JP2726353B2 - エレクトロルミネッセンス薄膜の成長方法 - Google Patents

エレクトロルミネッセンス薄膜の成長方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はエレクトロルミネッセ
ンス薄膜(以下「EL薄膜」という。)の製造方法に関し、
より詳しくは、各種電子機器の表示部、計測器およびコ
ンピュータの端末、ワープロなどに用いられる薄膜EL
素子の発光層を気相成長(CVD)法により作製する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜EL素子の発光層を構成する材料と
しては、ZnS、ZnSe、CaS、SrSなどII−VI
族化合物半導体を母体とし、これにMnあるいはTb、S
m、Ce、Euなどの希土類イオンを発光中心として添加
したものが知られている。このうち、現在実用化されて
いる材料は母体にZnS、発光中心にMnを使用したZn
S:Mn膜に限られており、その成長方法として次に挙
げる2種類の薄膜作製技術が使われている。 ZnSおよびMnの粉末あるいは混合焼結体を蒸発源
とした真空蒸着法(例えば特公昭52−10358号公
報)。 Zn、S、Mnをそれぞれ蒸気の状態で交互に基板上
に供給して原子層単位での成長を進めるCVD的原子層
エピタキシー法(特公昭57−35158号公報)。
【0003】また、これらの方法の他に、EL薄膜の高
品質化あるいは多色化を目的として ZnSとMnの混合ターゲットを用いた高周波スパッ
タ法。 II族元素の有機物とVI族元素の水素化物を基板
上で熱分解させる有機金属気相成長(MOCVD)法。 Zn、S、Mnの固体原料を真空中で別々の蒸発源よ
り過熱供給する多源蒸着法の検討が進められている。
【0004】更に最近、本出願人は、高品質化と同時に
大面積化および量産性に優れた技術として ZnSソースと金属Mnソースをそれぞれ水素(あるい
は不活性ガス),塩化水素(HCl)ガスにより輸送し、化
学反応を利用して成長を行うハロゲン輸送減圧CVD法
を新しい作製技術として提案した(特願昭63−128
3号)。このハロゲン輸送減圧CVD法が上記乃至
の発光層作製法と異なる点は、反応管内のソース領域
(上流側高温領域)で発生させたZnSソースガスをキャ
リアガスの流れに乗せて成長領域(下流側低温領域)へ輸
送すると共にMnソースをハロゲン化合物の蒸気の形態
で輸送する点にある。すなわち、ZnSソース,Mnソー
スをそれぞれ化学反応式 ZnS → Zn + (1/2)S2 ………(1) Mn + 2HCl → MnCl2 + H2 ………(2) に基づいて輸送して、基板上で化学反応を利用した膜成
長を行う。これにより、高純度の原料ガスが供給できる
と共にち密で強い結合を有する膜成長が可能となり、高
品質のEL薄膜が得られる。このハロゲン輸送減圧CV
D法においては、キャリアガスの種類と流量が膜質およ
びデバイス特性に影響を及ぼす重要な因子となってお
り、これまで、Mnソース輸送用にはHClガスが用いら
れる一方、ZnSソースのキャリアガスとしては、H2
スまたはHe若しくはArなどの不活性単一ガスがそれぞ
れ単独に用いられてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ハロゲン輸
送CVD法により、それぞれH2ガス,Heガス,Arガス
をキャリアガスとしてZnS:Mn薄膜を成長した場合、
成長した膜中のMn濃度およびX線回折強度(結晶性の良
否を表わす)は後段0029に記載の表1に示すように
なっている。なお、X線回折強度はH2ガスを用いた場
合を基準(1)にした相対値で表している。また、成長条
件は、Mnソース輸送用のHClガス流量を0.5cc/mi
n、ZnSソースのキャリアガス流量を100cc/minと
し、成長温度は500℃(一定)とした。表1からわかる
ように、H2ガスを用いた場合はMn濃度が0.23at.%
にしかならないのに対し、Heガスを用いた場合はMn濃
度が0.42at.%に増えており、同じMn輸送速度の下
で高濃度のドーピングを行うことができる。しかしなが
ら、結晶性が相対値で0.33に低下しており、発光特
性の観点からは好ましくない。Arガスを用いた場合は
Mn濃度が0.45at.%と更に高くなるが、結晶性はHe
ガスと同程度に低くなっている。このように、いずれの
ガスによる場合も一長一短があり、完全には満足できな
いものとなっている。また、表1には5回連続成長した
場合のMn濃度の再現性(濃度ばらつきを%で表した値)
