JP2735141B2

JP2735141B2 - 流動床燃焼装置

Info

Publication number: JP2735141B2
Application number: JP4062752A
Authority: JP
Inventors: 安正出井; 誠殿河内; 信博森尾
Original assignee: Ube Industries Ltd
Current assignee: Ube Corp
Priority date: 1992-02-04
Filing date: 1992-02-04
Publication date: 1998-04-02
Anticipated expiration: 2013-04-02
Also published as: JPH05215310A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は石炭やプラスチック等の
廃棄物を燃焼する流動床ボイラ等の流動床燃焼装置に係
り、詳しくは燃焼流動床の上方にガス分散板を介して形
成される上段流動床で燃焼排ガスの脱硫及び又は脱塩素
を行う流動床燃焼装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】流動床燃焼装置として例えば流動床ボイ
ラでは下段の燃焼流動室で砂等の流動媒体を空気で流動
化させて燃焼流動床を形成しこの中に石炭等の固体燃料
を供給して燃焼させ流動媒体を加熱し、加熱された流動
媒体をボイラチューブ等の伝熱管と接触させて伝熱管に
熱を与えることにより蒸気を得る。そして、燃焼流動床
から排出された燃焼排ガスは、燃焼流動室のフリーボー
ドを上昇して燃焼流動室の上部にガス分散板で画成され
て形成された上段流動室に導入される。ここでは例えば
石灰石等の脱硫剤粒子が流動化されて上段流動床として
の脱硫床が形成され、燃焼排ガスはここで脱硫される。

【０００３】なお、燃焼流動室でプラスチック等の廃棄
物が燃料として使用されるときには、塩化水素ガスが発
生されるため上段流動床は石灰石等の脱硫剤粒子が流動
化される脱塩素床とされ、燃焼排ガスはここで脱塩素さ
れる。燃焼流動床から排出される燃焼排ガスは上記ガス
分散板に多数取付けられたガス分散管内に流入して上方
の上段流動室内に排出されるが燃焼排ガスには灰（アッ
シュ）が含まれている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】灰を含んだ燃焼排ガス
がガス分散管の内部を通過すると、運転の経過とともに
ガス分散管の内部に灰が付着し閉塞してガスが通らなく
なり、上段流動床が流動化しなくなり運転できなくなる
ことがあった。この付着は特に、低融点の灰を生成する
石炭や廃棄物燃焼の場合には著しい。また、起動時等で
は燃焼排ガスの温度が低いため上段流動床が全体流動化
状態に達せず部分的に流動化しない部分が生じ、その部
分のガス分散管内に灰が充満し、定常状態の全体流動化
速度に達しても、灰の充満による抵抗により、ガスが流
れず流動化しないままとなることがあった。

【０００５】本発明はこのような問題に鑑みてなしたも
のであり、下段の燃焼流動床と上段の脱硫用などの流動
床との間のガス分散板のガス分散管内への灰の付着や充
満を解消又は防止し得、同時に燃焼用二次空気等の空気
をも供給し得る流動床燃焼装置を提供することを目的と
している。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、下方に燃焼流動床が形成される燃焼流
動室を有し、その上方に多数のガス分散管を取付けたガ
ス分散板で画成されて上段流動床が形成される上段流動
室を有し、燃焼流動床から排出される排ガスを上記ガス
分散板の多数のガス分散管を通して上段流動床に導きこ
こで脱硫及び又は脱塩素を行う流動床燃焼装置におい
て、上記ガス分散板の下方であり燃焼流動室のフリーボ
ードにフリーボードを横断して流体供給管を固定して取
付け、この流体供給管に、流体噴出口を、流体供給管の
軸線方向に沿ってガス分散板の多数のガス分散管の排ガ
ス流入口に面した位置に多数設け、上記ガス分散管の排
ガス流入口と上記流体供給管に設けた流体噴出口とが面
した状態で上記流体供給管には流体としてガス分散管の
洗浄用流体と燃焼用及び又は冷却用の空気とが切り換え
られて供給される構成とした。

【０００７】

【作用】通常運転時は、流体供給管には二次空気等の空
気が流されてその流体噴出口からフリーボードに噴出さ
れて供給される。この空気の供給はフリーボードを横断
して取付けた流体供給管に多数設けた流体噴出口から行
われることによりフリーボードに満遍なく供給され下か
ら上昇して来る燃焼排ガスと良好に混合される。このた
め、フリーボードでの未燃カーボン等の燃焼が均一に行
われて燃焼効率が向上し窒素酸化物（ＮＯ_Ｘ）低減のた
めの二段燃焼（フリーボードで燃焼流動床から排出され
た未燃カーボン等を燃焼させること）が有効に行われる
と共に、燃焼排ガスも均等に冷却されることになり上段
流動床の温度制御が均等に行われ上段流動床の脱硫又は
脱塩素に適した温度に調整される。

