JP2727683B2 - 1―エチル―1,5―ジメチルヘキシルペルオキシ酸エステル、その製造方法、原料および用途 - Google Patents

1―エチル―1,5―ジメチルヘキシルペルオキシ酸エステル、その製造方法、原料および用途

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JP2727683B2 JP1234575A JP23457589A JP2727683B2 JP 2727683 B2 JP2727683 B2 JP 2727683B2 JP 1234575 A JP1234575 A JP 1234575A JP 23457589 A JP23457589 A JP 23457589A JP 2727683 B2 JP2727683 B2 JP 2727683B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ラジカル重合開始剤として優れた、新規な
過酸エステルおよびその製造方法、その原料のヒドロ過
酸化物、ならびにこれら過酸エステルによるビニル単量
体の重合方法、不飽和ポリエステルの硬化および重合物
の架橋に関するものである。
(従来の技術) t−アルキル過酸エステル類が重合開始剤、硬化剤お
よび架橋剤として使用できることは一般に知られてお
り、例えば特公昭51−38752号公報、特公昭62−30064号
公報および特開昭52−76353号公報等に記載されてい
る。
しかしながら、ポリマー工業では、経済的理由から高
価な生産設備の追加建設を伴うことなくポリマー樹脂の
生産を増大させることが望まれており、反応時間の短縮
および生産容量の増大のために、より一層活性な重合開
始剤が引続き要求されている。本発明は、この要求を満
たすことを目的としている。
重合技術においては、一層活性な重合開始剤を用いる
ことによって重合速度を高めることができることは周知
である。このような技法による生産性向上は、特に塩化
ビニルの重合において有用である。なぜならば、塩化ビ
ニルの重合では、ポリマーの重合度は重合温度によって
決り、重合速度には依存しない。従って、高活性な重合
開始剤を用いて重合速度を高くしても、重合温度が一定
であれば、その重合度が変わることがないからである。
即ち、重合体の物理的性質を変えることなく、重合速度
を高くすることができるからである。
また、以上のような生産性向上の目的以外にも一層活
性なラジカル重合開始剤が望まれている。
即ち、高重合度ポリ塩化ビニルの生産に関してであ
る。ポリ塩化ビニルのうち重合度が1500以上のものは、
一般に高重合度品と呼ばれ、機械的強度、熱安定性、寸
法安定性および耐寒性等といった物性が特に優れている
ことが知られている。
さらにポリ塩化ビニルに可塑剤を使用して製品化した
軟質塩ビでは、高重合度になる程ゴム弾性を向上させる
ことができる。
表−1に示されるようにポリ塩化ビニルの重合度はそ
の重合温度によって決定されるので、このような高重合
度ポリ塩化ビニルを得るためには、塩化ビニルを50℃以
下の比較的低い温度で重合させなければならない。
この理由から低温でも十分活性のある重合開始剤が望
まれているのである。
従来より塩化ビニル係単量体を重合するのに際し、前
記のような低温でも活性のある重合開始剤としてジイソ
ブチリルペルオキシド(以下、IBPOと略記する)および
アセチルシクロヘキシルスルホニルペルオキシド(以
下、ACSPと略記する)(特公昭40−16795号公報)等を
用いることが知られている。
また、クミルペルオキシネオデカノエート(以下、CN
Dと略記する)(特開昭58−120611号公報)やt−オク
チルペルオキシネオデカノエート(以下、ONDと略記す
る)(特開昭58−120613号公報)等の過酸エステルも知
られている。
(発明が解決しようとする課題) 前記IBPO、ACSP、CNDおよびONDを重合開始剤として用
いる重合方法にはそれぞれ問題があった。即ち、IBPOは
水に対して非常に不安定で、水と接触して分解するた
め、重合活性の持続性がなく、結果として重合体の収率
が低かった。またACSPは分解生成物の衛生上の問題と、
得られた重合体が着色する等の熱安定性が悪かった。さ
らにCNDは分解生成物のために重合体に特有の臭気があ
るという欠点を有していた。更に、ONDは得られる重合
体の物性については殆ど問題がないものの、重合活性の
点で前記ACSPおよびCND等に劣るため、低温活性重合開
始剤としての効果が小さいと言う欠点を有していた。
過酸化物の分野では、ある種類の過酸化物について、
過酸化物の種々の構造変化を用いることによってその半
減期特性(過酸化物の活性の尺度)が、顕著に変えられ
ることは周知である。
即ち、アルキル過酸エステルの場合においては、カル
ボン酸基とアルキルペルオキシド基の構造変化によって
その活性を変化させることができる。
従来技術により得られる最も低温活性なアルキル過酸
エステルは、アルキルペルオキシ基がt−オクチルペル
オキシ基であるものである。
これらは、同じカルボン酸基を持つもので比較した場
合、他のt−アルキルペルオキシ基、例えばt−ブチ
ル、t−アミルおよびt−ヘキシルペルオキシ基等から
誘導される過酸エステルに比べ低温活性である。
即ち、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−
アミルペルオキシネオデカノエートおよびt−ヘキシル
ペルオキシネオデカノエート等のベンゼン中0.1mol/l濃
度における分解半減期が10時間となる温度(以下、10時
