JP2730104B2 - ディジタル信号の生成方法 - Google Patents

ディジタル信号の生成方法

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JP2730104B2 JP63292938A JP29293888A JP2730104B2 JP 2730104 B2 JP2730104 B2 JP 2730104B2 JP 63292938 A JP63292938 A JP 63292938A JP 29293888 A JP29293888 A JP 29293888A JP 2730104 B2 JP2730104 B2 JP 2730104B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えば楽音等をサンプリングしてディジタ
ル処理した音源データのいわゆるルーピング処理の際に
用いるディジタル信号の生成方法に関するものであり、
特に、楽音信号等をディジタル処理するオーディオ・プ
ロセッシング・ユニット(APU)を用いてディジタル信
号を生成する生成方法に関するものである。
〔発明の概要〕
本発明は、アナログ信号を複数のサンプルよりなるデ
ィジタル信号に変換し、アナログ信号の繰り返し周期だ
け相対的に離れた各2点のサンプルおよびその近傍の複
数サンプルの評価関数の値を求め、その評価関数の値を
もとにしてサンプル近傍の波形の類似性が高い2点間の
複数サンプルを繰り返しデータとして抽出することによ
り、ルーピングポイントを容易に設定可能とするディジ
タル信号の生成方法を提供するものである。
〔従来の技術〕
一般に、電子楽器やTVゲーム器等に用いられる音源
は、VCO、VCA、VCF等から成るアナログ音源と、PSG(プ
ログラマブル・サウンド・ジェネレータ)や波形ROM読
み出しタイプ等のディジタル音源とに大別される。この
ディジタル音源の一種として、近年においては、生の楽
器音等をサンプリングしてディジタル処理した音源デー
タをメモリ等に記憶させて用いるようなサンプラー音源
も広く知られるようになってきている(例えば特開昭62
−264099号公報、特開昭62−267798号公報参照)。
このサンプラー音源においては、一般的に音源データ
記憶用のメモリに大容量を要することから、メモリ節約
のための手法が各種提案されており、例えば、楽音波形
の周期性を利用したルーピング処理や、非線形量子化等
によるビット圧縮処理がその代表的なものとして挙げら
れる。なお上記ルーピング処理は、サンプリングされた
楽音の元の持続時間よりも長い時間音を出し続けるため
の一手法でもある。すなわち、例えば楽音信号波形を考
えるとき、一般に発音開始直後においてはピアノの打鍵
ノイズや管楽器のブレスノイズ等の非音程成分を含む波
形の周期性が不明瞭なフォルマント部分が生じている
が、その後、楽音の音程(ピッチ、音高)に対応する基
本周期で同じ波形が繰り返し現れるようになる。この繰
り返し波形のn周期分(nは整数)をルーピング区間と
し、必要に応じて繰り返し再生することにより、少ない
メモリ容量で長時間の持続音を得ることができるわけで
ある。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来より上述のルーピング処理の際には、ルーピング
開始点とルーピング終端部のルーピングポイントを選定
するにあたり、単にレベルの同じ2点(例えばゼロクロ
ス点)をルーピングポイントとしていた。
しかし、このルーピングポイントの選定は容易にでき
るものではなく、ルーピング開始点とルーピング終端点
を試行錯誤的に繰り返し繋ぐことにより、略近時した値
を持つルーピング開始点およびルーピング終端点を選び
だしてルーピングポイントとしているものである。した
がって、ルーピングポイントの選定は長時間を要し、か
つ困難なものである。
本発明は、上述のような実情に鑑みて提案されたもの
であり、ルーピングポイントであるルーピング開始点お
よびルーピング終端点の設定を自動的に行い得るディジ
タル信号の生成方法を提供することを目的とするもので
ある。
[課題を解決するための手段] 本発明に係るディジタル信号の生成方法は、上述の課
題を解決するために、繰り返し波形を有するアナログ信
号を所定のサンプリング周期で複数のサンプルよりなる
ディジタル信号に変換し、上記アナログ信号の繰り返し
周期を決定し、この決定された繰り返し周期だけ相対的
に離れた2点のサンプルの組を複数組設定し、これらの
設定された各2点のサンプルおよびその近傍の複数サン
プルより成る各2つの波形の間の類似性をそれぞれ表す
評価関数の各値を求め、上記各2つの波形の評価関数の
各値の内で最も高い評価関数の値を示す1つの組の2点
間の複数サンプルを繰り返しデータとして抽出すること
を特徴としている。
より具体的には、例えば第1図のフローチャートに示
すように、ステップS11において繰り返し波形を有する
アナログ信号を所定のサンプリング周期で複数のサンプ
ルよりなるディジタル信号に変換し、ステップS12で上
記アナログ信号の繰り返し周期だけ相対的に離れた各2
点のサンプルを設定し、ステップS13でその各2点のサ
ンプルの近傍の複数サンプルの値の所定の評価関数の各
値を求め、ステップS14で上記各2点のサンプル間隔を
保った状態でその2点のサンプルを測定有効範囲内で移
動してその所定回数移動した上記各2点のサンプルのそ
の近傍の複数サンプルの値の所定の評価関数を測定し、
ステップS15でその評価関数の値から類似性の高い2点
のサンプルを決定し、ステップS16で上記設定された2
点のサンプルの近傍の波形の類似性が高いことを示す2
点間の複数サンプルを繰り返しデータとして抽出するこ
とを特徴とするものである。
〔作用〕
本発明によれば、アナログ信号の繰り返し周期だけ相
対的に離れた各2点のサンプルのおよびその近傍の複数
サンプルの値の所定の評価関数の各値を求めることによ
り、それらの複数のサンプルの波形の類似性を知ること
ができる。
〔実施例〕
先ず、本発明の実施例の説明に先立って、第2図に示
す楽音信号波形を参照しながら、前述したルーピング処
理について簡単に説明する。一般に発音開始直後におい
てはピアノの打鍵ノイズや音楽器のブレスノイズ等の非
音程成分が含まれることにより、波形の周期性が不明瞭
な部分であるフォルマント部分FRが生じており、その
後、楽音の音程(ピッチ、音高)に対応する基本周期で
