JP2712724B2 - 量子井戸構造 - Google Patents
量子井戸構造Info
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- JP2712724B2 JP2712724B2 JP2057056A JP5705690A JP2712724B2 JP 2712724 B2 JP2712724 B2 JP 2712724B2 JP 2057056 A JP2057056 A JP 2057056A JP 5705690 A JP5705690 A JP 5705690A JP 2712724 B2 JP2712724 B2 JP 2712724B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光学的非線型効果を利用する半導体光素子
に用いられる半導体の積層構造、詳しくは量子井戸構造
に関するものである。
に用いられる半導体の積層構造、詳しくは量子井戸構造
に関するものである。
従来、光学的非線型効果を利用する半導体光素子に対
して、均一な組成の半導体を用い、積層方向に関して導
電型を周期的に変化させるドーピング超格子構造が提案
され試作されている。これは、ドーピングされた不純物
がイオン化し、そのイオン化した不純物と、存在する電
子またはホールによって半導体バンド構造が変化するこ
とを利用するものであり、この半導体の禁制帯幅のエネ
ルギーより数10meV小さいエネルギーに対応する波長の
光の吸収が、入射光の強度に対して非線型になるもので
ある。ここで、半導体に対する各ドーピング領域の幅は
通常数100Å程度以上である(デーラー(G.H.Dohler)
ら、フィジカル・レビューB、30巻、5932ページ、1984
年)。
して、均一な組成の半導体を用い、積層方向に関して導
電型を周期的に変化させるドーピング超格子構造が提案
され試作されている。これは、ドーピングされた不純物
がイオン化し、そのイオン化した不純物と、存在する電
子またはホールによって半導体バンド構造が変化するこ
とを利用するものであり、この半導体の禁制帯幅のエネ
ルギーより数10meV小さいエネルギーに対応する波長の
光の吸収が、入射光の強度に対して非線型になるもので
ある。ここで、半導体に対する各ドーピング領域の幅は
通常数100Å程度以上である(デーラー(G.H.Dohler)
ら、フィジカル・レビューB、30巻、5932ページ、1984
年)。
また、このドーピング超格子の発展した技術として、
ヘテロ構造ドーピング超格子構造がある。これは、従来
のドーピング超格子と量子井戸構造を組み合せたもの
で、一種の変調ドープ構造になっている為、ドナー不純
物を電子及びアクセプター不純物と正孔がそれぞれ空間
的に分離して存在する。この結果、電子・正孔間の遷移
は、従来のドーピング超格子に比べて、シャープなもの
となっている。しかしこの構造では十分な光非線型効果
を出すには、量子井戸層を300オングストローム以上に
しなければならない(ストリート(R.A.Street)ら、フ
ィジカル・レビューB、33巻、7043ページ、1986年)。
ヘテロ構造ドーピング超格子構造がある。これは、従来
のドーピング超格子と量子井戸構造を組み合せたもの
で、一種の変調ドープ構造になっている為、ドナー不純
物を電子及びアクセプター不純物と正孔がそれぞれ空間
的に分離して存在する。この結果、電子・正孔間の遷移
は、従来のドーピング超格子に比べて、シャープなもの
となっている。しかしこの構造では十分な光非線型効果
を出すには、量子井戸層を300オングストローム以上に
しなければならない(ストリート(R.A.Street)ら、フ
ィジカル・レビューB、33巻、7043ページ、1986年)。
これら従来の構造では、電子と正孔の空間的な分離距
離が大きく、電子・正孔の遷移の大きさに関係する重な
り積分は小さい。このため電子・正孔の空間分離効果に
よる光学特性変化も小さくなってしまう。また、電子・
正孔の寿命も長くなるため、応答速度もそれに律速さ
れ、高速な光応答は得られない。また、バンド構造の変
調も、ドーピング濃度の制限などから大きくできない
為、この光非線型特性は、低温でのみ観測され、室温で
は有効に働かない。
離が大きく、電子・正孔の遷移の大きさに関係する重な
り積分は小さい。このため電子・正孔の空間分離効果に
よる光学特性変化も小さくなってしまう。また、電子・
正孔の寿命も長くなるため、応答速度もそれに律速さ
れ、高速な光応答は得られない。また、バンド構造の変
調も、ドーピング濃度の制限などから大きくできない
為、この光非線型特性は、低温でのみ観測され、室温で
は有効に働かない。
本発明の目的は、室温でも光非線型特性の大きな、高
速な光応答を有する光半導体素子用の半導体積層構造を
提供することにある。
速な光応答を有する光半導体素子用の半導体積層構造を
提供することにある。
本発明の量子井戸構造は、電子の平均自由行程程度以
下の膜厚を有する第1及び第2の半導体が交互に少なく
とも1周期積層されており、該第1の半導体の伝導帯下
端のエネルギー値が第2の半導体の伝導帯下端と価電子
帯上端のエネルギー値の間にあり、かつ該第2の半導体
の価電子帯上端のエネルギー値が該第1の半導体の伝導
帯下端と価電子帯上端のエネルギー値の間にある半導体
超格子、即ちタイプIIと呼ばれる半導体超格子におい
て、電子閉じ込め層である該第1の半導体にドナーが、
正孔閉じ込め層である該第2の半導体にアクセプターが