間半減期温度と略記する)はいずれも45〜47℃であるの
に対し、ONDの10時間半減期温度は41℃と低いものであ
る。しかし前述のように、重合時間の短縮および生産容
量の増大の目的と、低温度での重合のために、引続きよ
り低温活性な重合開始剤が要求されている。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記の従来技術の問題点を解決するた
め長期にわたって研究した結果、文献未知の新規化合
物、1−エチル−1,5−ジメチルヘキシル過酸エステル
が同じカルボン酸基を持つ従来のt−アルキル過酸エス
テルよりも分解半減期が短く、より活性の高い開始剤、
硬化剤および架橋剤であることを確認した。特に、第三
級脂肪族カルボン酸から誘導される過酸エステルは非常
に低温活性であるため、塩化ビニル単量体の重合におい
て有用な重合開始剤となり、50℃以下の低い重合温度で
も収率良く高重合度ポリ塩化ビニルが得られ、しかも得
られた重合体が熱安定性、特に着色性に優れ、また臭気
のないものであることを確認して本発明を完成した。
即ち本発明は、下記の一般式(I) (式中、nは1または2であり、nが1の場合、Rはシ
クロヘキシル基、シクロヘキセニル基、フェニル基、置
換フェニル基、 (ここでR1およびR2は同じでも異なっていてもよく、水
素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は水
素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜6のア
ルコキシ基、フェニル基、置換フェニル基またはフェニ
キシ基を示す。)、または (R4およびR5は同じでも異なっていてもよく、水素原子
または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)であり、n
が2の場合、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、シクロ
ヘキシレン基、フェニレン基を示す。)で示される1−
エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシ酸エステル
に関するものであり、ビニル単量体の重合および共重
合、不飽和ポリエステル樹脂の硬化および重合物の架橋
におけるそれら過酸エステルの使用に関するものであ
る。
さらに、本発明は塩化ビニル単量体あるいは塩化ビニ
ル単量体およびこれと共重合可能な単量体を重合させる
際に、上記一般式(I)において、nが1であり、Rが
炭素数4〜12の第三級アルキル基である特定の過酸エス
テルを重合開始剤として用いることを特徴とする塩化ビ
ニル系単量体の重合方法に関するものである。
即ち、本発明の過酸エステルは、上記一般式(I)に
示すように、t−アルキルペルオキシ基において、ペル
オキシ基が結合する炭素(α−位炭素)にメチル基、エ
チル基およびイソヘキシル基の分岐を有する構造のもの
であり、文献未記載の新規化合物である。
なお、上記一般式(I)のR1〜R5に対する炭素原子数
の上限は実用性を考慮して決定される。またアルキル基
およびアルキレン基は直鎖状でも分岐していてもよい。
本発明の過酸エステルの具体的な例としては、 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシネオ
デカノエート 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシピバ
レード 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシ−2
−エチルヘキサノエート 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシイソ
ブチレート 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシ−3,
5,5−トリメチルヘキサノエート 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシラウ
レート 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシアセ
テート 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシベン
ゾエート 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシフェ
ニキシアセテート 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシアク
リレート ジ(1エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシ)
アジペート ジ(1エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシ)
−1,4−シクロヘキサンカルボキシレート ジ(1エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシ)
イソフタレート等である。
本発明の過酸エステルは、モノ過酸エステル(n=
1)およびジ過酸エステル(n=2)に分けることがで
きる。これらは以下のようにして得ることができる。
即ち、一般式(II) (式中、nおよびRは既に定義した通りである。Xは塩
素原子または臭素原子を示す。)で示される酸ハロゲン
