JP2735229B2 - 半導体装置の製法 - Google Patents

半導体装置の製法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は半導体装置の製法に関する。さらに詳しく
は、簡易な方法によりパターニングがなされる半導体装
置の製法に関する。
[従来の技術および発明が解決しようとする課題] 従来より、集積化のためにレーザ光などのエネルギー
ビームを利用してアモルファスシリコン系半導体層や裏
面電極のパターニングが実施されている。
しかしながら、アモルファスシリコン系半導体層にレ
ーザパターニングを行なうばあい、透明電極へのダメー
ジにより太陽電池の性能が低下したり、レーザスクライ
ブ部分での透明電極と裏面電極との接触抵抗が経時的に
変化(抵抗の増加)したりするなどの問題があった。ま
た、裏面電極のレーザパターニングは作業難度が高く、
安定生産ができないという欠点がある。したがって、エ
ッチング法やリフトオフ法といった他の方法を採用せざ
るをえず、このばあいには処理工程の増大、生産性の低
下による製造コストの上昇および歩留りの低下という別
の問題を発生していた。さらに、前記いずれのばあいに
おいても、アモルファスシリコン系半導体層または裏面
電極を形成したのちにパターニングが行なわれるため、
工程が多くなるとともにそれに起因して製造コストが増
大していた。
本発明は前記の点に鑑み、エッチング法における処理
工程の低減、生産性の増大を計ることのできる半導体装
置の製法を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明の半導体装置の製法は、基板上にパターン状に
透明電極、アモルファスシリコン系半導体層および裏面
電極をこの順序で形成する半導体装置の製法であって、
予めエッチング液に浸漬したエッチング塗布用部材によ
って、アモルファスシリコン系半導体層および(また
は)裏面電極層の所定位置に幅1mm以下の細い直線状に
エッチング液を塗布してパターニングしたのちエッチン
グし、エッチング終了後、該エッチング液を洗い流すこ
とを特徴としている。また、本発明の他の半導体装置の
製法は、基板上にパターン状に透明電極、アモルファス
シリコン系半導体層および裏面電極をこの順序で形成す
る半導体装置の製法であって、エッチングペンによっ
て、アモルファスシリコン系半導体層および(または)
裏面電極層の所定位置に幅1mm以下の細い直線状にエッ
チング液を塗布してパターニングしたのちエッチング
し、エッチング終了後、該エッチング液を洗い流すこと
を特徴としている。
[実施例] つぎに本発明の半導体装置の製法を説明する。板ガラ
スなどの基板上にプラズマCVD法、スパッタリング法、
蒸着法などにより酸化スズなどからなる透明電極を形成
し、前記透明電極をレーザスクライブ法などによりパタ
ーニングしたのち、前記基板をCVDトレーに固定し、ア
モルファスシリコン系半導体層を形成する。前記アモル
ファスシリコン系半導体層はプラズマCVD法などにより
たとえばp層、i層、n層の順に通常の条件で製膜され
る。
このようにしてえられたアモルファスシリコン系半導
体層の所定位置にエッチング液を塗布する。
エッチング液の塗布は、エッチング液を噴出させるノ
ズル、エッチング液に浸漬されたワイヤなどの線状体も
しくは金属片などの板状体(以下、「エッチング液塗布
部材」という。)またはエッチングペンによってなされ
る。
ノズルによりエッチング液を塗布するばあいは、アモ
ルファスシリコン系半導体層の所定位置にノズルを設定
し、該ノズルを移動させながらエッチング液を噴出させ
ることにより行なう。ノズルを移動させる代りに基板を
移動させることによっても同様にエッチング液を塗布す
ることができる。
