JP2739081B2 - 音線図作成方法 - Google Patents

音線図作成方法

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JP2739081B2 JP10477790A JP10477790A JP2739081B2 JP 2739081 B2 JP2739081 B2 JP 2739081B2 JP 10477790 A JP10477790 A JP 10477790A JP 10477790 A JP10477790 A JP 10477790A JP 2739081 B2 JP2739081 B2 JP 2739081B2
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和彦 太田
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BOEICHO GIJUTSU KENKYU HONBUCHO
Oki Electric Industry Co Ltd
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、水中の音波伝搬特性を視覚的に表わす音線
図作成方法、特に水平方向と深度方向とで縮尺比を変え
て表示する音線図作成方法に関するものである。
(従来の技術) ソーナー等の海洋音響機器の性能は、その運用現場の
海洋環境により大きく変化する。したがって、機器の効
果的運用のために、海洋中の音波伝搬特性を把握するこ
とが重要であり、その一つの方法として音線図がよく用
いられる。この音線図作成方法の従来例を第2図及び第
3図(a),(b)に示す。
第2図は従来の音線図作成方法の概念図、第3図
(a),(b)は実空間の表示空間での音線の角度変化
の違いの概念図であって、同図(a)は実空間上の音線
図、及び同図(b)は表示空間上の音線図である。
第2図に示すように、音線経路は、媒質特性が水平方
向に変化しない場合、スネルの法則を用いて求めること
ができる。今、媒質中(水中)の音速を深度zの関数と
してc(z)とおく。音線の傾きθ(z)を水平を基準
としてとると、スネルの法則により、1本の音線上で次
式が成立つ。
C(z)/cosθ(z)=Cm(一定) ……(1) Cmは1本の音線上で一定値をとることから、音線パラメ
ータと呼ばれる。
音源を通る鉛直線をz軸とする円筒座標系(r,z)を
考え、海面をz=0とする。(0,zs)に音源をおき、こ
の音源から放射される音線を考える。音線経路は、次式
を積分することにより求められる。
(2)式で表わされる音線を図示する場合、通常は音
線の通過位置を適当な間隔でサンプリングし、各サンプ
ル点を直線分でつないでいくという方法がとられる。
サンプル点は、演算の簡略化等のため、 (i)一定の経路長間隔で求める、 (ii)一定の深度間隔で求める、 というような方法で、定められていた。
例えば、一定の経路長間隔でのサンプル点は、次のよ
うにして求めることができる。即ち、音線の局所的な曲
率半径ρ(z)が、 ρ(z)=Cm/|dc/dz| ……(3) で表わされることから、サンプル点間で音速勾配dc/dz
の変化が無視できるとすると、次式(4),(5),
(6)で示すように、隣接した2つのサンプル点i−1
及びiの関係から、一定の経路長間隔でのサンプル点が
求まる。
そして、(4)〜(6)式の計算を繰り返し行えば、
音線パラメータCmを持つ音線のサンプル点が求まり、こ
れを直線分で結んでいくことにより、音線を描くことが
できる。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、従来の音線図作成方法では、次のよう
な課題があった。
従来の方法では、演算の簡略化等のために、サンプル
点間の間隔dを音線の曲率半径ρ(z)とは無関係に定
めており、音線が水平に近く、曲率半径が小さい部分で
直線分のつなぎ目(サンプル点)における角度変化が大
きくなる。さらに、通常の音線図では、第3図に示すよ
うに、音線図の見やすさを考慮して水平方向と深度方向
とで縮尺比を大幅に異ならせ、水平方向を大きく縮めて
