JP2717889B2 - 光学活性エーテルラクトン類、その光学活性ポリマーおよびそのポリマーの製造方法 - Google Patents

光学活性エーテルラクトン類、その光学活性ポリマーおよびそのポリマーの製造方法

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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D321/00Heterocyclic compounds containing rings having two oxygen atoms as the only ring hetero atoms, not provided for by groups C07D317/00 - C07D319/00
    • C07D321/02Seven-membered rings
    • C07D321/04Seven-membered rings not condensed with other rings
    • C07D321/081,4-Dioxepines; Hydrogenated 1,4-dioxepines

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は光学活性な7−置換−
1,4−ジオキセパン−5−オン誘導体、およびその誘
導体を開環重合することにより得られる光学活性なポリ
マーとその製造方法に関する。
【0002】本発明によるポリエーテルエステルは、光
学活性、生分解性(酵素分解性)、生体適合性、加水分
解性を有する熱可塑性樹脂であり、土壌または水中に存
在する微生物により分解されるので環境を汚染しないク
リーンプラスチックとして広く利用できる機能性ポリマ
ーである。
【0003】
【従来の技術】本発明化合物の基本骨格に相当する化合
物である式(III)
【化6】 で示される1,4−ジオキセパン−5−オン(1,5−
ジオキセパン−2−オンとも命名し得るが、本明細書で
は前者の名称を統一して使用する。)については公知で
ある。
【0004】例えば、英国特許第1272733 号には、エチ
レングリコールとアクリロニトリルを50%カセイソー
ダの存在下に反応させて2−(2−シアノエトキシ)エ
タノールを得、次いで塩化メチレン中で乾燥塩化水素を
通して環化し、5−イミノ−1,4−ジオキセパン−5
−オン塩酸塩とした後、水溶液中で40℃に加熱して
1,4−ジオキセパン−5−オンを得る方法(総収率約
5%)が記載されている。
【0005】 米国特許第4470416号には、エチ
レングリコールとアクリル酸メチルとをNaOMeの存
在下で反応させ、生成した3−(2−ヒドロキシエトキ
シ)プロピオン酸メチルを(i−PrO)Ti(i−
Prはイソプロピル基を示す。)触媒を用いて1,4−
ジオキセパン−5−オンとすることが開示され(総収率
17%程度)、更に、マクロモレキュルズ(Macro
molecules 1989年 22巻3832−3
846)にはβ−クロロプロピオン酸クロリドとエチレ
ンとからAlCl触媒を用いて1,5−ジクロロペン
ン−3−オンを調製し、HPO/NaHPO
存在下100℃に加熱環化して4−ケトテトラヒドロピ
ランを得、3−クロロ過安息香酸で酸化して1,4−ジ
オキセパン−5−オンを得る方法(総収率約48%)が
記載されている。
【0006】一方、1,4−ジオキセパン−5−オンの
ポリマーについては、前記米国特許第4470416 号に1,
4−ジオキセパン−5−オンとラクチドおよび/または
グリコリドとのコーポリマーをオクタン酸スズを用いて
合成すること、得られたポリマーは繊維に成形でき外科
手術用縫合糸などに利用できることが開示され、米国特
許第4190720 号には、多量部のε−カプロラクトンと少
量部の1,4−ジオキセパン−5−オンとからなるコポ
リマーをオクタン酸スズの存在下で合成する方法が開示
されている。しかしながら、上記特許に記載されている
1,4−ジオキセパン−5−オンの合成法はいずれも収
率が低く、またそのポリマーについては、コポリマーし
か得られておらず、しかもこのコポリマーはモノマーが
(7−位に)置換基を持たないため、光学活性でなく、
生分解性、特に生体適合性の面で問題があった。
