JP2723304B2 - 反射防止膜及びその形成方法 - Google Patents

反射防止膜及びその形成方法

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JP2723304B2 JP1228362A JP22836289A JP2723304B2 JP 2723304 B2 JP2723304 B2 JP 2723304B2 JP 1228362 A JP1228362 A JP 1228362A JP 22836289 A JP22836289 A JP 22836289A JP 2723304 B2 JP2723304 B2 JP 2723304B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ディスプレイ管、ブラウン管等の表示装置
や光学機器に広く用いられる反射防止効果の得られる薄
膜多層構造の反射防止膜及びその形成方法に関する。
[従来の技術] 近年、スチールカメラやビデオカメラ等に使用される
撮影用レンズ、あるいは光学測定機器に組込まれるレン
ズや偏光素子などの表面に、単層から例えば3〜10層の
多層膜構造の反射防止膜を形成して、特定の単一波長領
域あるいは可視光から近赤外光の波長領域(約400〜800
nm)において反射防止の効果をもたせたものが多い。こ
の時、多層膜構造における光の反射防止に対する理論と
その形成方法に関しては多くの方法が提案されている。
例えば、特開昭53−59442号、特開昭56−94301号、ある
いは特開昭62−36604号などに記載されている如く、真
空蒸着法やスパッタ蒸着法を用いて、金属酸化物やフッ
化物などを、加工したガラス製レンズなどの表面に形成
する方法が一般に用いられている。
しかしながら、オフィスオートメーションの発達に伴
い、この分野に従事する作業者の安全衛生上、特にその
必要性が要求されているディスプレイ管やブラウン管等
の表示装置、あるいは各種光学機器の例えばレンズ表面
に、外部光に対する有効な反射防止効果を示す薄膜を形
成することは、上記した従来技術では下記のような理由
から不可能であった。すなわち、上記の従来技術は、 (1)耐摩耗性あるいは耐薬品性等の優れた特性を有す
る徴密な薄膜を形成するためには、被処理物の加熱処理
(約300〜400℃)が不可欠である、(2)高温加熱処理
のため、薄膜形成に多くの時間を必要とし、生産性・経
済性に劣る、(3)蒸着法による薄膜形成であるため、
被処理物の広い面積にわたって、均一な薄膜形成が困難
である、などの問題点を有し、ディスプレイ管やブラウ
ン管などの内面に、加熱処理によって不都合を被むる蛍
光物質や機能素子等を有する電子装置製品の表面に直接
反射防止薄膜を形成する場合には適さない。
一方、上記した従来技術の問題点を解決すべく、液状
物質を塗布し、硬化させることによって、目的の反射防
止効果を示す膜を得る方法が提案されている。例えば、
特開昭59−49501号あるいは特開昭62−61001号に記載さ
れる如く、チタンアルコラート化合物とコロイダルシリ
カから成る組成物を高屈折率薄膜材料として用い、ま
た、シランカップリング剤とエポキシ系化合物及びコロ
イダルシリカから成る組成物を低屈折率薄膜材料として
用い、反射防止の効果を示す薄膜を被処理物表面に形成
するものである。しかしながら、上記した塗布法による
反射防止膜は比較的広い面積にわたって形成することが
できる反面、以下に記すような欠点を有する。すなわ
ち、 (1)形成した薄膜と被処理物との間の密着性を高める
ため、強酸性水溶液による被処理物の表面処理→水洗処
理→乾燥処理といった多くの工程を必要とする、(2)
塗布後、長時間の高温加熱(例えば1〜2時間、約200
℃)による塗布被膜の硬化工程を、各組成物の塗布工程
毎に行う必要がある。
従って、社会的に外部光反射による視力障害に対する
対策の必要性が望まれているディスプレイ管やブラウン
管等表示装置の表面に有効な反射防止の効果を発揮する
