JP2719089B2 - X線フィルム体並びに基準用金属片付きシート体、及びx線撮影装置 - Google Patents

X線フィルム体並びに基準用金属片付きシート体、及びx線撮影装置

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JP2719089B2 JP5073828A JP7382893A JP2719089B2 JP 2719089 B2 JP2719089 B2 JP 2719089B2 JP 5073828 A JP5073828 A JP 5073828A JP 7382893 A JP7382893 A JP 7382893A JP 2719089 B2 JP2719089 B2 JP 2719089B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、X線フィルム体並びに
基準用金属片付きシート体、及びX線撮影装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】骨質の疎密などの把握にX線撮影による
X線像が用いられる。これは、X線像の濃淡から判断を
するものであるところ、骨陰影濃度が撮影条件などの影
響を受けやすいことから、正確さは充分でない面があ
る。従来、対象部位だけでなく、他の部位との相対的な
陰影濃度の比較をするなどして、判断は、定性的に行わ
れてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかして、この測定判
断でもX線照射量の差等の撮影条件などの影響は除去し
得ず、そこで、X線像の黒化度の基準として、金属によ
るX線像を利用することが考えられるが、それにアルミ
ニウムを用いて必要とするX線像の黒化度を得ようとす
ると、アルミニウム金属はX線による透過量が多いため
使用片の形状寸法が大きくなるなどの難点があり、使用
に不便で、特に、小形状のもの等にすることが要請され
るような用途には不向きなものとなる。
【0004】例えば、次のような場合などである。歯科
診療において、歯根周辺組織及び顎骨の状態把握には、
これをX線撮影により行っているが、最近普及しつつあ
るインプラント診療、または歯槽膿漏などで顎骨が浸襲
を受けて骨質が疎になっている等の診断には、特に歯根
周辺の骨質の優劣が重要な要素となっている。ここで、
一般に、骨質の優劣は骨質の疎密によって把握される
が、骨質の疎密度の測定として、上述のようなアルミニ
ウムを基準用金属片として用いる手法を導入するとき
は、次のような方法で行うこととなる。即ち、アルミニ
ウム片をX線フィルムに取り付けて、X線照射を行い、
そしてそのアルミニウム片のX線による透過量から黒化
度を求め、その度合いがアルミニウム片のどの厚みに匹
敵するかをもって骨の疎密の度合いを判断する。
【0005】ところが、この場合、既述の如く、アルミ
ニウム片ではX線による透過量が多いため、使用アルミ
ニウム片の形状寸法が大きくなり、口腔内に挿入するこ
とが極めて困難になり、その使用は殆ど不可能である。
更に、もし、アルミニウム片でX線透過量を少なくする
ために、アルミニウム片の厚さを厚くしたとすると、厚
いアルミニウム内部でX線の散乱線が生じることにな
る。この散乱線の影響でアルミニウム片の所定の厚さに
おけるX線像による黒化度にも影響が現れ、測定誤差が
生ずるため、測定誤差を補正する計算を必要とする。そ
のため、アルミニウムの場合、かかる点でも、臨床上の
操作としても使用が困難であるといえる。骨質の疎密測
定を行うのに適する撮影補助材も、いまだみられない。
【0006】本発明は、本発明者による上述のような考
察結果に基づくものである。本発明は、骨質の密度をチ
タン金属の黒化度と対比して骨質の疎密を測定しようと
いうものである。また、他の目的は、骨質の疎密を定量
的に測定するに際し、これを容易かつ適切に行うに好適
なX線フィルム体を提供することである。また、他の目
的は、同様に、X線撮影時にも簡便に組み合わせて用い
ることのできる使用に好便なX線フィルム像黒化度基準
用の基準用金属片付きシート体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によって、以下の
X線フィルム体並びに基準用金属片付きシート体が提供
される。これをフィルムの固定装置に添えて規格撮影と
同時に黒化度を測定する方法と共用すれば、その適用効
果は更に向上する。本発明は、骨のX線撮影時、チタン
金属片を同時に撮影し、チタン金属のX線像による黒化
度と骨のX線像による黒化度を対比して骨質の疎密を測
定することを特徴とするものである。本発明により提供
されるフィルム体は、X線フィルムと、このX線フィル
ムを収納するフィルム収納体とからなるX線フィルム体
であって、そのフィルム収納体の一部には、厚みの異な
る複数のチタン金属片が設けられ、夫々のチタン金属片
の厚みは所定の厚さに設定されていることを特徴とする
X線フィルム体、及びX線フィルムと、このX線フィル
ムを収納するフィルム収納体とからなるX線フィルム体
であって、そのフィルム収納体内のX線フィルムの一
部、またはフィルム収納体内面の一部には、厚みの異な
る複数のチタン金属片が配され、夫々のチタン金属片の
厚みは所定の厚さに設定されていることを特徴とするチ
タン金属片内蔵型のX線フィルム体である。更に、上記
において、複数のチタン金属片は、それらを一体的に取
り付けたシート状の台材を介して、フィルム収納体、ま
たはX線フィルムもしくはフィルム収納体内面に取り付
けられていることを特徴とするX線フィルム体、及びX
線フィルムが、口腔内に配置してX線撮影する歯科用X
線フィルムであることを特徴とするX線フィルム体であ
る。また、本発明により提供されるシート体は、シート
状の台材と、このシート状台材に取り付けられた厚みの
異なる複数のX線フィルム像黒化度基準用のチタン金属
片とからなるシート体であって、そのシート状台材上の
夫々のチタン金属片の厚みは所定の厚さに設定されてい
ることを特徴とする基準用金属片付きシート体、及び上
記のシート体であって、歯科用X線フィルムまたはその
フィルム収納体の一部に取り付けて用いることをことを
特徴とする基準用金属片付きシート体である。更に、規
格撮影を目的としたフィルム固定装置に取り付けること
により、同一条件下の黒化度を測定することが可能なシ
ート体である。
【0008】
【作用】本発明においては、X線撮影時、チタン金属を
同時に撮影し、チタン金属の黒化度と骨質の黒化度を対
比して骨質の疎密を測定する。得られたX線フィルム像
には、同時に撮影のチタン金属を透過して形成されたX
線像を有し、かかるX線撮影により骨質の疎密を適切に
測定可能で、チタン金属による部分の黒化度を基準にし
て、撮影条件による影響をも排除し得る上、X線の散乱
線の影響、従ってそれに起因する黒化度への影響などの
不利も抑え得て、適正な黒化度をもって、骨質の疎密の
良好な測定を可能ならしめる。かつまた、チタン金属の
使用は、アルミニウム片と比して厚さを極めて薄くする
ことができることから、同一X線像の黒化度を測るには
X線の散乱影響が少なく、適正な黒化度が得られるのみ
ならず、その金属の特性として化学的にも、物理的にも
損傷を受けにくく、加熱消毒またはガス滅菌も可能であ