ノズルの径は形成するパターン線の幅に応じて適宜選
定されるが有効面積の増加の点から、0.01〜1.0mmであ
るのが好ましく、0.02〜0.3mmであるのがとくに好まし
い。また、基板とノズルとの間隔は、エッチング液を均
一に塗布するために0.5〜10mmであるのが好ましく、1
〜2mmであるのがとくに好ましい。
エッチング液を噴出させる装置はノズルよりエッチン
グ液を噴出させることができるものであればいかなるも
のをも用いることができ、たとえば、エッチングジェッ
トを用いることができる。このエッチングジェットはイ
ンクジェットにおいてインクの代りにエッチング液を使
用するものである。
エッチング液に浸漬したエッチング液塗布部材により
エッチング液を塗布するばあいは、アモルファスシリコ
ン系半導体層の所定位置にエッチング液塗布部材を押圧
することにより行なう。エッチング液塗布部材を押圧す
る手段としてはたとえば、ワイヤー細線または金属製薄
板を基板に密着する様に押しつける方法などを用いるこ
とができる。
エッチングペン(万年筆やフェルトペンなどのペンに
おいてインクの代りにエッチング液を使用するものであ
る)によりエッチング液を塗布するばあいは、エッチン
グペンをペン先がアモルファスシリコン系半導体層に接
触する程度の高さで所定位置に設定したのち、該ペンを
移動させながらエッチング液を湧出させることにより行
なう。エッチングペンを移動させる代りに基板を移動さ
せることによっても同様にエッチング液を塗布すること
ができる。
エッチングペンのペン先径は、形成するパターン線の
幅に応じて適宜選定されるが、有効面積の増加(不活性
領域の減少)の点から、0.05〜1.0mmであるのが好まし
く、0.1〜0.5mmであるのがとくに好ましい。
アモルファスシリコン系半導体層のエッチング液とし
ては、KOHまたはNaOH水溶液を用いることができる。KOH
およびNaOH水溶液の濃度はアモルファスシリコン膜を過
剰に除去するのを防ぐ点およびエッチング時間の制御の
しやすさの点より1〜50wt.%であるのが好ましく、10
〜30wt.%であるのがとくに好ましい。またKOHおよびNa
OHの水溶液の液温は、アモルファスシリコン系半導体膜
を過剰に除去するのを防ぐ点およびエッチング液の粘度
を所定の範囲内に保つ点より10〜40℃であるのが好まし
く、20〜30℃であるのがとくに好ましい。
基板をホットプレート上に設置しエッチングを行なえ
ば、基板を均一に加熱することおよびエッチングの活性
化のためにエッチングが均一になされかつエッチング速
度が向上する。基板温度はアモルファスシリコン膜を過
剰に除去するのを防ぐ点およびエッチング保持時間の制
御のしやすさの点より10〜100℃であるのが好ましく、2
0〜50℃であるのがとくに好ましい。
アモルファスシリコン系半導体層にエッチング液を塗
布したのち、エッチングを進行させるため所定時間保持
する。保持する時間は、エッチング速度を考慮し温室で
5〜15分でありまた40℃の雰囲温度で30秒〜5分であ
る。
エッチング完了後、基板全体を純水で洗浄し乾燥す
る。
このようにしてアモルファスシリコン系半導体層をパ
ターニングしたのち、前記基板をたとえばスパッタトレ
ーに固定し、Al、Cr、Agなどの金属をたとえばスパッタ
リングすることにより裏面電極が形成される。しかるの
ち、裏面電極のパターニングを行なう。
裏面電極のパターニングは、エッチング液の組成がア
モルファスシリコン系半導体層のそれと異なる点を除い
ては、アモルファスシリコン系半導体層と同様に行なう
ことができる。
エッチング液は、たとえば裏面電極としてAl用いると
きはリン酸、酢酸、硝酸および純水の混合液を用いるこ
とができる。前記混合液の容積比は一例を示すならばリ
ン酸、酢酸、硝酸、純水の順に16:2:1:1である。この容