薄膜を形成する手段として不適当と云わざるを得ない。
[発明が解決しようとする課題] したがって、本発明の目的は、上記した従来技術の問
題点を解決することにあり、その第1の目的は社会的ニ
ーズの重要性に鑑み、ディスプレイ管やブラウン管等の
表示装置の表面に、可視光から近赤外光の波長領域(約
450〜800nm)において、外部光に対する有効な反射防止
の効果を発揮し、機械的強度に優れ、かつ生産性の優れ
た簡便な構造を有する改良された反射防止膜を、第2の
目的はその形成方法を、それぞれ提供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記第1の目的は、 (1).光学基板上に、異なる屈折率を有する多層構造
の金属化合物薄膜が形成され、前記薄膜がマイクロ波プ
ラズマCVD法により形成されて成る反射防止膜により、
達成される。そして、前記薄膜の実用的な積層数は3〜
10層が、また各薄膜の厚さとしては数100Å〜数1000Å
が好ましい。
上記金属化合物薄膜の組成としては、シリコンを主成
分とし、副成分として窒素及び酸素の少なくとも1種の
元素と水素とを含有して成り、望ましくは上記金属化合
物薄膜の少なくとも1層が、シリコン、窒素、酸素及び
水素の4成分で構成されて成ることである。
特に望ましい上記金属化合物薄膜の多層構造として
は、水素含有の酸化窒化シリコン膜から成る第1層と、
水素含有の窒化シリコン膜から成る第2層と、水素含有
の酸化シリコン膜から成る第3層との少なくとも3層構
造を有して成ることである。
また、上記第2の目的は (2).マイクロ波プラズマCVD装置のプラズマ発生室
に接続された成膜室内に被処理物である光学基板を保持
し、これら室内を所定真空度に排気した後、前記プラズ
マ発生室内に金属化合物薄膜形成用ガスを導入し、マイ
クロ波導入と共に磁場印加手段により磁場を発生せしめ
て前記導入ガスをプラズマ化し、前記マイクロ波と磁場
との相互作用により電子サイクロトロン共鳴を行わせ、
前記磁場印加手段により形成される発散磁界によって高
電子濃度を有するプラズマ中の電子を前記被処理物に向
かって加速せしめて前記光学基板上に異なる屈折率を有
する多層構造の金属化合物薄膜を形成して成る反射防止
膜の形成方法において、前記金属化合物薄膜形成用ガス
として、窒素ガス及び酸素ガスとシランとを導入し、前
記窒素ガスと酸素ガスとの流量比を制御して、前記金属
化合物薄膜の組成を変化せしめることにより屈折率の異
なる水素含有の酸化窒化シリコン膜から成る第1層と、
水素含有の窒化シリコン膜から成る第2層と、水素含有
の酸化シリコン膜から成る第3層との少なくとも3層の
多層膜を順次積層形成する工程を有して成る反射防止膜
の形成方法により、達成される。
[作用] 本発明は、窒素および酸素の少なくとも1種と水素と
ともに加えられたシリコンとを含む混合ガスを0.1〜10m
Torrの高真空中で高密度プラズマ化せしめ、窒素および
酸素の少なくとも1種と水素とが添加されたシリコンを
主成分とする物質から構成される薄膜の形成を行うもの
である。なお、本発明においては前述の通り、シリコン
膜の一部もしくは全部を他の金属元素で置換することも
可能であるが、ここではシリコンを例に説明する。
これらの被形成用物質を混成共鳴空間またはそれより
離れた活性状態を保持した空間内に配置して、反応生成
物を被処理物の表面に被着させる。この目的のため、本
発明においては、電子サイクロトロン共鳴現象を利用し
たマイクロ波プラズマCVD法が用いられる。この方法は
マイクロ波の波長 が特定の磁界強度(例えば875Gauss)を有する空間に照
射されると、その相互作用により非常に強い電離作用を
受けて窒素及び酸素の少なくとも1種と、水素ともに加
えられたシリコン化合物との混合プラズマガスを効率良
く生成することができる。上記したプラズマガスは、従
来の平行平板電極を有する高周波プラズマCVD法を用い
ても生成可能である。しかし、この従来方法に比較し