【0007】 一方、近年、本発明化合物の環の一部構
成成分に対応する3−ヒドロキシアルカン酸のポリマー
を菌体内に蓄積する微生物が知られており(P.A.H
olmes,phys.Technol.1985
(16),32参照)、このポリマーは生物分解性すな
わち酵素分解性、加水分解性、生体適合性の特性を持つ
ために新しいタイプの機能性材料として注目されている
(生分解性高分子材料 19頁土肥義治編著 工業調査
会 1990年発行参照)。また、D−(+)−β−メ
チル−β−プロピオラクトンの開環重合はPolyme
r letters,9,173,(1970)に報告
されている。しかし微生物学的上記方法は、微生物また
は酵素反応を利用するため、菌体からのポリマーの分離
などの繁雑な工程を必要とし、製造原価が高いこと、光
学分割工程があることなど工業化には多くの問題点があ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、7−位に置換基を持った新規な光学活性な1,4−
ジオキセパン−5−オン誘導体を提供すると共に、生分
解性(酵素分解性)、生体適合性、加水分解性に優れた
ポリマーおよびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような実情に鑑みて
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行なった
結果、特開昭63-310847 号に開示されている種々のβ−
ケトエステルの不斉水素化反応により得られる光学活性
な3−ヒドロキシアルカン酸エステルを原料として、こ
れを分子内骨格に有するこれまでに合成されたことのな
い新規な環状エーテルエステルである7−置換−1,4
−ジオキセパン−5−オン誘導体が得られることを見出
し、しかもこの誘導体は容易に開環重合して対応する光
学活性なポリエーテルエステルとなることを見出し本発
明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は一般式(I)
【化7】 (式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表わす。)で
示される光学活性な7−置換−1,4−ジオキセパン−
5−オン誘導体、その開環重合による光学活性なポリエ
ーテルエステルとその製造方法を提供したものである。
【0011】本発明の7−置換−1,4−ジオキセパン
−5−オン誘導体の製造工程を反応式で示せば次の様に
なる。
【化8】 (式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基、Xは炭素数1
〜6のアルキル基を示す。)
【0012】 上記の工程において、出発原料の式(I
V)で示される光学活性な3−ヒドロキシアルカン酸エ
ステルは本出願人が特開昭63−310847号公報に
開示している方法、すなわち式
【化9】 (式中、RおよびXは前記と同じ意味を表わす。)で示
されるβ−ケトエステル類をルテニウム−光学活性ホス
フィン錯体を触媒として不斉水素化を行なうことにより
容易に得ることができる。
【0013】次いで、触媒の存在下で、この光学活性な
3−ヒドロキシアルカン酸エステル(IV)に、エチレ
ンオキシドを常圧下80〜100℃の温度にて吹き込む
か、もしくは80〜100℃の温度でオートクレーブ中
で反応させて式(V)で示されるエチレンオキシド1モ
ル付加体の3−(2−ヒドロキシエトキシ)アルカン酸
エステルを得る。ここで用いられる触媒としては、塩化
亜鉛(ZnCl)、クロロジエチルアルミニウム(A
lEtCl)、クロロジメチルアルミニウム(AlM
Cl)、ジエトキシ3弗化ホウ素(BF OE
)等のルイス酸もしくは特公昭48−3810号
に開示されているテトラフルオロホウ酸トロピリウム、
テトラフルオロホウ酸トリフェニルメチルカルボニル等
のカルボニウムイオン類が挙げられる。触媒の使用量は
0.4重量%以下で十分である。
【0014】上記エステル(V)をエタノール性苛性ソ
ーダまたは苛性カリで加水分解することにより式(VI)
で示されるカルボン酸を得ることができる。さらに、こ
の光学活性な3−(2−ヒドロキシエトキシ)アルカン
酸エステル(VI)とクロルギ酸エチルとを塩化メチレン
溶媒中塩基としてトリエチルアミンを用いて反応させる