を記載しているが、H2輸送の場合はHe輸送,Ar輸送に
比してMn濃度の制御性が良くないという問題がある。
【0006】そこで、この発明の目的は、ハロゲン輸送
CVD法により薄膜EL素子の発光層を成長する方法で
あって、発光中心を高濃度で再現性良くドーピングで
き、しかも結晶性を良好なレベルにすることができるE
L薄膜の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】上記目的を達
成するために、この発明のEL薄膜の製造方法は、反応
管の上流側のソース領域に設けた第1,第2のガス流路
にそれぞれII−VI族化合物半導体からなる母体材料
とこの母体材料の中で発光中心となるべき元素の材料と
を配置し、上記反応管の下流側の成長領域へ上記母体材
料を上記第1のガス流路を通して所定のキャリアガスに
よって輸送すると共に上記発光中心となるべき元素の材
料を上記第2のガス流路を通してハロゲン化合物の蒸気
の形態で輸送して、上記成長領域に設置した基板上にエ
レクトロルミネッセンス薄膜を成長するエレクトロルミ
ネッセンス薄膜の製造方法であって、上記キャリアガス
は不活性ガスからなり、上記反応管の上流側から下流側
へ上記ソース領域をバイパスしてガスを導く第3のガス
流路を設けて、この第3のガス流路を通して上記成長領
域へ還元性ガスを供給しつつ成長を行うことを特徴とし
ている。
【0008】また、上記不活性ガス,上記還元性ガスは
それぞれHeガス,H2ガスからなり、上記各ガスの流量
Fнe,Fн2の比が、 0.01<Fн2/Fнe<1 なる関係を満たすのが望ましい。
【0009】また、上記母体材料,上記発光中心となる
べき元素は、それぞれZnS,Mnであり、上記ソース領
域の温度を700℃乃至1000℃、かつ、上記成長領
域の温度を400℃乃至600℃に設定するのが望まし
い。
【0010】この発明は、以下の実験,解析,考察により
創出された。
【0011】(A)キャリアガスがそれぞれH2,Heから
なる場合について、ZnSソース輸送速度のキャリアガ
ス流量依存性は図3に示すようなものである。すなわ
ち、ソース輸送速度はいずれもキャリアガス流量の1/
4〜1/5乗に比例して増大しており、Heガスに比べ
るとH2ガスの方が約20%大きい値となっている。こ
こで、ソース領域から下流側へ輸送されるガス成分を四
重極質量分析計により測定したところ、キャリアガスが
2ガスの場合は10〜20%のH2Sガスが検出された
(キャリアガスがHeガスの場合は当然ながら検出されな
い。)。このことは、ZnSの輸送機構がHeガスでは上
記式(1) ZnS → Zn + (1/2)・S2 の反応に限られるのに対し、H2ガスでは次式(3) ZnS + H2 → Zn + H2S ……(3) の反応がわずかに生じることを示している。更に、反応
管壁に堆積する膜成分を調べたところ、H2ガスの場合
はソース領域から輸送されたH2SとMnCl2が最初に接
触するガス混合領域(ソース領域と成長領域との間の領
域)に金属Mnの堆積が観察された。これは、MnCl2
次式(4) MnCl2+H2S → Mn+2HCl+(1/2)・S2 ……(4) の反応に基づいて上記H2Sによって還元され、この結
果、輸送途中でMnCl2の総量が減少することを示して
いる。そして、このことが、H2ガスを用いた場合にMn
濃度およびその再現性を低下させる原因だと考えられ
る。
【0012】(B)また、上記表1には、EL薄膜中のM
nとClとの濃度比を示している(なお、Clの濃度は蛍光
X線分析により測定した相対量を基準としている)。こ
のデータからわかるように、キャリアガスがAr、Heな
どの不活性ガスからなる場合は、H2からなる場合に比
べて膜中に取り込まれるClの量が多くなっている。こ
の理由は、キャリアガスがH2ガスの場合、基板上に輸
送されて付着したMnCl2がH2ガスによって還元され
(既に示した化学反応式(2)の逆反応)、最終的に生じた
MnがZnS膜中に取り込まれるのに対し、HeやArガス
を用いた場合、上記還元反応が起こりにくく、この結
果、EL膜中にClイオンが多く取り込まれるのだと解
される。そして、このことが、不活性ガスを用いた場合
に結晶性を低下させる原因だと考えられる。
【0013】(C)上記(A),(B)の実験および解析結果
から、Mnの高ドーピングを可能にし、かつ結晶性を良
好なものとするためには、ソース領域においてH2Sガ
スの発生を抑制し、成長領域においてはMnCl2の還元
を促進すれば良いことがわかった。従って、キャリアガ
スとして式(2)に示した反応が起きないように不活性ガ
