JP2721669B2 - 可変速ポンプの運転制御方法 - Google Patents

可変速ポンプの運転制御方法

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JP2721669B2 JP62252407A JP25240787A JP2721669B2 JP 2721669 B2 JP2721669 B2 JP 2721669B2 JP 62252407 A JP62252407 A JP 62252407A JP 25240787 A JP25240787 A JP 25240787A JP 2721669 B2 JP2721669 B2 JP 2721669B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、可変速ポンプの運転制御方法に関する。 〔従来の技術〕 給水系において、給水末端の圧力を一定に保つため可
変速ポンプを使用するものがあり、このような給水系で
は、流量の変動があっても給水末端の圧力を一定に保つ
ように上記可変速ポンプの回転数を制御している。 上記可変速ポンプの回転数を制御する場合、直接に給
水系末端の給水栓付近での圧力を検出し、この検出圧力
にもとづき可変速ポンプの回転数を制御すれば(末端圧
力一定制御方式)、ポンプと給水栓との間の配管抵抗な
どを補正する必要がなく、上記検出圧力にもとづき直接
的にポンプの回転数を制御することが可能になり、末端
圧力を高精度に制御することができる。 しかしながら、このような手段は、給水系末端の給水
栓付近に圧力検出手段を設けなければならず、この圧力
検出手段は給水系末端の配管に設置しなければならない
とともに、検出信号を送るための引回し配線などが必要
であり、これらの工事に費用がかかるので実用的でな
い。 これに対し、ポンプの吐出口真近の圧力を検出すると
ともに、流量に応じた配管抵抗を想定し、これらの測定
および演算により給水系末端の圧力を推定して可変速度
ポンプの回転数を制御する方法が知られている(推定末
端圧力一定制御方式)。 従来の推定末端圧力一定制御方式について、第8図お
よび第9図にもとづき説明する。第8図において、101
は受水槽、102は吸込管、103は可変速ポンプ、104はモ
ータ、105は吐出管、106は末端給水栓、107は上記ポン
プ103の吐出口真近の吐出管105に設置された圧力計、10
8は流量計、109は関数演算器、110は制御器である。 第9図はポンプのH−Q特性図であり、縦軸に圧力H
を、横軸に実流量Qを示す。aで示す曲線は、予め設定
されたポンプの定格回転数Noでの実流量と圧力Hとの関
係を示す特性である。 cは抵抗曲線であり、配管の摩擦損失が大部分を占
め、これは実流量の2乗に応じて変化する。すなわち、
抵抗曲線cは実流量の関数となる。 給水系の末端で最低限必要とする圧力をgとすると、
ポンプ103の吐出口真近の圧力は、実揚程dおよび配管
の摩擦損失eを考慮して、抵抗曲線cに沿った制御が必
要となる。 つまり、締切運転付近での運転中、ポンプ吐出口真近
の圧力が上記d+gであれば末端圧力をgにすることが
できる。しかしながら、流量が増大するに応じて配管抵
抗eが増えるからポンプの吐出口真近の圧力をd+g+
eのレベルに制御しなければならず、いわゆる抵抗曲線
cに沿う圧力を目標圧力として制御する必要がある。 したがって第8図に示す装置では、関数演算器109に
予め流量と配管損失eの関係、すなわち抵抗曲線cを設
定しておき、ポンプ運転中に圧力計107で吐出口真近の
実圧力p1を検出するとともに、流量計108にて管内の実
流量Q1を測定する。この実流量Q1から予め上記関数演算
器109に設定した配管損失eにもとづき現運転時の配管
損失eを演算し、前記測定した実圧力p1と、上記d+g
+eの値とを比較し、この比較により目標圧力に達する
ようにポンプの回転数を制御するものである。 すなわち、ポンプ103の吐出口真近の目標圧力を、抵
抗曲線cに応じて制御するものである。 しかしながら、このようなポンプの制御装置では、流
量計108が必要であり、この流量計108は高価であるの
で、設備がコストアップになる欠点がある。 一方、ポンプの特性は、 流量∝回転数 圧力∝(回転数) の関係がある。 したがつて、圧力、流量、回転数のうちいづれか2つ
が判明すれば残りは自ずから分るものである。 この特性を利用して、ポンプの回転数と吐出圧力とか