同じ波形が繰り返し現れるようになる。この繰り返し波
形のn周期分(nは整数)をルーピング区間LPとし、こ
のルーピング区間LPはルーピング開始点LPSとルーピン
グ終端点LPEのルーピングポイント間で表されるもので
ある。そして上記フォルマント部分FRとルーピング区間
LPとを記憶媒体に記録し、再生時にはフォルマント部分
FRの再生に続いてルーピング区間LPを繰り返し再生する
ことにより、任意の長時間に亘って楽音を発生させるこ
とができる。
以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら
説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるも
のでないことは言うまでもない。
第3図は、本発明実施例の音源データ圧縮符号化方法
を音源データ形成装置に適用する際に、入力楽音信号を
サンプリングして記憶媒体に記録するまでの各機能の具
体例を示す機能ブロック図である。この場合の入力端子
10に供給される入力楽音信号としては、例えばマイクロ
フォンで直接収音した信号、あるいはディジタル・オー
ディオ信号記録媒体等を再生して得られた信号を、アナ
ログ信号あるいはディジタル信号の形態で用いることが
できる。
先ず、第3図のサンプリング処理機能ブロック11にお
いては、上記入力楽音信号を例えば周波数38kHzでサン
プリングし、1サンプル16ビットのディジタルデータと
して取り出している。このサンプリング処理とは、上記
入力楽音信号がアナログ信号の場合のA/D変換処理に対
応するものであり、また入力信号がディジタル信号の場
合にはサンプリングレート変換及びビット数変換の処理
に対応するものである。
次に、ピッチ検出機能ブロック12において、上述のサ
ンプリング処理により得られたディジタル楽音信号につ
いての楽音の音程(ピッチ)を決定する基音の周波数
(基本周波数)f0、すなわちピッチ情報が検出される。
このピッチ検出機能ブロック12における検出原理を説
明する。ここで、サンプリング音源となる楽音信号は、
その基音となる周波数がサンプリング周波数fSに比べて
かなり低い場合が多く、周波数軸で楽音のピークを検出
するだけでは高い精度での音程の同定が難しい。したが
って、何らかの手段を用いて、楽音の倍音成分のスペク
トルを利用する必要がある。
先ず、音程を検出したい楽音信号の波形をf(t)と
すれば、この楽音波形f(t)を各倍音成分の振幅a
(ω)および位相φ(ω)で表せば、該楽音波形f
(t)はフーリエ展開した式、 で表せる。ここで、各倍音の位相のずれφ(ω)を全て
ゼロにすると、 の式で表せるものとなる。このように位相の揃えられた
楽音波形(t)のピークは楽音波形(t)の持つ全
ての倍音の周期の整数倍の点およびt=0の点である。
これは基音の周期にほかならない。
この原理をふまえて、ピッチ検出の手順を第4図に示
す機能ブロック図を用いて説明する。
第4図において、実部データ入力端子31より楽音デー
タを、また虚部データ入力端子32より“0"を、高速フー
リエ変換(FFT)機能ブロック33に供給する。
ここで、上記高速フーリエ変換機能ブロック33で行わ
れる高速フーリエ変換において、ピッチを推定する楽音
信号をx(t)とし、また、上記楽音信号x(t)に含
まれる倍音成分を ancos(2πfnt+θ) …… とすれば、x(t)は これを複素表示で書き直して、 ただし、 cosθ=(exp(jθ)+exp(−jθ))/2 …… ここで、δ(ω−ω)はデルタ関数である。
次の機能ブロック34で該高速フーリエ変換後のデータ
のノルム(絶対値、すなわち実部と虚部をそれぞれ2乗
したものの和の平方根)を算出する。
すなわち、X(ω)の絶対値Y(ω)を取ると、位相
成分がキャンセルされて、 Y(ω)=[X(ω)▲▼]1/2 =(1/2)anδ(ω−ω) …… これは、上記楽音データの高周波成分の全ての位相を
合わせるために成されるものであり、上記虚部をゼロに
することにより、位相成分を揃えることができる。
次に、この算出されたノルムを高速フーリエ変換(こ
の場合は逆FFTに相当)機能ブロック36に実部データと
して供給し、虚部データ入力端子35には“0"を供給して
逆FFTをかけ楽音データを復元する。すなわち、上記逆
フーリエ変換は、 である。この逆フーリエ変換後の復元された楽音データ
は、全ての高周波成分の位相が揃ったコサイン波の合成
で表せる波形として取り出されるものである。
その後、ピーク検出機能ブロック37で上記復元された
音源データのピークを検出する。ここで、上記ピークは
上記楽音データの全ての高周波成分の極値(ピーク)が
一致した点であり、次の機能ブロック38において上記検
出されたピーク値を値の大きい方から分類(ソート)す
る。上記検出されたピークの周期を計測することによ
り、楽音信号の音程を知ることができる。
第5図は、第4図のピーク検出機能ブロック37におけ
る楽音データの極大値(ピーク)を検出するための構成
について説明するためのものである。
この場合上記楽音データは、値の異なったピーク(極
値)が多数存在するものであり、上記楽音データの最大
値を求めてその周期を検出することで楽音の音程を知る
ことができる。
すなわち第5図において、逆フーリエ変換後の楽音デ
ータ列は、入力端子41を介しN+1段のシフトレジスタ
42に供給され、このシフトレジスタ42の各段のレジスタ
−N/2…a0……aN/2を順次介して出力端子43に送られ
ている。このN+1段のシフトレジスタ42は上記楽音デ
ータ列に対して幅がN+1サンプル分のウィンドウとし
て作用し、該楽音データ列のN+1サンプルが上記ウィ
ンドウを介して最大値検出回路44に送られる。すなわ
ち、上記楽音データは最初にレジスタa−N/2に入力し
た後レジスタaN/2まで順次伝送され、各々のレジスタ
−N/2……a0……aN/2からのN+1サンプルの上記各
楽音データが最大値検出回路44に送られる。
この最大値検出回路44は、上記シフトレジスタ42内の
例えば中央のレジスタa0の値が上記N+1サンプルのデ
ータの各値の内で最大となったとき、そのレジスタa0
データをピーク値として検出して、出力端子45より出力
するものである。なお、上記ウィンドウの幅N+1は任
意に設定可能である。
第3図に戻って、エンベロープ検出機能ブロック13に
おいては、上述のサンプリング処理後のディジタル楽音