ことにより式(I)で示される光学活性な1,4−ジオ
キセパン−5−オン誘導体を合成することができる(Wi
lliam.C.Agosta.,J.O.C.,39,1607,1974 )。
【0015】一般式(I)中のRが炭素数1〜5のアル
キル基を表わす化合物は新規な化合物である。一般式
(I)の光学活性7−置換−1,4−ジオキセパン−5
−オン誘導体からは開環重合によって以下の式で示され
る光学活性ポリマーを容易に製造することができる。
【化10】 (式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表わし、nは
25以上の整数である。)
【0016】この開環重合は、光学活性な7−置換−
1,4−ジオキセパン−5−オン誘導体をトルエン、ベ
ンゼン等のハイドロカーボン等の有機溶媒に溶かし、窒
素又はアルゴン等の不活性気体下で反応容器に仕込み、
これに触媒を加え、常圧で60〜100℃の温度で1時
間〜3日間反応させることにより行なわれる。
【0017】 ここで用いられる触媒としては、ジ−n
ブチルスズオキシド(以下、ジブチルスズオキシドと
略記する。)、メチルフェニルスズオキシド、テトラエ
チルスズ、ヘキサエチルスズオキシド、トリエチルスズ
オキシド、トリエチルスズエトキシド、トリ−n−ブチ
ルスズメトキシド(以下、トリブチルスズメトキシドと
略記する。)、トリ−n−ブチルスズエトキシド(以
下、トリブチルスズエトキシドと略記する。)、オクタ
ン酸スズ、トリエチルアルミニウム/水=1/1、ジエ
チル亜鉛/水=1/0.6等が挙げられる。これら触媒
は少なくとも1種を使用し、必要に応じ数種を併用する
ことができる。触媒は原料モノマーに対して1/10〜
1/2000倍モル程度の量で使用される。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、光学純度の高い3−ヒ
ドロキシアルカン酸エステルを原料とする不斉合成反応
により光学活性モノマーとして有用な新規な7−置換−
1,4−ジオキセパン−5−オン誘導体を簡便に製造す
ることができる。
【0019】得られたモノマーからは開環重合により、
光学活性で、酵素分解性、加水分解性、生体適合性とい
う特徴を持つ新しい機能性材料である有用なポリマー
を、少ない工程で、容易に工業的に有利な方法で製造す
ることができる。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。なお、実施例で使用した分析機器は下記のとおり
である。
【0021】核磁気共鳴スペクトル(NMR):AM−
400型装置(400MHz)(ブルッカー社製) 内部標準物質: 1H−NMR……テトラメチルシラン13 C−NMR……テトラメチルシラン 赤外線吸収スペクトル(IR):IR−810型赤外分
光分析装置(日本分光工業(株)製) 分子量:D−2520GPC Integrator(日立製作所
(株)製) 旋光度:DIP−360型デジタル施光計(日本分光工
業(株)製) マススペクトル(MS):M−80B質量分析機(日立
製作所(株)製) 化学純度:263-80型ガスクロマトグラフィー(日立製作
所(株)製;カラムとしてシリコンOV−101(0.28
mm×25m )を使用)(ガスクロマトグラフィーを以下G
Cと略記する。)
【0022】 実施例1 (7R)−(−)−7−メチ
ル−1,4−ジオキセパン−2−オンの合成 工程1:(3R)−(−)−3−(2−ヒドロキシエト
キシ)酪酸メチルの調製 (3R)−(−)−3−ヒドロキシ酪酸メチル118
g、テトラフルオロホウ酸トロピリウム0.4gの混合
物を撹拌しながら80℃に加熱し、これにエチレンオキ
サイドを常圧で吹き込んだ。発熱する温度を80〜10
0℃に制御し、反応時間2時間でエチレンオキサイド2
8gを反応させた。146gの粗反応物を得てこれを蒸
留し、64gの原料を回収した後、沸点60〜70℃/
mmHgの標題化合物(エチレンオキサイド1モル付加
体)27gを得た。化学純度91%GC、収率36.4
%。
【0023】 1H−NMR(400MHz,CDC
3 ) δppm : 1.22(d,3H,J=6.2 Hz)、2.43(dd,1H,J
=15.8, 4.5 Hz)、2.58(dd,2H,J=15.7, 8.
