JP2713360B2 - 金−イオン交換膜接合体の製造方法 - Google Patents

金−イオン交換膜接合体の製造方法

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JP2713360B2
JP2713360B2 JP7059823A JP5982395A JP2713360B2 JP 2713360 B2 JP2713360 B2 JP 2713360B2 JP 7059823 A JP7059823 A JP 7059823A JP 5982395 A JP5982395 A JP 5982395A JP 2713360 B2 JP2713360 B2 JP 2713360B2
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直子 澤井
靖雄 西村
啓介 小黒
栄一 鳥養
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工業技術院長
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陽イオン交換膜の表面
に金を接合した金−イオン交換膜接合体の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術とその課題】触媒金属とイオン交換膜との
接合体は、固体高分子電解質を用いる水、ハロゲン酸、
ハロゲン化物などの電解装置、燃料電池などの分野で使
用されている。
【0003】電解反応を伴うこれらの装置類の電解槽に
組み込まれる触媒金属−イオン交換膜接合体は、主に白
金族金属とイオン交換膜との接合体であり、例えば、Pt
/M/Pt、Pt/M/Rh、Pt/M/Pt-Ir、Pd/M/Pt(Mは、膜を表す)
などが知られており、その製造方法は、湿式法と乾式法
とに大別される。より具体的に、湿式法としては、浸透
法(特公昭56−36873号公報など参照)および吸
着還元・成長法(特公昭58−47471号公報、特公
昭59−33667号公報、特公平2−20709号公
報など参照)が知られており、また乾式法としては、ホ
ットプレス法(特開昭52−78788号公報など参
照)が知られており、いずれの方法によっても、すでに
密着性に優れた白金族金属−イオン交換膜接合体が得ら
れている。
【0004】一方、金は、白金族金属とは異なる特有の
触媒特性を有しているので、密着性に優れた金−イオン
交換膜接合体を得ることができれば、有機電解、回収CO
2の還元による有用物質の合成など環境化学などの分野
での広い応用が期待される。例えば、陰イオンであるAu
Cl4 -を用いて浸透法によりイオン交換膜表面に強制的に
金を析出させた方法が報告されているが(J. Electroan
al. Chem.,235, 393(1987))、より密着性の良い金
−イオン交換膜接合体を作製することにより、各種電解
反応の効率および接合体の耐久性の向上が実現できる可
能性がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、密
着性に優れた金−イオン交換膜接合体の製造方法を提供
することを主な目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】従来、白金族金属を吸着
還元法により陽イオン交換膜に接合する場合には、吸着
種として金属のアンミン錯体やニトロ錯体などが主に用
いられてきた。しかしながら、金の場合、これらに相当
する安定なカチオニック錯体水溶液の調製が困難であ
り、その他の配位子によるカチオニック錯体も極めて少
なく、且つ水溶液も不安定である。
【0007】本発明者は、この様な技術の現状に留意し
つつ、研究を重ねた結果、ジクロロ(1,10−フェナ
ントロリン)金(III)塩化物([Au(phen)Cl2]Cl;以下
においては、「ジクロロ(1,10−フェナントロリ
ン)金(III)塩化物」を単に「金(III)フェナントロ
リン錯体」或いは「金(III)錯体」或いは「金錯体」
ということがある)が、イオン交換膜に対する吸着性に
優れ、且つその後の還元反応に適していることを見出し
た。
【0008】すなわち、本発明は、下記の金−イオン交
換膜接合体の製造方法を提供するものである; 1.陽イオン交換膜に金のフェナントロリン錯体をイオ
ン交換吸着させた後、水素化ホウ素塩水溶液により還元
処理することを特徴とする金−イオン交換膜接合体の製
造方法。
【0009】本発明で使用する金(III)フェナントロ
リン錯体は、J. Chem. Soc., 1959,682 に記載されてお
り、容易に合成および単離でき、また水溶液中でも比較
的安定である。
【0010】本発明方法においては、まず陽イオン交換