【０００８】さらに、例えば８００〜９００℃の高温雰
囲気に晒される流体供給管は該空気を流されることで管
壁温度も低く保たれ、管の寿命を長く保たれる。そし
て、運転中等にガス分散管に灰の付着又は充満が生じた
ときには、流体供給管に供給される流体が切り換えられ
てスチーム等のガス分散管洗浄用流体が供給され、流体
供給管の流体噴出口から該洗浄用流体が噴出されてガス
分散管内に供給され、その内壁面等に付着又は充満した
灰が除去されて洗浄される。

【０００９】なお、従来、上記ＮＯ_Ｘ低減のための２段
燃焼と上段流動床の温度制御のために供給する二次空気
等の空気は、流動燃焼室のフリーボードの炉壁面に沿っ
て設けた多数のノズルから吹き出して供給していたが、
大型の炉では中心まで均等に供給されないため、フリー
ボードでの二段燃焼の燃焼状況やフリーボードや上段流
動床の温度分布の不均一が生じていた。しかし、本発明
ではフリーボードを横断した流体供給管に多数取付けら
れた流体供給ノズルから二次空気等の空気がフリーボー
ドに満遍なく供給され、燃焼排ガスとの混合が良好に行
われるため前記燃焼状況や温度分布が均等化される。

【００１０】

【実施例】次に、図面に基づいて本発明の実施例を詳細
に説明する。図面は何れも本発明の実施例を示すもので
あり、図１は流動床燃焼装置としての流動床ボイラの要
部構成を示す縦断面図、図２は図１のＩＩ部拡大図、図
３は図２のＩＩＩ〜ＩＩＩ線矢視断側面図である。図１
において、１は流動床ボイラ、１ａは炉壁、１０は四方
を炉壁１ａに囲まれ上方をガス分散板３０で下方を図示
しない空気分散板で画成された燃焼流動室、１１は前記
空気分散板から供給される燃焼用兼流動化用空気で砂な
どからなる流動媒体１１ａが流動化されて形成される燃
焼流動床、１４は上下方向に複数段、千鳥状に配設され
たボイラチューブ、１２は燃焼流動床１１上方の空間部
であるフリーボード、１３はフリーボード１２を横断し
て上下方向に複数段（本実施例では３段）設けられた補
助ボイラチューブである。なお、各段の補助ボイラチュ
ーブ１３は上下間を板体で連結されて水冷パネル構造と
され、後述する流体供給管２０の荷重を支えるのに充分
な強度を有せしめられている。

【００１１】ガス分散板３０には多数のガス分散管３１
が炉を横断して直交する２方向に等間隔で多数、取付け
られている。なお、図２又は図３に示すようにガス分散
管３１は仕切板３５に垂直状に固定され下端開口を排ガ
ス流入口３２ａとした排ガス流入管３２と下端部を排ガ
ス流入管３２に嵌着されて支持され排ガス流入管３２ａ
の上端部分にガス出口３４を有しその上部に拡径したガ
ス反転筒を有する分散管本体３３とで構成されている。
３６は水冷管、３７は耐火物である。ガス分散板３０の
上部には上段流動室としての脱硫室４０が形成され、こ
こでは上記多数のガス分散管３１のガス出口３４から脱
硫室４０内へ供給される燃焼流動室からの燃焼排ガスに
よって脱硫剤４１ａが流動化されて上段流動床としての
脱硫床４１が形成される。脱硫剤４１ａとしては石灰石
やドロマイトなどが用いられる。

【００１２】しかして、ガス分散板３０の下方の燃焼流
動室１０のフリーボード１２には流体供給管２０がフリ
ーボード１２を横断して配置されて取付けられており、
本実施例の場合、流体供給管２０は図３に示すように隣
合うガス分散管３１の取付列の中央部に位置されてい
る。なお、図示していないが、この流体供給管２０はこ
れと同じ配置要領で複数本、平行に取付けられている。
また、図１に示す方向では炉の中心を境として両側に対
称的に配置されている。流体供給管２０はその長手方向
の適宜箇所（本実施例では３箇所）で支持部材２２を介
して最上段の補助ボイラチューブ１３に支持されてい
る。

【００１３】支持部材２２は補肋ボイラチューブ１３の
上端にその軸線方向に延びて固着された平板状の支持板
２３と、下端のスリット部に前記支持板２３の上端部を
挿入されて固着されて取付けられた支持管２４、及び、
流体供給管２０が該支持管２４に載置された状態で下端
の両鉤部２５ｂを支持管２４の両端部に係入されて、内
部の切欠部２５ａで流体供給管２０をそのやや上半分を
周囲から抱くようにして固定支持する振れ止め２５から
なっている。

