JP2730706B2 - 磁気ディスクドライブ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は磁気ディスクドライブ装
置、磁気ヘッド支持装置及び磁気ディスクドライブ装置
のアーム構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、磁気ディスクドライブ装置の小型
化、薄型化が急速に進んでいる。磁気ディスクドライブ
装置の小型化のポイントは、線記録密度及びトラック密
度の増大が上げられるが、その実現のためには高度な磁
気ヘッド技術が媒体開発と並んで必要となる。そして、
線記録密度の増加のためには、狭ギャップ化が必要であ
るが、前記、狭ギャップ化には、それに見合った浮上高
をコントロールするためのスライダの空力設計及び支持
装置系の動特性を考慮した設計が必要となる。

【０００３】そこで、磁気ディスクドライブの小型化、
薄型化及び磁気ヘッド支持装置の動特性を改善するため
に、前記磁気ヘッド支持装置の固定方法もネジ止め式か
ら圧入方式へと変化している。

【０００４】図６〜図１０は、上記のような従来の磁気
ヘッド支持機構の一例を示すためのものである。従来、
磁気ディスクドライブは大きく分けて２つの部分、すな
わち図６、図７に示す磁気ヘッド８を支持するための磁
気ヘッド支持装置１２と図９に示すアーム部２０とから
構成される。

【０００５】前記磁気ヘッド支持装置１２は、図８に示
されているように、円筒状のボス部１９を有するマウン
ト７と、前記ボス部１９をその後端部に形成された円穴
２１に嵌合させつつ前記マウント７に固定したロードビ
ーム２とから構成されている。なお、前記ロードビーム
２は図７に示されているように、前記マウント７上に固
着した後端部と、両側を直角に折曲げた凸縁４ａ及び４
ｂを有するビーム部５と、上述の後端部とビーム部５の
間の部分にあたる加圧バネ部６とから構成されている。
そして前記ロードビーム２の先端には、磁気ヘッドを搭
載する可撓性のフレキシャ３が接続され、このフレキシ
ャ３に磁気ヘッド８が接着されている。

【０００６】よって、上記のような構成からなる磁気ヘ
ッド支持装置１２は、前記アーム部２０の端部に設けら
れた円穴２１にボス部１９を挿入し、かしめ固定するこ
とによりアーム部２０に結合されている。前記かしめ固
定部分は、図１０にその固定状態が示されているが、図
８に示されているボス部１９を、図９に示されるアーム
部２０の円穴２１に押し込み、図１０に示すＢ方向ある
いはＣ方向よりボール状のかしめ部材を打ち込んで、前
記円筒状のボス部１９を円周方向に広げることによりな
されている。そのため従来の磁気ディスクドライブ装置
は、ボス部１９とアーム部２０の取り外しは不可能であ
った。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】従って、従来の磁気デ
ィスクドライブ装置は、そのボス部１９とアーム部２０
が、かしめ固定により組み立てられており、一度組み立
てられた磁気ディスクドライブ装置を磁気ヘッド支持装
置１２とアーム部２０に分離し、再利用することが困難
であるという問題を有していた。さらに、従来の磁気ヘ
ッド支持装置のボス部１９の形状が円筒状であるため
に、前記組み立て固定時にボス部１９が回転し、アーム
部２０の中心軸と磁気ヘッド支持装置１２の中心軸が一
致しなくなり、その分、ディスク媒体の磁気記録面の範
囲が狭くなり磁気記録能率が低下するという問題があっ
た。

【０００８】よって、本発明においてはアーム部と磁気
ヘッド支持装置の取り外し、及び再構成を可能にし、か
つ前記アーム部と磁気ヘッド支持装置の位置決めの精度
の向上を図り、磁気記録密度の改善を図った磁気ディス
クドライブ装置の提供を目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、磁気ディスク
ドライブ装置のアームまたは磁気ヘッド支持装置のマウ
ントのいずれか一方に設けられたボス部を、他方に形成
された開口部に嵌合させ一体化してなる磁気ディスクド
ライブ装置において、前記開口部が、前記マウントある
いはアームの一側面より切り込まれた一基準平面を有す
る形状とされ、前記ボス部が前記開口部内縁に当接し、
少なくとも一基準平面を側面に有することを特徴とする
磁気ディスクドライブ装置であり、また、前記アーム部
の開口部に、前記アーム部と前記磁気ヘッド支持装置を
嵌合固定し、かつ、分離可能とする突出爪を設けても良
い。

