JP2736293B2 - 新規なポリホスフェート/アゾール組成物を添加する腐食抑制方法及びその組成物を含む水性系 - Google Patents

新規なポリホスフェート/アゾール組成物を添加する腐食抑制方法及びその組成物を含む水性系

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、水性系における銅/ニッケル合
金の腐食を抑制する方法、銅/ニッケル合金の腐食抑制
水性系および銅/ニッケル合金用腐食抑制用組成物に関
する。ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾー
ル、トリルトリアゾールはよく知られた銅腐食抑制剤で
ある。たとえば、米国特許第4,675,158号およ
びそこに引用された文献を参照されたい。この特許は銅
腐食抑制剤としてトリルトリアゾール/メルカプトベン
ゾチアゾール組成物の使用を開示している。また、腐食
抑制剤として低級(C3 −C6 )アルキルベンゾトリア
ゾールの使用を開示している米国特許第4,744,9
50号および対応するEPO出願第85304467.
5号を参照されたい。
【0002】米国特許第4,338,209号は、1種
またはそれ以上のメルカプトベンゾチアゾール、トリル
トリアゾール、ベンゾトリアゾールを含む金属腐食抑制
剤を開示している。ベンゾトリアゾール、トリルトリア
ゾールを含む処方物、およびメルカプトベンゾチアゾー
ル、ベンゾトリアゾールを含む処方物の例が示されてい
る。係属中の特許出願U.S.S.N.348,521
は銅、銅合金腐食抑制剤として高級アルキルベンゾトリ
アゾールの使用に関し、係属中の特許出願U.S.S.
N.348,532は銅、銅合金腐食抑制剤としてアル
コキシベンゾトリアゾールの使用に関し、係属中の特許
出願U.S.S.N.540,977は銅、銅合金腐食
抑制剤としてアルキルベンゾトリアゾール/メルカプト
ベンゾチアゾール、トリルトリアゾール、ベンゾトリア
ゾールおよび(または)フェニルメルカプトテトラゾー
ル組成物の使用に関する。
【0003】米国特許第4,406,811号は、トリ
ルトリアゾール、ベンゾトリアゾールのようなトリアゾ
ールまたはメルカプトベンゾチアゾール、脂肪族モノま
たはジカルボン酸、非イオン湿潤剤を含む組成物を開示
している。米国特許第4,363,913号は2−アミ
ノベンゾチアゾール、アルキルおよびアルコキシ置換ア
ミノベンゾチアゾールの製法を開示している。米国特許
第2,861,078号はアルキルおよびアルコキシ置
換ベンゾトリアゾールの製法を開示している。米国特許
第4,873,139号は耐腐食性銀および銅表面製造
のため1−フェニル−1H−テトラゾール−5−チオー
ルの使用を開示している。硝酸溶液中の炭素鋼の腐食抑
制のため1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールの
使用も知られている。 Chemi cal Abstract CA95
(6):47253(1979年)を参照されたい。米
国特許第4,014,814号はフェニルアルデヒド樹
脂、ポリリン酸エステルからなる腐食抑制組成物を開示
している。
【0004】本発明においては、a)後述するポリホス
フェート成分;およびb)アゾール成分、すなわちC2
−C12アルキルベンゾトリアゾールまたはC2 −C12
ルコキシベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ベ
ンゾトリアゾール、置換ベンゾトリアゾール、メルカプ
トベンゾチアゾール、1−フェニル−5−メルカプトテ
トラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾー
ルの異性体、置換フェニルメルカプトテトラゾールおよ
びそれらの塩からなる群から選ばれるアゾール成分から
なる腐食抑制組成物を使用するものである。この組成物
において、ポリホスフェートは抑制剤成分の吸着を助
け、それにより処理されている金属表面上の抑制を改善
すると考えられる。この発明の組成物は、銅ニッケル合
金表面の腐食の抑制に特に有効である。さらに、この組
