JP2732354B2 - 摩擦圧接を用いた異形鉄筋のねじ式機械継手 - Google Patents
摩擦圧接を用いた異形鉄筋のねじ式機械継手Info
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Description
筋のねじ式機械継手に係り、詳しくは、二本の対向する
異形鉄筋にねじ部材を摩擦圧接しておき、そのねじ部材
にカプラを跨がるように螺合させて、両異形鉄筋を強固
に締結することができるようにしたねじ式機械継手に関
するものである。
トが広く採用されるが、その鉄筋コンクリートに使用さ
れる異形鉄筋では、製鉄所での製造上の圧延条件などに
加えて施工現場への運搬や搬入の容易化を配慮する結
果、長さに制限を受けることが多い。一方、施工に必要
なコンクリート用鉄筋は、製造された以上の長さを必要
とすることがあり、現場において二本の異形鉄筋の端部
を突き合わせて接続する作業がしばしば行われる。この
ような接続作業は、施工現場において短時間でしかも簡
単な操作によって可能となることが要求され、それを実
現しようとする継手が従来から種々提案されている。そ
の一例として従来から使用されているものに、図示しな
いが、ロール鍛造によって凹凸状ねじを形成させた二本
の異形鉄筋にカプラを跨がるように螺合させるようにし
たものがある。このロール鍛造ねじは製作の関係上端部
のみに施すことができず、異形鉄筋の全長にわたって加
工することになって無駄が生じること、ロール鍛造では
ねじの成形精度を高くすることができず接続ガタが残る
こと、もしくは、ガタの吸収や除去のために過大な締付
力が工事現場で要求されることといった問題がある。
してカプラの締結作業を容易にした例として、実開昭4
9−95709号公報に記載されているようなカプラ構
造がある。これは、異形鉄筋の端部に別途製作したねじ
体を溶接しておき、その両ねじ体に跨がってカプラを螺
合させるようにしたものである。ねじ体は異形鉄筋に溶
接される前に製作されるので、ねじ精度を高く仕上げて
おくことができるのは言うまでもない。また、実開昭6
1−136011号公報には、単独で製作されたねじ体
を摩擦圧接によって接合した異形鉄筋を締結できるよう
にしたねじ式機械継手が記載されている。この例におい
てもねじの成形精度を高くしておくことができるので、
締結が容易でありまたガタのない接続が実現される。す
なわち、図6の(a)にあるように、軸方向に対向して
突き合わされる二本の異形鉄筋のうちの第一の異形鉄筋
31Aの対向端部位には、第一雄ねじ32Aを外周に形
成した短い棒状の第一接合端部材33Aが摩擦圧接法に
より圧着されている。一方、第二の異形鉄筋31Bの対
向端部位にも、第一雄ねじ32Aと同一ねじピッチ・同
一方向螺旋の第二雄ねじ32Bを外周に形成した短い棒
状の第二接合端部材33Bが摩擦圧接法により圧着され
ている。なお、図中の異形鉄筋31Aと接合端部材33
Aとの間および異形鉄筋31Bと接合端部材33Bとの
間の膨らみは、摩擦圧接されることによって変形してい
ることを示す。このような構造によると、第一雄ねじ3
2Aに螺合する第一雌ねじ34Aが一方端側に形成され
ると共に第二雄ねじ32Bに螺合する第二雌ねじ34B
が他方端側に形成されたカプラ34を用いて、二本の異
形鉄筋31A,31Bを接続することができる。すなわ
ち、図示しないが、第二雄ねじ32Bと第二雌ねじ34
Bとを予め深く螺合させておき、対向して配置された第
一の異形鉄筋31Aをカプラ34に臨ませた後に、カプ
ラ34の第一雌ねじ34Aと第一雄ねじ32Aとを噛み
合わせている。そして、第一雄ねじ32Aに予め螺合さ
せていた第一ロックナット35Aをカプラ34に当接し
て増し締めすると共に、第二雄ねじ32Bに予め螺合さ
せてあった第二ロックナット35Bをカプラ34に当接
して増し締めすると、二つの異形鉄筋31A,31Bを
軸方向に強固に締結した状態とすることができる。
いては、カプラ34を回転させて第二雄ねじ32Bと第
二雌ねじ34Bとの螺合量を少なくする一方、第一雄ね
じ32Aと第一雌ねじ34Aとの螺合量を増加させるこ
とになる。したがって、カプラ34の回転により各異形
鉄筋31A,31Bとカプラ34との必要螺合量を達成
させることができる。すなわち、第一の異形鉄筋31A
がすでに他の異形鉄筋に接続されて長くなっていても、
第一の異形鉄筋31Aを第二の異形鉄筋31Bに接近さ
せるとか一方を少し回転させるなどすることが可能であ
れば、何らの問題もなく締結作業を進めることができ
る。
コンクリートビームなどに埋め込まれており、それを工
事現場に配置したような場合には、もはや各異形鉄筋を
回転させたり軸方向へ変位させることができなくなる。
二本の異形鉄筋が任意の対向間隔で配置されていると、
上記した形式のカプラを用いても、両異形鉄筋を締結さ
せることは運よくいく場合を除いて不可能となる。図6
の(b)の例で言えば、異形鉄筋31A,31Bのいず
れもが回転不可能かつ軸方向に不動状態にあって、図示
したように、第一雌ねじ34Aを第一雄ねじ32Aに噛
み合わせる前の状態で、第一雌ねじ34Aのねじピッチ
p1 を仮想的に延長した二点鎖線で示す螺旋が第一雄ね
じ32Aの螺旋と一致しないときには、予め第二雄ねじ
32Bに螺合させていたカプラ34を回転させて第一雄
ねじ32Aの方向へ進出させても、カプラ34の第一雌
ねじ34Aは第一雄ねじ32Aに噛み合うことがない。
そのような場合には、図7の(a)のようなターンバッ
クル機構を使用したカプラ装置を採用せざるを得なくな
る。図において、カプラ44は第一カプラ44Mと第二
カプラ44Nとを有し、その間に左右逆方向螺旋の突出
ねじ46A,46Bを形成させたターンバックルねじ4
6Rが介在される。第二カプラ44Nを第二雄ねじ32
Bに深く噛み合わせておいた状態から、第一カプラ44
Mが第一雄ねじ32Aに接触する手前まで第二カプラ4
4Nを第二雄ねじ32Bに対して回転させる。しかし、