信号に対して、上記ピッチ情報を用いたエンベロープ検
出処理を施すことにより、楽音信号のいわゆるエンベロ
ープ波形を得ている。これは、例えば第6図Aに示すよ
うな楽音信号波形のピーク点を順次結んで得られる第6
図Bに示すような波形であり、発音直後からの時間経過
に伴うレベル(あるいは音量)の変化を表している。こ
のエンベロープ波形は、一般にADSR(アタックタイム/
ディケイタイム/サスティンレベル/リリースタイム)
のような各パラメータにより表されることが多い。ここ
で楽音信号の一具体例として、打鍵操作に応じて発音さ
れるピアノ音等を考えるとき、上記アタックタイムTA
鍵番の鍵が押され(キー・オン)徐々に音量が上がり目
標とする音量に達するまでの時間を表し、上記ディケイ
タイムTDは上記アタックタイムTSで達した音量から次の
音量(例えば楽器の持続音の音量)に達するまでの時間
を表し、上記サスティンレベルLSは鍵の押圧を解除して
キー・オフするまで保たれる持続音の音量を表し、上記
リリースタイムTRは上記キー・オフしてから音が消える
までの時間を表している。なお上記各時間TA、TD、T
Rは、音量変化の傾きあるいはレートを示すこともあ
る。また、これらの4つのパラメータの他にさらに多く
のエンベロープパラメータを用いるようにしてもよい。
ここで、エンベロープ検出機能ブロック13において
は、上述したようなADSR(アタックタイムTA/ディケイ
タイムTD/サスティンレベルLS/リリースタイムTR)等の
各パラメータにより表されるエベロープ波形情報と同時
に、前述したフォルマント部分をアタック波形の残った
状態で取り出すために、信号波形の全体的なディケイレ
ートを示す情報を得るようにしている。このディケイレ
ート情報は、例えば第7図に示すように、発音時(キー
・オン時)から上記アタックタイムTAの間は基準の値
“1"をとり、その後単調減衰する波形を表すものであ
る。
ここで、第3図のエンベロープ検出機能ブロック13の
構成例について、第8図の機能ブロック図を参照しなが
ら説明する。
当該エンベロープ検出の原理は、いわゆるAM(振幅変
調)信号のエンベロープ検波と同様なものである。すな
わち、上記楽音信号のピッチを上記AM信号のキャリアの
周波数として考えることによりエンベロープを検出する
ものである。上記エンベロープ情報は楽音を再生する際
に用いるものであり、当該楽音は上記エンベロープ情報
とピッチ情報に基づいて形成されるものである。
第8図の入力端子51に供給された楽音データは、絶対
値出力機能ブロック52において、上記楽音の波高値デー
タの絶対値が求められる。この絶対値データをFIR(有
限インパルス応答)型ディジタルフィルタの機能ブロッ
ク55に送る。ここで、上記FIRフィルタ機能ブロック55
はローパスフィルタとして作用するものであり、予め、
入力端子53に供給されたピッチ情報に基づいて機能ブロ
ック54において形成しておいたフィルタ係数をFIRフィ
ルタ機能ブロック55に供給することにより、そのローパ
スフィルタのカットオフ特性を決定するものである。
ここで、上記フィルタ特性は、例えば第9図に示す特
性となっており、上記楽音信号の基音(周波数f0)やそ
の倍音の周波数に零点を有するものである。例えば、上
記第6図Aに示す楽音信号からは、上記FIRフィルタで
基音,倍音の周波数を減衰させることにより第6図Bに
示すようなエンベロープ情報が検出される。なお上記フ
ィルタ係数の特性は、次式で示されるものである。
H(f)=k・(sin(πf/f0))/f …… この式中のf0は楽音信号の基本周波数(ピッチ)を
示す。
次に、上述のサンプリング処理された楽音信号の波高
値データ(サンプリングデータ)から、前述の第2図に
示すフォルマント部分FRの信号の波高値データと、ルー
ピング区間LPの信号の波高値データ(ループデータ)と
を生成する処理について説明する。
上記ループデータ生成のための最初の機能ブロック14
において、上記サンプリングされた楽音信号の波高値デ
ータを、先に検出したエンベロープ波形(第6図B)の
データで割算(又は逆数を乗算)してエンベロープ補正
を行うことにより、第10図に示すような振幅一定の波形
の信号の波高値データを得ている。このエンベロープ補
正された信号(の波高値データ)をフィルタ処理するこ
とにより、音程成分以外が減衰された、あるいは相対的
に音程成分が強調された信号(の波高値データ)を得て
いる。ここで音程成分とは、基本周波数f0の整数倍の周
波数成分のことである。具体的には、上記エンベロープ
補正された信号に含まれるビブラート等の低周波成分を
除去するためにHPF(ハイパスフィルタ)を介し、次
に、第11図の一点鎖線に示すような周波数特性、すなわ
ち基本周波数f0の整数倍の周波数帯域が通過帯域の周波
数特性、を有する櫛形フィルタを介すことにより、上記
HPF出力信号に含まれる音程成分のみを通過させてこれ
ら以外の非音程成分やノイズ成分を減衰させ、さらに必
要に応じてLPF(ローパスフィルタ)を介すことによ
り、上記櫛形フィルタ通過後の信号に重量しているノイ
ズ成分を除去する。
すなわち、前記入力信号として楽器の音等の楽音信号
を考えるとき、この楽音信号は通常一定の音程(ピッ
チ、音高)を有していることから、その周波数スペクト
ラムには、第11図の実線に示すように、上記楽音自体の
音程に対応する基本周波数f0の近傍とその整数倍の周波
数の近傍にエネルギが集中するような分布が得られる。
これに対して一般のノイズ成分は一様な周波数分布を持
っていることが知られている。従って、上記入力楽音信
号を第11図の一点鎖線に示すような周波数特性の櫛形フ
ィルタを通すことにより、楽音信号の基本周波数f0の整
数倍の周波数成分(いわゆる音程成分)のみがそのまま
通過あるいは強調されて他の成分(非音程成分及びノイ
ズの一部)が減衰され、結果としてSN比を改善すること
ができる。ここで、上記第11図中の一点鎖線に示す櫛形
フィルタの周波数特性は、次式 H(f)=[(cos(2πf/f0)+1)/2] …… で表されるものである。この式中のf0は上記入力信号
の基本周波数(音程に対応する基音の周波数)、Nは櫛
形フィルタの段数である。
このようにしてノイズ成分が低減された楽音信号は、
前記繰り返し波形抽出回路に送られ、この繰り返し波形
抽出回路により前述した第2図のルーピング区間LPのよ
うな適当な繰り返し波形区間が抽出された後、半導体メ
モリ等の記憶媒体に送られて記録される。この記憶媒体
