JP2738364B2 - フィルターおよび濾過装置 - Google Patents

フィルターおよび濾過装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、不織布シートか
ら作られ、気体や液体の濾過に用いられるフィルター、
および、このフィルターを用いた濾過装置に関する。
【0002】
【従来の技術】不織布シートを用いた各種のフィルター
は、古くから知られており、用いられてもいる。このも
のは、不織布シートを素材とするため、安価であるとい
う利点がある。近年、濾過性能を改善するためにエレク
トレット化したものも知られている(特開昭62−16
0118号公報ほか)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この不織布シ
ートを用いた従来のフィルターは、被濾過物質である気
体や液体を不織布シートの面に直交する方向に流して、
不織布シートを貫通させることにより濾過効果を得るよ
うになっているため、被濾過物質の通過抵抗が大きかっ
たり、圧力損失が大きかったりするという問題があっ
た。
【0004】そこで、この発明は、不織布シートを用い
て作られてはいるが、被濾過物質の通過抵抗が小さく、
圧力損失も小さいフィルターを提供することを課題とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明に係るフィルターは、重ね合わされた多数
の不織布シートが、表裏面で部分的に互いに非連続的に
接合されて畳込み展開可能となっており、互いの間隔を
広げるよう展開させた状態では、隣合う不織布シートの
間に個々に区分されているとともに互いに連結された多
数の空間部を有するハニカム構造を構成し、被濾過物質
不織布シートの面に沿う方向から前記ハニカム構造の
多数のハニカム空間部を通過することにより濾過される
ようになっている。
【0006】重ね合わせて接合した不織布シートの互い
の間隔を広げてハニカム構造を作り、被濾過物質が前記
ハニカム構造により出来た多数の空間部を通過するよう
にすると、被濾過物質の通過抵抗が減少し圧力損失が小
さくなる。重ね合わせて接合した不織布シートを上述の
ように広げた状態から畳んだ状態にすると容積が小さく
なる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の一実施形態に
係るフィルターを詳しく説明する。このフィルター1
は、図1に見るように、多数の不織布シート11……が
互いに重ね合わされていて、それぞれの表裏面で部分的
に互いに非連続的に接合されてなる。図の破線12と一
点鎖線13は、この接合線を示すが、この場合、隣接す
る2枚の不織布シートA,Bは等ピッチで配置された破
線12で示す接合線で接合され、その一方の不織布シー
トBとこれに隣合う別の不織布シートCとは同じ等ピッ
チで配置された一点鎖線13で示す別の接合線で接合さ
れ、これら2種の接合線は互いに半ピッチずつ位置がず
れているため、このフィルター1は、図の矢印31で示
すように、不織布シート11同士の互いの間隔を広げる
よう展開すると、図2に見るようにハニカム構造を作る
ことが出来る。そして、不織布シート11同士の互いの
間隔を狭めるよう畳込むと、図1に見た状態に戻すこと
が出来る。図2のように展開した状態で、被濾過物質を
同図に矢印32で示す方向に流すと、被濾過物質は、前
記ハニカム構造により出来た多数のハニカム空間部14
…を通過することにより濾過されるのである。図に矢印
32で示す方向は、不織布シート11の面に完全に平行
であるが、交差する方向であっても良く、要するに、こ
のフィルター1では、被濾過物質は上記多数の空間部1
4…を通ってフィルター内を通過するように使用されれ
ば良いのである。
【0008】被濾過物質は、フィルター1内の空間部1
4を通過する際に、不織布シートに接触し、または不織
布シートを貫通通過し、その間に、含んでいた塵埃等が
不織布シートに吸着除去される。この明細書でハニカム
構造とは、個々に区分された多数の空間部が互いに連結
されている構造を意味するに過ぎず、前記空間部が正確
に断面六角形になった構造のみを意味するものではな
い。
【0009】不織布シートは、いかなる方法で得られた
ものであっても良いが、長繊維が面方向に延びた構造の
スパンボンド不織布やメルトブロー不織布が製造のしや
すさ、コストの点などから有利であるが、熱エンボス加
工品、ニードルパンチング品およびウォータージェット
パンチング品なども用いることが出来る。不織布シート
は、単層品でも良いが、複数の不織布を積層一体化した
ものであっても良い。この一体化も、接着、熱エンボス
加工、パンチング等で行われてよい。
