JP2715484B2 - 半導体レーザ装置 - Google Patents

半導体レーザ装置

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JP2715484B2 JP63287418A JP28741888A JP2715484B2 JP 2715484 B2 JP2715484 B2 JP 2715484B2 JP 63287418 A JP63287418 A JP 63287418A JP 28741888 A JP28741888 A JP 28741888A JP 2715484 B2 JP2715484 B2 JP 2715484B2
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    • H01S5/00Semiconductor lasers
    • H01S5/06Arrangements for controlling the laser output parameters, e.g. by operating on the active medium
    • H01S5/068Stabilisation of laser output parameters
    • H01S5/0683Stabilisation of laser output parameters by monitoring the optical output parameters
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、例えばコヒーレント光ファイバ通信の光
源として要求される発振スペクトル線幅を狭く一定に保
ち、安定に動作する半導体レーザ装置に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
第7図は例えば、ELECTRONICS LETTERS Vol.22,No.2,
P.88(Jan.1986)に示された従来の半導体レーザ装置を
示す概略構成図である。
図において、(1)は半導体レーザ、(2)は上記半
導体レーザの後方出射光、(3)は上記後方出射光を上
記半導体レーザに戻すための反射鏡、(4)は上記後方
出射光を反射鏡に集光させ、その反射鏡を半導体レーザ
に集光させるための集光レンズ、(5)は上記半導体レ
ーザの前方出射光、(6)は上記半導体レーザの後部出
射端面、(7)は上記半導体レーザの前部出射端面であ
る。
次に、上記構成に基づく従来装置の動作について説明
する。半導体レーザ(1)の後方出射光(2)は集光レ
ンズ(4)により反射鏡(3)に集光され、その反射光
(2)は再び集光レンズ(4)により集光され半導体レ
ーザ(1)に入射する。
このとき、半導体レーザの後部出射端面(6)と反射
鏡(3)とからなる共振器は半導体レーザ(1)の外部
共振器として働く。半導体レーザ(1)にこの外部共振
器を付加した場合、半導体レーザ(1)の出射光のスペ
クトル線幅は狭くなることが知られている。
従って、半導体レーザ(1)の前方出射光(5)は狭
いスペクトル線幅のレーザ光が出射される。
ここで、上記外部共振器を半導体レーザに付加した場
合の半導体レーザの発振スペクトルについて第8図を用
いて更に説明する。
第8図において、(1),(2),(3),(5),
(6),(7)は第7図に示したものと同様なものであ
る。なお集光レンズ(4)は説明を簡単にするために省
略している。
半導体レーザ(1)の後方出射光(2)は反射鏡
(3)で反射されて半導体レーザ(1)に再入射する。
この場合、レーザ共振器は前部出射端面(7)と反射
鏡(3)とから構成され、レーザ共振器長は半導体レー
ザ単体の場合に比べて長くなり、これに伴って共振器の
Q値が大きくなる。共振器のQ値が大きくなるというこ
とは共振波長に対するパワーの閉じ込め性が強くなると
いうことなので、半導体レーザの発振スペクトル線幅は
狭くなる。
これを数式で表わすと、文献G.P.AGRAWAL:“Line Nar
