JP2725579B2 - 無孔質ダイキャスト装置 - Google Patents

無孔質ダイキャスト装置

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JP2725579B2 JP5320320A JP32032093A JP2725579B2 JP 2725579 B2 JP2725579 B2 JP 2725579B2 JP 5320320 A JP5320320 A JP 5320320A JP 32032093 A JP32032093 A JP 32032093A JP 2725579 B2 JP2725579 B2 JP 2725579B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油圧機器、自動車など
を始め、各種産業分野の部品製作に広く利用可能な無孔
質ダイキャスト装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ダイキャスト装置は、固定型と可動型か
らなる精密な金型同士を型締めすることによって金型キ
ャビティを閉成し、このキャビティ内に溶湯を充填して
凝固させることで短時間のうちに高精度で鋳肌のすぐれ
た鋳物を大量生産できる製造装置である。そのプロセス
は、基本的に次の4つからなっている。
【0003】 (1)固定型と可動型を型締めし、注湯口から溶融した
金属を注湯する。 (2)スリーブ内でプランジャを作動させることによ
り、溶湯を押し込みキャビティ内に充填する。 (3)溶湯を凝固させる。 (4)固定型と可動型を型開きし、可動型に付着した鋳
物を取出す。
【0004】しかして、これらのうち(2)、(3)は
鋳物の品質を決定づける最も重要なプロセスであるが、
従来から(2)においてガスの巻き込みによるピンホー
ルを生じ、(3)において溶湯の凝固収縮時に引け巣を
生じるという課題を抱えていた。これに対して、近時の
ダイキャスト技術は、金型減圧、局部加圧(スクイズ)
などの新たな手法を導入することで製品をより無孔質に
近づける成果を上げることができるようになってきた。
金型減圧はキャビティ内をポペット弁を介して真空排気
手段に接続し、溶湯の注湯時における湯回りをよくして
ガスの巻き込みの防止を図るとともに、注湯に同期して
ポペット弁を閉じ真空排気手段への溶湯の侵入を阻止す
るようにしたものである。また、局部加圧はキャビティ
内において溶湯が最終的に凝固する部分を加圧すること
で引け巣の防止を図ることができるようにしたものであ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来では、
金型減圧用のポペット弁と、局部加圧用ピンとが各々別
途に構成、配置されており、コスト的に高価につき、構
造も複雑であり、タイミングの同期を図るための制御も
むつかしく、段取り時間にも長時間を要するという難点
があった。その上、ポペットと加圧用ピンでは構造を全
く異にするため、共通化を図ることも困難であった。
【0006】本発明は、このような課題に着目してなさ
れたものであって、スクイズピンおよびバルブを構造上
共通化することによって、装置の簡略化、コストパフォ
ーマンスの向上、段取りの改善等を図った新規有用な無
孔質ダイキャスト装置を提供することを目的としてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するために、次のような構成を採用したものであ
る。すなわち、本発明に係る無孔質ダイキャスト装置
は、金型の固定側と可動型とを型締めすることによって
閉成される金型キャビティ内を真空排気手段によって排
気した後、該キャビティ内に溶湯を充填して加圧凝固さ
せるように構成したものにおいて、前記金型に局部加圧
用のスライダ孔をキャビティの一端に連通し得るように
穿設し、このスライダ孔に摺動可能にスライダを嵌装し
て該スライダを駆動機構により駆動し、初期待機位置
と、スライダ孔に流入した溶湯により付勢され前記初期
待機位置から後退した溶湯充填位置と、前記溶湯充填位
置から溶湯に所定圧力を加圧し前進したスクイズ位置と
に選択的に保持し得るように構成するとともに、スライ
ダとスライダ孔との間に、スライダのスライド方向に離
間させて金型のスライド孔に開設した一対のポートと、
一方のポートを金型キャビティの他端に連通させるとと
もに他方のポートを真空排気手段に接続する金型内部通
路とを具備してなり、スライダが初期待機位置にあると
きに前記両ポートを該スライダを介して連通させるバル
ブ機構を配設し、該バルブ機構により前記スライダが初
期待機位置に在るときにキャビティ内を真空排気手段に
