JP2732179B2 - 咬合力診断シート用ホルダー - Google Patents

咬合力診断シート用ホルダー

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JP2732179B2
JP2732179B2 JP4353935A JP35393592A JP2732179B2 JP 2732179 B2 JP2732179 B2 JP 2732179B2 JP 4353935 A JP4353935 A JP 4353935A JP 35393592 A JP35393592 A JP 35393592A JP 2732179 B2 JP2732179 B2 JP 2732179B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感圧シートを用いて歯
の咬み合わせ状態を診断する咬合力診断シートを保持す
るためのホルダーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】歯科医療の分野においては、歯の咬み合
わせの状態を診断するために、従来よりカーボン紙が広
く用いられている。このカーボン紙は、患者の上下の歯
の間に挿入され、この状態で患者が強く咬み合わせるこ
とにより、上下の歯が接触した部分だけにカーボンを付
着させるものである。歯科医はこのカーボンが付着した
位置や面積から患者の咬み合わせ状態を診断するもので
ある。
【0003】
【従来技術の問題点】しかしこのカーボン紙を用いる方
法は上下の歯が当たっていることを検出するだけであ
り、歯の圧力すなわち咬合力を検出することはできな
い。このためカーボンの付着状態から咬合力を予測しな
ければならず、咬合状況の診断が不正確になり易く治療
方針を正しく決めるのが困難であるという問題があっ
た。
【0004】また歯が当った部分に鮮明にカーボンを付
着させるために、上下の歯をカチカチと複数回当てる必
要があったり、あごを左右にずらして歯のカーボン紙接
触部分を歯先でこすったりすることが必要であった。
【0005】また歯列弓全体の中で歯が当っている位置
が不明確なため、歯科医は患者の口腔内を覗き、カーボ
ン紙の位置を確認しながら作業を行わなければならな
い。このため作業性が悪いという問題があった。
【0006】一方咬合力の診断は患者の口腔内へカーボ
ン紙などを出し入れするため、作業性が悪く、また患者
にとっても相当の苦痛を伴うことが多かった。
【0007】
【発明の目的】本発明はこのような事情に鑑みなされた
ものであり、咬合力の診断を容易にかつ正確に行うこと
ができ、患者にとっては楽に診断を受けることができる
ようにした咬合力診断シート用ホルダーを提供すること
を目的とする。
【0008】
【発明の構成】本発明によればこの目的は、感圧シート
を歯列弓の形状にほぼ沿って略馬蹄型に形成し、咬合力
に応じた濃度に発色させる咬合力診断シートを保持する
ためのホルダーであって、略Y字状に形成され、その基
部から二又状に分岐するアーム部を前記咬合力診断シー
トの略半円弧状の外周縁にほぼ沿う形状としてここに前
記咬合力診断シートの外周縁を固定可能にしたことを特
徴とする咬合力診断シート用ホルダーにより達成され
る。
【0009】ここにホルダーは基部で折り返して咬合力
診断シートの外周縁を上下から挟むように形成すること
ができ、この場合ホルダーは厚紙で作り患者ごとに使い
捨て可能にすれば衛生的である。また感圧シートの少く
とも一方の面にワックス層を設け、このワックス層の粘
性を利用してホルダーに固定することができる。このホ
ルダーには、患者識別用のマークなどを付しておいても
よい。
【0010】
【実施例】図1は本発明に用いる咬合力診断シートの平
面図、図2はその構造を示すための断面図、図3は圧力
に対する発色濃度の変化特性図、図4はホルダーの展開
図、図5はその組立手順の説明図、図6はホルダーの装
着状態を示す図、図7は図6におけるVII −VII 線断面
図である。
【0011】図2において符号10はシート状の合成樹
脂製支持体であり、例えば25μmの厚さのPET(ホ
リエチレンテレフタレート)のフィルムが用いられる。
この支持体10は乳白色の不透明なフィルムとするのが