第一カプラ44Mに形成された第一雌ねじ44Aのねじ
ピッチp2 を仮想的に延長した二点鎖線で示す螺旋が第
一雄ねじ32Aの螺旋と一致するとは限らない。そこ
で、第一カプラ44Mを回転させることなくターンバッ
クルねじ46Rを少し回転させて第一カプラ44Mと第
二カプラ44Nとの間隔を若干広げると、図7の(b)
にように、第一カプラ44Mの第一雌ねじ44Aの螺旋
と第一雄ねじ32Aの螺旋とを一致させることができ
る。その後に、図示しないが、第二カプラ44Nを回転
させると第一カプラ44Mも右へ変位して、所望する締
結状態とすることができる。第一雌ねじ44Aと第一雄
ねじ32Aとの噛み合いが得られなければ、第一カプラ
44Mのみを少し回転させ、その回転によって増減した
軸方向の長さをターンバックルねじ46Rの回転によっ
て吸収させ、第一カプラ44Mと第二カプラ44Nとの
間隔を調整する。このような作業は手探り的ではある
が、慣れればほとんど問題なく簡単に操作することがで
きる。
第一ロックナット35Aや第二ロックナット35Bのほ
かに、図7の(b)に示すように、ターンバックルねじ
46R,第一カプラ44M,ターンバックルねじ46R
と第一カプラ44Mとの緩みを防止する中間ロックナッ
ト47A,ターンバックルねじ46Rと第二カプラ44
Nとの緩みを防止する中間ロックナット47Bが追加的
に必要となる。このようにねじ式機械継手を構成する部
品点数が図6の(a)の3点に比べて7点にも多くなる
こと、ターンバックルねじ46Rが逆ねじを伴う最も複
雑な構造となること、ねじ加工しなければならない箇所
が増えることといった事情があり、異形鉄筋を接続する
ための装置が著しくコスト高となるという問題がある。
前述のごとく、建設工事や土木工事においては極めて大
量の異形鉄筋が使用されることから、それぞれの接続の
ために各カプラがコストアップとなるということは、工
事全体に及ぼす価格増加が無視できないものとなる。
で、その目的は、接続すべき対向する異形鉄筋が回転不
可能でかつ軸方向変位の阻止された状態においても接続
することができること、その二つの異形鉄筋の対向間距
離がその都度少し違っていても両異形鉄筋に所望する締
結強度を達成させることができること、ターンバックル
方式のように部品点数の著しい増加をきたさず廉価なカ
プラ構成とすることができること、を実現した摩擦圧接
を用いた異形鉄筋のねじ式機械継手を提供することであ
る。
して突き合わされる二本の異形鉄筋のうちの一方の異形
鉄筋の対向端部位に、第一雄ねじを外周に形成した短い
棒状の第一接合端部材が摩擦圧接法により圧着され、他
方の異形鉄筋の対向端部位に、第一雄ねじと同一ねじピ
ッチ・同一方向螺旋の第二雄ねじを外周に形成した短い
棒状の第二接合端部材が摩擦圧接法により圧着され、第
一雄ねじおよび第二雄ねじに螺合する雌ねじが形成され
たカプラを用いて、二本の異形鉄筋を接続することがで
きるようにした異形鉄筋のねじ式機械継手に適用され
る。その特徴とするところは、図1を参照して、カプラ
5は、接合雄ねじ6Aが軸方向に突出して形成された第
一カプラ5Mと、その接合雄ねじ6Aに螺合する接合雌
ねじ6Bが形成された第二カプラ5Nとからなる。その
第一カプラ5Mの接合雄ねじ6Aとは軸方向反対側に第
一雄ねじ2Aを螺合させることができる第一雌ねじ4A
が形成され、第二カプラ5Nの接合雌ねじ6Bとは軸方
向反対側に第二雄ねじ2Bを螺合させることができる第
二雌ねじ4Bが形成される。接合雌ねじ6Bに螺合する
接合雄ねじ6Aは、第二雌ねじ4Bに螺合する第二雄ね
じ2Bのねじピッチpa と同一方向螺旋であるがねじピ
ッチがpb といったごとく異なるように選定され、第一
雄ねじ2Aには第一ロックナット7Aが螺合されると共
に第二雄ねじ2Bにも第二ロックナット7Bが螺合さ
れ、かつ、接合雄ねじ6Aには中間ロックナット7Cが
螺合される。異形鉄筋1A,1Bのいずれもが回転不可
能かつ軸方向に不動状態にあって、第一雌ねじ4Aのね
じピッチpa を仮想的に延長した螺旋(図1の下半部を
参照)が第一雄ねじ2Aの螺旋と一致しないとき、第二
カプラ5Nを第二雄ねじ2Bに対して回転させその第二
カプラ5Nを第一雄ねじ2Aの方向へ変位させると共に
適宜後退させ、第一カプラ5Mを第二カプラ5Nに対し
て回転させその第一カプラ5Mをいずれかの方向へ変位
させることによって、第一雌ねじ4Aと第一雄ねじ2A
との螺合を実現し、中間ロックナット7Cを第二カプラ
5Nに当接させて増し締めし、第一ロックナット7Aと
第二ロックナット7Bとをそれぞれ第一カプラ5Mと第
二カプラ5Nに当接して増し締めした状態で、二つの異
形鉄筋1A,1Bを軸方向に強固に接続した状態とする
ことができるようにしたことである。
るがねじピッチの異なる前記した接合雄ねじ6Aに代え
て、図5の(a)のように、第二雄ねじ2Bとは逆方向
螺旋であって任意長のねじピッチpc を有する接合雄ね
じ16Aを採用したものとしておいてもよい。
Aを外周に形成した短い棒状の第一接合端部材3Aを摩
擦圧接法により圧着しておく。また、他方の異形鉄筋1
Bの端部位にも、第一雄ねじ2Aと同一ねじピッチpa
でかつ同一方向螺旋の第二雄ねじ2Bを外周に形成した
短い棒状の第二接合端部材3Bを摩擦圧接法により圧着
しておく。そして、第一雄ねじ2Aと第二雄ねじ2Bと
が対向するようにして二本の異形鉄筋1A,1Bを配置
する。建築物の工事などにおいては、異形鉄筋1A,1
Bはすでにそれぞれ回転および変位不能な状態に置かれ
ていることがあるが、その以前にカプラ5は例えば第二
雄ねじ2Bに予め取り付けられている。そして、第一雄
ねじ2Aに螺合する第一雌ねじ4Aが形成された第一カ
プラ5Mに突出させた接合雄ねじ6Aを、第二雄ねじ2
Bに螺合する第二雌ねじ4Bを形成した第二カプラ5N
の接合雌ねじ6Bにある程度深く予め螺合しておく。こ
の状態において、図1の下半部に示すごとく、第一雌ね
じ4Aのねじピッチpa を仮想的に延長した螺旋が第一
雄ねじ2Aの螺旋と一致しないときでも、第二カプラ5
