JP3011584B2 - 初期音場設定方法 - Google Patents

初期音場設定方法

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JP3011584B2
JP3011584B2 JP5230615A JP23061593A JP3011584B2 JP 3011584 B2 JP3011584 B2 JP 3011584B2 JP 5230615 A JP5230615 A JP 5230615A JP 23061593 A JP23061593 A JP 23061593A JP 3011584 B2 JP3011584 B2 JP 3011584B2
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恒夫 石渡
俊二 尾崎
岩男 中埜
利雄 土屋
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Oki Electric Industry Co Ltd
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  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、音波伝搬シミュレーシ
ョン方法の一つである放物型音波伝搬モデルにおける初
期音場を設定する初期音場設定方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、このような分野の技術としては、
例えば次のような文献に記載されるものがあった。 文献1;沖電気研究開発138、55[2](昭63−
4)石渡、尾崎著「広ビーム放物型音波伝搬モデルの開
発」P.57−64 文献2;特開昭63−274886号公報 文献3;特開平1−233385号公報 ソーナー等の海洋音響機器の性能は、その運用現場の海
洋環境により大きく変化することが知られている。従っ
て、機器の効果的な運用のために、海洋中の音波伝搬特
性を把握することは重要であり、またこのために種々の
音波伝搬モデルが開発されている。放物型音波伝搬モデ
ルもこのために開発されたものの一つである。海中の音
波の伝搬は、楕円型のヘルムホルツ方程式 ∇2p+k2(r,z)・p=0 ・・・(1) で記述される。これを円柱座標系(r,φ,z)上で放
物近似すると、文献1に記載されているように、
【数3】 となる。但し、音源直上の海面を原点、r軸を水平距
離、z軸を深さとし、kは媒質の波数、k0は基準波数
である。uは、pを音圧、H0 (1)を第1種ハンケル関
数として、次式(3)により表される。 u(r,z)=p(r,z)/H0 (1)(k0r) ≒p(r,z)/[r-1/2・ejk0r] ・・・(3) また、文献1に記載されているように、種々の広角化の
方法も提案されており、次式(4)もその一つである。
【0003】
【数4】 (2)(4)式に音源近傍の任意の距離におけるuの
鉛直分布u(r0,z)を与えると、これを初期値問題と
して解くことができる。文献2に記載されているよう
に、初期音場設定方法として、r=0、z=zsに音源
があるとすると、この音源に対し海面を中心とした鏡像
の位置、即ちr=0、z=−zs に逆相の音源を設定
し、初期距離r=r0 の音圧分布を次式(5)のよう
に、両者の作る音場の重畳により与える。
【0004】
【数5】 ここで、Rは音源から受波点までの伝搬距離、cは伝搬
経路上の実効音速、添字1、2はそれぞれ実音源、鏡像
音源であり、次式(6)(7)で与えられる。
【数6】 音源が指向性を持つ場合については、従来、文献2で
は、放射角に対応する経路に指向性の重みを掛ける形
で、文献3では、任意の指向性を実現する配列音源を設
定する形で、それらの効果を導入していた。ここで、文
献2の技術では、海中を伝搬する音波により形成される
初期音場を設定する初期音場設定方法において、海面を
中心にして第1の音源と鏡像の位置に逆相の第2の音源
を設定するステップと、前記第1及び第2の音源による
音波の重畳により形成された音場における深度方向の音
圧分布(この音圧分布は音波の進行方向に対して重み付
けされている)を求めるステップとを、順に実行して初
期音場を設定するようにしている。また、文献3の技術
では、海中の音波伝搬シミュレーション方式で、波動方
程式を初期値問題として解く放物型音波伝搬モデルの、
