JP2713386B2 - リン含有廃油の処理方法 - Google Patents
リン含有廃油の処理方法Info
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- JP2713386B2 JP2713386B2 JP3317481A JP31748191A JP2713386B2 JP 2713386 B2 JP2713386 B2 JP 2713386B2 JP 3317481 A JP3317481 A JP 3317481A JP 31748191 A JP31748191 A JP 31748191A JP 2713386 B2 JP2713386 B2 JP 2713386B2
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は使用済燃料の再処理工程
等において発生するリンを含有する放射性の廃油や原子
力発電所等において発生するリンを含有する放射性の廃
油の処理方法に関するものである。
等において発生するリンを含有する放射性の廃油や原子
力発電所等において発生するリンを含有する放射性の廃
油の処理方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】使用済燃料の再処理工程においては抽出
剤としてＴＢＰ（リン酸トリブチル）を、原子力発電所
においては制御用油としてリン酸エステル油を使用する
ため、放射性のリン含有廃油が発生する。ところがこの
廃油はそのまま焼却すると排ガス中に含まれるリン酸が
金属や耐火物を著しく腐食させるという問題がある。ま
たこのリンを含有する廃油は燃焼性が悪く、大量の未燃
カーボンが生じてフィルタがすぐに目詰まりしてしまう
という問題もある。
剤としてＴＢＰ（リン酸トリブチル）を、原子力発電所
においては制御用油としてリン酸エステル油を使用する
ため、放射性のリン含有廃油が発生する。ところがこの
廃油はそのまま焼却すると排ガス中に含まれるリン酸が
金属や耐火物を著しく腐食させるという問題がある。ま
たこのリンを含有する廃油は燃焼性が悪く、大量の未燃
カーボンが生じてフィルタがすぐに目詰まりしてしまう
という問題もある。
【０００３】そこで従来はこのような廃液はそのまま保
管するか、水酸化カルシウムと乾留炉内で反応させてピ
ロリン酸カルシウムとしていたが、前者の場合には保管
スペースの問題があり、後者の場合には反応に長時間を
要し、大型の設備と複雑な工程を必要とするという問題
があった。
管するか、水酸化カルシウムと乾留炉内で反応させてピ
ロリン酸カルシウムとしていたが、前者の場合には保管
スペースの問題があり、後者の場合には反応に長時間を
要し、大型の設備と複雑な工程を必要とするという問題
があった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
の問題点を解決して、使用済燃料の再処理工程から発生
するリンを含有する放射性の廃油等を、設備を腐食させ
たりフィルタを短時間で目詰まりさせることなく焼却処
理することができるリン含有廃油の処理方法を提供する
ために完成されたものである。
の問題点を解決して、使用済燃料の再処理工程から発生
するリンを含有する放射性の廃油等を、設備を腐食させ
たりフィルタを短時間で目詰まりさせることなく焼却処
理することができるリン含有廃油の処理方法を提供する
ために完成されたものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明は、リンを含有する放射性の廃油に
カルシウムを含む有機溶液をリンに対するカルシウムの
割合が化学当量以上となるよう添加混合し、この混合廃
油を水冷式ジャケット構造の焼却炉内で滴下させて燃焼
させ、燃焼排ガスを多孔質セラミックスからなるハニカ
ム構造体の縦孔を両端面において封口材によって交互に
封止した高温フィルタによりろ過し、更に排ガスフィル
タにより精密ろ過して放出することを特徴とするもので
ある。
めになされた本発明は、リンを含有する放射性の廃油に
カルシウムを含む有機溶液をリンに対するカルシウムの
割合が化学当量以上となるよう添加混合し、この混合廃
油を水冷式ジャケット構造の焼却炉内で滴下させて燃焼
させ、燃焼排ガスを多孔質セラミックスからなるハニカ
ム構造体の縦孔を両端面において封口材によって交互に
封止した高温フィルタによりろ過し、更に排ガスフィル
タにより精密ろ過して放出することを特徴とするもので
ある。
【０００６】
【実施例】以下に本発明を図面を参照しつつ更に詳細に
説明する。図１において、１はＴＢＰのようなリンを含
有する放射性の廃油が収納された容器であり、この容器
１から取り出された放射性の廃油にホッパー２内でカル
シウムを含む有機溶液が混合される。実施例ではこの有
機溶液はオクチル酸カルシウムであり、リンに対するカ
ルシウムの割合が化学当量以上となるよう添加混合され
る。例えばＴＢＰが10kg、ドデカンが18kg混ざった廃油
に対して、カルシウム量が５重量％のオクチル酸カルシ
ウムを33.2kg添加すればよい。この場合のリンに対する
カルシウムのモル比は1.1 倍となる。この混合廃油は攪
拌槽３において均一に攪拌され、ポンプ４によって水冷
式ジャケット構造の焼却炉５へ送られる。
説明する。図１において、１はＴＢＰのようなリンを含
有する放射性の廃油が収納された容器であり、この容器
１から取り出された放射性の廃油にホッパー２内でカル
シウムを含む有機溶液が混合される。実施例ではこの有
機溶液はオクチル酸カルシウムであり、リンに対するカ
ルシウムの割合が化学当量以上となるよう添加混合され
る。例えばＴＢＰが10kg、ドデカンが18kg混ざった廃油
に対して、カルシウム量が５重量％のオクチル酸カルシ