膜(例えば、過フロロカーボンスルホン酸型の陽イオン
交換膜;以下においては、「陽イオン交換膜」を単に
「イオン交換膜」ということがある)に金(III)フェ
ナントロリン錯体をイオン交換吸着させる。この吸着操
作により、金(III)フェナントロリン錯体は、イオン
交換膜中の陽イオンとイオン交換され、イオン交換膜中
に取り込まれる。
【0011】吸着操作は、濃度10-4〜10-1mol/
l程度(より好ましくは5×10-3〜10-2mol/l
程度)、温度室温〜80℃程度(より好ましくは20〜
40℃程度)、pH2〜10程度(より好ましくはpH
3〜5程度)の金(III)フェナントロリン錯体の水溶
液に、イオン交換膜を浸漬する。水溶液のpHは、高す
ぎても或いは低すぎても、金(III)フェナントロリン
錯体イオンの吸着が不完全となる。浸漬時間は、特に限
定されないが、通常温度25℃で約4時間の浸漬によ
り、理論吸着量に達する。もちろん、それ以上の時間、
例えば、一晩浸漬した状態で放置しても、差し支えな
い。
【0012】上記の様にして、金(III)フェナントロ
リン錯体の吸着操作を終えたイオン交換膜は、水洗され
た後、還元処理に供される。還元剤としては、水素化ホ
ウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムなどの水素化ホ
ウ素塩が好適である。イオン交換膜表面に金層を析出さ
せるためには、初期に析出した金層が自己触媒としての
機能を発揮することにより、還元剤を膜表面で分解さ
せ、金層を連続的に成長させるとともに、還元剤そのも
のはイオン交換膜内に入らないことが望ましい。このた
めには、還元剤は、選択的還元性と適切な還元力(適切
な反応速度)とを有することが必要であり、この様な要
件を充足するには、還元操作に際してのpHなどの処理
条件を適切に調整することが重要である。本発明におい
ては、水素化ホウ素塩水溶液のpHを10〜14程度
(より好ましくは11〜12程度)、濃度を0.1〜
1.0mol/l程度(より好ましくは0.3〜0.5
mol/l程度)、温度を室温〜90℃程度(より好ま
しくは40〜80℃程度)として、上記の還元処理を行
う。
【0013】還元剤として、水素化ホウ素塩に代えて、
例えばジメチルアミンボラン(DMAB)、ヒドラジン
などを使用する場合には、本発明の所望の効果は得られ
ない。DMABは、金の自己触媒反応を促進する還元剤
として知られているが、本発明方法によりイオン交換膜
中に吸着された金(III)錯体を均一な金被膜として析
出させることは、極めて困難である。その理由は、明ら
かではないが、イオン交換膜内部にまで金が析出してし
まうので、膜表面に均一層が形成されないためと推測さ
れる。ヒドラジンを使用する場合にも、イオン交換膜内
部にまで金が析出してしまうので、膜表面には、良好な
金被覆層が形成されない。
【0014】これに対し、実施例および比較例に示す接
合体断面の拡大図およびAu元素の線分析結果からも明ら
かな様に、本発明方法に従って水素化ホウ素塩水溶液に
より還元して得られる金層は、イオン交換膜表面に密着
性に優れた均一な接合層を形成する。
【0015】水素化ホウ素塩水溶液による還元反応中の
pHの変化を抑制するためには、炭酸ナトリウム、炭酸
水素ナトリウム+水酸化ナトリウムなどを用いる緩衝液
を併用することが好ましい。
【0016】次いで、得られた金−イオン交換膜接合体
を、塩酸、硫酸などの酸の水溶液および水で煮沸するこ
とにより、イオン交換膜中に残存している吸着物を除去
する。
【0017】かくして得られる金−イオン交換膜接合体
中の金層の厚さは、通常約0.5〜2μm程度である。
金層の厚さをさらに厚くする必要がある場合には、金−
イオン交換膜接合体を市販の無電解金めっき液で処理す
ることにより、その目的を達成することができる。
【0018】
【実施例】以下に参考例、実施例および比較例を挙げて
本発明をさらに詳細に説明する。
【0019】参考例1ジクロロ(1,10-フェナントロリン)金(III)塩化物の
合成 J. Chem. Soc., 1959, 682 に記載された方法に従っ
て、金(III)フェナントロリン錯体を合成した。
【0020】1,10-フェナントロリン一水和物(1.83 g,
9.23×10-3 mol)の水溶液133 mlを煮沸し、これにNa[Au
Cl4]・2H2O(3.00 g, 7.54×10-3 mol)の水溶液67 mlを攪
拌しながら滴下した。最初に[Au(phen)Cl2][AuCl4]の淡
黄色沈殿を生じたが、これは直ちに溶解し、橙色溶液を
得た。この溶液にNH4Cl(50 g, 0.935 mol)を加えると溶
解し、赤橙色沈殿が生成した。室温まで放冷後、濾取
し、少量のエタノールおよびエーテルで洗浄し、真空乾