Nを第二雄ねじ2Bに対して回転させて第二カプラ5N
を第一雄ねじ2Aの方向へ変位させる。そして、第一カ
プラ5Mを第二カプラ5Nに対して回転させて第一カプ
ラ5Mをさらに第一雄ねじ2Aの方向へ変位させる。こ
のようにしてカプラ5の長さを変化させつつ第一雄ねじ
2Aの方向へ変位させたとき、第一雌ねじ4Aが第一雄
ねじ2Aに噛み合わなければ、再度、第一カプラ5Mお
よび必要に応じて第二カプラ5Nを左右いずれかの方向
へ変位するように回転させる。接合雌ねじ6Bに螺合す
る接合雄ねじ6Aは、第二雌ねじ4Bに螺合する第二雄
ねじ2Bのねじピッチpa と同一方向螺旋であるがねじ
ピッチがpb といったごとく異なるように選定されてい
るので、上記の操作をする間に第一雌ねじ4Aが第一雄
ねじ2Aと噛み合いを達成する状態が実現される。第一
雌ねじ4Aが第一雄ねじ2Aと噛み合うようであれば、
第二カプラ5Nおよび必要に応じて第一カプラ5Mを回
転させ、カプラ5の全体を第一雄ねじ2Aの方向へ変位
させ、第一雌ねじ4Aと第一雄ねじ2Aとの所望する螺
合量が得られるまで前進させる。いずれのねじ部分も締
結に必要な螺合量が達成された時点でカプラ5の変位操
作を止め、中間ロックナット7Cを第二カプラ5Nに当
接させて増し締めする。また、第一ロックナット7Aと
第二ロックナット7Bとをそれぞれ第一カプラ5Mと第
二カプラ5Nに当接して増し締めすると、二つの異形鉄
筋1A,1Bは軸方向に強固に接続された状態となる
(図3の(b)を参照)。
や接合雌ねじ16Bが第一雄ねじ2Aや第二雄ねじ2B
に対して逆方向螺旋となっている場合にも、上記と同じ
ような手順で異形鉄筋1A,1Bを締結することができ
る。この場合は、接合雄ねじ16Aのねじピッチpc が
第一雄ねじ2Aなどのねじピッチpa と同じであって
も、第一雌ねじ4Aを第一雄ねじ2Aに噛み合わせるこ
とができる。
異形鉄筋が既に固定状態に置かれて回転と変位が不可能
であっても、予め例えば第二雄ねじ2Bに取り付けられ
ている第二カプラとそれに接続されている第一カプラの
回転を適宜選択することによって、第一雌ねじを第一雄
ねじに噛み合わせることができ、両異形鉄筋の接続が可
能となる。そのカプラを構成する部品点数は、第一ロッ
クナット,第一カプラ,中間ロックナット,第二カプ
ラ,第二ロックナットの5点でよく、同一機能を発揮さ
せるために採用される従来技術のところで述べたターン
バックル方式のカプラに比べれば少ない数の部品で達成
できる。しかも、ねじを成形しておかなければならない
箇所の数も少なくなる。したがって、建築工事や土木工
事において何百何千個と使用されるねじ式機械継手に要
する費用の可及的な低減が実現され、工事費の高騰を抑
制することができるようになる。
とは逆螺旋となるねじを形成させておく場合にも、上記
と同様の効果が発揮される。しかも、いずれのねじをも
同一径・同一ねじピッチとしておくこともでき、その加
工に要する製作機械等の設備費に及ぼす影響を少なくす
ることができる。
基にして詳細に説明する。図1は本発明に係るカプラを
採用して二本の異形鉄筋を接続しようとする状態であ
り、その構成は次のようになっている。軸方向に対向し
て突き合わされる二本の異形鉄筋1A,1Bのうちの一
方の異形鉄筋1Aの対向端部位に、その異形鉄筋1Aと
同等以上の断面積を有しかつその外周に第一雄ねじ2A
を形成した短い棒状の第一接合端部材3Aが摩擦圧接法
により圧着されている。すなわち、異形鉄筋1Aは、そ
れが製作された後に第一接合端部材3Aを押圧しながら
回転させることによって発生した摩擦熱により、第一接
合端部材3Aと異形鉄筋1Aのそれぞれの端部が溶着さ
れて一体となっている。なお、第一接合端部材3Aには
摩擦圧接前に第一雄ねじ2Aが形成されているが、その
第一雄ねじ2Aは第一接合端部材3Aが単体の状態にあ
るとき成形加工されるので、ロール鍛造した場合などに
比べれば著しく精度の高いJISの1級ないし2級ねじ
としておくことができる。一方、他方の異形鉄筋1Bの
対向端部位には、その異形鉄筋1Bと同等以上の断面積
を有しかつその外周に第一雄ねじ2Aと同一ねじピッチ
・同一方向螺旋の第二雄ねじ2Bを形成した短い棒状の
第二接合端部材3Bが摩擦圧接法により圧着され、上記
した一方の異形鉄筋1Aと同じ形態となっている。ちな
みに、通常は、第一雄ねじ2Aと第二雄ねじ2Bとは、
ともに右ねじが採用される。もちろん、いずれをも左ね
じとしておいてよいが、接続作業する人の操作感覚から
すれば、前者の採用されることが多い。以下では、右ね
じであるとして説明する。上記した第一雄ねじ2Aの先
端から摩擦圧接部の中心までは例えば65mmとされ、
第二雄ねじ2Bの先端から摩擦圧接部の中心までは例え
ば95mmであって、前者よりも長く選定されている。
これは、後述する第二カプラ5Nを第二雄ねじ2Bに予
め深く螺合させておくことができるようにするためであ
る。このような第一雄ねじ2Aおよび第二雄ねじ2Bに
螺合させるために、一方端には第一雌ねじ4Aが、他方
端には第二雌ねじ4Bの形成されたカプラ5が採用さ
れ、このカプラがねじ式機械継手を構成している。
であり、接合雄ねじ6Aが軸方向へ突出して形成された
第一カプラ5Mと、その接合雄ねじ6Aに螺合する接合
雌ねじ6Bが形成された第二カプラ5Nとからなってい
る。それゆえに、第一カプラ5Mには、接合雄ねじ6A
と軸方向反対側に前記した第一雄ねじ2Aを螺合させる
ことができる第一雌ねじ4Aが形成される一方、第二カ
プラ5Nには、接合雌ねじ6Bと軸方向反対側に第二雄
ねじ2Bを螺合させることができる第二雌ねじ4Bが形
成される。上記したごとく、第一雄ねじ2Aと第二雄ね
じ2Bとは同一ねじピッチ・同一方向螺旋であるので、
第一雌ねじ4Aと第二雌ねじ4Bも同様の形態であるこ
とは述べるまでもない。しかし、上記した接合雌ねじ6
Bに螺合する接合雄ねじ6Aが、第一雄ねじ2Aや第二
雄ねじ2Bと同一方向の螺旋、すなわち、右ねじである
場合には、後述する理由によって、そのねじピッチが第