ら流量を測定する方法が、実公昭53−13411号公報に記
載されている。 この装置について、第10図および第11図にもとづき説
明する。第10図において、115は回転計であり、その他
第8図と同一番号は同一部品を示す。 第11図のH−Q特性図で、aで示す曲線は、予め設定
されたポンプの定格回転数Noで実流量と圧力との関係を
示す特性である。定格回転数Noで運転しているときの実
流量と圧力は、これが任意の回転数nで運転する時の実
流量は(n/No)倍、圧力は(n/No)倍となり、その特
性は曲線a′で示される。したがって運転中の圧力pと
曲線a′の交点がそのときの実流量Qとなる。 このようにして実流量Qを推定すれば、格別高価な流
量計を用いなくても流量を知ることができるので、前記
第8図の装置の欠点を解消することができる。 実際には運転中の圧力pを(No/n)倍し、予め測定
した曲線aとの交点から定格回転数No上の実流量Qoを求
め、この実流量Qoを(n/No)倍すれば、運転中の圧力に
相当する実流量Qを求めることができ、曲線a′を求め
なくても曲線aのみで流量を得ることができる。 しかも、実際では第10図に示す回転計115を用いる代
りに、可変速モータ104を回転数制御するための速度信
号を用いれば、格別な回転計も不要になる利点がある。 〔発明が解決しようとする問題点〕 しかしながら、この方法の場合は、必ずや曲線aで示
したH−Q特性が前もって判明していなければならず、
このH−Q特性はポンプの機種によって異なり、したが
って実際の運転を行なって、現物合わせにより予めH−
Q特性を設定しなくてはならないので、不便である。 しかも、この場合、乗除算を何回も行なう必要があ
り、処理が複雑となってアナログ制御でしか採用されな
かった。すなわち、低速でビット数の小さな安価なマイ
クロコンピュータを使用すると、何回も行なう乗除算の
演算に時間を必要とし、ポンプの迅速な制御に支障を来
たし、特に演算精度を上げようとして有効桁数を大きく
したり、4捨5入を行なうことは困難である。 これを解消するには高速でビット数の大きなマイクロ
コンピュータを使用しなければならないが、この場合は
高価になる。 本発明は、上記事情のもとになされたもので、ポンプ
の機種ごとに、専用のポンプ特性を設定したり、あるい
はポンプ特性や設置条件に合わせて微調整をしたりする
必要が無く、設定操作が簡便であり、しかもビット数の
小さな安価なマイクロコンピュータを使用することがで
きる可変速ポンプの運転制御方法を提供しようとするも
のである。 〔問題点を解決するための手段〕 まず本発明の原理について説明する。 一般にポンプのH−Q特性の形状は、関数で近似する
ことができる。すなわち、定格回転数NoでのポンプのH
−Q特性の形状は、 P/Ho=1−f1(q) と設定することができる。この特性を第1図におけるs
で示す。 第1図の縦軸は圧力を比率(%)で表し、横軸は流量
を比率(%)で表す。 従来の技術で前述した、流量計で測定した実際の流量
と、この比率(%)で表した流量とを区別するために、
実際の流量を「実」を付加し大文字を用いて「実流量
Q」とし、この比率(%)で表した流量を「実」を付加
せず小文字を用いて「流量q」とし区別して以後説明す
る。 第1図において、流量q=0のときに、圧力は最も高
くなり、圧力=1となる。 流量qが増大とともに圧力は低くなり、流量q=最大
=1のときに圧力は最も低くなり、圧力=0となる。 従って前記の式中のf1(q)は流量qの関数となり、
流量q=0のときにはf1(q)=f1(0)=0となり、
流量q=最大=1のときにはf1(q)=f1(1)=1と
なる。 すなわち関数f1(q)は流量qの増大とともに関数f1
(q)の値が増大する単純増大関数である。 任意の回転数をnとすると、この任意の回転数nにお
ける圧力および流量は、ポンプの定格回転数Noにおける
圧力および流量を(n/No)倍およびn/No倍して得られ
る。したがって、上記式で表わした定格回転数Noでのポ
ンプのH−Q特性は、任意の回転数nでは、 p/Ho=(n/No)−(n/No)・f1(No/n・q) ……(1) となる。この特性を第1図のs′で示す。 (1)式のHoは、流量検出手段が所定の極少流量以下
を検出したとき、すなわち締切運転しているときの圧力
をH、回転数をnとすると、 Ho=H(No/n) ……(3) にて求めることができる。 また、(1)式の流量qを%で表わすので、(1)式