り、よって反復使用も可能ならしめる。
【0009】請求項1乃至請求項4によれば、X線フィ
ルムと、このX線フィルムを収納するフィルム収納体と
からなるX線フィルム体であって、そのフィルム収納体
の一部には、厚みの異なる複数のチタン金属片が設けら
れ、夫々のチタン金属片の厚みは所定の厚さに設定され
ているチタン金属片付きのX線フィルム体、または、そ
のフィルム収納体内のX線フィルムの一部、またはフィ
ルム収納体内面の一部には、厚みの異なる複数のチタン
金属片が配され、夫々のチタン金属片の厚みは所定の厚
さに設定されているチタン金属片内蔵型のX線フィルム
体、あるいは、上記複数のチタン金属片が、それらを一
体的に取り付けたシート状の台材を介して、フィルム収
納体、またはX線フィルムもしくはフィルム収納体内面
に取り付けられているX線フィルム体、更には、これら
X線フィルム体において、X線フィルムが、口腔内に配
置してX線撮影する歯科用X線フィルムであるX線フィ
ルム体が提供され、従って、骨質の疎密を定量的に測定
するに際し、これを容易かつ適切に行うに好適で、かつ
チタン金属の同時撮影を簡単に可能にするX線フィルム
体が得られる。特に、請求項4では、歯科診療時に骨質
の疎密を測定する際の基準としてX線透過量の少ない純
チタン金属を用いることで小形状にすることが可能で、
口腔内挿入を容易ならしめる。
【0010】また、請求項5及び請求項6のチタン金属
片付きシート体では、上記のチタン金属片付きやチタン
金属片内蔵型のX線フィルム体でなくとも、例えば、利
用者が、別途、かかるシート体を用意しておけば、これ
をシート状台材ごとそれに貼着などして簡単に取り付け
られ、従って、歯科用のものも含む既存のX線フィルム
体でも対応可能で、X線撮影時にも簡便に組み合わせて
用いることのできる使用に好便なX線フィルム像黒化度
基準用のチタン金属片をもつ基準用金属片付きシート体
が提供される。また、請求項7のX線撮影装置は、フィ
ルム固定装置を有し、このフィルム固定装置に、請求項
1乃至請求項4のいずれかのX線フィルム体を組み合わ
せるか、請求項5または請求項6の基準用金属片付きシ
ート体を組み合わせるか、厚みの異なる複数のX線フィ
ルム像黒化度基準用のチタン金属片を組み込むかのいず
れかの態様により、骨のX線撮影時のチタン金属片の同
時撮影を行える。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。本発明の一実施例は、例えば図1乃至図3にその
一例を示すような基準用チタン金属片付きシート体を取
り付けた歯科用X線フィルム体を用いるもので、これに
より、X線撮影時、チタン金属を同時に撮影し、チタン
金属の黒化度と骨質の黒化度を対比して骨質の疎密を測
定する。歯科診療時のX線撮影により骨質の疎密を測定
できるようにするため、チタン金属片の厚みに応じた黒
化度を基準にして、骨質の疎密の測定の定量化を可能に
する。
【0012】図1及び図2をみると、実用例として、夫
々、基準用チタン金属片付きシート体の一例、及びその
各チタン金属片の厚みの様子を含めて示す配置態様の一
例が示され、また、図3は歯科用標準型デンタルフィル
ム体の一例で標準型のものを示している。図中、1は基
準用金属片付きシート体、2はシート状の台材としての
透明台紙(歯科用標準型フィルム用)、3は夫々純チタ
ン金属からなる互いに厚みの異なるX線フィルム像黒化
度基準用のチタン片であり、また、5は歯科用X線フィ
ルム体、6は歯科用標準型フィルム収納体である。歯科
用X線フィルム体5は、偏平袋状の歯科用フィルム収納
体6とその内部に収納された歯科用フィルムfとからな
る。
【0013】図1及び図2に示すように、基準用金属片
付きシート体1は、シート状の台材である透明台紙2
と、この透明台紙2に対し、予め厚みの大小で順次配列
されるよう一体的に取り付けられた厚みの異なる複数の
X線フィルム像黒化度基準用のチタン片3とからなり、
夫々のチタン片3の厚みは所定の厚さに設定されてい
る。このような基準用チタン金属片付きシート体1は、
歯科用X線フィルム収納体の一部に取り付けて用いるこ
とができる。
【0014】ここでは、チタン片3については、例え
ば、夫々直径φが4mmの円形のもので、厚さが0.3
mmから1.3mmまでの6種類の厚さのものとされて
いる。これら厚さ0.3mm、0.5mm、0.7m
m、0.9mm、1.1mm、1.3mmの各チタン片
3を、図1及び図2のように、X線吸収の極めて小さい
透明な台紙2に貼りつけたものがシート体1として用意
されている。この基準用チタン金属片付きシート体1の
台紙2は、使用時、これを図3に示すようにして歯科用
X線フィルム体5のフィルム収納体6の一部、例えば図
中の長手方向に沿う状態で一方の周縁部表面に貼りつけ
て撮影する。図示の例では、台紙2の大きさは、L1=
33mm、L2=7mmであり、フィルム収納体6の大
きさは、L3=44mm、L4=34mmである。
【0015】台紙2上の長手方向両端側の夫々のスペー
スは、例えば、L1a=2mmであり、各チタン片3間
の間隔は、L1b=1mmである。また、台紙2上の短
手方向の夫々のスペースは、例えば、一方の側がL2a
=1mmであり、他方の側がL2b=2mmである。ま
た、ここでは、図1及び図2において、最も厚みの厚い
チタン片(1.3mm)のものが、紙面に向かって最も
左側に配され、順次、厚みが薄いチタン片が右側へと続
くレイアウトである。フィルム収納体6にシート体1を
貼るとき、図3のような向きにして貼ると、チタン片列
を、よりフィルム収納体長辺縁部側へ寄せられる。X線
撮影で得られるX線フィルム上での各チタン片3のX線
像も、かかる配列、位置関係のものとして得られ、円形
のX線像が所定間隔を置いて6つ並ぶ態様のものとな
る。
【0016】このようにして、歯科診療時に骨質の疎密
を測定する際の基準としてアルミニウムよりX線吸収係
数の大きな純チタン金属を用いることにより小形状にす
ることが可能となり、口腔内挿入は容易である。上記の
チタン片3は、円形形状で丸く、口腔内に入れるものと
して、角がなくて望ましい。厚みも薄く、使用に便であ
り、しかも、歯科用の限られたサイズのフィルムでも、
本来の撮影対象となる歯根周辺組織及び顎骨のX線像の
邪魔とならないようにもできる。
【0017】また、小型の歯科用X線フィルムの場合
は、図4乃至図6に示すように、チタン片3は、夫々同
様に直径φが4mmの円形で、例えば厚さ0.4mmか
ら1.0mmまでの4種類のもの、即ち、厚さ0.4m
m、0.6mm、0.8mm、1.0mmの各チタン片
3とし、これをX線吸収の極めて小さい透明な台紙12
に貼りつけ、その台紙12をX線フィルム体5の小型歯
科用X線フィルム収納体16に貼りつけて撮影すること
ができる。
【0018】本例では、シート体1における台紙12の
大きさは、L11=23mm、L12=7mmであり、
フィルム収納体16の大きさはL14=25mm、L1
5=41mmである。台紙12上の長手方向両端側の夫
々のスペース、各チタン片3間の間隔、台紙12上の短
手方向の夫々のスペースはについては、前記のものと同
様で、L11a=2mm、L11b=1mm、L12a
=1mm、L12b=2mmである。また、ここでは、
図4及び図5において、最も厚みの厚いチタン片(1.