接続しキャビティ内に溶湯が導入されたときに該スライ
ダを溶湯充填位置に後退させてキャビティ内を真空排気
手段から遮断するように構成したことを特徴とする。
【0008】駆動機構の具体的な実施の態様としては、
スライダに対して進退可能に第1、第2ピストンを直列
に配設し、スライダの後端側にある第2ピストンの背面
に圧液が導入されたときに該第2ピストンが第1ピスト
ンを介しスライダを付勢して該スライダを初期待機位置
にまで移動させ、第1ピストンの背面に圧液が導入され
たときに該第1ピストンがスライダを付勢してスクイズ
位置にまで移動させ、さらに第1ピストンの前面に圧液
が導入されたときに第1ピストンがスライダを牽引して
最後退位置に移動させるように構成したものが挙げられ
る。
【0009】また、この場合には、第1ピストン先端と
スライダ後端との間にスプリングやエア等を介設し、初
期待機位置にあるスライダに溶湯が突入したときにスラ
イダがスプリングやエア等を圧縮しつつ溶湯充填位置に
まで後退するように構成されているものが有効となる。
【0010】
【作用】このような構成において、スライダを駆動機構
により初期待機位置に保持している状態では、バルブ機
構がONとなって真空排気手段とキャビティ内が連通状
態となり真空排気手段によりキャビティ内が減圧され
る。次に、キャビティ内に溶湯が充填されると、溶湯の
突入によりスライダが溶湯に付勢されて溶湯充填位置に
まで後退する。このときバルブ機構がOFFとなり、真
空排気手段がキャビティから遮断される。そして、最後
に駆動機構によりスライダをスクイズ位置に移動させ、
局部加圧を行う。
【0011】しかして、このものはスライダおよびスラ
イダ孔を通じて同軸上にバルブ機構とスクイズピンが同
時に構成されることになる。そのため、ポペット弁とス
クイズピンを別途に構成、配置していた従来装置に比べ
て、コスト的に安価になり、構造的に簡略となり、タイ
ミングの同期を図るための制御も容易となって段取り時
間の短縮化も図れるものとなる。また、本発明のバルブ
機構は、スライダ孔とキャビティ内を連通する連通口
と、金型内部通路とキャビティ内とを連通する連通口が
キャビティ内の別個の箇所に設けられているので、溶湯
へのガスの巻き込みや真空排気手段へ溶湯が流入するこ
とを確実に防止することができる。しかも、キャビティ
内と真空排気手段が連通、遮断するタイミングの同期を
溶湯がスライダを付勢することにより自動的に図るよう
にしているので、電気的な制御を用いることなく純機械
的な構成として長期に亘って安定した制御を行うことが
できる。さらに、ポペット弁を用いる場合に比べて真空
通路を大きく設定できるため、金型減圧速度や到達真空
度を向上させる上でも有効となる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を、図面を参照して
説明する。図1は、このダイキャスト装置の金型1の固
定側と可動側の分割面pを示している。金型1は母型2
に保持され、金型1内にはキャビティ3を形成する中子
4が装着されている。キャビティ3にはゲート3aが設
けられ、そのゲート3aがランナ5を経て図示しないス
リーブに連設されていて、該スリーブ内に嵌装される図
示しないプランジャにより溶湯をキャビティ3内に押し
込み得るようになっている。
【0013】このような装置に対して、本実施例は、前
記金型1および母型2にそれらの分割面pに沿ってキャ
ビティ3の中心部へ向かう局部加圧用のスライダ孔1
a、2aをその下端がキャビティ3の上端に連通するよ
うに穿設し、それらのスライダ孔1a、2aに摺動可能
にスライダ6を嵌装するとともに、該スライダ6を駆動
機構7によって進退駆動するようにしている。
【0014】駆動機構7は、母型2の上面に定着したハ
ウジング70内に構成されてなるもので、スライダ6に
一定範囲の突没動作を許容した状態で連結され該スライ
ダ6との間に介設したスプリング71aによって該スラ
イダ6を突出位置に弾性偏倚させてなる第1ピストン7
1と、このピストン71を付勢する複動式の第1シリン
ダ72と、前記シリンダ72内に先端を挿入した第2ピ
ストン73と、このピストン73を付勢する単動式の第
2シリンダ74と、前記第2ピストン73の進退位置を
検出するリミットスイッチ機構75とを備えてなる。そ
して、両シリンダ72、74に適宜圧液を導入すること
で、第1ピストン71を通じてスライダ6を3段階に駆
動し得るようにしている。
【0015】詳述すると、第2シリンダ74に圧液が導
入されその液圧が第2ピストン73の背面に作用したと
きに該第2ピストン73が第1ピストン71を介しスラ