成物は一般に塩素、臭素のような酸化性殺菌剤に対し改
善された耐性を与える。
【0005】a)ポリホスフェート成分と、b)アゾー
ル成分、好ましくはC2 −C12アルキルベンゾトリアゾ
ール、またはC2 −C12アルコキシベンゾトリアゾー
ル、トリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−フ
ェニル−5−メルカプトテトラゾールまたは関連化合物
の少なくとも1種との本ブレンドの使用は、激しい腐食
性水中でさえも実質上の腐食抑制を与える。アゾールに
より与えられる腐食抑制は一価の銅(Cu(I)/アゾ
ール錯体の形成によるものと理論づけられる。二価の銅
(Cu(II))アゾールは保護性であるとは考えられ
ず、その存在は処理される金属表面にCu(II)アゾー
ルノジュールを形成するならば有害でさえあり得る。そ
こで、酸化銅(II)腐食膜の形成を除去または遅延でき
る化合物は、表面にCu(II)アゾール錯体の望ましく
ない蓄積を妨げることによって、酸化銅(I)属へのア
ゾールの浸透を助けると理論づけられる。本発明者らは
この機構に拘束されることを望まないが、この発明の組
成物は金属表面への酸化銅(II)の望ましくない析出を
減少するのを助け、それによりアゾールを酸化銅(I)
表面に一層よく接近させると考えられる。そこで、この
発明の組成物は有効な膜形成を与え、化学的に耐性な腐
食保護を与え、特に激しい腐食性の高固形物含有水(hi
gh-solids waters) 中でCu(II)アゾール錯体により
不動態化が得られないという問題を克服する。
【0006】ここで使う「不動態化」の用語は、処理さ
れている金属表面の腐食速度を減少する膜の形成を指
す。「不動態化速度」は金属表面に保護膜を形成するの
に要する時間を指す。また、「高固形物含有水」の用語
は、約1,500mg/リットルを越える溶解固形物を含
む水を指す。溶解固形物は塩化物、硫酸塩、ケイ酸塩、
炭酸塩、重炭酸塩、臭化物から放出される陰イオン;お
よびリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マ
グネシウムのような陽イオンを含むが、これに限定され
ない。
【0007】この発明のポリホスフェート/アゾール組
成物または腐食制御のためのその使用は当該技術でいま
だ知られていないし、また提案もされていない。 本発明は、a)一般式 R−(O−PO32X (式中、Rは多価アルコールの有機残基であり、xは2
〜6である)で表わされる、多価アルコールのリン酸エ
ステルからなる群から選ばれるポリホスフェート成分;
および b)C2−C12アルキルベンゾトリアゾールまたはC2
12アルコキシベンゾトリアゾール、トリルトリアゾー
ル、ベンゾトリアゾール、置換ベンゾトリアゾール、メ
ルカプトベンゾチアゾール、1−フェニル−5−メルカ
プトテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテト
ラゾールの異性体、置換フェニルメルカプトテトラゾー
ル、およびそれらの塩からなる群から選ばれるアゾール
成分からなり、前記成分a)対前記成分b)の重量比が
50:1〜1:50の範囲であることを特徴とする銅/
ニッケル合金用腐食抑制組成物に関する。上記した成分
a)対成分b)の重量比は、好ましくは5:1〜1:5
の範囲とすることができる。また、本発明は、水性系に
おける銅/ニッケル合金の腐食を抑制する方法であっ
て、 a)一般式 R−(O−PO32X (式中、Rは多価アルコールの有機残基であり、xは2
〜6である)で表わされる、多価アルコールのリン酸エ
ステルからなる群から選ばれるポリホスフェート成分;
および b)C2−C12アルキルベンゾトリアゾールまたはC2
12アルコキシベンゾトリアゾール、トリルトリアゾー
ル、ベンゾトリアゾール、置換ベンゾトリアゾール、メ
ルカプトベンゾチアゾール、1−フェニル−5−メルカ
プトテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテト
ラゾールの異性体、置換フェニルメルカプトテトラゾー