0mm)のものが、紙面に向かって最も右側に配され、
順次、厚みが薄いチタン片が左側へと続くレイアウトで
ある。この場合の基準用チタン金属片付きシート体1
は、図6の如くにフィルム収納体16の短辺方向に沿っ
て周縁部表面に貼りつけてある。前者の大型のものの標
準型は成人用のものとして、後者の小型のものは小人用
のものとして、夫々、患者の口腔内に配して歯科X線撮
影に用いることができる。
【0019】このように基準用チタン金属片付きシート
体1は、X線フィルムfとそのX線フィルムfを収納す
る偏平袋状の歯科用フィルム収納体6(16)による既
存の歯科用X線フィルム体5でも対応可能で、ユーザは
かかるシート体1を用意しておき、台紙2(12)ごと
貼着などして簡単に歯科用X線フィルム体5に取り付け
られ、X線撮影に供されれば、X線撮影時、同時にそれ
らチタン片3も撮影されることとなる。従って、これ
は、X線撮影時にも簡便に組み合わせて用いることので
きる使用に好便なX線フィルム像黒化度基準用のチタン
金属片付きシート体である。
【0020】なお、上記の基準用チタン金属片付きシー
ト体1単体は、歯科用フィルム収納体とともに、例えば
X線撮影補助材としてユーザ側へ提供されてもよいし、
基準用チタン金属片付きシート体1の方だけ、他メーカ
ーから単独で、ユーザ側へ提供され、これを用いるもの
でもよい。
【0021】上述のようにして、X線撮影時、チタン片
3を同時に撮影し、得られたX線フィルム像を基に、チ
タン片3のX線像は、これをその撮影像による黒化度と
顎骨の撮影像による黒化度を対比して骨質の疎密の測定
をするのに供する。即ち、こうして撮影して得たフィル
ムfから、チタン片3を透過したものと、骨質を透過し
たものとの黒化度が、黒化度測定器(デンシトメータ
(Densitometer))により数値的に読み取
ることができるため、黒化度の対比が容易である。
【0022】本実施例の図3の場合でいえば、チタン片
3は、厚さが0.3mmから1.3mmまでの6種類の
厚さのものがあるが、骨質の黒化度が、例えばこれら厚
さ0.3mmから1.3mmの範囲のチタン片のうちの
どの厚さのもののそれに近似しているかによって、骨質
の疎密を把握できるようにしようとするものであると共
に、判定にあたり、撮影条件などの差異を吸収し得、そ
の影響を排除し、また、補正計算等に要する手間も軽減
し、骨質の疎密測定の定量化も実現しようというもので
ある。
【0023】以下、これについて説明する。図7は、上
記したようなX線撮影の場合での骨質の疎密測定のため
の説明に供する特性例を示し、図8は得られたフィルム
fでの計測箇所の一例を表すための図である。チタン片
の黒化度と骨質の疎密の判定については、実験的に求め
たもので測定データは図7の通りである。図7中、横軸
はチタン(Ti)片の厚さ(tmm)を示しており、縦
軸はDensityを示し、デンシトメータの読み値に
相当する。
【0024】図7において、チタン片の厚さが大になれ
ば、X線の透過量が少なく、黒化度が大になることが分
かる。例えば、厚さ0.9mmから1.3mmまでのチ
タン片によるものの黒化度に相当する黒化度であれば、
これまでの実験データから骨質は緻密で良好な骨と判定
するものである。また、厚さ0.3mmのチタン片によ
るものの黒化度に相当するような黒化度の場合は、骨質
は粗であり、インプラント診療には不向きであることが
把握できる。このように、骨質の黒化度が、いずれのチ
タン片の黒化度に近似しているかによって、骨質の良否
を判定するものである。
【0025】本実施例においては、夫々設定された厚み
の数値が、骨質の疎密測定の定量的な評価の対象となる
が、例えば図1及び図2のものにおいて、そのような厚
み0.3mmから1.3mmまでの範囲としたのは、上
記のような本発明者による実験測定データに基づく。即
ち、基準用金属片付きシート体1に取り付けるべき使用
チタン片3の厚みとして、歯科用の場合のこの好適例で
は、かかる範囲内の厚みに選定したのである。もっと
も、これに限定されるというわけではない。図7をみる
に、特性の傾向として、チタン片を透過したX線量に対
応する黒化度(D)のカーブは約チタン片厚さ1.3m
mをオーバーすると、厚みの差ほどには、D値には変化
がないような傾向となるので、カットする。即ち、基準
用金属片付きシート体1において、設定するチタン片厚
みの実用上の上限としては、この近傍の厚みで足りるこ
ととなる。他方、0.3mm以下の場合は、骨が粗に過
ぎて使用に耐え得ないので、それ以下につき疎密測定の
定量化評価は、ここでは原則としてそれほどの意味な
く、よって、不要ゆえ、基準用金属片付きシート体1に
おいて、設定するチタン片厚みの実用上の下限として
は、この近傍の厚みで足りることとなる。
【0026】ここで、基本的な手順について述べておく
と、これは、図9(a),(b),(c)に示すような
ものとすることができ、次のような手順・作業で進める
ことができる。 まず、既知の厚みtを保有するチタン片を通過して描
き出された白黒の度合い(デンシトメータでの計測値
D)をカーブにする。例えば、同図(a)のように、チ
タン厚みt1,t2,t3,t4,t5及びt6の各部
分に対応する現像X線フィルム(ネガ)上における夫々
のX線像の計測D値を求めた結果、夫々値D(t1),
D(t2),D(t3),D(t4),D(t5)及び
D(t6)であったのなら、夫々上記のチタン厚みt及
び計測値Dに応じた点p1,p2,p3,p4,p5及
びp6をt−Dグラフ用紙上にプロットし、それに基づ
き、図(b)のように特性化し、チタンの黒化度カーブ
を得る。上記のことから、原理的には、既知のチタン厚
みtに応ずる値Dのデータ(プロットの個数)は、多け
れば多いほど、特性化するにあたり、より正確できめ細
かなものとすることができることが分かり、このため、
次の手順で定量化をする場合、その分、正確さは増すこ
ととなるが、他方で、それだけ使用することとなる厚み
tの種類は多くなる。用途によっては、その性質上、歯
科用のようにできるだけ小形状のものにすることが望ま
れる場合もあることから、厚みtのどのような範囲にお
いて何種類の厚みtのものを使用するようにするかは、
上述の前者の面と後者の面との2つの面を勘案して決め
るのが実際的でよい。整形のような場合では、比較的前
者の面を重視するようにすることも容易に可能である。
【0027】さて、次に、フィルム上で必要とされる
場所を計測して、図(b)のようにそのD値を得る。こ
こでは、図のように、検索対象箇所の計測読み値Dとし
ては、値1.5が得られたケースを示してある。 このようにしてD値1.5と測定されたのなら、グラ
フ上、図(c)のように、そのD値とカーブの交差する
点Pを求め、そして点Pに対応するチタン厚みt値をグ
ラフ横軸から読めばよい。即ち、例えば、交点Pから下
方に垂線を引き、その線の足がグラフ横軸(チタンの厚
み)と交わる点の値t(x)を求めるのであり、これ
が、検索箇所のD値に匹敵するチタンの厚み値となる。
得られたチタンの厚みの値t(x)は、実測上、Har
d、Mediam、Softと区分したどの領域にあて
はまるかによって、骨の粗、密の度合いを判別するのに
用いられる。
【0028】図7においては、具体的には、骨質の疎密
に関し、Hard(H),Mediam(M),Sof
t(S)の3つに分けられ、更には、夫々でa,bに区
分してある。これらは、夫々次のような内容をもつ。 Hard(H)a,b;緻密な骨 緻密〜骨塩量大 Mediam(M)a,b;中等 中位の緻密さ(ただし、Mediamの下位(Mb)は
使用に際し注意を要する) Soft(S)a,b;粗鬆症的 堅さを失った骨(特に、Sbはインプラント不適応であ
り、歯根周辺骨の状態がSoftであることは歯根の不
安定動揺を呈していることを暗示する)このように、臨
床上でのランクH、M、Sに区分するものである(図7
図示のカーブでは、D値の約1.35〜2.00がMe
diam区分に入ると仮定する)。
【0029】更に、図8も参照して具体例を述べると、
次の通りとなる。今、撮影して得られたX線フィルムに
おける図8中にハッチングを施したX5,Y−2の計測
箇所の骨質の状態を把握したいときとする。この場合、
基準用チタン金属片付きシート体1上の各チタン片3も
同時撮影されているから、前述した手順に従い、検索箇
所のD値に匹敵するチタンの厚み値を求めればよい。即
