JP2735808B2 - 印刷機構の損傷を阻止する装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ウェブ輪転印刷機に設
けられた印刷機構の損傷を阻止する装置であって、ゴム
胴が相互に作業するか、または圧胴に対して作業するよ
うになっていて、制御可能な調節手段によってサイドフ
レームに旋回可能に配置されている形式のものに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】公知のように、給電消失時には電気的に
作動するユニットの故障も生ぜしめられ、このことはウ
ェブ輪転印刷機内で走行する紙ウェブの機械的な張力の
不規則性をも招いて、印刷機械が静止状態になるまえに
紙ウェブが破断してしまう恐れがある。さらにこのこと
は、印刷機構またはインキ機構をも損なうような、紙の
巻き付きを生ぜしめる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、電圧
消失時における印刷機構損傷を阻止するための装置を提
供することである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の構成では、印刷機の運転状態時に充電可能な
エネルギー貯え器が、制御手段を介して調節手段に接続
されており、エネルギー貯え器が給電消失時にエネルギ
ーを制御手段に送出し、これにより調節手段が負荷され
て、それぞれの印刷ユニットにつき少なくとも１つの胴
を印刷胴抜き位置にもたらすようになっているようにし
た。

【０００５】

【発明の効果】本発明の構成により、特に次のような利
点が得られる。

【０００６】すなわち、エネルギー貯え部を配置して、
このエネルギー貯え部が、運転中の各印刷ユニットの少
なくとも１つのゴム胴の旋回を生ぜしめるような制御ユ
ニットを操作するためのエネルギーを、給電が消失した
場合に短時間送出することにより、紙ウェブの裂断時に
おける巻き付きが害にはならなくなる。

【０００７】

【実施例】以下に本発明の実施例を図面につき詳しく説
明する。

【０００８】真ん中の圧胴１の周りには、それぞれゴム
胴２，３，４，５と版胴７，８，９，１０とから成る４
つの印刷ユニット２，７；３，８；４，９；５，１０が
十字形に配置されて、ウェブ輪転印刷機のための９胴式
のサテライト印刷ユニット１２を形成している。これら
の印刷ユニット（２，７；３，８；４，９；５，１０）
は切換え可能で、１つまたは複数の紙ウェブ１３，１４
がサテライト印刷ユニット１２を、これらの紙ウェブ１
３，１４への印刷を目的にして通走できるようになって
いる（図２）。例えばゴム胴２，３ならびにゴム胴４，
５が接触するか、または、全てのゴム胴２〜５が例えば
圧胴１に対して作業することができる。版胴７〜１０
は、ゴム胴２〜５にそれぞれ別個に対応している。これ
らの版胴７〜１０にそれぞれ対応したインク機構と、場
合によっては湿し水機構とは図示していない。ドイツ連
邦共和国特許出願公開第４１２９８４０号明細書に示さ
れているように、ゴム胴２〜５はそれぞれ別個に複動式
の作業シリンダ１６によって旋回可能にサイドフレーム
に配置することができる。ゴム胴２〜５はそれぞれ少な
くとも３つの異なる位置を取ることができる。

