JP2732872B2 - フェーズド・アレイ・レーダの送信モジュール用調整スイッチ - Google Patents

フェーズド・アレイ・レーダの送信モジュール用調整スイッチ

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JP2732872B2
JP2732872B2 JP63328113A JP32811388A JP2732872B2 JP 2732872 B2 JP2732872 B2 JP 2732872B2 JP 63328113 A JP63328113 A JP 63328113A JP 32811388 A JP32811388 A JP 32811388A JP 2732872 B2 JP2732872 B2 JP 2732872B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の背景] 1.発明の分野 本発明は、フェーズド・アレイ(phased array)・レ
ーダ・アンテナの各素子を駆動するのに使用されるパル
ス送信モジュールに対する電力をオン/オフする装置に
関し、更に詳しくは前記モジュールを正確なディジタル
制御した電力レベルにターンオンし、該電力レベルをオ
ン状態の間にわたって維持する新規な装置に関する。
2.従来技術 従来のフェーズド・アレイ・レーダ・システムにおい
ては、低電力励振器が送信レーダ信号の搬送波を発生す
る。励振器の出力は振幅および/または位相が変調され
て、低電力のレーダ・パルスを発生する。これらの低電
力パルスは振幅および位相が制御されて電力増幅モジュ
ール列に分配される。この電力増幅モジュールの各々は
フェーズド・アレイの各アンテナ素子を駆動する。エネ
ルギを節約するために、電力増幅モジュールは変調され
た励振器出力パルスが開始する直前にターンオンされ、
変調された励振器出力パルスが終了した直後にターンオ
フされる。励振器出力パルスの持続期間の間のみ電力増
幅モジュールに電力を供給する理由は所定のピーク電力
において電力増幅モジュールの発熱を最小にし、これに
よりピーク電力を最大にするためである。
レーダ送信機用の従来の電源は、間欠的な動作の間に
送信機によって消費される平均電力を処理するように設
計されていて、高いピーク電力がパルス送信の際に電源
に要求されたときには送信機に必要な電圧を維持するた
めに大きなコンデンサに蓄積されたエネルギを当てにし
ている。
供給電圧はエネルギ蓄積手段を追加することによって
一層良好に維持されるが、該手段の追加のために大きな
スペースが必要になる。「コンデンサにおける垂下(dr
oop)」という用語は送信機または電力増幅器における
供給電圧の下降が送信パルスに対して及ぼす作用に当て
はまる。コンデンサにおける垂下は多くのレーダ送信に
おいてある程度存在している。単一の送信機または電力
増幅器により全てのアンテナ素子に給電する場合、垂下
は全てのアンテナ素子に同時に生じ、ビームに対する悪
影響は小さい。しかしながら、各アンテナ素子に対して
1つまたは複数の電力増幅器が用いられ、これらの電力
増幅器が潜在的に異なる電源を有している場合には、こ
の問題は厳しいものである。この場合、これらの電源の
リアクタンス・エネルギ蓄積特性は整合した状態に維持
されていなければならず、さもないと「垂下」はアンテ
ナ列の全ての素子に対して同時に生じず、このためビー
ムが歪み、パルス間の相関性がかなり低減する。
フェーズド・アレイ・レーダにおけるアンテナ素子用
の電力増幅器の更に共通な必要条件は、アンテナ列にお
ける素子の位置によってr.f.出力のテーパリング(tape
ring)を達成するように複数の出力を発生することがで
きることである。テーパリングは各電力増幅器における
電源電圧を調整することによって達成することができ
る。従って電源の出力は適宜調節可能またはプログラマ
ブルであることが好ましい。
最近の設計の送信電力モジュールはアンテナ素子を駆
動する電力モジュールに固体部品を使用している。金属
酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)または高
電子移動度トランジスタ(HEMT)が通常この用途に使用
され、このような素子はしばしばヒ化ガリウム基板上に
形成される。1GHz以上の周波数においては、ヒ化ガリウ
ム基板上で受動回路機能を能動素子と組合せたモノリシ
ック、マイクロ波集積回路(MMIC)形式が普通である。
これらの回路は特にコンパクトである。
送信電力モジュール用の従来の電力調整装置において
は、共通の素子は電力をオン/オフするスイッチ(これ
は、電界効果トランジスタのドレイン電極に接続されて
いるので「ドレイン・スイッチ」と称する)、およびピ
ーク電力が必要なときに直流を維持する局部インダクタ
またはコンデンサである。高周波動作およびMMIC製造技
術の出現によって、送信モジュールにおけるMMICr.f.回
路は関連する電源部品によって小型化される傾向があ
る。このような用途においては、モジュール電力調整装
置が小さいことは特に好ましい。
[発明の概要] 従って、本発明の目的は、フェーズド・アレイ・レー
ダ・システムにおける送信モジュール用の改良された電
力スイッチを提供することにある。
本発明の他の目的は、フェーズド・アレイ・レーダ・
システムにおける送信モジュール用の調整機能を有する
改良された電力スイッチを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、フェーズド・アレイ・レー
ダ・システムにおけるパルス送信モジュール用の改良さ
れた電力調整手段を提供することにある。
本発明の別の目的は、多数の同様なモジュールを使用
するフェーズド・アレイ・レーダ・システムにおける送
信用MMICモジュールを作動するのに適したコンパクトな
調整スイッチを提供することにある。
本発明の別の目的は、電圧出力をビーム・テーパリン
グまたは他の目的のために独立にプログラムできるよう
な、多数の同様なモジュールを使用するフェーズド・ア
レイ・レーダ・システムにおけるパルス送信用MMICモジ
ュールを作動するコンパクトなスイッチおよび調整装置
を提供することにある。
本発明のこれらおよび他の目的は、フェーズド・アレ
イ・レーダ・システムにおける個々のアンテナ素子を駆
動するように設計されているパルス送信用MMICモジュー
ルに直流電源からの電力を供給する新規なディジタル・
プログラマブル調整ドレイン・スイッチにおいて達成さ
