JP2724936B2 - 外観の良好な熱可塑性樹脂成形品及びその射出成形用金型 - Google Patents
外観の良好な熱可塑性樹脂成形品及びその射出成形用金型Info
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- JP2724936B2 JP2724936B2 JP4076026A JP7602692A JP2724936B2 JP 2724936 B2 JP2724936 B2 JP 2724936B2 JP 4076026 A JP4076026 A JP 4076026A JP 7602692 A JP7602692 A JP 7602692A JP 2724936 B2 JP2724936 B2 JP 2724936B2
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Description
に起因するヒケ等の欠陥のない外観の良好な熱可塑性樹
脂成形品及びその射出成形用金型に関する。
形品を射出成形するとき,金型に充填された樹脂が冷却
・固化する過程で厚肉部が最終的に凝固する。そのため
に,樹脂の体積収縮が厚肉部に集中し,厚肉部の表面に
ヒケ等が発生し易い。従来のこの種類の射出成形時にお
けるヒケ等の発生を防止するために,各種の方法が提案
されており例えば特公昭61−53208号公報,特開
昭63−268611号公報等では,樹脂の注入ゲート
部から厚肉部を連通偏在させ且つ射出ノズル或いはゲー
ト部から高圧ガスを注入して厚肉部内を貫通する中空部
分を形成させガス加圧下に樹脂成形品を型内で冷却固化
することで,厚肉部の表面へのヒケを防止する方法が提
案されている。
内が連続的に貫通した中空部分となるために,軽量化に
より樹脂の使用量は,減少する代わりに,成形品自体の
剛性/強度が弱くなるという欠点がある。又かかる成形
方法で複雑な形状をもった成形品を製造する場合,樹脂
の注入ゲート部が厚肉部に連通しているために,樹脂の
射出充填後における厚肉部内の溶融樹脂が射出成形機ノ
ズル内へ逆流するのを防止する特殊な逆止弁又はシャッ
ト弁の設置が必要となる。又厚肉部内は連続的に貫通し
た中空部分を形成させるためにガス体を吹き込むことが
できる箇所が特定されること及びガスを注入する際は充
填された溶融樹脂の内部圧以上の高圧力のガスを圧入す
る必要があるので,高圧ガス装置や金型構造等特殊な成
形設備を必要とするだけでなくガス圧及び流量の調整等
の成形条件も難しく,適用可能な成形品形状に制約があ
る。
も種々提案されており,例えば特開昭63−16422
2号公報等では,中空針内を軸方向に摺動可能な針芯体
の変動で型内への開放又は閉鎖可能とした高圧ガスを注
入する装置が提案されているが,このものは針芯体を摺
動させるシリンダー装置等の機構が必要であって,設置
する位置が限られる。
る方法として,成形品のヒケの発生し易い箇所の裏面側
に相当する型キャビテイ面からヒケ制御部材を金型内に
立設して,その先端部周辺にボイドを発生させる方法が
特公平2−13886号公報で提案されている。この方
法で提案されているヒケ制御部材は単に金型内に立設す
るだけであり,且つその先端部周辺に安定してボイドを
発生させるには,耐熱性で且つ熱容量の大きい材質例え
ば金属鋼材を使用することが要求される。そのため,ヒ
ケ制御部材の組み込み箇所に制約が生じ,成形品全体の
厚肉部を確実にヒケ防止することは困難である。
約がなく厚肉部内での剛性/強度を著しく向上させかつ
収縮に起因するヒケや変形等の欠陥のない外観の良好な
熱可塑性樹脂成形品及び特殊な成形条件の制約の少ない
通常の射出成形条件に近い成形方法で成形可能な射出成
形用金型を提供することを目的とする。
しく異なる場合,セットアップ性(凝固性)の高いポリ
カーボネートやアクリル樹脂成形品では,厚肉部の中心
にボイド(空洞)が発生することがある。ところがこの