【０００９】ａ）ゴム胴２が隣合うゴム胴３に当て付け
られ、偏心ブシュ１８のマーキング３９が印刷胴入れ位
置Ｄに位置する。

【００１０】ｂ）ゴム胴４が隣合うゴム胴５に当て付け
られ、偏心ブシュ１８のマーキング３９が印刷胴入れ位
置Ｄに位置する。

【００１１】ｃ）ゴム胴２〜５が一緒に圧胴１に当て付
けられ、偏心ブシュ１８のマーキング３９が印刷胴入れ
位置Ｂに位置する。

【００１２】ｄ）ゴム胴２〜５が互いに印刷胴抜きされ
た状態、すなわち隣合う胴に無接触の状態にあり、偏心
ブシュ１８のマーキング３９が印刷胴抜き位置に位置す
る。

【００１３】ゴム胴２〜５の旋回は例えば、各ゴム胴２
〜５の各軸ピン１７が、サイドフレーム２２内に回転可
能に配置されたそれぞれの偏心ブシュ１８に支承されて
いることにより行われる。それぞれの偏心ブシュ１８に
固定されたフランジ１９は、連結棒２１、ならびにサイ
ドフレーム固定されて支承されたアングルレバー２３に
よって、作業シリンダ１６のピストンロッド２４の前記
ピストンとは隔たった端部に結合されている。作業シリ
ンダ１６の前記ピストンロッドとは隔たった端部はサイ
ドフレーム固定されて支承されている。符号１６〜２４
で示された部分は、２倍設けられており、サイドフレー
ム２２以外をまとめて調節手段２６と呼ぶ。調節手段２
６の複動式の作業シリンダ１６の各端部は、絞り弁を内
蔵したそれぞれ１つの導管２７，２８を介して、磁気操
作部３１，３２を備えた４ポート３位置弁（方向切換
弁）２９の作業ポート（詳しくは図示せず）に接続され
ている。この方向切換弁２９は中央位置に遮断位置を有
している。この方向切換弁２９の供給導管３３および戻
し導管３４は、公知の発生装置への接続部４０を備えた
圧縮空気貯え部に接続されている。方向切換弁２９の第
１の磁気操作部３１は、第１のリミットスイッチ３８の
ブレーク接点３６，３７に接続されている。この第１の
リミットスイッチ３８は、サイドフレーム固定されて各
ゴム胴２〜５の軸ピン１７の近くに取り付けられてい
る。リミットスイッチのコンタクト操作レバーが、偏心
ブシュに固定された突起５８に摩擦接続されている。第
２のリミットスイッチ４３に設けられたメーク接点４
１，４２もやはり軸ピン１７の近くでサイドフレーム固
定されている。ただしこの場合、これらのメーク接点は
偏心ブシュ１８の周面側の別の個所に配置されている。
リミットスイッチ４３のコンタクト操作レバーは、ゴム
胴の位置に応じて、偏心ブシュ１８の表面に摩擦接続的
に結合されるか、またはこの偏心ブシュに固定された突
起５９に摩擦接続的に結合される。第１のリミットスイ
ッチ３８のブレーク接点３６も、第２のリミットスイッ
チ４３のメーク接点４１も、リレー４６のブレーク接点
４４の第１の接続部に接続されている。符号２９，３
１，３２，３８，４３で示された各部分はまとめて制御
手段４７と呼ぶ。

【００１４】リミットスイッチ３８のブレーク接点３７
ならびにリミットスイッチ４３のメーク接点４２は、一
方では、作動電圧ＵＢ、例えば２４ボルトの直流電圧で
印加され、他方では、メモリプログラミング可能な制御
装置、つまりＳＰＳ（speicherprogrammierbare Steuer
ung）４５の入力側Ｅ１，Ｅ２に接続されている。ＳＰ
Ｓ４５の出力側Ａ１，Ａ２は、電流帰路を阻止するダイ
オード４８，４９を介して、リミットスイッチ３８のブ
レーク接点３６とリミットスイッチ４３のメーク接点４
１とに対して並列接続されている。これにより、給電消
失後に再び作動接続する場合のための、リミットスイッ
チ３８，４３の切換え位置表示が信号される。

【００１５】制御手段４７は、電気エネルギー貯え器５
１に接続されている。この電気エネルギー貯え器は、ア
ース５３（ＵＢ）に接続されたコンデンサ５４から成っ
ている。このコンデンサには、ダイオード５２が前接続
されている。このダイオード５２には、抵抗５５が電流
制限を目的として前接続されている。このコンデンサ５
４に対して並列に、例えば１キロオームの保護抵抗６１
が配置されていてよい。このコンデンサ５４の容量は、
４０ボルトにおいて２×１０_nＦであってよい。ダイオ
ード５２に前接続された抵抗５５は１オームであってよ
い。ダイオード５２とコンデンサ５４との間には、分配
点５６が位置している。この分配点５６によって、リレ
ー４６のブレーク接点４４の第２の接続部との接続が生
ぜしめられる。これにより、電気エネルギー貯え器５１
が制御手段４７に接続可能である。

【００１６】このような装置の機能形式は次の通りであ
る。

【００１７】運転状態時には、印刷機のためのモータ駆
動部（図示せず）の他に、サテライト印刷ユニット１２
のゴム胴２〜５も作動していて、これらのうちのゴム胴
２，３は互いに作業し、ゴム胴４，５は圧胴１に対して
作業する。アース５３に接続されたコンデンサ５４は、
運転中、作動電圧ＵＢで印加されることにより充電され
る。電気エネルギー貯え器５１に対して並列接続された
リレー４６が、運転中には閉じられているので、ブレー
ク接点４４は開かれている。従って、制御手段４７は応
答していない。