4 Hz)、3.51(m,1H)、3.68(m,3H)、3.70
(s,3H)、3.98(m,1H); MS:m/z 162(M+ ); [α]D :−35.4°(c=1,CHCl3 ,20℃)。
【0024】 工程2:(3R)−(−)−3−(2−
ヒドロキシエトキシ)酪酸の調製(3R) −(−)−3−(2−ヒドロキシエトキシ)酪
酸メチル50g、NaOH18.5g、エタノール16
0ml、水43gの混合物を撹拌加熱し、煮沸状態で1
時間反応させた。反応後、エタノールを減圧留去し、水
110ml、塩酸35.9mlを加えて酸性にした後、
水を減圧留去した。残分にエタノール200mlを加え
て5〜10℃に冷却放置し、析出した食塩をろ別し、母
液を濃縮して45gの目的物を得た。収率98.9%。
【0025】 1H−NMR(400MHz,CDC
3 ) δppm : 1.22(dd,3H,J=18.0,6.2 Hz)、2.49(m,
2H)、3.50(m,1H)、3.70(m,1H)、3.72
(m,2H)、3.97(m,1H)、6.25(m,2H) ; MS:m/z 149(M+ ); [α]D :−31.0°(c=1.6 ,CHCl3 ,20
℃)。
【0026】 工程3:(7R)−(−)−7−メチル
−1,4−ジオキセパン−5−オンの調製(3R) −(−)−3−(2−ヒドロキシエトキシ)酪
酸29.2g、トリエチルアミン39.7g、塩化メチ
レン100mlの混合物を撹拌しながら氷冷し、10〜
15℃でクロロギ酸エチル25.7gを滴下した後、室
温に戻し、3時間反応させた。その後、内容物を水15
0ml中に投入し、CHClで抽出した。CHCl
層は希塩酸溶液で洗浄、水洗後、無水硫酸マグネシウム
で乾燥し、濃縮して23gの粗生成物を得た。減圧蒸留
して、沸点40〜50℃/mmHgの留分を得た。これ
をエーテルから再結晶し、純(7R)−(−)−7−メ
チル−1,4−ジオキセパン−5−オン13.6gを得
た。化学純度99.3%GC、融点46℃、収率53.
7%。
【0027】 1H−NMR(400MHz,CDC
3 ) δppm : 1.26(dd,3H,J=8.3 ,2.4 Hz)、2.72(d
d,1H,J=4.8 ,0.8Hz)、2.92(dd,1H,
J=14.9,9.4 Hz)、3.83(qdd,2H,J=14.
3,8.8, 0.6Hz)、4.06(ddd,1H,J=14.3,
3.9, 0.6Hz)、4.22(ddd,1H,J=13.6,4.1,
0.5Hz)、4.43(dd,1H,J=13.7,8.8 H
z);13 C−NMR(100MHz,CDCl3 ) δppm : 22.26, 45.16, 69.25, 70.05, 70.80, 173.13 ; MS:m/z 130(M+ ); IR:νmax (KBr) cm-1: 2980, 2925, 2865, 1745, 1355, 1180,1135, 1010; [α]D :−14.2°(c=1.0 ,CHCl3 ,20
℃)。
【0028】実施例2 (7R)−(−)−7−メチル
−1,4−ジオキセパン−5−オンの開環重合による
(3R)−(−)−3−(2−ヒドロキシエトキシ)酪
酸ポリマーの合成 80mlの反応容器に(7R)−(−)−7−メチル−
1,4−ジオキセパン−5−オン1.30g(10ミリ
モル)と、減圧下100℃、24時間乾燥させたジブチ
ルスズオキシド0.0085g(0.034ミリモル)
および乾燥トルエン5mlを入れ、窒素雰囲気下100
℃で1時間撹拌した。トルエンを減圧留去して標題のポ
リマー(以下、PMDOと略記する。)1.235g
(収率95.2%)を得た。
【0029】 1H−NMR(400MHz,CDC
3 ) δppm : 1.21(d,3H,J=6.2 Hz)、2.40(dd,1H,
J=15.4,6.0 Hz)、2.61(dd,1H,J=15.4,
7.1 Hz)、3.60〜3.71(m,2H)、3.90(qdd,
1H,J=6.2, 7.1, 6.0 Hz)、4.12〜4.25(m,2
H);13 C−NMR(100MHz,CDCl3 δppm: 19.84(s), 41.75(s), 63.79(s), 66.67(s), 72.68(s),
171.20(s) ; IR cm-1:2975, 1735, 1380, 1305, 1260, 1190, 10
90; 重量平均分子量(Mw):86600 、数平均分子量(M
n):60300 、Mw/Mn=1.44; [α]D :−24.6°(c=0.78,CHCl3 ,20
℃)。
【0030】実施例3 PMDOの合成 80mlの反応容器に、(7R)−(−)−7−メチル
−1,4−ジオキセパン−5−オン1.30g(10ミ
リモル)とジブチルスズオキシド0.0846g(0.