ル、およびそれらの塩からなる群から選ばれるアゾール
成分からなり、前記成分a)対前記成分b)の重量比が
50:1〜1:50の範囲である組成物の有効量を前記
水性系に添加することを特徴とする方法に関する。
【0008】 また、本発明は、a)一般式 R−(O−PO32X (式中、Rは多価アルコールの有機残基であり、xは2
〜6である)で表わされる、多価アルコールのリン酸エ
ステルからなる群から選ばれるポリホスフェート成分; b)C2−C12アルキルベンゾトリアゾールまたはC2
12アルコキシベンゾトリアゾール、トリルトリアゾー
ル、ベンゾトリアゾール、置換ベンゾトリアゾール、メ
ルカプトベンゾチアゾール、1−フェニル−5−メルカ
プトテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテト
ラゾールの異性体、置換フェニルメルカプトテトラゾー
ル、およびそれらの塩からなる群から選ばれるアゾール
成分;および c)水からなり、前記成分a)対前記成分b)の重量比
が0.01:100〜100:1の範囲であることを特
徴とする銅/ニッケル合金の腐食抑制水性系に関する。
【0009】上記水性系における水は、特に冷却水であ
ってもよい。この発明のポリホスフェート/アゾール組
成物は、特に銅/ニッケル合金に関し有効な腐食抑制剤
であることを、本発明者らは発見した。この発明の組成
物は銅/ニッケル合金の腐食に対し有効な抑制剤である
から、特に銅とニッケルからなる多金属系の保護に使用
することができる。
【0010】この発明の組成物は可溶銅イオンを不活性
化し、銅イオンの存在で鉄またはアルミニウムの電気化
学的溶解と相伴なって起る銅の電気化学的析出を防ぐこ
とも、本発明者らは見出した。これはアルミニウムおよ
び鉄の腐食を減少する。この発明の組成物はまた、銅お
よび銅合金の腐食による可溶銅イオンの生成を防ぐこと
により、上記電気化学的反応を間接的に制限する。
【0011】本発明において、成分a)として使用され
るポリホスフェートは、 一般式 R-(O-PO3H2)x (式中、Rは原料として使う多価アルコールの有機残基
であり、xは2〜6である)をもつ多価アルコールの多
官能性酸リン酸エステル(この明細書ではリン酸化ポリ
オールと呼ぶ)からなる群から選ばれる。
【0012】多価アルコールの例はグリセリン、ポリグ
リセリン(二量体、三量体、四量体など)、ペンタエリ
トリトール、ジペンタエリトリトール、2,5−ヘキサ
ンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、4%水
溶液が2−25cps の粘度範囲であるポリビニルアルコ
ール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパ
ン、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、スクロース、低分子量フェノー
ルノボラックである。
【0013】この発明で使用される型のリン酸化ポリオ
ールは米国特許第3,580,855号に開示されてい
る。また、ポリリン酸の部分エステルに関する米国特許
第4,301,025号を参照されたい。リン酸化ポリ
オール製造には、多数の方法が当該技術で知られてい
る。好ましい方法はポリリン酸とポリオールを反応させ
ることである。ポリリン酸は少なくとも約72%の、好
ましくは約82−84%の P2O5 含量をもつべきであ
る。オルトリン酸およびポリリン酸の残留物が反応の完
結で残る。この残留物はリン酸化ポリオールの全重量の
約25−40%ほどであることができる。これを除去で
きまたはリン酸化ポリオールと共に混合物中に残すこと
ができる。好ましくは、この方法でつくられるリン酸化
ポリオールは、使用されるポリオール各当量当り P2O5
約0.5−1モル当量をもつポリリン酸量を使って製造
される。所望であれば、一層多量のポリリン酸を使用で
きる。「ポリオールの当量」とはポリオールのヒドロキ
シル当量を意味する。たとえば、グリセリン1モルは3
当量であり、ペンタエリトリトールの1モルは4当量で
ある。リン酸化ポリオールと適当量のアルカリ金属水酸