場合その成形品の表面にはあまりヒケが生じない。この
現象を応用して,フレームを構成する厚肉部のリブ等の
任意の位置に使用材料にかかわりなく外部からガス流体
を注入または吸引させることによって,ガスでボイド
(空洞)核を強制発生させたうえ引き続き,充分に成長
させて成形品の内部歪みを吸収させれば表面性に優れた
剛性の高い成形品を得ることが可能となることを見出し
本発明を完成した。
塑性樹脂成形品であって,厚肉部に相当する任意の複数
箇所に小孔開放口が存在し,各小孔開放口に連通して内
部には周辺の樹脂の収縮で生じたボイドが厚肉部の長手
方向に平行に空洞として存在することを特徴とする外観
の良好な熱可塑性樹脂成形品である。又製造される熱可
塑性樹脂成形品の形状に対応して厚肉部と薄肉部からな
るキャビテイを備えた射出成形用金型であって,金型キ
ャビテイ内面の厚肉部に相当する特にヒケ現象が起きる
任意の箇所でキャビテイ内に中空隆起部が隆起し,該中
空隆起部内を貫通しキャビテイ内にボイド挿入ピンが突
出しており,前記中空隆起部と前記ボイド挿入ピンとの
間に形成される間隙路が外部のガス流体源に連通する流
体流路になっていることを特徴とする。
注入のゲートが設けられていること,或いはキャビテイ
内への中空隆起部が熱伝導性の高い金属製であり,ボイ
ド挿入ピンの材質が中空隆起部よりも熱伝導性が格段低
い例えば耐熱性プラスチックからなることを特徴とする
外観の良好な熱可塑性樹脂成形品の射出成形用金型に関
するものである。さらに又外部のガス流体源が,15K
g/cm2 G以下の圧縮空気であるか或いは大気である
ことを特徴とする外観の良好な熱可塑性樹脂成形品の射
出成形用金型に関するものである。
できる熱可塑性樹脂としては,特段その種類を限定する
ものではなく,ポリスチレン,ポリプロピレン,AB
S,AS,HI,PVC,ポリカーボネート樹脂,アク
リル樹脂等ほとんどの熱可塑性樹脂,或いはガラスファ
イバー等の充填強化材を配合したFFTP等である。厚
肉部と薄肉部を有する熱可塑性樹脂成形品としては,特
に限定するものではないが一般的には,薄肉部の本体の
外周囲や内部等に偏在される補強リブや,金具その他の
取りつけ部分更に又外枠,内枠等が厚肉部として形成さ
れているようなテレビ,ラジオ等の家電製品,ファクシ
ミリ,ワードプロセッサー,コンピューター等の電子機
器のハウジング類があげられる。
の厚肉部において,任意の位置で複数の小孔開放口が存
在し,各小孔開放口に連通して内部には樹脂の冷却収縮
によって生じたボイドが存在し,このボイドは隣接する
小孔開放口のボイドとは連結せずそれぞれ独立して存在
させた点に特徴を有する。かかる点で従来の如き連続し
て貫通した中空部分とは明確に区別できるものであっ
て,特に所定の間隔毎に存在させた場合は,各小孔開放
口の内部ボイドどうしの画壁が補強リブとして介在する
結果,厚肉部の強度低下が抑えられ,その分だけ厚肉部
を小さくすることが可能である。
径2〜20mmΦ,深さ1〜30mmの凹部の内部先端
に形成させることによって,樹脂の冷却収縮によって生
じるボイドを厚肉部の長手方向に平行に集中させること
が可能となる。これによって小孔開放口周辺の厚肉部表
面及び裏面にはヒケや変形等の発生が防止され従って外
部からはその存在が判別できないので外観不良を解消す
ることができる。なおかかる成形品の厚肉部の任意の位
置にボイドを形成させる具体的方法としては,本願発明
者等が先に特願平3−123035号で提案した射出成
形方法を利用又は応用することができる。当該射出成形
方法を実施する際の特に好ましい本発明の射出成形用金
型キャビテイ構造について以下に説明する。
熱可塑性樹脂成形品の形状に対応して厚肉部と薄肉部か
らなるキャビテイを備えた射出成形用金型であって,特
にヒケ現象が起きる厚肉部に相当する金型キャビテイの
任意の箇所にキャビテイ内への隆起部と該隆起部内を貫
通しキャビテイ内に突出するボイド挿入ピンとが複数固