に記録された楽音信号データは、非音程成分や一部のノ
イズ成分が減衰されたものであるため、上記繰り返し波
形区間を繰り返し再生する際のノイズ、いわゆるルーピ
ングノイズを低減することができる。
なお上記HPF、櫛形フィルタ、LPFの周波数特性は、先
にピッチ検出機能ブロック12にて検出されたピッチ情報
である上記基本周波数f0に基づいて設定されるようにな
っている。
次に第3図のループ区間検出機能ブロック16におい
て、上記フィルタ処理によって音程成分以外が減衰され
た楽音信号に対して、適当な繰り返し波形区間を検出す
ることにより、ルーピング開始点LPSとルーピング終端
点LPEとのルーピングポイントを設定する。
すなわち、ループ区間検出機能ブロック16では、上記
楽音信号のピッチ(音程)に対応する繰り返し周期(の
整数倍)だけ相対的に離れた2点であるルーピングポイ
ントを選定するが、以下にその選定原理を説明する。
楽音データをルーピング処理する場合、ルーピングの
間隔は、楽音信号の基本周期(基音の周波数の逆数)の
整数倍でなければならない。したがって、その楽音の音
程を正確に同定すれば、容易に決定することが可能とな
る。
つまり、予めルーピング間隔を決定しておき、その間
隔分だけ離れた2点を取り出し、その2点の近傍の信号
波形の相関性あるいは類似性を評価することでルーピン
グポイントを設定する。この評価関数の一例として、上
記2点の各近傍の信号波形のサンプルについてのたたみ
込み(合成積、コンボリューション)を用いるものにつ
いて説明する。すなわち、上記コボリューションの操作
を全ての点の組みについて順次施すことで信号波形の相
関性あるいは類似性を評価する。ここで、上述のコンボ
リューションによる評価は、例えば上記楽音データをシ
フトレジスタに順次入力してゆき、それぞれ各レジスタ
で取り込まれた楽音データを、例えば後述するDSP(デ
ィジタル信号処理装置)で構成された積和器にそれぞれ
入力し、該積和器で上記コンポリューションを計算し出
力するものである。このようにして得られたコボリュー
ションが最大となる2点の組みをルーピング開始点LPS
およびルーピング終端点LPEとする。
すなわち、第12図において、ルーピング開始点LPS
候補点をa0とし、ルーピング終端点LPEの候補点をb0
して、上記ルーピング開始点LPSの候補点a0の前後近傍
の複数個の点、例えば2N+1個の点の各波高値データ
を、それぞれa-N・・,a-2,a-1,a0,a1,a2,・・aN、ルー
ピング終端点LPEの候補点b0の前後近傍の同じ個数(2N
+1個)の点の各波高値データを、b-N・・,b-2,b-1,
b0,b1,b2,・・bNとすると、このときの評価関数E(a0,
b0)は、次式 で定めることができる。この第式はa0,b0の点を中心
としたコボリューションを求めるための式である。そし
て上記候補点a0,b0の組を順次変更して、全てのルーピ
ングポイントの候補となる点についての上記評価関数E
の値を求め、得られた全ての評価関数Eの内でその値が
最大となる点をルーピングポイントとする。
また、ルーピングポイントは上述のようにコンボリュ
ーションから求める方法の他に、誤差の最小2乗法から
求めることも可能である。すなわち、最小2乗法による
ルーピングポイントの候補点a0,b0は、 の式で表すことができる。この場合には、評価関数εの
値が最小となるa0,b0を求めればよい。
また、上述のループ区間検出機能ブロック16では、必
要に応じて上記ルーピング開始点LPSとルーピング終端
点LPEとに基づいてピッチ変換比を算出する。このピッ
チ変換比は、次の機能ブロック17における時間軸補正処
理の際の時間軸補正値データとして用いられる。この時
間軸補正処理は、実際に各種音源データをメモリ等の記
憶手段に記録する際の各種音源データの各ピッチを揃え
ておくために行われるものであり、上記ピッチ変換比の
代わりにピッチ検出機能ブロック12において検出された
上記ピッチ情報を用いるようにしてもよい。
この時間軸補正機能ブロック17におけるピッチの正規
化動作について第13図を参照しながら説明する。
第13図Aは時間軸補正処理(主として時間軸圧伸処
理)を施す前の楽音信号波形を示し、第13図Bは上記圧
伸後の補正波形を示している。これらの第13図A、Bの
時間軸には、後述する準瞬時ビット圧縮符号化処理の際
のブロック単位で目盛りを付している。
時間軸補正前の波形Aにおいては、通常の場合ルーピ
ング区間LPと上記ブロックとは無関係となるが、第13図
Bに示すように、上記ルーピング区間LPがブロックの長
さ(ブロック周期)の整数倍(m倍)となるように時間
軸圧伸処理し、さらにブロックの境界位置が上記ルーピ
ング開始点LPS及びルーピング終端点LPEに一致するよう
に時間軸方向にシフトする。すなわち、ルーピング区間
LPの開始点LPS及び終端点LPEが所定のブロックの境界位
置となるように時間軸補正(時間軸圧伸及びシフト)す
ることによって、整数個(m個)のブロック単位でルー
ピング処理を行うことができ、記録時の音源データのピ
ッチの正規化が実現できる。ここで、上記時間シフトに
よって楽音信号波形の先頭に生ずるブロックの境界から
のずれ分ΔTの間には、波高値データとして“0"を詰め
るようにすればよい。
第14図は、上記時間軸補正後の波形の波高値データを
後述のビット圧縮符号化処理するためにブロック化する
際のブロック構造を表すものであり、1ブロックの波高
値データの個数(サンプル数、ワード数)をhとしてい
る。この場合、上記ピッチの正規化とは、一般的に第2
図に示す楽音信号波形の一定周期Twの波形のn周期分す
なわちルーピング区間LP内のワード数を、上記ブロック
内のワード数hの整数倍(m倍)とするように時間軸圧
伸処理することであり、さらに好ましくは、ルーピング
区間LPの開始点LPS及び終端点LPEを時間軸上のブロック
境界位置に一致させるように時間軸処理(シフト処理)
させることである。このように各点LPS、LPEがブロック
境界位置に一致していると、ビット圧縮符号化システム
でのデコードの際のブロック切替えによって生じる誤差
を減少させることができる。
ここで、第14図Aの1ブロック内の図中斜線で示す部
分のワードWLPSとWLPEは、図中補正波形のルーピング開
始点LPSとルーピング終端点LPE(正確には点LPEの直前
の点)のサンプルを示すワードである。なお上記シフト