て、マイクロ波の共鳴現象を用いれば、1000倍以上の高
密度プラズマを生成することができる。また、共鳴空間
内に形成したプラズマは発散磁界により、容易に被処理
物表面に輸送することができ、窒化シリコンまたは酸化
シリコンまたはそれらの混合物から構成される薄膜を形
成することができる。
ところで、上記した本発明によれば、高密度のプラズ
マを有する電子サイクロトロン共鳴を利用するので、被
処理物を特別に高温加熱しなくても光学的もしくは電気
的に優れた特性を有する窒化シリコンまたは酸化シリコ
ンまたはそれらの混合物から構成される薄膜を形成する
ことが可能である。なぜならば、低温条件下で被着した
上記の薄膜は、その形成時に薄膜中のSi−H結合を切断
する恐れが殆んどないので、十分に高いSi−H系結合密
度、即ち緻密性を維持させることができる。また、薄膜
中のSi−H結合は、シリコンを含むガス、例えばシラン
ガスの分解によって生成した水素イオンが再び結合にあ
づかり、これらは反射赤外分析法を用いて分析すれば容
易に検出することができる。
また、窒素及び酸素の少なくとも1種と水素とを含む
シリコンの多層薄組において、その内の少なくとも一層
を上記窒素及び酸素の両者と水素とを含むシリコンから
なる物質で構成することにより、極めて優れた反射防止
の効果を示しかつ簡便な構造なる反射防止膜を提供する
ことが可能になり、これによって生産性を著しく向上さ
せることができる。
また、本発明による薄膜からなる反射防止膜を表示装
置もしくは光学装置の面板上(表面)に形成することに
よって、外部光による反射を低減することができる。こ
れにより、反射光による視力障害の軽減もしくは装置の
機能向上を図ることができる。
[実施例] 以下、図面により本発明の一実施例を示し、発明の内
容を更に具体的に説明する。
実施例1. 第1図は、本発明の反射防止膜を形成するために使用
する磁場印加可能なマイクロ波プラズマCVD装置の模式
断面図を示す。同図において、この装置は、高真空状態
に保持可能なプラズマ発生室1と、このプラズマ発生室
1に磁場を印加する磁場印加手段2と、前記プラズマ発
生室1に2.45GHzのマイクロ波を導入させるマイクロ波
導入手段3と、前記プラズマ発生室1に、例えば窒素ガ
スおよび酸素ガスの少なくとも1種と、水素を含む金属
化合物としての例えばシランガスとを導入するためのガ
ス導入手段4と、前記プラズマ発生室1に連続して設け
た成膜室5の内部に配置した被処理物6を支持するホル
ダ7とから構成されている。なお、この図では、プラズ
マ発生室1と、それに連続して設けた成膜室5とを所定
の真空度に排気する排気系が省略されている。
いま、例えば窒素ガスおよび酸素ガスの少なくとも1
種と、水素を含む金属化合物としての例えばシランガス
との混合ガスをガス導入手段4からプラズマ発生室1に
導入し、更にマイクロ波導入手段3からマイクロ波を導
入するとともに、磁場印加手段2によって磁場を発生さ
せて、前記混合ガスのプラズマを発生させる。この時、
マイクロ波と磁場との相互作用により、電子サイクロト
ロン共鳴を行わせ、プラズマ発生室1に極めて高密度の
プラズマを発生させることができる。発明者等の測定に
よれば、従来の平行平板型高周波プラズマCVD装置によ
る(略してRF−CVD)の1000倍以上、1012cm-3程度の電
子濃度を有するプラズマを発生できるプラズマ中の電子
は、磁場印加手段2によって形成される発散磁界によっ
て、成膜室5の内部に設けた被処理物6に向って加速さ
れる。プラズマ発生室1と被処理物6を支持するホルダ
7とは電気的に絶縁されており、プラズマの中性条件を
満たすようにイオンも加速され、平衡状態となる。前記
被処理物6の面上における発散磁界の磁界強度は前記磁
場印加手段2を調整することにより、広範囲にわたって
均一にすることが可能であり、大口径を有する被処理物
6の表面に、酸化シリコンまたは窒化シリコンまたはそ
れらの混合物からなる薄膜を均一な厚さで、しかも緻密