望ましい。12は顕色剤塗布層であり、酸性白土(モン
モリナイト)硫酸処理物をカセイソーダを含む水に分散
した液を支持体10の一方の面(表面)に塗布し乾燥さ
せることにより形成されたものである。
【0012】14は顕色剤塗布層12の上に形成された
発色剤塗布層であり、1−フェニル−1−キシリルエタ
ン等の発色剤をオイルに溶解しマイクロカプセル化した
ものを塗布したものである。ここにマイクロカプセルは
いろいろな強度に調整され、圧力に応じて破壊されるマ
イクロカプセルが変化する。圧力によりマイクロカプセ
ルが破壊されると、中の発色剤が顕色剤にオイルと共に
吸収され発色する。この実施例では赤色に発色する。こ
の発色の濃度は圧力の増加と共に濃くなる。図3は、圧
力Pの変化に対するこの濃度Dの変化を示すものであ
る。
【0013】このように支持体10と、顕色剤塗布層1
2と、発色剤塗布層14とを積層した後、この積層体1
5は図1に破線で示すように略馬蹄型に切り抜かれる。
この形状は人間の歯列弓の形状にほぼ沿うように決めら
れる。
【0014】図2は16は裏防水層であり、支持体10
と同じPETのフィルム、例えば16μmの透明フィル
ムで形成される。この裏防水層16の片面には粘着タイ
プ糊が塗布され接着剤層18が形成されている。この裏
防水層16は接着剤層18によって支持体10の裏面
(顕色剤塗布層12と反対の面)に接着される。
【0015】20は表防水層であり、裏防水層16と同
様に16μmの透明なPETフィルムで形成される。こ
の表防水層20は発色剤塗布層14の上に重ねられ、支
持体10の外周に沿って裏防水層16の接着剤層18に
接着される。この場合両防水層16と20の間は十分に
減圧し真空にしておくのが望ましい。
【0016】このように支持体10、顕色剤塗布層1
2、発色剤塗布層14の積層体15を防水層16、20
で覆い、馬蹄型の積層体15の外側に沿って周縁を接着
する。そして積層体15の外周に防水層16、20が互
いに接着する間隔を残して外形が切り抜かれる。この結
果、略馬蹄型の感圧シート22が形成される。この感圧
シート22は、裏防水層16と表防水層20とで密封さ
れることになる。このため耐水性が向上し口腔内でだ液
が付いても発色性に影響が全くなくなり、信頼性が増
す。
【0017】また一方の防水層16は支持体10の裏面
に接着されているから、裏防水層16が支持体10に対
して剥離したり移動したりしない。従ってこの裏防水層
16に周辺が接着固定された表防水層20も支持体10
に対して移動しなくなる。
【0018】このように防水層16、20で防水された
馬蹄型の感圧シート22は、その片面にワックス層24
が形成される。このワックス層24は歯科用パラフィン
ワックス(JIS−T−6502)を例えば0.35±
0.03mmの厚さに均一に塗布したものである。このワ
ックス層24は、感圧シート22の発色の色と補色関係
に近い色に着色されたものが望ましく、この実施例では
青緑のものが用いられる。このようにワックス層24を
塗布することにより咬合力診断シート26が完成する。
【0019】この咬合力診断シート26は図5に示すよ
うにして厚紙製のホルダー28に固定される。このホル
ダー28は図4に示すように、略Y字状に形成された上
板部30および下板部32とを一体に形成したものであ
り、それらの基部30a、32aに設けた折り線34で
折り曲げることにより上板部30を下板部32に重ねる
ことが可能となっている。
【0020】上板部30および下板部32の基部30
a、32aから二又状に分岐するアーム部30b、32
bは、前記咬合力診断シート26の略半円弧状の外周縁
にほぼ沿うように湾曲している。
【0021】このホルダー28は図5に示すように咬合
力診断シート26に固定される。すなわち、下板部32
のアーム部32bに咬合力診断シート26の外周縁を位
置合せして載せ、折り線34で上板部30を下板部32
の上に折り返す。そして上板部30のアーム部30bを
下板部32のアーム部32bに重ね押圧すればよい。
【0022】ワックス層24は適度な柔軟性と粘着性と
を持つから、咬合力診断シート26の周縁が両アーム部
30b、32b間に挟まれて加圧されると、ワックス層