処理を行わない場合には、ルーピング開始点LPS及び終
端点LPEがブロック境界に必ずしも一致しないため、第1
4図Bに示すように、上記ワードWLPS、WLPEの設定位置
は、ブロック内の任意の位置に設定される。ただし、位
置ワードWLPSからワードWLPEまでの間のワード数は1ブ
ロック内のワード数hの整数倍(m倍)となっており、
ピッチは正規化される。
ここで、上述のようにルーピング区間LP内のワード数
を1ブロックのワード数hの整数倍とするための楽音信
号波形の時間軸圧伸処理には各種方法が考えられるが、
例えばサンプリングされた波形の波高値データを補間処
理することにより実現でき、その一具体例としては、オ
ーバーサンプリング処理用のフィルタ構成等を利用する
ことができる。
ところで、現実の楽音波形のルーピング周期がサンプ
リング周期単位に対して端数を持ち、ルーピング開始点
LPSでのサンプリング波高値とルーピング終端点LPEでの
サンプリング波高値とにずれが生じている場合に、オー
バサンプリング等を利用した補間処理により、ルーピン
グ終端点LPEの近傍位置(サンプリング周期よりも短い
距離の位置)でルーピング開始点LPSのサンプリング波
高値に一致するような波高値を求める等して、補間サン
プルも含めたサンプリング周期の非整数倍の(端数を持
つ)ルーピング周期を実現することが考えられる。この
ようなサンプリング周期の非整数倍のルーピング周期
も、上記時間軸補正処理により上記ブロック周期の整数
倍とすることができ、例えば256倍オーバサンプリング
を利用して時間軸圧伸処理する場合には、ルーピング開
始点LPSと終端点LPEとの間の波高値の誤差を1/256に低
減して、より円滑なルーピング再生を実現できる。
上述のようにしてルーピング区間LPが決められ時間軸
補正(圧伸)処理が施された波形は、次の機能ブロック
21において、第15図に示すようにルーピング区間LPを前
後に接続してループデータの生成が行われる。すなわち
第15図は、上記時間軸補正後の楽音波形(第13図B)か
らルーピング区間LPのみを切り取り、このルーピング区
間LPを複数個並べたループデータ波形を示しており、こ
のループデータ波形は、複数個のルーピング区間LPのそ
れぞれ一方のルーピング終端点LPEと他方のルーピング
開始点LPSとを順次接続して並べたものである。このル
ープデータ波形がループデータ生成機能ブロック21にて
生成される。
このループデータは、ルーピング区間LPを多数回接続
して形成されるため、該接続形成されたループデータ波
形の各ルーピング開始点LPSに対応するワードWLPSを含
む開始ブロックの直前には、ルーピング終端点LPE(正
確には点LPEの直前の点)に対応するワードWLPSを含む
終了ブロックのデータがそのまま配置されることにな
る。原理的には、ビット圧縮符号化のエンコード処理を
する際に、記憶しようとするルーピング区間LP0の上記
開始ブロックの直前位置に、少なくとも上記終了ブロッ
クが存在していればよい。さらに一般化して述べるなら
ば、上記ブロック単位のビット圧縮エンコード時に、上
記開始ブロックのパラメータ(圧縮ブロック毎のビット
圧縮符号化の情報、例えば後述するレンジ情報やフィル
タ選択情報)は、上記開始ブロックと終了ブロックのデ
ータに基づいて形成されるようにすればよい。これは、
後述するフォルマント部分を持たないループデータのみ
の楽音信号を音源とする場合にも適用可能な技術であ
る。
こうすれば、上記エンコード時に、ルーピング開始点
LPSと終端点LPEとについては、それぞれの前後複数サン
プルに亘って、それぞれ同じデータが並ぶことになる。
従って、これらの各点LPSとLPEの直前のそれぞれのブロ
ックについてのビット圧縮符号化の際のパラメータは同
じものとなり、デコード処理の際のルーピング再生時の
エラー(ノイズ)を減少することができる。すなわち、
ルーピング再生される楽音データは接続ノイズの無い安
定したものとなる。なお、本実施例においては、上記開
始ブロックの直前に配置する上記ルーピング区間LPのデ
ータのサンプル数を約500サンプルとしている。
次に上記フォルマント部分FRの信号のデータ生成工程
においては、先ず、上記ループデータ生成の際の機能ブ
ロック14と同様に、機能ブロック18おいてエンベロープ
補正処理が施される。ただしこの場合のエンベロープ補
正は、上記サンプリング処理された楽音信号に対して、
前述したディケイレート情報のみのエンベロープ波形
(第7図)で割算することにより、第16図に示すような
波形の信号(の波高値データ)を得ている。すなわちこ
の第16図の出力信号においては、上記アタック部分(時
間TAの間)のエンベロープが残され、それ以外の部分は
一定振幅となっている。
このエンベロープ補正された信号は、必要に応じて機
能ブロック19でのフィルタ処理が施される。この機能ブ
ロック19でのフィルタ処理には、上記機能ブロック15と
同様な例えば第11図の一点鎖線に示すような周波数特性
の櫛形フィルタが用いられる。すなわちこの櫛形フィル
タは、上記音程に対応する基本周波数f0の整数倍の周波
数帯域成分を強調して相対的に非音程成分を減衰するよ
うな周波数特性を有しており、この櫛形フィルタも上記
ピッチ検出機能ブロック12で検出されたピッチ情報(基
本周波数f0)に基づいて周波数特性が設定されるもので
ある。このような信号は、最終的にメモリ等の記憶媒体
に記録される音源データにおけるフォルマント部分の信
号のデータを生成するために用いられる。
次の機能ブロック20においては、上記機能ブロック17
と同様な時間軸補正が上記フォルマント部分生成用信号
に対しても行われる。これは、上記機能ブロック16で求
められたピッチ変換比あるいは上記機能ブロック12で検
出されたピッチ情報に基づいて時間軸の圧縮伸長を行う
ことにより、各音源毎のピッチを揃える(正規化する)
ためのものである。
次に、機能ブロック22において、上記共に同じピッチ
変換比あるいはピッチ情報を用いて時間軸補正されたル
ープデータとフォルマント部分生成用データとが混合さ
れる。このときの混合は、上記機能ブロック20からのフ
ォルマント部分生成用信号に対してハミング窓をかけ、
ループデータと混合しようとする部分で時間に伴って減
衰するフェイドアウト型の信号を形成し、これに対して
上記機能ブロック20からのループデータに対しても同様
なハミング窓をかけ、この場合にはフォルマント信号と
