JP2734728B2 - 原子間力、摩擦力測定顕微鏡 - Google Patents

原子間力、摩擦力測定顕微鏡

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JP2734728B2 JP5963290A JP5963290A JP2734728B2 JP 2734728 B2 JP2734728 B2 JP 2734728B2 JP 5963290 A JP5963290 A JP 5963290A JP 5963290 A JP5963290 A JP 5963290A JP 2734728 B2 JP2734728 B2 JP 2734728B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、被測定物の表面形状と、測定時の摩擦力を
測定する原子間力、摩擦力測定顕微鏡に関するものであ
る。
[従来の技術] 従来、この種の原子間力測定顕微鏡(AFM:Atomic For
ce Microscope)としては特開昭62-130302号公報等が知
られている。この原子間力測定顕微鏡の基本原理は、被
測定物の表面を尖点、すなわち触針によって走査し、表
面形状を測定するもので、触針を被測定物表面に限りな
く近づけて、被測定物表面の原子の電子雲と、触針の頂
点の原子の電子雲とを接触させると、これら原子間に反
発性の原子間力が生じ、この電子間力によって前記触針
が取り付けられている力検出カンチレバーをたわませ、
その変位量を測定することで、表面の三次元形状、すな
わち凹凸画像を得るものである。原子間力は10-26ニュ
ートン程度で非常に小さいため、力検出カンチレバーと
触針の質量は非常に小さいことが要求される。そのため
触針を含む力検出カンチレバーの質量は10-6Kg程度で、
力検出カンチレバーとしては厚さ25μm、長さ0.8mm程
度の薄い金箔からなる板ばねが使用される。また、力検
出カンチレバーは、大きな撓みを得るためにしなやかで
あるばかりか、外部振動による共振を防ぐため高い固有
振動数f0(例:2KHz)を有することが要求される。触針
としてはダイヤモンド等が使用され、被測定物表面との
接触圧を極めて小さくすることで、該触針の変形が極め
て少なく、したがって被測定物表面との接触面積も小さ
くなる。この結果、被測定面の凹凸画像を100nm以下の
高分解能で形成することができる。
第4図はこのような原子間力測定顕微鏡の従来例を示
すもので、これを概略説明すると、1は被測定物、2は
力検出カンチレバー、3は触針、4は力検出カンチレバ
ー2の変位を検出する光てこ式変位検出器で、この変位
検出器4は、He-Neレーザ等の光源5と、光源5から出
た光ビームを力検出カンチレバー2の先端部上面に導く
光ファイバ6と、方検出カンチレバー2に当たって反射
した光ビームを受光し、電気信号に変換する2分割ディ
テクタ7とで構成されている。被測定物1の表面形状の
変化に伴い力検出カンチレバー2が上下方向に変位する
と、ディテクタ7の各受光素子8A、8Bに入光する光ビー
ムの光量が変わるため、該受光素子8A、8Bの出力I1、I2
も変化し、これら両出力I1、I2を差動増幅器9のプラス
端子とマイナス端子に入力して、その差電圧を取り出
し、撮像管に導くと、被測定物1の表面の凹凸画像が得
られる。
この場合、AFM走査においては力検出カンチレバー2
を被測定物1に対して平行になるように水平配置する必
要があるが、被測定物1に対して直交するよう立てて配
置し、その先端部下端縁に触針3を設けておくと、走査
時に力検出カンチレバー2が左右方向に変位するため、
被測定物1と触針3との間の摩擦力を測定することがで
きる(FFM:Friction Force Microscope、Phys.Rev.Let
t.59.1942,'87)。
[発明が解決しようとする課題] ところで、被測定物1のAFM走査中において、触針3
は被測定物1の表面の凹凸により触針3と表面との間の
摩擦力が変化するため、力検出カンチレバー2が捩じら
れてしまい、この捩じれが横方向の測定誤差になると云
う問題があった。特に、半導体パターンの測定等におい