rowing in A Singlemode Injection Laser Due to Exte
rnal Optical Feedback",IEEE.J.of Quant.Electron.,Q
E-20,pp.468-471(1984)等によると次式のようにな
る。
Δf =ΔfS0L{1+K(n0 L0/nl Ll)・COSΔφ-2
(1) ここで、ΔfS0Lは外部に反射鏡等を有していない場
合の半導体レーザ単体での発振スペクトル線幅、nlは半
導体レーザ(1)の屈折率、Llは半導体レーザ(1)自
体の共振器長、n0は外部共振器内の物質の屈折率、L0
後部出射端面(6)と反射鏡(3)間の距離である外部
共振器長、Δφは半導体レーザ(1)内の光と、半導
体レーザ(1)の後方出射光(2)が反射鏡(3)で反
射して半導体レーザ(1)への再入射する光との位相
差、Kは定数である。
上記第1式より次のことがわかる。まず、外部共振器
を付加した場合の半導体レーザの発振スペクトル線幅Δ
fは外部共振器長L0を長くすることにより狭くなる。ま
た、上記発振スペクトル線幅Δfは上記の2つの光の位
相差Δφが0から2πまで変化すると、以下で示す最
大値Δfmaxと最小値Δfminの範囲内で変化する。
Δfmax=ΔfSOL{1−K(n0 L0/nl Ll)}-2 Δfmin=ΔfSOL{1+K(n0 L0/nl Ll)}-2 半導体レーザの波長は1μm程度であるので、外部共
振器長L0が1μm程度変動すると、2つの光の位相差Δ
φは0から2πまで変化して発振スペクトル線幅Δf
は上記の範囲内で変動してしまう。
例えば、反射鏡(3)をある位置に固定したとして
も、周囲の僅かな温度変動や機械的振動等により外部共
振器長L0が変動すると、発振スペクトル線幅Δfはラン
ダムな変動をすることになる。
さらに、2つの光の位相差Δφが2Nπ(N=0,1,2
…)で、再入射光の位相が半導体レーザの光の位相と一
致する状態をインフェイズと定義すると、このインフェ
イズ点では半導体レーザの動作は安定状態である。
一方、再入射光の位相が変位し2つの光の位相がずれ
るにしたがって(Δφ≠2Nπとなる)、半導体レーザ
の動作は不安定となり、発振波長の変動、雑音の発生等
の問題を生じる。
このような半導体レーザ(1)の動作が安定状態とな
るインフェイズ点[Δφ=2Nπ(N=0,1,2…)]
と、不安定状態のアウトフェイズ点[Δφ=(2N+
1)π,(N:0,1,2…)]とは2つの光の位相差Δφ
がπ変わるごとに表われる。
前述したように2つの光の位相差Δφの2πの変化
は、外部共振器長L0の変化にして約1μmに相当する。
従って、例えば反射鏡(3)を初期状態においてイン
フェイズ点に設定したとしても、周囲の僅かな温度変
動、又は機械的振動等により外部共振器長L0が変動する
と、アウトフェイズ状態となって半導体レーザの動作は
不安定になる。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の半導体レーザ装置は以上のように構成されてい
るので、発振スペクトル線幅Δfを狭く一定に保つとと
もに、半導体レーザの動作が安定状態となるインフェイ
ズ状態を保つために、外部共振器長を少なくとも1μm
以下の高精度で常時、維持するのが困難であるという課
題があった。
この発明は上記のような課題を解消するためになされ
たもので、周囲の僅かな温度変動や機械的振動等の外乱
に対して、半導体レーザの発振スペクトル線幅を狭く一
定に保つとともに、安定に動作する半導体レーザ装置を
得ることを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成するために、第1の発明に係る半導
体レーザ装置は、半導体レーザと、上記半導体レーザか
らの出射光を再び当該半導体レーザに帰還させるための
光帰還手段と、上記半導体レーザの光共振器長の変化さ
せる共振器変位手段と、上記半導体レーザからの出射光
の一部を受光し電気信号に変換する受光手段と、上記受