混合しようとする部分で時間に伴って増大するフェイド
イン型の信号を形成し、これらの信号を混合する(クロ
スフェイドする)ことにより、最終的に音源データとな
る楽音信号を得ている。ここで、メモリ等の記憶媒体に
記録するループデータとしては、上記クロスフェイド部
分からある程度離れた1つのルーピング区間のデータを
取り出すことにより、ルーピング再生時のノイズ(ルー
ピングノイズ)を低減することができる。このようにし
て、発音時からの非音程成分を含む波形部分であるフォ
ルマント部分FRと、音程成分のみの繰り返し波形部分で
あるルーピング区間LPとから成る音源信号の波高値デー
タが得られる。
この他、上記フォルマント部分生成用信号における上
記ルーピング開始点の位置にループデータの信号の開始
点を接続するように各部分を切り繋ぐ処理等も考えられ
る。
ところで、現実にループ区間検出やルーピング処理、
さらにはループデータとフォルマント部分との混合を行
う際には、人間の手操作により試行錯誤的に試聴を繰り
返しながら大まかな混合をしておき、このときのループ
ポイント(ルーピング開始点LPSとルーピング終端点L
PE)情報等に基づいてより高精度の処理を行っている。
すなわち、上記機能ブロック16での高精度のループ区
間検出に先立って、第17図のフローチャートに示すよう
な手順でループ区間検出や上記混合等を試聴を繰り返し
ながら手操作で行い、その後、上述したような高精度の
処理(ステップS26以降)を行わせる。
この第17図において、最初のステップS21において
は、例えば信号波形のゼロクロス点を利用したり、信号
波形の表示を目視確認しながら、比較的粗い精度で上記
ループポイントを検出し、ステップS22でルーピング処
理して上記ループポイント間の波形を繰り返し再生し、
次のステップS23で人間が試聴して良好か否かを判別す
る。不良の場合には上記最初のステップS21に戻ってル
ープポイントを再度検出する。これを繰り返して良好な
試聴結果が得られれば、次のステップS24に進み、上記
フォルマント部用信号とクロスフェード等により混合
し、次のステップS23で人間が試聴してフォルマント部
からルーピング部への移行が良好か否かを判別する。不
良の場合にはステップS24に戻って上記混合をやり直
す。その後、ステップS26に進んで、上記ループ区間検
出機能ブロック16における高精度のループ区間検出を行
う。具体的には上記補間サンプルも含むループ区間検
出、例えば256倍オーバサンプリング時にはサンプリン
グ周期の1/256の精度でのループ区間検出を行い、次の
ステップS27で上記ピッチ正規化のためのピッチ変換比
を算出する。このピッチ変換比に基づいて、次のステッ
プS28で上記機能ブロック17、20における時間軸補正処
理を行い、次のステップS29にて上記機能ブロック21で
のループデータ生成を行う。そして、ステップS30にお
いて、上記機能ブロック22での混合処理を行う。これら
のステップS26以降の処理においては、ステップS21から
S25までで得られたループポイント情報等を利用するも
のである。なお、上記ステップS21からS25までを省略し
て、ルーピング処理等の全自動化を図ってもよい。
このような混合処理により得られたフォルマント部分
FPとルーピング区間LPとから成る信号の波高値データ
は、次の機能ブロック23においてビット圧縮符号化処理
が施される。
上述のビット圧縮符号化方式としては種々のものが考
えられるが、ここでは、本件出願人が先に特開昭62−00
8629号公報や特開昭62−003516号公報等において提案し
ている準瞬時圧伸型、すなわち波高値データの一定ワー
ド数(hサンプル)毎にブロック化しこのブロック単位
でビット圧縮を施すような高能率符号化方式を用いるも
のとし、この高能率ピット圧縮符号化方式について、第
18図を参照しながら概略的に説明する。
この第18図において、上記高能率ビット圧縮符号化シ
ステムは、記録側のエンコーダ70と、再生側のデコーダ
90とにより構成されており、エンコーダ70の入力端子70
には、上記音源信号の波高値データx(n)が供給され
ている。
この入力信号(の波高値データ)x(n)は、予測器
72及び加算器73で構成されたFIR(有限インパルス応答
型)ディジタルフィルタ74に供給され、上記予測器72か
らの予測信号(の波高値データ)(n)は上記加算器
73に減算信号として送られている。上記加算器73におい
ては、上記入力信号x(n)から上記予測信号(n)
が減算されることによって、予測誤差信号あるいは広義
の差分出力d(n)が出力される。予測器72は、一般に
過去のp個の入力x(n−p),x(n−p+1),・
・,x(n−1)の1次結合により予測値(n)を算出
するものである。なお、上記FIRフィルタ74を、以下エ
ンコード・フィルタと称す。
上記高能率ビット圧縮符号システムにおいては、上記
音源データの一定時間内のデータ、すなわち、一定ワー
ド数hの入力データ毎にブロック化して、各ブロック毎
に最適の特性の上記エンコード・フィルタ74を選択する
ようにしている。これは、互いに異なる特性を有する複
数の(例えば4個の)エンコード・フィルタを予め設け
ておき、これらのフィルタのうち最適の特性の、すなわ
ち最も高い圧縮率を得ることのできるようなフィルタを
選択することで実現できるものである。ただし、一般の
ディジタル・フィルタの構成上は、第18図に示す1個の
エンコード・フィルタ74の予測器72の係数の組を複数組
(例えば4組)係数メモリ等に記憶させておき、これら
の係数の組を時分割的に切り換え選択することで、実質
的に上記複数のエンコード・フィルタのうちの1つを選
択するのと等価な動作を行わせることが多い。
次に、上記予測誤差としての差分出力d(n)は、加
算器81を介し、利得Gのシフタ75と量子化器76とよりな
るビット圧縮器に送られ、例えば浮動小数点(フローテ
ィング・ポイント)表示形態における指数部が上記利得
Gに、仮数部が量子化器76からの出力にそれぞれ対応す
るような圧縮処理あるいはレンジング処理が施される。
すなわち、シフタ75により入力データを上記利得Gに応
じたビット数だけシフトしてレンジを切り替え、量子化
器76により該ビット・シフトされたデータの一定ビット
数を取り出すような再量子化を行っている。ここで、ノ
イズ・シェイピング回路(ノイズ・シェイパ)77は、量
子化器76の出力と入力との誤差分いわゆる量子化誤差を