ては第5図に示すように触針3が溝10に落ち込んで引っ
掛かると、測定誤差が大きくなり、また触針3を破損す
る恐れもあった。
従って、本発明は上記したような従来の問題点に鑑み
なされたもので、その目的とするところは、1つの力検
出カンチレバーで原子間力と、摩擦力を同時に測定で
き、測定精度の向上を図るようにした原子間力、摩擦力
測定顕微鏡を提供することを目的とするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明は上記目的を達成するために、弾性部材からな
り先端部に検査すべき被測定物の表面に近接する触針を
有する力検出カンチレバーと、この力検出カンチレバー
を照射する光源と、前記力検出カンチレバーに当たって
反射した光源からの反射光を検出し電気信号に変換する
二次元ディテクタと、この二次元ディテクタによる出力
信号を前記力検出カンチレバーの縦変位信号と捩じれ変
位信号に変換する変換回路とで構成したものである。
[作用] 本発明において、力検出カンチレバーの触針を被測定
物の表面に限りなく近ずけていくと、これら両者間に原
子間力が生じ、この原子間力により力検出カンチレバー
は上下(縦)方向に変位する。また、力検出カンチレバ
ーには被測定物と触針との間の摩擦力によって捩じれ変
位を生じる。力検出カンチレバーに縦方向の変位と捩じ
れ変位が生じると、該力検出カンチレバーに当たって反
射し二次元ディテクタの各受光素子に入射する光ビーム
の光量が変化する。この各受光素子に入射した光ビーム
を検出して電気信号に変換し、これを変換回路で演算処
理すると、力検出カンチレバーの縦変位信号と捩じれ変
位信号が得られ、原子間力と摩擦力の同時測定を可能に
する。
[実施例] 以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて詳細に説
明する。
第1図は本発明に係る原子間力、摩擦力測定顕微鏡の
一実施例を示す概略構成図である。同図において、11は
基台で、この基台11は徐振装置(図示せず)によって外
部振動を受けない構造とされる。12は基台11上に配設さ
れたステージで、このステージ12は駆動装置13によって
互いに直交する3方向、すなわちX、Y、Z方向にそれ
ぞれ独立に移動制御されるように構成され、上面に被測
定物1が設置されている。2は一端を前記基台11に片持
支持されて配設された力検出カンチレバーで。この方検
出カンチレバー2は、上記した通り厚さ25μm、長さ0.
8mm程度の金箔製板ばねからなり、その先端にダイヤモ
ンド等からなる触針3が設けられ、前記被測定物1の表
面に殆ど接触する程度、すなわち被測定物1の表面の原
子の電子雲と、触針3の頂点の原子の電子雲とが接触す
る程度にまで近接(0.3nm程度)している。そして、触
針3を含む力検出カンチレバー2の質量は10-6Kg程度と
される。
前記基台11の上端部にはHe-Neレーザ等からなる光源
5が設置されており、この光源5から出た光ビーム15は
不図示のコリメータレンズ、光ファイバ等を経て前記力
検出カンチレバー2の先端部上面に導かれ、該力検出カ
ンチレバー2に当たって反射した反射ビームBMがフォト
ダイオード等からなる二次元ディテクタ16に入光し、電
気信号に変換されるように構成されている。二次元ディ
テクタ16は力検出カンチレバー2の縦方向の変位と、横
方向の捩じれ変位を検出するためのもので、4分割光検
出器を構成することにより4つの受光素子8A〜8Dを備え
ている。
17は前記二次元ディテクタ16からの出力信号を演算処
理し力検出カンチレバー2の縦変位信号(Y信号)と、
捩じれ変位信号(X信号)を送出する変換回路で、この
変換回路17は第2図に示すように、前記各受光素子8A〜
8Dの電流(反射ビームBMの光量によって変化する)を電
圧に変換する4つのI〜V変換器18A〜18Dと、I〜V変
換器18A〜18Dに対応して設けられた4つの加算器19A〜1
9Dと、加算器19A〜19Dに対応して設けられた2つの差動
増幅器20A、20Bとで構成されている。I−V変換器18A
の出力は、加算器19A、19Bの一方のプラス端子にそれぞ