定され,且つ当該隆起部とボイド挿入ピンで形成される
間隙路が外部のガス流体源に連通されて流体流路を形成
していることに特徴を有する。
のゲートを設けられる点にも特徴を有する。ここでキャ
ビテイ側への隆起部としては,予め金型キャビテイに形
成された貫通孔の先端口の金型キャビテイ内面自体に中
空状の肉盛りを形成させるか,或いは,金型貫通孔の先
端にねじ込み方式で中空管を取りつけるか,あるいは金
型貫通孔内に中空管を挿入固定もしくは,押し出しスリ
ーブ方式にスライド可能にして先端の一部をキャビテイ
内へ突出させることができる。
ることによって,ガスの注入口又は吸引口が溶融熱可塑
性樹脂内部に位置することで,溶融熱可塑性樹脂を金型
キャビテイ内に充填したあとの隆起部の接する周囲の樹
脂スキン層が早期に形成される。一方ボイド挿入ピンに
接する樹脂スキン層は先端に行く程薄くなる。従って外
部ガスを充填もしくは注入すると樹脂スキン層の形成の
遅れているボイド挿入ピン先端の内部方向へ集中的に外
部ガスが注入される。従って,ガスが金型キャビテイと
樹脂スキン層の境界面に分散するのを防止させることが
できて,ボイド挿入ピン先端へのボイド核を強制的に形
成させるのに重要である。隆起部の内部直径としては,
ボイド挿入ピンがガス通路としての間隙部を少なくとも
1mm以下残して貫通する中空状であればよく,2mm
以上好ましくは2〜20mm程度であればよい。又隆起
部の高さは厚肉部の厚みによって異なるが1mm以上好
ましくは1〜30mm程度が望ましい。
するボイド挿入ピンの直径は特に制限されるものではな
いが,強度を考慮すると1mm以上が必要であり,好ま
しくは1〜10mmより好ましくは2〜5mmである。
なおボイド挿入ピンの先端を尖らせることによって,加
圧ガスの作用がボイド挿入ピン先端に集中して樹脂の冷
却固化層を突き破りボイド核の形成が容易となるので好
ましい。又外部ガスがボイド挿入ピン先端に形成されつ
つある樹脂スキン層を突き破る際に生じる貫通孔は,直
径0.5mm前後のものが多く,外観上ほとんど判別で
きない。そのため製品の外観が損なわれることはない。
の厚肉部にはいりこんでいれば良く,必ずしも中心部に
ある必要はない。なおボイド挿入ピンの材質は,金属
製,有機質耐熱性プラスチック,無機質材料等により形
成することができる。
高い銅等の金属製とするのに対して,ボイド挿入ピンの
材質は隆起部よりも熱伝導性が格段に低い,即ち断熱性
に優れたもの,例えば耐熱性プラスチック,無機質等の
材料により形成する。この効果としてはボイド挿入ピン
の先端を尖らせていることとも相まって樹脂スキン層形
成が更に遅れることで冷却固化層を突き破るに必要な加
圧ガスの圧力を下げられる。但し射出される溶融樹脂に
悪影響を及ぼさないもの,或いは溶融樹脂の温度,圧力
で悪影響を受けないものであれば特に限定されない。
の設置距離は,一つのボイド挿入ピンがその収縮力を補
填する厚肉部の体積との相関で定められるが,隣接して
複数箇所設置する際,内部のボイド同士が特に接近して
いなくてもよく充分にヒケの発生を防止できるので,製
品設計上の制限がなく簡単に設けることができる。なお
隆起部とボイド挿入ピンの組合せとしてスリーブピン又
はスリーブ・エジェクターピン等を利用することもでき
る。
部と該隆起部内を貫通しキャビテイ内に突出するボイド
挿入ピンとの間隙路を外部のガス流体源に連通させる。
ここでかかる外部のガス流体源としては,ボイド挿入ピ
ン先端に集中して樹脂の冷却固化スキン層を突き破りボ
イド核を形成できる程度の圧力を有するものであれば特
に限定するものではないが,15Kg/cm2 G以下好
ましくは高圧ガスに該当しない10Kg/cm2 G以下
程度の比較的低圧の圧縮空気を利用することができる。
特に有機質耐熱性プラスチック製のボイド挿入ピンを利
用すると圧縮空気圧は3Kg/cm2 G以下,特に注目
すべきことには大気圧自体でも充分な効果を発揮するこ