加算器78で得て、この量子化誤差を利得G-1のシフタ79
を介し予測器80に送って、量子化誤差の予測信号を加算
器81に減算信号として帰還するようないわゆるエラー・
フィードバックを行う。このように量子化器76による再
量子化とノイズ・シェイピング回路77によるエラー・フ
ィードバックとが施され、出力端子82より出力(n)
が取り出される。
ところで、上記加算器81からの出力d′(n)は上記
差分出力d(n)より上記ノイズ・シェイパ77からの量
子化誤差の予測信号(n)を減算したものであり、上
記利得Gのシフタ75からの出力d″(n)は利得Gと上
記出力加算器81からの出力d′(n)を乗算したもので
ある。また、上記量子化器76からの出力(n)は、量
子化の過程における量子化誤差e(n)と上記シフタ75
からの出力d″(n)を加算したものとなり、上記ノイ
ズ・シェイパ77の上記加算器78において上記量子化誤差
e(n)が取り出される。この量子化誤差e(n)は、
上記利得G-1のシフタ79を介し、過去のr個の入力の1
次結合をとる予測器80を介することにより量子化誤差の
予測信号(n)となる。
上記音源データは、以上のようなエンコード処理が施
され、上記量子化器76からの出力(n)となって出力
端子82を介して取り出される。
次に予測・レンジ適応回路84からは、最適フィルタ選
択情報としてのモード選択情報が出力されて、上記エン
コード・フィルタ74の例えば予測器72および出力端子87
に送られ、また、上記利得Gおよび利得G-1あるいは上
記ビット・シフト量を決定するためのレンジ情報が出力
されて、各シフタ75,79および出力端子86に送られてい
る。
次に、再生側のデコーダ90の入力端子91には、上記エ
ンコーダ70の出力端子82からの出力(n)が伝送さ
れ、あるいは記録,再生されることによって得られた信
号′(n)が供給されている。この入力信号′
(n)は利得G-1のシフタ92を介し加算器93に送られて
いる。加算器93からの出力x′(n)は予測器94に送ら
れて予測信号′(n)となり、この予測信号′
(n)は上記加算器93に送られて上記シフタ92からの出
力″(n)と加算される。この加算出力がデコード出
力′(n)として出力端子95より出力される。
また、上記エンコーダ70の各出力端子86および87より
出力され、伝送あるいは記録,再生された上記レンジ情
報およびモード選択信号は、上記デコーダ90の各入力端
子96および97にそれぞれ入力されている。そして、入力
端子96からのレンジ情報は上記シフタ92に送られて利得
G-1を決定し、入力端子97からのモード選択情報は上記
予測器94に送られて予測特性を決定する。この予測器94
の予測特性は、上記エンコーダ70の予測器72の特性に等
しいものが選択される。
このような構成のデコーダ90において、上記シフタ92
からの出力″(n)は、上記入力信号′(n)と利
得G-1を乗算したものである。また、上記加算器93の出
力′(n)は、上記シフタ92からの出力″(n)と
予測信号′(n)を加算したものである。
次に、第19図は、上記ビット圧縮符号化エンコーダ70
からの上記1ブロック分の出力データの一例を示してお
り、この1ブロック分のデータは、1バイトのヘッダ情
報(圧縮に関するパラメータ情報、あるいは付属情報)
RFと8バイトのサンプル用データDA0〜DB3で構成されて
いる。上記ヘッダ情報RFは、4ビットの上記レンジ情報
と、2ビットの上記モード選択情報、あるいはフィルタ
選択情報と、それぞれ1ビットの2つのフラグ情報、例
えばループの有無を示す情報LI及び波形の終端ブロック
(エンドブロック)が否かを示す情報EIとで構成されて
いる。ここで1サンプルの波高値データ、ビット圧縮さ
れて4ビットで表されており、上記データDA0〜DB3中に
は16サンプル分の4ビット・データDA0H〜DB3Lが含まれ
ている。
次に第20図は、第2図に示すような楽音信号波形の先
頭部分に対応する上記準瞬時(ブロック化)ビット圧縮
符号化された波高値データの各ブロックを示している。
この第20図においては、上記ヘッダを省略して波高値デ
ータのみを示しており、図示の都合多上1ブロックを8
サンプルとしているが、1ブロック16サンプル等のよう
に任意に設定可能であることは勿論である。これは、前
記第14図の場合も同様である。
ここで、上記準瞬時ビット圧縮符号システムは、上記
入力楽音信号を直接出力するモードすなわちストレート
PCMモードと、楽音信号をフィルタを介して出力するモ
ードすなわち1次または2次差分フィルタモードのう
ち、最も高い圧縮率を有する信号が得られるモードを選
択して、出力信号である楽音データを伝送するようにし
たものである。
楽音をサンプリングしてメモリ等の記憶媒体に記録す
る場合、上記楽音の楽音信号波形は発音開始点KSで波形
取り込みが開始されるものであるが、この発音開始点KS
からの最初のブロックにて1次または2次差分フィルタ
モード等のように初期値が必要なフィルタモードが選択
されると、この初期値を予め用意しておく必要が生じる
ため、このような初期値の必要のない形態とすることが
望まれる。このため、上記発音開始点KSに先行する期間
に、上記ストレートPCMモード(入力楽音信号を直接出
力するモード)が選択されるような擬似入力信号を付加
した後、その入力信号を含めて信号処理するようにして
いる。
すなわち具体的には、第20図において、上記発音開始
点KSに先行して、上記擬似入力信号としてデータを全て
“0"としたブロックを配置し、このブロックの先頭から
の全データ“0"をサンプリング波高値データとしてビッ
ト圧縮処理して取り込むようにしている。これは、例え
ば、予め1ブロックのデータが全て“0"のブロック作成
しておきこれをメモリ等にストアしておいて用いるか、
または、楽音をサンプリングする際に上記発音開始点KS
の前にデータが全て“0"の部分(すなわち発音開始前の
無音部分)の入力信号からサンプリングを開始する等に
より得ることができる。なお、上記擬似入力信号のブロ
ックは最低1ブロック以上である。
上述のようにして形成された擬似入力信号を含んだ楽
音データを、前述の第18図に示すような高能率ビット圧
縮符号化システムにより信号圧縮処理し、メモリ等の記
憶媒体に記憶させておき、この圧縮処理された信号を再
生する。
したがって、上記擬似入力信号を含んだ楽音データを
再生する場合、再生開始時(擬似入力信号のブロック部
