JP2727143B2 - アルカリ可溶型粘着剤組成物 - Google Patents

アルカリ可溶型粘着剤組成物

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JP2727143B2 JP3344132A JP34413291A JP2727143B2 JP 2727143 B2 JP2727143 B2 JP 2727143B2 JP 3344132 A JP3344132 A JP 3344132A JP 34413291 A JP34413291 A JP 34413291A JP 2727143 B2 JP2727143 B2 JP 2727143B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はタック紙や粘着テープ用
として種々の用途に使用でき、かつ資源保護等の目的で
再パルプ化するときに簡単にアルカリ水に離解でき、古
紙の回収が可能でガラス瓶やブラスチック瓶のラベルと
して使用した後に瓶をアルカリ洗浄するときにラベルを
容易に除去することもできるリサイクル用アルカリ可溶
型粘着剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、再パルプ化の重要性が高まり、そ
れらの要求を満たすことができる粘着剤の開発に種々の
努力がなされてきた。その試みの例として特開平3−7
4486号の明細書には例えばアクリル酸エステルと酢
酸ビニルと無水マレイン酸からなる共重合体に非イオン
界面活性剤を添加し、苛性ソーダで中和したものが記載
されている。また特公昭49−23294号の明細書に
は例えば酢酸ビニルとクロトン酸共重合体またはアクリ
ル酸エチルとアクリル酸共重合体に非イオン界面活性剤
を添加したものが記載されている。特開昭52−339
26号の明細書にはカルボキシル基を有する重合性ビニ
ル単量体と塩基性単量体の共重合体に水溶性可塑剤を添
加したものが記載されている。また米国特許3,86
5,770号の明細書にはアクリル酸エステルとビニル
カルボン酸の共重合体をアルカノールアミンで中和した
ものが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述した特開平3−7
4486号の発明のものは無水マレイン酸や酢酸ビニル
の中和やケン化された部分は水に溶解し易いが主成分で
あるアクリル酸エステルの部分は本質的には水に溶解し
難く、その上時間が経過するにしたがって更に溶解性が
悪くなってくる。古紙の回収や瓶のリサイクルがされる
までには長時間の経路を通ってくるためにこのように変
化するものは実用上使用することは難しい。特公昭49
−23294号のものも上記で説明したように水に溶解
し難い部分が多過ぎるので同じような現象が起きている
可能性が大きい。特開昭52−33926号は再パルプ
化用水溶性粘着剤の性能を得るため多価アルコール、ポ
リエーテルポリオール、ポリプロピレングリコール等の
水溶性可塑剤を添加しているが、これらの水溶性可塑剤
は紙基材に応用するとブリージングを起こし易い。また
紙製品に粘着テープを貼布した場合には粘着剤中の水溶
性可塑剤が移行し汚れの問題を起こすので良い方法では
ない。本発明は上記の問題点を改善したものであって、
水溶性粘着剤の欠点である水分依存性、低温時のタック
不足、高温時のブリージングとせん断強度不足の改良及
び経時による物性の劣化がない等の優れた物性を具備し
かつ古紙の回収が容易でまた瓶ラベルに使用したとき通
常はよく接着し瓶をリサイクルするときはラベルは容易
に除去できる粘着剤組成物である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は水溶性粘着剤の
抱える問題を解決するものであって、乾燥皮膜は本質的
には水には溶解し難くアルカリ水には溶ける粘着剤組成
物である。具体的には、全単量体中、70〜99重量%
のカルボキシル基含有ビニル系単量体と1〜30重量%
のアクリル酸メチル及び/又はアクリル酸エチルを含有
する単量体を共重合して得られる共重合体100重量部
に対して50〜500重量部のポリオキシエチレン鎖を
有する界面活性剤を添加してなるアルカリ可溶型粘着剤
組成物である。
【0005】本発明で使用されるカルボキシル基含有ビ
ニル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マ
レイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、無水フマール
酸、イタコン酸、クロトン酸等が挙げられる。これらの