【００１４】しかして、各流体供給管２０には図１及び
図２に示すように炉の一方向では管２０の軸線方向に沿
ってガス分散板３０に多数取付けられたそれぞれのガス
分散管３１の排ガス流入口３２ａに対応した位置にそれ
ぞれ配置され、そのそれぞれの配置位置において、図３
に示すように図１、図２に示す方向と直交する方向にお
いて流体供給管２０には垂直中心線に対して対称に配置
され上端に開口としての流体噴出口２１ａを位置された
２本の流体供給ノズル２１が取付けられている。そし
て、それらの上端開口である流体噴出口２１ａはそれぞ
れ上方に位置するガス分散管３１のそれぞれの下端開口
である排ガス流入口３２ａに体面した位置に設定されて
いる。

【００１５】流体供給管２０の一端側は図１に示すよう
に炉壁１ａを貫通して炉壁１ａの側部にまで延びており
管端には流体供給管２０に連通した流体供給ホース２８
が取付けられている。そして、炉壁１ａにおいては流体
供給管２０が挿通される短管ノズル２６が取付けられて
おり、これには貫通部のガスシールを行うシールボック
ス２７が取付けられている。流体供給ホース２８の上流
側には二次空気とガス分散管洗浄用の流体としてのスチ
ームの供給を交互に切り換えるための図示しない切換弁
が取付けられている。

【００１６】このように構成された流動床ボイラ１にお
いて、燃焼流動床１１では石炭が燃焼されて流動媒体１
１ａが加熱される。そして、燃焼流動床１１又は燃焼流
動床１１から飛び出る流動媒体粒子が上方のボイラチュ
ーブ１４と接触することによりボイラチューブ１４に流
通される水が加熱されて蒸気が発生される。そして、燃
焼流動床１１から排出される石炭の燃焼排ガスはアッシ
ュ（灰）未燃カーボン等を伴ってフリーボード１２を上
昇する。そして燃焼排ガスは灰とともに上部に位置する
ガス分散板３０の各々のガス分散管３１の排ガス流入管
３２内へ排ガス流入口３２ａから流入して上昇し上部の
分散管本体３３のガス反転筒内に流入して反転しガス出
口３４から脱硫室４０内へ排出される。

【００１７】脱硫室４０では脱硫剤４１ａが燃焼排ガス
によって流動化されて脱硫床４１が形成され、排ガス中
に含まれる硫黄分が吸着されることにより脱硫される。
脱硫された排ガスは図示しない脱硫室４０上方の排ガス
排出口から排出される。このように流動床ボイラ１の正
常な作動中においては、流体供給ホース２８から燃焼用
並びに冷却用としての二次空気が流体供給管２０に供給
され、該二次空気ＳＡが流体供給ノズル２１の流体噴出
口２１ａから上方に向けてフリーボード１２へ噴出供給
される。

【００１８】そして、この二次空気ＳＡのフリーボード
１２への供給は、フリーボード１２を横断した流体供給
管２０に多数取付けた流体供給ノズル２１から行われる
ので、二次空気ＳＡはフリーボード１２全体に満遍なく
流される。これらにより、二次空気ＳＡは、下方から上
方へ向けて上昇して来る燃焼排ガス中に均等に供給され
て混合が良好に行われ、フリーボードで未燃カーボンや
一酸化炭素の燃焼（いわゆる２段燃焼）が良好に行われ
て燃焼効率が良くされる。このため燃焼排ガスの窒素酸
化物の除去が良好な燃焼効率を保って行われる。そし
て、燃焼排ガスが良好に冷却されて燃焼排ガスの温度分
布も均一化されると共に、上段の脱硫床４１の温度を脱
硫に最適な温度に調整されるため、脱硫床４１では脱硫
作用が効率良く行われる。なお、このような２段燃焼は
燃焼流動床１１での燃焼用空気を減らして酸素濃度を低
く保って前記未燃カーボンや一酸化炭素を一部発生させ
これを窒素酸化物の還元分解に用いるものである。

【００１９】流動床ボイラ１が運転中のとき、流体供給
管２０や流体供給ノズル２１は高温度雰囲気に晒される
が、二次空気が流されていることにより冷却され管壁温
度が低く保たれ、寿命は長く保たれる。なお、流体供給
管２０を支持する補助ボイラチューブ１３は通水されて
冷却され、その通水保有熱も回収される。そして、流動
床ボイラ１の運転中には、燃焼流動床１１から発生され
る灰が燃焼排ガスと共にガス分散管３１内通過するが、
この灰がそのガス流入管３２ａの内壁や分散管本体３３
のガス反転筒の内壁に付着した場合、又は充満した場合
には、図示しない流体切換弁が作動されて流体供給ホー
ス２８通して流体供給管２０にガス分散管３１の洗浄用
流体として所定圧力のスチームが供給される。