一雄ねじ2Aなどとは異なるように選定される。なお、
第一カプラ5Mにおける接合雄ねじ6Aの形成されてい
ない胴部5mや第二カプラ5Nは作業者の手によって回
転されるので、その外形は回転させやすい例えば六角形
としておけばよい。しかし、実質的には、これらを回転
する際に大きいトルクを作用させる必要がないので、外
形を丸くした円筒状としておいて何ら差し支えない。そ
の場合には加工手間が六角形に比べ著しく軽減される。
ちなみに、カプラ5による異形鉄筋1A,1Bの締結を
強固にするためにレンチやスパナが使用されるが、それ
は、次に述べるロックナット7A,7B,7Cを増し締
めするときだけである。
螺合が変化しないようにすなわち締結作業の後に噛み合
いの緩みが生じないように、第一ロックナット7Aが予
め螺合されている。一方、第二雄ねじ2Bには、第二雌
ねじ4Bとの螺合が変化しないように、第二ロックナッ
ト7Bが予め螺合される。それに加えて、上記した接合
雄ねじ6Aには、接合雌ねじ6Bとの螺合が変化しない
ように一つの中間ロックナット7Cが螺合されている。
いずれのロックナットも増し締めすることによって緩み
止めがなされ、カプラ5の一体化と二本の異形鉄筋1
A,1Bとの固縛を永久的に維持させることができるよ
うにするためである。このような構成においては、異形
鉄筋1A,1Bのいずれもが回転不可能かつ軸方向に不
動状態にあって、図1の下部分に表したように、第一雌
ねじ4Aのねじピッチpa を仮想的に延長した二点鎖線
で示す螺旋が、第一雄ねじ2Aの螺旋と一致しないとき
がある。その場合には、図2の(a)のように、第二カ
プラ5Nを第二雄ねじ2Bに対して螺合量を減らす方向
へ回転して右行させる。すなわち、第二カプラ5Nを第
一雄ねじ2Aの方向へ変位させる。また、変位させ過ぎ
た場合などには適宜若干後退させる。加えて、図2の
(b)に示すように、第一カプラ5Mを第二カプラ5N
から離反する方向へ回転して右行させ、すなわち、接合
雄ねじ6Aと接合雌ねじ6Bとの螺合量を減らして第一
カプラ5Mを第一雄ねじ2Aの方向へ変位させれば、第
一雌ねじ4Aと第一雄ねじ2Aとの螺合を実現すること
ができる。もちろん、図1の下半部における状態で、第
一雌ねじ4Aのねじピッチpa を仮想的に延長した螺旋
が第一雄ねじ2Aの螺旋と予め一致していることも稀に
ある(図示せず)が、そのような場合には、第二カプラ
5Nを第二雄ねじ2Bに対して回転させるだけでよいこ
とは述べるまでもない。
にある異形鉄筋1A,1Bが任意の間隔で配置されてい
る場合の第一雌ねじ4Aと第一雄ねじ2Aとの螺合の可
否を数式を用いて説明する。図1において、第一雄ねじ
2Aおよび第二雄ねじ2Bのねじピッチはpa であり、
接合雄ねじ6Aのねじピッチをpb とする。そこで、第
一雌ねじ4Aと第一雄ねじ2Aとを螺合させるのは、ま
ず、第一雌ねじ4Aのねじピッチが第一雄ねじ2Aのね
じピッチに一致するまで、すなわち、間隔L(下半部に
図示)だけカプラ5を第一の異形鉄筋1Aの方向へ移動
させなければならない。いま、第二カプラ5Nを第二雄
ねじ2Bに対して螺合量を減らす方向へN回転して右行
させ、第一カプラ5Mを第二カプラ5Nに対して螺合量
を減らす方向へM回転して右行させたなら間隔Lだけ前
進させることができるとすると、その関係は以下のよう
に表わされる。
は限らないので、N=n+βとおく。なお、nは整数で
あり、βは1よりも小さい正数とする。また、第一カプ
ラ5Mの回転量Mも整数回転とは限らないので、M=m
+αとし、mを整数、αを1より小さい正数とする。し
たがって、上記した式は、次のように書き替えることが
できる。
カプラ5Mと第二カプラ5Nとによって変化されると共
にカプラ5が第一雄ねじ2Aの方向へ変位されるので、
間隔Lを吸収させることができる。しかし、それによっ
て、第一雄ねじ2Aに噛み合うはずの第一雌ねじ4Aの
位相θが、(β+α)の回転分だけ当初からずれること
になる。これでは、第一雌ねじ4Aの螺旋を第一雄ねじ
2Aの螺旋に一致させることができなくなる。上記した
ように、0≦α<1および0≦β<1であるとしている
ので、以下の式も満たされなければ、第一雌ねじ4Aと
第一雄ねじ2Aとの螺合が不可能となることが理解され
る。
とき、式(1) と式(2)もしくは式(1) と式(2A)とを満た
すことが要求される。ちなみに、第二カプラ5Nを第二
雄ねじ2Bに対して螺合量を増やす方向へ回転させる一
方、第一カプラ5Mを第二カプラ5Nに対して螺合量を
減らす方向へ回転させるとか、その逆の組み合わせとす
る場合には、上記のM,Nのうちの一方が負数となるの
で、上記の式(2A)が適用される。式(1) および式(2) も
しくは式(1) および式(2A)において、未知数はm,n,
αおよびβの4つであり、等式が2つであるがゆえに、
その解は不定であることが分かる。したがって、式(1)
と式(2) とを満足するm1 ,n1 ,α1 ,β1 もしくは
式(1) と式(2A)とを満足するm2 ,n2 ,α2 ,β2 を
選定すれば、第一雌ねじ4Aを第一雄ねじ2Aに螺合さ
せることができる。
一雄ねじ2Aのねじピッチpa と接合雄ねじ6Aのねじ
ピッチpb が一致する場合を検討する。pa ≡pb ≡p
として、式(1) を書き換えると、
れる。
逆方向へ回転させる場合は、式(2A)を用いて以下のよう
に表すことができる。
整数であるから、左辺は整数である。したがって、右辺
も整数でなければならないということになる。すなわ
ち、Lがpの整数倍であるときのみ、式(3) や式(3A)が
成立する。この結果から明らかなように、pa =pb の
場合には、L=γ×pa (ただし、γは整数)のときに
限って、第一雄ねじ2Aと第一雌ねじ4Aとの噛み合い
が可能になることが分かる。逆に言えば、間隔Lがγ×
pa でない任意の長さである場合には、第一雌ねじ4A
を第一雄ねじ2Aに螺合させることができないことが理
解される。それゆえに、前述したごとく、本発明におい
