移点が−33℃未満のアクリル系共重体では、
室温から60℃付近の実際的な使用温度における弾性率低
下の温度依存が大きくて耐クリープ性に劣るし、ガラス
転移点が27℃を超えるアクリル系共重体では、常温ない
し低温での接着力に乏しくて室温での仮止め性や低温保
存性に劣り、また活性化に要する温度も高くなる。
一方、常温における見掛け弾性率が5kg/cm2未満のア
クリル系共重合体では、耐クリープ性に劣る。
ガラス転移点と常温における見掛け弾性率が前記の範
囲を満足することにより、部品供給テープに要求される
耐クリープ性と室温仮止め性が達成される。また、必要
に応じ用いる粘着付与樹脂の40重量部以下の少量配合
で、必要な物性改良を行うことができる。
アクリル系共重合体の調製に好ましく用いうるアルキ
ル基の炭素数が2〜14のアクリル酸系アルキルエステル
単量体の例としては、アクリル酸エチル、アクリル酸ブ
チル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソ
オクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸イソデシ
ル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキ
シル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸ラウリ
ルなどのアクリル酸ないしメタクリル酸のアルキルエス
テルがあげられる。
ビニル系単量体の例としては、アクリル酸、メタクリ
ル酸、イタコン酸の如きαないしβ−不飽和カルボン
酸、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、
アクリル酸メチル、あるいは2−ヒドロキシエチル基や
2−メトキシエチル基、グリシジル基を有するアクリル
酸ないしメタクリル酸のエステルなどがあげられる。
アクリル系共重合体の調製は、アクリル酸系アルキル
エステル単量体及びビニル系単量体の1種又は2種以上
を用いて、例えば溶液重合方式、乳化重合方式、塊状重
合方式、懸濁重合方式など、適宜な方式で行ってよい。
本発明の熱時感圧性接着剤においては、接着力や耐ク
リープ性を改良すべく、前記のアクリル系共重合体に必
要に応じ粘着付与樹脂を配合してもよい。その配合量
は、アクリル系共重体100重量部あたり40重量部以下、
就中30重量部以下が適当である。本発明では、かかる少
量配合で充分に目的を達成することができる。なお、粘
着付与樹脂の配合量が40重量部を超えるあたりから、上
記した多量配合による弊害が現れはじめる。
用いる粘着付与樹脂は、融点が200℃以下、就中20〜2
00℃のものが好ましい。その融点が200℃を超えるもの
では活性化に高温を要することとなる。好ましく用いう
る粘着付与樹脂の例としては、フェノール系樹脂、キシ
レン系樹脂、ポリテルペン系樹脂、クマロンインデン系
樹脂、エポキシ系樹脂、ロジン系樹脂などがあげられ
る。粘着付与樹脂は必要に応じ2種以上を併用してもよ
い。
本発明の粘着部材は、支持基材の片面又は両面に上記
した熱時感圧接着剤の層を設けたものである。支持基材
には、例えばクレープ紙、クラフト紙のような紙、プラ
スチックのフィルムないしシート、布、金属箔、発泡体
など、適宜なものを用いてよい。部品供給テープの形成
に用いる接着テープには、紙、プラスチックフィルム、
布、金属箔などが一般に用いられる。支持基材に設ける
熱時感圧性接着剤層の厚さは、使用目的に応じ適宜に決
定してよい。ちなみに、前記の部品供給テープ用の接着
テープの場合には通例、300〜200μmとされる。
前記したように本発明の粘着部材は、電子部品をその
リード線を介し連設保持してなる部品供給テープを形成
するための接着テープとして好ましく用いられる。
部品供給テープの形成は、例えば以下の方法により行
うことができる。すなわち、電子部品のリード線の端末
部分を接着テープの熱時感圧性接着剤層に仮止めする方
式で、個々の電子部品をスダレ状の配列状態となるよう
に等間隔に連設して位置決めしたのち、これに例えば坪
量100〜300g/m2のクラフト紙、ボール紙の如く自己支持
性を有するテープ状基材をリード線を介して該熱時感圧
性接着剤層に貼り合わせ、40〜80℃で0.1〜1秒間加熱
処理することにより行うことができる。前記により、回
路基板等の作製工程に電子部品を自動的に供給するため
の自動組入れシステムに好適な部品供給テープ、すなわ
ち個々の電子部品が接着テープによりスダレ状の配列で
連設され、かつ強固に接着保持されたものが得られる。
発明の効果 本発明の熱時感圧性接着剤は、特殊なアクリル系共重
体からなるので、常温における接着力に優れて室温仮止
め力が大きい。また、低温短時間の加熱処理で活性して
大きい接着力を発揮し、接着後の耐クリープ性に優れて
いる。さらに、低温下における耐脆性にも優れている。
その結果、かかる熱時感圧性接着剤層を設けた粘着部
材は、これを電子部品の連設保持に用いた場合、加熱活
性処理前の室温におけるリード線を介しての電子部品の
仮止め力に優れ、加熱活性による接着固定処理が容易
で、かつ加熱活性後の冷却処理が不要であり、電子部品
の固定力にも優れている。
加えて、得られた部品供給テープは、電子部品の連設