ち、X5,Y−2の部(セクション)の黒化度を黒化度
測定器で読み、チタン金属のDensity曲線に基づ
き、X5,Y−2の部のその読み値に最も近似している
黒化度を示すチタン片X線像となるであろう該当チタン
片のその厚みはどれか知るのである。例えば、上記でX
5,Y−2の部の黒化度は、もし、図8中の計測箇所の
部分のD値が1.5のとき、図7においてチタン片で厚
み0.8mmに相当するフィルムの白黒画面の濃度は、
仮に骨質に関しすべての条件が同一の骨でも、既述のよ
うにX線照射量などの違いの影響で、異なった値を示
す。従って、相対的にチタン片の黒化度に相当するチタ
ン片の厚みに換算して評価値とするものである。このよ
うにして、図7のカーブではチタン片厚さ0.8mm
は、骨密度のランクHard,Mediam,Soft
の中では、Mediamの上位の方になり、このよう
に、複数の厚みの異なるチタン片3を同時にX線撮影
し、骨質の黒化度が、いずれのチタン片厚みの黒化度に
近似しているかによって、骨質の良否を適切に判定する
ことができる。
【0030】本方式によると、アルミニウム片を用いる
場合のように、口腔内に挿入することが困難になるとい
うこともないし、既述の散乱線の影響による測定誤差を
補正する面倒な計算をすることも避けられ、臨床上の操
作として使用しにくいということもない。更に、チタン
片は、X線の撮影時に、アルミニウム片に比べ厚みが薄
いため、チタン内におけるX線の散乱影響が少なく、適
正な黒化度が得られるほか、チタン金属の特性として化
学的にも、物理的にも損傷を受けにくいため、加熱消毒
またはガス滅菌が可能であり、従って反復使用ができる
利点もある。
【0031】撮影条件などの相違による影響の回避等に
ついては、次のようにしても説明できる。図10の参考
例において、チタンTiの厚さが1.3mm〜0.3m
mの範囲に段階的に移行するTi片のStep或いは、
Ti片のPerettを透過するX線がフィルムに描く
像の黒化度の特性は、右上がり左下がりで下部部分が曲
がるような曲線を描く(同図、C1の曲線)。ここで、
フィルム上、チェックの必要な部分を、4mm2 の区分
の中から選び、その位置が図11のようにX1,Y1に
決定されるとき、その位置の透過光を測定(Densi
ty測定)して、Densityが1.5の値を得たと
き、Tiの厚さは0.8mmに相当する(C1曲線)。
これが前述した通り、チタン片厚み換算評価値であっ
て、評価値は0.8mmである。一方、撮影等の条件に
より、同一体のフィルムでも、時にC2の曲線になるこ
とがある。その場合、逆に、Ti0.8mmに相当する
Densityは計測ではD値1.8を得られる。つま
り、X線の方向や現像条件の多少の違いは最終数値でカ
バーできることになる。
【0032】図12及び図13の参考例は、同一患者で
の6ヶ月後の変化追跡の場合の例を示す。6ヶ月前及び
6ヶ月経過後の夫々の場合のTiカーブは、曲線aと曲
線bのように異なり、同一部位であっても、図13のよ
うに、その位置(X1,Y1)の最初のD値として得ら
れたものが1.37で、同一部分での6ヶ月後のD値が
1.16と異なっていても、換算評価値としてみると
き、それらが図12のように、ともに0.8mmであ
る。従って、この場合は、変化なしと判断することがで
きるものであり、経過観察も適切に行える。
【0033】骨の疎密判断の場合のX線フィルム上での
計測箇所に関しては、全区画測定によるものと、特定区
画測定によるものの2通を採用することができる。特定
区画測定は、特定部位の骨の粗、密の度合いを判別する
場合や、同一患者の経年変化を追跡する場合などに好適
である。これについては、いままで述べてきた通りであ
る。全区画測定は、画像全区画から得た数値を合算し、
その単純平均を表示する手法のものである。
【0034】図14はこの手法による例を示す。計測対
象箇所を例えば図8のフィルム上の全区画とし、骨のX
線像が現れている部分つきその全領域から、区画ごとに
D値を計測し、総合平均D値を、 (各区画ごとのD値の合計値)÷(D値を計測したその
区画の個数) で求める。区画ごとに計測D値は、これを図11や図1
3のような所定様式の用紙にその都度書き込んでいくよ
うにすると、合計値等の算出にも便利で、後で再点検す
るときも照合が容易であり、かつそのまま所定記録事項
とともに、記録として残せる。
【0035】今、そのようにして全区測定の総合平均D
値を算出し、これが1.8として得られたとしたなら
ば、図14においてチタン厚みに換算すると0.5mm
のチタン厚さとなる。このケースでの判定としては、M
bからSaの領域となり(図7参照)、かなり疎になっ
ている。
【0036】しかして、チタン厚み0.5mmは最小D
値に偏位しており、全体として将来疎になってくる傾向
があると判断される。D値の最大〜最小は、この場合の
骨の状態はチタン厚み換算して、1.0mm〜0.4m
mに相当する疎密度で分散していることを示す。上述の
ようにして、その対象全領域から拾ったD値の合計をそ
の拾った区画の数で除して得た値についてのチタン厚み
に相当する数値が、上限或いは下限に偏る位置によっ
て、骨の傾向を判別することもできる。本方式は、この
ようにして利用することができる。
【0037】基準の黒化度を画像としてフX線フィルム
に再現する目的でチタン片を設定する方式は、次のよう
なものとすることができる。 フィルムパック外に着脱可能に取り付けて固定し、撮
影する方式であって、反復してチタン片を使用できる方
式である。 フィルム自体のパックに内蔵されていて、撮影の都
度、チタン片を取り付ける必要がないようにしようとい
う方式である。 フィルム自体の固定装置を使用して、同一条件下に撮
影する方式が更に他の一つであって、規格撮影の際に使
用する固定装置の一部にチタン片を固定する方式であ
る。いずれも、チタン金属の同時撮影を簡単に行うこと
ができるものである。
【0038】上記では、このうちののものの例を述べ
たものであって、別体の基準用チタン金属片付きシート
体1を、必要時、歯科用X線フィルム体5のフィルム収
納体表面に取り付けて用いるものを説明してきたが、こ
れに限らず、次のようにしてもよい。即ち、X線フィル
ムと、このX線フィルムを収納するフィルム収納体とか
らなるX線フィルム体であり、かつ、、そのフィルム収
納体の一部に、厚みの異なる複数のチタン金属片が設け
られ、夫々のチタン金属片の厚みが所定の厚さに設定さ
れているチタン金属片付きX線フィルム体でもよく、ま
た、そのフィルム収納体内のX線フィルムの一部、また
はフィルム収納体内面の一部に、厚みの異なる複数のチ
タン金属片が配され、夫々のチタン金属片の厚みが所定
の厚さに設定されているチタン金属片内蔵状態のX線フ
ィルム体でもよく、更には、それらの場合において、複
数のチタン金属片が、上述したと同様、それらを一体的
に取り付けたシート状の台材を介して、フィルム収納
体、またはX線フィルムもしくはフィルム収納体内面に
取り付けられているX線フィルム体であってもよい。こ
のようなX線フィルム体でも、骨質の疎密を定量的に測
定するに際し、これを容易かつ適切に行うに好適な、チ
タン金属片の同時撮影を簡単に可能にするし、この場合
は、予め前もってチタン金属片が付加されているから、
いちいち別体の基準用チタン金属片付きシート体を、貼
りつけるなどする手間が省ける利点があり、この点から
は、かかる態様は望ましいものである。
【0039】図15及び図16は、チタン金属片内蔵型
の歯科用X線フィルム体の一例である。図に示すよう
に、本例では、いずれも、歯科用X線フィルム体5のフ
ィルム収納体6やフィルム収納体16の内部に、予め前
述した基準用チタン金属片付きシート体1が内蔵されて
おり、この状態でユーザに提供される。
【0040】歯科診療時に骨質の疎密を測定する際の基
準としてX線吸収係数の大きいチタン片3を用いること
で小形状で口腔内挿入を容易ならしめるなどできるのは
勿論のこと、外観は従前の歯科用X線フィルム体と同等
であり、同じように取り扱え、便利である上、そのまま
X線撮影すれば、各チタン片3の同時撮影が達成される
という利点もある。更に、この内蔵型では、たとえ複数
個のチタン片であっても、取り扱い時等に、誤ってチタ
ン金属片の一以上を離脱させてしまうといったおそれも
なくすることができる。結果、複数の厚みの異なるチタ