【００１０】

【作用】上述したようにボス部の形状を開口部内縁に当
接し、少なくとも一基準平面を有する立体形状とし、一
方開口部を前記ボス部と脱着自在に嵌合可能で、一側面
より切り込んだ形状とすることにより、前記両者を嵌合
固定させ磁気ディスクドライブ装置を形成する際、従来
の円筒状ボス部と開口部の嵌合固定の際に起こる前記両
者における左右方向での中心軸の不一致による問題を解
決できる。従って、磁気ヘッド支持装置及びアームに与
えられる半径方向及び周方向の力に対して剛性を有し、
且つ偏心揺れの解消を図ることができる。よって、ディ
スク媒体における磁気記録密度の向上を図ることが可能
となる。また、アーム部の開口部に突出爪を設けること
によって、アーム部と磁気ヘッド支持装置を着脱可能と
することができる。

【００１１】

【実施例】以下、この発明の一実施例を説明する。図１
〜図５は、本発明の一実施例を示すものであり、本実施
例の支持装置は、図１、図４に示すように大きく分けて
２つの部分、すなわち磁気ヘッド支持装置１０とアーム
部１５とから構成される。前記磁気ヘッド支持装置１０
は、先端側に磁気ヘッド８を備えたロードビーム２とロ
ードビーム２の基端部に取り付けられたマウント７とか
ら構成されている。

【００１２】前記ロードビーム２は、前記マウント７上
に固定された後端部と両側を直角に折り曲げた凸縁４ａ
及び４ｂを有するビーム部５と、上述の後端部とビーム
部５の間の部分にあたる加圧バネ部６とから構成されて
いる。そして、ロードビーム２の先端には、ヘッド８を
搭載する可撓性のフレキシャ３を接続した構造になって
いる。また、前記マウント７には角柱状のボス部１が形
成されており、前記ボス部１はその側面に少なくとも一
基準平面を有する立体部１ａと立体部１ａの先端部側面
に突設された嵌合体１ｂよりなっており、これらマウン
ト部７上に形成されたボス部１と前記ロードビーム２の
基端部に設けられた開口部を嵌合させることによって、
前記ロードビーム２は前記マウント７上に固定されてい
る。従って、このような構成からなる磁気ヘッド支持装
置１０は、前記アーム部１５の後端部に設けられた開口
部１４に脱着可能に嵌合固定させることにより本発明に
よる磁気ヘッド支持装置が完成する。

【００１３】一方、前記アーム部１５の形状は、その開
口部１４が前記磁気ヘッド支持装置１０の立体部１ａと
嵌合させるために、前記アームの一側面より切り込んだ
形状とされ、その周面は前記立体部１ａと当接して回り
止めされるために少なくとも一基準平面１４ａを有し、
さらにその開口部１４の開口縁部は、前記立体部１ａの
先端部に突設された嵌合体１ｂと嵌合させるための収納
部（テーパー面により形成される）１６を有している。
また、前記開口部１４の切り欠き部１８ａ、１８ｂに
は、前記アーム部１５に前記磁気ヘッド支持装置１０を
嵌合固定させた際に、両者を分離可能で、かつ確実な固
定を可能にするための突出爪１７ａ、１７ｂが設けられ
ている。

【００１４】よって、本発明による磁気ディスクドライ
ブ装置は、ボス部１の立体部１ａの側面がアーム部１５
の開口部１４内縁の基準平面１４ａに当接して回り止め
され、前記開口部１４内でのボス部１の横ずれ、回転等
を回避できるとともに、前記ボス部１に突設された嵌合
体１ｂと前記開口部１４の周面縁部に形成されたテーパ
ー面１６の摺り合わせ嵌合機構により上下固定がなさ
れ、アーム部１５に与えられる半径方向及び周方向の力
に対して剛性を有し、且つ偏心揺れの解消を図ることが
できる。そしてさらに、ディスク媒体における磁気記録
面の範囲が狭くなることはなくなり磁気記録能率が低下
することはなくなる。