とが確認されている。
溶融熱可塑性樹脂をキャビテイ内に注入するゲートの取
りつけ位置を金型キャビテイ内面の薄肉部にすることが
可能であって,これによって射出充填した溶融樹脂のゲ
ート部における冷却固化で溶融樹脂のランナー及び射出
シリンダー内への逆流の恐れがないので,通常のオープ
ンタイプの射出ノズルが利用可能であるという有利さが
ある。
融熱可塑性樹脂を射出成形する場合について説明する。
溶融熱可塑性樹脂のキャビテイへの射出充填完了に伴
い,完全充填した溶融熱可塑性樹脂の内部圧力が高ま
る。キャビテイ内面に接した樹脂は固化してスキン層を
形成するとともに,体積収縮を始めて溶融樹脂の内部圧
力が下がり,殆ど0になった時に隆起部とボイド挿入ピ
ンの間隙部を外部ガス流体源に連通すると,ガスは複数
箇所に設置したそれぞれの隆起部とピンで形成される間
隙路を通り各ボイド挿入ピン先端の冷却固化が遅れてい
る薄い樹脂スキン層に0.5mm程度の貫通孔をあけ,
その先端部にボイドの核となる小気泡を生成させる。ボ
イド核の生成により,樹脂内部の応力バランスが崩れボ
イド核に体積収縮による吸引応力が集中する。
合のガス注入は,ボイドの核となる小気泡が形成された
時点で直ちに止めて大気に連通させることができる。こ
のとき残留したガスは,外部ガス導入路を大気に連通さ
せることにより,開放されるが引き続きボイド内は体積
収縮相当分の減圧で大気を吸収して成長し続ける。但し
加圧ガスの開放は,敢えて短時間で行わせる必要はな
い。ボイドの成長を促進させ,且つボイド挿入ピンの離
型性を向上させるために更に加圧ガスの注入を積極的に
継続すると,樹脂の体積収縮力と加圧ガスの圧力が相乗
してボイドの成長が促進され,樹脂成形品の厚肉部ばか
りでなく,厚肉部周辺の薄肉部や隣接する厚肉部のヒケ
までも抑制することが可能である。但し,樹脂の冷却工
程の完了迄加圧ガスの注入を継続させる必要はなく,通
常は樹脂の冷却工程の中間時点までの範囲内で完了させ
て大気開放することで充分である。
イド挿入ピンを利用する場合は,外部ガスの流体源は3
Kg/cm2 G以下特に大気圧であってもよく,この場
合は溶融樹脂の内部圧力が下がり,樹脂の収縮力により
負圧が発生した時に大気開放するか最初から大気開放状
態下で冷却するに従って,スキン層に大気圧による貫通
孔が形成されて大気を吸入することでボイドの核となる
小気泡が形成され引き続きボイド内は体積収縮相当分の
減圧で大気を吸収して成長し続けることが確認されてい
る。いずれにせよ,ボイドの核となる小気泡が形成され
たあとは,溶融樹脂の冷却・固化による体積収縮力に吸
引されて,核となる小気泡がボイドに成長してゆき,ヒ
ケ,変形の原因となる内部歪みを緩和し続ける。
る溶融樹脂の内部方向即ち厚肉部の長手方向に平行に成
長し続ける。冷却工程が完了したとき,金型を開いて成
形品を取り出す。得られた成形品は,内部歪みがなく且
つ表面にヒケが全く生じておらず,キャビティ形状を完
全に転写した外観の優れた表面性状を持つものとなる。
又自由に設計された厚肉部で成形品自体の骨格を形成す
ることができるため,従来の一般的な射出成形品では実
現できなかった強度,剛性を持つ成形品を得ることがで
きる。
る。 実施例1.本実施例においては,図1に示すように,薄
肉部からなる平板部2の背面に厚肉部からなるリブ3を
持つ射出成形体1を製造する。なお平板部2の側面に
は,溶融状態の熱可塑性樹脂を注入するためのゲート4
が形成されており,ゲート4は切り落とされ製品とな
る。リブ3は,長さ230mm,高さ17mmで,平板
部2の厚み3mmに比較して10mmの厚みとなってい
る。この厚みのため,通常の射出成形法によるときは,
リブ3に対応する平板部の表面a,b,cにヒケが発生
する。
の形状に対応したキャビティを形成する射出成形用金型
の可動型側厚肉部5に相当する箇所に100mmのピッ
チでキャビテイ内への中空隆起部(外径5mm,内径
2.2mm,高さ5mm)6a,6b,6cと可動型に