の構造および常数は、ポンプのH−Q特性の「形状」の
みに依存する。 このように、流量qを比率(%)で表すことについ
て、すなわちポンプ特性の無次元化を行うことについて
説明する。 圧力計で測定して得られるポンプの実際の圧力と、流
量計で測定して得られるポンプの実流量はポンプの形
式、出力によって変わり、ポンプの種類の数だけ存在す
る。 例えばペンシルビルなどに用いるポンプでは圧力が高
く流量は少ない。またプールの送水などに用いるポンプ
では圧力が低く流量は多い。また、ポンプの出力によっ
ても圧力,流量は変わる。 ところが,このようなポンプの圧力と実流量を用いる
代わりに、任意の圧力を最大圧力Hoで割って圧力を無次
元化して圧力を比率(%)で表し、また流量として実流
量では無く、圧力(比率%)=最大=1のときの流量
(比率%)を0とし、圧力(比率%)=0のときの流量
(比率%)=最大=1とする比率で表すと、すなわちポ
ンプ特性の無次元化を行うと、この圧力(比率%)と流
量(比率%)の関係はポンプの形式や出力にかかわらず
ほぼ同一となり1種類で済む。 すなわちポンプの形式や出力にかかわらず、ポンプの
特性は第1図のようになる。 定格回転数Noで運転しているときのポンプ特性は第1
図の曲線Sとなり、流量(比率%)=0のときには圧力
(比率%)=最大=1となり、流量(比率%)=最大=
1のときには圧力(比率%)=0となる。 また任意の回転数nで運転しているときのポンプ特性
は第1図の曲線S′すなわち前出の(1)式となる。 このようにポンプ特性の無次元化を行うとポンプの形
式,出力にかかわらず(1)式を用いることができ、ポ
ンプの形式や出力毎にポンプ特性を設定しなくても済
む。 一般に、同一シリーズのポンプでは、ポンプ口径や出
力によってポンプのH−Q特性が異なっても、そのH−
Q特性の「形状」は略同一になる。 したがって、ポンプの機種に拘らず(1)式は同じも
のを用いることができ、ポンプの機種ごとに(1)式を
設定しなくてもよい。 また、(1)式のHoは、前述したように自動的に求め
るので改めて設定する必要はない。 以上のようにして、予めポンプ特性やHoの設定を行な
うことなく、運転中の圧力Hと、回転数nから流量qを
演算で求めることができる。 このことから、目標圧力の最大値Hmaxと最小値Hminの
みを予め設定すれば、第2図にも示されるように、 Hmax/Ho=1−f1(qmax) ……(4) より、qmaxを求めることができ、 Hr=Hmin+(Hmax−Hmin)・f2(q/qmax)……(2) の関係式により目標圧力Hrを求めることができる。 この(2)式は、第2図の曲線cで示される。これは
前述の従来の技術のところで説明した第9図の曲線cに
相当するもので、第9図は実流量Qに対し圧力Hを求め
るのに対し、第2図では実流量にかかわらず、Hminの点
とHmaxの点を曲線でむすぶものである。すなわち第8図
のポンプ103の吐出口真近の圧力検出手段107の検出圧力
が曲線cに近づくように制御すると、第8図の給水管10
5の末端106での圧力をほぼ一定に保つことができる。 (2)式に含まれている関数f2(q/qmax)は第2図曲
線cの縦軸座標から圧力Hminを差し引いたものである。
流量q(比率%)=0のときにはf2(q/qmax)=f2(0/
qmax)=f2(0)=0となる。流量q(比率%)=最大
=qmaxのときはf2(q/qmax)=f2(qmax/qmax)=f2
(1)=最大値=Hmax−Hminとなる。 f2(q/qmax)は流量q(比率%)の増大とともに増大
する単純増大関数である。 したがつて本発明は、可変速ポンプと、このポンプの
回転数検出手段と、ポンプ運転中に所定の極少流量以下
を検出する流量検出手段と、圧力検出手段と、マイクロ
コンピュータよりなる制御回路装置とを備え、 上記制御回路装置には、 p/Ho−(n/No)−(n/No)・f1(No/n・q) ……(1) Hr=Hmin+(Hmax−Hmin)・f2(q/qmax) ……(2) Ho=H・(No/n) ……(3) Hmax/Ho=1−f1(qmax) ……(4) を設定しておき、 但し、No…定格回転数 Ho…定格回転数での締切圧力 n…任意の回転数 p…任意の回転数nにおける圧力 q…任意の回転数nにおける流量 H…任意の回転数nにおける締切流量での締切
圧力 Hr…目標圧力 Hmin…締切流量での吐出圧力の目標値 Hmax…最大流量での吐出圧力の目標値 qmax…最大流量(H=Hmaxでかつn=Noの時の