【0010】不織布を構成する繊維素材は、特に限定さ
れるものではないが、合成繊維を使うのが、耐久性、強
度等の点から好ましい。ポリエステル、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリアミド等の熱可塑性合成繊維
は、好ましい素材である。この発明に係るフィルターを
製造する際には、たとえば、長方形など任意の形状に裁
断した多数枚の不織布シートを1枚1枚重ね合わせつ
つ、隣接する不織布シートの表裏面を等間隔の接合線で
部分的に互いに非連続的に接合させていくのであるが、
次の1枚を重ねて接合するときには、接合線のピッチは
変えずに、接合位置だけを1/2ピッチ分ずらせて接合
し、また、次の1枚を接合するときには、1/2ピッチ
分ずらせて元の位置に戻し接合するという接合動作を1
枚1枚繰り返すようにして、多数枚の不織布シートを積
層接合するようにする。所望の寸法形状にする裁断は、
大きな寸法形状の積層接合品を得ておいて、これを裁断
することで行うようにしても良い。
【0011】また、接合線は適宜のピッチでの点状接着
による非連続的な接合線である。なお、図の破線12と
一点鎖線13において、それぞれの接合線の接合部分と
非接合部分の繰り返しパターンは、図示のように同じで
あってもよく、異なっていてもよい。ハニカム構造の空
間部の断面積の大きさは、接合線のピッチで決定される
ので、大きな断面積の空間部を得たいときにはピッチを
大きくし、小さな断面積の空間部を得たいときにはピッ
チを小さくする。
【0012】不織布シートを互いに接合する手段は、接
着、溶着、縫製等いずれの手段であっても良いが、熱接
合方式によるのが簡単であり、たとえば、棒状の加熱ヒ
ータを圧接して接合するという方法による。このような
意味で、不織布シートは、熱可塑性合成繊維からなるも
のであることが望ましく、特に、点状の熱エンボス個所
を全表面積の5〜20%の面積割合で有するような熱エ
ンボス加工不織布シートなどが好適に用いられる。
【0013】フィルター1内の個々の空間部14の平均
の断面積・大きさは、特に限定されるものではないが、
個々の空間部に関して、その空間部の全周囲長を持つ真
円を仮想したときの該真円の平均直径(D)と、該空間
部の平均奥行き(L)の比L/Dが2〜50の範囲内に
なるものであるように構成することが好ましい。不織布
シートとしてエレクトレット化されたものを用いると、
不織布シートの持つ電荷により被濾過物質中の微粒子を
吸着して捕集、濾過できるため、濾過効率がより向上す
る。エレクトレット化される部分は、用いる不織布シー
トの全部でも良く一部でも良い。エレクトレット化不織
布シートは、表裏面で正または負の電荷を有している
が、これを互いに重ね合わせるときは、正と正の面が重
なるように積層接合しても良いし、正と負の面が重なる
ように積層接合しても良い。前者の重ね合わせによる場
合には、正の面だけで囲まれたハニカム空間部と負の面
だけで囲まれたハニカム空間部とをほぼ同数形成するこ
とができ、後者の重ね合わせによる場合には、一方の側
が正の面からなり他方の側が負の面からなるハニカム空
間を形成することが出来る。エレクトレット化は、熱エ
レクトレット化法、マグネットエレクトレット化法、エ
レクトロエレクトレット化法、メカノエレクトレット化
法等、公知の各種方法により行われる。この場合、特に
限定するものではないが、不織布シートの表面電位が5
0V以上であるものを用いるのが好ましい。なお、ここ
で表面電位の測定は、英国モンロー社モデル244型に
よって測定されるものである。エレクトレット化した不
織布シートを用いるようにすると、シートの表面でも裏
面でも微粒子を吸着捕集することができるので、ハニカ
ム構造の空間部14の断面積を相当大きくしても捕集効
率が落ちないので、不織布シート内の被濾過物質の通過
抵抗をより小さくすることが出来る。
【0014】不織布シートとしては、ハニカム構造の3
次元形態を良好に保つため、目付が15〜300g/c
2 のものを用いるのが良いが、これに限定されない。
不織布シート11同士を互いに接合する接合線は、図1
のごとく端面15に対し直交する方向のものに限らず、
図3のように斜め方向にしても良い。フィルターの側面
形状は、矩形に限らない。取付個所の形状に合わせて、
たとえば、図4のような変形を施す必要もあるが、その
際、この発明に係るフィルターは、畳込み状態では、不
織布シート同士が互いに重なりあっているため、切断加
工がし易い。
【0015】この発明に係る濾過装置は、このようなフ
ィルターを用いるものであるが、フィルターには、これ
を濾過装置(図示省略)にフィルター取付部に対して係
脱自在な取付け可能とさせるための手段を設けておくと