表示しているため、音線が水平に近くなる深度での角度
変化はさらに大きくなり、角張った不自然な音線が描か
れることになってしまう。この問題を解決するためには
間隔d、または深度きざみを小さくすればよいが、これ
は演算量の増大を伴い、音線計算に多大な時間を要する
ことになる。従って、演算量を増加させることなく、角
張りのない滑らかな音線図を描くことが困難であった。
本発明は前記従来技術が持っていた課題として、音線
図が角張った不自然なものになるという点について解決
した音線図作成方法を提供するものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、前記課題を解決するために、水中の音波伝
搬特性を視覚的に表わす音線図作成方法において、次の
第1,第2,第3の処理を順に実行するようにしている。即
ち、第1の処理では、表示を行う音線の音源からの放射
角、音速の鉛直分布、及び音源深度に基づき、該音源か
ら該放射角で放射された音線が通過する各深度区間内で
の音線の上下端深度における音線のふ仰角を求めた後、
そのふ仰角を表示空間上のふ仰角に変換する。第2の処
理では、前記表示空間上のふ仰角から、前記各深度区間
内の音線のサンプル点数を定め、そのサンプル点数に基
づき、サンプル点深度における表示空間上のふ仰角サン
プル値を決定する。次に第3の処理において、前記ふ仰
角サンプル値を実空間上でのふ仰角サンプル値に変換し
た後、その変換されたふ仰角サンプル値に対応した音線
の表示サンプル点深度を算出する。
(作用) 本発明では、以上のように音線図作成方法を構成した
ので、第1の処理で、表示空間上のふ仰角を求め、第2
の処理により、サンプル点深度における表示空間上のふ
仰角サンプル値を決定した後、第3の処理で、前記ふ仰
角サンプル値を実空間上でのふ仰角サンプル値に変換す
る。これにより、音線のサンプル点における実空間上の
音線の傾きの設定が行える。そして、第3の処理におい
て、設定された傾きに対応する音線の表示サンプル点深
度を決定すれば、表示画面上でサンプル点での音線の角
度変化が一定になり、少ない演算量で、不自然な角張っ
た部分のない滑らかな音線の作成が行える。従って、前
記課題を解決できるのである。
(実施例) 第1図(a)〜(d)は、本発明の実施例を示す音線
図作成方法の原理を示す図であり、同図(a)は音速分
布図、同図(b)は実空間でのふ仰角範囲を示す図、同
図(c)は表示空間上のふ仰角範囲とサンプル値を示す
図、同図(d)は表示空間上の音線サンプル点を示す図
である。これらの図を参照しつつ、この音線図作成方法
の原理を説明する。
表示画面の縦軸(深度軸)、及び横軸(距離軸)の縮
尺率をそれぞれα,β(α,β<1)とおく。そうする
と、実空間上でθ(z)の傾きを持つ音線の、表示画面
上での傾きψ(z)は、 で与えられる。第1図(a)に示すように、深度を音速
が単調変化する区間に分け、各深度区間内の音速C、及
びその逆関数zを次式のように定義する。
C=CJ(z),z=zJ(c), zJzzJ+1,J=1,…,N ……(8) 音線パラメータCmを持つ音線の第j区間の部分を考え
る。Cmと区間の上下端の音速CJ(zJ),CJ(zJ+1)との
大小関係から、次の4つの場合(1)〜(4)が考えら
れる。
(1)CmCJ(zJ),CmCJ(zJ+1)の場合 この場合、音線は区間を貫く。
(2)CmCJ(zJ),Cm<CJ(zJ+1)の場合 この場合、音線は区間の下端に達せず、途中で転回点
を形成する。転回点深度ztは zt=zJ(Cm) ……(9) により求められる。この深度でθ=0となる。
(3)Cm<CJ(zJ),CmCJ(zJ+1)の場合 この場合、音線は区間の上端に達せず、途中で転回点
を持つ。転回点深度は(9)式により求められる。
(4)CmCJ(zJ),CmCJ(zJ+1) この場合、音線はこの区間内には入らない。
次に、第1図(b)に示すように、区間内の音線の上
下端の深度をzu,zdとし、その深度における音線の傾き
をθu,θdとする。区間内では音速変化は単調であるか
ら、θ(z)は単調関数となる。
この音線分が表示画面上で滑らかに見えるように、サ