れる。
調整スイッチは、関連するフィルタ用コンデンサを含
んでいるが、遠隔直流電源へのパルス電力モジュールの
r.f.回路によって表される負荷に直列に接続されてい
る。
調整スイッチは更に、高い温度安定性を有するゲート
式ディジタル・プログラマブル電圧基準回路、および正
入力端子が前記ゲート式電圧基準回路に接続され、負端
子が負荷の電圧を検知するために分圧器を介して接続さ
れている高利得演算増幅器を有する。演算増幅器の出力
は電力スイッチング機能を有する電力用金属酸化物半導
体電界効果トランジスタ(MOSFET)のゲートに容量結合
されており、前記コンデンサを所望の速度で放電する手
段が設けられている。
トランジスタ・スイッチは調整スイッチング動作を行
うのに必要な円滑に変化する導電率を有している。トラ
ンジスタが効率化のために非常に低いRds(オン)を有
するとともに、送信されるパルスの帯域幅に匹敵し得る
帯域幅、典型的にはパルス速度で発生する変化に充分急
速に応答するように1メガヘルツ以上の帯域幅を有して
いなければならない。容量結合回路はMMICモジュールの
過熱を生じさせる継続した動作からMMICモジュールを保
護し、このため所定の正直流電源電位でより一層信頼性
のあるNチャンネル型を使用することを可能にする。ま
た、フィードバック用コンデンサが、負荷に供給される
立ち上がり時間を、負荷におけるリンギングを防止しな
がら調整の精度に合った最大値に制限するように設けら
れている。
プログラミング機能はモジュールの電力設定を他のモ
ジュールから独立にするとともに、校正および/または
「テーパリング」用の所望の値に調整することを可能に
する。
単一の装置の中にスイッチングおよび調整機能を統合
することは調整作用のないスイッチ以上に消費を必要と
せず、調整機能は局部調整が利用できなかった場合の局
部コンデンサに必要とされた大きさを低減する。この結
果、スイッチングおよび調整の両機能を達成するととも
に、「コンデンサにおける垂下」を除去したコンパクト
な高性能電力調整装置が得られる。
本発明の固有の特別な特徴は特許請求の範囲に記載さ
れている。しかしながら、本発明自身はその他の目的お
よび利点とともに以下の説明および添付図面を参照する
ことにより更によく理解されることであろう。
[好適実施例の説明] 第1図は、フェーズド・アレイ・レーダ・システムの
アンテナ列1の背部を示す図であり、1行の送受信(T/
R)サブアセンブリ(2)が配置されているのが示さ
れ、各サブアセンブリは1組の4つのアンテナ素子に接
続されている。また、T/Rサブアセンブリに電力を供給
する装置(4−8)が配置されているのが示されてい
る。
図示したアンテナ列は水平な各行当り64個のアンテナ
素子および垂直な各列当り56個のアンテナ素子から成る
全部で3584個のアンテナ素子を使用している。各サブア
センブリは同じ垂直列中の1組の4つのアンテナ素子を
作動するので、サブアセンブリは14行すなわち各列当り
14個必要であり、各行当り64個必要である。この様にし
て、アンテナ列は3584個のアンテナ素子を作動するため
に全体で896個のサブアセンブリを必要とする。
各行のサブアセンブリ用の電力源はアンテナ列(1)
の側部に設けられている4つの1kWの電源(4)および
8つの大きなフィルタ用コンデンサ(5)である。電力
は電源(4)および大きなフィルタ用コンデンサ(5)
から積層多重導体バス・バー(3)を介してサブアセン
ブリ(2)に供給される。積層バス・バー(3)は各行
に64個のアンテナ素子を有する4行のMMIC送信モジュー
ルに典型的なレーダ・パルス幅の電力を効率的に供給す
るのに必要な特性を有している。
1kWの電源(4)、大きなフィルタ用コンデンサ
(5)およびT/Rサブアセンブリ(2)の配置、ならび
にこれらのバス・バー(3)への接続は第1図および第
2図に示されている。4つの大きな(100,000uf、16ボ
ルト)のフィルタ用コンデンサ(5)はバス・バーの右
端に設けられ、同様な4つのコンデンサがバス・バーの
左端に設けられている。同様に、2つの1kWの電源
(4)はバス・バーの右端に設けられ、2つの1kWの電
源(4)はバス・バーの左端に設けられている。全体
で、112個のコンデンサおよび56個の電源が例示した358
4個の素子からなるアンテナ列に対して必要である。
各電源(4)は1行の64個のT/Rサブアセンブリのう
ちの16個のT/Rサブアセンブリに+12ボルトで1キロワ
ットの電力を供給する。バス・バーの+12ボルトの導体
はパルス送信の間に電力増幅器によって必要とされる大
きな電力を供給するために使用される。バス・バーの+
5ボルトの導体は受信機の低と雑音増幅器によって必要
とされる低い電力を供給するために使用され、バス・バ
ーの−12ボルトの導体は非常に低い電力でバイアスを供
給するために使用される。後者の低電力の電圧は信頼性
のために網上に形成されている。
バス・バー(3)は、第2図に簡略にして示され、第
3A図乃至第3C図に構造的に示されているが、多層積層体
であり、この積層体に沿ってコネクタが64箇所に設けら
れている。1行の64個のT/Rサブアセンブリは1kWの電源
(4)の各々に擬似ランダム的に接続されて、各電源が
16個のT/Rサブアセンブリを駆動するようにする。この
接続モードは、4つの電源の1つが故障した場合に送信
機が動作しなくなることを最小に押え、+5および−12
ボルトの電源に適用されている網状構造が実際上受信機
が動作しなくならないように行われている。
電源システムに適用され得る積層バス・バーの構造は
第2図および第3A図〜第3C図に示されている。この積層
バス・バーは6つの電力伝送路で構成され、この6つの
電力電送路は(送信電力用の)+12ボルトの4つの伝送
路、(受信機電力用の)+5ボルトの伝送路、および
(低電力バイアス用の)−12ボルトの伝送路を有し、ア
ース導体が間に挿入されている。各電力伝送路は厚さが
約0.20インチで幅が2インチの銅の導体で形成され、こ
の導体は、その両側に設けられた0.020インチの銅より
なる一対のアース導体から1000分の2乃至3インチの厚
さの絶縁体によって分離されている。各サブアセンブリ
へのタップが超音波接合によって薄い導体の後縁部から
取り出されている。第1図に示すように、タップがバス
・バーに沿ったT/Rサブアセンブリの位置に対応して64
個の区間に設けられている。タップの構成は第3A図に詳
しく示されている。
電源(4)は前述したように網状に形成され、受信お