な膜質で形成することができる。上記したマイクロ波CV
D法を用いて反射防止膜を形成する場合、多層を構成す
る薄膜の各層の屈折率は互いに異なることが必要であ
る。
第2図に、本発明の一実施例である3層薄膜で構成し
た反射防止膜の断面図を示す。なお、この例では、原料
ガスとして窒素ガス及び酸素ガスの少なくとも1種とシ
ランとを用いた場合について示す。
同図において、被処理物6に例えば屈折率n0=1.52の
透明ガラス8を用い、ホルダ7に設置される。
先ず、ガス導入手段3から窒素、酸素及び水素稀釈し
たシランガスを導入し、窒素及び酸素プラズマ中でシラ
ンを分解し、透明ガラス上に第1層として、屈折率n1
1.75、膜厚=720Åの酸化窒化シリコン膜9を形成す
る。
次いで、ガス導入手段3の酸素の供給を止め、窒素プ
ラズマ中でシランを分解し、第2層として、屈折率n2
2.10、膜厚=1080Åの窒化シリコン膜10を形成する。
次に窒素の供給を止め、再び酸素を供給し酸素プラズ
マ中でシランを分解し、第3層として、屈折率n3=1.4
6、膜厚=900Åの酸化シリコン膜11を順次積層する。こ
の時、電子サイクロトロン共鳴作用により活性度が非常
に高くなったプラズマを、発散磁界を活用して適度に調
整されたエネルギーで取りだして被処理物6の表面に衝
突させているので、プラズマの高活性と、イオンや電子
の被処理物への限定された強さの衝突とによる複合効果
によって効率良く薄膜形成などの表面処理反応が生じ
る。
この反応は外部から加熱しなくとも起きるから、常温
での処理が可能で、例えば、酸化シリコン膜の場合、従
来良く知られた熱酸化法(形成温度、約900℃)を用い
形成された酸化シリコン膜と同等のエッチング速度(ま
たは屈折率)を有し、極めて緻密性に優れた構造を有し
ている。これは成膜時に良く生成されるシリコンのダン
グリングボンド(結合子をもたず、膜特性に悪影響を及
ぼす)が高活性の水素イオンと結合してSi−H結合を形
成し、しかも低温形成時にはこの結合を切断する恐れが
殆どないので、十分に高いSi−H系結合密度、即ち緻密
な原子構造を維持することができることに他ならない。
かくして、被処理物を高温に加熱しなくてもシリコン窒
化物またはシリコン酸化物またはそれらの混合物等より
成る薄膜構造を形成することにより、耐摩耗性あるいは
耐薬品性などにすぐれた多層よりなる反射防止膜を実現
することができる。
なお、マイクロ波プラズマCVD処理中に、被処理物が
プラズマに晒されても、被処理物の温度は高々40〜50℃
程度である。したがって、被処理物は勿論のこと例え被
処理物の裏面に電子材料や電子装置が実装されていて
も、これらを熱的に損傷することはない。それ故、光学
基板としての被処理物は、無機ガラスはもとよりプラス
チックスからなる有機ガラスも十分に使用可能である。
ところで、第1層として形成した中間屈折率を有する
酸化窒化シリコン膜9の屈折率は、酸素、窒素、水素で
稀釈したシランの流量比を調整することにより、容易に
得られる。
第3図は、酸素、窒素、水素稀釈シランの流量比に対
する酸化窒化シリコン膜9の屈折率n1の変化を表わした
実験結果の特性図を示したものである。
つまり、(酸素O2+窒素N2)の総量に対する水素稀釈
シラン分圧比0.25とした時、窒素流量比を零から順次増
加させるに従って酸化窒素シリコン膜9の屈折率は、酸
化シリコン膜11の屈折率n3=1.45から窒化シリコン膜10
の屈折率n2=2.10まで連続的に変化させることができ
る。従って、原料ガスにシラン等シリコンを含むガスを
用いた場合、酸素または窒素の流量比を変えるだけで容
易に異なる屈折率を有する薄膜を形成することが可能で
あるため、簡便な構造で反射防止膜を実現することがで
き、生産性に優れていることこのうえない。
第4図は分光反射率特性を示す実験結果の一実施例で
あって、酸素、窒素、シランの各流量を1:2:1に設定
し、酸化窒化シリコン膜9の屈折率n1=1.75を用いた場
合である。同図において、曲線aは透明ガラス(n0=1.