スを用いると共に、反応管の上流側から下流側へ上記ソ
ース領域をバイパスしてガスを導くガス流路(第3の)を
設けて、このガス流路を通して還元性ガスを成長領域に
供給する。このようにした場合、不活性ガスを用いるこ
とでH2Sガスの発生が抑制されて、輸送途中でMnCl2
の総量が保たれる。したがって、Mnのドーピング率お
よび再現性が高まる。また、低温成長領域では還元性ガ
スの分圧が高まってCl不純物の取り込みが抑制され
る。したがって、成長膜の結晶性が高まる。
【0014】
【実施例】以下、この発明のEL薄膜の製造方法を実施
例により詳細に説明する。
【0015】図1はこの発明を実施するのに用いるハロ
ゲン輸送減圧熱CVD装置の構成を示している。この装
置は、反応管1と、この反応管1を収納した3ゾーン電
気炉3と、原料供給用のHClガスボンベ8,H2ガスボ
ンベ9,Heガスボンベ10およびArガスボンベ11
と、反応管1内のガスを排気する油回転ポンプ14を備
えている。6a,6bおよび6cはマスフローコントロー
ラ、12は圧力計、7a,7b,7cおよび13はバルブを
示している。反応管1は、上流側よりソース領域Sと、
ガス混合用バッフル15を設けたガス混合領域Mと、基
板ホルダ4を設けた成長領域Gに分けられ、それぞれ電
気炉3のヒータ3a,3b,3cによって互いに独立に温度
制御できるようになっている。反応管1は、長さ1m、
内径5cmの石英製本管1aの内部ソース領域Sに、第1,
第2のガス流路として、長さ50cm、内径2cmの原料ガ
ス導入管2a,2bを有している。導入管2a,2bにはそれ
ぞれソースとしてZnS粉末20,金属Mn30を石英ボ
ートに入れて設置する。導入管2aへはマスフローコン
トローラ6aを通してH2ガス,HeガスまたはArガスを
流すことができ、また導入管2bにはマスフローコント
ローラ6bを通してHClガスを供給する。また、反応管
1には、第3のガス流路として、ソース領域Sから成長
領域Gに至る内径5mmの導入細管2cを設けている。こ
の細管2cにはマスフローコントローラ6cを通してH2
ガスを供給し、これにより、ソース領域Sおよびガス混
合領域Mをバイパスして、成長領域G(基板ホルダ4上)
に載置した基板5上へ直接H2ガスを供給できる。
【0016】EL薄膜ZnS/Mn膜を成長する際は、予
め基板5として、ガラス基板上にITO透明導電膜、S
iO2膜、Si34膜を順次積層したものをセットする。
そして、図1中に示すようにヒータ3a,3b,3cによっ
て各領域S,M,Gの温度プロファイルの設定を行う。こ
こでは、各領域S,M,Gの温度は、それぞれ900℃,
700℃,500℃に設定する。成長膜が約0.6μmの
厚さとなるように成長時間を調整する。また、ZnSソ
ース20は、導入管2aを通して流量100cc/minのH
eガスをキャリアガスとして輸送する。Mnソース30
は、導入管2bを通して流量0.5cc/minのHClガスに
よってMnCl2の蒸気の形態で輸送する。そして、細管
2cに流すバイパスH2ガスの流量をFн2を0〜100c
c/minの範囲で変化させて成長を行った。この後、成長
したZnS:Mn薄膜を評価するために、上記基板上にS
i34膜、Al23膜およびAl電極を形成して薄膜EL
素子を作製した。
【0017】図2は、上に述べた方法で成長したZn
S:Mn膜中のMn濃度Cмn、X線回折強度Ixのデータ
および薄膜EL素子としての発光輝度L50(発光の閾電
圧より50V高い電圧を印加した時の輝度)のデータを
示している。図中、Fн2の変化はHeガス流量Fнeに
対する流量比(Fн2/Fнe)として表している。 (i)Mn濃度Cмnは流量比Fн2/Fнeが大きくなると
幾分低下するものの、流量比依存性は小さく、H2ガス
の付加がMn濃度を大きく低下させることはない。すな
わち、H2ガスをバイパスさせることによりZnSソース
のキャリアガスとしてHe,Arなどの不活性ガスを単独
で用いた場合(表1に示した)と略同様に、発光中心(M
n)を高濃度にドーピングすることができた。同時に、M
n濃度の再現性も向上させることができた。 (ii)また、X線回折強度Ix(すなわち結晶性)は少量の
2の導入で改善する傾向があり、H2ガス流量が大きく
なると単調に増大する(ただし、流量比Fн2/Fнe=
0.1以上では飽和する)。すなわち、成長領域Gにおい
てH2ガスの分圧を高めることにより、結晶性を改善す
ることができた。 (iii)発光輝度L50は結晶性の改善に対応して向上して
いる。ただし、Fн2/Fнe=0.01以下ではキャリ
