JP2916706B2 - 環状炭酸エステルの製造方法 - Google Patents

環状炭酸エステルの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、環状炭酸エステルの製造方法に関する。
従来の技術 環状炭酸エステル類は、一方ではエチレンカルボネー
ト(1,3−ジオキソラン−2−オン)の様に溶媒として
使用されており、また他方においてはトリメチレンカル
ボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)の様に、いわ
ゆる生分解性ポリマーの必須の構築単位であって、これ
は更に、手術用縫合糸材料、血管移植、骨合成装置等の
広範な用途に用いられ得る。
溶媒としての使用、とりわけ、生分解性ポリマーの合
成での使用には、それらの炭酸エステルには高い純度が
要求される。
これは、それらが溶媒として使用された場合、溶媒中
に含まれていた不純物が溶媒の除去に伴いもともと溶媒
されていた物質中に蓄積されるという危険があるためで
ある。
他方、上記のポリマーの引張強さ、重合で達成し得る
分子量及び分解速度(加水分解速度)等の物理的及び化
学的性質は、用いられるモノマー、例えばトリメチレン
カルボネート等の純度に特に影響されやすい。
更に、環状炭酸エステル類の工業的生産という観点か
らは、可能な限りのあらゆる純度基準を満たし、かつ可
能な限りの簡単な工程によって高収率で環状炭酸エステ
ルの生産を可能にするような合成方法をの獲得が望まれ
る。
炭酸エステルの製造には非常に多くの方法が知られて
いるが[Ullmann′s Encyclopaedia of Industrial Che
mistry、第5巻、第5版、VCH Verlagsgesellschaft,We
inhaim 1986、第197頁以降及びこれに引用されている文
献並びに、Kirk−Othmer,Encyclopaedia of Chemical T
echnology、第5巻、John Wiley and Sons,New York N.
Y.1978、第766頁以降及びこれに引用されている文
献]、これらのうち前記観点からは、ホスゲンとアルコ
ール類との反応、又は適当な炭酸エステルの塩基触媒エ
ステル交換反応のみが挙げられるに過ぎない。
しかも、ナトリウム又はナトリウムメトキシドの存在
下におけるプロパン−1,3−ジオールによるジエチルカ
ルボネートのエステル交換反応によってトリメチレンカ
ルボネートを得る方法は最古の方法の一である[W.H.Ca
rothers and F.V.Natta,J.Am.Chem.Soc.,52:322(193
0)及びS.S.Sarel L.A.Pohoryles and R.Ben−Shoshan,
J.Org.Chem.,24:1873(1959)]。
発明が解決しようとする課題 しかし、これにより得られる目的物の純度は、重合反
応への使用という観点からは充分なものには程遠く、低
品位の生産物である。これに加え、収率が充分でないこ
とがこの反応を工業的利用に適さないものとしている。
本発明の目的は、工業上利用でき、かつ、炭酸エステ
ルの高収率での生産を可能にする方法を提供することで
ある。
本発明の更なる目的は、高分子量ポリエステルの生産
に使用し得る十分な純度を有する環状炭酸エステル、特
に、1,3−ジオキサン−2−オン(トリメチレンカルボ
ネート)の製造方法を提供することである。
課題を解決するための手段 本発明は、一般式(I)、 [式中、AはCR1R2−CH2−、−CHR1−CHR2−、CR1R2
−(CH22−、CHR1−CHR2−CH2−、−CH2−CR1R2−CH2
−又は−CHR1−CH2−CHR2なる、置換基を有していても
よいアルキレン架橋を表し、 R1及びR2は同一又は異なって水素、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec
−ブチル基、tert−ブチル基、アリル基、2−ブテニル
基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニ
ル基、4−ペンテニル基、フェニル基又はベンジル基を
表し、R′及びR″はメチル基、エチル基、プロピル基
又はフェニル基を表す。]で示される環状炭酸エステル
の新規かつ工業上利用し得る製造方法を提供する。
本発明によれば、上記課題は、一般式(II)[式中、
R′及びR″は互いに独立して、メチル基、エチル基、
プロピル基又はフェニル基を表す。]で示される開環型
ジアルキルカルボネート、好ましくはジエチルカルボネ
ートと一般式(III)[式中、Aは前記定義に同じ。]
で示されるジオール、好ましくは1,3−プロパンジオー
ルとを、亜鉛粉末、酸化亜鉛、錫粉末、SnCl2若しくはS
nBr2等のハロゲン化錫又はモノ−もしくはジカルボン酸
の錫塩の存在下で、120〜180℃、より好ましくは140〜1