ン片3のいずれのX線像をも欠くことなく、骨質の疎密
の定量的な測定が確保される。この点からは、かかる態
様は望ましい。本発明は、このようにして実施してもよ
い。
【0041】図17乃至図24は、前記の方式による
例を示す。本例では、歯根周辺組織及び顎骨をX線の照
射によりX線撮影する装置であって、口腔内に歯科用フ
ィルムを保持させるフィルム固定装置を歯形カバーに設
け、そのフィルム固定装置と連結して口腔外に変位可能
に配置されるように板を取り付け、その口腔外板を、X
線撮影装置本体からのX線の照射方向と照射距離を設定
するガイドとなるように構成する口腔X線規格撮影装置
におけるそのフィルム固定装置に厚みの異なるチタン片
を取付け、チタン片の同時撮影を実現させようとするも
のである。
【0042】図17は装置の全体構成を示す。図中、1
01はX線撮影装置の本体、102はX線撮影装置コー
ン部を示し、X線撮影装置本体101内のX線発生部1
21からのX線をコーン部102を介して患者の所定撮
影部位に対し照射することによって歯科診療時のX線撮
影を行う。この撮影に際して、厚みの異なる複数のチタ
ン片3(図20参照)を組み込んだ撮影補助装置を用い
る。この補助装置は、例えば、撮影しようとする患者の
上顎歯、下顎歯側に合わせて予め作成したその患者用の
歯形カバー150(図では、下顎歯用のカバー)と、撮
影対象となる歯根周辺組織及び顎骨に対応する個所でこ
の歯形カバー150上の該当位置に取り付けるようにし
た、口腔内に配置する口腔内フィルム固定装置103
と、U型アームアタッチメント104と、U型アーム1
05と、口腔外平行板106とからなる。
【0043】歯形カバー150は、プラスチック製のも
ので、入れ歯の場合のような精度は必要ではなく、例え
ばマウスピース様のものとして、患者の歯部に対し安定
した状態で装着できる構成のものであればよい。この歯
形カバー150に口腔内フィルム固定装置103が接着
剤で一体に固定されており、これは、個々の患者毎の補
助具として用意することができる。一方、U型アームア
タッチメント104、U型アーム105及び口腔外平行
板106の部分は、上記補助具に対し組み付けて使用で
きる共通な補助具である。
【0044】口腔内フィルム固定装置103はX線フィ
ルムfを固定するのに用い、この固定装置103の後端
部には、X線フィルムfを内部に収納した歯科用フィル
ム収納体107を挿入して保持するホルダー131を有
する。ここで、フィルム収納体107は、前述したチタ
ン内蔵型のものでなくてよく、また、前述したシート体
1を貼りつけなくてもよい。フィルム収納体107は、
いままでのものをそのまま用いることができる。使用時
には、そのフィルム収納体107を挿入することでX線
フィルムfは撮影部位の背後(口腔内側)において上記
ホルダー131によってその傾斜状態などを規制された
状態で位置することになる。
【0045】口腔内フィルム固定装置103の前端部に
対し、前記の共通補助具のU型アームアタッチメント1
04が取り付けられる(図18参照)。従って、使用時
には、図17乃至図20に示す如く、口腔外平行板10
6は、そのアタッチメント104及びU型アーム105
を介して、フィルム固定装置103と連結されることに
なる。また、図17において、撮影装置本体101側に
は、光源装置108を設け、光源装置108から複数の
光ファイバーケーブル109を導出し、それらの先端を
コーン部102の周囲まで至らしめ、コーン部周囲で所
定円上に位置するよう配した夫々の先端固定部122
(図17では、1つのみ図示してある)に取り付ける。
【0046】黒化度基準用チタン片3は、このようなフ
ィルム固定装置103に取り付けることができる。ここ
では、例えば、図20Aに示すようなチタン片保持体1
32を用い、その保持用の各円形凹部132aに厚みt
の異なる円形形状のチタン片3(図示例では、厚みの種
類は4種である)を夫々嵌め込め、これを図17,18
のようにフィルム固定装置103の上面部分に埋設する
ような状態で取り付けてある。厚みt方向がフィルム固
定装置の前後方向である。
【0047】本装置は、歯形カバー150を歯から取外
した状態で、図24に示すようなX線フィルム面Ffと
歯牙および周辺組織の長軸中心垂直面F1との二等分線
面F2に対し、これと平行となるように平行板106を
口腔内フィルム固定装置103に対して設定し、実際の
撮影時には歯形カバー150を歯に嵌合し、口腔外平行
板106に対して垂直にX線が入射するようにX線撮影
装置本体101の位置を決めようとするものである。図
17及び図18、並びに図19の如く、歯形カバー50
上に一体に設けた口腔内フィルム固定装置103にU型
アームアタッチメント104を差し込み、このアタッチ
メント104に一方の片端が連結されて口腔外に導かれ
たアーム105の他方の片端には、口腔外平行板106
を取り付けておいて、撮影時には、この口腔外平行板1
06を患者の口腔外に位置させるようにする。従って、
従来では、二等分法に従った撮影をしようとする場合で
も患者の口腔外には位置決めのための目安となるものは
全く存在しないのに対し、上記のような構成の口腔外平
行板106を設けることによって、これを位置決めのた
めの目安として使用することができる。即ち、この口腔
外平行板106は、患者の口腔内に歯形カバー150お
よびフィルム固定装置103を介し固定された歯科用フ
ィルムfに対しX線の照射方向を常に一定の角度とし、
及び距離もほぼ一定となるように決定するためのガイド
になる口腔外板である。
【0048】ここで、二等分法について述べておくと、
図24は、歯科診療において所望の歯牙周辺組織部をX
線撮影するとき、その部位の背後(口腔内)に歯科用フ
ィルムを配し、患者の手前側のX線撮影装置によりX線
を照射し、撮影を行ってフィルム画像を得る場合の口腔
X線撮影におけるX線照射角度に関する撮影手法として
の二等分法といわれる方法を模式的に示すものである。
【0049】撮影部位が奥歯側であったり、また同じ部
位であっても個人差によっては、図示のように、歯牙及
びその周辺組織に対し実線の如くX線フィルムfを背後
でほぼ平行状態に位置させられず、破線のように傾いた
状態(図の場合は下顎側を対称としている)となる場合
があるわけであるが、この二等分法は、口腔内のX線フ
ィルムfによる面Ffと、歯牙及びその周辺組織(歯牙
支持組織)の長軸中心垂直面F1との二等分線面F2
を、X線フィルムfの傾斜の大小にかかわらず撮影に際
しての基準としようというもので、図にaで示すように
X線の照射(照射中心線)がその想定される基準面(F
2)に対して垂直となるよう、照射の向きを設定する方
法である。
【0050】図のbで示すように、前記長軸中心垂直面
F1に対してX線照射中心が垂直となるように撮影する
と、対象となる歯牙及び周辺組織と常に正対した状態で
撮影を行なえるものの、この場合に得られるフィルム面
上の画像は、X線フィルムfが大きく傾くにつれ、その
下部画像部分程伸びが大きい写真となってしまう(例え
ば、特定部位点P1 に着目すると、これは図示の如くフ
ィルム面上Pbに写ることとなる)。一方、フィルム面
Ffを基準としてこれに対し常に垂直となるよう図のc
で示す如くに撮影すると、X線フィルムfの傾斜が大き
い程、得られるフィルム画像は基本的に縮小する傾向を
示すことになる(点P1 はフィルム面上Pcに写る)。
【0051】このように、X線フィルムfが傾斜して口
腔内に配置される場合を考えると、X線照射の向きは重
要であるが、二等分法では、理論的に、常にそれらの中
間的なフィルム画像となる(例えば、P1 点はフィルム
面上Paに写る)。即ち、たとえX線フィルムfの傾き
が大きくなる部位の場合であっても、極端に伸びが生じ
たり、縮みが発生したりすることがなく、いずれの傾向
にも片寄らないものとなるのがこの方法の特徴である
(なお、この二等分法による場合でも、X線フィルムf
を平行かほぼ平行状態に位置させることができる部位に
ついては、実質的に、二等分線面F2は実際のフィルム
面Ff、長軸中心垂直面F1にも平行となる結果、図の
bのようにして正対状態で撮影したものと同じフィルム
画像が得られることになる)。
【0052】このため歯科診療時のX線撮影において
は、特に、同一人に対し過去に撮影したのと同じ個所を
再び撮影して前のフィルム画像における特定部分の大き