組み込まれ先端が該隆起部を貫通してキャビテイ内へ突
出する直径2mmで先端部を円錐状に尖らせた金属製の
ボイド挿入ピン7a,7b,7cを3本取りつけた。ボ
イド挿入ピン7a,7b,7cが嵌挿される可動型5に
は図3に示すようにキャビテイ内への中空隆起部6a下
方に形成される中空部とボイド挿入ピン7aとの間の間
隙路8が形成されている。
として働き,加圧ガス供給路9を経て加圧ガス供給源1
0に接続している。キャビテイ内へ溶融状態のポリスチ
レン樹脂(新日鐵化学製エスチレンH−65)を射出し
3秒間の保圧工程を完了した後,直ちに加圧ガス供給源
10から9.5Kg/cm2 に加圧された常温の圧縮空
気を,弁11を開き加圧ガス供給路9からボイド挿入ピ
ン7aと中空隆起部6aの間隙路8に沿って送り込みボ
イド挿入ピン7a先端に作用させた。
を切り換えて加圧ガス供給路9を大気開放させた状態
で,キャビテイ内のポリスチレン樹脂の冷却固化を継続
した。60秒間の冷却工程を経た後,得られた射出成形
体1を金型から取り出した。得られた射出成形体1の表
面状態を調査したところ,厚肉部a,b,cの表面には
ヒケ等の表面欠陥は何ら認められなかった。このとき,
ボイド挿入ピン先端に相当する厚肉部の裏面には直径5
mm深さ5mmの凹部が形成されその底部先端には0.
5mmの小孔開放口の存在が認められた。そこで得られ
た射出成形体を切断して小孔開放口の内部を調査した結
果,各小孔開放口の内部には円筒状ボイドがほぼ厚肉部
の面に平行に存在することが確かめられた。
のボイド挿入ピンだけを,耐熱性樹脂であるフェノール
樹脂製積層棒のボイド挿入ピン7a,7b,7cに代え
かつ加圧ガス供給源10からの圧力を種々変更した外は
同様の成形条件にて成形品を製造した結果,2Kg/c
m2 に減圧された常温の圧縮空気でも厚肉部a,b,c
の表面にはヒケ等の表面欠陥は何ら認められなかった。
そこで加圧ガス供給源を最初から切り離して保圧工程を
完了した後,直ちに大気中に開放した状態で同様の成形
条件にて成形品を製造した結果でも,厚肉部a,b,c
の表面にはヒケ等の表面欠陥は何ら認められなかった。
いずれの場合でもボイド挿入ピン先端に相当する厚肉部
a,b,cの裏面には直径5mm深さ5mmの凹部が形
成されその底部先端には0.5mmの小孔開放口の存在
が認められた。そこで得られた射出成形体を切断して小
孔開放口の内部を調査した結果,各小孔開放口の内部に
は実施例1と同じ円筒状ボイドがほぼ厚肉部の面に平行
に存在することが確かめられた。
が,キャビテイ内への中空隆起部6a,6b,6cを設
けないで,実施例1と同一条件にて同一成形品を射出成
形した結果,ボイド挿入ピン7a,7b,7cの周囲の
厚肉部表面a,b,cには引けに相当する凹み部分が認
められた。これは,ボイド挿入ピンの周囲間隙部から導
入した圧縮空気の一部が金型の内面と溶融樹脂の界面に
流れ込み密着状態を悪化させ,ヒケ等の欠陥を発生させ
る気泡となっていることが判った。
属製のボイド挿入ピンを,耐熱性樹脂であるフェノール
樹脂製積層棒のボイド挿入ピン7a,7b,7cに代え
且つキャビテイ内への中空隆起部6a,6b,6cを設
けないで,保圧工程を完了した後,直ちに大気中に開放
した状態にて同一成形品を射出成形した結果,ボイド挿
入ピン7a,7b,7cの周囲の厚肉部表面a,b,c
には一部引けに相当する凹み部分が認められた。従って
ボイド挿入ピンの周囲に中空隆起部を設けることによっ
て,ボイド挿入ピンの周囲間隙部から導入した外部ガス
の一部が金型の内面と溶融樹脂の界面に流れ込むことを
防止していることが確かめられた。
出成形体の製造例を図4にて示す。図4に示すように,
薄肉部13及び厚肉部14を有し,しかも厚肉部14の
厚みが種々異なる形状の射出成形体を製造するとき,そ
れぞれの厚肉部に対して○及び●で示す位置A及びBに
対応する金型キャビテイ内にボイド挿入ピンを設置し