化物と1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルヒドロペル
オキシドとをアルカリ性化合物または第三級アミンの存
在において、つくられるペルオキシ酸エステルの分解温
度より低い温度にて反応させることにより得られる。
本発明の過酸エステルをつくるのに有用なアルカリ性
化合物としては、無機塩基、例えばNaOH,KOH,LiOH,Na2C
O3等であり、第三級アミンとしては、例えば、ピリジ
ン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等である。
即ち、溶媒として芳香族炭化水素(例えばトルエン、
エチルベンゼン)または脂肪族炭化水素(例えばヘキサ
ン、オクタン、石油ナフサ、ミネラルスピリット)また
はイソパラフィンを主成分とする脂肪族炭化水素(例え
ば商品名「シェルゾール」;シェル化学社製)を用いて
合成するかまたは合成後希釈して用いることができる。
なお、反応温度は合成される過酸エステルの分解温度以
下であり、通常−10℃〜40℃程度である。
本発明に用いる酸クロライドは、カルボン酸に塩素化
剤、例えばPC13、POC13、SOC12、ホスゲン等を反応させ
た後、反応混合物から酸クロライド生成物を単離させて
つくることができる。
本発明に用いるカルボン酸としては、具体的にはシク
ロヘキサンカルボン酸、2−シクロヘキセン−1−カル
ボン酸、安息香酸、m−メチル安息香酸、2,4−ジクロ
ル安息香酸、酢酸、オクタン酸、ラウリン酸、2−エチ
ルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、フェニ
ル酢酸、イソ酪酸、2−メチル酪酸、2−エチル酪酸、
2−フェニル酪酸、2−メチル吉草酸、ピバリン酸、ネ
オヘプタン酸、ネオオクタン酸、ネオノナン酸、ネオデ
カン酸(後の4つの酸は、カルボン酸のα−炭素原子が
完全にアルキル基によって置換されている「ネオ酸」と
一般に称されるカルボン酸のうち、全炭素数がそれぞれ
7,8,9,10であるカルボン酸の異性体混合物である。その
異性体分布については、特公昭54−3847号公報に詳細に
記載されている。)、エトキシ酢酸、フェノキシ酢酸、
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−メチルク
ロトン酸等が挙げられる。
さらにジカルボン酸として、具体的にはマロン酸、コ
ハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,10−デカンジカ
ルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデ
カンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸等が挙げられる。
本発明の過酸エステルをつくるのに用いられる1−エ
チル−1,5−ジメチルヘキシルヒドロペルオキシドは、
下記構造式で示される。
このヒドロペルオキシドは強酸触媒、例えば硫酸、リ
ン酸、過塩素酸、イオン交換樹脂の酸体またはp−トル
エンスルホン酸の存在において、1−エチル−1,5−ジ
メチルヘキサノール(テトラヒドロリナロール)を過剰
の過酸化水素で処理してつくることができる。さらに、
このテトラヒドロリナロールは、天然に存在する、もし
くは工業的につくられたリナロールに通常の水素添加反
応をすることによりつくることができる。
前記のようにして合成したヒドロペルオキシドも新規
化合物である。このヒドロペルオキシドは無色透明の液
体であり、赤外吸収スペクトルによりO−O結合および
O−H結合が確認され、核磁気共鳴スペクトルにより−
OOHの構造の確認を明らかにすることにより同定され、
その化学構造が決定される。また、ヨードメトリーによ
る活性酸素量からペルオキシ基の含有量を求めることが
できる。
本発明の過酸エステルは、ビニル単量体の重合開始
剤、不飽和ポリエステル樹脂の硬化剤および重合物の架
橋剤として使用することができる。
本発明の過酸エステルを重合開始剤、硬化剤および架
橋剤として用いる場合の重合方法は、次の通りである。
ビニル重合 本発明の過酸エステルは、ビニル単量体の重合または
共重合において、有効な重合開始剤である。
本発明の過酸エステルを重合開始剤として利用できる
ビニル単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、
スチレン、α−メチルスチレンおよびクロルスチレン等
のオレフィン類、1,3−ブタジエン、イソプレンおよび
クロロプレン等のジオレフィン類、酢酸ビニルおよびプ
ロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、アクリロニト
リルおよびメタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、
アクリル類、メタクリル類およびこれらのエステル類お
よびアミド類、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニ
ル、塩化ビニリデンおよびフッ化ビニリデン等のハロゲ
ン化ビニル化合物およびハロゲン化ビニリデン化合物、
四フッ化エチレン等のパーハロオレフィン類、メチルビ
ニルエーテルおよびブチルビニルエーテル等のビニルエ
ーテル類、およびこれらの混合物、例えば、スチレン−
ブタジェンおよびアクリロニトリル−ブタジェン−スチ
レン等が挙げられる。本発明の過酸エステルは、塩化ビ
ニル、スチレン、エチレンまたはメチルメタクリレーの
重合、特に塩化ビニル系単量体の懸濁重合に用いるのが