流量) 上記流量検出手段が所定の極少流量以下を検出した時
に上記可変速ポンプの任意の回転数nを回転数検出手段
で検出するとともに、その締切圧力Hを圧力検出手段で
測定し、これら回転数nおよび締切圧力Hを(3)式に
代入してHoを演算し、このHoを(1)式に代入し、 上記可変速ポンプの任意の回転数nを回転数検出手段
で検出するとともに、その時の吐出圧力pを圧力検出手
段で測定し、これら回転数nと吐出圧力pを上記(1)
式に代入して演算することにより上記任意の回転数nの
時の流量qを求め、 一方、上記Hoを(4)式に代入してqmaxを求め、 これら求めた流量qおよびqmaxを、上記(2)式に代入
して演算することにより吐出圧力の目標値Hrを算出し、
吐出圧力pが目標値Hrと等しくなるように上記ポンプの
回転数nを制御することを特徴とする。 〔作 用〕 本発明によれば、ポンプ特性を無次元化してポンプ特
性の「形状」のみに依存する特性曲線で表わすので、ど
のようなポンプに対しても、圧力及び回転数から流量を
求め、流量に応じた目標圧力を求めることができる。し
たがって、従来行なっていた高揚程型ポンプあるいは水
量型ポンプなどのようなポンプ機種毎にその都度、ポン
プ特性をセットする必要が無くなる。 しかも、ポンプ特性として、 p/Ho=(n/No)−q2 ……(1)′ で表わした2次曲線を採用したときには、回転数を変化
させても、曲線の「形状」が変化せず、単に圧力軸方向
に平行移動するのみであるので、回転数変化の演算を簡
単に行なうことができる。 (1)′式について詳しく説明する。 定格回転数Noでのポンプ特性のH−Q特性の形状は第
1図の曲線sで示され、また前出の式 p/Ho=1−f1(q) で表される。 ここで1f(q)は,実際のポンプ特性の形状を関数で
近似して求めるが、最もシンプルな近似式としてf1
(q)=q2を採用すると p/Ho=1−f1(q)=1−q2 となる。このとき、任意の回転数nでは圧力は(n/No)
倍となり,流量は(N/No)倍となるので上記の式は p/Ho=(n/No)−q2 すなわち上記(1)′式となる。 これは上記の式p/Ho=1−f1(q)=1−q2を縦軸方
向に平行移動したものであり曲線の形状は変わらない。
このことから、ビット数の少ない安価なマイクロコンピ
ュータを使用することが可能となる。 したがって、末端圧力を一定に維持することができ、
たとえば圧力低下でシャワーや湯わかし器の水湿が上昇
するなどの不具合が防止されるとともに、吐出圧力の目
標値Hrの減少率に制限を設けたので、アパートやマンシ
ョンの一般給水等の用途のように、給水先がポンプ直近
から遠方まで広く分散するときでも、ポンプ直近での圧
力が、流量の変動に即応して頻繁に変動するのを防ぐの
で、圧力変動を軽減するなどの効果を奏する。 〔実施例〕 以下、本発明の詳細について、第1図ないし第6図に
示す第1の実施例にもとづき説明する。 第3図には可変速ポンプを有する給水系を例示し、同
図において、1は受水槽、2は吸込管、3は可変速ポン
プ、5はモータ、7は吐出管、8は所定の極少流量以下
を検出する流量検出部、9は圧力検出部、10は蓄圧タン
ク、11は仕切弁、12は逆止弁13は制御部を示す。 制御部13は第4図に例示するようにインバータ14、電
磁開閉器の接点15a,16a、インバータ制御回路19等を備
えている。 インバータ制御回路19は、第5図に例するようにCPU2
0、メモリ部21、入力ポート22、出力ポート23、締切流
量での目標圧力設定用デジタルスイッチ24、開放流量で
の目標圧力設定用デジタルスイッチ25、圧力検出部9用
の増幅器26およびA/D変換器27、インバータ14用のD/A変
換器28および増幅器29、電磁開閉器用増幅器30,31等を
備えている。なお、図中15,16は上記接点15a,16a用励磁
コイルである。 上述のように構成された装置において、上記デジタル
スイッチ24には所望の締切流量での目標圧力Hmin、デジ
タルスイッチ25には最大流量での目標圧力Hmaxが設定定
されているものとする。また、CPU20、メモリ部21、入
力ポート22、出力ポート23には一般的な8ビットのマイ
