JP2735603B2 - 複合パネルの製造方法 - Google Patents

複合パネルの製造方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、建築物等において外装及び内装に用いられ
る鋼板及びスレート板からなる少なくとも二枚(一対)
のパネル材からなる複合パネルを生産性高く製造するこ
とができる複合パネルの製造方法に関する。
(従来の技術) 従来、溶剤型クロロプレン系接着剤は、耐炎性、耐化
学薬品性、耐油性等にすぐれるうえに、作業性にもすぐ
れるために、複合パネルの製造に広く用いられている。
しかし、溶剤型クロロプレン系接着剤の初期の耐熱クリ
ープ性は、クロロプレン重合体の結晶化によるものであ
つて、その速度が遅く、複合パネルの生産性を低める要
因となつている。更に、クロロプレン重合体の結晶化が
完了したとしても、除晶温度が60℃前後と低いために、
接着の耐熱性に劣る。即ち、接着後、後工程での表面材
の塗装乾燥等において、60℃以上の温度に曝された場合
に、除晶される結果、接着剤層の凝集力の低下を招き、
例えば、貼り合わされた表面材の間や、或いは表面材、
裏面材と枠材との間に浮きや剥離が発生しやすい。
そこで、接着剤にアルキルフエノール樹脂等を添加す
ることによつて、耐熱性を改良することが試みられてい
るが、これらによつては、加熱、輸送、加工等の後工程
における高温−応力の繰返しに耐えられず、前述したよ
うに、複合パネルの接着端部等に浮きや剥離が発生す
る。従つて、従来の溶剤型クロロプレン系接着剤を用い
る複合パネルの製造ラインにおいては、接着工程の後、
特に、次工程が大きい応力の加わる工程や加熱工程であ
る場合には、その前に冷却や養生を行なつて、接着剤層
の凝集力の向上を促すことが必要とされている。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、従来の溶剤型クロロプレン系接着剤を用い
る複合パネルの製造における上記した問題を解決するた
めになされたものであつて、一液型自己架橋性カルボキ
シル化ポリクロロプレン接着剤を用いることによつて、
耐熱クリープ性及び初期接着力にすぐれる接着を達成
し、もつて、連続製造ラインにおいて生産性高く複合パ
ネルを製造することができる複合パネルの製造方法を提
供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明による複合パネルの製造方法は、カルボキシル
化ポリクロロプレン100重量部、マグネシアキレート化
フェノール60〜200重量部、マグネシア及び亜鉛華から
なる金属酸化物2〜20重量部、並びに、溶剤からなる接
着剤を、亜鉛鋼板及び石綿スレート板からなる少なくと
も二枚のパネル材のそれぞれ貼り合わせ面に塗布し、溶
剤を揮散させた後、上記接着剤の塗布面を相互に接触さ
せ、圧着することを特徴とする。
先ず、本発明の方法において用いる一液型自己架橋性
カルボキシル化ポリクロロプレン接着剤は、カルボキシ
ル化ポリクロロプレン、マグネシアキレート化フェノー
ル、マグネシア及び亜鉛華からなる金属酸化物及び溶剤
からなる。
上記カルボキシル化ポリクロロプレンは、クロロプレ
ンとカルボキシル基含有重合性単量体、例えば、メタク
リル酸等とを乳化重合法等、従来、知られている方法に
よつて重合することによつて得られる共重合体であつ
て、分子末端に活性なカルボキシル基を有し、金属酸化
物とのキレート形成能を有する。本発明においては、か
かるカルボキシル化ポリクロロプレンとしては、昭和電
工−デユポン(株)製のネオプレンAF、電気化学工業
(株)製のデンカクロロプレンDCR−12Lや12H、東ソー
(株)製のスカイプレン510等の市販品を好適に用いる
ことができる。
マグネシアキレート化フェノールとしては、従来から
知られているものが適宜用いられる。具体例としては、
大日本インキ化学工業(株)製TD−773のマグネシアキ
レート化物、昭和高分子(株)製ショーノールCKM−163
4のマグネシアキレート化物、等を挙げることができ
る。このマグネシアキレート化フェノールは、前記カル
ボキシル化ポリクロロプレン100重量部に対して、60〜2