よび負バイアス機能が同じ行に給電する4つの全ての電
源(4)のうちの3つ以下の電源が故障した場合にそこ
なわなれないようにしている。第2図に示すように、各
+5ボルト電源および各−5ボルト電源はヒューズおよ
び適当な極性の保護ダイオードを介して+5および−12
ボルトのバス導体に接続されている。電源(4)の1つ
が故障した場合、残りの電源はエネルギをバス導体に供
給するように接続され、故障した電源はダイオードによ
って分離される。更に、網状構成はダイオードが故障し
た場合にヒューズによって保護されている。
1kW電源(4)は、T/Rサブアセンブリに対する負荷接
続が第2図に示されているが、第1図に示す6パルス56
kW交流主電源(6)に接続されている300ボルト直流バ
ス(8)を介して電力を供給される。保護回路(7)が
設けられ、この保護回路はEMIフィルタ、一次回路遮断
器およびライン・サージ保護回路によって調整された
後、3相電力を主電源(6)に供給する。
バス・バー(3)、1kW電源(4)、大きなコンデン
サ(5)、300ボルト直流バス(8)、主整流電源
(6)、および保護回路(7)は全ての動作モード(送
信、受信および校正)におけるパルス式T/Rサブアセン
ブリの動作に必要な電力を供給するように設計されてい
る。電力分配システムの構成部材は所要の平均電力と、
パルス送信の間にT/Rサブアセンブリに必要とされるか
なり高いピーク電力との両方を供給しなければならな
い。電力分配システムは、単一パルスの送信の間に送信
機の電子装置に供給される電圧の大きな垂下を避けるた
めに、または前のパルスからのキャリイオーバのため
に、個々のT/Rサブアセンブリにおける垂下が許容最小
値に維持されるように設計しなければならない。これに
よって後述するように正確な調整が可能となる。この許
容最小値は、最終的な負荷を形成する送信モジュールに
おいて必要とされる電圧に加えて、個々のT/Rサブアセ
ンブリ内に設けられている調整器の動作に必要とされる
ヘッドルーム(head room)によって設定される。
要点を繰り返すと、電力分配システムは4キロワット
の電力を各バス・バーに沿って分布している64個のT/R
サブアセンブリに供給し、したがってアンテナ列全体に
対する14個の全てのバスに合計56キロワットの電力を供
給する。送信機の動作用の電力はバス・バー(3)の+
12ボルトの導体の端部に設けられている4つの1kWの電
源(4)および8個の100,000マイクロファラッドの16
ボルトのコンデンサによってバス・バーの+12ボルトの
導体に供給される。1キロワットの電源(4)はバス・
バー(3)の導体に接続されている大きな蓄積コンデン
サ(5)にエネルギを連続的に供給する。個々のT/Rサ
ブアセンブリによって表されるパルス型負荷は、可変持
続期間のパルスの間、同時にエネルギを必要とする。こ
の持続期間はおおよそ1マイクロ秒と数ミリ秒の間であ
る。このようにして、パルス型負荷は平均電力よりも高
いピーク電力をバス・バーを介してコンデンサ(5)お
よび電源(4)から取り出す。これは単一パルスの途中
でまたはパルスが繰り返えされるうちに負荷の電圧を減
少させる傾向がある。個々のT/Rサブアセンブリにおけ
る電圧を一定に維持するような処置がとられていない場
合には、送信機の動作は不安定になる。
本発明によれば、この不安定な動作は、前述したよう
にバス・バーの端部に大きなエネルギ蓄積手段を設け、
パルスが進行しまたは繰り返すときに電圧降下を許容し
得る小さな限界値に低減するようにバス・バーを厳密に
設計し、さらにT/Rサブアセンブリの負荷の各々の中に
コンデンサおよび電圧調整手段を追加することによって
避けることができる。
第4図は896個の同じT/Rサブアセンブリの1つであっ
て、電源システムの根本的な負荷を形成するT/Rサブア
センブリを示している。このT/Rサブアセンブリは4つ
の部分、すなわちアンテナ分配回路31、ビーム形成分配
回路33、移相器兼T/R回路すなわちモジュール32、およ
び基板34上に組み立てられた電源制御ブロックに分割さ
れると考えられる。
アンテナ分配回路31は3つの機能を有する。送信にお
いては、アンテナ分配回路は4つのパルス式高電力増幅
器の出力を個々に4つのアンテナ素子の各々に供給す
る。受信においては、アンテナ分配回路は4つのアンテ
ナ素子からのリターン信号を個々に4つの低雑音増幅器
にそれぞれ供給する。サブアセンブリ、特に移相器にお
ける回路の状態の監視中、校正用に各アンテナ素子にお
ける信号の位相をチェックするためにカプラが設けられ
る。アンテナ分配回路31は受動回路であり、ストリップ
ライン伝送線を使用して最も都合よく実行することがで
き、これは低価格および所望のコンパクトさでシャーシ
内の回路間を良好にシールドする。これはT/Rサブアセ
ンブリにおいて無視し得る程度の電力を消費する。
ビーム形成分配回路33は、受信の際、4つの別々の受
信アンテナからの多重化された信号をビーム形成器に至
る単一のチャンネルに分配し、同様に4つのアンテナ素
子に関連して動作するためのビーム形成器からの信号を
結合する。ビーム形成分配回路は能動素子を有してい
ず、好ましくはストリップライン伝送線を使用して実現
できる。これは同様にしてT/Rサブアセンブリにおいて
無視し得る程度の電力を消費する。
移相器兼T/R回路、すなわち「モジュール」32はアン
テナ分配回路およびビーム形成回路の間に接続されてい
る。これは能動素子および受動素子の両方を必要とす
る。これは単一のモノリシック・ヒ化ガリウム基板上に
形成することができるが、本実施例においては経済性の
点からハイブリッド構造のモジュールとしている。マイ
クロストリップ構造が現在の唯一の実用的な方式であ
る。
各モジュールは1つのアンテナ素子に関連して受信お
よび送信電子装置を有する。受信電子装置は典型的には
低雑音増幅器および可変利得増幅器を有する。同様に、
1つのアンテナ素子に関連する送信電子装置は典型的に
は駆動増幅器およびしばしば利得制御を行う電力増幅器
を有する。前述したように、電子装置は−12、+5およ
び+12ボルトの直流電源を必要とし、このうちの最後の
ものはパルス送信用の主電源を形成している。
T/Rサブアセンブリは移相器を作動するとともに送受
信校正状態を決定するための制御ロジックを有し、更に
追加のコンデンサおよびスイッチング電圧調整器を有す
る局部電力調整部を有する。電力調整および制御回路は
測定し得る程度の電力を消費する。