初期条件を設定する初期音場設定方法において、与えら
れた周波数及び指向性音源の鉛直指向性パターンから、
該鉛直指向性パターンを持つ等価鉛直直線配列音源の各
素子の位置と重みを等価直線配列計算により算出する。
そして、音源の各素子に対して海面を中心として鏡像の
位置に逆相の音源を設定し、全ての音源素子とその鏡像
音源素子が音源近傍の任意の距離の鉛直断面に作る音場
を音源の重みを乗じて加算し、初期音場として設定する
ようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
初期音場設定方法では、次のような問題があり、それを
解決することが困難であった。 (a) 音源が鋭い指向性を持ち、なおかつ初期音場を
音源のごく近傍に設定した場合、初期音場の鉛直分布は
音源深度付近のごく一部の音場に支配されるため、等価
的に小さな音源が設定されることになり、音源の持つ鋭
い指向性を表現できない。 (b) 配列音源を設定し、個々の音源に対応する鏡像
音源の設定や、指向性に基づく重み係数の計算等の処理
を含むため、処理が複雑である。本発明は、前記従来技
術が持っていた課題として、音源の持つ鋭い指向性を表
現できない、さらに処理が複雑であるといった点につい
て解決し、比較的簡易な手順で音源の指向性を実現する
初期音場設定方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために、海中の音波伝搬シミュレーション方法
で、音源近傍の任意の距離における鉛直音圧分布を初期
音場として設定し、該初期音場から水平距離方向に逐次
鉛直音圧分布を計算する放物型音波伝搬モデルの、該初
期音場を計算する初期音場設定方法において、海中音源
と、この海中音源に対し海面を中心とした鏡像の位置に
逆相の音源を設定し、これら両音源が音源近傍の任意の
距離r 0 における深度z方向に作る音圧分布p(r 0
z )を、フーリエ変換
【数7】 により鉛直波数k z の空間に写像し、指向性の重みw
(k z )を掛けた後に逆フーリエ変換
【数8】 を用いて逆写像して初期音場として設定している。
【0007】
【作用】本発明によれば、以上のように初期音場設定方
法を構成したので、鏡像音源にて初期音場が設定され、
この音場を空間周波数領域に写像して指向性に基づく重
み付けを掛けられた後に、元の領域に戻される。これに
より、比較的簡単な手順で、音源の指向性の実現が可能
となる。ここで、本発明が成立する原理を式を用いて説
明する。例えば、水平距離r0、深度zにおける音圧分
p(r0,z)を考える。音圧分布p(r0,z)は、
(5)式で与えられる。媒質波数k(r 0 ,z )が一
定値k 0 を持つ均質媒質(即ち、等音速の媒質)を仮定
すると、音圧分布p(r0,z)にフーリエ変換を行い、
【数9】 として鉛直波数成分kzの領域に写像される。ここで、
鉛直波数kzは音源から俯仰角θで放射された音波に対
して kz=ks・sinθ ・・・(9) の関係がある。但し、ks は音源深度における媒質の波
数である。
【0008】従って、音源に指向性を持たせたい場合、
P(kz)に指向性に応じた重みw(kz)を掛け、逆フー
リエ変換を行って、元の空間の音場に戻すことによって
実現できる。
【0009】
【数10】
【0010】
【実施例】図1は、本発明の実施例の初期音場設定方法
を実施するための初期音場設定装置の概略の機能ブロッ
ク図である。この初期音場設定装置は、音源情報(深
度、周波数、指向性)を入力する入力端子1を有し、そ
の入力端子1には、音源指向性を入力して鉛直波数に対
応する重み係数を出力する重み係数計算手段2と、入力
される音源情報及び環境情報(音速)等から従来の初期
音場設定方法を用いて無指向性音源近傍の音場の鉛直分
布を計算する無指向性音場設定手段3とが、接続されて
いる。無指向性音場設定手段3の出力側には、該無指向
性音場設定手段3の出力に対して離散フーリエ変換(D
FT)を行い、音場の鉛直分布を鉛直波数空間に写像す
る離散フーリエ変換器4が接続されている。離散フーリ
エ変換器4及び重み係数計算手段2の出力側には、鉛直
波数空間における音場の分布に対して重み係数を掛け合
わせる乗算器5が接続され、さらにその出力側に、該乗
算器5の出力に対して逆離散フーリエ変換(IDFT)
を行い、音場を元の鉛直分布に戻す逆離散フーリエ変換
器6が接続されている。逆離散フーリエ変換器6の出力
側には、初期音場の鉛直分布を出力する出力端子7が接