00重量部の範囲で用いられる。
マグネシア及び亜鉛華からなる金属酸化物は、本発明
で用いる接着剤において、カルボキシル化ポリクロロプ
レンとのキレート形成のためと加硫促進剤としてのため
に必須の成分であつて、カルボキシル化ポリクロロプレ
ン100重量部に対して2〜20重量部の範囲で用いられ
る。金属酸化物の配合量が上記範囲をはずれるときは、
キレート形成が不十分となるか、又は接着剤が増粘し、
或いは金属酸化物の分散が悪くなる傾向にある。
接着剤における溶剤成分としては、上記したような配
合成分を溶解させる限りは特に限定されるものではない
が、通常、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキ
サン等の芳香族、脂肪族、脂環族炭化水素、アセトン、
メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル等の酢酸
エステル、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン等
のハロゲン炭化水素等が好ましく用いられる。これら溶
剤は、単独にて又は2種以上の混合物として用いられ
る。かかる溶剤は、通常、全固形分100重量部に対し
て、100重量部以上用いられる。
本発明の方法によれば、上述したような接着剤を、例
えば、表面材、枠材及び裏面材のそれぞれ貼り合わせ面
に塗布し、溶剤を揮散させた後、上記接着剤の塗布面を
相互に接触させ、圧着することによつて、高生産性にて
複合パネルを製造することができる。
本発明の方法において用いる複合パネルを構成するパ
ネル材としての表面材及び裏面材は、亜鉛鋼板、石綿ス
レート板及びこれらの複合積層物からなる。また、枠材
としては、例えば、塗装されていてもよい金属枠や木製
枠、合成樹脂枠等を用いることができる。
このような表面材、裏面材及び枠材に前記接着剤を塗
布するには、エアースプレー法、エアーレススプレー法
等の吹き付け法、カーテンフローコーター法、ロールコ
ーター法、ナイフコーター法等、従来より知られている
任意の方法によることができる。本発明に用いる接着剤
は、比較的高粘度であるので、作業性及び塗布後のメイ
ンテナンスの容易性から、ロールコーター法が好ましく
採用される。
このようにして、表面材、裏面材及び枠材のそれぞれ
貼り合わせ面に接着剤を塗布し、必要に応じて加熱し
て、溶剤を揮散させた後、上記接着剤の塗布面を相互に
接触させて、ロールプレス法や平面プレス法等によつて
圧着し、相互に接着させることによつて、複合パネルを
得る。
前記接着剤の塗布量は、通常、100〜200g/m2であり、
通常、60〜80℃で溶剤を乾燥揮散させる。圧着の圧力
は、通常、0.5〜3kg/cm2である。
(発明の効果) 本発明の方法によれば、一液型自己架橋性カルボキシ
ル化ポリクロロプレン、マグネシアキレート化フェノー
ル、マグネシア及び亜鉛華からなる金属酸化物、並び
に、溶剤からなる接着剤を、亜鉛鋼板及び石綿スレート
板からなるパネル材に用いることによつて、耐熱クリー
プ性及び初期接着力にすぐれる接着を達成するので、従
来の溶剤型クロロプレン系接着剤を用いる場合と異な
り、接着工程の後の冷却や養生を必要とせず、かかる接
着工程の後、直ちに、次工程のための輸送、端部の折り
曲げ、ビス打ち、穴あけ、切断等の加工や、塗装、乾
燥、包装等を行なうことができ、従つて、高速連続製造
ラインによつて、高生産性にて複合パネルを製造するこ
とができる。
(実施例) 以下に実施例を挙げて、本発明を説明する。
実施例1 デンカクロロプレンDCR−12H(電気化学工業(株)製
カルボキシル化ポリクロロプレン)100重量部、マグネ
シア4重量部、亜鉛華5重量部、マグネシアキレート化
フエノール(大日本インキ化学工業(株)製TD−773の
マグネシアキレート化物)60重量部をトルエン450重量
部に溶解させて、固形分27.3重量%、粘度3500cpsの接
着剤を調製した。
この接着剤を亜鉛鋼板(厚さ0.3mm)と石綿スレート
板(厚さ6mm)にそれぞれ刷毛を用いて塗布量が約120g/
m2になるように塗布し、60℃で10分乾燥させた後、直ち
に上記接着剤の塗布面を相互に線圧10kg/25mmにて常温