化物または水酸化アンモニウムを反応させることによ
り、リン酸化ポリオールを部分的にまたは完全にその相
当するアルカリ金属塩またはアンモニウム塩に変えるこ
とができる。
【0014】成分b)としてはどのアゾールも使用でき
る。たとえば、次の構造
【化1】 (式中、2≦n≦12である)をもつアルキルまたはア
ルコキシベンゾトリアゾール化合物はどれも使用でき
る。そのような化合物の塩も使用できる。
【0015】上記アルキルまたはアルコキシベンゾトリ
アゾールの異性体も成分b)として使用できる。1−位
水素の3−位への単なるプロトトロピー移動により5−
異性体と6−異性体は相互交換可能であり、機能的には
同等と考えられる。4−異性体と7−異性体は5−また
は6−異性体と同様にまたは一層よく機能すると考えら
れるが、一般に製造が一層困難で高価である。ここで使
う「アルキルまたはアルコキシベンゾトリアゾール」の
用語は、アルキル鎖長が2≦炭素数≦12であり、枝分
れまたは直鎖の好ましくは直鎖の5−アルキルまたは5
−アルコキシベンゾトリアゾールおよびその4−,6
−,7−位異性体を意味する。直鎖アルキルまたはアル
コキシベンゾトリアゾールを含む組成物は、塩素の存在
で一層耐久性の膜を与えると考えられる。
【0016】好ましいアルキルまたはアルコキシベンゾ
トリアゾールはC5 −C8 のアルキルまたはアルコキシ
ベンゾトリアゾールのナトリウム塩である。本発明の組
成物の成分b)の別の例は、メルカプトベンゾチアゾー
ル(MBT)およびその塩、好ましくはMBTのナトリ
ウム塩、カリウム塩、トリルトリアゾール(TT)およ
びその塩、好ましくはTTのナトリウム塩、カリウム
塩、ベンゾトリアゾール(BT)およびその塩、好まし
くはBTのナトリウム塩、カリウム塩、クロロベンゾト
リアゾールおよびニトロベンゾトリアゾールのような置
換ベンゾトリアゾールおよびその塩、好ましくはナトリ
ウム塩、カリウム塩、1−フェニル−5−メルカプトテ
トラゾール(PMT)、1−フェニル−5−テトラゾリ
ンチオンのような互変異性体2−フェニル−5−メルカ
プトテトラゾールのような位置異性体、その互変異性体
を含むPMTの異性体、置換フェニルメルカプトテトラ
ゾール(フェニルがC1 −C12直鎖または枝分れアルキ
ル、C1 −C12直鎖または枝分れアルコキシ、ニトロ、
ハロ、スルホンアミド、またはカルボキシアミドで置換
されている)および上記メルカプトテトラゾールの塩、
好ましくはナトリウム塩からなる群から選ばれる化合物
を含む。TTおよびMBTまたはその塩が好ましく、T
Tが最も好ましい。成分a)対b)の重量比は50:1
〜1:50、好ましくは10:1〜1:10、最も好ま
しくは5:1〜1:5の範囲であるべきである。
【0017】本発明のポリホスフェート/アゾール組成
物の1種の有効量を伴う必要がある。ここで使う「有効
量」の用語は,所定の水性系で所望の度合まで金属腐食
を有効に抑制する活性成分基準でのこの発明の組成物の
量を指す。好ましくは、処理される水性系の水の全重量
基準で、この発明の組成物を、少なくとも0.1ppm、
さらに好ましくは約0.1〜500ppm 、最も好ましく
は約0.5〜100ppm の活性濃度で添加する。勿論、
特定の水性系で使うこの発明の腐食抑制組成物の全量は
処理される系の腐食性に依存し、湿度、pH、流量、硬
度、溶解固形物のような多くの因子にもまた依存する。
【0018】この発明の組成物の最高濃度は、特定の応
用の経済的考慮により決められる。匹敵する処理が利用
できるときは、最高経済的濃度は匹敵する効果を与える
別の処理の費用によって一般に決定される。費用因子は
処理される系の全量、処理費または排出物処理費、在庫
品費、供給装置費、監視費を含むが、これに限定されな
い。他方、最低濃度はpH、溶解固形物、温度のような操
作条件により決定される。
【0019】トリルトリアゾール、ベンゾトリアゾー
ル、置換ベンゾトリアゾール、フェニルメルカプトテト
ラゾール、置換フェニルメルカプトテトラゾール、メル
カプトベンゾチアゾール、その塩、アルキルまたはアル
コキシベンゾトリアゾールおよびその塩からなる群から
選ばれる少なくとも1種の銅腐食抑制アゾールとポリホ