クロコンピュータが使用されているものとする。 予め、メモリ部21には以下の数式を設定しておく。 p/Ho=(n/No)−(n/N0)・f1(No/n・q) ……(1) Hr=Hmin+(Hmax−min)・f2(q/qmax) ……(2) Ho=H・(No/n) ……(3) Hmax/Ho=1−f1(qmax) ……(4) 但し、 No…定格回転数 Ho…定格回転数での締切圧力 n…任意の回転数 p…任意の回転数nにおける圧力 q…任意の回転数nにおける流量 H…任意の回転数nにおける締切流量での締切圧力 Hr…目標圧力 Hmin…締切流量での吐出圧力の目標値 Hmax…最大流量での吐出圧力の目標値 qmax…最大流量(H=Hmaxでかつn=Noの時の流量) とする。 ポンプを運転させるにはまず、デジタルスイッチ24
に、第2図に示すような締切流量での目標圧力Hminを設
定するとともに、デジタルスイッチ25に第2図に示すよ
うな最大流量での目標圧力Hmaxを設定する。 さて、可変速ポンプ製造直後などのように、定格回転
数Noでの締切流量での圧力Hoがまだ得られていないとき
にポンプを運転すると、まず、最大流量での目標圧力Hm
ax=一定で吐出圧一定運転を行なう。 そして、流量検出部8が締切り運転に近い所定の流量
以下、例えば10/min以下の極少流量を検出すると、そ
のときの圧力H及び回転数nをそれぞれ圧力検出部9お
よびインバータ用D/A変換機28にて測定する。 この測定した圧力H及び回転数nを Ho=H・(No/n) ……(3) に代入し、これにより定格回転数Noでの締切流量での圧
力Hoを求める。 締切流量での圧力Hoが分ると、その後は、目標圧力に
沿った運転を行なう。すなわち、この締切圧力Ho、回転
数n、および圧力pを(1)式に代入して流量qを演算
する。 また、(4)式に締切圧力Hoと最人流量での吐出圧力
の目標値Hmaxを代入して最大流量qmaxを求める。これを
第2図に示す。 次に、(2)式にq、qmaxを代入して吐出圧力の目標
値Hrを求める。 そして、実際の吐出圧力pが上記吐出圧力の目標値Hr
に等しくなるように回転数nを制御する。 上記のような制御手順をまとめると、第6図に示した
フローチャートのようになる。 次に、本発明の第2の実施例について説明する。 前記した(1)式の代りに、 p/Ho+1−(n/No)=1−q2 ……(1)′ を用い 第1図の曲線sを P/Ho=1−q2 とし、 任意の運転点で運転しているときに測定した圧力を
p、回転数をnとする。 第9図のeで示した配管損失は、流量の略2乗に比例
するので、目標圧力Hrを流量の2乗に比例して変化させ
るときは、 F2(qmin/qmax)=q2/qmax2となるから、(2)式は Hr=Hmin+(Hmax−Hmin)・q2/qmax2 ……(2)′ となる。 この場合、(1)′式および(4)式は、 (n/No)−p/Ho=q2 1−(Hmax/Ho)=qmax2 となり、開平算やデータテーブルは不要となる。 これらを(2)′式に代入すると(2)′式は Hr=Hmin+(Hmax−Hmin)・q2/qmax2 =Hmin+(Hmax−Hmin) ・((n/No)−p/Ho)/(1−(Hmax/Ho)) となり流量qを求めなくても、任意の運転点で運転して
いるときに測定した圧力p,回転数nから目標圧力Hrを求
めることができる。 従って第1の実施例のようなデータテーブルを使う必
要が無く演算が極めて簡単になる。 次に、(1)′式を用いた場合の誤差について説明す
る。 第7図において、(1)′式の特性をs、s′、s″
とし、実際の特性をk、k′、k″とする。点ホ、点ヘ
では誤差が零となる。中間点では、目標圧力曲線cと
s′との交点トでの圧力で運転するので、運転点はk′
上の同一圧力点チとなる。 ところが、目標圧力はC上の同一流量点リであるた
め、点リと点チの差が誤差となる。 したがつて、実際には曲線C′に沿って運転する。 このように、cとc′との差が、小さくて許容できる
場合には、(1)式′を用いて近似的な運転を行なうこ
とができ、この場合は極めて簡単な演算で済む利点があ
る。 次に、本発明の第3の実施例について説明する。 前記した(1)式の代りに、 p/Ho+1−(n/No)=1−f1(q) ……(1)″ を用いて流量qを求める。第2の実施例ではf1(q)=
q2とすると(1)′式で示す曲線は回転数nの変化によ
って縦軸方向に平行移動するのみで曲線の形状は変化し
なかった。 実際にはポンプ特性の形状はf1(q)=q2からずれて
いるが、その差異は極めて小さい。 このため、f1(q)=q2でないときでも、ポンプ特性