光手段出力の電気信号の所定の周波数成分を選択して電
圧又は電流に変換する周波数/電圧・電流変換手段と、
上記周波数/電圧・電流変換手段の出力を誤差信号とし
て光共振器長制御ループを制御する共振器制御手段と、
を備え、 上記半導体レーザの出射光に含まれる強度雑音の周波
数分布の形を反映する受光手段出力の電気信号の周波数
分布の形を基に上記誤差信号を生成し、上記半導体レー
ザ内の光と当該半導体レーザに帰還して再入射する光の
位相が一致するインフェイズ状態になるよう、光共振器
長を制御するものである。
また、第2の発明に係る半導体レーザ装置は、半導体
レーザと、上記半導体レーザからの出射光を再び当該半
導体レーザに帰還させるための光帰還手段と、上記半導
体レーザの光共振器長を変化させる共振器変位手段と、
上記半導体レーザからの出射光の一部を多重反射手段を
介して受光し電気信号に変換する受光手段と、上記受光
手段出力の電気信号の所定の周波数成分を選択して電圧
又は電流に変換する周波数/電圧・電流変換手段と、上
記周波数/電圧・電流変換手段の出力を誤差信号として
光共振器長制御ループを制御する共振器制御手段と、を
備え、 上記半導体レーザの発振スペクトルの形状を反映する
受光手段出力の電気信号の周波数分布の形を基に上記誤
差信号を生成し、上記半導体レーザ内の光と当該半導体
レーザに帰還して再入射する光の位相が一致するインフ
ェイズ状態になるよう、光共振器長を制御するものであ
る。
〔作用〕 以上のように構成された、第1の発明の半導体レーザ
装置では、半導体レーザ内の光と、上記半導体レーザか
ら出射し外部共振器の一端で反射して半導体レーザに再
入射する光の位相が一致するインフェイズ状態からずれ
たアウトフェイズ状態では半導体レーザの動作は不安定
になり半導体レーザの出射光に強度雑音を多く含み、一
方、インフェイズ状態では半導体レーザの動作は安定で
半導体レーザの出射光に含まれる強度雑音は少ない。
上記の半導体レーザの出射光に含まれる強度雑音の周
波数分布の形は受光手段の電気出力の周波数分布の形に
反映しているため、アウトフェイズ状態を示す受光手段
の電気出力の周波数成分を電圧または電流に変換して誤
差信号を生成し、光共振器長制御ループが常に上記イン
フェイズ状態になるように動作することにより、周囲の
僅かな温度変動や機械的振動等の外乱に対して、半導体
レーザの発振スペクトル線幅を狭く一定に保つととも
に、動作を安定にすることができる。
また、第2の発明の半導体レーザ装置では、受光手段
は半導体レーザの出射光の一部を取出し多重反射手段を
介してその出力光を入力としている。即ち、半導体レー
ザの発振周波数の瞬時値間のビート周波数を入力とする
ことにより、受光手段の電気出力の周波数分布の形は半
導体レーザの発振スペクトルの形状を反映している。イ
ンフェイズ状態では半導体レーザの発振スペクトル線幅
は狭く、一方、アウトフェイズ状態では半導体レーザの
動作は不安定で発振スペクトル線幅は広い。
上記の半導体レーザの発振スペクトルの形状は受光手
段の電気出力の周波数分布の形に反映しているため、ア
ウトフェイズ状態を示す受光手段の電気出力の周波数成
分を電圧または電流に変換して誤差信号を生成し、光共
振器長制御ループが常に上記インフェイズ状態になるよ
うに動作することにより、周囲の僅かな温度変動や機械
的振動等の外乱に対して、半導体レーザの発振スペクト
ル線幅を狭く一定に保つとともに、動作を安定にするこ
とができる。
〔実施例〕
以下、この第1の発明の一実施例について説明する。
第1図は第1の発明の一実施例を示す半導体レーザ装置
の構成ブロック図、第2図は第1図の反射鏡の位置変位
と半導体レーザの発振スペクトル線幅の関係を示す図、
第3図は第1図の受光素子の出力電流の周波数分布の形
を示す図(インフェイズ状態とアウトフェイズ状態にお
ける)である。
上記各図において、(1)は半導体レーザ、(3)は
半導体レーザ(1)のからの出射光を反射し半導体レー
ザ(1)に帰還させる反射鏡、(8a)は半導体レーザ