【００２０】そして、それぞれの流体供給ノズル２１に
スチームが流入しその流体噴出口２１ａからスチームＳ
Ｔが高流速で上方へ向けて噴出されガス分散管３１の排
ガス流入口３２ａ内に流入してガス分散管３１内部のガ
ス反転筒内を反転してガス出口３４から脱硫室４０内へ
排出される。これにより、排ガス流入口３２ａやガス反
転筒の内壁面に付着または充満している灰がスチームＳ
Ｔによって洗い流されて洗浄される。なお、流体供給管
２０は運転中でも振れ止め２５と支持管２４の作用でフ
リーボード１２中でしっかりと固定支持される。この洗
浄作業が終了すると、流体切換弁を作動させて前記のよ
うに流体供給管２０に二次空気を供給する。

【００２１】このようなガス分散管３１の洗浄は流体供
給管２０を炉に併置して複数本取付けることにより、ガ
ス分散管３１内に灰の付着又は充満が生じ掃除を必要と
する部位のガス分散管の列について行うことができ、運
転中でも支障なく行うことができる。本実施例では図３
に示すように１本の流体供給管２０のそれぞれの箇所か
ら流体供給ノズル２１を２本取付けることにより２列に
あるガス分散管３１の洗浄を同時に行うことができる。
勿論、流体供給ノズル２１を３本又はそれ以外取付けて
３列又はそれ以上の列にあるガス分散管３１の洗浄を同
時に行うようにすることもできる。また、勿論、１列に
あるガス分散管３１に対応して１本の流体供給管２０と
し１個の流体供給ノズル２１とすることもできる。

【００２２】さらに、本実施例では流体供給管２０に流
体供給ノズル２１を設け、その先端開口を流体噴出口２
１ａとしたが、流体噴出口２１ａを流体供給管２０に直
接、穿設して設けることもできる。本発明は流動床燃焼
装置として、石炭燃料を使用する流動床ボイラの他に、
プラスチック等の廃棄物を燃料として使用する流動床ボ
イラや流動床焼却炉等にも好適に用いられる。この場合
は上段流動床は脱塩素床とされる。ガス分散管３１の洗
浄用流体としては、スチームの他に圧縮空気等も使用す
ることができる。

【００２３】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
では、下段の燃焼流動室と上段の流動室との間のガス分
散板のガス分散管内を効果的に洗浄してガス分散管内に
付着又充満した灰を除去することができる。このため、
流動床燃焼装置の運転を連続して円滑に行うことができ
る。また、ガス分散管の洗浄作業をしないときには二次
空気等の空気の供給を多数の流体噴出口から行って、二
次空気等をフリーボードの全面に満遍なく噴出供給して
燃焼排ガスと均一に混合させることができるので、いわ
ゆる２段燃焼で窒素酸化物の低減と燃焼効率の維持を効
率良く行うことができる。また、フリーボードの温度分
布も均等化されるため、上段流動床での脱硫又は脱塩素
作用を効率良く行うことができる。そして、流体供給管
を冷却して高温から保護することができ、寿命を長く保
つことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係る流動床燃焼装置としての
流動床ボイラの要部構成を示す縦断面図である。

【図２】図１のＩＩ部拡大図である。

【図３】図２のＩＩＩ〜ＩＩＩ線矢視断側面図である。

【符号の説明】

１流動床ボイラ１０燃焼流動室１１燃焼流動床１２フリーボード２０流体供給管２１流体供給ノズル２１ａ流体噴出口ＳＴスチームＳＡ二次空気３０ガス分散板３１ガス分散管３２排ガス流入管３２ａ排ガス流入口４０脱硫室（上段流動室）４１脱硫床（上段流動床）

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】下方に燃焼流動床が形成される燃焼流動
室を有し、その上方に多数のガス分散管を取付けたガス
分散板で画成されて上段流動床が形成される上段流動室
を有し、燃焼流動床から排出される排ガスを上記ガス分
散板の多数のガス分散管を通して上段流動床に導きここ
で脱硫及び又は脱塩素を行う流動床燃焼装置において、
上記ガス分散板の下方であり燃焼流動室のフリーボード
にフリーボードを横断して流体供給管を固定して取付
け、この流体供給管に、流体噴出口を、流体供給管の軸
線方向に沿ってガス分散板の多数のガス分散管の排ガス
流入口に面した位置に多数設け、上記ガス分散管の排ガ
ス流入口と上記流体供給管に設けた流体噴出口とが面し
た状態で上記流体供給管には流体としてガス分散管の洗
浄用流体と燃焼用及び又は冷却用の空気とが切り換えら
れて供給される構成としたことを特徴とする流動床燃焼
装置。