は,回転数nの変化によって縦軸方向にほぼ平行移動す
るのみで形状の変化は無いとみなしても誤差は小さい。 (1)式の第1項、(n/No)は回転数nの変化によ
って曲線が平行移動することを表し、第2項、(n/No)
・f1(No/n/q)は回転数nの変化によって関数f1の形
状が変わることを表している。 ところがポンプ特性の形状が第2の実施例のようなq2
に近く,回転数nによる形状の変化を無視しても誤差が
問題とならない場合には(1)式の第2項(n/No)
f1(No/n・q)を、f1(q)と簡略化することにより演
算を簡単にすることができる。 この場合の演算精度は(1)式を用いたときと、
(1)′式を用いたときの中間となる。このように要求
精度に応じて演算を簡略化することができる。 開平算を不要化するためデータテーブルを用いる。 第1図の曲線sを p/Ho=1−f1(q) とし、P/Hoをメモリの各番地に割当て、各番地のメモリ
内にqをそれぞれ格納し、曲線sを表わすデータテーブ
ルを予め設定しておく。 任意の運転点で運転しているときに測定した圧力を
p、回転数をnとすると、p/Ho+1−(n/No)に相当
するメモリ番地をアクセスすればメモリ内から流量qを
得ることができる。 これを第1図で説明すると、曲線s′と p/Hoとの交点qを求める代りに、曲線sとp/Ho+1−
(n/No)との交点よりqを求めることができ、曲線
s′を求めることなく演算することができる。 なお、前述の各実施例では、第3図に示すように、ポ
ンプの吐出圧力を測定している。したがって、第1図、
第2図の曲線sは吐出圧力と流量との特性を示す。すな
わち、ポンプの全揚程に第3図の圧力検出部9から受水
槽1の水面までの実揚程を加え、さらに受水槽1から圧
力検出部9までの間の仕切弁11、吸込管2、逆止弁12な
どの抵抗損失を差し引いた特性となる。 (1)〜(4)式の演算をこの吐出圧力を用いておこ
なつているので、上述の水位や損失抵抗にいかんに拘ら
ず、第2図の目標圧力曲線cは、必ず締切り運転ではHm
inを通り、また開放運転ではHmaxと曲線sの交点を通
る。すなわち、曲線cの両端では誤差が零になる。そし
て、曲線cの中間点においては、曲線sと曲線s′が平
行な場合には誤差が零になる。一般のポンプでは曲線s
と曲線s′とはほぼ平行となるので、誤差が無視できる
ときには上述のように、(1)〜(4)式の演算をこの
吐出圧力を用いておこなうことにより、受水槽1の水位
や受水槽1から圧力検出部9までの間の抵抗損失につい
ての補正を省略することができ、便利である。 本発明は、以上述べた可変速ポンプ1台での運転だけ
でなく、任意の台数の可変速ポンプと任意の台数の定速
ポンプを組合せた場合にも適用が可能である。 すなわち、同一特性の可変速ポンプと定速ポンプを並
列接続した場合には、定速ポンプの流量は(1)式にお
いてn=Noとすることにより得られ、可変速ポンプの流
量は測定したnを用いて得られ、したがって目標圧力を
容易に求めることができる。 なお、本発明は、同一特性の可変速ポンプ1台と定速
ポンプ1台を並列接続した場合ばかりでなく、特性の異
なるポンプの組合せの場合、あるいは任意の台数の可変
速ポンプ,定速ポンプの組合せの場合等にも容易に適用
することができる。 本発明では、定格回転数での締切流量での圧力Hoを求
め、実際の圧力pをHoで割って無次元化しているので、
あらかじめ設定しておくポンプ特性は、無次元化したポ
ンプ特性を1種類用意するだけで、全てのポンプに適用
することができる。 ところが、Hoを求める前は、Hoで圧力を無次元化する
ことができないので、目標圧力を求めることができな
い。 このようなときは、吐出圧力一定で運転し、その間に
Hoを求めるようにする。 これにより、手操作でHoを設定する必要が無く、便利
である。 また、Hoの演算を、流量検出部8が所定の流量以下を
検出するたびに行なうので、ポンプ特性の経年変化を自
動的に補正することになり、再調整が不要となるので便
利である。 なお、吐出圧力一定で運転する代りに、Hoとして大き
い値を与えることもできる。Hoとして、実際の値より大
きい値を与えると、Hoで割って無次元化した圧力は、実
際の値より小さい値を示すので、結果として正規の値よ
り大きく、Hmaxより小さい目標圧力が算出される。この
ことを利用し、Hoが未知のときには、Hoの代りにHoより
大きい値を使用するようにプログラムを組むと、本来の