52)の分光特性、曲線bは本実施例のものである。この
結果、本実施例の反射防止膜はおよそ450〜800nmの可視
光から近赤外光領域において、良好な反射防止効果を有
することが明らかである。
上記の実施例では異なる屈折率を有する3層薄膜構造
の場合について説明したが、3層以上の多層構造体の場
合でも同様である。
また、原料ガスにシランを用いたが、異なる屈折率を
有する酸化物または窒化物あるいはこれらの混合物が形
成できれば、他の金属、例えば、W、Mo、Ta等の容易に
ガス化し得る金属化合物を用いても同様の結果が得られ
る。
実施例2. 第5図は、他の実施例を説明する表示装置の断面図で
あって、反射防止膜15をディスプレイ管やブラウン管な
どの表示装置表面に形成したものである。表示装置12は
完成した製品であって、表示装置12の面板内部には蛍光
材13、電子銃14等が内蔵されている。また、前記表示装
置12の外表面に、上記で述べたマイクロ波プラズマCVD
法を用いて異なる屈折率を有する多層の薄膜で構成した
反射防止膜15を常温にて直接設けてある。
この反射防止膜15が形成されていない比較例の場合、
表示装置12表面における外部光による反射は約10%(第
4図曲線a参照)存在し、従って表示装置12の機能を発
揮させるためには画面輝度を必要以上に高めなければな
らない。このことは表示装置12を長時間操作するオペレ
ータ視力障害等重大な影響をもたらす。しかし、第5図
に示す如く、表示装置12の表面に反射防止膜15を設ける
ことにより、外部光に対する反射を著しく低減(第4図
曲線b参照)させることが可能となり、画面のコントラ
スト向上、更には視力障害の発生抑制に役立つことは明
白である。
実施例3. 第6図に他の実施例として、光電子増倍管の断面図を
示す。図において、光電子増倍管16の内部には温度に極
めて敏感なGaAsセンサ17や半導体増幅回路18等が組込ま
れている。そして、光電子増倍管16の表面には、前記実
施例1と同様にしてマイクロ波プラズマCVD法を用いて
常温で形成した反射防止膜14が被着されている。反射防
止膜15により、光電子増倍管16の表面に到達した被測定
光(フォトン)は前記光電子増倍管16の表面で反射する
ことなく、ほぼ100%のフォトンが増倍管の内部に到達
し、前記GaAsセンサ17に捕らえられる。これにより、被
測定光の強度(フォトンの数)を正確に測定することが
可能となる。なお、第6図には光電子増倍管の例を示し
たが、プラスチック封止されたホトセンサやレンズ等の
光学機器においても同様の効果を得ることができる。
[発明の効果] 以上述べたように、本発明によれば、異なる屈折率を
有する多層薄膜で構成された反射防止膜をマイクロ波プ
ラズマCVD法を用いて形成するにあたり、透明ガラスな
どの光学基板被処理物と異なる屈折率を有する高屈折率
薄膜、中屈折率薄膜、低屈折率薄膜を構成する物質とし
て、例えば酸化シリコンまたは窒化シリコンもしくはそ
れらの混合物を成分とすることにより、可視光から近赤
外光の波長領域に対して極めて良好な反射防止の効果を
示す反射防止膜を実現することができる。
そして、反射防止膜を構成する上記した薄膜は電子サ
イクロトロン共鳴作用により、高活性のプラズマを用い
て形成されるので、形成時の被処理物を特別に高温加熱
処理を施さなくても、薄膜中に十分に高いSi−H結合密
度を維持させることができる。即ち、従来技術の真空密
着法やスパッタ蒸着法では不可能であった低温薄膜形成
においても、緻密性に富み、かつ耐摩耗性や耐薬品性な
どに優れた薄膜を形成することができる。
また、高活性のプラズマを酸素、窒素、シラン等の原
料ガスを用いて発生させれば、異なる屈折率を有する薄
膜を少ない原料ガス種で形成可能となり、特に中間屈折
率を有する薄膜の屈折率は原料ガスの分圧比を最適化す
ることで、反射防止膜として有効な屈折率を示す薄膜を
形成することができる。しかるに、生産性に優れた、簡
便な構造の反射防止膜を容易に実現することができる。
かくして、上記した反射防止膜を完成品であるディス
プレイ管やブラウン管等の表示装置表面に低温で形成す