好ましい。
本発明の過酸エステルの添加量は、ビニル単量体の仕
込量100重量部に対して純品換算で0.001〜1重量部であ
り、好ましくは0.01〜0.5重量部である。重量温度は20
℃〜250℃、好ましくは30℃〜200℃の範囲である。
本発明の過酸エステルは、単独でまたは他の開始剤と
組み合わせて用いることができる。組み合わせて用いる
他の開始剤は、重合温度等に応じて適宜従来の開始剤の
中から選択できる。またその使用量などについては所望
の重合速度および得られる重合体の物性等に応じて適宜
決めることができる。
塩化ビニルの重合 本発明の過酸エステルのうち、下記一般式 (R6は炭素数4〜12の第三級アルキル基を示す。) で示される過酸エステルは特に低温活性であり、これら
は塩化ビニル単量体あるいは塩化ビニル単量体およびこ
れと共重合可能な単量体を重合させる際に非常に有用で
ある。
それら具体的な過酸エステルとしては、 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシピバ
レート 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシネオ
ヘキサノエート 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシネオ
ノナノエート 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシネオ
デカノエート等が挙げられる。
本発明に使用される塩化ビニル単量体と共重合可能な
他のビニル単量体としては、例えばエチレン、酢酸ビニ
ル、塩化ビニリデン、スチレン、アクリル酸エステル等
である。
本発明に用いる過酸エステルの使用量は適宜に選択で
きるが、通常は塩化ビニル単量体の仕込量100重量部に
対して純品換算で0.001〜2重量部程度であり、好まし
くは0.01〜1重量部である。その量が0.001重量部未満
では重合速度が遅くなる。また2重量部を越えると重合
反応の制度が困難となり、得られる重合体の物性も低下
するので好ましくない。
本発明に用いられる特定の重合開始剤は、単独で使用
しても、また従来用いられている他の重合開始剤と併用
して用いることも可能である。
本発明で併用される重合開始剤は、10時間半減期温度
が40〜65℃であるオキシエステル、ジアシルペルオキシ
ドおよびペルオキシジカーボネートのうち少なくとも1
種である。
具体的なペルオキシエステルとしては第三級−ブチル
ペルオキシピバレート(55℃)、BND(47℃)、OND(41
℃)等、ジアシルペルオキシドとしては3,5,5−トリメ
チルヘキサノイルペルオキシド(以下NPOと略記する)
(60℃)、ラウロイルペルオキシド(62℃)、オクタノ
イルペルオキシド(62℃)等であり、ペルオキシジカー
ボネートとしては、ジ(2−エトキシエチル)ペルオキ
シジカーボネート(以下、OPPと略記する)(43℃)、
ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート(41℃)、
ジイソプロピルペルオキシジカーボネート(41℃)等で
ある。
これらの重合開始剤の添加量は適宜選択するればよい
が、通常本発明の過酸エステルの添加量の1/4〜4倍量
である。
本発明において用いる重合方法は通常は懸濁重合であ
るが、本発明になる重合開始剤を用いる以外は通常の処
方でなんら問題はない。
本発明における重合温度は一般に10〜75℃であり、好
ましくは30〜60℃の温度範囲である。重合温度が10℃未
満では重合時間が長くなる傾向にあり、一方75℃を越え
ると重合開始剤の寿命が短くなり、高重合転化率に到達
させることが困難となるので好ましくない。また、高重
合度品を得るには、必要とされる温度を選べばよく、特
に制約は受けないが、平均重合度1500を得る温度50℃を
上限として、下限は特に制約されない。しかし通常の工
業的製造方法による冷却方式で冷却できる最低の温度と
するのがよい。好ましくは20〜50℃の温度範囲である。
不飽和ポリエステル樹脂の硬化 本発明の過酸エステルは、不飽和ポリエステル樹脂の
硬化にも適している。
本発明の過酸エステルを硬化剤として利用できる不飽
和ポリエステル樹脂は、通常、不飽和ポリエステルおよ
び1種またはそれ以上のビニル単量体を含む。
不飽和ポリエステルとしては、例えば少なくとも1種
のエチレン系不飽和ジ−又はポリカルボン酸、酸無水物
又は酸ハロゲン化物、例えばマレイン酸、フマス酸、グ
ルタル酸、フタル酸、イタコン酸、テレフタル酸、テト
ラヒドロフタル酸等を飽和又は不飽和ジ−またはポリオ
ール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、1,2−、1,3−プロパンジ
オール、1,2−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオ
ール、グリセリン等でエステル化することによって得ら
れるようなポリエステル等が挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂組成物のその他の成分である
ビニル単量体としては、例えばスチレン、ビニルトルエ
ン、α−メチルスチレン、ジアリルフタレート、アクリ
ロニトリル、メチルメタクリレート等、またはこれらの
混合物で、該ポリエステルと共重合し得るものである。
硬化剤として用いる場合の本発明の過酸エステルの添
加量は、不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対して通