積比は、Al全体の膜厚、所望のパターン線巾に応じて適
宜選定すればよく、たとえばAl膜厚5000Å、パターン線
巾0.25mmばあいは容積比がリン酸、酢酸、硝酸、純水の
順に16:2:1:5の混合液を用いるのが好ましい。混合液の
液温の選定は前述のアモルファスシリコン系半導体層の
パターニングのばあいと同様に行なえばよい。エッチン
グ液塗布後の保持時間は、Al膜を過剰に除去するのを防
ぐ点より0.5〜15分のあいだであるのが好ましく、とく
に0.5〜3分のあいだであるのが好ましい。なお、エッ
チング液としては前記混合液以外に希塩酸、KOH水溶液
または塩化第2鉄、濃塩酸および純水との混合液なども
好適に用いることができる。
エッチングの均一化およびエッチング速度の向上のた
めに基板全体をホットプレート上において加熱するばあ
いは、Al膜を過剰に除去するのを防ぐ点およびエッチン
グ保持時間の制御のしやすさの点から、基板全体の温度
を室温では10〜100℃のあいだに保つのが好ましく、雰
囲気温度40℃では20〜50℃のあいだに保つのがとくに好
ましい。
裏面電極がCrまたはAgであるばあい、パターニングは
使用するエッチング液がAl電極のそれと異なる点を除い
てAl電極のエッチングと同様に行なうことができる。
すなわち、Cr電極のエッチング液の組成は、硝酸第2
セリウムアンモニウム100gに対し、過塩素酸20〜30ml、
純水300〜1000mlの範囲のものを用いることができ、好
ましい組成の一例として過塩素酸26ml、純水400mlをあ
げることができる。
また、Ag電極のエッチング液の組成は、無水クロム酸
30〜50g、濃硫酸10〜30mlおよび純水1000〜5000mlの混
合液または30〜60wt.%硝酸第2鉄水溶液の範囲のもの
を用いることができ、好ましい組成の一例として無水ク
ロム酸40g、濃硫酸20mlおよび純水2000mlの混合液また
は55wt.%硝酸第2鉄水溶液をあげることができる。
なお、裏面電極を構成する金属のアモルファスシリコ
ン系半導体層中への拡散を防止するために二層構造の裏
面電極を形成するばあい、たとえばCr(20〜100Å)/Al
(1000〜10000Å)では、共通のエッチング液たとえば
希塩酸または希硫酸により一度にエッチングを行なうこ
とができる。
その他の金属電極すべてについてもこの方法と同様の
方法でパターニングを行なうことが可能である。
以上の説明においては、アモルファスシリコン系半導
体層および裏面電極を形成する際に、本発明の製法が施
されているが、本発明の製法は、少なくとも一方のパタ
ーニングに採用することを特徴とするものである。した
がって、一方は本発明の方法に従って、他方は他の方法
に従ってパターニングすることも可能である。
つぎに本発明の半導体装置の製法を実施例に基づいて
説明するが、本発明はもとよりかかる実施例にのみ限定
されるものではない。
実施例 厚さ2.0mmで大きさが150×440mmの青板ガラス上に600
0Åの酸化スズの透明電極をプラズマCVD法により形成
し、えられた透明電極をレーザビームを用いて所定のパ
ターンに分離した。そののちグロー放電分解法によって
透明電極側から基板温度130℃、圧力1.0Torrにてp型ア
モルファスシリコン層を150Å、基板温度180℃、圧力0.
5Torrにてi型アモルファスシリコン層を6000Å、基板
温度180℃、圧力1.0Torrにてn型微結晶シリコンを300
Å形成した。
つぎに機械的にエッチング液を吹き付ける機構をもつ
直径0.1mmのノズルを基板との間隔が2mmになる様に配置
した。そしてノズルを移動させることにより、アモルフ
ァスシリコン系半導体層の分離したい部分にアモルファ
スシリコン系半導体用のエッチング液であるKOH 10wt.