れば、表示装置の本来の機能を何ら損なわずに、外部光
に対する表示装置表面での反射を低減することができ
る。
また、光電子倍増管などの光学機器表面に上記反射防
止膜を形成すれば、被測定光、即ち、フォトンをほぼ10
0%検知することができ、高精度検出、あるいは、微弱
光検出といった新しい機能を付加することが可能とな
り、電子工学・物性工学等の研究分野において、大きな
利点を生み出す。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の反射防止膜を形成するマイクロ波プラ
ズマCVD装置の断面図、第2図は本発明の一実施例を示
す反射防止膜の断面構造図、第3図は反射防止膜を構成
する薄膜の形成条件である酸素、窒素、シランの流量比
と形成した薄膜の屈折率との関係を説明する特性図、第
4図は本発明の一実施例である3層構造の反射防止膜に
おける分光反射率特性を示す特性曲線図、第5図は反射
防止膜を表示装置表面に設けた本発明の異なる実施例を
示す断面図、そして、第6図は反射防止膜を光学機器の
表面に形成した本発明のさらに異なる実施例を示す断面
図である。 符号の説明 1……プラズマ発生室、2……磁場印加手段 3……マイクロ波導入手段、4……ガス導入手段 5……成膜室、6……被処理物 7……ホルダ、8……透明ガラス 9……酸化窒化シリコン膜、10……窒化シリコン膜 11…酸化シリコン膜、12……表示装置 13……蛍光材、14……電子銃 15……反射防止膜、16……光電子増倍管 17………GaAsセンサ、18……半導体増幅回路。
フロントページの続き (72)発明者 中谷 光雄 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所生産技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭59−150483(JP,A) 特開 昭58−151070(JP,A) 特開 昭62−60876(JP,A) 特開 昭56−14201(JP,A) 特開 昭60−67901(JP,A) 国際公開89/341(WO,A1)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光学基板上に、マイクロ波プラズマCVD法
    により形成された異なる屈折率を有する多層構造の金属
    化合物薄膜を、水素含有の酸化窒化シリコン膜から成る
    第1層と、水素含有の窒化シリコン膜から成る第2層
    と、水素含有の酸化シリコン膜から成る第3層との少な
    くとも3層構造で構成して成る反射防止膜。
  2. 【請求項2】マイクロ波プラズマCVD装置のプラズマ発
    生室に接続された成膜室内に被処理物である光学基板を
    保持し、これら室内を所定真空度に排気した後、前記プ
    ラズマ発生室内に金属化合物薄膜形成用ガスを導入し、
    マイクロ波導入と共に磁場印加手段により磁場を発生せ
    しめて前記導入ガスをプラズマ化し、前記マイクロ波と
    磁場との相互作用により電子サイクロトロン共鳴を行わ
    せ、前記磁場印加手段により形成される発散磁界によっ
    て高電子濃度を有するプラズマ中の電子を前記被処理物
    に向かって加速せしめて前記光学基板上に異なる屈折率
    を有する多層構造の金属化合物薄膜を形成して成る反射
    防止膜の形成方法において、前記金属化合物薄膜形成用
    ガスとして、窒素ガス及び酸素ガスとシランとを導入
    し、前記窒素ガスと酸素ガスとの流量比を制御して、前
    記金属化合物薄膜の組成を変化せしめることにより屈折
    率の異なる水素含有の酸化窒化シリコン膜から成る第1
    層と、水素含有の窒化シリコン膜から成る第2層と、水
    素含有の酸化シリコン膜から成る第3層との少なくとも
    3層の多層膜を順次積層形成する工程を有して成る反射
    防止膜の形成方法。
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