常0.1〜3重量部であり、好ましくは0.5〜2重量部であ
り、使用温度は焼く20〜200℃の範囲である。
重合物の架橋 本発明の過酸エステルは、重合物の架橋にも適してい
る。
本発明の過酸エステルを架橋剤として利用できる重合
物としては、例えば天然ゴム、ブタジェンゴム、イソプ
レンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレンゴ
ム、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンゴ
ム、スチレン−ブタジエンゴム等のエラストマー、ポリ
エチレン、ポリエチレン−酢酸ビニル等の熱可塑剤プラ
スチック等が挙げられる。
架橋剤として用いる場合の本発明の過酸エステルの添
加量は、重合物100重量部に対して通常0.3〜10重量部で
あり、好ましくは1〜5重量部である。
架橋反応は50〜200kg/cm2の圧力下において、反応温
度約100〜200℃の範囲で行われる。
前記新規化合物であるヒドロペルオキシドも、ビニル
単量体の重合開始剤、不飽和ポリエステル樹脂の硬化剤
および重合物の架橋剤として使用することができる。
このヒドロペルオキシドを重合開始剤として利用でき
るビニル単量体としては、例えばエチレン、プロピレ
ン、スチレン等のオレフィン類、1,3−ブタジエンおよ
びイソプレン等のジオレフィン類、酢酸ビニルおよびプ
ロピオン酸ビニルエステル類、アクリルニトリルおよび
メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、アクリル
酸、メタクリル酸およびこれらのエステル類およびアミ
ド類、塩化ビニル、フッ化ビニルおよび塩化ビニリデン
等のハロゲン化ビニル化合物およびハロゲン化ビニリデ
ン化合物、四フッ化エチレン等のパーハロオレフィン
類、メチルビニルエーテル類等のビニルエーテル類、お
よびこれらの混合物、例えば、スチレン−ブタジエンお
よびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン等が挙げ
られる。
このヒドロペルオキシドを硬化剤として利用できる不
飽和ポリエステル樹脂は、通常、不飽和ポリエステルお
よび1種またはそれ以上のビニル単量体をふくむ。
不飽和ポリエステルとしては、例えば少なくとも1種
のエチレン系不飽和ジ−又はポリカルボン酸、酸無水物
又は酸ハロゲン化物、例えばマレイン酸、フマル酸、グ
ルタル酸、テトラヒドロフタル酸等を飽和又は不飽和ジ
−又はポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、1,2−、1,3
−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2−ブテ
ン−1,4−ジオール、グリセリン等でエステル化するこ
とによって得られるようなポリエステル等が挙げられ
る。
不飽和ポリエステル樹脂組成物のその他の成分である
ビニル単量体としては、例えばスチレン、ビニルトルエ
ン、α−メチルスチレン、ジアリルフタレート、アクリ
ロニトリル、メチルメタクリレート等、またはこれらの
混合物で、該ポリエステルと共重合し得るものである。
このヒドロペルオキシドを架橋剤として利用できる重
合物としては、例えばポリエチレン、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレ
ン−プロピレン、ジエンモノマーの共重合物およびポリ
ブタジエン等が挙げられる。
このヒドロペルオキシドを重合開始剤として用いる場
合の重合方法、硬化方法および架橋方法については、公
知の方法がそのまま利用できる。
(発明の効果) 本発明の1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオ
キシ酸エステルは、新規化合物であり、同じカルボン酸
から誘導される先行技術のt−アルキル過酸エステルよ
りも分解半減期が短いという特徴を有している。そのた
め、本発明の過酸エステルを従来の重合に重合開始剤と
して単独で用いるか、あるいは従来の重合開始剤と併用
することにより、重合速度を高めることができる。従っ
て、重合サイクル時間を短縮させ、かつ生産容量を増大
させることができる。
また、本発明の過酸エステルは不飽和ポリエステル樹
脂の硬化剤、重合物の架橋剤としても活性が高く有用で
ある。
さらに、本発明の三級の脂肪族カルボン酸から誘導さ
れる特定の過酸エステルは特に低温活性であり、これら
を塩化ビニル単量体の重合に用いることにより、重合サ
イクル時間を短縮させ、生産容量を増大させることがで
きる。同時に得られる重合体には臭気がなく、熱安定
性、特に着色がない。
加えて、本発明の特定の過酸エステルを用いることに
より、一層低温での塩化ビニルの重合が可能となり、一
層物性の優れた高重合度ポリ塩化ビニルを得ることがで
きる。
即ち、従来の重合開始剤(例えばACSP、CND)を用い
た方法に比べ、得られた重合体の臭気がなく熱安定性、
特に着色がない点で優れている。また従来の重合開始剤
(例えばIBPO、OND)を用いた方法に比べて重合活性の
持続性が高く、重合速度が大きい。従って結果として重
合体収率が高くなる点で優れている。
また前記ペルオキシ酸エステルの製造に用いる1−エ
チル−1,5−ジメチルヘキシルヒドロペルオキシドも新
規化合物であり、ペルオキシ基が結合する(α−位炭
素)にメチル基、エチル基およびイソヘキシル基の分岐
を有する特殊な構造を持つため、特異な性質を有する。