分)のフィルタにストレートPCMモードが選択されるた
め、1次または2次差分フィルタの初期値をあらかじめ
設定しておく必要がなくなる。
ここで、再生開始時に上記擬似入力信号(データが全
て“0"であるため無音である。)による発音開始時間の
遅れについての懸念がある。しかし、例えば、サンプリ
ング周波数32kHzで1ブロック16サンプルとした場合、
上記発音時間の遅れは約0.5msecとなり聴覚上で識別で
きる遅れではなく問題にならない。
ところで、上記ビット圧縮符号化処理やその他の音源
データ生成のためのディジタル信号処理については、デ
ィジタル信号処理装置(DSP)を用いてソフトウェア的
に実現することが多く行われており、また記録された音
源データの再生にもDSPを用いたソフトウェア的な構成
が採用されることが多い。第21図はその一例として、音
源データを取り扱う音源ユニットとしてのオーディオ・
プロセッシング・ユニット(APU)107及びその周辺を含
むシステムの全体構成例を示している。
この第21図において、例えば一般のパーソナルコンピ
ュータ装置や、ディジタル電子楽器、TVゲーム機等に設
けられているホストコンピュータ104は、上記音源ユニ
ットとしてのAPU107と接続されており、該ホストコンピ
ュータ104からは音源データ等がAPU107にロードされる
ようになっている。このAPU107は、マイクロプロセッサ
等のCPU(中央処理装置)103と、DSP(ディジタル信号
処理装置)101と、上述したような音源データ等が記憶
されたメモリ102とを少なくとも有して構成されるもの
である。すなわち、このメモリ102には少なくとも音源
データが記憶されており、上記DSP101により該音源デー
タの読み出し制御を含む各種処理、例えばルーピング処
理、ビット伸長(復元)処理、ピッチ変換処理、エンベ
ロープの付加、エコー(リバーブ)処理等が施される。
メモリ102は、これらの各種処理のためのバッファメモ
リとしても用いられる。CPU103は、DSP101のこれらの各
種処理の動作や内容等についての制御を行うものであ
る。
さらに、メモリ102からの上記音源データに対してDSP
101により上記各種処理を施して最終的に得られたディ
ジタル音源データは、ディジタル/アナログ(D/A)コ
ンバータ105によりアナログ信号に変換されてスピーカ1
06に供給されるようになっている。
なお、本発明は上述した実施例のみに限定されるもの
ではなく、例えば、上述の実施例においてはフォルマン
ト部分とルーピング区間とを接続して音源データを形成
していたが、ルーピング区間のみから成る音源データを
形成する場合にも容易に適用可能である。また、上記デ
コーダ側構成や音源データ用外部メモリは、ROMカート
リッジやアダプタとして供給してもよい。また、楽音信
号の音源のみならず音声合成にも適用可能である。
〔発明の効果〕
本発明のディジタル信号の生成方法によれば、ルーピ
ング開始点とルーピング終端点の2点のルーピングポイ
ントの候補点およびその近傍の複数サンルの評価関数の
各値を求めることにより、それらの複数のサンプルの波
形の類似性を簡単に知ることができ、それらの波形に類
似性がある時その2点のサンプルをルーピングポイント
とすることができる。また、この評価関数はコンピュー
タ等により計算できるためルーピングポイントの選定が
自動的に行える。
さらに、繰り返し周期だけ相対的に離れた2点より成
る候補点の組を順次変更して評価関数の値を求め、これ
らの複数の候補点の組の内の評価関数値が最大の候補点
をルーピングポイントとしているため、特に、楽音信号
波形を過渡的なフォルマント部分と周期性の明瞭な定常
的な部分とに分けるときの定常部分の波形をルーピング
処理により得る場合に、正確な繰り返し周期の波形をル
ーピング区間として取り出すことができ、質の高い楽音
信号生成が行える。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のディジタル信号の生成方法の原理を示
すフローチャート、第2図は楽音信号波形図、第3図は
本発明の信号記録方法の具体例を説明するための機能ブ
ロック図、第4図はピッチ検出動作を説明するための機
能ブロック図、第5図はピーク検出動作を説明するため
のブロック図、第6図は楽音信号及びエンベロープの波
形図、第7図は楽音信号のディケイレート情報の波形
図、第8図はエンベロープ検出動作を説明するための機
能ブロック図、第9図はFIRフィルタの特性図、第10図
は楽音信号のエンベロープ補正された後の波高値データ
を示す波形図、第11図は櫛形フィルタの特性図、第12図
は最適ルーピングポイントの設定動作を説明するための
波形図、第13図は時間軸補正の前後の楽音信号を示す波
形図、第14図は時間軸補正後の波高値データについて準
瞬時ビット圧縮用のブロックの構造を示す模式図、第15
図はルーピング区間の波形を繰り返し接続されて得られ
るループデータを示す波形図、第16図はディケイレート
情報に基づくエンベロープ補正後のフォルマント部分生
成用データを示す波形図、第17図は現実のルーピング処
理前後の動作を説明するためのフローチャート、第18図
は準瞬時ビット圧縮符号化システムの概略構成を示すブ
ロック回路図、第19図は準瞬時ビット圧縮符号化されて
得られたデータの1ブロックの具体例を示す模式図、第
20図は楽音信号の先頭部分のブロックの内容を示す模式
図、第21図はオーディオ・プロセッシング・ユニット
(APU)及びその周辺を含むシステムの構成例を示すブ
ロック図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繰り返し波形を有するアナログ信号を所定
    のサンプリング周期で複数のサンプルよりなるディジタ
    ル信号に変換し、 上記アナログ信号の繰り返し周期を決定し、 この決定された繰り返し周期だけ相対的に離れた2点の
    サンプルの組を複数組設定し、 これらの設定された各2点のサンプルおよびその近傍の
    複数サンプルより成る各2つの波形の間の類似性をそれ
    ぞれ表す評価関数の各値を求め、 上記各2つの波形の評価関数の各値の内で最も高い評価
    関数の値を示す1つの組の2点間の複数サンプルを繰り
    返しデータとして抽出すること を特徴とするディジタル信号の生成方法。
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