24が流動し図7に示すように両アーム部30b、32
bに密着する。この結果両アーム部30b、32bはワ
ックス層24により互いに接着されることになり、ホル
ダー28と咬合力診断シート26とは一体化する。
【0023】この咬合力診断シート26は、ホルダー2
8の基部30a、32aをつかんで患者の開いた口の中
に入れられ、上顎歯列上部へ均一に当たるように装着さ
れる。そして患者が静かに咬むことにより、上下の歯間
に加わる圧力がワックス層24に加わり歯列弓の全体の
歯形形状がワックス層24に凹凸となって記録される。
また同時に上下の歯間に加わる圧力が感圧シート22に
加わり、この圧力が加わる場所だけがこの圧力の大きさ
に応じた濃度に発色する。この実施例では赤色に発色す
る。
【0024】歯科医はこの咬合力診断シート26のワッ
クス層24に記録された歯列弓を見ながら歯並びの状況
を知ることができ、また感圧シート22の発色濃度から
図3の濃度・圧力特性図を用いることにより咬合力の大
きさを知ることができる。このようにして咬合状況の正
確な診断ができ、治療方針を正しく決定することができ
る。
【0025】なおホルダー28のアーム部30b、32
bの長さは、咬合力診断シート26を固定した時に咬合
力診断シート26の外周縁より突出しないように短く設
定するのが望ましい。すなわち図6に示すように、アー
ム部30b、32bの先端は咬合力診断シート26の先
端縁26Aよりも後退させるものである。
【0026】この後退量aはほぼ13mm程度とするのが
望ましい。このような後退量aを設けることにより、患
者の奥歯の間に咬合力診断シート26を楽にかつ確実に
挿入することができるようになる。
【0027】ホルダー28には図6に示すような種々の
マーク36、38を付しておくのが望ましい。例えば上
板部30のアーム部30bと基部30aとの集合部付近
に、十字型のマーク36を付しておけば患者の前歯の中
央付近にこのマーク36を位置合せすることにより、咬
合力診断シート26の挿入位置を正しく確認し易くする
ことができる。また患者識別用などのマーク38を付し
ておけば診察後の咬合力診断シート26の整理や管理に
便利である。
【0028】一方この咬合力診断シート26を、スキャ
ナにより電気的に読取り、電気的に画像処理を行って診
断の資料を作成することが考えられる。この場合にスキ
ャナへこのホルダー28を正しくセットし易くするため
のマークを付しておくことも可能である。またスキャナ
の読取り特性に基づいて濃度リファレンスを付しておい
てもよい。
【0029】なおワックス層24は発色剤塗布層14の
側に設ければ、ワックス層24の凹凸の歯型形状と、こ
の歯型により排除されたワックスの中に現われる感圧シ
ート22の発色画像とを重ねて確認することができ、両
者の相対位置を確認し易くなる。
【0030】また支持体10の側にワックス層を設けた
場合には、感圧シート22の発色像を確認する際にワッ
クス層が障害にならず、ワックス層の凹凸画像と感圧シ
ート22の発色画像とを別々に読み取る際に都合がよ
い。
【0031】さらに咬合力診断シート26あるいはホル
ダー28には左右判別用のマークや、表裏判別用のマー
クを付しておくのがよい。例えばこのシート26やホル
ダー28の形状を左右非対称にしたり、左右のいずれか
にパンチ孔を設けたりすることができる。
【0032】図8は他の咬合力診断シート26Aの断面
図、図9はこれをホルダー28に固定した場合に図6の
VII−VII 線相当位置で断面した断面図である。
【0033】この実施例は感圧シート22の両面にワッ
クス層24、24Aを積層したものである。この実施例
によれば上顎と下顎の歯列の噛み合わせを別々にワック
ス層24、24Aに記録することができる。
【0034】以上の各実施例は感圧シート22の片面あ
るいは両面にワックス層24、24Aを持つので、ワッ
クス層24、24A自身の粘性によりホルダー28を接
着固定することができる。しかし本発明はワックス層2
4、24Aを持たないものにも適用できる。
【0035】図10はワックス層を持たない感圧シート
22を咬合力診断シート26Bとした場合に図6の VII
−VII 線相当位置で断面した断面図である。この実施例
で用いるホルダー28Aはアーム部30bA、32bA