(1)の後方出射光(2)を平行光線にし、また反射鏡
(3)からの反射光を集束させるレンズ、(9)は上記
半導体レーザ(1)の光共振器長を変化させる共振器変
位手段、(8b)は上記半導体レーザ(1)の前方出射光
を平行光線にするレンズ、(10)は前方出射光の一部を
取出すハーフミラー、(11)はレーザ光を受光し電気信
号に変換する受光素子、(12)は受光素子(11)の出力
電流の所定の周波数成分を選択して電圧に変換する周波
数/電圧変換手段、(13)は上記周波数/電圧変換手段
(12)の出力電圧を誤差信号として光共振器長の制御ル
ープを制御する共振器制御手段である。
以下、この実施例の動作について第1図ないし第3図
を参照して説明する。
まず、半導体レーザ(1)の後方出射光は反射鏡
(3)で反射されて半導体レーザ(1)に再入射する。
上記半導体レーザ(1)のレーザ共振器は前部出射端面
(7)と反射鏡(3)とから構成され、レーザ共振器長
が長くとると、共振器のQ値が大きくなり発振スペクト
ル線幅は狭くなる。この発振スペクトル線幅Δfは先に
従来技術において説明したように第1式で表わせる。
ここで反射鏡(3)の位置が周囲温度の僅かな変動
や、機械的振動等の外乱により変位した場合の動作を考
える。
上記反射鏡(3)の位置の変位によるレーザ共振器長
の変化にともない、半導体レーザ(1)に再入射する光
に位相変位が生じ、半導体レーザ(1)の光と再入射す
る光の位相差Δφが変化し、第1式にしたがって半導
体レーザ(1)の発振スペクトル線幅Δfが変化する。
第2図はの反射鏡(3)の位置変位と半導体レーザの
発振スペクトル線幅Δfの関係を示す。
第2図において、発振スペクトル線幅Δfが最小とな
る位置は、上記の位相差Δφが2Nπ,(N:0,1,2・・
・)となるインフェイズ点である。又、発振スペクトル
線幅Δfが最大となる位置は、上記の位相差Δφが2N
+1)π,(N:0,1,2・・・)となるアウトフェイズ点
である。
半導体レーザ(1)の前方出射光の一部をハーフミラ
ー(10)で分離して取出し、受光素子(11)に入力し、
入力光の強度に比例した電流に変換する。
この受光素子(11)は周波数応答特性として、数100M
Hz程度の帯域をもつ一般的なものである。この受光素子
(11)の出力電流の周波数分布の形は、半導体レーザ
(1)の出射光に含まれる強度雑音の周波数分布の形を
反映するもので、インフェイズ状態とアウトフェイズ状
態ではこの分布の形が異なる。この分布の様子を第3図
に示す。
第3図において、実線Aはインフェイズ状態における
受光素子(11)の出力電流の周波数分布の形を示し、破
線Bはアウトフェイズ状態における受光素子(11)の出
力電流の周波数分布の形を示している。
インフェイズ状態においては半導体レーザ(1)は安
定した動作を示すが、アウトフェイズ状態では、半導体
レーザは動作が不安定になり、過剰なゆらぎを生じ、こ
の過剰なゆらぎが反映されて、アウトフェイズ状態での
受光素子(11)の出力電流の周波数分布は、第3図の破
線Bが示すように実線Aに比べて高い周波数まで分布し
存在している。
ここで、半導体レーザを常にインフェイズ状態に制御
することを考える。
例えば、第3図において受光素子(11)の出力電流に
インフェイズ状態では含まれず、アウトフェイズ状態で
存在する周波数fLを設定する。
受光素子(11)に接続された周波数/電圧変換手段
(12)は、上記周波数fL以上の周波数成分を選択して電
圧に変換するもので、周波数/電圧変換手段(12)の出
力電圧はインフェイズ状態では生ぜず、アウトフェイズ
状態で生ずる。
この周波数/電圧変換手段(12)の出力電圧は誤差信
号と考えられ、共振器制御手段(13)に導かれ、これを
常にゼロにするように共振器変位手段を制御する(即
ち、半導体レーザは常にインフェイズ状態にあるよう光
共振器長が制御される)。
共振器変位手段(9)として通常、ピエゾ素子が用い
られる。
既に説明したように、共振器変位手段(9)により反
射鏡(3)の位置が変位した場合、この反射鏡(3)で