スフェートとを含む本発明の組成物は、金属表面、特に
銅含有表面と接触するどの水性系においても実際上使用
できる。TT、BT、置換ベンゾトリアゾール、MB
T、PMT、フェニル置換、PMT、アルキルまたはア
ルコキシベンゾトリアゾール、およびその塩のような腐
食抑制化合物の性能は一般に少量のポリホスフェートの
存在により増強されることを本発明者らは発見した。そ
こで、アゾール腐食抑制剤の効力を改良するためのポリ
ホスフェートの有効量は、通常の銅腐食抑制剤の効力を
一般に改善する。実際上、どの量のポリホスフェートも
助けとなるが、好ましい量は活性成分基準で腐食抑制剤
50部当りポリホスフェート少なくとも約1部である。
さらに好ましくは、ポリホスフェート対腐食抑制剤の重
量比は少なくとも1:5であるべきである。
【0020】この発明で使うのに好ましいポリホスフェ
ートは、 FMC Corporationから商業上入手できるオルト
リン酸、ピロリン酸、高級線状ポリリン酸の平衡混合物
である。最も好ましいポリホスフェートはポリリン酸エ
ステル、特にグリコールエステルのような多価アルコー
ルのエステルである。このエステルは Conductor571
2として Calgon Corporation から商業上入手できる。
ベストモードの例である組成物は Conductor5712と
トリルトリアゾールのナトリウム塩の重量比約4:1か
らなる。ついで、この組成物を処理しようとする所定の
系に対し望む腐食抑制を達成するのに有効な量で添加す
る。この組成物は銅/ニッケル合金の処理に特に有効で
ある。実際の用量は処理しようとする系の化学、処理明
細、保護しようとする金属の型等の因子に依存する。当
業者は所定の系に対する最適用量を容易に決定できる。
成分b)のアルキルまたはアルコキシベンゾトリアゾー
ルは既知の方法で製造できる。たとえば、4−アルコキ
シ−1,2−ジアミノベンゼンと硝酸ナトリウム水溶液
とを酸、たとえば硫酸の存在で接触させ、得られた油状
生成物を水溶液から分離することによって、このアルコ
キシベンゾトリアゾールを製造できる。4−アルコキシ
−1,2−ジアミノベンゼンは多数の源から得られる。
また、アルコキシベンゾトリアゾールの合成を記載して
いる米国特許第2,861,078号参照されたい。
【0021】また、成分b)として使用できる幾つかの
化合物は商業上入手できる。たとえば、トリルトリアゾ
ールおよびベンゾトリアゾールはPMC、Inc.から商業
上入手できる。MBTは1)Uniroyal Chemical Co., I
nc,または2)Monsantoから商業上入手でき、PMTは
1)Fairmount Chamical Co. Inc.,2)Aceto Corporat
ion,3)Triple Crswn America, Inc.から商業上入手で
きる。一般に、TTおよびMBTはナトリウム塩として
販売されている。
【0022】成分化合物を単にブレンドすることによ
り、この発明の組成物を製造できる。適当な製造技術は
水処理技術およびトリアゾール供給者によりよく知られ
ている。たとえば、固体成分を水酸化ナトリウムまたは
水酸化カリウムのようなアルカリを含む水中にブレンド
することにより、水溶液をつくることができ;標準法で
粉末をブレンドすることにより固体混合物をつくること
ができ;固体抑制剤を適当な有機溶媒に溶かすことによ
り有機溶液をつくることができる。とくに、アルコー
ル、グリコール、ケトン、芳香族が適当な溶剤である。
【0023】成分化合物を同時に(1組成物として)、
または別々に添加することにより、この発明の方法を実
施できる。適当な添加法は水処理技術においてよく知ら
れている。この発明の組成物を、工業冷却水素、ガスス
クラバー系、または金属表面、特に銅および/または銅
合金を含む表面と接触するどの水系に対しても、水処理
添加剤として使用できる。この組成物を単独でまたは殺
菌剤、スケール抑制剤、分散剤、消泡剤、他の腐食抑制
剤(これに限定されないが)を含む処理パッケージの一
部分として供給できる。好ましいスケール抑制剤は低分
子量ポリアクリラート、および Calgon Coripration か