従って、ビニル単量体の重合開始剤、不飽和ポリエステ
ル樹脂の硬化剤、重合物の架橋剤および過酸化物原料と
して有用である。
(実施例) 以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1 (1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルヒドロペルオキ
シドの合成) 攪拌機を備えた300mlの4つ口フラスコに、50%過酸
化水素水溶液51.2gと83.8%硫酸水溶液46.8gからなる混
合液に、内温を10℃において、攪拌下テトラヒドロリナ
ロール63.4gを10分にわたって滴下した。添加後、その
反応混合物を25℃の温度でさらに2時間攪拌した。その
溶液を分離し、油相を水で3回洗浄し、無水硫酸マグネ
シウム上で乾燥後、真空下に未反応のテトラヒドロリナ
ロールを除去し、無色透明液体として生成物47.8gを得
た。その活性酸素量は8.72%であり、計算により純度9
5.0%、収率65.1モル%であった。
この物質の同定は、IRおよびNMRスペクトルで確認し
た。
IRスペクトル:O−O伸縮振動 858cm-1 OO−H伸縮振動 3370cm-1 NMR:スペクトル(CC14H:δ 0.88,t,3H、 H:δ 0.90,d,6H、 H:δ 1.14,s,3H、 H:δ 1.18〜2.10,m,9H、 H:δ 8.02,s,1Ho、 実施例2 (1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシネオ
デカノエートの合成) 攪拌機を備えた200ml4つ口フラスコに35%水酸化カリ
ウム水溶液43.3gを入れ、攪拌下液温を15℃に保ちなが
ら、実施例1で合成した95.0%1−エチル1,5−ジメチ
ルヘキシルヒドロペルオキシド27.5gを添加した。更
に、攪拌下、液温を15℃に保ちつつネオデカン酸クロラ
イド30.5gを10分間で滴下した。液温を20℃まで上げ1
時間攪拌を続けた後、冷水70gを加え更に5分間攪拌し
た。水相を分離し、5%水酸化ナトリウム水溶液100gで
洗浄した後、水で3回洗浄した。この溶液を無水硫酸マ
グネシウム上で乾燥させた。その結果、無色透明液体と
して生成物40.3gを得た。その活性酸素量は4.42%であ
り、計算により純度90.7%、収率74.2モル%であった。
この物質の同定は、IRおよびNMRスペクトルで確認し
た。
IRスペクトル:C=O 伸縮振動 1770 cm-1 NMRスペクトル(CC14); H:δ 0.60〜2.20,m,28H、 H:δ 0.88,t,3H、 H:δ 0.90,d,6H、 H:δ 1.20,s,9H0 実施例3 (その他の1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオ
キシ酸エステルの合成) 実施例2において、ネオデカン酸クロライドを適量の
適当な酸クロライドに変えた以外は、実施例2と同様の
方法で合成を行った。得られた物質はすべて無色の液体
であった。
1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシピバ
レート (純度:93.3%、収率:65.9%) 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシ2−
エチルヘキサノエート (純度:95.7%、収率:61.6%) 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシイソ
ブチレート (純度:96.1%、収率:66.2%) 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシラウ
レート (純度:93.1%、収率:54.5%) 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシルペ
ルオキシアセテート (純度:94.4%、収率:60.3%) 1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシルベ
ンゾエート (純度:95.8%、収率:58.8%) ジ(1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキ
シ)−1,4−シクロヘキサンカルボキシレート (純度:94.6%、収率:64.7%) 実施例4 ベンゼンを溶媒として熱分解テストを行った(濃度:
0.1モル/l)。実施例2および3で合成した本発明の過
酸エステルについて、その10時間半減期温度を求めた。
また比較のために、公知のt−アルキルヒドロペルオキ
シドから誘導される過酸エステルについても同様に10時
間半減期温度(T10)を求めた。以上の結果を表−2に
示す。
この結果から、本発明の1−エチル−1,5−ジメチル
ヘキシルペルオキシ酸エステルは、同じカルボン酸から
誘導される先行技術のt−アルキル過酸エステルよりも
分解半減期が短いということがわかる。
(塩化ビニルの重合) 容量400mlのステンレス製オートクレイブに、イオン
交換水200mlとポリビニルアルコール0.1重量部とを入れ
溶解された。次に、実施例2で得られた1−エチル−1,
5−ジメチルヘキシルペルオキシネオデカノエート(以
下、LNDと略記する)0.20ミリモルを添加し、−80℃以
下に冷却し、塩化ビニル単量体100重量部を加えた。オ
ートクレイブの空間部分を窒素ガスで十分に置換した後
密栓した。それを45℃に保った恒温水槽中に8時間浸し
重合させた。攪拌は、オートクレイブを水槽中で32r.p.