【００１８】電圧消失時、すなわち作動電圧ＵＢがゼロ
に等しい場合には、リレー４６が開かれ、ブレーク接点
４４が閉じられて、コンデンサ５４のエネルギーが第１
のリミットスイッチ３８のブレーク接点３６を介して放
電されるので、方向切換弁２９の磁気操作部３１が少な
くとも１秒間にわたって、コンデンサ５４から電圧を得
る。これにより、ピストン５７とピストンロッド２４と
を備えた作業シリンダ１６が、方向切換弁２９と導管２
７とを介して圧縮空気貯え部３５に接続されるので、こ
のピストン５７は、左側の終端位置から右の終端位置に
向かって運動する。これにより、ゴム胴５はシフト量ｄ
だけ、圧胴１からも版胴１０からも離れる方向で旋回す
る。これにより、紙巻き付きが生じても、圧胴１、ゴム
胴５ならびに版胴１０から成る印刷機構は害を被らない
（図２のゴム胴２〜５の破線部分参照）。ダイオード５
２は、コンデンサ５４のプラスＵＢ（５３）方向におけ
る放電を阻止する。左側の終端位置Ｂから中間位置Ｃへ
の作業シリンダ１６のピストン５７の運動時には、同時
に偏心ブシュ１８が時計周り方向に回転する。この回転
運動は、偏心ブシュに固定された突起５８がリミットス
イッチ３８のコンタクト操作レバーを通過して、このリ
ミットスイッチ３８を遮断するまで行われる。こうし
て、ブレーク接点３６が開く。このような動作は、１秒
よりも短い時間で行われて、偏心ブシュ１８に位置する
マーキング３９は、サイドフレーム２２に設けられたマ
ーキングＣと合致する。これによりゴム胴５は、図２に
破線で示したような印刷胴抜き位置を取る。

【００１９】しかしながら、図２のゴム胴２，３で示し
たように、ゴム胴４，５が運転時に互いに接触している
場合には、作業シリンダ１６のピストン５７は右側の終
端位置Ｄに位置しており、偏心ブシュ１８に位置するマ
ーキング３９は、サイドフレーム２２に設けられたマー
キング（印刷胴入れ位置）Ｄと合致するように位置して
いる。作動電圧ＵＢが消失すると、リレー４６のブレー
ク接点４４が閉じ、リミットスイッチ３８のブレーク接
点３６，３７が開かれ、リミットスイッチ４３のメーク
接点４１，４２が閉じられる。作業シリンダ１６のピス
トン５７が右側の作業位置（印刷胴入れ位置）Ｄから印
刷胴抜き位置Ｃに操作されると、リミットスイッチ４３
のコンタクト操作レバーは、偏心ブシュに固定された突
起５９に結合される。逆時計周りに回転する突起５９が
リミットスイッチ４３のコンタクト操作レバーの傍らを
擦過したあと、このリミットスイッチ４３が遮断するの
で、メーク接点４１，４２が開かれ、ゴム胴５の印刷胴
抜き位置Ｃ（図２の破線部分）に達する。これにより、
紙巻き付きが回避される。

【００２０】それぞれのゴム胴２〜５のために、印刷機
構損傷を阻止するための別個の装置が必要であることは
明らかである。各サテライト印刷ユニットにつき、各ゴ
ム胴２〜５を操作するための作業シリンダ５７がそれぞ
れ設けられていなければならない。リミットスイッチ３
８，４３についても同様である。これによりゴム胴２，
３（図２）の旋回動作が、これらのゴム胴が互いに接触
せず、版胴７，８にも接触しないように行われることも
可能である。

【００２１】ゴム胴２〜５とは異なる胴、例えば版胴
を、印刷機構の形状に応じて旋回させることもできる。
さらにゴム胴４，５を、印刷胴抜き位置（ゴム胴４と圧
胴１；ゴム胴５と圧胴１）の背後に位置するような別の
第３の位置に旋回させることもできる。このような位置
においてゴム胴４，５は、図２のゴム胴２，３と同様に
互いに接触する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による装置の主要な回路図である。