反射して半導体レーザ(1)に再入射する光の位相が変
位し、これによりインフェイズ状態と、アウトフェイズ
状態が生じる。
従って、周波数/電圧変換手段(12)の出力電圧を常
にゼロになるように共振器変位手段(9)を制御するこ
とにより(即ち、光共振器長制御ループを制御すること
により)、常にインフェイズ状態が保たれ、したがっ
て、半導体レーザ(1)の出射光に含まれる強度雑音が
少なく、発振スペクトル線幅を狭く一定に保つととも
に、動作を安定にすることができる。
次に、この第1の発明の他の実施例について説明す
る。
第4図は第1の発明の他の実施例を示す半導体レーザ
装置の構成ブロック図である。前記の第1の発明の一実
施例では、第1図に示すように、半導体レーザ(1)の
前方出射光の一部をハーフミラー(10)により取出し、
この取出したレーザ光に基づいて共振器変位手段(9)
を制御する構成をもつものであるが、この実施例は、第
4図に示すように、反射鏡(3)の代わりに、ハーフミ
ラー(16)とその背面側に受光素子(11)を設け、上記
受光素子(11)の出力を第1図に示した周波数/電圧変
換手段(12)に送るように構成したものである。
以下、この実施例の動作について第4図を参照して説
明する。
まず、半導体レーザ(1)の後方出射光はレンズ(8
a)で平行光線となりハーフミラー(16)に入射する。
ハーフミラー(16)では入射光の一部を透過し、残りを
反射する。上記のハーフミラー(16)を透過したレーザ
光は背面の受光素子(11)に入射し、残りのレーザ光は
反射されてレンズ(8a)により集光されて半導体レーザ
(1)に再入射する。
この場合、半導体レーザ(1)の光共振器は前部出射
端面(7)とハーフミラー(16)の面とから構成され
る。
先の第1の発明の一実施例で説明したと同様に、イン
フェイズ状態では受光素子(11)と、共振器変位手段
(9)と、周波数/電圧変換手段(12)と、共振器制御
手段(13)とを有する光共振器長の制御ループにより、
半導体レーザ(1)の発振スペクトル線幅を狭く一定に
保つとともに、動作を安定にすることができる。
本実施例は、先に説明した実施例と比べ、半導体レー
ザ(1)の前方出射光の一部を取出すハーフミラー(1
0)が省略され、光学的構造がより簡単となる利点があ
る。
次に、第2の発明の一実施例について説明する。
第5図は第2の発明の一実施例を示す半導体レーザ装
置の構成ブロック図、 第6図は第5図の受光素子の出
力電流の周波数分布の形を示す図(インフェイズ状態と
アウトフェイズ状態における)である。
上記各図において、(14)は一対の反射面(15a),
(15b)を有する多重反射手段である。その他、第1図
と同一部分には、同一符号を付し説明を省く。
以下、この実施例の動作について第5図および第6図
を参照して説明する。
この実施例は、第1の発明の一実施例と同様に、半導
体レーザ(1)の前方出射光の一部をハーフミラー(1
0)により取出し、この取出したレーザ光に基づいて共
振器変位手段(9)を制御するものであるが、半導体レ
ーザ(1)の前方出射光の一部をハーフミラー(10)に
より取出し、多重反射手段(14)を介して、受光素子
(11)に入力する点に特徴がある。
多重反射手段(14)の入射光は1対の反射面(15
a),(15b)で多重反射して受光素子(11)に入射す
る。このとき、受光素子(11)の出力電流の周波数分布
の形は半導体レーザ(1)の発振スペクトルの形状をよ
く反映した分布となる。
そして、インフェイズ状態では、第6図の実線Aが示
すように、狭い発振スペクトルの形状を反映している。
このように受光素子の出力電流の周波数分布の形が発
振スペクトルの形状を反映する理由は、自己遅延ホモダ
イン法による多重反射手段(14)で、多重反射された各
光間のビート周波数が検出されるからである。
半導体レーザは、原理的に瞬時には単一周波数で発振
しており、様々な要因で非常に速いスピードで周波数が
変動するために、この発振スペクトルが広がって見え
る。