【００１５】また、本実施例の磁気ディスクドライブ装
置は、磁気ヘッド支持装置１０のボス部１が、アーム部
１５の開口部１４に嵌合された際、アーム部１５を撓め
ることによって前記開口部１４の切り欠き部分に設けら
れた突出爪１７ａ、１７ｂの間隔を広げたり狭めること
によって脱着が自在となるので、前記磁気ヘッド支持装
置１０及びアーム部１５の着脱が可能となる。よって、
組み付け後にボス部１とアーム部１５とを取り外して両
者を再利用することによって生産効率の向上、さらには
生産コストダウンの促進を図ることができる。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように本発明による磁気デ
ッスクドライブ装置は、磁気ヘッド支持装置のマウント
またはアームのいずれかにボス部、他方に前記ボス部を
嵌合固定するための開口部を有し、前記開口部を前記磁
気ヘッド支持装置あるいはアームの一側面より切り込ん
だ形状とし、前記ボス部を前記開口部内縁に当接して回
り止めされる少なくとも一基準平面を側面に有する形状
とすることで、前記磁気ヘッド支持装置とアームの両者
を嵌合固定させ磁気ディスクドライブ装置を形成する際
に起こる前記両者の左右方向の位置ずれによる問題を解
決できるとともに、アームまたは磁気ヘッド支持装置に
与えられる半径方向及び周方向の力に対して剛性を有
し、且つ偏心揺れの解消を図ることができる。また、デ
ィスク媒体における磁気記録面の範囲が狭くなることは
なくなり、磁気記録能率が低下することは無くなる。

【００１７】従って、上述したように磁気ディスクドラ
イブ装置のアーム構造を前記磁気ヘッド支持装置と脱着
可能な形状とすることで、磁気ヘッドの支持機構を形成
する各部位の再利用が可能となり、生産効率の向上さら
には、生産コストダウンの促進を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による磁気ヘッド支持装置の正面図であ
る。

【図２】本発明による磁気ヘッド支持装置の側面図であ
る。

【図３】本発明による磁気ヘッド支持装置の斜視図であ
る。

【図４】本発明によるアーム部の斜視図である。

【図５】図４の磁気ヘッド支持装置と図５のアーム部を
かしめにより接合させた状態を示す図である。

【図６】従来の磁気ヘッド支持装置の正面図である。

【図７】従来の磁気ヘッド支持装置の側面図である。

【図８】従来例の磁気ヘッド支持装置の斜視図である。

【図９】従来例のアーム部の斜視図である。

【図１０】図８の磁気ヘッド支持装置と、図９のアーム
部を接合させた状態を示す図である。

【符号の説明】

１ ボス部 ２ ロードビーム ３ フレキシャ ４ 突縁 ５ ビーム部 ６ 加圧バネ部 ７ マウント ８ 磁気ヘッド １０ 磁気ヘッド支持装置 １２ 磁気ヘッド支持装置 １４ 開口部 １４ 開口部 １５ アーム部 １６ 収納部（テーパー） １７ 突出爪 １８ 切り欠き部

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁気ディスクドライブ装置のアームまた
   は磁気ヘッド支持装置のマウントのいずれか一方に設け
   られたボス部を、他方に形成された開口部に嵌合させ一
   体化してなる磁気ディスクドライブ装置において、 前記開口部が、前記マウントあるいはアームの一側面よ
   り切り込まれた一基準平面を有する形状とされ、前記ボ
   ス部が前記開口部内縁に当接し、少なくとも一基準平面
   を側面に有することを特徴とする磁気ディスクドライブ
   装置。
2. 【請求項２】 前記アーム部の開口部に、前記アーム部
   と前記磁気ヘッド支持装置を嵌合固定し、かつ、分離可
   能とする突出爪が設けられていることを特徴とする請求
   項１に記載の磁気ディスクドライブ装置。