燥して、赤橙色結晶(2.86 g, 5.91×10-3 mol)を得た。
得られた結晶は、水から一回再結晶することにより、精
製した。収量2.77 g(5.72×10-3 mol)。収率62%。
【0021】実施例1 過フルオロカーボンスルホン酸型陽イオン交換膜(商標
「ナフィオン117」、デュポン社製)を10%塩酸と水
でそれぞれ30分煮沸した。
【0022】このように前処理した12 cm2のイオン交換
膜を下記組成の吸着浴に浸漬し、室温で一夜攪拌するこ
とにより、金(III)錯体をイオン交換膜に飽和吸着さ
せた。
【0023】吸着浴 [Au(phen)Cl2]Cl 139 mg(Auとして57 mg) 水 50 ml 12時間後に、膜面積24 cm2に対し、Auとして2.27 mg cm
-2の割合(飽和吸着量の99%)で金(III)錯体が膜に
吸着したことが確認された。
【0024】この様にして金(III)錯体を吸着したイ
オン交換膜の断面を走査型電子顕微鏡により観察すると
ともに、X線マイクロアナライザーでAuを線分析した。
図1は、イオン交換膜の断面とX線マイクロアナライザ
ーの線分析の結果を組み合わせて示した模式図である。
図1において、中程にある水平方向の破線は、線分析し
た部分を示し、その下の曲線は、Au元素の線分析結果を
示し、右下部の線分は、この長さが50μmであること
を示している。図1に示す結果は、金錯体が膜内部に一
様に取り込まれている様子を示している。
【0025】次いで、上記の金(III)錯体を吸着した
イオン交換膜を水洗した後、以下の組成の還元浴を用い
て還元し、陽イオン交換膜表面への金の接合を行った。
【0026】還元浴 NaBH4 1.26 g Na2CO3 10 g 水 80 ml pH 11.8 金錯体を吸着した膜を20〜80℃に保持した浴中で、5時
間還元した後、10%塩酸および水でそれぞれ1時間煮沸
することにより、膜中に残存する金錯体を除去したとこ
ろ、膜面積当り2.27 mg cm-2の金層が得られた。
【0027】上記で得た吸着還元膜の断面の拡大図とX
線マイクロアナライザーによるAu元素の線分析結果を重
ねて図2に示す。図2において、中程にある水平方向の
破線は、線分析した部分を示し、曲線は、接合体断面に
おけるAu元素の分布を示し、右下部の線分は、この長さ
が50μmであることを示している。図2は、金層が膜内
部ではなく、膜表面に単一的に形成されていることを示
している。
【0028】比較例1 実施例1と同様の方法により得られた飽和吸着膜を以下
の様なDMABを還元剤とする浴中で還元した。還元浴 DMAB 1.26g 水 80ml pH 8.9 20〜60℃の浴中で4時間還元した後、10%塩酸お
よび水で煮沸した。
【0029】上記で得られた接合体の断面観察およびAu
元素の線分析を実施例1と同様にして行い、それらの結
果を図1および図2と同様に組み合わせて図3に示す。
図3中の破線、曲線および線分は、図1および図2と同
様のことを示す。図3から、還元剤としてDMABを使
用すると、膜表面近傍に密度の薄い厚い金層が形成され
ることが明らかである。
【0030】実施例1および比較例1で得られた2つの
接合体について両者の断面図(図2および図3)を比較
すると、金(III)フェナントロリン錯体を用いて金−
イオン交換膜接合体を作製する場合、水素化ホウ素塩を
還元剤とするpH11〜12の還元浴が有効であること
が明らかである。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、次の様な効果が奏され
る。
【0032】(1)陽イオン交換膜と金との密着性の良
い接合体の作製が可能である。
【0033】(2)本法で得られた接合体上にさらに金
層を成長させることにより、固体高分子電解質を用いた
各種電解槽での実用上の使用に耐える、触媒電極接合体
が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた金(III)錯体吸着膜の還
元前の断面の拡大図とX線マイクロアナライザーによる
Au元素の線分析結果を重ねて表示した図面である。
【図2】実施例1で得られた還元後の金−イオン交換膜
接合体について、図1と同様なことを示す図面である。
【図3】比較例1で得られた還元後の金−イオン交換膜
接合体について、図1と同様なことを示す図面である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽イオン交換膜に金のフェナントロリン錯
    体をイオン交換吸着させた後、水素化ホウ素塩水溶液に
    より還元処理することを特徴とする金−イオン交換膜接
    合体の製造方法。
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