T/Rサブアセンブリは5乃至6GHzで動作するレーダ・
システムにおけるフェーズド・アレイの4つのアンテナ
素子を作動するために使用される電子回路、ならびに電
力分配システムの最後の素子である局部コンデンサおよ
び電圧調整器を有する。各T/Rサブアセンブリは、最終
的な負荷であり、バスから分配される電力の受け手であ
るので、200ワットの熱を発散すると共に、最大40ワッ
トのr.f.電力を放射するように設計される。従って、サ
ブアセンブリのシャーシは能動電子装置、局部コンデン
サおよび調整器を収容するに充分な大きさのものでなけ
ばならないとともに、発生した熱を運び去るのに必要な
空気通路が得られる程度に充分小さくしなければならな
い。
考慮中のフェーズド・アレイ・レーダ・システムにお
いては、各T/Rサブアセンブリは関連するアンテナ素子
の断面積要求条件内に留まっていることが要求される。
アンテナ素子を4つの1組にすることは最も満足すべき
グループ分けであることがわかった。アンテナ素子は走
査範囲に応じて約2分の1乃至3分の2波長の間隔をお
いて設けられる。本構成においては、比較的低い垂直走
査範囲とすることを意図しているので、アンテナ素子の
垂直方向の間隔は約3分の2波長にされる。水平走査範
囲がより大きい場合には、ダイポール素子間の水平方向
の間隔は約2分の1波長である。このような状態におい
て、アンテナ素子は、ダイポールの場合、垂直方向に大
きな利用できるスペースがあるので、垂直平面内に配向
され、サブアセンブリ間の空間は垂直な列に平行に設け
られる。
アンテナ作動回路の断面積がアンテナ列の断面寸法を
超えないようにするという要求により、アンテナ作動回
路を有する各サブアセンブリのシャーシの断面積をアン
テナ素子当りに許容される2分の1乃至3分の2波長の
大きさ以内にすることが必要となる。この空間的な制限
はT/Rサブアセンブリにおける全てのr.f.路を等しい長
さにし、サブアセンブリを交換することを可能にする。
この例においては、4つのアンテナ素子を作動する各
T/Rサブアセンブリの電子回路はアンテナ素子当り16cm
×2.7cmまたは4cm×2.7cmの全面積寸法内に入る。この
断面は5乃至6GHzで作動するアンテナ例に対しては充分
小さなものである。
制御回路は遠隔制御コンピユータからの高レベル・ビ
ーム・ステアリング・コマンドを実行し、低レベル・ビ
ーム・ステアリング・コマンドを計算し、自己校正機能
を行う。自己校正機能においては、個々のモジュールの
位相エラーが周期的に測定され、固定電圧エラー(電圧
ドリフトではない)のような電源システムに起因する電
圧エラーを含む本質的に全てのエラーに対して補正され
る。
局部電力調整回路は、第5図を参照すると、4つの調
整ドレイン・スイッチ(37)を有し、これは各モジュー
ルに対し1つずつ割り当てられている。2つの局部フィ
ルタ用コンデンサ(C3)が4つの調整ドレイン・スイッ
チの間で共有されている。4つの調整ドレイン・スイッ
チ(37)は小さなアルミニウム基板(34)上に取り付け
られている。局部電力調整回路は送信機動作におけるパ
ルスの間またはパルスからパルスの間において局部伝送
負荷を1ミリボルトより良好に安定化するように必要な
調整を行う。
アルミニウム基板(34)は、制御回路および局部電力
調整装置がこの上に取り付けられているが、個々のT/R
モジュール(32)に導くコネクタに接続するための1行
の4つのソケット(35)を備えている。これらのコネク
タはT/Rモジュールに対する局部ステアリング・コマン
ド、タイミング制御および電力を供給する。同じ信号
は、ステアリング・コマンドを除いて、高レベルにある
が、基板(34)に取り付けられている補助回路基板上に
設けられている31個のパッド(36)を介してT/Rサブア
センブリに供給される。パッド(36)は図示されていな
いコネクタに接続されるように設計され、積層バス・バ
ー(3)上に指示されているソケット用に設計されてい
る。
4つのモジュール調整ドレイン・スイッチ(37)は基
板(34)の両端に配置され、共有のフィルタ用コンデン
サC3は、典型的には100マイクロファラッドで、20ボル
トの定格のものであるが、31個のパッド(36)に隣接し
て基板の後縁部に配置されている。モジュール調整ドレ
イン・スイッチ(コンデンサC3を含んでいない)はアル
ミニウム基板(37)の縁部上の約2分の1インチの小さ
な矩形の密封パッケージ内に設けられられている。アル
ミニウム基板は約4−3/インチ×2−1/2インチであ
る。
新規な調整ドレイン・スイッチ(37)は、レーダパル
ス送信の間、短い間隔内でMMIC電力増幅器をオン/オフ
し、正確なディジタル制御電力レベルにするように設計
されている。ドレイン・スイッチの調整機能は送信され
るレーダパルスの立ち上がり時間および立ち下がり時間
に匹敵し得る速度で動作し、パルスの間に発生する変化
を持続させるように設計されている。このため、ドレイ
ン・スイッチの利得帯域幅は1および10メガヘルツの間
に設定されている。利得帯域幅に対する上限は後で説明
するようにモジュールの負荷におけるリンギングを避け
るのに充分小さな値に設定されている。
新規な調整ドレイン・スイッチはメガヘルツの帯域利
得幅を有しているので、レーダパルス送信の間における
負荷または電源の実時間の変化に対して実質的に瞬時に
補正を行うことができ、個々のT/Rモジュールにおいて
ミリボルトの正確さで10-20ボルトの直流電源出力を維
持することができる。従って、単一のレーダ・システム
における数千の電力増幅器の各々の出力は、負荷または
電源が原因で生じたパルス振幅の変化に対して安定化さ
れて、パルス相互間に最大の相関関係が得られるように
する。
上述したことに加えて、新規な調整ドレイン・スイッ
チはハードウェアまたはソフトウェアの故障の場合、T/
Rモジュール内のMMICの破損を防止する手段を提供す
る。
ディジタル・プログラマブル調整ドレイン・スイッチ
の電気回路ならびにそれと電源、負荷および適当な制御
信号との外部接続が第6図に示されている。
各調整ドレイン・スイッチは3つの電力端子P1,P2お
よびP3を有している。第1の端子(P1)はドレイン・ス
イッチを遠隔電源に接続するためのものである。更に詳
しくは、端子(P1)は積層バス・バー(3)を介して大
きな蓄積コンデンサ(5)および1kWの電源の正端子に
接続されている。積層バス・バー(3)は抵抗が並列に
接続された直列インダクタンスを有するものとして示さ