イダ6を付勢して該スライダ6を初期待機位置(図2参
照)にまで移動させ、その位置から第1シリンダ72に
圧液が導入されその液圧が第1ピストン71の背面に作
用したときに該第1ピストン71が第2ピストン73か
ら離反するとともにスライダ6を付勢してスクイズ位置
(図5参照)にまで移動させ、さらに第1シリンダ72
に圧液が導入されその液圧が第1ピストン71の前面に
作用したときに第1ピストン71が第2ピストン73と
ともに後退しながらスライダ6を牽引して最後退位置
(図6参照)に移動させるようになっている。すなわ
ち、図2の初期待機位置はスライダ先端をキャビティ3
の僅か外方に保持する位置に対応し、図5のスクイズ位
置は溶湯を所定圧力に圧縮した結果移動し得る位置に対
応し、図6の最後退位置はスライダ先端をキャビティ3
よりも遥か外方に保持する位置に対応している。
【0016】なお、第2ピストン73の先端とスライダ
6の後端との間にはスプリング71aが介設してあるた
め、初期待機位置にあるスライダ6に溶湯が突入する
と、スライダ6が溶湯に付勢されてスプリング71を圧
縮しつつ第1ピストン71により規制される溶湯充填位
置(図3参照)にまで後退するようになっている。ま
た、この実施例では、前記スライダ6と前記スライダ孔
1aとの間に、キャビティ3内を選択的に真空排気手段
8に対して弾接するバルブ機構9を構成している。この
バルブ機構9は、スライダ6のスライド方向に離間させ
て金型1のスライド孔1aに開設した一対のポート9
1、92と、一方のポート91を金型キャビティ3の下
端に連通させるとともに他方のポート92を真空排気手
段8に接続する金型内部通路91a、92aと、スライ
ダ6の外周に設けられスライダ6が初期待機位置にある
ときに前記両ポート91、92を連通させるスライダ溝
93と、同じくスライダ6の外周に設けられスライダ6
が溶湯充填位置に後退したときに前記両ポート91、9
2間を遮断するランド部94とを具備している。次に、
この実施例による鋳物の製造プロセスを略述する。先
ず、中子4を装入した状態で金型1の可動側を固定側に
当接させ、型締めする。そして、第2シリンダ74に圧
液を導入してスライダ6を図2に示す初期待機位置に保
持する。次に、注湯口からアルミニウム合金等の溶湯を
注入し、プランジャを移動させて注湯口を塞ぐととも
に、真空排気手段8を作動させて、プランジャを駆動し
中速で射出を行う。当初、スライド孔1aに開設した一
対のポート91、92と、金型内部通路91a、92a
と、スライダ溝93は連通しバルブ機構9はONになっ
ている。このとき、真空排気手段8とキャビティ3内が
連通しキャビティ3内が減圧されるため、注入した溶湯
はランナ5を通ってゲート3aに到達した後、キャビテ
ィ3内に引き上げられる。そして、これに伴ない、溶湯
がスライダ6の先端に突入するため、スライダ6はその
静圧力とバランスする図3の溶湯充填位置までスプリン
グ71aを圧縮しつつ後退する。その結果、バルブ機構
9がOFFになって、内部通路91aから回り込んだ溶
湯が図4に示すようにスライダ6のランド部94によっ
てブロックされ、溶湯の真空排気手段8への流入が阻止
される。さらに、ランナ5が凝固後(0.1〜0.5
s)、第1シリンダ72に圧液を導入してスリーブ6を
図3及び図4に示す溶湯充填位置から図5のスクイズ位
置に前進させ(移動量d)、キャビティ3内に全体圧力
(200MPa〜4000MPa)を加えながら凝固さ
せる。凝固後、第1シリンダ72に圧液を導入してスリ
ーブ6を図6の最後退位置に移動させ、金型1の可動側
と固定側とを開いて、鋳物を取り出す。そして、スリー
ブ孔1aに離型剤を吹き付け、エアブロー後に次の工程
に入る。
【0017】以上のような無孔質ダイキャスト装置であ
ると、局部加圧用のスライダ6が、スライダ孔1aとの
間に同時にバルブ機構9をも構成することになる。その
ため、ポペット弁とスクイズピンを別途に構成、配置し
ていた従来装置に比べて、コスト的に安価になり、構造
的に簡略となり、タイミングの同期も自動的に図られる
ため段取り時間の短縮化も果たせるものとなる。また、
本発明のバルブ機構は、スライダ孔1aとキャビティ3
内を連通する連通口と、金型内部通路91aとキャビテ
ィ3内とを連通する連通口がキャビティ3内の別個の箇
所に設けられているので、溶湯へのガスの巻き込みや真
空排気手段へ溶湯が流入することを確実に防止すること
ができる。さらに、キャビティ3内と真空排気手段8が
連通、遮断するタイミングの同期を溶湯がスライダ6を
付勢することにより自動的に図るようにしているので、
電気的な制御を用いることなく純機械的な構成として長