中ではアクリル酸またはメタクリル酸が好適である。カ
ルボキシル基含有ビニル系単量体成分の全単量体中に含
有される割合は70〜99重量%であり、好ましくは8
0〜98重量%である。70重量%以下であるとアルカ
リ溶解性と経時変化に問題が残る。また99重量%を超
えた場合には低温性が悪くなり、低温場所での使用や冬
季においての接着力が悪くなるので好ましくない。アク
リル酸メチルまたはアクリル酸エチルの含有割合は1〜
30重量%であり、好ましくは2〜20重量%である。
30重量%以上であるとアルカリ水に対しての溶解性の
不足と経時変化等の物性の劣化が生じてくる。
【0006】界面活性剤としては、アルキルアリルエー
テル型の例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、
アルキルエーテル型のポリオキシエチレンラウリルエー
テル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、アルキル
エステル型のポリオキシエチレンラウレート、ポリオキ
シエチレンオレエート、ポリオキシエチレンソルビタン
オレエート、および商品名のプルロニックL−64(旭
電化株式会社製)のようなエチレンオキサイド/プロピ
レンオキサイドブロックコポリマーなどのポリオキシエ
チレン鎖を有する非イオン性界面活性剤が好ましい。ま
たポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤
使用できる。
【0007】以下カルボキシル基含有ビニル系単量体を
主成分とする単量体の共重合方法を記述する。例えばア
クリル酸とアクリル酸エチルを過酸化水素、過硫酸カリ
ウム、過硫酸アンモニウムのような水溶性重合開始剤を
使用して水の中で重合反応を行ないベースポリマーを得
るか、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、アゾビス
イソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸のような油
溶性重合開始剤を使用して、メチルアルコール、エチル
アルコール、イソプロピルアルコール、アセトン等の中
で重合反応を行ないベースポリマーを得ることができ
る。水性媒体中で重合反応を行なう際にはリン酸ソー
ダ、次亜リン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、トリポリリ
ン酸ソーダ、重炭酸ソーダ等の無機塩を添加することに
よって重合収率を高めることはできる。分子量はタック
始め諸物性に影響してくるが、好ましくはポリアクリ
ル酸換算で20万〜150万のものが接着力と凝集力の
バランスがとれ易い。このようにして得られたベースポ
リマーは乾燥皮膜にした場合は水に溶け難くアルカリ水
に溶解し易い。
【0008】またこれらの共重合体のベースポリマーを
無溶媒重合あるいは溶媒存在下で重合反応してから溶媒
を除去すると100%濃度物をつくることができる。で
きたベースポリマーにオリゴマー、反応性希釈剤の少量
及び粘着付与樹脂等を添加して熱架橋、紫外線架橋及び
電子線架橋することによってホットメルト型水溶性粘着
剤をつくることができる。
【0009】本発明の粘着剤組成物はベースポリマーを
製造後に界面活性剤を添加する方法と、重合反応すると
きに界面活性剤の一部または全量を媒体中に添加してお
く方法があるが、反応時に添加する場合は量と種類を選
択する必要がある。界面活性剤を添加することによって
コンプレックスを形成すると思われるが、このとき若干
の発熱がある。このとき粘度が上昇し粘性が悪くなる種
類の界面活性剤があるが、これらのものについては相溶
性が悪いと判断してよい。粘着剤のバランスがとれる界
面活性剤のHLBは10〜16位のものが良く可塑化率
が高くなる。HLBが10以下であると凝集力が不足し
てブリージングが激しく使用することが難しい。またH
LBが16以上では目的のタックが得難い。しかしHL
Bが10以下と16以上のものを混合して使用すること
はできる。添加量としては不揮発分換算でベースポリマ
ー100重量部に対して界面活性剤の量は50〜500
重量部を使用することができる。特に100〜250重
量部使用することが好ましい。
【0010】こうして得られた粘着剤組成物の乾燥皮膜
は水には溶け難いがアルカリ水には良く溶解するものが
できる。また更に水に対しての依存性を少なくするため
にはカルボキシル基の活性水素と反応する架橋剤を添加
することが有効である。架橋剤としては例えば多価金属
塩であるマグネシウム、アルミニウム、カルシウム、亜
鉛の如き金属の酢酸塩、硫酸塩、金属キレートであるア