れ、この抵抗とインダクタンスの組合せ回路は第2の抵
抗に直列に接続されている。これらの数値は後で説明す
るように電力が急速な立ち上がり時間および短い持続時
間を有するパルスに変換されるときに重要になる。第2
の電力端子(P2)は調整ドレイン・スイッチを関連する
MMIC T/Rモジュール負荷(32)に接続する出力端子であ
る。調整ドレイン・スイッチとMMICモジュールとの間の
リード線インダクタンスが12で示されている。このリー
ド線インダクタンスはエネルギが短いパルスの形で供給
されるときに重要である。調整ドレイン・スイッチが急
速な立ち上がりまたは立ち下がり時間でオン/オフする
ことが可能である場合、このインダクタンスにより負荷
にリンギングが生ずる。第3の電力端子(P3)は電源お
よび負荷が戻るアースである。
調整ドレイン・スイッチに供給される制御信号は基板
(34)(第4図)上の31個のパッド(36)を介して供給
される。第6図に示すように、制御信号としては、各パ
ルスが送信されるときに調整ドレイン・スイッチをオン
/オフする送信付勢制御信号、基準電圧を設定し増分さ
せるために使用される校正制御信号、およびモジュール
毎の変動の補正または他の目的のために使用される「他
の補正信号」が含まれる。
ディジタル・プログラマブル調整ドレイン・スイッチ
(37)の回路が第6図に示されている。主構成要素は温
度補償型電圧基準回路(10)、ディジタル・アナログ変
換器(DAC)およびRAM(11)、2段ゲート・バッファ
(T2,T3)、演算増幅器(13)、個別部品の電力用MOSト
ランジスタ(T1)、コンデンサC1乃至C3、および抵抗R1
乃至R6を有している。
上述した構成要素およびその接続の内容は次の通りで
ある。温度補正型電圧基準回路(10)は電圧降下抵抗
(R6)を介して12ボルトの内部電源バス(14)およびド
レイン・スイッチの内部アース接続に接続されている。
抵抗(R6)の値は調整器の性能を最適化するように選択
されている。温度補償型電圧基準回路は温度補償型ツェ
ナー基準回路またはバンドギャップ調整器であってよ
く、これは温度を固有の安定状態にする傾向がある。温
度補償特性は予想される温度変動範囲にわたって5乃至
7ボルトの公称ツェナー電圧値の1ミリボルト以内に出
力電圧を維持するようにしなければならない。温度は電
子装置による過熱および冷却の間にある装置内のダイナ
ミックな温度平衡および周囲温度の両方によって影響を
受ける。典型的には温度補償範囲は100℃の範囲に及ぶ
べきである。
電圧調整器10の出力はDACおよびRAM(11)の信号入力
に接続されている。この回路(11)は、例えば、ディジ
タル・アナログ変換機能およびメモリ蓄積機能を有する
AT7225型集積回路の4分の1である。典型的には、DAC
はRAMに供給される入力信号を256の部分にインクリメン
ト(増分)またはドクリメント(減分)することができ
る8ビットの分解能を有する。この回路(11)の出力信
号は校正および補正制御の関数としてこの大きさの増分
を加えたりまたは引いたりした基準電圧を形成してい
る。
DACおよびRAM(11)の出力は所望の低インピーダンス
駆動を行う2段の温度安定型のゲート・バッファを介し
て演算増幅器(13)の入力に接続されている。ゲート・
バッファはその第1段を形成するエミッタフォロワ回路
構成の1904型のNPNトランジスタ(T2)および第2段を
形成するエミッタフォロワ回路構成に接続されている19
06型のPNPトランジスタ(T3)を有する。
DACおよびRAM(11)と演算増幅器(13)との間のバッ
ファ接続は次の通りである。DACおよびRAM(11)からの
信号はトランジスタ(T2)のベースに供給されている。
トランジスタ(T2)のコレクタはB+バスに接続され、
トランジスタ(T2)のエミッタは2Kオームのバイアス抵
抗(R5)を介して内部のアースに接続されている。トラ
ンジスタ(T2)のエミッタに現れる信号はトランジスタ
(T3)のベースに供給されている。トランジスタ(T3)
のコレクタはアースに接続され、トランジスタ(T3)の
エミッタはバイアスおよびバッファ抵抗(R1)を介して
送信付勢信号用の制御入力に接続されている。それか
ら、バッファのエミッタは演算増幅器(13)の正入力に
接続されている。
DACおよびRAM(11)と演算増幅器(13)の間に2つの
NPN/PNPエミッタフォロワ・バッファ段を使用すること
によって演算増幅器用の低駆動インピーダンスの温度安
定バッファを形成する。温度補償は、相補型トランジス
タが信号結合路に使用されて、その第1のトランジスタ
の入力接合電圧の温度に応じて生じるドリフトが第2の
トランジスタにおけるドリフトとほぼ等しく、かつ符号
が反対であるということによっている。従って、この2
つのトランジスタは演算増幅器の入力に補償された出力
電圧を供給する。エミッタフォロワ回路構成は低下方向
のインピーダンス変換を2度行い、演算増幅器(13)用
の最終的な低い駆動インピーダンスを発生する。演算増
幅器への送信付勢信号の通路の抵抗(R1)はバッファ出
力の低いインピーダンスに対して3.3Kの高い値を有して
いる。従って、抵抗(R1)はバッファの出力段用のバイ
アス機能および演算増幅器入力に現れる送信付勢信号の
通路上の雑音を低減しようとするバッファ機能を有して
いる。
演算増幅器(13)は、送信付勢制御信号によってオン
/オフにゲートされるが、MMIC負荷の両端の出力をDAC
およびRAM(11)から供給される基準信号と比較する。
それから、演算増幅器は直流バスおよびMMIC負荷の間で
緊密なフィードバック・ループ内に接続されたトランジ
スタ・スイッチ(T1)の利得を調節し、負荷の電圧を基
準電圧に比例的に対応させるようにする。
演算増幅器の負入力端子への接続は次の通りである。
演算増幅器(13)の負入力端子は抵抗R2およびR3の間の
接続点に接続されている。抵抗R2およびR3は、MMIC負荷
(32)が接続されているパッド(端子P2)とアースとの
間に分圧器を構成している。この接続により演算増幅器
の負入力端子には、負荷の両端間に現れる電圧の半分に
等しい電圧が供給される。470ピコファラッドのコンデ
ンサ(C2)は、高周波フィードバックを形成するもので
あるが、演算増幅器の出力端子と負検知入力端子との間
に接続されている。
基準増幅器(13)の出力端子はトランジスタスイッチ
(T1)のゲートに接続されている。このゲートは直流バ
スからMMIC負荷への電流の流れを制御し、これによりMM