期に亘って安定した制御を行うことができる。また、ポ
ペット弁を用いる場合に比べて真空通路を大きく設定で
きるため、金型減圧速度や到達真空度を向上させる上で
も有効となる。さらに、スリーブ6を最後退位置に保持
することによって、離型材の吹き付け等を適切に行うこ
とができ、またスクイズ時にスリーブ6の先端に侵出し
たバリa(図6参照)から該スリーブ6を確実に離脱さ
せることができるため、スライダ6等の焼き付き防止効
果も奏され、また、このようにバリaを許容できること
により、スライダ6とスライダ孔1a、2aとの間に高
い嵌合精度を要求されなくなり、加工、組立上の便宜も
図れるものとなる。
【0018】なお、スライダやバルブ機構の具体的な断
面形状などは、図示例に限定されるものではなく、本発
明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0019】
【発明の効果】本発明の無孔質ダイキャスト装置は、以
上説明したように、スライダをスクイズピンとして機能
させるとともに、そのスライダとスライダ孔との間にバ
ルブ機構を構成したものである。そのため、ポペット弁
とスクイズピンを別途に構成、配置していた従来装置に
比べて、コスト的に安価に構成でき、構造的に簡略とな
り、タイミングの同期を図るための制御も容易となって
段取り時間の短縮化も果たせるものとなる。また、本発
明のバルブ機構は、スライダ孔とキャビティ内を連通す
る連通口と、金型内部通路とキャビティ内とを連通する
連通口がキャビティ内の別個の箇所に設けられているの
で、溶湯へのガスの巻き込みや真空排気手段へ溶湯が流
入することを確実に防止することができる。さらに、キ
ャビティ内と真空排気手段が連通、遮断するタイミング
の同期を溶湯がスライダを付勢することにより自動的に
図るようにしているので、電気的な制御を用いることな
く純機械的な構成として長期に亘って安定した制御を行
うことができる。また、ポペット弁を用いる場合に比べ
て真空通路を大きく設定できるため、金型減圧速度や到
達真空度を向上させる上でも有用なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示し、金型の分割面に沿っ
て切断した全体断面図。
【図2】同実施例のスライダが初期待機位置にあるとき
の状態を示す部分拡大図。
【図3】同実施例のスライダが溶湯充填位置に後退した
ときの状態を示す図2に対応した作用説明図。
【図4】同実施例のスライダが溶湯充填位置にあるとき
の状態を示す図2および図3に対応した作用説明図。
【図5】同実施例のスライダがスクイズ位置に前進した
ときの状態を示す図2に対応した作用説明図。
【図6】同実施例のスライダが最後退位置に後退したと
きの状態を示す図2に対応した作用説明図。
【符号の説明】
1…金型 1a…スライダ孔 3…金型キャビティ 6…スライダ 7…駆動機構 8…真空排気手段 9…バルブ機構

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金型の固定側と可動型とを型締めすること
    によって閉成される金型キャビティ内を真空排気手段に
    よって排気した後、該キャビティ内に溶湯を充填して加
    圧凝固させるように構成したものにおいて、前記金型に
    局部加圧用のスライダ孔をキャビティの一端に連通し得
    るように穿設し、このスライダ孔に摺動可能にスライダ
    を嵌装して該スライダを駆動機構により駆動し、初期待
    機位置と、スライダ孔に流入した溶湯により付勢され前
    記初期待機位置から後退した溶湯充填位置と、前記溶湯
    充填位置から溶湯に所定圧力を加圧し前進したスクイズ
    位置とに選択的に保持し得るように構成するとともに、
    スライダとスライダ孔との間に、スライダのスライド方
    向に離間させて金型のスライド孔に開設した一対のポー
    トと、一方のポートを金型キャビティの他端に連通させ
    るとともに他方のポートを真空排気手段に接続する金型
    内部通路とを具備してなり、スライダが初期待機位置に
    あるときに前記両ポートを該スライダを介して連通させ
    るバルブ機構を配設し、該バルブ機構により前記スライ
    ダが初期待機位置に在るときにキャビティ内を真空排気
    手段に接続しキャビティ内に溶湯が導入されたときに該
    スライダを溶湯充填位置に後退させてキャビティ内を真
    空排気手段から遮断するように構成したことを特徴とす
    る無孔質ダイキャスト装置。
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