目標圧力よりは高く、目標圧力の上限よりは低い目標圧
力を得るので、吐出圧一定運転の代りに、このようなこ
とを行なうこともできる。 本発明では、目標圧力増大時は、演算によって得られ
た目標圧力を目標圧力とし、目標圧力減少時は、あらか
じめ設定した時間と目標圧力の関係で示す目標圧力の減
少速度を越えないように減少するので、優れた運転制御
を行なうことができる。 可変速ポンプ装置をアパート,マンション等の一般給
水に使用した場合、給水末端が、給水配管の末端に集中
することは少なく、大半は、給水末端がポンプの直近か
ら遠方まで広く分散することが多い。このような用途の
場合、遠方の給水末端での圧力が一定となるように、流
量に応じて吐出圧力を変化させて運転すると、ポンプ直
近では圧力変動となる。 このようなことから、アパート,マンシヨン等で、推
定末端圧力が一定となるよう運転するねらいは、末端の
圧力一定よりも少流量時に目標圧力が低減されることに
よる省エネルギーにある。 省エネルギーの観点からは、流量の変動に即応して目
標圧力を頻繁に変える必要は無く、目標圧力を下げると
きにゆっくり下げても、省エネルギーの効果は、それほ
ど損われない。 したがって、目標圧力を下げるときは、ゆっくり下げ
るようにすることにより、ポンプ直近での圧力変動が軽
減される。 なお、目標圧力を増大するときは、即応して増大しな
いと、水圧低減によりシャワーや湯わかし器の水温上昇
を招くことがあるため、即応して増大を行なう。 また実施例では、測定して得た圧力と回転数より流量
を演算し、得られた流量に応じた目標圧力を得たが、こ
のようにして得た回転数と目標圧力との関係をマイクロ
コンピュータに記憶させ、その後は測定した回転数から
直接目標圧力を求めることもできる。 例えば、回転数をメモリの番地に割り当て、回転数と
圧力とから目標圧力を得るたびに回転数に相当する番地
のメモリ内に求めた目標圧力を格納し、その後は、回転
数を測定したら回転数に相当するメモリ番地をアクセス
し、直接目標圧力を得ることができる。 また、他の方法として、回転数と目標圧力との関係を
関数近似し、測定して得た回転数と目標圧力との関係か
ら関数式の各定数を得るようにすることもできる。この
ようにすると、ポンプ特性を関数近似し、そこから回転
数と目標圧力との関係式を導くのに比べ、演算が容易と
なる。 このように本発明を適用すると、従来は不可能であっ
た調整・設定作業の完全自動化が可能となり、従来は、
調整・設定作業のコストのために、推定末端圧力一定制
御を採用しなかったような小規模の用途にも気軽に採用
できる。また、目標圧力の仕様変更があったときも、そ
れに付随する再調整作業が一切不要のため、経験の無い
人でも容易に取扱うことができる。 〔発明の効果〕 以上説明したように本発明によれば、ポンプ特性を形
状のみに依存した特性曲線としたので、ポンプの機種ご
とに特性を設定しなくても、圧力および回転数から流量
を求め、流量に応じた目標圧力を求めることができる。
したがって、従来行なっていたポンプの機種毎にその都
度、ポンプ特性をセットする必要が無くなる。また、特
性曲線として、回転数を変化させても特性曲線の形状が
変化せず、単に圧力軸方向に平行移動する特色を持った
2次曲線を採用したときには、回転数換算の演算が簡単
にできる。また、マイクロコンピュータに記憶してある
無次元のポンプ特性と対応させるために、任意の点で運
転中に測定した圧力を無次元化するための、定格回転数
での締切流量での圧力Hoがまだ求まっていないときに
は、吐出圧力が一定運転を行ない、その間に流量検出手
段が極少流量を検出したときに圧力及び回転数を測定
し、定格回転数と測定で得た回転数との比例計算でHoを
求めるので、Hoを設定する微調整作業の手間が不要とな
り、また極少流量になるたびにHoを算出するので、ポン
プの経年変化に伴う締切圧力の低下分を自動的に補正す
ることになるので便利である。 さらに(1)〜(4)式の演算を、吐出圧力を用いて
おこなているので受水槽殻圧力検出部までの実揚程や抵
抗損失の補正を省くことができ、便利である。 このようなことから、流量が増大し、目標圧力が増大
するときは、速やかに目標圧力を増大するので、配管抵
抗による圧力低下でシャワーや湯わかし器の水温が上昇
することが防止され、また、流量が減少し、目標圧力が
減少するときは、ゆっくり減少するので、アパートやマ
ンションの一般給水等の用途のように給水先がポンプ直