IC負荷における電圧を制御する。この接続は0.1マイク
ロファラッドの結合コンデンサ(C1)を介して行われる
交流接続である。トランジスタ(T1)のゲートとソース
との間に接続されている10Kオームの抵抗(R4)は結合
コンデンサ(C1)を短時間で放電するように作用する。
トランジスタ(T1)のドレインはB+内部バス(14)に
接続されるとともに、T/Rサブアセンブリに近接して設
けられている中くらいの大きさのフィルタ用コンデンサ
(C3)の正端子に接続されている。その負端子は内部ア
ースに接続されている。コンデンサ(C3)は2つの調整
ドレイン・スイッチの間で共有され、この有効な容量は
図示の値の約半分である。コンデンサの大きさは内部の
直列抵抗に依存しており、直列抵抗が小さい場合には、
小さな値、例えば25マイクロファラッドが適当である。
トランジスタ(T1)のドレインはまたパッド(端子P1)
に接続され、さらに積層バス・バー(3)を介して遠隔
の1kWの電源(4)および遠隔の大きなフィルタ用コン
デンサ(5)に接続されている。トランジスタ(T1)の
ソースはパッド(端子P2)に接続され、直流バス(14)
からMMIC負荷(32)からの電流路を完成している。
トランジスタ(T1)は最近入手可能となったNチャン
ネルの50ボルトの電力用MOSFETである。トランジスタが
特に改良された特性はドレイン・ソース抵抗(Rds(オ
ン))に関連しており、これは5アンペア台の電流に対
して0.1オーム以下である。本願においては、調整器に
許容し得る電圧降下は5アンペアにおいて約0.2ボルト
であり、これはより少ない「ヘッド・ルーム(head roo
m)」が電源に使用された場合に調整回路における消費
を低減する。同時に装置の入力コンデンサは非常に小さ
な値に保持され、典型的には1000ピコファラッド以下で
ある。この結果、粗内野帯域幅は増幅器としてみた場合
数メガヘルツである。従って、装置はパルスをオン/オ
フするのに必要な速い速度で発生する電源の変化または
レーダ・システムのパルス式電力増幅器のパルス内にお
ける時間的変化を補償するのに充分な速さである。
トランジスタは、名目上はオンにゲートされている場
合「線形素子」であり、バイアスおよび入力信号レベル
を適切な値に設定することによって所望のレベルの導電
率にすることができる。フィードバック・ループに利得
が存在するため、線形性はループを安定化するために必
要でなく、装置はその能動領域のどこにおいても作動す
ることができる。このため、装置は、他の増幅器と同様
に、必要に応じて円滑な可変の(線形でない場合)導電
率を得るために使用されて、調整スイッチング作用を行
うことができる。
調整ドレイン・スイッチとしてP−MOS素子ではなく
N−MOS電力トランジスタを選択すると、低価格を含む
いくつかの利点が得られる。欠点はゲートをオンにする
ためにB+公称電圧よりも高い電圧を必要とすることで
ある。しかしながら、このような電圧は+12乃至−12ボ
ルトで動作する演算増幅器に接続されたコンデンサを使
用することによって容易に得ることができる。
調整ドレイン・スイッチは、上述したように、演算増
幅器と電力用MOSトランジスタとを接続する緊密なフィ
ードバック・ループを有し、電力用MOSトランジスタの
出力電圧を演算増幅器の正端子に接続された基準電圧に
比例したものに保持する。この関係はループ利得が確実
に1よりも大きく、システムのダイナミック・レンジが
超えられていない限り確実に保たれる。470ピコファラ
ッドのフィードバック・コンデンサは、高周波過度現象
において現れる急峻な立ち上がり時間に応じて上限を設
定している約0.4マイクロ秒に、回路の立ち上がり時間
および立ち下がり時間を制限する。この制限の目的は個
々のT/Rモジュール(32)に接続されているリード線イ
ンダクタンス(12)の両端間に現れる電圧を制限して、
リンギングを防止することである。従って、立ち上がり
時間および立ち下がり時間はフィードバック・ループの
コンデンサ(C2)の大きさを正しく選択することによっ
てリンギングを防止するのに必要な最適値に調節され
る。
約1ミリ秒まで存在する正常な動作状態においては、
ドレイン・スイッチの出力電圧は基準電圧に直接比例す
る。この状態において、結合コンデンサ(C1)がまだあ
まり放電されてなく、ループ利得が1よりも充分大きい
状態にある。パルス幅が1ミリ秒を超えると、0.1マイ
クロファラッドの結合コンデンサの両端間の電圧が演算
増幅器の所定の電圧ダイナミック・レンジを超えて、フ
ィードバック・ループは崩壊する。この結果、調整ドレ
イン・スイッチの出力が急速にゼロに低下する。
このように、ドレイン・スイッチの最大オン時間は結
合コンデンサ(C1)およびゲート・ソース抵抗(R4)に
よって制限される。交流結合は、ドレイン・スイッチを
長い期間オン状態に維持する傾向があるハードウェアま
たはソフトウェアの故障によってMMIC負荷が過熱または
破損されることを防止する。この機能は少数のモジュー
ルが不正にオンにされた場合に特に重要であり、これに
よって形成されるピーク需要は電源の平均電流処理容量
を超えないが、個々のモジュール負荷を過熱する惧れが
ある。
調整ドレイン・スイッチの主な利点はエネルギ蓄積コ
ンデンサによって維持されている電圧が低下し始めたと
き送信パルスに現れる従来の垂下を防止することであ
る。調整ドレイン・スイッチは負荷における変動を相殺
するように従来の直流電源とともに使用することができ
る。第7図は新規な電源(本発明の一部ではない)の電
圧時間特性を示しているが、この電源から調整ドレイン
・スイッチがパルスの間にエネルギを受け取る。
電源は、第6図にその構成要素が示されており、積層
バス・バー(3)、大きなフィルタ用コンデンサ(5)
および1kWの電源(4)を有する。この電源において、
いくつかの機構が動作して、送信パルスの外部限界を設
定するものとして考えられた1ミリ秒の期間の間におい
てT/Rサブアセンブリの電圧を維持する。10マイクロ秒
を超えない第1の数マイクロ秒の間、電源電圧はT/Rサ
ブアセンブリ内の局部コンデンサ(C3)によって維持さ
れ、初期降下はコンデンサの直列抵抗の大きさによって
決定される。0から100マイクロ秒までの期間において
は、バス・バー(3)を介して大きなフィルタ用コンデ
ンサ(5)から供給されるエネルギは高周波エネルギの
供給によって変化するインダクタンスおよび抵抗から成
るバス・バーの直列交流インピーダンスによってかなり