それぞれドーピングされていることを特徴とする。
下の膜厚を有する第1及び第2の半導体が交互に少なく
とも1周期積層されており、該第1の半導体の伝導帯下
端のエネルギー値が第2の半導体の伝導帯下端と価電子
帯上端のエネルギー値の間にあり、かつ該第2の半導体
の価電子帯上端のエネルギー値が該第1の半導体の伝導
帯下端と価電子帯上端のエネルギー値の間にある半導体
超格子、即ちタイプIIと呼ばれる半導体超格子におい
て、電子閉じ込め層である該第1の半導体にドナーが、
正孔閉じ込め層である該第2の半導体にアクセプターが
それぞれドーピングされていることを特徴とする。
以下、図面により本発明の作用を説明する。第1図
は、本発明による量子井戸構造のバンド図を模式的に示
した模式図である。構造は、通常のタイプII超格子の電
子閉じ込め層11、正孔閉じ込め層12にそれぞれ、ドナー
及びアクセプターをドーピングしたものである。空乏化
したドナー、アクセプターの存在により、タイプII超格
子のバンド図は、第1図のように、電子閉じ込め層11で
は、低エネルギー方向に、正孔閉じ込め層では、高エネ
ルギー方向にそれぞれ変調を受け、ドーピングしていな
い場合に比べ、最低量子準位間エネルギー13は、小さく
なる。電子、正孔の空間的分離距離は、タイプII超格子
を用いることにより従来のドーピング超格子に比べて小
さくしても、光学的非線型効果が得られる。
は、本発明による量子井戸構造のバンド図を模式的に示
した模式図である。構造は、通常のタイプII超格子の電
子閉じ込め層11、正孔閉じ込め層12にそれぞれ、ドナー
及びアクセプターをドーピングしたものである。空乏化
したドナー、アクセプターの存在により、タイプII超格
子のバンド図は、第1図のように、電子閉じ込め層11で
は、低エネルギー方向に、正孔閉じ込め層では、高エネ
ルギー方向にそれぞれ変調を受け、ドーピングしていな
い場合に比べ、最低量子準位間エネルギー13は、小さく
なる。電子、正孔の空間的分離距離は、タイプII超格子
を用いることにより従来のドーピング超格子に比べて小
さくしても、光学的非線型効果が得られる。
さて、この構造において電子閉じ込め層11、正孔閉じ
込め層12にそれぞれに出来る最低量子準位間のエネルギ
ー13より大きなエネルギーを有する光を入れると、電子
閉じ込め層11に電子が、正孔閉じ込め層12に正孔が蓄積
され、この空間的に分離された電子、正孔により、空乏
化されたドナー、アクセプターがスクリーニングされ、
バンド構造が変化するため、最低量子準位間のエネルギ
ー13(吸収端エネルギー)は光を入れる前に比べて大き
くなるため、光吸収が減衰するという非線型光学特性を
有する。その際、電子、正孔の分離距離が小さいので、
遷移確率は増大し、電子、正孔のキャリア寿命が長いこ
とによる光応答の低速性が改善される。
込め層12にそれぞれに出来る最低量子準位間のエネルギ
ー13より大きなエネルギーを有する光を入れると、電子
閉じ込め層11に電子が、正孔閉じ込め層12に正孔が蓄積
され、この空間的に分離された電子、正孔により、空乏
化されたドナー、アクセプターがスクリーニングされ、
バンド構造が変化するため、最低量子準位間のエネルギ
ー13(吸収端エネルギー)は光を入れる前に比べて大き
くなるため、光吸収が減衰するという非線型光学特性を
有する。その際、電子、正孔の分離距離が小さいので、
遷移確率は増大し、電子、正孔のキャリア寿命が長いこ
とによる光応答の低速性が改善される。
以下、本発明の実施例を図面により説明する。第2図
は、本発明による実施例の積層構造の模式図である。ガ
スソース分子線エピタキシー法により、半絶縁性InP基
板21上に、0.5μm厚のInPバッファー層22を積層し、Si
を3×1018cm-3の濃度でドーピングした200オングスト
ローム厚のIn0.53Ga0.47As層23とBeを3×10-8cm-3の濃
度でドーピングした200オングストローム厚のGaAs0.5Sb
0.5層24を交互に40周期積層し、更にInPキャップ層25を
0.5μm積層した。
は、本発明による実施例の積層構造の模式図である。ガ
スソース分子線エピタキシー法により、半絶縁性InP基
板21上に、0.5μm厚のInPバッファー層22を積層し、Si
を3×1018cm-3の濃度でドーピングした200オングスト
ローム厚のIn0.53Ga0.47As層23とBeを3×10-8cm-3の濃
度でドーピングした200オングストローム厚のGaAs0.5Sb
0.5層24を交互に40周期積層し、更にInPキャップ層25を
0.5μm積層した。
この積層構造では、InGaAs層が電子閉じ込め層、GaAs
Sb層24が正孔閉じ込め層となっている。伝導帯のバンド
不連続値は約0.42eV、価電子帯バンド不連続値は約0.26
eV、InGaAs層の伝導帯とGaAsSb層の価電子帯とのエネル
ギー差は約0.5eVである。この積層構造の光透過スペク
トルを測定した結果、入射光強度を大きくすると吸収端
付近で大きな吸収飽和が観測された。これは光吸収によ
り電子と正孔がそれぞれInGaAs層23、GaAsSb層24に励起
され、空乏化したドーパントによる内部電界をスクリー
ニングし、バンド構造に変化をもたらした為に生じた現
象であると考えられる。
Sb層24が正孔閉じ込め層となっている。伝導帯のバンド
不連続値は約0.42eV、価電子帯バンド不連続値は約0.26
eV、InGaAs層の伝導帯とGaAsSb層の価電子帯とのエネル