%水溶液をノズルから吹き付けた。エッチング液の液温
は20℃であった。エッチング液を吹き付けたのち10分間
保持しそののち純水で基板を洗浄し乾燥した。このエッ
チングした部分(パターン線)の観察を行なったところ
アモルファスシリコン系半導体膜の残留は認められず、
透明電極が均一に露出していた。また、精密投影機を用
いて透明電板が露出している部分の最小パターン幅を測
定すると17本平均で0.2mmであった。
つぎに、えられたアモルファスシリコン系半導体分離
基板に、マグネトロンスパッタリング装置を用いて、Ar
圧力1×10-3Torr、基板温度80℃にて、5000Åの厚さの
Al裏面電極を形成した。そののちペン先0.1mmのエッチ
ングペンにAlエッチング液、すなわちリン酸、酢酸、硝
酸、純水の混合液(組成比16:2:1:1)5mlを液温約20℃
で充填した。このエッチングペンをAl裏面電極を形成し
た基板に接触する様に高さを調整し、X−Yプロッター
に固定した。そしてX−Yプロッターを移動させること
により、Al電極の分離したい部分に、エッチング液を塗
布した。エッチング液塗布後10分間保持し、そののち純
水で基板を洗浄し乾燥した。このエッチングした部分
(パターン線)の観察を行なったところ、Alの導通部分
は認められず、また精密投影機を用いてアモルファスシ
リコン系半導体層が露出している部分の最小パターン幅
を測定すると17本平均で0.25mmであった。
以上の様にして1枚の基板に18個の光起電力素子が直
列につながった太陽電池を作製し、AM−1.5近似のパル
スシミュレータにより性能を測定した。結果を第1表に
示す。
比較例 実施例と同様にして透明電極をパターン化し、アモル
ファスシリコン系半導体層を形成した。アモルファスシ
リコン系半導体層の分離は、YAGレーザを用いて行なっ
た。またAl裏面電極についても実施例と同様の条件で形
成し、そののちAl裏面電極の分離を通常の化学エッチン
グで行なった。
えられた太陽電池の性能を実施例と同様の方法で測定
した。測定結果を第1表に示す。
第1表より、本発明によりえられた太陽電池は従来の
技術によりらえられたものと同等またはそれ以上の性能
を有していることがわかる。
[発明の効果] 以上説明したとおり、本発明の半導体装置の製法によ
るときは、簡易な手段により完全なパターニングが行な
えるので製造コストの低減が図れかつ製品の歩留りが向
上する。また通常のエッチング法におけるレジスト塗
布、レジスト除去といった複雑な工程も不要になるとい
う効果がえられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−214584(JP,A) 特開 昭62−165322(JP,A) 米国特許3935052(US,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上にパターン状に透明電極、アモルフ
    ァスシリコン系半導体層および裏面電極をこの順序で形
    成する半導体装置の製法であって、予めエッチング液に
    浸漬したエッチング液塗布部材によって、アモルファス
    シリコン系半導体層および(または)裏面電極層の所定
    位置に幅1mm以下の細い直線状にエッチング液を塗布し
    てパターニングしたのちエッチングし、エッチング終了
    後、該エッチング液を洗い流すことを特徴とする半導体
    装置の製法。
  2. 【請求項2】前記エッチング液塗布部材が線状体である
    請求項1記載の製法。
  3. 【請求項3】前記エッチング液塗布部材が板状体である
    請求項1記載の製法。
  4. 【請求項4】基板上にパターン状に透明電極、アモルフ
    ァスシリコン系半導体層および裏面電極をこの順序で形
    成する半導体装置の製法であって、エッチングペンによ
    って、アモルファスシリコン系半導体層および(また
    は)裏面電極層の所定位置に幅1mm以下の細い直線状に
    エッチング液を塗布してパターニングしたのちエッチン
    グし、エッチング終了後、該エッチング液を洗い流すこ
    とを特徴とする半導体装置の製法。
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