【図２】サテライト印刷ユニットの概略図である。

【符号の説明】

１ 圧胴、 ２〜５ ゴム胴、 ７〜１０ 版胴、 １
２ サテライト印刷ユニット、 １３，１４ 紙ウェ
ブ、 １６ 作業シリンダ、 １７ 軸ピン、１８ 偏
心ブシュ、 １９ フランジ、 ２１ 連結棒、 ２２
サイドフレーム、 ２３ アングルレバー、 ２４
ピストンロッド、 ２６ 調節手段、２７，２８ 導
管、 ２９ 方向切換弁、 ３１，３２ 磁気操作部、
３３供給導管、 ３４ 戻し導管、 ３５ 圧縮空気
貯え器、 ３６，３７ ブレーク接点、 ３８ リミッ
トスイッチ、 ３９ マーキング、 ４０ 接続部、４
１，４２ メーク接点、 ４３ リミットスイッチ、
４４ ブレーク接点、４５ ＳＰＳ、 ４６ リレー、
４７ 制御手段、 ４８，４９ ダイオード、 ５１
電気エネルギー貯え室、 ５２ ダイオード、 ５３
アース、５４ コンデンサ、 ５５ 抵抗、 ５６
分配点、 ５７ ピストン、 ５８，５９ 突起、 ６
１ 保護抵抗、 Ａ１，Ａ２ 出力側、 Ｅ１，Ｅ２
入力側、 ＵＢ 作動電圧、 Ｂ，Ｄ 印刷胴入れ位
置、 Ｃ 印刷胴抜き位置

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−52008（ＪＰ，Ａ) 実開 平１−144983（ＪＰ，Ｕ)

Claims (9)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ウェブ輪転印刷機に設けられた印刷機構
   の損傷を阻止する装置であって、ゴム胴が相互に作業す
   るか、または圧胴に対して作業するようになっていて、
   制御可能な調節手段によってサイドフレームに旋回可能
   に配置されている形式のものにおいて、 印刷機の運転状態時に充電可能なエネルギー貯え器（５
   １）が、制御手段（４７）を介して調節手段（２６）に
   接続されており、エネルギー貯え器（５１）が給電（Ｕ
   Ｂ）消失時にエネルギーを制御手段（４７）に送出し、
   これにより調節手段（２６）が負荷されて、それぞれの
   印刷ユニット（２，７；３，８；４，９；５，１０）に
   つき少なくとも１つの胴（２，３，４，５）を印刷胴抜
   き位置（Ｃ）にもたらすようになっていることを特徴と
   する、印刷機構の損傷を阻止する装置。
2. 【請求項２】 エネルギー貯え部（５１）が、作動電圧
   （ＵＢ）で印加されたコンデンサ（５４）から成ってお
   り、該コンデンサ（５４）にダイオード（５２）が前接
   続されている、請求項１記載の装置。
3. 【請求項３】 ダイオード（５２）に抵抗（５５）が前
   接続されている、請求項２記載の装置。
4. 【請求項４】 制御手段（４７）が、エネルギー貯え器
   （５１）に対して並列に作動電圧（ＵＢ）で位置するリ
   レー（４６）から成っており、該リレーのブレーク接点
   （４４）が、胴（２〜５）の位置を信号するリミットス
   イッチ（３８；４３）を介して、作業シリンダ（１６）
   に用いられる流体を供給するための電磁制御可能な方向
   切換弁（２９）に接続されている、請求項１から３まで
   のいずれか１項記載の装置。
5. 【請求項５】 方向切換弁（２９）が、中央位置に遮断
   位置を備えた４ポート３位置弁から成っている、請求項
   １から４までのいずれか１項記載の装置。
6. 【請求項６】 調節手段（２６）が、流体負荷可能な複
   動式の作業シリンダ（１６）から成っており、該作業シ
   リンダのピストンロッド（２４）が、レバー駆動部（２
   ３，２１）を介して、サイドフレーム固定されて支承さ
   れた、軸ピン（１７）を収容する偏心ブシュ（１８）に
   結合されている、請求項１から５までのいずれか１項記
   載の装置。
7. 【請求項７】 エネルギー貯え器（５１）と制御手段
   （４７）と調節手段（２６）とが互いに接続されてい
   る、請求項１から６までのいずれか１項記載の装置。
8. 【請求項８】 リミットスイッチ（３８，４３）がメモ
   リプログラミング可能な制御装置（４５）に接続されて
   いる、請求項１から７までのいずれか１項記載の装置。
9. 【請求項９】 少なくとも各ゴム胴（２〜５）に、エネ
   ルギー貯え器（５１）と制御手段（４７）と調節手段
   （２６）とが対応している、請求項１から８までのいず
   れか１項記載の装置。