アガスとして不活性ガスを単独で用いた場合と同レベル
となって、効果が認められず、またFн2/Fнe=1以
上になると低下している。
【0018】上記(i),(ii)および(iii)の結果から、バ
イパスH2ガスの流量Fн2は、 0.01 < Fн2/Fнe < 1 の範囲に設定することが効果的である。このように設定
した場合、成長膜中にMnを高濃度で再現性良くドーピ
ングでき、しかも結晶性を良好なレベルにすることがで
きる。また、薄膜EL素子の発光輝度を高めることがで
きる。
【0019】また、次に説明するように、ソース領域S
の温度範囲は700〜1000℃、成長領域Gの温度範
囲は400〜600℃、ガス混合領域Mの温度範囲は6
00〜700℃がそれぞれ好ましい。
【0020】まず、ソース領域Sの温度範囲は次のよう
にして定まる。一般に、EL薄膜としては約0.6μm
(通常0.6〜0.8μm)以上の膜厚が必要とされるが、
生産性の観点から、膜の成長時間は1時間程度以下に抑
えなければならない。それ故、膜の成長速度は100Å
/min以上であることが必要とされる。この値に対応し
て、ZnSの輸送速度は10-4mol/min以上、一方、Mn
は、ドーパントであるから、それよりも低く10-5mol
/min以上であることが要求される。ここで、図4に示
すように、ZnSソースとMnソースの輸送速度は、温度
が高くなるにつれて増加する。この図4から、ZnSソ
ースの温度は900℃以上、Mnソースの温度は700
℃以上であれば良いことが分かる。上限温度は、反応管
(石英管)1の常用耐熱温度で定まり、1000℃であ
る。結局、ソース領域Sの温度範囲は700〜1000
℃であるのが好ましい。
【0021】次に、ガス混合領域Mの温度範囲は次のよ
うにして定まる。ガス混合領域Mの温度は、輸送された
ソースの固化を防ぐために、成長領域Gの温度よりも高
いことが要求される。一方、上限温度は、Mnが石英と
反応して反応管1を劣化させないように決定され、Mn
ソースの温度以下に設定される。結局、ガス混合領域M
の温度範囲は、ソース温度と成長温度との間の600〜
700℃であるのが好ましい。
【0022】また、成長領域Gの温度範囲は次のように
して定まる。図5は、成長領域Gの温度とEL薄膜の発
光輝度との関係を示している。発光輝度は、9〜10イ
ンチサイズのEL素子では100ft−L、5〜6インチ
サイズのEL素子では50ft−L以上であることが要求
される。したがって、図5から分かるように、成長領域
Gの下限温度は400℃となる。一方、上限温度は、膜
を堆積すべき基板の軟化点で制限される。ガラス基板の
場合、600℃以下となる。結局、成長領域Gの温度範
囲は400〜600℃であるのが好ましい。なお、図5
には650℃のデータを併せて示しているが、上記理由
から、この温度650℃は実用性がない。
【0023】なお、上に述べた成長例では、ウルツ鉱型
のZnS結晶が得られた。仮にMnソースの輸送量をゼロ
にした場合には、せん亜鉛鉱型のZnS結晶となる。し
かしながら、EL発光に必要な量のMnをドープした場
合には、必ずウルツ鉱型のZnS結晶となった。ウルツ
鉱型のZnS結晶は、せん亜鉛鉱型のものよりも結晶粒
径が大きく、かつ、結晶粒の配向性が良いものである。
【0024】また、この実施例は、既に薄膜EL素子に
実用化されているZnS:Mn膜を成長する場合について
述べたが、当然ながら、これに限られるものではない。
ZnS以外の母体材料であるII−VI族化合物半導体
ZnSe、CaS、SrSなどについても上記式(1)および
式(3)に対応する化学反応は起こり、またMn以外の発
光中心材料であるTbなどの希土類イオンについても上
記式(2)および式(4)に対応する化学反応は生じる。し
たがって、この発明はZnS:Mn膜以外のEL薄膜を成
長する場合にも広く適用することができ、その効果を期
待できる。
【0025】また、不活性ガスとしてArガスの他に窒
素(N2)やネオン(Ne)ガスも可能であり、還元性ガスと
してはH2の他にH2S、アンモニア(NH3)ガスなどを
使用できる。
【0026】
【発明の効果】以上より明らかなように、この発明のE
L薄膜の製造方法は、反応管の上流側のソース領域に設
けた第1,第2のガス流路にそれぞれII−VI族化合
物半導体からなる母体材料とこの母体材料の中で発光中
心となるべき元素の材料とを配置し、上記反応管の下流
側の成長領域へ上記母体材料を上記第1のガス流路を通
して所定のキャリアガスによって輸送すると共に上記発
光中心となるべき元素の材料を上記第2のガス流路を通