さの変化等を比較対比して診断の用に供しようとするよ
うな場合のX線撮影にあっては、この二等分法によっ
て、口腔内X線フィルムと歯牙及び歯牙周辺組織の長軸
中心垂直面との二等分線面にX線の照射中心線が垂直に
なるようにした状態で撮影するのがよいとされる。とこ
ろが、口腔内二等分線面を把握することが極めて煩わし
いため、従来は撮影しようとする部分に目測で位置決め
をする。撮影の場で、いちいち、その口腔内二等分線面
を正確に想定しそれを基準として二等分法による手法で
図24のaのように照射向きを定めたりすることは、時
間も手間もかかって甚だ面倒なのものである。
【0053】そのような目測での位置決めによる撮影の
場合は、専らその取扱者の熟練に依存しており、その撮
影の場で、個々の患者に対しX線撮影装置の位置を決め
るのに、格別の目安となる手段は何ら用いないわけであ
るから、たとえ二等分法に従って撮影をしようと意図し
たとしても、正確にこの方法によって精度の高いフィル
ム画像を得ることは難しい。特に、同一人の同一部位を
時を異にして撮影する場合、目測による位置決めでは、
前の撮影時と同じX線照射角度や照射距離といった条件
を再現して撮影をすることは極めて困難である。
【0054】これに対し、本装置では上記口腔外平行板
106がガイドになるのである。なお、共通補助具の一
部であるこの口腔外平行板106は、撮影部位等によっ
て二等分線面F2(図24, 図21)が変わっても、そ
の二等分線面と平行維持できるように、取り付け角度の
調整が可能となるよう構成するのがよい。
【0055】さて、個々の患者用の補助具である歯形カ
バー150及び口腔内フィルム固定装置103と、U型
アームアタッチメント104(アーム取り付けアタッチ
メント)との図17のような組付けは、具体的には,図
18及び図19に示すような2本ピン141,141を
アタッチメント104側に設け、一方、図18に示す如
くフィルム固定装置103の対向面には2つピン差し込
み孔133,133を形成し、これらにより着脱自在と
することができるようになっている。
【0056】厚みの異なるチタン片3を設けたフィルム
固定装置103は、患者の撮影対象となる歯根周辺組織
及び顎骨に対応して該当する歯形カバー150上の位置
に接着固定するものである。なお、撮影対象部位が複数
である場合は、一つの歯形カバー150に対し、かかる
フィルム固定装置103を複数(例えば、2〜5個所程
度)取り付けることもできる。
【0057】患者に合わせて予め作成した歯形カバー1
50に取り付け固定すべき上記の口腔内フィルム固定装
置103自体としては、図18に示すような後部のフィ
ルムホルダー131の角度αが異なる種類のものを用意
しておくと、取り付けるべき位置(従って、撮影部位)
に応じて、また患者の個人差による角度の違いに合わせ
て、所望のホルダー角度ものを歯形カバー150に固定
できる。角度αについては、例えば、α=5°用のもの
(図24の如く、X線フィルムfを歯牙及び周辺組織の
長軸中心垂直面F1とほぼ平行状態となるように配置で
きる部位用のもの) 、α=15°用のもの、α=30°
用のものの3種類程度を予め準備しておけば実用上十分
である。口腔内フィルム固定装置103は、このように
予め作成した患者の歯型カバー150の所定位置に固定
され、その患者の歯型カバー150と一体の状態で保管
されるものである。そして、使用時(X線撮影時)には
図17に示すような状態でU型アームアタッチメント1
04側と組合わせて使用する。
【0058】U型アーム5の構造は、図19に示すよう
に、例えば3本のアームA,B,Cの組合せからなり、
アタッチメント104に一端側を支持されたアームA
は、中間のアームBに連結し、アームBは、口腔外平行
板106を取り付けたアームCに連結してある。アーム
Aに対してアームBは図中左右方向にスライド調節可能
(矢印h)であり、また、アームCは、アームBに対
し、図中上下方向にスライド調節可能(矢印i)でかつ
回動可能(矢印j)でもある。更に、アームAは、アタ
ッチメント104に対して回動可能(矢印k)に取り付
けられている。口腔内フィルム固定装置103にアタッ
チメント104を取り付けた状態において、アームAと
アームB間のスライドにより口腔外平行板106の位置
が前後調整でき、その場合の調整の用に供する間隔調整
目盛111がアームAに付されている。また、アームB
とアームC間のスライドによっては、口腔外平行板10
6を取り付けたアームCが伸縮する結果、その方向(近
遠心方向)に沿って口腔外平行板106の位置を調整で
き、この場合のためにアームCには口腔外平行板伸縮目
盛112が付されている。
【0059】更に、アームCをアームBに対し回動させ
ることで、口腔外平行板106の板面の角度調整ができ
る。この場合の口腔外平行板取付角度目盛113がアー
ムBに付されている。また、アタッチメント104に対
してアームAを回動させると、U型アーム105全体を
回動させることができる。この場合の全体回動のための
角度目盛114がアームAの支持側に付されている。
【0060】角度調整は、X線フィルム面の傾斜角
(α)が少ない範囲では、アームCの回動による口腔外
平行板106の角度調整だけでも実用上十分である。と
ころが、X線フィルムfの設置状態を規制するフィルム
ホルダー131の角度αが大きくなるにつれ、図21に
示すように、それに伴って二等分法による二等分線面F
2も傾斜するため、その二等分線面F2と平行になるよ
う、単にアームCの回動だけで口腔外平行板106を1
06b(一点鎖線)の状態へと角度調整して撮影を行な
うと、その場合の口腔外平行板106bに垂直なX線の
照射中心線はa2となり、X線照射中心線がa1の場合
に比べ、ずれが生ずることになる。これに対し、アーム
Aの回動調整で、口腔外平行板106を含めU型アーム
105全体の上下方向への移動も可能な構成としてある
ので、口腔外平行板106を破線の106aで示す如く
下方へ移動させた状態として二等分線面F2に平行とす
ることができる。従って、その場合の口腔外平行板10
6aを照準としてこれに垂直な照射中心線a1(即ち、
二等分線面F2に対しても垂直) をもってX線照射を行
なえば、上記のようなずれも緩和することができ、より
きめ細かく調整が行なえ、共通補助具としての汎用性も
より高めることが可能である。
【0061】上述の調整要素の目盛り111,112,
113,114は、或る特定の調整位置を基準(例えば
0目盛り)として必要な読みを付しておけば、所望の調
整状態としたときに、その患者のカルテにその読みを記
録しておくことにより、後日、同一個所を繰返し撮影す
る場合でもその記録に基づき、簡単に同一条件を再現さ
せることができる。
【0062】このようにして、U型アーム105は、口
腔外平行板106と二等分線面F2との距離及び方向を
臨床の場で容易に変えることが可能となっている。口腔
内形状には個人差があるが、そのような患者の個人差に
対してもこの共通の補助具は十分に必要な調整が実現で
き、しかも、角度及び距離等の目盛りがついており、あ
らゆる口腔内形状にも対応可能である。従って、患者の
歯形カバー150を介して装着される、かつ図20Aの
ような各チタン片3を取り付けた口腔内フィルム固定装
置103との関係では、そのフィルム固定装置103に
対し、上記U型アーム105で連結された口腔外平行板
106が臨床の場で必要に応じて自由に角度、前後、上
下、左右(近遠心方向)の各要素にわたって三次元的に
可変できるものであり、そのフィルム固定装置103と
口腔外平行板106との相対的な調整度合いが目盛りに
よって確認できる。
【0063】また、口腔外平行板106の構造は、図1
7に一点鎖線で示すようにX線が照射されるので、X線
に対し透過し易い(X線吸収の極めて小さい)素材によ
る薄板状のものとして撮影に支障のないようになってい
る。同様に、X線の照射範囲に入ることとなる、アーム
105、アタッチメント104、フィルム固定装置10
3、ホルダー131部分も、X線の透過し易い素材で形
成し、チタン片保持体132を用いるときは、これもX
線吸収の極めて小さい素材で形成する。このようにする
ことにより、黒化度基準用の各厚みの異なるチタン片X
線像も、フィルムf上に良好に撮影される。
【0064】更に、口腔外平行板106のX線撮影装置
側対向板面には、図22に示すように、その表面中央部