ら商業上入手できるTRC-233 のようなカルボン酸とスル
ホン酸からなる重合体を含むが、これに限定されない。
また、この発明のポリホスフェート/ アゾール組成物を
断続的にまたは連続的に供給できる。
【0024】銅またはアドミラルティーブラスまたは9
0/10銅−ニッケルのような銅合金の表面と接触する
冷却水の処理は、特別の銅抑制剤の使用を必要とする。
この抑制剤は、一般腐食、脱合金腐食、電気化学的腐食
を含め、銅または銅合金表面の腐食を減少し、可溶銅イ
オンの鉄またはアルミニウム上への電気化学的「めっき
析出」の問題を減少する。そこで、可溶銅イオンは水性
系と接触する鉄および(または)アルミニウム成分の腐
食を増加できる。これは鉄またはアルミニウム金属によ
る銅イオンの還元を通して起り、付随して鉄またはアル
ミニウム金属は酸化され、銅金属の鉄表面への「めっき
析出」が起る。この化学反応は鉄またはアルミニウム保
護膜を破壊するだけでなく鉄またはアルミニウムの点
(孔)蝕を起し得る局所的ガルバニー電池をつくり出
す。
【0025】この発明の組成物で使われるトリルトリア
ゾール、ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾ
ールのような通常の銅抑制剤は水性系において単独で銅
抑制剤としてふつう使われるが、その保護膜の限られた
耐久性から、一般に連続的に供給される。連続供給の必
要性は、この通常の抑制剤を1回通過系または高い排出
速度の系に適用することを一般に非経済的にする。さら
に、通常の抑制剤は塩素誘起腐食に対しては限られた保
護しか与えない。
【0026】上記の欠点は一般にこの発明の組成物によ
り克服される。そこで、この発明の目的は一層塩素に耐
性の保護膜を生じ、高固形物の、特に高い溶解固形物の
激しい腐食性水中で有効な抑制剤を提供することであ
る。この目的および他の目的は、この発明のポリホスフ
ェート/アルキルまたはアルコキシベンゾトリアゾー
ル、TT、BT、MBT、またはPMT組成物の使用に
より達成され、この組成物は金属表面、特に銅および銅
合金表面に保護耐久性膜を迅速に与える。この組成物は
塩素および臭素殺菌剤のような酸化性殺菌剤および(ま
たは)高固形物の存在において、および銅ニッケル合金
の処理において特に有効である。さらに、この発明の組
成物は冷却水系に対し断続的供給の使用を可能にする。
水の腐食性に依存して、供給間の時間は数日ないし数カ
月の範囲であることができる。これは平均して抑制剤の
必要を一層低くし、廃物処理および環境への影響に関し
有利である。
【0027】実施例 次の実施例は銅/ニッケル合金腐食抑制剤としての本発
明の組成物の効果を示す。実施例は本発明の範囲を限定
することを意図するものではない。実施例1〜4 90/10銅/ニッケル電極の腐食速度を Petrolite
M1010装置を使い直線分極(またPAIR法と呼ば
れる)により測定した。試料を加熱器/循環器、pHを
7.8±0.2に保持するためのpH制御器、水を空気が
飽和するためのばっ気装置を備えた8リットル容器に浸
漬した。次表は結果のまとめである。
【0028】 抑制剤 用量(ppm) 腐食速度 外 観 18時間後のmpy(1) ──────────── ─────────── ───────── 1) TT (2) 0 Conductcr 5712 0 0.5 全体的さび 2) TT 6 1.6 局所的緑色ノジュー ルおよび全体的緑色 析出物 3)Conductcr 5712 100 0.5 全体的さび 4) TT 6 + Conductcr 5712 100 0.04 輝いた金属外観。 新品同様、 (1)水組成: PO2 -2 3ppm 、K+ 260ppm 、 SO4
9500ppm 、Cl-5000ppm 、 Mg +2 180ppm
、F- 18ppm 、 SiO2 130ppm 、 Ca260ppm
。 (2)TTはトリルトリアゾールナトリウム塩。Conduc
tor 5712は Calgon Corporation から商業上入手で