34ミリモル)を入れ、窒素雰囲気下に110℃で50
分間撹拌した。PMDO 1.30g(収率100%)
を得た。 Mw:75000、Mn:45000、Mw/Mn=
1.67。
【0031】実施例4 PMDOの合成 触媒としてジブチルスズオキシド1.24mg(0.005 ミリモ
ル)を用い、72時間反応させた以外は、すべて実施例
1と同じ方法で反応を行ない0.42g(転化率32.1%)の
PMDOを得た。 Mw:6750、Mn:5650、Mw/Mn=1.19。
【0032】実施例5 PMDOの合成 80mlの反応容器に、(7R)−(−)−7−メチル
−1,4−ジオキセパン−5−オン1.30g(10ミ
リモル)とAlEt/HO=1/1触媒(1.31
Mトルエン溶液)0.1ml(0.131ミリモル)お
よび乾燥トルエン20mlを入れ、窒素雰囲気下60℃
で16時間撹拌し1.23g(転化率94.3%)のP
MDOを得た。 Mw:39900、Mn:25800、Mw/Mn=
1.55。
【0033】実施例6 PMDOの合成 80mlの反応容器に、(7R)−(−)−7−メチル
−1,4−ジオキセパン−5−オン1.30g(10ミ
リモル)とEtZn/HO=1/0.6触媒(0.
71Mトルエン溶液)1ml(0.71ミリモル)およ
び乾燥トルエン19mlを入れ、窒素雰囲気下100℃
で48時間撹拌し0.50g(転化率38.8%)のP
MDOを得た。 Mw:3200、Mn:1900、Mw/Mn=1.6
3。
【0034】実施例7 (7R)−(−)−7−エチル
−1,4−ジオキセパン−5−オンの合成 工程1:(3R)−(−)−3−(2−ヒドロキシエト
キシ)ペンタン酸メチルの調製 アセト酢酸メチル326g、プロピオン酸クロライド1
89gより実験化学講座19巻、441頁に記載されて
いる方法で3−ケトペンタン酸メチル121gを合成
し、これを特開昭63−310847号公報に開示して
いる方法で、(+)−2,2′−ビス[ジ(p−トリル
ホスフィノ)−1,1′−ビナフチル]テトラクロロジ
ルテニウム−トリエチルアミン(RuCl(T−B
INAP)・EtN)を用いて不斉水素化し110
gの(3R)−(−)−3−ヒドロキシペンタン酸メチ
ルを得た。この(3R)−(−)−3−ヒドロキシペン
タン酸メチル100gを実施例1の工程1と同様の操作
法で処理して沸点60〜65℃/1mmHgの標題化合
物19gを得た。化学純度88.2%GC、収率36.
3%。
【0035】 1H−NMR(400MHz,CDC
3 ) δppm : 0.92(t,3H,J=7.5 Hz)、1.58(m,2H)、
2.50(m,2H)、2.64(s,1H)、3.55(m,1
H)、3.60(m,1H)、3.65(m,2H)、3.70
(s,3H)、3.78(m,1H); [α]D :−29.6°(c=1,CHCl3 ,20℃)。
【0036】 工程2:(3R)−(−)−3−(2−
ヒドロキシエトキシ)ペンタン酸の調製(3R) −(−)−3−(2−ヒドロキシエトキシ)ペ
ンタン酸メチル48.6gを実施例1の工程2と同様の
操作法で処理して43.6gの標題化合物を得た。収率
99.7%。 MS:m/z 162(M)。
【0037】 工程3:(7R)−(−)−7−エチル
−1,4−ジオキセパン−5−オンの調製(3R) −(−)−3−(2−ヒドロキシエトキシ)ペ
ンタン酸15gを実施例1の工程3と同様の操作法で処
理して10gの標題化合物を得た。化学純度99.0%
GC、収率26.4%。
【0038】 1H−NMR(400MHz,CDC
3 ) δppm : 0.98(dd,3H,J=14.9,7.4 Hz)、1.61(m,
2H)、2.76(dd,1H,J=14.1,1.1 Hz)、2.