た。A部には図5に示したスリーブ15を備えたボイド
挿入ピン16を組み込み,B部には実施例1と同じ中空
隆起部6とボイド挿入ピン7を組み込み設置した。A部
のスリーブ15を備えたボイド挿入ピン16では,スリ
ーブの先端をキャビテイ内に5mm突出させている。ピ
ン本体とスリーブの間には環状のガス供給路となる間隙
部17が設けられている。ガス供給路17にスリーブ1
5を取りつけた加圧ガス導入口18が開口しており,配
管19を介して加圧ガスがガス供給路17に導入され
る。スリーブ15は,エジェクタープレート20に固定
され,末端では,ピン本体との環状空間をOリング21
でシールされている。
定されている。この形式のボイド挿入ピン16は,他形
式のボイド挿入ピンでは,設置が困難な箇所に対しても
容易に設けることが出来る,しかも機構が簡単で製作が
容易なうえ,スリーブ突き出し機構をも兼ねる。そのた
め,金型製作時のコスト増を抑えることが出来る。加圧
ガスは,配管19を介してスリーブ15に直接取りつけ
られた加圧導入口18に導かれ,環状の加圧ガス供給路
17を経てキャビテイ23に突出したピン本体16の先
端に作用する。
ら若干突き出しているので,加圧ガス供給路17を流動
してきた加圧ガスが金型の内面に沿って流れることはな
い。そして,金型キャビテイ23に溶融樹脂を射出充填
した後,直ちに加圧ガスを作用させ冷却工程の中間時点
で加圧ガス供給路17を大気開放して,そのまま冷却工
程を継続し冷却工程完了後金型を開き取り出した。この
とき,ボイド挿入ピン16先端に相当する厚肉部の表面
には直径5mm深さ5mmの凹部が形成されその底部先
端には0.5mmの小孔開放口の存在が認められた。そ
こで得られた射出成形体を切断して小孔開放口の内部を
調査した結果,各小孔開放口の内部には直径が約2〜5
mmの円筒状ボイドがほぼ厚肉部の面に平行に存在する
ことが確かめられた。得られた射出成形品は複雑な製品
形状にも係わらず,特に厚肉部へのヒケ等の表面欠陥を
発生させることなく,外観性に優れた製品をうることが
出来た。
厚肉部と薄肉部を有する熱可塑性樹脂成形品であって,
厚肉部に所定の間隔毎に複数の小孔開放口が存在し,各
小孔開放口の内部には周辺の樹脂の収縮で生じたボイド
が厚肉部の面に平行にかつ隣接する小孔開放口のボイド
とは連結せずそれぞれ独立して存在させた構造からなる
ため各小孔開放口の内部ボイドどうしの画壁が補強リブ
として介在する結果,厚肉部の強度低下が抑えられ,そ
の分だけ厚肉部を小さくすることが可能である。
径2〜20mΦ,深さ1〜30mmの凹部の内部先端に
形成させることによって,厚肉部表面及び裏面にはヒケ
や変形等の発生が防止され外部からはその存在が判別で
きないので外観不良を解消することができる。又本発明
の射出成形用金型は,金型キャビテイ内面の厚肉部に相
当する特にヒケ現象が起きる任意の箇所にキャビテイ内
への中空隆起部と該中空隆起部内を貫通しキャビテイ内
に突出するボイド挿入ピンとが所定の間隔毎に複数固定
され,且つ当該隆起部とピンで形成される間隙路が外部
のガス流体源に連通されて流体流路を形成しているため
に,外部ガスを充填すると加圧ガスが金型キャビテイと
樹脂スキン層の境界面に分散することなく樹脂スキン層
の形成の遅れているボイド挿入ピン先端に集中的にガス
によるボイド核が形成される。
き破るに必要な程度の比較的低圧のガス極端な場合には
特に大気の使用でも可能である。また本発明の射出成形
用金型においては,ゲートの取りつけ位置を金型キャビ
テイ内面の薄肉部とすることによって射出充填した溶融
樹脂のゲート部における冷却固化で射出シリンダー内へ
の逆流の恐れがないので,通常のオープンタイプの射出
ノズルが利用可能である等の優れた効果を発揮する。
成する射出成形用金型の内部断面図
される状態を示す一部断面図
造例を示す一部切欠きの斜視図
状態を示す一部断面図
ゲート a〜c ヒケが発生した表面 5 厚肉部 6a