に所定径の円161が描かれており、これに関連して、
X線撮影装置本体101側の光ファイバーケーブル10
9による可視光線が照射されるようになっている。図2
3A,Bに示すものは、光ファイバーケーブル109の
取り付けの一例を示す図である。コーン部2は、X線撮
影装置コーン123とX線撮影装置外側コーン124と
からなり、それらコーン間において、光源装置108か
らの4つに分岐された光ファイバーケーブル109の先
端を固定する夫々の先端固定部122a〜122dが、
コーン中心軸を中心とする所定径の円周上に90°間隔
で配設されている(同図A)。なお、各先端固定部12
2a〜122dには、望ましくは夫々レンズ125a〜
125dを設ける。
【0065】このようにして、光源装置108から4本
の光ファイバーケーブル109を介して可視光線をコー
ン部102まで導き、その先端をX線撮影装置101の
コーン122外周に4条並列に取り付けてあり、この光
ファイバーケーブル先端からは直径3〜5mmのスポッ
ト可視光線をX線照射中心線と平行な状態で口腔外平行
板106へ向って照射する。これにより、撮影時、口腔
外平行板106に対しX線の照射中心線が垂直で、かつ
X線撮影装置本体101の口腔外平行板106までの距
離は常に等距離であることを、光ファイバーケーブル1
09によって誘導された可視光線のスポットSを口腔外
平行板106の板面(図22)に当てることにより確認
することができる。
【0066】今、実際の撮影の場で、図17のように各
側の補助具を組付けた撮影補助装置を患者へ装着し、か
つその口腔外平行板106についての前述のような調整
も予め行なった状態で目標の撮影部位のX線撮影を実施
しようとする場合、X線照射の向きを含めた装置本体側
の撮影位置の決め方は、次のようにして行うことができ
る。なお、図21のように二等分線面F2に対し口腔外
平行板106aを最適な位置で平行状態とする調整作業
も、一度正確に行なえばよく、次からはその調整時の記
録に従えば済む。即ち、撮影の位置決めにあたっては、
口腔外平行板106表面に画いた円161近傍に4本の
スポット可視光線を当て、図22のように全てその4つ
のスポットSが同一円周上に集まるようX線撮影装置本
体101の位置を合わせることにより、X線照射中心線
は円161の中心を通って図17の使用状態の口腔外平
行板106に対し垂直になる。その結果、二等分線面F
2に対しても垂直となる。このようにして口腔外平行板
106を照準にして、X線照射の向きに関してX線撮影
装置本体101の位置を決めることができる。
【0067】また、コーン部102先端と口腔外平行板
106間の距離については、その口腔外平行板106面
上のスポットSの径の大きさに基づいて判断するものと
する。予めその距離が所定の大きさ(例えば、7cm) と
なる場合のスポット径を目標スポット径として設定して
おき、X線撮影装置本体101を口腔外平行板106に
対し進退させ(図17上、一点鎖線方向上において前後
に位置を調節し)、スポット径がその目標の大きさとな
るようにすれば、X線撮影装置コーン部102先端から
口腔外平行板106までの間隔を、ほぼ、常に予め設定
した規定値とすることができる。一方、口腔外平行板1
06から、患者の口腔内にフィルム固定装置103のホ
ルダー131によって固定されたX線フィルムfまでの
距離は、この撮影補助装置側のU型アーム105部分の
調整によって所望の値に設定されており、その結果、図
17中のX線発生源を基点とする距離Lは、実質的に、
常に、所定の一定値に設定することができることにな
る。
【0068】このようにして、口腔外平行板106を照
準にして、X線照射距離に関しても、X線撮影装置本体
101の位置を決めることができる。上記の如くに位置
決めをした後は、通常のようにX線撮影を行なってフィ
ルム画像を得ればよく、このようにして、この口腔X線
規格撮影装置によれば二等分法に従うX線撮影を適切に
実施でき、かつ各チタン片3も同時に撮影することがで
きる。
【0069】本発明は、このような方式で実施すること
もでき、規格撮影を目的としたフィルム固定装置に取り
付けることにより、同一条件下の黒化度を測定すること
が容易に可能である。撮影により得られたX線フィルム
fを基にした顎骨の疎密の判定等の手順については、前
述したのと同様である。本装置により、歯科用X線フィ
ルム像黒化度基準用の厚みの異なる複数のチタン金属片
の同時撮影が可能であるとともに、同一個所を再度撮影
する場合でも、経年的に同一条件(方向と距離)が保証
される。目測による位置決めにあっては、相当の熟練が
要求されたり、あるいはその都度位置がまちまちになり
がちになったりするが、そのようなことが避られ、安定
して容易に従来の目測による撮影に比べ精度の高い画像
が得られると同時に、生態の経年的変化を正確に比較追
跡することもできる。従ってまた、病態の変化を適切に
把握し、早期対処も可能となる。特に、前記図12で説
明したような同一患者での変化追跡の場合に好適であ
る。
【0070】また、本装置によれば、X線被爆量の減少
にも有利である。即ち、従来では患者の口腔外には何ら
目安となる手段がないので、X線照射の範囲を広目に設
定する傾向となるが、これに対し口腔外に口腔外平行板
106がガイドとして存在するのでそのような傾向を抑
えられ、X線を必要最小源の区域に焦点を合わせて撮影
することができるため、従来の放射線による被爆の量を
1/10以下に減少できる。
【0071】本装置は、上述した例に以外に、種々の変
更、変形が可能である。例えば、フィルム固定装置10
3に口腔外平行板106を可動に連結する場合におい
て、U型アーム105を用いるとき、アームBをアーム
Aに対し回動可能にもなるよう構成してもよく、また、
アームAをアタッチメント104に対しスライド調節可
能にもなるよう取り付けるようにしてもよい。このよう
な調整要素も加えると、更に自在性を高めることができ
る。また、スライド調節や回動調節は、所定量ずつクリ
ック感をもって行なえるようすると、よりよい。また、
調整後にその調整状態が使用中に変化しないようにその
移動を確実に防止するための固定具を設ける構成とする
のは望ましい。また、フィルム固定装置103に取り付
ける厚みの異なるチタン片3は、図20Aのような構成
としたが、他の構成であってもよい。
【0072】例えば、図20Bの上部及び下部に側面図
及び正面図を示すような厚みの異なる複数のチタン片3
を使用してもよい。この場合、厚みの異なる複数のチタ
ン片は連続であり、そのX線像もフィルム上連続のもの
として得られる。また、ここでは、形状は円形でなく矩
形である。また、本例は、各厚みの異なる複数のチタン
片は一体であるから、同図Aのような保持部材を用い
ず、直接にフィルム固定装置103に組み込んでもよ
い。また、同図Cのような円形形状のチタン片3と同図
Bのような矩形形状のチタン片3との組み合わせの態様
でもよく、これで厚みの異なる複数のチタン片を構成し
てもよい。組み合わせ態様は、上記に限られない。これ
らの例は、前記の方式の例による図1乃至図6のシー
ト体の場合や、前記の方式の例による図15または図
16のチタン内蔵フィルム収納体の場合に適用してもよ
い。
【0073】また、上記図17乃至図24で説明した装
置は、使用フィルム収納体として基準用チタン片付きシ
ート体を貼った状態のフィルム収納体や基準用チタン片
内蔵型のフィルム収納体を用いるようにし、規格撮影と
同時に黒化度を測定するようにしても利用することがで
きる。この場合は、チタン片をフィルム固定装置側に埋
設する必要がない。また、使用時に、基準用チタン片付
きシート体自体をフィルム固定装置側の適宜の個所に貼
りつけ、その状態で同時撮影をするようにするなどして
もよい。この場合も、チタン片をフィルム固定装置側に
埋設しておく構造は不要となるものである。
【0074】なお、本発明は、歯根周辺組織及び顎骨を
対象とする場合に限らず、歯科用でなくてもよい。例え
ば足の骨質の疎密の判定の場合その他にも適用可能で、
骨質の密度をチタン金属の黒化度と対比して骨質の密度
を定量的に測定したい場合に広く適用できる。また、前
記図9の手順内容を、マイクロプロッセサーによる処理
で装置化し、データ入力に基づき求める評価換算値が得