mで回転させることにより行った。重合を行った後冷却
し、未反応の塩化ビニル単量体を除き、得られた白色粉
末を2回100mlの水で洗浄した後、真空で乾燥した。重
量から塩化ビニル重合体の収率は84%であり、平均重合
度は2020であった。
得られた塩化ビニル重合体の熱安定性試験として下記
に示す着色試験を行い、同時に臭気についても調べた。
それぞれの結果を表−3に示す。
(着色性試験) 塩化ビニル重合体100重量部、ジブチルスズマレート
2.5重量部、可塑剤としてジオクチルフタレート80重量
部を混合し、160℃のロール上で10分間混練し、1mm厚み
のシートを取り出し、そのシートの着色度合いを目視し
て観察した。
実施例6,7 重合開始剤のLNDの添加量、重合温度を変えた以外
は、実施例5に準じて塩化ビニル単量体の重合を行っ
た。これらの結果をそれぞれ表−3に示す。
実施例8,9 重合開始剤のLNDに加え、従来から用いられている開
始剤としてBND、OPPを各々用いた以外は、実施例5に準
じて塩化ビニル単量体の重合を行った。これらの結果を
それぞれ表−3に示す。
実施例1〜4 重合開始剤として、従来からもいられているアセチル
シクロヘキシルスルホニルペルオキシド(ACSP)、ジイ
ソブチリルペルオキシド(IBPO)、クルミペルオキシネ
オデカノエート(CND)、t−オクチルペルオキシネオ
デカノエート(OND)をそれぞれ用いた以外は、実施例
5に準じて塩化ビニル単量体の重合を行った。これらの
結果をそれぞれ表−3に示す。
比較例5,6 重合開始剤として、IBPOまたはONDに加え、BNDをそれ
ぞれ用いた以外は、実施例5に準じて塩化ビニル単量体
の重合を行った。これらの結果をそれぞれ表−3に示
す。
以上、表−3から明らかなように、従来の重合開始剤
を用いた方法では、得られた重合体の耐熱性(着色性)
が悪いか、臭気があるかのいずれかであるが、あるいは
着色性や臭気が良くても収率が低い等の問題があるのに
対し、本発明の方法では、これらをすべて満足してい
る。臭気がないということは、成型や加工時における作
業環境上から好ましいことである。
さらに特定の従来の重合開始剤と併用することによ
り、重合速度を一層高めることができ、単独使用時に比
べ開始剤使用量を減ずることができる。
実施例10 重合開始剤としてLNDに変え、1−エチル−1,5−ジメ
チルヘキシルペルオキシピバレート(以下、LPVと略記
する)を用いて、表−4に示される条件で実施例5に準
じて塩化ビニル単量体の重合を行った。その結果を表−
4に示す。
実施例11 重合開始剤のLNDに加え、従来から用いられている開
始剤としてOPPを用いた以外は、実施例5に準じて塩化
ビニル単量体の重合を行った。この結果を表−4に示
す。
実施例12 重合開示剤としてLPVを用い、さらに塩化ビニル単量
体を塩化ビニル単量体90重量部および酢酸ビニル単量体
10重量部に変えた以外は、実施例5に準じて塩化ビニル
系単量体の重合を行った。これらの結果を表−4に示
す。
比較例7〜8 重合開始剤として、従来から用いられているt−ブチ
ルペルオキシピバレート(BPV)、t−ヘキシルペルオ
キシピバトレート(HPV)およびt−オクチルペルオキ
シピバレート(OPV)をそれぞれ用いて、表−4に示さ
れる条件で実施例5に準じて塩化ビニル単量体の重合を
行った。これらの結果をそれぞれ表−4に示す。
以上、表−4から明らかなように、本発明の過酸エス
テルは、従来から用いられている他のt−アルキル過酸
エステルに比べ重合活性が高く、重合体収率が高い点で
優れていることがわかる。
(スチレンの重合) 実施例12 スチレン1の重合開始剤として、1−エチル−1,5
−ジメチルヘキシルペルオキシベンゾエート0.04モルを
溶解した試料溶液10mlを、内容量20mlのガラスアンプル
に添加し、アンプルを真空脱気した後溶融して封管し
た。アンプルを100℃の恒温油槽中に入れ、4時間重合
を行った。その後、反応物を取り出しベンゼンに溶解さ
せ、ガスクロマトグラフィーを用い内部標準法により未
反応の単量体を定量して重合転化率を算出した。その結
果、転化率は98.8%であった。
実施例13 重合開始剤として1−エチル−1,5−ジメチルヘキシ
ルペルオキシアセテートを用いた以外は、実施例12に準
じてスチレンの塊状重合を行った。その結果、重合転化
率は96.1%であった。
(メチルメタクリレートの重合) 実施例14 メチルメタクリレート50重量部およびベンゼン50重量
部に対し重合開始剤として1−エチル−1,5−ジメチル
ヘキシルペルオキシ−2−エチル−ヘキサノエートを1.