便利であり、このような取付手段として、図2のフィル
ター1には、その両端部に枠板2が設けられている。そ
して、たとえば、この枠板2に案内爪21を形成する等
して、濾過装置のフィルター取付部に設けたスライド溝
(図示省略)等に挿入すれば濾過装置への取付けが容易
になされ、このスライド溝から抜き出せば、取り外しが
容易になされる。
【0016】この発明に係るフィルターは、図1の状態
からアコーディオンを広げるように広げて図2の状態に
して用いるが、同じフィルターであっても、この広げ方
の程度によってハニカム空間部が左右に広がった形のも
のから、左右に余り広がらない菱形に近いものまで、空
間部の大きさを変化させることが出来る。時には、扇子
を広げるときのように、扇形に広げることも出来る。特
に、扇形に広げた場合には、被濾過物質の通過経路をフ
ィルター端面15に対して直角でなく適度の角度を持た
せたものにすることが出来、3次元構造の形態保持性に
優れる。図2にみるようにフィルター両端に枠板2を設
けておくと、このように広げたり狭めたりする動作が行
い易い。
【0017】被濾過物質の通過距離を長くするときに
は、このフィルターを縦に繋いで必要な距離を確保する
と良い。その際、継ぎ足しフィルターの不織布シートの
面を揃えて延長する方法のみでなく、面を直交等交差さ
せて繋いでいくこともある。この発明のフィルターは、
気体用フィルターとしても液体用フィルターとしても用
いることが出来る。この発明のフィルターを用いると、
フィルター内の各空間部において不織布シートの壁で流
体が整流される効果が得られる。
【0018】この発明に係るフィルターは、目の細かな
正規のフィルターの上流側において、予め、粗い塵埃や
ダスト粒子等を捕集するためのプレフィルター(予備前
フィルター)として使用されるようであっても良い。
【0019】
【発明の効果】この発明によれば、被濾過物質はハニカ
ム構造の空間部を通過するようになるため、被濾過物質
の通過抵抗が小さく、圧力損失の小さなフィルターを提
供することが出来る。また、畳んで置くと容積が小さい
ため、輸送容積や収納容積が少なくて済む利点もある。
【0020】また、不織布シート同士の接合線は適宜の
ピッチでの点状接着による非連続的な接合線となってい
るため、フィルターと被濾過物質との接触面積が多く、
濾過効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るフィルターの畳ん
だ状態の斜視図。
【図2】図1で示したフィルターの広げた状態の斜視
図。
【図3】接合線の変形例を示す側面図。
【図4】フィルターの側面形状の変形例を示す側面図。
【符号の説明】
1 フィルター 2 取付手段たる枠板 11 不織布シート 12,13 接合線 14 空間部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01D 29/04 530A (56)参考文献 特開 昭63−54911(JP,A) 特開 昭61−230711(JP,A) 特開 昭61−204052(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重ね合わされた多数の不織布シートが、表
    裏面で部分的に互いに非連続的に接合されて畳込み展開
    可能となっており、互いの間隔を広げるよう展開させた
    状態では、隣合う不織布シートの間に個々に区分されて
    いるとともに互いに連結された多数の空間部を有する
    ニカム構造を構成し、被濾過物質が不織布シートの面に
    沿う方向から前記ハニカム構造の多数のハニカム空間部
    を通過することにより濾過されるようになっているフィ
    ルター。
  2. 【請求項2】個々の空間部に関して、その空間部の全周
    囲長を持つ真円を仮想したときの該真円の平均直径
    (D)と、該空間部の平均奥行き(L)の比L/Dが2
    〜50の範囲内になるものである請求項1記載のフィル
    ター。
  3. 【請求項3】不織布シートがエレクトレット化されたも
    のである請求項1または2記載のフィルター。
  4. 【請求項4】不織布シートの表面電位が50V以上であ
    る請求項1〜3までのいずれかに記載のフィルター。
  5. 【請求項5】フィルターを濾過装置のフィルター取付部
    に対して係脱自在な取付けを可能とさせるための取付手
    段を備えている請求項1〜4までのいずれかに記載のフ
    ィルター。
  6. 【請求項6】請求項1〜4までのいずれかに記載のフィ
    ルターを用いている濾過装置。
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