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 スーザン ビー.レイ アメリカ合衆国,15108 ペンシルヴァ ニア,コラオポリス,オークヘヴン ド ライヴ 203 (56)参考文献 特開 昭57−41381(JP,A) 特開 昭53−146969(JP,A) 米国特許3580855(US,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性系における銅/ニッケル合金の腐食
    を抑制する方法であって、 a)一般式 R−(O−PO32X (式中、Rは多価アルコールの有機残基であり、xは2
    〜6である)で表わされる、多価アルコールのリン酸エ
    ステルからなる群から選ばれるポリホスフェート成分;
    および b)C2−C12アルキルベンゾトリアゾールまたはC2
    12アルコキシベンゾトリアゾール、トリルトリアゾー
    ル、ベンゾトリアゾール、置換ベンゾトリアゾール、メ
    ルカプトベンゾチアゾール、1−フェニル−5−メルカ
    プトテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテト
    ラゾールの異性体、置換フェニルメルカプトテトラゾー
    ル、およびそれらの塩からなる群から選ばれるアゾール
    成分からなり、 前記成分a)対前記成分b)の重量比が50:1〜1:
    50の範囲である組成物の有効量を前記水性系に添加す
    ることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記水性系が銅/ニッケル合金表面と接
    触している請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 前記水性系の水の全重量基準で、前記組
    成物の少なくとも約0.1ppmを前記水性系に添加す
    る請求項1の方法。
  4. 【請求項4】 前記成分b)がトリルトリアゾールまた
    はその塩である請求項1の方法。
  5. 【請求項5】a)一般式 R−(O−PO32X (式中、Rは多価アルコールの有機残基であり、xは2
    〜6である)で表わされる、多価アルコールのリン酸エ
    ステルからなる群から選ばれるポリホスフェート成分; b)C2−C12アルキルベンゾトリアゾールまたはC2
    12アルコキシベンゾトリアゾール、トリルトリアゾー
    ル、ベンゾトリアゾール、置換ベンゾトリアゾール、メ
    ルカプトベンゾチアゾール、1−フェニル−5−メルカ
    プトテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテト
    ラゾールの異性体、置換フェニルメルカプトテトラゾー
    ル、およびそれらの塩からなる群から選ばれるアゾール
    成分;および c)水からなり、 前記成分a)対前記成分b)の重量比が0.01:10
    0〜100:1の範囲であることを特徴とする銅/ニッ
    ケル合金の腐食抑制水性系。
  6. 【請求項6】a)一般式 R−(O−PO32X (式中、Rは多価アルコールの有機残基であり、xは2
    〜6である)で表わされる、多価アルコールのリン酸エ
    ステルからなる群から選ばれるポリホスフェート成分;
    および b)C2−C12アルキルベンゾトリアゾールまたはC2
    12アルコキシベンゾトリアゾール、トリルトリアゾー
    ル、ベンゾトリアゾール、置換ベンゾトリアゾール、メ
    ルカプトベンゾチアゾール、1−フェニル−5−メルカ
    プトテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテト
    ラゾールの異性体、置換フェニルメルカプトテトラゾー
    ル、およびそれらの塩からなる群から選ばれるアゾール
    成分からなり、 前記成分a)対前記成分b)の重量比が50:1〜1:
    50の範囲であることを特徴とする銅/ニッケル合金用
    腐食抑制組成物。
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