〜6c 中空隆起部 7a〜7c,16 ボイド挿入ピン 8
間隙路 9 加圧ガス供給路 10 加圧ガス供給
路 11 弁 13 薄肉部 14
厚肉部 15 スリーブ 17 間隙部 18 加圧ガス導入
口 19 配管 20 エジェクタープレート
Claims (7)
- 【請求項1】 厚肉部と薄肉部を有する熱可塑性樹脂成
形品であって,厚肉部に相当する任意の複数箇所に小孔
開放口が存在し,各小孔開放口に連通して内部には周辺
の樹脂の収縮で生じたボイドが厚肉部の面に平行に存在
することを特徴とする外観の良好な熱可塑性樹脂成形
品。 - 【請求項2】 小孔開放口は厚肉部裏面に形成された直
径2〜20mmΦ,深さ1〜30mmの凹部先端に形成
されていることを特徴とする請求項1記載の外観の良好
な熱可塑性樹脂成形品。 - 【請求項3】 製造される熱可塑性樹脂成形品の形状に
対応して厚肉部と薄肉部からなるキャビテイを備えた射
出成形用金型であって,金型キャビテイ内面の厚肉部に
相当する特にヒケ現象が起きる任意の箇所でキャビテイ
内に中空降起部が隆起し,該中空隆起部内を貫通しキャ
ビテイ内にボイド挿入ピンが突出しており,前記中空隆
起部と前記ボイド挿入ピンとの間に形成される間隙路が
外部のガス流体源に連通する流体流路になっていること
を特徴とする外観の良好な熱可塑性樹脂成形品の射出成
形用金型。 - 【請求項4】 金型キャビテイ内面の薄肉部に樹脂注入
のゲートが設けられていることを特徴とする請求項3記
載の外観の良好な熱可塑性樹脂成形品の射出成形用金
型。 - 【請求項5】 キャビテイ内への中空隆起部が熱伝導性
の高い金属製であり,ボイド挿入ピンの材質が中空隆起
部よりも熱伝導性が格段に低い材質からなることを特徴
とする請求項3記載の外観の良好な熱可塑性樹脂成形品
の射出成形用金型。 - 【請求項6】 外部のガス流体源が15Kg/cm2G
以下の圧縮空気であることを特徴とする請求項3又は請
求項5記載の射出成形用金型。 - 【請求項7】 外部のガス流体源が大気であることを特
徴とする請求項3記載又は請求項5記載の射出成形用金
型。
Applications Claiming Priority (2)
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---|---|---|---|
JP6946592 | 1992-02-19 | ||
JP4-69465 | 1992-02-19 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH05293854A JPH05293854A (ja) | 1993-11-09 |
JP2724936B2 true JP2724936B2 (ja) | 1998-03-09 |
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ID=13403440
Family Applications (1)
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2724936B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3533661B2 (ja) | 2000-03-07 | 2004-05-31 | 日産自動車株式会社 | 孔質樹脂成形金型の圧力媒体注入部、これを用いた成形金型及び孔質樹脂成形体の製造方法 |
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-
1992
- 1992-02-27 JP JP4076026A patent/JP2724936B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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