JP2720278B2 - 優先回路型分流弁 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建設機械、荷役機械等
の油圧式操舵装置に使用される優先回路型分流弁に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】一般にこの種の操舵装置は、１個の油圧
ポンプにより操舵と共に荷役或いはその他の作業に必要
な作動油を供給する構造が採られている。この場合、一
定の規定流量を荷役その他の作業に関係なく優先的に操
舵装置側に供給し、残量を荷役機械等に供給するための
手段として、優先回路型分流弁が用いられる。その一例
を図４に示す。

【０００３】この優先回路型分流弁５０は、弁本体５１
にはスプール孔５７を開口するとともに作動油供給口５
２と、優先送り出し口５３と余剰油送り出し口５４及び
分流用スプール５５とを備える。このスプール５５は押
圧バネ５６と共に有底のスプール孔５７内に収納する。
上記供給口５２及び余剰油送り出し口５４は共にスプー
ル孔５７に接続し、常時はスプール５５に形成した主ラ
ンド５８により遮断されている。優先送り出し口５３は
同様にスプール孔５７に接続されている。６０及び６１
はそれぞれ優先送り出し口５３及び余剰油送り出し口５
４に対し設けられるリリーフ弁、また６２は分流用スプ
ール５５の上部ランド６３に穿孔された絞り孔を示し、
上部キヤツプ６５とスプール５５との間に形成された加
圧室６４とスプール孔５７とを連通する。

【０００４】また、７０は余剰油送り出し口５４と作動
シリンダＣＬとを連結する油圧回路、７１は該回路に設
けられる切換弁を示す。この切弁７１は２位置手動切換
弁で、常時は油圧回路７０は該切換弁７１を介してタン
クＴに開放されている。

【０００５】上記構成において、エンジン（図示省略）
の始動時には供給口５２に供給される作動油の圧力は小
さく、従ってスプール５５はバネ５６の圧力により上方
に押し上げられ、余剰油送り出し口５４とは主ランド５
８により遮断され、供給油は分流用スプール５５の内孔
に連通する小孔５９を介して優先送り出し口５３側に供
給される。供給量の増大に伴う作動油圧力が上昇すれ
ば、絞り孔６２を介して作動油は加圧室６４に流入し、
該室６４の圧力が上昇し、該圧力はスプール５５を下方
に押し下げ、これにより主ランド５８は下降して供給口
５２と余剰油送り出し口５４とは連通し、作動油は該送
り出し口５４からリフト機構等の作動機構に供給され
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記スプール５５は、
作動油供給口５２から作動油の供給がないときは、余剰
油送り出し口５４とは遮断され、優先送り出し口５３と
のみ連通されている。従って、ハンドルを一方に切つた
状態、又はこの優先送り出し口側にパワーブレーキが連
設され、ブレーキを踏んだ状態等優先送り出し口側が閉
塞状態にあるときにエンジンを始動させるときは、エン
ジンに負荷が加わり、エンジンのかかりが悪い等の問題
がある。本発明は、上記従来の優先回路型分流弁の有す
る問題点に鑑み、エンジンの始動時に優先送り出し口側
が閉塞状態にあるときでも、エンジンの負荷を軽減し、
エンジンの始動を円滑に行うことができる優先回路型分
流弁を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の優先回路型分流弁は、作動油供給口と、優先
送り出し口及び余剰油送り出し口並びに分流用スプール
を備え、一定油量を優先して優先送り出し口に供給し、
供給される作動油の圧力が上昇するに従って、作動油供
給口と絞り孔を介して連通される加圧室に導入される作
動油の作用により、分流スプール弁を移行し、作動油を
余剰油送り出し口側に供給するようにした優先回路型分
流弁において、上記分流用スプールに、供給される作動
油の圧力が低圧の時には、作動油供給口と余剰油送り出
し口とを連通させることにより、供給油を余剰油送り出
し口側に放出し、圧力が上昇すると遮断する、小径のブ
リードオフ通路を形成したことを特徴とする。

【０００８】

【作用】作動油供給口側から低流入量時には分流用スプ
ールには圧力が加わることがなく、従ってブリードオフ
通路は余剰油送り出し口側と連通している。これにより
作動油供給口側の負荷は軽減される。また上記始動後作
動油供給口側の油圧が上昇したときは、分流用スプール
には油圧が加わり、これにより該分流用スプールは、上
記ブリードオフ通路を遮断する位置まで移行し、その後
は通常の優先回路型分流弁として作動する。

【０００９】

【実施例】図１乃至図３に、本発明の優先回路型分流弁
の一実施例を示す。この優先回路型分流弁１は、弁本体
２に作動油供給口３と、優先送り出し口４と余剰油送り
出し口５及びこれらに夫々連通するスプール孔８を穿孔
し、これに分流用スプール６とを備える。このスプール
６は押圧バネ７と共に有底のスプール孔８内に収納され
る。上記供給口３及び余剰油送り出し口５は共にスプー
ル孔８に開口し、常時はスプール６に形成した主ランド
６ａにより遮断されている。同様に優先送り出し口４も
スプール孔８に接続されており、スプール６の内孔に連
通する小孔９により供給口３と連通する。１０、１１は
優先送り出し口４及び余剰油送り出し口５に対しそれぞ
れ設けられるリリーフ弁、また１２は分流用スプール６
の上部ランド６ｂに穿孔された絞り孔を示し、上部キヤ
ツプ１３との間に形成された加圧室１４とスプール孔８
及び作動油供給口３とに連通している。