5重量部添加した試料溶液10mlを内容量20mlのガラスア
ンプルに添加し、アンプルを真空脱気した後溶融して封
管した。アンプルを60℃の恒温油槽中に入れ、7時間重
合を行った。その後、反応物を取り出しガスクロマトグ
ラフィーを用い内部標準法により未反応の単量体を定量
して重合添加率を算出した。その結果、転化率は96.2%
であった。
実施例15 重合開始剤として1−エチル−1,5−ジメチルヘキシ
ルペルオキシイソブチレートを用い、重合温度を70℃と
した以外は、実施例14に準じてメチルメタクリレートの
溶液重合を行った。その結果、重合転化率は98.3%であ
った。
実施例16 重合開始剤として(1−エチル−1,5−ジメチルヘキ
シルペルオキシ)−1,4−シクロヘキサンカルボキシレ
ートを用い、重合温度を70℃とした以外は、実施例14に
準じてメチルメタクリレートの溶液重合を行った。その
結果、重合転化率は95.6%であった。
(不飽和ポリエステル樹脂の硬化) 実施例17 不飽和ポリエステル樹脂(エポラックG−11OAL、日
本触媒化学工業(株)製)100重量部に、硬化剤として
1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシラウレ
ート1重量部を添加して均一に溶解した。2枚のガラス
板(160×160×5mm)を軟質塩化ビニルチューブで枠取
りして、留め金で5mm間隔となるように固定し、これに
上記調製した樹脂を注入した。ついで注入口を上にし
て、100℃の恒温器中に30分間放置して硬化させた。硬
化後、室温まで冷却し硬化物を取り出し、バーコール硬
度計を用いて表面の硬度を測定した結果、その値は51で
あった。
(エチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋) 実施例18 酢酸ビニル25%を含有するエチレン−酢酸ビニル共重
合体100重量部にステアリン酸1重量部および架橋剤と
して1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシベ
ンゾエート3重量部を添加しロールミキサーにより80〜
90℃で混練りした後、これをプレス中において150kg/cm
2の加圧下、温度150℃で30分間架橋した。
架橋物を下記に示すクロロホルム抽出試験を行いゲル
分を測定した。その結果ゲル生成量は91.2%であった。
(クロロホルム抽出試験) 100メッシュの真鍮製網に約1mm角に裁断した架橋物を
精秤してとり、網を袋状に折り畳んで試料がこぼれない
ようにする。そしてソックスレー抽出器を用いて8時間
抽出する。クロロホルムは6〜8分間に1回更新するよ
うにし抽出後、袋ごと真空乾燥器にいれ50℃で恒量にな
るまで乾燥し、ゲル生成量を百分率を算出した。ゲル生
成量が90%以上の値を示せば架橋反応は十分行われてい
ることを示す。

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) (式中、nは1または2であり、nが1の場合、Rはシ
    クロヘキシル基、シクロヘキセニル基、フェニル基、置
    換フェニル基、 (ここでR1およびR2は同じでも異なっていてもよく、各
    々水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3
    は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜6
    のアルコキシ基、フェニル基、置換フェニル基またはフ
    ェノキシ基を示す。)または (R4およびR5は同じでも異なっていてもよく、各々水素
    原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)であ
    り、nが2の場合、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、
    シクロヘキシレン基、フェニレン基を示す。)で示され
    る1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルペルオキシ酸エ
    ステル。
  2. 【請求項2】一般式(II) (式中、nは1または2であり、nが1の場合、Rはシ
    クロヘキシル基、シクロヘキセニル基、フェニル基、置
    換フェニル基、 (ここでR1およびR2は同じでも異なっていてもよく、各
    々水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3
    は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜6
    のアルキル基、フェニル基、置換フェニル基またはフェ
    ノキシ基を示す。)、または (R4およびR5は同じでも異なっていてもよく、各々水素
    原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)であ
    り、nが2の場合、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、
    シクロヘキシレン基、フェニレン基を示す。Xは塩素原
    子または臭素原子を示す。)で示される酸ハロゲン化物
    と1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルヒドロペルオキ
    シドとをアルカリ性化合物または第三級アミンの存在に
    おいて、つくられるペルオキシ酸エステルの分解温度よ
    り低い温度にて反応させ、請求項1項記載の過酸エステ
    ルを得ることを特徴とする過酸エステルの製造方法。
  3. 【請求項3】1−エチル−1,5−ジメチルヘキシルヒド
    ロペルオキシド。
  4. 【請求項4】請求項1記載の過酸エステルを有効成分と
    することを特徴とするビニル単量体の重合開始剤。
  5. 【請求項5】nが1であり、Rが炭素数4〜12の第3級
    アルキル基であることを特徴とする請求項1記載の過酸
    エステル。
  6. 【請求項6】請求項5記載の過酸エステルを有効成分と
    することを特徴とするビニル単量体の重合開始剤。
  7. 【請求項7】請求項5記載の過酸エステルを用いること
    を特徴とする塩化ビニル系単量体の重合方法。
  8. 【請求項8】塩化ビニル系単量体が塩化ビニル単量体あ
    るいは塩化ビニル単量体およびこれと共重合可能な単量
    体であることを特徴とする請求項7記載の塩化ビニル系
    単量体の重合方法。
  9. 【請求項9】(A)請求項5記載の過酸エステルおよび
    (B)ベンゼン中の0.1モル濃度液における半減期が10
    時間となる温度が40〜65℃の範囲にあるペルオキシエス
    テル、ジアシルペルオキシドおよびペルオキシジカーボ
    ネートのうち少なくとも1種よりなる重合開始剤を併用
    することを特徴とする請求項8記載の塩化ビニル系単量
    体の重合方法。
  10. 【請求項10】過酸エステルが1−エチル−1,5−ジメ
    チルヘキシルペルオキシネオデカノエートであり、重合
    を50℃以下で行い平均重合度1500以上の塩化ビニル重合
    体を得ることを特徴とする請求項8記載の塩化ビニル系
    単量体の重合方法。
  11. 【請求項11】請求項1記載の過酸エステルを用いるこ
    とを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂の硬化方法。
  12. 【請求項12】請求項1記載の過酸エステルを用いるこ
    とを特徴とする重合物の架橋方法。
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