ルミニウムトリスアセチルアセトネート、エチルアセト
アセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニ
ウムモノアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテ
ート等、アジリジン系化合物であるジフェニルメタンビ
ス−4,4’,N,N’−ジエチレンウレア、2−(1
−アジリジニル)エチルメタクリレート、1,6−ヘキ
サメチレンジエチレンウレア等及びエポキシ系化合物の
1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリ
セロールポリグリシジルエーテル、その他メラミン系等
公知の架橋剤がある。
【0011】また用途がガラス瓶用として使用されると
きは耐水接着力を要求されるが、そのような場合にはシ
ランカップリング剤をベースポリマーに対して0.01
〜5重量%重合反応中または重合反応後に添加すると優
れた性能を発揮する。シランカップリング剤としてはビ
ニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン等がある。しかしながらガラス瓶にはシランカップ
リング剤を添加することによって改善できるが、ポリオ
レフィン製のプラスチック容器には接着し難いから、例
えばエチレン/酢酸ビニル、エチレン/酢酸ビニル/ア
クリル系等の共重合体をベースポリマーに対して2〜3
0重量%添加することによって接着性が大きく改善でき
る。
【0012】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
る。文中の部及び%は全て重量基準によるものである。
【0013】実施例1 冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器
に水130部及び重炭酸ソーダ0.5部を入れて窒素置
換しながら攪拌する。アクリル酸95部、アクリル酸エ
チル5部及び水70部との混合液及び重合開始剤として
水に0.5%濃度に溶解した過硫酸カリウム溶液20部
を別々の容器に用意する。内温を加熱して88゜Cにな
った時点より上記のアクリル酸とアクリル酸エチルと水
との混合液と過硫酸カリウムの水溶液を別口より逐次滴
下せしめ重合反応を開始させる。その後反応温度を90
℃に保持しながら3時間滴下反応する。滴下終了後同温
度で2時間継続して重合反応を終結してから冷却しやや
透明な不揮発分25%のポリマー溶液を得た。次にこの
ポリマー溶液100部に日本乳化剤(株)製のニューコ
ール864(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエー
テルからなるノニオン性界面活性剤でHLB=13.
2)を35部添加して50℃で2時間攪拌しアルカリ可
溶型粘着剤組成物を得た。
【0014】実施例2 実施例1で得られた粘着剤組成物100部に、凝集力を
高め高温高湿下のブリード性を良くするために架橋剤と
して1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルを2
部添加しアルカリ可溶型粘着剤組成物を得た。
【0015】実施例3 実施例2で得られた粘着剤組成物100部に、ガラス容
器に対して接着力を高める目的でγ−アミノプロピルト
リエトキシシランを0.8部添加してアルカリ可溶型粘
着剤組成物を得た。
【0016】比較例1 アクリル酸ブチル40部、酢酸ビニル40部、アクリル
酸20部と重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリ
ル1部をメチルアルコールと酢酸エチルの混合溶剤15
0部を用いて溶液重合反応を行ない不揮発分39.2%
のポリマー溶液を得た。次にこのポリマー溶液100部
に日本乳化剤(株)製のニューコール864を30部添
加して50℃で2時間攪拌し粘着剤組成物を得た。
【0017】比較例2 アクリル酸90部、ジメチルアミノエチルアクリレート
10部、アゾビスイソブチロニトリル1部、イソプロピ
ルアルコール300部からなる組成物を溶液重合して
揮発分24.7%のポリマー溶液を得た。次にこのポリ
マー溶液100部にポリエーテルポリオールであるサン
ニックスTP−400(三洋化成株式会社製)350部
及び水1050部を加え均一に混合し水溶性粘着剤組成
物を得た。
【0018】実施例及び比較例で得た粘着剤組成物を以
下の方法にて評価した。ここで使用するタック紙の基材
には上質紙55Kを用い塗布量は25g/m2で行なっ
た。接着力:試験片を25×150mmに切断し剥離紐
を剥した後、JIS Z−0237で規定される圧着装