【００１０】また、２０は余剰油送り出し口５と作動シ
リンダＣＬとを連結する油圧回路、２１は該回路に設け
られる２位置手動切換弁を示す。これらの構造並びにそ
の作用は前述と同一であり、説明を省略する。

【００１１】この優先回路型分流弁は、エンジン始動時
等作動油供給口３側から作動油の供給が僅少で分流用ス
プール６に圧力が加わることなく停止しているときは、
供給口からの作動油の放出を許容し、供給油の圧力の上
昇に伴い上記放出を遮断するようにしたもので、上記分
流用スプール６には、余剰油送り出し口５に開口するも
スプール６の移行に際しては弁本体２との摺動部２ａ内
に移行し遮断される位置に小径のブリードオフ通路３０
をスプール内孔３１に連通して穿孔する。その状態を図
２に示す。

【００１２】上記構成において、エンジンの始動時は作
動油供給口３に対する作動油の流入量は少なく、その圧
力は低い。従って分流用スプール６は移行せず、ブリー
ドオフ通路３０は余剰油送り出し口５に開口している。
従って供給される作動油は、スプール内孔３１に連通す
る小孔９を介してブリードオフ通路３０を経て余剰油送
り出し口５側に流出し、油圧回路２０、切換弁２１を介
してタンクＴに排出される。

【００１３】ついで、エンジンの回転数が上昇し、供給
される作動油の油量が増加することにより、スプール孔
８内の圧力が上昇すれば、これにより、作動油は供給口
３から絞り孔１２を介して加圧室１４に流入し、分流用
スプール６を下方に押下げる。これにより、ブリードオ
フ通路３０は摺動部２ａにより遮断される位置に移行
し、その後は作動油供給口３は優先送り出し口４に対し
てのみ連通し、余剰油送り出し口５とは遮断された定位
置に保持され、通常の優先回路型分流弁として作動す
る。その状態を図３に示す。

【００１４】そして、さらに、エンジンの回転が上昇
し、供給される作動油の油量が増加することにより、ス
プール孔８内の圧力が上昇すれば、これにより、作動油
は供給口３から絞り孔１２を介して加圧室１４に流入
し、分流用スプール６を下方に押下げる。これにより、
主ランド６ａは下降して、作動油供給口３と余剰油送り
出し口５とは連通し、作動油は送り出し口５４からリフ
ト機構等の作動機構に供給される。

【００１５】

【発明の効果】本発明の優先回路型分流弁によれば、分
流用スプールに形成した小径のブリードオフ通路によ
り、供給される作動油の圧力が低圧の時には、作動油供
給口と余剰油送り出し口とが連通され、供給油を余剰油
送り出し口側に放出するようにしているため、エンジン
の始動時に優先送り出し口側が閉塞状態にあるときで
も、エンジンの負荷を軽減し、エンジンの始動を円滑に
行うことができる。また、分流用スプールに形成したブ
リードオフ通路は、小径であるとともに、エンジンが始
動し、供給される作動油の圧力が上昇すると遮断される
ため、作動油の消費量はほとんど増加せず、供給される
作動油の圧力が上昇した後は、通常の優先回路型分流弁
として作動させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の優先回路型分流弁の一実施例を示す縦
断面図である。

【図２】作動油の供給が停止時のブリードオフ通路の位
置の説明図である。

【図３】作動油の供給に伴う分流用スプールの移行に伴
うブリードオフ通路の位置の説明図である。

【図４】従来の優先回路型分流弁の縦断面図である。

【符号の説明】

１ 優先回路型分流弁 ３ 作動油供給口 ４ 優先送り出し口 ５ 余剰油送り出し口 ６ 分流用スプール １２ 絞り孔 １４ 加圧室 ３０ ブリードオフ通路

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 作動油供給口（３）と、優先送り出し口
   （４）及び余剰油送り出し口（５）並びに分流用スプー
   ル（６）を備え、一定油量を優先して優先送り出し口
   （４）に供給し、供給される作動油の圧力が上昇するに
   従って、作動油供給口（３）と絞り孔（１２）を介して
   連通される加圧室（１４）に導入される作動油の作用に
   より、分流スプール弁（６）を移行し、作動油を余剰油
   送り出し口（５）側に供給するようにした優先回路型分
   流弁（１）において、上記分流用スプール（６）に、供
   給される作動油の圧力が低圧の時には、作動油供給口
   （３）と余剰油送り出し口（５）とを連通させることに
   より、供給油を余剰油送り出し口（５）側に放出し、圧
   力が上昇すると遮断する、小径のブリードオフ通路（３
   ０）を形成したことを特徴とする優先回路型分流弁。