ては、接合雄ねじ6Aと接合雌ねじ6Bの螺旋が第一雄
ねじ2Aや第二雄ねじ2Bと同一方向である場合にはね
じピッチを異ならせているのであり、そうすれば、理論
上は如何なる長さの間隔Lが存在しても螺合させること
ができることになる。
メートル並目ねじM33であって、そのねじピッチpa
が3.5mmである一方、接合雄ねじ6Aはねじピッチ
pbが1.5mmのメートル細目ねじM33であり、間
隔Lが15.8mmになっている例をもとにして、第一
雄ねじ2Aと第一雌ねじ4Aとの噛み合いの可否を例示
する。なお、L=15.8mmは、第二雄ねじ2Bに螺
合する第二カプラ5Nと接合雌ねじ6Bに螺合する第一
カプラ5Mとをそれぞれ整数倍回転させても実現されな
い任意な長さを意図的に挙げている。上記のL=15.
8を満たす例は以下の表のように列記される。もちろ
ん、式(1) のみ満たす数値の組合せは無限通り存在する
が、表記の少量化を図る意味で第一カプラ5Mと第二カ
プラ5Nを共に同じ方向へ回転させ、かつ、回転角度を
36度すなわち1/10回転ずつさせたものを摘出して
いる。
は、例示番号の2と7と12である。36度刻みに第一
カプラ5Mと第二カプラ5Nとを回転させた場合でも1
5通りがあるうち3通りが条件を満たすことになる。回
転を1度刻みにすれば、その螺合可能例はもっと沢山存
在することが容易に推測できる。ところで、上記した満
足な各回転数をそれぞれに得ることは表のうえから容易
でないように見える。しかし、実際に操作する場合の第
一雌ねじ4Aと第一雄ねじ2Aの噛み合いの可能性や噛
み合いの開始は、カプラ5を操作する作業者が感じる手
応えで判定することができる。したがって、慣れればほ
んの1秒ないしは2秒もあれば噛み合せを開始させるこ
とができる。
1における例示番号12をもとに、次に例示された各部
材の寸法(図1の右から左に並ぶ部材の順に記載)にお
ける操作手順を、次に説明する。
ら外部に現れるようにして、第一の異形鉄筋1Aを例え
ばプレキャストコンクリートビーム8A(図1参照)の
製作時に補強筋として予め埋設しておく。一方、第二雄
ねじ2Bが端面などから外部に現れるようにして、第二
の異形鉄筋1Bを他のプレキャストコンクリートビーム
8Bの製作時に補強筋として予め埋設しておく。 〔手順2〕 第一ロックナット7Aを第一雄ねじ2Aの
適宜な位置に噛み合わせておく。一方、第二ロックナッ
ト7Bを第二雄ねじ2Bの可能な限り左端に噛み合わせ
ておいたうえで、第二カプラ5Nも可能な限り深く第二
雄ねじ2Bに螺合しておく。そして、その第二カプラ5
Nの接合雌ねじ6Bに、予め中間ロックナット7Cを噛
み合わせた接合雄ねじ6Aを適宜の長さに螺合させてお
く。 〔手順3〕 上記のプレキャストコンクリートビーム8
A,8Bをクレーンなどで建設中の構築物の所望箇所へ
配置する。もちろん、両ビーム8A,8Bを配置する時
点で、ビーム端から現れている第二雄ねじ2Bに取り付
けられたカプラ5と第一雄ねじ2Aとが干渉することの
ない任意の間隔を残して静置される(図1の状態を参
照)。この設置状態以後は、もはやプレキャストコンク
リートビーム8A,8Bが動かされることはない。した
がって、接続すべき対向する第一の異形鉄筋1Aと第二
の異形鉄筋1Bとは、軸方向に変位させることも回転さ
せることもできない状態となっている。 〔手順4〕 いま、両ビームの配置状態において、第一
カプラ5Mにおける第一雌ねじ4Aの右端のねじ山と第
一雄ねじ2Aの左端のねじ山とが噛み合うことができる
間隔Lは15.8mmになっていたとする。作業者が、
とりあえずは、第二カプラ5Nを3.1回転させる。こ
のとき第一カプラ5Mも付随して回転するので、その第
一カプラ5Mの右端は3.1×3.5=10.85mm
右へ変位する(図2の(a)を参照)。その状態から、
第一カプラ5Mを第二カプラ5Nに対して3.3回転さ
せ、第一カプラ5Mの右端をさらに1.5×3.3=
4.95mm右へ変位させる。この時点でその右端は合
計10.85+4.95=15.8mm右方向へ変位し
たことになる。これは、表1中の例示番号11に相当す
る操作をたまたま行ったことに相当する。しかし、前述
したごとくα+βすなわち0.3+0.1は0.4であ
って1でないので、第一カプラ5Mを第一雄ねじ2Aと
噛み合わせることができない。そこで、第一カプラ5M
を逆方向へ0.7回転させると共に、第二カプラ5Nを
正方向へ0.3回転させる。すなわち、最初の状態から
すれば、第一カプラ5Mは2.6回転、第二カプラ5N
を3.4回転させた状態とする。言い換えると、第一カ
プラ5Mは第二カプラ5Nとの螺合量を増やす方向に回
転されて左へ1.05mm変位し、第二カプラ5Nは右
へさらに1.05mm変位する。その結果、第一カプラ
5Mの最初からの変位量は4.95−1.05=3.9
0mmであり、第二カプラ5Nの最初からの変位量は1
0.85+1.05=11.90mmとなる。これは、
表1中の例示番号12に相当することが分かる。この時
点では、最初の状態から直接計算するとα+β=0.6
+0.4=1であって、式(2) を満たしている。また、
累積計算するとα+β=(0.3−0.7)+(0.1
+0.3)=0であり、式(2A)を満たしており、第一雄
ねじ2Aに第一雌ねじ4Aを噛み合わせることができる
(図2の(b)を参照)。 〔手順5〕 上記した状態において第二カプラ5Nを回
転させると、第一カプラ5Mも付随して同じ量だけ回転
するので、第一雌ねじ4Aを第一雄ねじ2Aに深く螺合
させていくことができる。この操作を実際に行ってみる
と、第一カプラ5Mと第二カプラ5Nからなるカプラ5
は簡単に前進するが、何らかの理由で第二カプラ5Nの
回転をもってしても第一カプラ5Mの前進が円滑でない
ときには、中間ロックナット7Cを第二カプラ5Nの方
向へ変位させ、当接した状態で増し締めしてカプラ5を
一体化しておけばよい。この場合に、折角達成した第一
カプラ5Mと第二カプラ5Nとの調整状態をほとんど狂