変更される。100マイクロ秒および1ミリ秒の間の期間
においては、バス・バーの交流インピーダンスは直流値
に低下し、大きなコンデンサの直列抵抗が重要になる。
MMICモジュール負荷において10.5±1/2ボルトの電圧が
望ましい場合には、調整ドレイン・スイッチは200マイ
クロ秒を超え1ミリ秒に近い期間の間送信パルスに対し
てドレイン・スイッチの調整精度内に出力電圧を維持す
る。
局部フィルタ用コンデンサ(C3)を有する各調整ドレ
イン・スイッチ(37)は関連するMMIC T/Rモジュールに
近接して設けられ、4つのこのようなモジュールは共通
の1つのT/Rサブアセンブリ内に設けられる。2つの局
部フィルタ用コンデンサ(C3)を有する4つ必要とされ
る調整ドレイン・スイッチは本質的なものとしてT/Rサ
ブアセンブリに課せられている大きさの制約を受ける。
この大きさの制約は本実施例において満足されている。
積層伝送ライン(3)および電源構成要素(4)および
(5)は遠隔にあり、個々のT/Rサブアセンブリに課せ
られた制約を受けない。これらの構成要素はともにフェ
ーズド・アレイ・レーダ・システムを作動する電源シス
テムの必要とする高性能を備えている。本発明のドレイ
ン・スイッチはもちろんこの特性の電源とともに使用す
ることに制限されない。
この新規な調整ドレイン・スイッチは、マスタ励振器
からのパルスが電力増幅器に伝達される直前に個々の電
力増幅器がターンオンされる通常のフェーズド・アレイ
・レーダ・システム用に設計されている。電力増幅器は
パルスが到着したときレーダ・システムの全体にわたっ
てすべてオン状態にあり、かつパルスがなくなった後に
は全てすぐにオフ状態にあるべきである。電力増幅器ス
イッチングにおける先行量または遅延量は電圧が安定化
することができるように十分な期間にすべきであるが、
パルスの持続期間よりもあまり長くすべきではない。そ
うでないと、発熱量が増大するという不利益が生じる。
本システムにおけるように発熱が重要な場合には、実際
のパルスの限界近くで電源をオン/オフできる能力は特
に有益である。
本発明の調整ドレイン・スイッチは固体送信モジュー
ルのパッドに直流分配手段からの電力を供給したり、ま
たは論理レベルの信号の指令によってモジュールから電
力を取り除く手段を提供する。同時に、本調整ドレイン
・スイッチはモジュールに供給される直流電圧を形成す
る手段を提供し、外部制御の機能を有し、分配手段上の
電圧から本質的に独立である。更に、調整ドレイン・ス
イッチは供給される電圧の時間特性において融通性を与
えることができる。出力電圧はマイクロ秒未満の持続時
間にわたって高周波成分に対してフィードバック・コン
デンサの関数とすることができる。また、それはマイク
ロ秒乃至ミリ秒の持続期間にわたって中位の周波数成分
に対してディジタル・アナログ変換器の設定の関数とす
ることができる。最後に、それは、制限された期間後の
回路保護のために電力を取り除くようにし、かつ持続し
た故障状態における電力の供給を防止するように論理レ
ベル信号の低い周波数成分に対して直列阻止コンデンサ
の関数とすることができる。
パルスの持続期間の間パルス型負荷の両端間の電圧を
維持するための調整ドレイン・スイッチを使用すること
によってT/Rサブアセンブリにおける電源のスペースお
よび大きさを節約することができる。ここに提案した調
整ドレイン・スイッチは追加した電子装置が小さいので
スペース問題もなく、また調整機能はスイッチおよび回
路における追加の発熱が少ないので熱の発散もなく、ハ
イブリッド形態で容易に形成することができる。調整ド
レイン・スイッチは調整の能動手段としてT/Rサブアセ
ンブリにおける一層小さなフィルタ用コンデンサと共に
同じ程度の電圧安定性を達成することができるので正味
の大きさの節約を達成することができる。実際の例にお
いては、局部容量の3分の1への低減が達成され、従っ
て電源の大きさをかなり低減することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はT/Rサブアセンブリの配列およびこのサブアセ
ンブリに電力を供給する手段の構成を示すフェーズド・
アレイ・レーダ・システムの概略構成図である 第2図は1行のT/Rサブアセンブリに電力を供給する直
流電源をより詳しく示す回路図である。 第3A図、第3B図および第3C図は電源からT/Rサブアセン
ブリに電力を供給するために使用される多重導体バス・
バーの構成を示す構造図である。 第4図は4つのアンテナ素子を作動するために使用され
る4つのT/Rモジュール、ならびにT/Rモジュールに供給
される直流電圧を調整するフィルタ用コンデンサおよび
4つの新規なモジュール調整ドレイン・スイッチを有す
る1つのT/Rサブアセンブリを示す斜視図である。 第5図は制御ユニット、フィルタ用コンデンサ、および
1つのT/Rサブアセンブリ内の4つのモジュール用の調
整ドレイン・スイッチが取り付けられている基板の平面
図である。 第6図はモジュール調整ドレイン・スイッチ、関連する
電源からの波および電源分配通路を示す電気回路図で
ある。 第7図は電力分配回路の電気性能を示すグラフである。 2……送受信(T/R)サブアセンブリ、3……積層多重
導体バス・バー、4……1kWの電源、5……フィルタ用
コンデンサ、31……アンテナ分配回路、32……モジュー
ル、37……モジュール調整ドレイン・スイッチ。
フロントページの続き (56)参考文献 特許2629057(JP,C1) 米国特許4618813(US,A) 米国特許4682369(US,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フェーズド・アレイ・レーダ・システムに
    おける個々のアンテナ素子を駆動する各パルス送信モジ
    ュールを直流電源から動作させるディジタル制御式調整
    スイッチであって、 (A) 当該調整スイッチを前記直流電源に接続するた
    めの第1の電力入力端子と、 (B) 当該調整スイッチを前記送信モジュールに接続
    するための第2の電力出力端子と、 (C) 当該調整スイッチを前記直流電源および前記送
    信モジュールに接続するための第3の共通電力端子と、 (D) 第1の出力端子、前記共通電力端子に接続され
    た第2の共通端子、およびゲート端子を有する、高い温
    度安定性を備えたゲート式ディジタル電圧基準手段と、 (E) 前記第1の電力入力端子に接続された第1の端