従って、同一の半導体レーザの出射光を時刻t1と時刻
t2という異なる時刻に見た場合、発振周波数は発振スペ
クトルの広がりの範囲内で異なっている。この異なる時
刻t1,t2における半導体レーザ(1)の出射光の周波数
をそれぞれf1,f2とする。このとき、もしこの異なる時
刻に半導体レーザの出射光を同時に2乗検波することが
できたら、2つの異なる周波数f1,f2の差の周波数成分f
1−f2が検出されるのは周知である。
受光素子は光の強度、即ち、光の電界の2乗に比例し
た電流を出力する。従って、半導体レーザ(1)の出射
光を多重反射手段(14)によって多重反射させてから受
光する受光素子(11)では、様々な時刻に半導体レーザ
(1)を出射した異なる周波数の光を同時に2乗検波す
るので、その出力電流の周波数分布は半導体レーザの瞬
時値間の発振周波数のビート周波数成分の分布を反映す
る。
これは換言すれば、半導体レーザの発振スペクトルの
形状を反映していることになる。
上記第6図において破線Bはアウトフェイズ状態にお
ける受光素子(11)の出力電流の周波数分布の形を示し
ており、アウトフェイズ状態で広がった発振スペクトル
の形状を反映している。
ここで、第6図において、受光素子(11)の出力電流
にインフェイズ状態では含まれず、アウトフェイズ状態
で存在する周波数fLを設定する。
受光素子(11)に接続された周波数/電圧変換手段
(12)は、上記周波数fL以上の周波数成分を選択して電
圧出力に変換するもので、周波数/電圧変換手段(12)
においては、インフェイズ状態では電圧が生ぜず、アウ
トフェイズ状態で電圧が発生する。
従って、この周波数/電圧変換手段(12)の出力電圧
が常にゼロになるように共振器制御手段(13)により共
振器変位手段(9)を制御することにより(即ち、光共
振器長制御ループを制御することにより)、常にインフ
ェイズ状態が保たれる。
この第2の発明の実施例では、受光素子(11)の出力
電流の周波数分布の形が、半導体レーザの発振スペクト
ルの形状を反映しているため、第3図と第6図における
周波数fLの設定を対比して分かるように、第1の発明の
実施例に比べて、インフェイズ状態により正確に保つこ
とができる利点がある。
なお、第2の発明の一実施例においては、第5図に示
すように、半導体レーザの前方出射光の一部を取出し、
多重反射手段(14)を介して受光素子(11)に送る構成
としているが、第4図に示すように、半導体レーザ
(1)の後方出射光の一部を取出し、多重反射手段(1
4)を介して受光素子(11)に送るよう構成できる。
先に説明した実施例と比べ、半導体レーザ(1)の前
方出射光の一部を取出すハーフミラー(10)が省略さ
れ、光学的構造がより簡単となる利点がある。
〔発明の効果〕
以上のように、この第1の発明によれば、半導体レー
ザの出射光に含まれる強度雑音の周波数分布の形は受光
手段の電気出力の周波数分布の形に反映しているため、
アウトフェイズ状態における受光手段の電気出力の周波
数成分を基に誤差信号を生成し、常にインフェイズ状態
になるよう光共振器長を制御することにより、周囲の僅
かな温度変動や、機械的振動等の外乱に対して、半導体
レーザの発振スペクトル線幅を狭く一定に保つととも
に、安定に動作する半導体レーザ装置を得ることができ
る。
また、この第2の発明によれば、受光手段は半導体レ
ーザの出射光の一部を多重反射手段を介して入力とし、
受光手段の電気出力の周波数分布の形は半導体レーザの
発振スペクトルの形状を反映しているため、アウトフェ
イズ状態における受光手段の電気出力の周波数成分を基
に誤差信号を生成し、常にインフェイズ状態になるよう
光共振器長を制御することにより、周囲の僅かな温度変
動や、機械的振動等の外乱に対して、半導体レーザの発
振スペクトル線幅を狭く一定に保つとともに、安定に動
作する半導体レーザ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は第1の発明の一実施例を示す半導体レーザ装置