でロールプレスを用いて圧着した。このようにして得た
試験片を常温でそれぞれ5分間及び24時間放置した後、
熱クリープ試験を行なつた。
熱クリープ試験は、60℃の雰囲気下に死荷重500gを亜
鉛鋼板の一方の端部に加え、60分経過後の剥離長さを測
定することによつて行なつた。また、JIS K 6833−82に
準拠して、軟化温度を測定した。結果を第1表に示す。
更に、溶液粘度安定性試験として、接着剤をガラス瓶
に入れ、密閉し、40℃の雰囲気下に7日間放置した後、
これを取出して、液温20℃にて粘度を測定したところ、
3560cpsであつて、粘度の変化は殆ど認められなかつ
た。
実施例2 スカイプレン510(東ソー(株)製カルボキシル化ポ
リクロロプレン)100重量部、マグネシア4重量部、亜
鉛華5重量部、マグネシアキレート化フエノール(大日
本インキ化学工業(株)製TD−773のマグネシアキレー
ト化物)60重量部をトルエン450重量部に溶解させて、
固形分27.3重量%、粘度4200cpsの接着剤を調製した。
この接着剤を用いて、実施例1と同様にして、熱クリ
ープ試験を行ない、また、軟化温度を測定した。結果を
第1表に示す。
また、溶剤粘度安定性試験も同様に行なつたところ、
粘度は、4300cpsであつた。
実施例3 スカイプレン510(東ソー(株)製カルボキシル化ポ
リクロロプレン)100重量部、マグネシア1重量部、亜
鉛華5重量部、マグネシアキレート化フエノール(大日
本インキ化学工業(株)製TD−773のマグネシアキレー
ト化物)60重量部をトルエン450重量部に溶解させて、
固形分26.9重量%、粘度3800cpsの接着剤を調製した。
この接着剤を用いて、実施例1と同様にして、熱クリ
ープ試験を行ない、また、軟化温度を測定した。結果を
第1表に示す。
また、溶液粘度安定性試験も同様に行なつたところ、
粘度は、3800cpsであつた。
実施例4 スカイプレン510(東ソー(株)製カルボキシル化ポ
リクロロプレン)100重量部、マグネシア2.5重量部、亜
鉛華5重量部、マグネシアキレート化フエノール(大日
本インキ化学工業(株)製TD−773のマグネシアキレー
ト化物)60重量部をトルエン450重量部に溶解させて、
固形分29.7重量%、粘度6240cpsの接着剤を調製した。
この接着剤を用いて、実施例1と同様にして、熱クリ
ープ試験を行ない、また、軟化温度を測定したところ、
第1表に示す如く、これらの結果は良好であつた。
但し、溶液粘度安定性試験も同様に行なつたところ、
若干の難があつた。
比較例1 汎用のポリクロロプレンを含む接着剤(エスダイン#
276M、積水化学工業(株)製)を用いた以外は、実施例
1と同様にして、接着剤を調製した。
この接着剤を用いて、実施例1と同様にして、熱クリ
ープ試験を行ない、また、軟化温度を測定した。結果を
第1表に示す。
比較例2 ネオプレンAD(昭和電工−デユポン(株)製ポリクロ
ロプレン)100重量部、マグネシア4重量部、亜鉛華5
重量部、マグネシアキレート化フエノール(昭和高分子
(株)製シヨーノールCKM−1634のマグネシアキレート
化物)60重量部をトルエン450重量部に溶解させて、固
形分27.3重量%、粘度5500cpsの接着剤を調製した。
この接着剤を用いて、実施例1と同様にして、熱クリ
ープ試験を行ない、また、軟化温度を測定した。結果を
第1表に示す。
また、溶液粘度安定性試験も同様に行なつたところ、
粘度は、5700cpsであつた。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボキシル化ポリクロロプレン100重量
    部、マグネシアキレート化フェノール60〜200重量部、
    マグネシア及び亜鉛華からなる金属酸化物2〜20重量
    部、並びに、溶剤からなる接着剤を、亜鉛鋼板及び石綿
    スレート板からなる少なくとも二枚のパネル材のそれぞ
    れ貼り合わせ面に塗布し、溶剤を揮散させた後、上記接
    着剤の塗布面を相互に接触させ、圧着することを特徴と
    する複合パネルの製造方法。
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