50℃の範囲の高められた温度において反応させることに
より解決される。炭酸エステル及び触媒の反応性によっ
ては、一層高い又は一層低い反応温度を選択することも
また必要である。
触媒としては、上記の元素又は化合物以外にも次の一
般式、 [式中、Xは、分枝鎖を有する若しくは分枝鎖を有しな
い、炭素数19以下の、アルキル、ヒドロキシアルキル若
しくはアルケニル基を表すか、又はナフチル基を表
す。]で示される錫化合物又は次の一般式、 [式中、Yは、分枝鎖を有する若しくは分枝鎖を有しな
い、炭素数18以下の、アルキレン、ヒドロキシアルキレ
ン若しくはアルケニレン基を表すか、又はフェニル基を
表す。]で示される化合物を使用することができる。
X及びYに適するアルキル基又はアルキレン基として
は、例えば、1個又はそれ以上のヒドロキシ基を有して
いてもよい、メチル、エチル、n−若しくはiso−プロ
ピル、n−、sec−若しくはtert−ブチル、ペンチル、
ヘキシル又はヘプチル等の各基がこれに含まれる。対応
するアルケニル基又はアルケニレン基は1個又はそれ以
上の二重結合を有する。
好ましい触媒は、乳酸錫、酒石酸錫、しゅう酸錫、ジ
カプリル酸錫、ジラウリン酸錫、ジパルミチン酸錫、ジ
ステアリン酸錫、ジオレイン酸錫(オレイン酸誘導
体)、α−ナフトエ酸錫、β−ジオクタン酸錫(ジ−
(2−エチルヘキサン酸)錫として知られている。)又
は、錫粉末若しくは亜鉛粉末であり、これらのうち錫粉
末及び亜鉛粉末と並んでジ−(2−エチルヘキサン酸)
錫が特に好ましい。
上記の操作に続き、揮発性の副生成物および未反応物
が、80〜150℃、より好ましくは80〜130℃の範囲の高め
られた温度にて、及び所望により減圧下で、留去され
る。ここでも、未反応物又は副生成物によっては、一層
高い又は一層低い温度又は圧力を選択することもまた必
要である。
この蒸留残渣は、更に、減圧下、好ましくは高度の真
空下に分別蒸留に付され、そして必要なら再結晶操作に
付される。
作用 本発明によれば、炭酸エステルの高収率での工業生産
および、高分子ポリエステルの生産に使用するに十分な
純度を有する環状炭酸エステルの生産が可能となる。
実施例 以下の実施例は本発明の具体的説明を意図したもので
あって、これにより本発明を限定するものではない。
実施例1 1,3−プロパンジオール761g、ジエチルカルボネート1
477g及び錫粉末50gを順次2.5lの硫酸化フラスコに加え
る。150℃の油浴上で、分留器(80℃)を用いて蒸留を
行う。蒸留終了後、分留器を取り去って、油浴の温度を
130℃まで下げ、緩やかな減圧下に蒸留を続行する。粘
性のある蒸留残渣を2lのフラスコに移し、高度の真空下
(油浴温度は最高180℃まで)に分留を行う。主留分923
g(理論量の90%)が得られる。この留分をアセトン/
ジエチルエーテルから再結晶することにより、純粋な生
成物803g(理論量の79%)を得る。
重合化例 実施例1にて製造及び精製されたトリメチレンカルボ
ネート3.0gに、1−ドデカノール及びSnCl2.2H2Oを添
加し、窒素雰囲気下で融閉したガラス製試験管中、190
℃で重合させる。トリメチレンカルボネートの変換率は
97%(1H−NMR、CDCl3、250MHz)である。本ポリマー
の固有粘度は1.22dl/g(クロロホルム中0.1%溶液とし2
5℃にて測定)である。
実施例2 1,3−プロパンジオール380.5g、ジエチルカルボネー
ト649.7g及び亜鉛粉末30gを1.5lの硫酸化フラスコに加
える。140〜175℃の油浴上で反応混合物を激しく攪拌し
ながら、反応中に生成するエタノールを充填カラムを通
じて留去する。反応終了後、得られた反応混合物を減圧
下(0.3〜0.5ミリバール)分別蒸留する。主留分450gが
メチル−tert−ブチルエーテル中に融成物として沈澱し
て得られる。吸引濾過後、生成物を真空乾燥棚中20℃で
乾燥する。
収率:401.7g=理論量の78.7% この生成物より製造したポリトリメチレンカルボネー
ト(重合反応は上記実施例を参照のこと)は固有粘度が
1.5dl/(クロロホルム中0.1%溶液とし25℃にて測定)
である。
実施例3 実施例2で得られたトリメチレンカルボネート401.7g
を融解し、ガソリン中(40〜60℃留分)に析出させる。
単離し乾燥した後、これから製造したポリマー(重合例
参照)の固有粘度は1.75dl/gである。
収量:395.7g=理論量の98% 実施例4 実施例2で得られたトリメチレンカルボネート401.7g
を乾燥トルエンから再結晶する。分取し乾燥の後、これ
から製造したポリトリメチレンカルボネート(重合例参
照)の固有粘度は1.98dl/gである。
収量:364.3=理論量の90.7%