わせないように、すなわち、接合雄ねじ6Aと接合雌ね
じ6Bとの螺合量が変化しないように、両カプラ5M,
5Nの相対回転を阻止した状態で中間ロックナット7C
を増し締めすることが肝要である。しかし、実際には、
そのような操作の必要性が極めて低いことは上述したと
おりである。 〔手順6〕 図3の(a)のように、第一雌ねじ4Aと
第一雄ねじ2Aとが設計耐力を発揮させるに十分な例え
ば25mm以上となるまで噛み合わされた時点で回転を
停止させる。このとき、第二雌ねじ4Bと第二雄ねじ2
Bとの螺合量が減少することはもちろんであるが、接合
雄ねじ6Aと接合雌ねじ6Bとの螺合量は変化すること
がない。なお、この操作において、第二雌ねじ4Bと第
二雄ねじ2Bとの螺合量が設計耐力を発揮させるに十分
な例えば25mm以上に確保され、かつ、接合雄ねじ6
Aと接合雌ねじ6Bとの螺合量が設計耐力を発揮させる
に十分な例えば30mm以上となるように配慮しておく
ことは言うまでもない。一般的にはさほど気に止めるま
でもなく、その長さが確保されるように表2に示したよ
うな寸法が選定されている。しかし、極端に言って、カ
プラ5により異形鉄筋1A,1Bを締結したとき、いず
れかの箇所での螺合量が大きすぎもしくは少なすぎて所
望外であれば、例えば前述の例で言えば例示番号12の
状態から例示番号7もしくはさらに遡った例示番号2ま
でに変更すればよい。上記したごとく、表1は0.1回
転刻みで表したものであるから、実際にはそれ以下の回
転量でもって、すなわち、例示番号12の状態から例示
番号7の状態にするまでもなく、もしくは、例示番号7
から例示番号2にするまでもなく、いずれかの螺合部分
において所望する噛み合いを達成させることができる。
一雄ねじ2A,第二雄ねじ2Bも、第一カプラ5Mに形
成された第一雌ねじ4A,第二カプラ5Nに形成された
第二雌ねじ4Bも、さらには、接合雄ねじ6Aと接合雌
ねじ6BもJISの1級などに基づいたものであるか
ら、上記した噛み合わせ時の締結強度は高く、また、ガ
タのほとんどない接続状態が得られる。最後に、中間ロ
ックナット7Cがすでに増し締めされた状態になけれ
ば、図3の(b)に示すように、中間ロックナット7C
を第二カプラ5Nに当接させてレンチなどで増し締め
し、その後に第一ロックナット7Aを第一カプラ5Mに
当接して増し締めすると共に、第二ロックナット7Bも
第二カプラ5Nに当接させて増し締めする。これでもっ
て二本の異形鉄筋1A,1Bが完全かつ確実にそして極
めて強固に接続された状態が得られる。
異形鉄筋1A,1Bの任意配置に対するねじ式機械継手
によった締結可否について触れておく。図4の(a)
は、第二カプラ5Nを可能な限り異形鉄筋1Bの方向へ
寄せ、第一カプラ5Mの接合雄ねじ6Aを最大限度に第
二カプラ5Nに挿入した状態で、異形鉄筋1Aをカプラ
5に可及的に接近して配置した場合を示している。すな
わち、カプラ5を予め取り付けたプレキャストコンクリ
ートビーム8Bの配置に対して、プレキャストコンクリ
ートビーム8Aがたまたまぎりぎりに近接して配置され
た場合の限界的な配置状態である。このような配置であ
っても、少しの余裕があれば上記した締結作動の説明か
ら分かるように、異形鉄筋1A,1Bを接続することが
できるのは容易に理解できるところである。その異形鉄
筋1A,1Bの摩擦圧接部間距離は、左から95,1
0,60,50,65であって、その合計は280であ
る。したがって、表2に記載のカプラ5の場合には異形
鉄筋間の距離が少なくとも280mmを隔てて配置され
ればよいことが分かる。一方、ねじの螺合による締結に
必要な耐力を発揮させるために、前述した最小限度25
mmおよび30mmの螺合量がそれぞれの箇所に要求さ
れると仮定すると、図4の(b)のような締結状態の配
置となる。これによると異形鉄筋1A,1Bの摩擦圧接
部間距離は、95+110−25+60−30+50−
25+65=300mmとなる。したがって、異形鉄筋
1A,1Bは上記した280mmないし300mmまで
の任意の間隔で配置しておけば、すなわち、20mmの
範囲でプレキャストコンクリートビーム8A,8Bの配
置上の誤差が許容され、その誤差内にあれば、表2の寸
法のカプラ5でもって所望する強度の締結を達成するこ
とができる。例えば前述したL=15.8mmの例は、
280+15.8=295.8mmの摩擦圧接部間距離
で異形鉄筋1A,1Bが配置された場合の一例であるこ
とが分かる。蛇足ではあるが、他の例として当初に第一
カプラ5Mの右端が3.2mm右方向へ変位されていた
とすれば、異形鉄筋1A,1Bの摩擦圧接部間距離が2
99.0mmであったということになる。
ねじ16Aが第二雄ねじ2Bなどとは逆方向螺旋であっ
て、そのねじピッチがpc の場合について述べる。い
ま、第二カプラ15Nを第二雄ねじ2Bに対して螺合量
を減らす方向へ(n+β)回転して右行させると共に、
第一カプラ15Mを第二カプラ15Nに対して螺合量を
減らす方向へ(m+α)回転して右行させたとき、間隔
L(図示せず)だけ前進させることができたとすると、
その関係は以下のように表すことができる。なお、m,
n,α,βの定義は、前記した式(1) のところで述べた
ものと同じである。
二カプラ15Nとによって全長が伸びるように変化しな
がら右行させることができるが、それによって第一雄ね
じ2Aに噛み合うはずの第一雌ねじ4Aの位相が(α−
β)の回転分だけ当初から変化することになる。これで
は、第一雌ねじ4Aの螺旋と第一雄ねじ2Aの螺旋とを
一致させることができない。上記したように、0≦α<
1および0≦β<1であるとしているので、以下の式も
満たされなければ、第一雌ねじ4Aと第一雄ねじ2Aと
の螺合は不可能となる。
とき、式(4) と式(5)とを満たすことが要求される。ち
なみに、第二カプラ15Nを第二雄ねじ2Bに対して螺
合量を減らす方向へ回転して右行させると共に第一カプ
ラ15Mを第二カプラ15Nに対して螺合量を増やす方
向へ回転して左行させるとか、その逆の組み合わせにお