に接着剤層40、40を予め塗布しておき、この接着剤
層40、40によりホルダー28Aをシート26Bに接
着固定したものである。
【0036】本発明に用いるホルダー28、28Aは厚
紙で作ることができるが、厚紙に代えて適度な硬さを持
つ樹脂板を用いることも可能である。またホルダー2
8、28Aは実施例のように上板部と下板部30b、3
2bとを重ね、その間にシート26、26A、26Bを
挟むようにすれば、両者の固定が確実になり望ましい。
しかし本発明はこれに限られるものではない。
【0037】例えば上板部と下板部とを別体にし、咬合
力診断シートを挟んでステープラーや接着剤などで両者
を固定するものであってもよい。また上板部と下板部と
のいずれか一方を省き、咬合力診断シートを載せて接着
あるいはステープラーなど適宜の手段により固定するよ
うにしてもよい。
【0038】
【発明の効果】請求項1の発明は以上のように、略Y字
状のホルダー形状とし、その基部から二又状に分岐する
アーム部に、略馬蹄型の咬合力シートの外周縁を固定可
能にしたものであるから、ホルダーの基部をつかんで患
者の口腔内へ咬合力診断シートを正しい位置に容易に出
し入れでき、作業がし易くなる。また患者にとっても楽
に診断を受けることができる。
【0039】ここにホルダーは上板部と下板部とを折り
重ねるようにすれば構造が簡単である(請求項2)。ま
た咬合力診断シートの少くとも片面にワックス層を設け
ておき、このワックス層の粘性により上板部と下板部と
の間に咬合力診断シートを接着固定するようにすれば、
特別な接着剤を準備する必要もなくなる(請求項3)。
なおホルダーのアーム部よりも咬合力診断シートがアー
ム部の延長方向に突出するように、アーム部の長さを設
定しておけば、上下の奥歯の間にも咬合力診断シートを
容易に挿入でき、都合がよい(請求項4)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる咬合力診断シート
【図2】その構造を示すための断面図
【図3】感圧記録シートの圧力Pに対する濃度Dの変化
特性図
【図4】ホルダーの展開図
【図5】その組立手順説明図
【図6】ホルダー装着状態を示す図
【図7】図6における VII−VII 線断面図
【図8】咬合力診断シートの他の実施例を示す断面図
【図9】その図6における VII−VII 線相当位置の断面
【図10】さらに他の実施例における図6の VII−VII
線相当位置の断面図
【符号の説明】
22 感圧シート 24、24A ワックス層 26、26A、26B 咬合力診断シート 30 上板部 32 下板部 30a、32a 基部 30b、32b アーム部 34 つまみ部 36 患者識別用マーク

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感圧シートを歯列弓の形状にほぼ沿って
    略馬蹄型に形成し、咬合力に応じた濃度に発色させる咬
    合力診断シートを保持するためのホルダーであって、略
    Y字状に形成され、その基部から二又状に分岐するアー
    ム部を前記咬合力診断シートの略半円弧状の外周縁にほ
    ぼ沿う形状としてここに前記咬合力診断シートの外周縁
    を固定可能にしたことを特徴とする咬合力診断シート用
    ホルダー。
  2. 【請求項2】 基部で折り返して互いに重なる上板部お
    よび下板部が一体に形成され、前記上板部のアーム部と
    下板部のアーム部との間に前記咬合力診断シートの外周
    縁を固定可能にした請求項1の咬合力診断シート用ホル
    ダー。
  3. 【請求項3】 前記咬合力診断シートは外周縁が感圧シ
    ートの外周縁より僅かに延出するワックス層を少くとも
    一方の面に持ち、前記ワックス層に前記上板部のアーム
    部と前記下板部のアーム部とを固着可能にした請求項2
    の咬合力診断シート用ホルダー。
  4. 【請求項4】 咬合力診断シートは、アーム部の両端よ
    りもアーム部の延長方向に突出している請求項1または
    2または3の咬合力診断シート用ホルダー。
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