してハロゲン化合物の蒸気の形態で輸送して、上記成長
領域に設置した基板上にエレクトロルミネッセンス薄膜
を成長するエレクトロルミネッセンス薄膜の製造方法で
あって、上記キャリアガスは不活性ガスからなり、上記
反応管の上流側から下流側へ上記ソース領域をバイパス
してガスを導く第3のガス流路を設けて、この第3のガ
ス流路を通して上記成長領域へ還元性ガスを供給しつつ
成長を行っているので、EL薄膜中に発光中心を高濃度
で再現性良くドーピングできる。しかも、結晶性を良好
なレベルにすることができる。したがって、再現性良く
高品質のEL薄膜を形成することができる。
【0027】また、上記不活性ガス,上記還元性ガスは
それぞれHeガス,H2ガスからなり、上記各ガスの流量
Fнe,Fн2の比が、 0.01<Fн2/Fнe<1 なる関係を満たす場合、再現性良く高品質のEL薄膜を
形成でき、しかも薄膜EL素子としての発光輝度を高め
ることができる。
【0028】また、上記母体材料,上記発光中心となる
べき元素は、それぞれZnS,Mnであり、上記ソース領
域の温度を700℃乃至1000℃、かつ、上記成長領
域の温度を400℃乃至600℃に設定する場合、発光
輝度が大きいZnS:Mn薄膜を短時間で生産性良く形成
することができる。
【0029】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のEL薄膜の製造方法を実施するの
に用いるハロゲン輸送減圧熱CVD装置の構成を示す図
である。
【図2】 バイパスH2ガスの流量によるMn濃度、X線
回折強度および発光輝度の変化を示す図である。
【図3】 ZnSソース輸送速度のキャリアガス流量依
存性を示す図である。
【図4】 ソース領域の温度とソース輸送速度との関係
を示す図である。
【図5】 成長領域の温度と発光輝度との関係を示す図
である。
【符号の説明】
1 反応管 1a 本管 2a,2b 導入管 2c 導入細管 3 電気炉 3a,3b,3c ヒータ 4 基板ホルダ 5 基板 6a,6b,6c マスフローコントローラ 7a,7b,7c,13 バルブ 8 HClガスボンベ 9 H2ガスボンベ 10 Heガスボンベ 11 Arガスボンベ 12 圧力計 14 油回転ポンプ 15 ガス混合用バッフル S ソース領域 M ガス混合領域 G 成長領域

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応管の上流側のソース領域に設けた第
    1,第2のガス流路にそれぞれII−VI族化合物半導
    体からなる母体材料とこの母体材料の中で発光中心とな
    るべき元素の材料とを配置し、上記反応管の下流側の成
    長領域へ上記母体材料を上記第1のガス流路を通して所
    定のキャリアガスによって輸送すると共に上記発光中心
    となるべき元素の材料を上記第2のガス流路を通してハ
    ロゲン化合物の蒸気の形態で輸送して、上記成長領域に
    設置した基板上にエレクトロルミネッセンス薄膜を成長
    するエレクトロルミネッセンス薄膜の製造方法であっ
    て、 上記キャリアガスは不活性ガスからなり、 上記反応管の上流側から下流側へ上記ソース領域をバイ
    パスしてガスを導く第3のガス流路を設けて、この第3
    のガス流路を通して上記成長領域へ還元性ガスを供給し
    つつ成長を行うことを特徴とするエレクトロルミネッセ
    ンス薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記不活性ガス,上記還元性ガスはそれ
    ぞれHeガス,H2ガスからなり、上記各ガスの流量Fн
    e,Fн2の比が、 0.01<Fн2/Fнe<1 なる関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載のエ
    レクトロルミネッセンス薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記母体材料,上記発光中心となるべき
    元素は、それぞれZnS,Mnであり、 上記ソース領域の温度を700℃乃至1000℃、か
    つ、上記成長領域の温度を400℃乃至600℃に設定
    することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
    エレクトロルミネッセンス薄膜の製造方法。
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