ンプル点における音線の角度変化をΔψo以下に抑える
ことを考える。第1図(c)において、音線分の上下端
における音線の表示上の傾きは、(7)式から ψu=tan-1(γtanθu), ψd=tan-1(γtanθd) ……(10) により求められる。そのため、深度zuからzdまでの音線
をΔψo以下の表示角度変化で描くには、上下端の点z
=zu,z=zdを含め、 m=sup[|ψd−ψu|/Δψo]+1 ……(11) 個の音線サンプル点が必要である。ここでsup[・]は
[ ]内の値を上回る最小の整数を表わす。従って、 Δψ=(ψd−ψu)/(m−1) ……(12) として、音線の表示画面上での角度が ψ1=ψu+iΔψ ……(13) i=0,1,…,m−1 となる点を音線サンプル点として選べば、第1図(d)
に示すように、音線の表示画面上の角度変化がΔψo
下となる滑らかな音線図を得ることができる。音線のサ
ンプル深度は、 θ1=tan-1(γ-1tanψi) ……(14) z1=ZJ(Cmcosθi) ……(15) i=0,1,…,m−1 により求めることができる。
例として、区間内の音速の深度変化が次式 CJ 2(z) =CoJ 2[1-2gJ(z-zJ)/CoJ]-1 ……(16) で与えられる場合の、ふ仰角θ1に対応した深度ziを次
式に示す。
他の区間内についても同様にして、音線のサンプル深
度を定めることができ、表示画面上で滑らかなつながり
を持つ音線のサンプル点を得ることができる。
第4図は、第1図の音線図作成方法を適用した音線図
作成装置の機能ブロック図である。
この音線図作成装置は、ディジタル・シグナル・プロ
セッサ等で構成される環境条件設定手段1、音線放射角
設定手段2、ふ仰角範囲決定手段3、実空間から表示空
間へのふ仰角角変換手段4、表示空間内でのふ仰角サン
プル値決定手段5、表示空間から実空間へのふ仰角変換
手段6及び音線サンプル点位置計算手段7と、CRTやプ
リンタ等で構成される音線表示出力手段8とを、備えて
いる。
次に、この装置の動作を説明する。
まず、音速の鉛直分布、音源深度、及び表示画面の縮
尺比α,βが、環境条件設定手段1に入力される。環境
条件設定手段1では、該音速の鉛直分布をzの関数とし
て表わし、深度を音速が単調変化する区間に分割し、そ
の結果をふ仰角範囲決定手段3及び音線サンプル点位置
計算手段7に送る。さらに、この環境条件設定手段1で
は、縮尺比α,βから、γ=α/βにより、γを求め、
ふ仰角変換手段4及び6に送る。
音線放射角設定手段2では、表示を行う音線の音源か
らの放射角を設定し、(1)式により音線パラメータCm
を算出する。設定の仕方は、音線の傾きθが等間隔にな
るように設定する方法等、様々の方法がある。設定され
た放射角値は、ふ仰角範囲決定手段3に送られる。ふ仰
角範囲決定手段3では、放射角設定手段2からの放射角
値と、環境条件設定手段1からの音速の鉛直分布及び音
源深度とを入力し、該音源から該放射角値で放射された
音線が通過する深度区間及び各深度区間内での音線の上
下端深度zuJ,zdJを求め、該深度における音線のふ仰角
θuJ,θdJを(1)式により算出し、実空間から表示空
間へのふ仰角変換手段4に送る。ふ仰角変換手段4で
は、該各区間の音線の上下端のふ仰角θuJ,θdJから、
(10)式により表示空間上のふ仰角ψuJ,ψdJを算出し
て第1の処理を実行し、その処理結果をふ仰角サンプル
値決定手段5に送る。
ふ仰角サンプル値決定手段5では、ふ仰角変換手段4
から送られた該ふ仰角値ψuJ,ψdJから、(11)式によ
り各深度区間内の音線のサンプル点数mを定め、(1
2),(13)式により、サンプル点深度における表示空
間上のふ仰角ψiを決定する第2の処理を実行し、その
処理結果であるふ仰角サンプル値ψiを表示空間から実
空間へのふ仰角変換手段6に送る。
ふ仰角変換手段6では、ふ仰角サンプル値決定手段5
からのふ仰角サンプル値ψiを、(14)式により実空間
上でのふ仰角サンプル値θiに変換し、音線サンプル点
位置計算手段7に送る。音線サンプル点位置計算手段7
では、ふ仰角計算手段6からのふ仰角サンプル値θi
対応した音線サンプル点の位置座標を(15)式及び