ウムを33.2kg添加すればよい。この場合のリンに対する
カルシウムのモル比は1.1 倍となる。この混合廃油は攪
拌槽３において均一に攪拌され、ポンプ４によって水冷
式ジャケット構造の焼却炉５へ送られる。
【０００７】前記したようにリンを含有する廃油は燃焼
が容易ではないので、本発明では焼却炉として水冷式ジ
ャケット構造の焼却炉５が使用される。すなわち図２に
示すようにこの水冷式ジャケット構造の焼却炉５は水冷
式ジャケット構造の炉壁を持ち、オクチル酸カルシウム
との混合廃油は炉底付近の投入ノズル６から滴下され
る。また炉体の中央には燃焼用空気の供給筒７が設けら
れており、高圧の燃焼用空気を外周方向に放射状に噴出
して炉内に高速の旋回流を生じさせる。そして滴下され
た混合廃油は炉底に溜まり、その表面から気化しつつ燃
焼する。なお８は点火用バーナである。
が容易ではないので、本発明では焼却炉として水冷式ジ
ャケット構造の焼却炉５が使用される。すなわち図２に
示すようにこの水冷式ジャケット構造の焼却炉５は水冷
式ジャケット構造の炉壁を持ち、オクチル酸カルシウム
との混合廃油は炉底付近の投入ノズル６から滴下され
る。また炉体の中央には燃焼用空気の供給筒７が設けら
れており、高圧の燃焼用空気を外周方向に放射状に噴出
して炉内に高速の旋回流を生じさせる。そして滴下され
た混合廃油は炉底に溜まり、その表面から気化しつつ燃
焼する。なお８は点火用バーナである。
【０００８】実施例では上記のように炉体の中央の燃焼
用空気の供給筒７から燃焼用空気を供給したが、炉壁に
接線方向に、もしくは炉中心軸方向に燃焼用空気の供給
ノズルを設けてもよい。炉壁を水冷式ジャケット構造と
することは厚い耐火物をなくして炉体をコンパクト化す
ることができる利点がある。
用空気の供給筒７から燃焼用空気を供給したが、炉壁に
接線方向に、もしくは炉中心軸方向に燃焼用空気の供給
ノズルを設けてもよい。炉壁を水冷式ジャケット構造と
することは厚い耐火物をなくして炉体をコンパクト化す
ることができる利点がある。
【０００９】このようにして混合廃油を水冷式ジャケッ
ト構造の焼却炉５内で滴下させつつ燃焼させると、廃油
中のリンとオクチル酸カルシウムとが反応してピロリン
酸カルシウムが発生する。そこで図１に示すように、水
冷式ジャケット構造の焼却炉５の燃焼排ガスをセラミッ
クハニカム９を充填した高温フィルタ10へ導き、ろ過を
行う。この高温フィルタ10内のセラミックハニカム９は
図３、図４に示すようにムライトまたはコージライトの
ような多孔質セラミックスからなるハニカム構造体の縦
孔11を両端面において封口材12によって交互に封止した
ものであり、矢印方向に流入した高温の燃焼排ガス中の
ピロリン酸カルシウムの粉末及びダストはその隔壁を通
過する際にろ過され、ガスのみが排出される。このセラ
ミックハニカム９は未燃カーボンを二次燃焼させる機能
をも持つものであり、内部の表面積が大きいのでコンパ
クトな設備で充分なろ過及び二次燃焼が可能である。な
お図１に示される13は逆洗用のノズルである。
ト構造の焼却炉５内で滴下させつつ燃焼させると、廃油
中のリンとオクチル酸カルシウムとが反応してピロリン
酸カルシウムが発生する。そこで図１に示すように、水
冷式ジャケット構造の焼却炉５の燃焼排ガスをセラミッ
クハニカム９を充填した高温フィルタ10へ導き、ろ過を
行う。この高温フィルタ10内のセラミックハニカム９は
図３、図４に示すようにムライトまたはコージライトの
ような多孔質セラミックスからなるハニカム構造体の縦
孔11を両端面において封口材12によって交互に封止した
ものであり、矢印方向に流入した高温の燃焼排ガス中の
ピロリン酸カルシウムの粉末及びダストはその隔壁を通
過する際にろ過され、ガスのみが排出される。このセラ
ミックハニカム９は未燃カーボンを二次燃焼させる機能
をも持つものであり、内部の表面積が大きいのでコンパ
クトな設備で充分なろ過及び二次燃焼が可能である。な
お図１に示される13は逆洗用のノズルである。
【００１０】この高温フィルタ10によりろ過されたガス
には冷却用空気が空気混合バルブ14によって混合され、
約200 ℃まで冷却される。その後、更にHEPAフィルタと
呼ばれる排ガスフィルタ15により精密ろ過され、大気中
へ放出される。HEPAフィルタは濾紙を使用したフィルタ
であるから、実施例のようにガスを200 ℃程度まで冷却
することが好ましい。
には冷却用空気が空気混合バルブ14によって混合され、
約200 ℃まで冷却される。その後、更にHEPAフィルタと
呼ばれる排ガスフィルタ15により精密ろ過され、大気中
へ放出される。HEPAフィルタは濾紙を使用したフィルタ
であるから、実施例のようにガスを200 ℃程度まで冷却
することが好ましい。
【００１１】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のリン含
有廃油の処理方法によれば、使用済燃料の再処理工程に
おいて発生したリン含有廃油等をカルシウムを含む有機
溶液と混合し、水冷式ジャケット構造の焼却炉５内で滴
下させつつ燃焼させるようにしたので、腐食性のリン酸
を発生させることなく焼却処理することが可能である。
またリンを含有する廃油は燃焼性が悪いものであるが、
本発明の燃焼方法によれば支障なく燃焼させることがで
きるうえ、多孔質セラミックスからなるハニカム構造体
の縦孔11を両端面において封口材12によって交互に封止
した高温フィルタ10において未燃カーボンを二次燃焼さ
せるとともに燃焼ガスの効率的なろ過が行えるので、高
温フィルタ10の目詰まりが少なく、また大型の設備を必
要としない利点がある。よって本発明は従来の問題点を
解消したリン含有廃油の処理方法として、産業の発展に
寄与するところは極めて大きいものである。
有廃油の処理方法によれば、使用済燃料の再処理工程に