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01J 27/135 B01J 27/135 31/12 31/12 X C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 C07C 31/20 C07C 31/20 Z 69/96 69/96 Z (56)参考文献 特開 昭64−26576(JP,A) 特公 昭49−16431(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 317/36 C07D 319/06

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I)、 [式中、AはCR1R2−CH2−、−CHR1−CHR2−、CR1R2
    (CH22−、−CHR1−CHR2−CH2−、−CH2−CR1R2−CH2
    −又は−CHR1−CH2−CHR2−なる、置換基を有していて
    もよいアルキレン架橋を表し、 R1及びR2は同一又は異なって水素、メチル基、エチル
    基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec
    −ブチル基、tert−ブチル基、アリル基、2−ブテニル
    基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニ
    ル基、4−ペンテニル基、フェニル基又はベンジル基を
    表す。]で示される環状炭酸エステルの製造方法であっ
    て、一般式(II)、 [式中、R′及びR″は互いに独立してメチル基、エチ
    ル基、プロピル基又はフェニル基を表す。]で示される
    炭酸エステルと、 一般式(III)、 [式中、A、R1及びR2は前記定義に同じ。]で示される
    ジオールとを、高められた温度下にて、錫、亜鉛、酸化
    亜鉛、ハロゲン化錫、およびモノ−もしくはジカルボン
    酸の錫塩よりなる群から選ばれた触媒の存在下で反応さ
    せ、反応生成物を単離することを特徴とする製造方法。
  2. 【請求項2】触媒として、亜鉛粉末、酸化亜鉛、錫粉末
    又はハロゲン化錫を使用することを特徴とする、請求項
    1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】触媒として、一般式、 [式中、Xは、分枝鎖を有する若しくは分枝鎖を有しな
    い、炭素数19以下の、アルキル、ヒドロキシアルキル若
    しくはアルケニル基を表すか、又はナフチル基を表
    す。]で示される化合物又は一般式、 [式中、Yは、分枝鎖を有する若しくは分枝鎖を有しな
    い、炭素数18以下の、アルキレン、ヒドロキシアルキレ
    ン若しくはアルケニレン基を表すか、又はフェニル基を
    表す。]で示される化合物を使用することを特徴とす
    る、請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】触媒として、しゅう酸錫を使用することを
    特徴とする、請求項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】反応温度を120〜180℃の範囲とすることを
    特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方
    法。
  6. 【請求項6】反応温度を140〜150℃の範囲とすることを
    特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】炭酸エステルとしてジエチルカルボネート
    を、及びジオールとして1,3−プロパンジオールを使用
    することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記
    載の製造方法。
  8. 【請求項8】触媒として錫粉末を使用することを特徴と
    する、請求項7記載の製造方法。
  9. 【請求項9】触媒として亜鉛粉末を使用することを特徴
    とする、請求項7記載の製造方法。
  10. 【請求項10】反応終了後、揮発性の反応生成物を反応
    混合物から蒸留によって除去することを特徴とする、請
    求項1乃至7のいずれかに記載の製造方法。
  11. 【請求項11】得られた環状炭酸エステルを分別蒸留に
    よって精製することを特徴とする、請求項1乃至7のい
    ずれかに記載の製造方法。
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EP0422523A3 (en) 1991-09-18
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EP0422523B1 (de) 1995-03-15
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