れ入力される。I−V変換器18Bの出力は、加算器19Bの
他方のプラス端子と、加算器19Cの一方のプラス端子に
それぞれ入力される。I−V変換器18Cの出力は、加算
器19Cの他方のプラス端子と、加算器19Dの一方のプラス
端子にそれぞれ入力される。I−V変換器18Dの出力
は、加算器19Aと19Dの他方のプラス端子にそれぞれ入力
される。そして、加算器19Bと19Cの出力はそれぞれ差動
増幅器20A、20Bのプラス端子に入力され、加算器19Aと1
9Dの出力はそれぞれ差動増幅器20A、20Bのマイナス端子
に入力される。
次にこのような構成において原子間力と摩擦力の測定
を説明する。
光源5から出た光ビーム15を力出力カンチレバー2の
先端部上面に導き、この状態で駆動装置13によりステー
ジ12を上昇させて被測定物1を触針3に近ずけると共
に、X、Y方向に移動させて被測定物1の表面を触針3
で走査する。力検出カンチレバー2に変位が生じていな
い状態において、光源5から出射して該力検出カンチレ
バー2に当たって反射し、二次元ディテクタ16の各受光
素子8A〜8Dに入光する光源5からの光ビームBMの光量は
全て等しく、したがって各I−V変換器18A〜18Dの出力
電圧も全て等しい。
駆動装置13によりステージ12を上昇させ、被測定物1
の表面を触針3に限りなく近ずけて、被測定物表面の原
子の電子雲と、触針3の頂点の原子の電子雲とを接触さ
せると、これら原子間に反発性の原子間力が生じ、この
原子間力によって前記触針3が取り付けられた力検出カ
ンチレバー2を撓ませる。原子間力は、被測定物表面と
触針3との距離、換言すれば被測定物表面の形状変化に
よって変化する。力検出カンチレバー2が撓むと、該力
検出カンチレバー2に当たって反射し各受光素子8A〜8D
に入る反射ビームBMの光量が変化するため、各I−V変
換器18A〜18Dの出力電圧も変化する。この出力電圧は被
測定物1と触針3との距離に応じて変化するため、この
出力信号を変換回路17で演算処理することで、原子間
力、換言すれば被測定物1の表面の三次元形状が数nm〜
数十nmオーダーの高分解能で測定される。
例えば、力検出カンチレバー2が原子間力の変化(減
少)に伴い上方に変位したとすると、光ビーム15の該レ
バーに対する入、反射角が大きくなるため、第2図に斜
線で示すように反射ビームBMがディテクタ中心か上方に
ずれる。すると、上2つの受光素子8A、8Bに入光する反
射ビームBMの光量は総和は、下2つの受光素子8C、8Dに
入光する反射ビームBMの光量の総和よりも多くなる。そ
して、上2つの受光素子8Aと8Bの出力電圧は加算器19B
によって加算されて差動増幅器20Aのプラス端子に入力
され、下2つの受光素子8Cと8Dの出力電圧は加算器19D
によって加算されて差動増幅器20Aのマイナス端子に入
力される。加算器19Bの出力電圧は加算器19Dの出力電圧
より大であるため、差動増幅器20Aは正の差電圧を縦変
位信号(Y信号)として出力する。反対に、原子間力の
増加に伴い力検出カンチレバー2が下方に変位した場合
は、光ビーム15の力検出カンチレバー2に対する入、反
射角が小さくなるため、加算器19Dの出力電圧が加算器1
9Bの出力電圧より大きくなり、差動増幅器20Aは負の差
電圧をY信号として出力する。従って、このY信号によ
って原子間力を測定することができる。
また、力検出カンチレバー2は被測定物表面と触針3
との間の摩擦力によって捩じれるため、力検出カンチレ
バー2に当たって反射し二次元ディテクタ16に入射する
反射ビームBMの中心がディテクタ中心から左右方向にず
れる。例えば摩擦力の変化に伴い被測定物1の走査方向
に捩じれて左2つの受光素子8A、8Cに入光する反射ビー
ムの光量の総和が、右2つの受光素子8B、8Dに入光する
反射ビームの光量の総和よりも多くなったとする。そし
て、左2つの受光素子8Aと8Cの出力電圧は加算器19Aに
よって加算されて差動増幅器20Bのマイナス端子に入力
され、右2つの受光素子8Bと8Dの出力電圧は加算器19C
によって加算されて差動増幅器20Bのプラス端子に入力
される。加算器19Aの出力電圧は加算器19Cの出力電圧よ