(2)式により求めて第3の処理を実行し、その処理結
果を音線表示手段8に送る。
音線放射角設定手段2から音線サンプル点位置計算手
段7までの実行手順は、表示を行うすべての音線につい
て繰り返し実行し、表示する音線のサンプル位置の計算
をすべて終了すると、音線表示出力手段8で表示され
る。
以上のように、本実施例では、音線のサンプル点にお
ける表示画面上の音線の傾きを設定し、その設定された
傾きに対応する音線のサンプル点の深度等の位置座標を
算出し、表示画面上でサンプル点での音線の角度変化が
一定になるようにした。そのため、不自然な角張った部
分のない滑らかな音線を、少ない計算量で作成すること
が可能となる。しかも、演算に必要な記憶容量も少なく
てよいため、ソーナー等の運用現場での能力予測システ
ム等に適用することができる。
なお、本発明は図示の実施例に限定されず、例えば演
算に用いた式(1)〜(17)を、条件の変更等に応じて
他の式で置換えたり、あるいは第4図の環境条件設定手
段1、音線放射角設定手段2、及びふ仰角範囲決定手段
3を、メモリ等を用いた他の手段で構成する等、種々の
変形が可能である。
(発明の効果) 以上詳細に説明したように、本発明によれば、音線表
示における音線のサンプル点を、表示画面上の音線の傾
きのサンプル点間の変化がほぼ一定になるように設定し
ているため、不自然な角張った部分のない滑らかな音線
を、少ない演算量で精度良く作成することができる。従
って、ソーナー等の運用現場での能力予測システム等と
いった種々の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)〜(d)は本発明の実施例を示す音線図作
成方法の原理図、第2図は従来の音線図作成方法の概念
図、第3図(a),(b)は実空間と表示空間での音線
の角度変化の違いの概念図、第4図は第1図の方法を適
用した音線図作成装置の機能ブロック図である。 1……環境条件設定手段、2……音線放射角設定手段、
3……ふ仰角範囲設定手段、4……実空間から表示空間
へのふ仰角変換手段、5……表示空間ふ仰角サンプル値
決定手段、6……表示空間から実空間へのふ仰角変換手
段、7……音線サンプル点位置計算手段、8……音線表
示出力手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾崎 俊二 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電 気工業株式会社内 (72)発明者 石渡 恒夫 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電 気工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−163386(JP,A) 特開 昭64−1995(JP,A) 特開 昭63−135789(JP,A) 特開 昭59−147212(JP,A) 特開 昭60−246499(JP,A) 特公 昭63−43684(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水中の音波伝搬特性を視覚的に表わす音線
    図作成方法において、 表示を行う音線の音源からの放射角、音速の鉛直分布、
    及び音源深度に基づき、該音源から該放射角で放射され
    た音線が通過する各深度区間内での音線の上下端深度に
    おける音線のふ仰角を求めた後、そのふ仰角を表示空間
    上のふ仰角に変換する第1の処理と、 前記表示空間上のふ仰角から、前記各深度区間内の音線
    のサンプル点数を定め、そのサンプル点数に基づき、サ
    ンプル点深度における表示空間上のふ仰角サンプル値を
    決定する第2の処理と、 前記ふ仰角サンプル値を実空間上でのふ仰角サンプル値
    に変換した後、その変換されたふ仰角サンプル値に対応
    した音線の表示サンプル点深度を算出する第3の処理と
    を、 順に施すことを特徴とする音線図作成方法。
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