おいて発生したリン含有廃油等をカルシウムを含む有機
溶液と混合し、水冷式ジャケット構造の焼却炉５内で滴
下させつつ燃焼させるようにしたので、腐食性のリン酸
を発生させることなく焼却処理することが可能である。
またリンを含有する廃油は燃焼性が悪いものであるが、
本発明の燃焼方法によれば支障なく燃焼させることがで
きるうえ、多孔質セラミックスからなるハニカム構造体
の縦孔11を両端面において封口材12によって交互に封止
した高温フィルタ10において未燃カーボンを二次燃焼さ
せるとともに燃焼ガスの効率的なろ過が行えるので、高
温フィルタ10の目詰まりが少なく、また大型の設備を必
要としない利点がある。よって本発明は従来の問題点を
解消したリン含有廃油の処理方法として、産業の発展に
寄与するところは極めて大きいものである。
【図１】本発明の実施例を示すフローシートである。
【図２】水冷式ジャケット構造の焼却炉の断面図であ
る。
る。
【図３】セラミックハニカムの断面図である。
【図４】図３のセラミックハニカムの平面図である。
５ 水冷式ジャケット構造の焼却炉 ７ 燃焼用空気の供給筒 ９ セラミックハニカム 10 高温フィルタ 11 縦孔 12 封口材 15 排ガスフィルタ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−211497（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−39793（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−61698（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−52015（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−304022（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−297799（ＪＰ，Ａ)
Claims (1)
- 【請求項１】 リンを含有する放射性の廃油にカルシウ
ムを含む有機溶液をリンに対するカルシウムの割合が化
学当量以上となるよう添加混合し、この混合廃油を水冷
式ジャケット構造の焼却炉内で滴下させて燃焼させ、燃
焼排ガスを多孔質セラミックスからなるハニカム構造体
の縦孔を両端面において封口材によって交互に封止した
高温フィルタによりろ過し、更に排ガスフィルタにより
精密ろ過して放出することを特徴とするリン含有廃油の
処理方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3317481A JP2713386B2 (ja) | 1991-11-05 | 1991-11-05 | リン含有廃油の処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3317481A JP2713386B2 (ja) | 1991-11-05 | 1991-11-05 | リン含有廃油の処理方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05126996A JPH05126996A (ja) | 1993-05-25 |
| JP2713386B2 true JP2713386B2 (ja) | 1998-02-16 |
Family
ID=18088712
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3317481A Expired - Lifetime JP2713386B2 (ja) | 1991-11-05 | 1991-11-05 | リン含有廃油の処理方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2713386B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP5276487B2 (ja) * | 2009-03-18 | 2013-08-28 | 日本碍子株式会社 | 原子力施設から排出されるシリコンオイルの焼却方法 |
| JP5878749B2 (ja) * | 2011-12-20 | 2016-03-08 | 中部電力株式会社 | リン含有廃油の処理方法 |
| JP6596208B2 (ja) * | 2015-02-27 | 2019-10-23 | 株式会社荏原製作所 | 廃油固化体の製造方法及び製造装置 |
Family Cites Families (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS6239793A (ja) * | 1985-08-14 | 1987-02-20 | 日本碍子株式会社 | 放射性廃棄物の処理方法 |
| JPH071320B2 (ja) * | 1987-09-01 | 1995-01-11 | 日本碍子株式会社 | 放射性廃棄物の処理方法 |
| JP2501129B2 (ja) * | 1990-01-17 | 1996-05-29 | 三菱原子燃料株式会社 | 有機リン酸の処理方法 |
-
1991
- 1991-11-05 JP JP3317481A patent/JP2713386B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH05126996A (ja) | 1993-05-25 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
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