り大であるため、差動増幅器20Bは正の差電圧を捩じれ
変位信号(X信号)として出力する。反対に、力検出カ
ンチレバー2が走査方向と反対方向に捩じれた場合は反
射ビームBMの中心がディテクタ中心より右にずれるた
め、加算器19Cの出力電圧が加算器19Aの出力電圧より大
きくなり、差動増幅器20Bは負の差電圧をX信号として
出力する。従って、このX信号によって摩擦力を測定す
ることができる。
なお、このような測定に際して前記X、Y信号は力検
出カンチレバー2の変形を一定に保つため駆動装置13に
帰還され、これによって測定物1がX、Y、Z方向に移
動制御される。したがって、仮に触針3が被測定物1の
表面に形成された溝に落ち込んで引っ掛かっても破損す
る恐れがなく、半導体のパターンの測定に有利である。
第3図は二次元ディテクタの他の実施例を示す構成図
である。この実施例は、力検出カンチレバー2に当たっ
て反射した反射ビームBMを直角プリズム30等の光学素子
によって2つの光束に分割して、その各々を2つの2分
割ディテクタ31、32にそれぞれ入光させるように構成し
たものである。反射ビームBMは力検出カンチレバー2の
縦方向変位および捩じれ変位に伴い紙面左右方向と、紙
面と直交する方向にずれ、このずれ量に応じて各2分割
ディテクタ31、32の受光素子に入光するビームの光量が
変化する。この場合、一方の2分割ディテクタ31は例え
ば力検出カンチレバー2の縦変位を検出する変位検出器
として用いられ、もう一方の2分割ディテクタ32は力検
出カンチレバー2の捩じれ変位を検出する変位検出器と
して用いられる。そして、これらディテクタ31、32の出
力信号は、上記実施例と同様、変換回路17に入力され演
算処理される。
[発明の効果] 以上説明したように本発明に係る原子間力、摩擦力測
定顕微鏡は、力検出カンチレバーの変位を二次元ディテ
クタによって検出し、この二次元ディテクタの検出信号
をを変換回路によって演算処理し、縦変位信号と、捩じ
れ変位信号を得るようにしたので、通常のAFM動作中に
おいて摩擦力を同時に測定でき、それによる力検出カン
チレバーの捩じれによる横方向誤差を測定でき、測定精
度を向上させることができる。また、被測定物の走査に
際して、捩じれ変位信号を帰還させて摩擦力が一定にな
るようにすると、鋭いエッジ、アスペクトの高い形状の
ものであっても、触針を破損したりすることがなく、半
導体のパターン測定などに好適である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る原子間力、摩擦力測定顕微鏡の一
実施例を示す概略構成図、第2図は二次元ディテクタと
変換回路を示す図、第3図は二次元ディテクタの他の実
施例を示す図、第4図は原子間力測定顕微鏡の従来例を
示す概略構成図、第5図は触針が被測定物の溝に落ち込
んだ状態を示す図である。 1……被測定物、2……力検出カンチレバー、3……触
針、5……光源、7……ディテクタ、8A〜8D……受光素
子、11……基台、12……ステージ、13……駆動装置、16
……二次元ディテクタ、17……変換回路、18A〜18D……
I−V変換器、19A〜19D……加算器、20A、20B……差動
増幅器。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弾性部材からなり先端部に検査すべき被測
    定物の表面に近接する触針を有する力検出カンチレバー
    と、この力検出カンチレバーを照射する光源と、前記力
    検出カンチレバーに当たって反射した光源からの反射光
    を検出し電気信号に変換する二次元ディテクタと、この
    二次元ディテクタによる出力信号を前記力検出カンチレ
    バーの縦変位信号と捩じれ変位信号に変換する変換回路
    とを備えたことを特徴とする原子間力、摩擦力測定顕微
    鏡。
JP5963290A 1990-03-09 1990-03-09 原子間力、摩擦力測定顕微鏡 Expired - Lifetime JP2734728B2 (ja)

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