近から遠方まで広く分散するときでも、ポンプ直近での
圧力が、流量の変動に即応して頻繁に変動するのを防ぐ
ので、圧力変動を軽減する。したがつて、調整作業の手
間をかけることなく、推定末端圧力一定制御を気軽に採
用し、省エネルギーを図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】 第1図および第2図は本発明の原理を説明する特性図、
第3図ないし第6図は本発明の一実施例を示し、第3図
はポンプ装置全体の系統図、第4図は同例の制御部を示
す回路図、第5図は同例のインバータ制御回路を示すブ
ロック図、第6図はフローチャート、第7図は本発明の
他の実施例の作用を説明する特性図、第8図ないし第11
図は従来の技術を説明するための図である。 1……受水槽、3……ポンプ、5……モータ、13……制
御部、14……インバータ、19……インバータ制御回路
(制御手段)、20……CPU、21……メモリ部、24,25……
デジタルスイッチ、27……A/D変換器、28……D/A変換
器。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.可変速ポンプと、このポンプの回転数検出手段と、
    ポンプ運転中に所定の極少流量以下を検出する流量検出
    手段と、ポンプの吐出圧力検出手段と、マイクロコンピ
    ュータよりなる制御回路装置とを備え、 上記制御回路装置には、 p/Ho=(n/No)−(n/No)・f1(No/n・q) ……(1) Hr=Hmin+(Hmax−Hmin)・f2(q/qmax) ……(2) Ho=H・(No/n) ……(3) Hmax/Ho=1−f1(qmax) ……(4) を設定しておき、 但し、 No…定格回転数 Ho…定格回転数での締切圧力 n…任意の回転数 p…任意の回転数nにおける圧力 q…任意の回転数nにおける流量 H…任意の回転数nにおける締切流量での締切圧力 Hr…目標圧力 Hmin…締切流量での吐出圧力の目標値 Hmax…最大流量での吐出圧力の目標値 qmax…最大流量(H=Hmaxでかつn=Noの時の流量) 上記流量検出手段が所定の極少流量以下を検出した時に
    上記可変速ポンプの任意の回転数nを回転数検出手段で
    検出するとともに、その締切圧力Hを圧力検出手段で測
    定し、これら回転数nおよび締切圧力Hを(3)式に代
    入してHoを演算し、このHoを(1)式に代入し、 上記可変速ポンプの任意の回転数nを回転数検出手段で
    検出するとともに、その時の吐出圧力pを圧力検出手段
    で測定し、これら回転数nと吐出圧力pを上記(1)式
    に代入して演算することにより上記任意の回転数nの時
    の流量qを求め、 一方、上記Hoを(4)式に代入してqmaxを求め、 これら求めた流量qおよびqmaxを、上記(2)式に代入
    して演算することにより吐出圧力の目標値Hrを算出し、
    吐出圧力pが目標値Hrと等しくなるように上記ポンプの
    回転数nを制御することを特徴とする可変速ポンプの運
    転制御方法。 2.前記制御回路装置に設定した無次元化したポンプ特
    性を p/Ho=(n/No)−q2 ……(1)′ とし、定格回転数Noでのポンプ特性 p/Ho=1−q2 と、圧力 p/Ho+1−(n/No) とから流量qを求めることを特徴とする特許請求の範囲
    第1項記載の可変速ポンプの運転制御方法。 3.前記制御回路装置に設定した無次元化したポンプ特
    性を p/Ho=(n/No)−f1(q) ……(1)″ とし、定格回転数Noでのポンプ特性 p/Ho=1−f1(q) と、圧力 p/Ho+1−(n/No) とから流量qを求めることを特徴とする特許請求の範囲
    第1項記載の可変速ポンプの運転制御方法。 4.定格回転数での締切流量での圧力Hoがまだ求められ
    ていないときには、吐出圧力の目標値Hrを暫定の値にて
    運転を行なうことを特徴とする特許請求の範囲第1項な
    いし第3項のいづれかに記載した可変速ポンプの運転制
    御方法。 5.吐出圧力の目標値Hrが時間とともに減少する時は、
    減少率に制限を設けることを特徴とする特許請求の範囲
    第1項ないし第4項のいづれかに記載した可変速ポンプ
    の運転制御方法。
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