    子および前記共通電力端子に接続された第2の端子を有
    するフィルタ用コンデンサと、 (F) 正入力端子、負入力端子および出力端子を有す
    る高利得演算増幅器と、 (G) 前記演算増幅器の正入力端子を前記ゲート式電
    圧基準手段の出力端子に接続する手段と、 (H) 前記演算増幅器の負入力端子を前記第1の電力
    出力端子に接続し、前記送信モジュールにおける電圧を
    検知する手段と、 (I) 前記演算増幅器の出力端子と負入力端子との間
    に接続され、前記第2の電力出力端子における立ち上が
    り時間および立ち下がり時間を所望の調整精度に合うよ
    うに制限して不所望の出力過渡現象を除去するフィード
    バック・コンデンサと、 (J) ゲート電極、前記電力出力端子に接続されたソ
    ース電極、および前記電力入力端子に接続されたドレイ
    ン電極を有し、電力効率化を達成するように低いドレイ
    ン・ソース電極間オン抵抗を有するとともに、前記送信
    モジュールのパルス動作に匹敵する立ち上がり時間を有
    する変動に対して正確な応答を行うのに充分な帯域幅を
    形成する低い入力容量を有する電力用金属酸化物半導体
    電界効果トランジスタ(MOSFET)と、 (K) 前記演算増幅器の出力端子を前記ゲート電極に
    交流結合する結合コンデンサと、 (L) 前記ゲート電極および前記ドレイン電極の間に
    接続され、前記結合コンデンサを放電させる放電用抵抗
    とを含み、 前記結合コンデンサおよび前記放電用抵抗が高利得交流
    結合フィードバック・ループを形成し、該フィードバッ
    ク・ループによって前記パルス送信モジュールの電圧が
    前記ゲート式ディジタル基準に対応して生じ、前記フィ
    ードバック・ループの時定数が所望の最大パルス持続期
    間を超えるように設定されるが、制御信号の不適切に長
    い持続に対しては前記送信モジュールの負荷を保護する
    に充分な短さに設定されていること、を特徴とするディ
    ジタル制御式調整スイッチ。
  2. 【請求項2】前記第1の電力入力端子に供給される電力
    の極性が正であり、前記電力用MOSFETがNチャンネル型
    である請求項1記載の調整スイッチ。
  3. 【請求項3】前記電力用MOSFETの帯域幅が1乃至10メガ
    ヘルツの範囲にあり、前記フィードバック・コンデンサ
    の値が前記送信モジュール内または該送信モジュールへ
    の接続リード線のインダクタンスによるリンギングを防
    止する程度に立ち上り時間を低減するように選択されて
    いる請求項1記載の調整スイッチ。
  4. 【請求項4】前記ゲート式ディジタル電圧基準手段が当
    該調整スイッチの電圧出力の遠隔制御のためにプログラ
    マブルであり、最小直流供給電源が維持されている限り
    前記直流電源の電圧から前記負荷の電圧が独立である請
    求項1記載の調整スイッチ。
  5. 【請求項5】フェーズド・アレイ・レーダ・システムに
    おける個々のアンテナ素子を駆動する各パルス送信モジ
    ュールを直流電源から動作させる物理的にコンパクトな
    ディジタル制御式調整スイッチであって、 (A) 当該調整スイッチを前記直流電源に接続するた
    めの第1の電力入力端子と、 (B) 当該調整スイッチを前記送信モジュールに接続
    するための第2の電力出力端子と、 (C) 当該調整スイッチを前記直流電源および前記送
    信モジュールに接続するための第3の共通電力端子と、 (D) 第1の出力端子、前記共通電力端子に接続され
    た第2の共通端子、および前記送信モジュールのパルス
    付勢のために当該調整スイッチのオン時間を設定する制
    御信号の源に接続されているゲート端子を有し、高温度
    安定性を備えているゲート式ディジタル電圧基準手段
    と、 (E) 前記第1の電力入力端子に接続された第1の端
    子および前記共通電力端子に接続された第2の端子を有
    するフィルタ用コンデンサと、 (F) 正入力端子、負入力端子および出力端子を有す
    る高利得演算増幅器と、 (G) 前記演算増幅器の正入力端子を前記電圧基準手
    段の出力端子に接続する手段と、 (H) 前記演算増幅器の負入力端子を前記第2の電力
    出力端子に接続し、前記送信モジュールの電圧を検知す
    る手段と、 (I) ゲート電極、前記電力出力端子に接続されたソ
    ース電極、および前記電力入力端子に接続されたドレイ
    ン電極を有するとともに、電力効率化を達成するように
    低いドレイン・ソース電極間オン抵抗および前記送信モ
    ジュールのパルス動作に匹敵する立ち上がり時間を有す
    る変動に対して正確な応答を行うのに充分な帯域幅を形
    成する低い入力容量を有する電力用金属酸化物半導体電
    界効果トランジスタ(MOSFET)と、 (J) 前記演算増幅器の出力端子を前記ゲート電極に
    接続して、高利得フィードバック・ループを完成する手
    段とを含み、このフィードバック・ループによって前記
    パルス送信モジュールの電圧が前記ゲート式ディジタル
    電圧基準に対応して生じ、また前記フィードバック・ル
    ープにより前記モジュールにおけるフィルタ容量および
    その大きさに対する要求条件が低減されて、パルス送信
    の間の電圧安定性が達成されることを特徴とするディジ
    タル制御式調整スイッチ。
  6. 【請求項6】前記手段(J)が、 (1) 前記演算増幅器の出力端子を前記ゲート電極に
    交流結合する結合コンデンサと、 (2) 前記ゲート電極および前記ドレイン電極の間に
    接続された前記結合コンデンサを所望の放電速度で放電
    させ、前記スイッチの最大「オン」時間を制限する抵抗
    とを有する請求項5記載の調整スイッチ。
  7. 【請求項7】前記演算増幅器の出力端子および負入力端
    子の間に接続され、前記第2の電力出力端子における立
    ち上がり時間および立ち下がり時間を所望の調整精度に
    合うように制限して、不所望の出力過度現象を除去する
    フィードバック・コンデンサが設けられている請求項6
    記載の調整スイッチ。
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