の構成ブロック図、第2図は第1図の反射鏡の位置変位
と半導体レーザの発振スペクトル線幅の関係を示す図、
第3図は第1図の受光素子の出力電流の周波数分布の形
を示す図(インフェイズ状態とアウトフェイズ状態にお
ける)、第4図はこの第1の発明の他の実施例を示す半
導体レーザ装置の構成ブロック図、第5図はこの第2の
発明の一実施例を示す半導体レーザ装置の構成ブロック
図、第6図は第5図の受光素子の出力電流の周波数分布
の形を示す図(インフェイズ状態とアウトフェイズ状態
における)、第7図は従来の半導体レーザ装置を示す構
成ブロック図、第8図は第7図のレーザ共振器を説明す
る図である。 (1)は半導体レーザ、(2)は後方出射光、(3)は
反射鏡、(4)は集光レンズ、(5)は前方出射光、
(6)は後部出射端面、(7)は前部出射端面、(8
a),(8b)はレンズ、(9)は共振器変位手段、(1
0)はハーフミラー、(11)は受光素子、(12)は周波
数/電圧変換手段、(13)は共振器制御手段、(14)は
多重反射手段、(15a),(15b)は多重反射手段の反射
面、(16)はハーフミラーである。 なお、図中同一符号は同一、又は相当部分を示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体レーザと、上記半導体レーザからの
    出射光を再び当該半導体レーザに帰還させるための光帰
    還手段と、上記半導体レーザの光共振器長を変化させる
    共振器変位手段と、上記半導体レーザからの出射光の一
    部を受光し電気信号に変換する受光手段と、上記受光手
    段出力の電気信号の所定の周波数成分を選択して電圧又
    は電流に変換する周波数/電圧・電流変換手段と、上記
    周波数/電圧・電流変換手段の出力を誤差信号として光
    共振器長制御ループを制御する共振器制御手段と、を備
    え、 上記半導体レーザの出射光に含まれる強度雑音の周波数
    分布の形を反映する受光手段出力の電気信号の周波数分
    布の形を基に上記誤差信号を生成し、上記半導体レーザ
    内の光と当該半導体レーザに帰還して再入射する光の位
    相が一致するインフェイズ状態になるよう、光共振器長
    を制御することを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 【請求項2】半導体レーザと、上記半導体レーザからの
    出射光を再び当該半導体レーザに帰還させるための光帰
    還手段と、上記半導体レーザの光共振器長を変化させる
    共振器変位手段と、上記半導体レーザからの出射光の一
    部を多重反射手段を介して受光し電気信号に変換する受
    光手段と、上記受光手段出力の電気信号の所定の周波数
    成分を選択して電圧又は電流に変換する周波数/電圧・
    電流変換手段と、上記周波数/電圧・電流変換手段の出
    力を誤差信号として光共振器長制御ループを制御する共
    振器制御手段と、を備え、 上記半導体レーザの発振スペクトルの形状を反映する受
    光手段出力の電気信号の周波数分布の形を基に上記誤差
    信号を生成し、上記半導体レーザ内の光と当該半導体レ
    ーザに帰還して再入射する光の位相が一致するインフェ
    イズ状態になるよう、光共振器長を制御することを特徴
    とする半導体レーザ装置。
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JPS62174993A (ja) * 1986-01-28 1987-07-31 Sharp Corp 半導体レ−ザ装置
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JPS63233585A (ja) * 1987-03-23 1988-09-29 Fujitsu Ltd レ−ザ光源

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