88(dd,1H,J=14.8,1.0 Hz)、3.59(m,1
H)、3.78(ddd,1H,J=14.3,8.9, 0.8H
z)、4.08(ddd,1H,J=14.3,4.3, 0.6H
z)、4.22(ddd,1H,J=14.0,4.3, 0.9H
z)、4.42(dd,1H,J=13.9, 8.8Hz);13 C−NMR(100MHz,CDCl3 ) δppm : 9.69, 29.22, 43.54, 69.38, 70.18, 75,77, 173.50 ; MS:m/z 144(M+ ); IR:νmax cm-1: 2975, 2950, 2880, 2860, 1742, 1358,1180, 1020; [α]D :−5.4 °(c=1.4 ,CHCl3 ,20
℃)。
【0039】実施例8 (3R)−(−)−3−(2−
ヒドロキシエトキシ)ペンタン酸ポリマーの調製(7R) −(−)−7−エチル−1,4−ジオキセパン
−5−オン0.79gを実施例2と同様の操作法で処理
して標題のポリマー0.40g(収率50.6%)を得
た。
【0040】 1H−NMR(400MHz,CDC
3 ) δppm : 0.92(t,3H,J=7.4 Hz),1.56(qd,2H,
J=7.4, 5.9Hz),2.44(dd,1H,J=15.4, 5.
7 Hz),2.56(dd,1H,J=15.4, 7.2 Hz),
3.66〜3.73(m,3H),4.13〜4.24(m,2H);13 C−NMR(100MHz,CDCl3 ) δppm : 9.36(s), 27.03(s), 39.34(s), 63.85(s), 67.27(s),7
7.75(s), 171.52(s) ; IR:(KBr)cm-1: 2975, 1740, 1390, 1185, 110
0 ; 重量平均分子量(Mw): 24000、数平均分子量(M
n): 9900 、Mw/Mn= 2.42 ; [α]D :−14.4°(c=0.13 ,CHCl3 ,20
℃)。
【0041】試験例1 生分解試験 比較例として市販の分子量70,000のポリカプロラクトン
と、実施例2で得たポリマーの1cm×1cm、厚さ 0.1mm
の薄膜を500ppm の活性汚泥(600ml)中に入れ、
室温下で振盪培養し、2週間および4週間経過後にそれ
ぞれの重量減少率を測定した。その結果を図1に示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるポリマーと市販のポリカプロラク
トンとの活性汚泥中での重量減少率を示すグラフであ
る。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表わす。)で
    示される光学活性な7−置換−1,4−ジオキセパン−
    5−オン誘導体。
  2. 【請求項2】 一般式(I) 【化2】 (式中、Rは請求項1と同じ意味を表わす。)で示され
    る光学活性な7−置換−1,4−ジオキセパン−5−オ
    ン誘導体を開環重合することにより得られる一般式(I
    I) 【化3】 (式中、Rは請求項1と同じ意味を表わし、nは25以
    上の整数である。)で示される光学活性ポリマー。
  3. 【請求項3】 一般式(I) 【化4】 (式中、Rは請求項1と同じ意味を表わす。)で示され
    る光学活性な7−置換−1,4−ジオキセパン−5−オ
    ン誘導体を、(i) 有機スズ化合物、(ii)有機アルミニウ
    ム化合物と水、(iii) 有機亜鉛と水より選ばれる1種以
    上の触媒の存在下に開環重合させることを特徴とする一
    般式(II) 【化5】 (式中、Rおよびnは前記と同じ意味を表わす。)で示
    される光学活性ポリマーの製造方法。
  4. 【請求項4】 有機スズ化合物がジ−n−ブチルスズオ
    キシド、メチルフェニルスズオキシド、テトラエチルス
    ズ、ヘキサエチルズズオキシド、トリエチルスズメトキ
    シド、トリエチルスズメトキシド、トリ−n−ブチルス
    ズメトキシド、トリ−n−ブチルスズエトキシド、オク
    タン酸スズより選ばれる1種以上であり;有機アルミニ
    ウムはトリエチルアルミニウムであり;有機亜鉛はジエ
    チル亜鉛である請求項3に記載の光学活性ポリマーの製
    造方法。
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