ギー差は約0.5eVである。この積層構造の光透過スペク
トルを測定した結果、入射光強度を大きくすると吸収端
付近で大きな吸収飽和が観測された。これは光吸収によ
り電子と正孔がそれぞれInGaAs層23、GaAsSb層24に励起
され、空乏化したドーパントによる内部電界をスクリー
ニングし、バンド構造に変化をもたらした為に生じた現
象であると考えられる。
以上、ここではInGaAs/GaAsSb型の多重量子井戸構造
について述べたが、材料型としてタイプIIの半導体超格
子が形成できるならば、格子不整合系である歪超格子で
あってもかまわない。また、半導体成長方法も、有機金
属成長法等の他の方法であってもかまわない。
について述べたが、材料型としてタイプIIの半導体超格
子が形成できるならば、格子不整合系である歪超格子で
あってもかまわない。また、半導体成長方法も、有機金
属成長法等の他の方法であってもかまわない。
本発明によれば、光学的非線型効果を利用する光半導
体素子一般、特に光論理回路素子等に用いられる半導体
積層構造が得られる。
体素子一般、特に光論理回路素子等に用いられる半導体
積層構造が得られる。
第1図は本発明による量子井戸構造のバンドの模式図で
あり、第2図は本発明による一実施例の積層構造の模式
図である。 図において、 11……電子閉じ込め層、12……正孔閉じ込め層、13……
最低量子準位間のエネルギー、21……InP基板、22……I
nPバッファー層、23……SiドープInGaAs層、24……Beド
ープGaAsSb層、25……InPキャップ層 をそれぞれ示す。
あり、第2図は本発明による一実施例の積層構造の模式
図である。 図において、 11……電子閉じ込め層、12……正孔閉じ込め層、13……
最低量子準位間のエネルギー、21……InP基板、22……I
nPバッファー層、23……SiドープInGaAs層、24……Beド
ープGaAsSb層、25……InPキャップ層 をそれぞれ示す。
Claims (2)
- 【請求項1】電子の平均自由行程程度以下の膜厚を有す
る第1及び第2の半導体が交互に複数周期積層されてお
り、前記第1の半導体の伝導帯下端のエネルギー値が前
記第2の半導体の伝導帯下端と価電子帯上端のエネルギ
ー値の間にあり、かつ前記第2の半導体の価電子帯上端
のエネルギー値が前記第1の半導体の伝導帯下端と価電
子帯上端のエネルギー値の間にある半導体超格子であっ
て、前記第1の半導体にドナーが、前記第2の半導体に
アクセプターがそれぞれドーピングされて、光非線形特
性を有することを特徴とする量子井戸構造。 - 【請求項2】第1の半導体がInXGa1-XAs(0<X<
1)、第2の半導体がGaAsYSb1-Y(0<Y<1)である
請求項1記載の量子井戸構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2057056A JP2712724B2 (ja) | 1990-03-07 | 1990-03-07 | 量子井戸構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2057056A JP2712724B2 (ja) | 1990-03-07 | 1990-03-07 | 量子井戸構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03257820A JPH03257820A (ja) | 1991-11-18 |
JP2712724B2 true JP2712724B2 (ja) | 1998-02-16 |
Family
ID=13044788
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2057056A Expired - Fee Related JP2712724B2 (ja) | 1990-03-07 | 1990-03-07 | 量子井戸構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2712724B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6944197B2 (en) * | 2001-06-26 | 2005-09-13 | University Of Maryland, Baltimore County | Low crosstalk optical gain medium and method for forming same |
JP2020098891A (ja) * | 2018-12-19 | 2020-06-25 | 住友電気工業株式会社 | 半導体レーザ |
-
1990
- 1990-03-07 JP JP2057056A patent/JP2712724B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
Sov.Tech.Phys.Lett.13(3) (1987−3) P.135−137 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03257820A (ja) | 1991-11-18 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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