いては、上記のM,Nのうちの一方が負数となるので、
その場合には、例えば−1<α≦0ということになる。
したがって、
第一カプラ15Mも第二カプラ15Nも、とりあえずは
第一雄ねじ2Aの方向へ変位するように回転させるもの
とする。式(4) と式(5) において未知数はm,n,αお
よびβの4つであり、等式が2つであるがゆえに、その
解は不定であることが分かる。したがって、式(4) と式
(5)とを満足するm3 ,n3 ,α3 ,β3 を選定すれ
ば、螺合させることができると理解される。逆ねじの接
合雄ねじ16Aを有する第一カプラ15Mを第二雄ねじ
2Bの方向へ後退するように回転させるならば、式(4)
と式(5A)とを満足するm4 ,n4 ,α4 ,β4 を選定す
ればよい。
き合いに出して考えると、以下のことが言える。pa ≡
pc ≡pとして、式(4) を書き換えると、
正転させる場合には、式(5A)を用いて以下のように表す
ことができる。
あるが、αが含まれているので左辺は整数であるとは限
らない。したがって、右辺も整数である必要がないとい
うことなる。すなわち、Lがpの整数倍でなくてもよい
ことが分かる。このことから接合雄ねじ16Aが第一雄
ねじ2Aなどとは逆螺旋のねじである場合に、Lがねじ
ピッチpa の整数倍でなければならないという理由の存
在しないことが理解される。このようなことから、接合
雄ねじ16Aのねじピッチpc は如何にあれ、第一雄ね
じ2Aなどとは逆のねじになっているならば、そのねじ
ピッチpa ,pc の大小に何ら制約を受けることがな
い。それゆえに、如何なるピッチの接合雄ねじ16Aと
接合雌ねじ16Bをもってしても、前述した各手順と同
様な要領で操作して、第一雌ねじ4Aを第一雄ねじ2A
に噛み合わせることができる。
部品点数はロックナットを含めて5つであり、図7の
(a)に記載したターンバックル方式と同一機能、すな
わち、対向する二本の異形鉄筋が変位も回転も不能な状
態においても締結することができるという効果を発揮す
るにもかかわらず、その7つよりは少なく、かつ、ねじ
加工部分も少なくすることができる。それゆえ、一つの
建築物や構築物において大量に消費されるねじ式機械継
手の全体的なコストダウンが大幅に図られる。
5Mの接合雄ねじ6Aや第一カプラ15Mの接合雄ねじ
16Aは胴部5m,15mと予め一体に製作されてい
る。しかし、図5の(b)に示すように、第一カプラ2
5Mを六角ボス付き植込ボルト25nと胴部25mとか
ら構成させることもできる。六角ボス付き植込ボルト2
5nに施された接合雄ねじ26Aは第二カプラ25Nに
形成した接合雌ねじ26Bに螺合されることは言うまで
もない。一方、接合雄ねじ26Aとは反対側の植込ボル
ト部26Kは胴部25mに形成した雌ねじ26Sに螺合
される。しかし、この植込ボルト部26Kは第一カプラ
25Mの長さを変化させる目的がなく、製作時に螺合さ
せた後は、ボス部26Tを増し締めして六角ボス付き植
込ボルト25nと胴部25mとが強固に固縛された状態
とされる。このようにすると部品点数が増加する難点は
あるが、植込ボルト部26Kのねじ径とピッチさらには
螺旋方向をも第一雌ねじ4Aと一致させておく場合に
は、雌ねじ26Sと第一雌ねじ4Aとを一度に連続して
形成させることができる。これによって、第一カプラ2
5Mの製作コストを大きく増加することなく、同一機能
を発揮させることができる。また、その胴部25mをパ
イプ材から製作することもできるようになり、第一カプ
ラ25Mの製作がコストアップとなることは抑制され
る。なお、接合雄ねじ26Aには、前述した接合雄ねじ
6Aと同等のものを採用することも、逆ねじである接合
雄ねじ16Aと同等のものを採用することもできること
は言うまでもない。
の大きさは設計荷重に耐えることができるようなものが
採用されるが、そのねじ径の相互間の大小は適宜選択す
ることができる。したがって、いずれのねじ径をも同じ
にしておくならば、ねじを成形するための機械設備の負
担増を抑制することができる。また、異形鉄筋の対向端
部位に摩擦圧接法によって圧着される接合端部材の雄ね
じは、異形鉄筋と同等以上の耐力を備えていればよいの
で、その材質等の選択によって、すなわち、普通鋼に代
えて高張力鋼などを採用すれば、異形鉄筋の断面積以下
のねじを採用することができる。
鉄筋を締結した後のプレキャストコンクリートビームの
間には、カプラなどを埋め込み、梁としての連続性が得
られるように、爾後的にコンクリートが打設される。本
発明の説明においては、異形鉄筋がプレキャストコンク
リートビームに埋設されているような場合を例にしてい
るが、それに限らず、異形鉄筋を軸方向へ変位させたり
回転させることができないような状況にある場合に適用
できることは述べるまでもない。もちろん、そのような
条件下でなくても使用できるが、そのような場合には、
最も廉価な図6の(a)示したねじ式機械継手を採用す
れば十分である。
じ式機械継手の締結前の状態を示した縦断面図。
二カプラによるカプラ全体の変位状態図、(b)は第一
カプラを第二カプラから少し離隔して第一雌ねじの螺旋
と第一雄ねじの螺旋とを一致させた時点での変位状態
図。
し、(a)は第一カプラを第一雄ねじに所望量螺合させ
た状態図、(b)は各ロックナットを増し締めしてカプ
ラによって二本の異形鉄筋を締結した状態図。
し、(a)は許容される最小離隔状態での配置説明図、
(b)は許容される最大離隔状態での配置説明図。
は接合雄ねじに第一雄ねじなどとは逆螺旋のねじを適用
した場合の締結状態図、(b)は六角ボス付き植込ボル
トを使用して第一カプラを構成させた場合の締結状態
図。
(a)は締結状態を説明した縦断面図、(b)はカプラ
に形成された雌ねじが接合端部材に形成された第一雄ね
じと噛み合わすことができなくなることを説明した配置
図。
けるねじ式機械継手であって、(a)は第一雌ねじを第
一雄ねじに噛み合わせる前の状態図、(b)は第一雌ね
じを第一雄ねじに噛み合わせることができるように調整