状態の維持性、ないし定位置保持性に優れ、低温保存す
ることも可能である。
実施例 実施例1 アクリル酸イソノニル80部(重量部、以下同様)及び
アクリル酸20部を、酢酸エチル中でアゾビスイソブチロ
ニトリル0.4部を開始剤として55℃で10時間反応させ、
アクリル系共重合体の溶液を得た。得られたアクリル系
共重合体は、重量平均分子量が102万(ゲルパーミェー
ションクロマトグラフィによる。)、ガラス転移点が−
7℃(粘弾性スペクトロメータによる。)、20℃での見
掛け弾性率が36.2kg/cm2であった。なお、見掛け弾性率
は、アクリル系共重合体の棒状試料を形成し、これを20
℃、65%R.H.下に伸張試験してその測定値より下式に基
づいて算出した。
見掛け弾性率=(伸張力/試料の断面積)÷ (試料の伸び量/試料長さ) 次に、前記のアクリル系共重合体の溶液に、該共重合
体100重量部あたりポリイソシアネート1部を添加し、
これを坪量80g/m2のクレープ紙に乾燥後の厚さが40μm
となるよう塗布し、120℃で3分間乾燥させて接着テー
プを得た。
ついで、前記の接着テープの感圧性接着剤面に、U字
形に折り曲げた直径0.5mmのリード線を有する電子部品
を5mmの間隔で、かつリード線の両端が平行に配列する
状態で20℃、65%R.H.条件下、そのリード線の端部の長
さ15mmにわたる部分を接着して仮止めしたのち、感圧性
接着剤面の上にリード線を介して坪量220g/m2のボール
紙テープ(幅15mm)を重ね合わせ、5kgのローラを一往
復させる方式で圧着して部品供給テープ(Aタイプ)を
得た。
他方、前記と同様に接着テープの感圧性接着剤面に電
子部品を仮止めしてボール紙テープを重ね合わせたの
ち、これを80℃の加熱下、20kg/cm2で0.3秒間押圧する
方式で圧着して部品供給テープ(Bタイプ)を得た。
実施例2 アクリル酸2−エチルエキシル68部、アクリル酸メチ
ル17部及びアクリル酸15部を、酢酸エチル中でアゾビス
イソブチロニトリル0.3部を開始剤として60℃で10時間
反応させ、重量平均分子量85万、ガラス転移点−15℃、
20℃での見掛け弾性率6.0kg/cm2のアクリル系共重合体
の溶液を得た。
次に、前記のアクリル系共重合体の溶液に、該共重合
体100重量部あたりテルペン変性フェノール樹脂(融点1
50℃)20部と、ポリイソシアネート1部を添加し、これ
を用いて実施例1に準じ接着テープ、及びAタイプ,Bタ
イプの部品供給テープを得た。
比較例1 アクリル酸ブチル64部、アクリル酸エチル30部及びア
クリル酸6部を、トルエン中で過酸化ベンゾイル0.4部
を開始剤として60℃で10時間反応させ、重量平均分子量
53万、ガラス転移点−30℃、20℃での見掛け弾性率1.3k
g/cm2のアクリル系共重合体の溶液を得た。
次に、前記のアクリル系共重合体の溶液に、該共重合
体100重量部あたりテルペン変性フェノール樹脂(融点1
50℃)20部と、ポリイソシアネート1部を添加し、これ
を用いて実施例1に準じ接着テープ、及びAタイプ,Bタ
イプの部品供給テープを得た。
比較例2 テルペン変性フェノール樹脂の添加量を150部とした
ほかは比較例1に準じ接着テープ、及びAタイプ,Bタイ
プの部品供給テープを得た。
評価試験 実施例及び比較例で得た部品供給テープを、下記の試
験に供した。
[接着力] Aタイプ,及びBタイプの部品供給テープにつき、0
℃、20℃又は40℃の温度下において、リード線の引き抜
き(速度300mm/分)に要する力を調べた。
[保持力] Bタイプの部品供給テープにつき、60℃の温度下でリ
ード線の折り曲げ部に50g、100g又は200gの荷重をかけ
て2時間放置したのちの位置ズレ距離を調べた。
結果を表に示した。
表より、実施例としての本発明の熱時感圧性接着剤に
よれば、室温での電子部品の仮止め力に優れ、荷重の負
荷状態においても電子部品が位置ズレしにくく、強固な
力で電子部品ないしそのリード線が保持されているこ
と、低温保存が可能なことがわかる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルキル基の炭素数が2〜14のアクリル酸
    系アルキルエステル単量体50〜95重量部と、これと共重
    合可能なビニル系単量体50〜5重量部とからなり、ガラ
    ス転移点が−33〜27℃で、常温における見掛け弾性率が
    5kg/cm2以上であるアクリル系共重合体からなることを
    特徴とする熱時感圧性接着剤。
  2. 【請求項2】アクリル系共重合体100重量部あたり、40
    重量部以下の粘着付与樹脂を配合してなる請求項1に記
    載の熱時感圧性接着剤。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の熱時感圧性接着剤
    の層を支持基材に設けてなることを特徴とする粘着部
    材。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の粘着部材に電子部品をそ
    のリード線を介してスダレ状の配列で連設保持させてな
    ることを特徴とする部品供給テープ。
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