られるようにしてもよい。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、X線撮影時、チタン金
属を同時に撮影し、チタン金属の黒化度と骨質の黒化度
を対比して骨質の疎密を測定することができ、X線の散
乱線の影響に起因する黒化度への影響なども抑えられ、
チタン金属によるX線像部分の黒化度を基準にして、適
正な黒化度をもって、骨質の疎密の良好な測定が可能で
ある。X線の散乱影響は少なく、適正な基準の黒化度が
得られるのみならず、チタン金属は化学的にも、物理的
にも損傷を受けにくく、加熱消毒またはガス滅菌も可能
であり反復使用ができる。また、本発明によれば、骨質
の疎密を定量的に測定するに際し、これを容易かつ適切
に行うに好適でチタン金属の同時撮影を簡単に行うこと
ができるチタン金属片付きやチタン金属片内蔵型X線フ
ィルム体が得られ、複数のチタン金属片の厚みに応じた
黒化度を基準にして骨質の疎密測定の定量化をする場合
に用いるのにも適する。特に、歯科用のものでは、歯根
周辺組織及び顎骨の状況把握を行う場合に用いるX線フ
ィルム体として好適で、骨質の疎密を測定する際の基準
としてX線吸収係数の大きい純チタン金属を用いること
で小形状にすることが可能であり、しかも口腔内挿入を
容易にすることができる。また、本発明の基準用金属片
付きシート体では、予め厚みの異なる複数のチタン金属
片が事前に付加されている上記のような本発明によるチ
タン金属片付きやチタン金属片内蔵型のX線フィルム体
でなくとも、かかるシート体の方を用意しておけば、そ
のシート状台材ごと貼着などして簡単に取り付けられ
て、同様にチタン金属の同時X線撮影を実現できるもの
であって、便利なものである。従って、これを用いれ
ば、歯科用のものも含む既存のX線フィルム体でも、容
易に対応可能で、X線撮影時にも簡便に組み合わせて用
いることのできる使用に好便なX線フィルム像黒化度基
準用のチタン金属片付きシート体を提供することができ
る。また、これらX線フィルム体も基準金属片付きシー
ト体でも、その複数のチタン金属片についは、アルミニ
ウム片によったとした場合に比し厚みを薄くできるた
め、X線の撮影時、その各チタン金属内におけるX線の
散乱影響が少なく、適正な黒化度が得られる利点のほ
か、化学的にも、物理的にも損傷を受けにくいため、加
熱消毒またはガス滅菌が可能であって、反復使用ができ
るという利点があり、この点でも、効果は大である。ま
た、本発明では、規格撮影可能なフィルム固定装置と組
み合わせて実施してより適用効果が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いることのできる基準用チタン金属
片付きシート体の一例を示す図である。
【図2】その各チタン金属片の厚みの様子を含めて示す
配置態様の一例の説明図である。
【図3】基準用チタン金属片付きシート体を取り付けた
歯科用X線フィルム体の一例を示す図である。
【図4】基準チタン金属片付きシート体の他の例を示す
図である。
【図5】その各チタン金属片の厚みの様子を含めて示す
配置態様の一例の説明図である。
【図6】基準チタン金属片付きシート体を取り付けた歯
科用X線フィルム体の他の例を示す図である。
【図7】骨質の疎密測定の一例の説明に供する図であ
る。
【図8】骨質の疎密測定の一例の説明に供するフィルム
座標の例の拡大図である。
【図9】骨質の疎密測定の手順の一例の説明に供する図
である。
【図10】骨質の疎密測定の説明に供する参考例を示す
図である。
【図11】その場合の座標用紙の例を示す図である。
【図12】骨質の疎密測定の説明に供する他の参考例を
示す図である。
【図13】その場合の座標用紙の例を示す図である。
【図14】骨質の疎密測定の説明に供する更に他の参考
例を示す図である。
【図15】基準チタン金属片付きシート体を有する歯科
用X線フィルム体の一例を示す図である。
【図16】同じく、他の例を示す図である。
【図17】基準チタン金属片を具備させたフィルム固定
装置を有するX線規格撮影装置の例を示すもので、口腔
X線規格撮影装置の一例の全体構成を示す図である。
【図18】その口腔内フィルム固定装置部分に対する口
腔外平行板の組み付け説明図である。
【図19】アタッチメント、U型アーム、および口腔外
平行板部分の平面図である。
【図20】適用できるチタン金属片の例を示す図であ
る。
【図21】U形アームによる調整の一例を示す図であ
る。
【図22】口腔外平行板の具体例を示す図である。
【図23】X線撮影装置コーン部の端面図(A)、及び
側面図(B)である。
【図24】二等分法の模式的説明図である。
【符号の説明】 【符号の説明】
1 基準用金属片付きシート体 2 透明台紙 3 チタン片 5 歯科用X線フィルム体 6 大型歯科用フィルム収納体 12 透明台紙 16 小型歯科用フィルム収納体 101 X線撮影装置 102 X線撮影装置コーン部 103 口腔内フィルム固定装置 104 U型アームアタッチメント 105 U型アーム 106 口腔外平行板 108 光源装置 109 光ファイバーケーブル 111 間隔調整目盛り 112 口腔外平行板伸縮目盛り 113 口腔外平行板取り付け角度目盛り 114 U型アーム全体回動目盛り 122,122a〜122d 光ファイバーケーブル先
端固定部 123 X線撮影装置コーン 124 X線撮影装置外側コーン 126 スポット可視光線照射部 127 発光ダイオード 131 フィルムホルダー 132 チタン片保持体 133 ピン差込み孔 141 ピン 150 歯形カバー 161 円 A〜C アーム S スポット f X線フィルム F1 歯牙および周辺組織の長軸中心垂直面 F2 二等分線面

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線フィルムと、このX線フィルムを収
    納するフィルム収納体とからなるX線フィルム体であっ
    て、そのフィルム収納体の一部には、厚みの異なる複数
    のチタン金属片が設けられ、夫々のチタン金属片の厚み
    は所定の厚さに設定されていることを特徴とするX線フ
    ィルム体。
  2. 【請求項2】 X線フィルムと、このX線フィルムを収
    納するフィルム収納体とからなるX線フィルム体であっ
    て、そのフィルム収納体内のX線フィルムの一部、また
    はフィルム収納体内面の一部には、厚みの異なる複数の
    チタン金属片が配され、夫々のチタン金属片の厚みは所
    定の厚さに設定されていることを特徴とするチタン金属
    片内蔵型のX線フィルム体。
  3. 【請求項3】 複数のチタン金属片は、それらを一体的
    に取り付けたシート状の台材を介して、フィルム収納
    体、またはX線フィルムもしくはフィルム収納体内面に
    取り付けられていることを特徴とする請求項1または請
    求項2記載のX線フィルム体。
  4. 【請求項4】 X線フィルムが、口腔内に配置してX線
    撮影する歯科用X線フィルムであることを特徴とする請
    求項1乃至請求項3のいずれかに記載のX線フィルム
    体。
  5. 【請求項5】 シート状の台材と、このシート状台材に
    取り付けられた厚みの異なる複数のX線フィルム像黒化
    度基準用のチタン金属片とからなるシート体であって、 そのシート状台材上の夫々のチタン金属片の厚みは所定
    の厚さに設定されていることを特徴とする基準用金属片
    付きシート体。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のシート体であって、 歯科用X線フィルムまたはそのフィルム収納体の一部に
    取り付けて用いることを特徴とする基準用金属片付きシ
    ート体。
  7. 【請求項7】 フィルム固定装置を有し、このフィルム
    固定装置に、前記請求項1乃至請求項4のいずれかに記
    載のX線フィルム体を組み合わせるか、前記請求項5ま
    たは請求項6記載の基準用金属片付きシート体を組み合
    わせるか、厚みの異なる複数のX線フィルム像黒化度基
    準用のチタン金属片を組み込むかのいずれかの態様によ
    り、骨のX線撮影時のチタン金属片の同時撮影を行うこ
    とを特徴とするX線撮影装置。
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