した時点での配置図。
第一雄ねじ、2B…第二雄ねじ、3A…第一接合端部
材、3B…第二接合端部材、4A…第一雌ねじ、4B…
第二雌ねじ、5…カプラ、5M…第一カプラ、5N…第
二カプラ、6A…接合雄ねじ、6B…接合雌ねじ、7A
…第一ロックナット、7B…第二ロックナット、7C…
中間ロックナット、15M…第一カプラ、15N…第二
カプラ、16A…接合雄ねじ、16B…接合雌ねじ、2
5M…第一カプラ、25N…第二カプラ、26A…接合
雄ねじ、26B…接合雌ねじ。
Claims (2)
- 【請求項1】 軸方向に対向して突き合わされる二本の
異形鉄筋のうちの一方の異形鉄筋の対向端部位に、第一
雄ねじを外周に形成した短い棒状の第一接合端部材が摩
擦圧接法により圧着され、他方の異形鉄筋の対向端部位
に、前記第一雄ねじと同一ねじピッチ・同一方向螺旋の
第二雄ねじを外周に形成した短い棒状の第二接合端部材
が摩擦圧接法により圧着され、上記第一雄ねじおよび第
二雄ねじに螺合する雌ねじが形成されたカプラを用い
て、上記二本の異形鉄筋を接続することができるように
した異形鉄筋のねじ式機械継手において、 前記カプラは、接合雄ねじが軸方向に突出して形成され
た第一カプラと、該接合雄ねじに螺合する接合雌ねじが
形成された第二カプラとからなり、 上記第一カプラの前記接合雄ねじとは軸方向反対側に、
前記第一雄ねじを螺合させることができる第一雌ねじが
形成され、 前記第二カプラの前記接合雌ねじとは軸方向反対側に、
前記第二雄ねじを螺合させることができる第二雌ねじが
形成され、 前記接合雌ねじに螺合する接合雄ねじは、第二雌ねじに
螺合する第二雄ねじと同一方向螺旋であるがねじピッチ
の異なるように選定され、 前記第一雄ねじには第一ロックナットが螺合されると共
に前記第二雄ねじにも第二ロックナットが螺合され、か
つ、前記接合雄ねじには中間ロックナットが螺合され、 前記異形鉄筋のいずれもが回転不可能かつ軸方向に不動
状態にあって、前記第一雌ねじのねじピッチを仮想的に
延長した螺旋が前記第一雄ねじの螺旋と一致しないと
き、前記第二カプラを前記第二雄ねじに対して回転させ
該第二カプラを前記第一雄ねじの方向へ変位させると共
に適宜後退させ、前記第一カプラを前記第二カプラに対
して回転させ該第一カプラをいずれかの方向へ変位させ
ることによって、前記第一雌ねじと第一雄ねじとの螺合
を実現し、前記中間ロックナットを前記第二カプラに当
接させて増し締めし、前記第一ロックナットと第二ロッ
クナットとをそれぞれ第一カプラと第二カプラに当接し
て増し締めした状態で、二つの異形鉄筋を軸方向に強固
に接続した状態とすることができるようにしたことを特
徴とする摩擦圧接を用いた異形鉄筋のねじ式機械継手。 - 【請求項2】 前記第二雄ねじと同一方向螺旋であるが
ねじピッチの異なる前記接合雄ねじに代えて、前記第二
雄ねじとは逆方向螺旋であって任意長のねじピッチを有
する接合雄ねじが採用されていることを特徴とする請求
項1に記載された摩擦圧接を用いた異形鉄筋のねじ式機
械継手。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4053094A JP2732354B2 (ja) | 1994-02-14 | 1994-02-14 | 摩擦圧接を用いた異形鉄筋のねじ式機械継手 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4053094A JP2732354B2 (ja) | 1994-02-14 | 1994-02-14 | 摩擦圧接を用いた異形鉄筋のねじ式機械継手 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07224495A JPH07224495A (ja) | 1995-08-22 |
JP2732354B2 true JP2732354B2 (ja) | 1998-03-30 |
Family
ID=12583032
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP4053094A Expired - Lifetime JP2732354B2 (ja) | 1994-02-14 | 1994-02-14 | 摩擦圧接を用いた異形鉄筋のねじ式機械継手 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2732354B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
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KR101378723B1 (ko) * | 2013-09-09 | 2014-03-27 | 김용근 | 접합단부재에 의한 소켓체결형 철근연결구 |
KR200491447Y1 (ko) * | 2018-11-12 | 2020-04-08 | 한국남동발전 주식회사 | 스트로크 조절을 위한 온오프밸브 커플링 조립체 |
KR102258801B1 (ko) * | 2020-08-28 | 2021-05-31 | 이철승 | 철근 유동방지형 유니버셜 커플러 |
CN113266108A (zh) * | 2021-05-18 | 2021-08-17 | 班升诚业科技(上海)有限公司 | 一种连接相对错开且固定钢筋伸出端的方法 |
CN113202232A (zh) * | 2021-05-20 | 2021-08-03 | 班升诚业科技(上海)有限公司 | 一种钢筋机械连接及安装方法 |
-
1994
- 1994-02-14 JP JP4053094A patent/JP2732354B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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