置を用いてSUS304板の上に圧着した。60分経過
後にテンシロン万能試験機を用い180゜引き剥し接着
力を測定した。ただし引っ張り速度は300mm/分で
行なった。
【0019】保持力(ズレ距離):JIS Z−023
7に準拠し、試験片を清浄にしたSUS304板の一端
に、試験片の25×25mmの面積が接するように貼り
付けローラーで圧着する。20分経過後、試験片の一端
を留金で止め試験片が垂直に垂れ下がるようにし、その
先端に1kgの重りを取り付ける。40℃の雰囲気下で
5時間後のズレた距離を測る。途中で落下した場合は時
間で表わす。
【0020】ループタック:試験は株式会社オリエンテ
ック製テンシロン万能試験機;モデルUTM−4を用い
て実施した。試験片を25×150mmに切断し、両端
15mmを合わせて、テンシロン万能試験機のチャック
にはさみ込み円周31.85mmのループを作る。次に
JIS Z−0237で規定されている研磨したSUS
304板を300mm/分の速度で上昇させループと接
触させる。その際SUS板から最下部までの距離は20
mmになるよう設計する。SUS板が所定の位置まで上
昇すれば試験片はループがつぶれた状態でSUS板と接
触することになる。接着後直ちに300mm/分の速度
でSUS板を下降させる。このときのSUS板と試験片
の間の接着力をもってループタックとした。
【0021】ブリード:この試験方法においては、湿度
や温度にさらされたときに紙を通して粘着剤及びその一
部の成分がしみ出す傾向を測定する。三本ロールのトッ
プフィード法の塗工機で一般的に行なわれるタック紙の
製造方法にて直径150mmのロール状とシート状の試
料を用意する。用意された試料を70℃の雰囲気下及び
50℃,90%の温湿下に放置し14日間放置後取り出
し剥離紙を取り去る。ブリードの有無を調べるために角
度を変え光線を当てながらブランクの試料と比較する。
【0022】再パルプ化:予め用意した容器に水297
部及び苛性ソーダ3部を入れる。タック紙を10×10
mmに切断した後剥離紙を取り去り容器に30部入れ
る。温度を60℃に保ち30分放置後500回転/分で
3時間攪拌する。その後ろ紙でろ過して残さをとる。そ
の後残さを水洗いした後乾燥し重量とタックを測定す
る。本試験方法は粘着剤が溶解しないと粘着剤の残さが
混入しタックがでる。特にタックが残ったものを離解性
が悪いと判断して不合格とし、タックが残らないものを
合格とした。
【0023】ガラス瓶に対する接着性:試験片を30×
30mmに切断した後剥離紙を取り去り、清浄にしたビ
ール瓶に貼り合わせ室温で3日間放置する。その後常温
水に浸漬し、ビール瓶より落下する時間を測定した。
【0024】
【0025】
【発明の効果】本発明のアルカリ可溶型粘着剤組成物は
粘着剤主成分としてカルボキシル基含有ビニル系単量体
を共重合して得られる共重合体と特定の界面活性剤とを
主成分してなるものであるから、これを用いたタック紙
や粘着テープを再パルプ化する際には容易にアルカリ水
にて離解でき、粘着性の残存しない再生紙を生成し得
る。また水分依存性、低温時のタック性、高温時の耐ブ
リージング性等にも優れ特に架橋剤の添加によりせん断
強度も向上し、またシランカップリング剤の添加により
ガラスに対する接着力も増強し、更にエチレン系共重合
体を添加することによってプラスチックに対しても接着
力が良くなるのでビンラベル用及び各種粘着紙用として
好適である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−33926(JP,A) 特開 昭53−1232(JP,A) 特開 昭52−23138(JP,A) 特開 昭49−18924(JP,A) 特公 昭48−22327(JP,B1) 特公 昭49−23294(JP,B1) 特公 昭49−23813(JP,B1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全単量体中、70〜99重量%のカルボ
    キシル基含有ビニル系単量体と1〜30重量%のアクリ
    ル酸メチル及び/又はアクリル酸エチルを含有する単量
    体を共重合して得られる共重合体100重量部に対して
    50〜500重量部のポリオキシエチレン鎖を有する界
    面活性剤を添加してなるアルカリ可溶型粘着剤組成物。
JP3344132A 1991-12-03 1991-12-03 アルカリ可溶型粘着剤組成物 Expired - Lifetime JP2727143B2 (ja)

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