続されている。
【0011】次に、図1の初期音場設定装置を用いた本
実施例の初期音場設定方法を説明する。入力端子1から
入力された音源情報の指向性情報は、重み係数計算手段
2へ送られると共に、入力された音源深度と周波数の情
報が無指向性音場設定手段3へ送られる。重み係数計算
手段2では、与えられた音源の俯仰角対レベルの情報を
鉛直波数空間に写像し、鉛直波数対重みという形に変換
してそれを乗算器5に与える。無指向性音場設定手段3
では、与えられた音源深度、周波数、及び環境情報か
ら、(5)式に基づく鉛直音場を計算し、その計算結果
を離散フーリエ変換器4へ送る。離散フーリエ変換器4
では、与えられた深度対レベルの情報に対して、離散フ
ーリエ変換(DFT)を行うことにより、鉛直波数対レ
ベルに変換し、その変換結果を乗算器5へ送る。重み係
数計算手段2から出力される鉛直波数対重みの情報と、
離散フーリエ変換器4から出力される鉛直波数対レベル
の情報とは、乗算器5において掛け合わされ、その乗算
結果が、逆離散フーリエ変換器6において逆離散フーリ
エ変換(IDFT)されて再び深度対レベルの情報に戻
される。このような一連の流れによって(10)式で与
えられる処理が実行され、その深度対レベルの情報が出
力端子7から出力される。
【0012】以上のように、本実施例では、音源の十分
近くに初期音場を設定する場合でも、指向性の鋭い音源
の作る音場の設定が可能である。しかも、従来の方法に
離散フーリエ変換器4等を含む付加機能を組み入れるこ
とで、簡単に実現できる。なお、図1の初期音場設定装
置における各ブロックは、集積回路等を用いた個別回路
で構成したり、あるいはプログラム制御されるプロセッ
サ等を用いて実行するようにしてもよい。
【0013】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、鏡像音源にて初期音場を設定し、この音場を空間
周波数領域に写像して指向性に基づく重み付けを掛けた
後、元の領域に戻すようにしているので、音源の十分近
くに初期音場を設定する場合でも、比較的簡単な手順
で、指向性の鋭い音源の作る音場の設定が可能となる。
しかも、従来の方法に離散フーリエ変換等の機能を組み
入れることで、音源の指向性を簡単に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の初期音場設定方法を実施する
ための初期音場設定装置の概略の機能ブロック図であ
る。
【符号の説明】
1 入力端子 2 重み係数計算手段 3 無指向性音場設定手段 4 離散フーリエ変換器 5 乗算器 6 逆離散フーリエ変換器 7 出力端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中埜 岩男 神奈川県横須賀市夏島町2番地15 海洋 科学技術センター内 (72)発明者 土屋 利雄 神奈川県横須賀市夏島町2番地15 海洋 科学技術センター内 (56)参考文献 特開 平1−233385(JP,A) 特開 昭63−274886(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01H 3/10 G01H 17/00 G01S 7/52

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海中の音波伝搬シミュレーション方法
    で、音源近傍の任意の距離における鉛直音圧分布を初期
    音場として設定し、該初期音場から水平距離方向に逐次
    鉛直音圧分布を計算する放物型音波伝搬モデルの、該初
    期音場を計算する初期音場設定方法において、海中音源と、この海中音源に対し海面を中心とした鏡像
    の位置に逆相の音源を設定し、これら両音源が 音源近傍
    の任意の距離 0 における深度z方向に作る音圧分布p
    (r 0 ,z )を、フーリエ変換 【数1】 により鉛直波数 z の空間に写像し、指向性の重み
    (k z を掛けた後に逆フーリエ変換 【数2】 を用いて逆写像して初期音場として設定することを特徴
    とする初期音場設定方法。
JP5230615A 1993-09-17 1993-09-17 初期音場設定方法 Expired - Lifetime JP3011584B2 (ja)

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