JP2712676B2 - トランスファ式搬送装置のケーブル案内装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明はプレーンシャトルコンベアあるいはリフト
アンドキャリーコンベア等のトランスファ式搬送装置の
ケーブル案内装置に関し、さらに詳しくはトランスファ
バーに付帯しているアクチュエータに所定のエネルギを
供給するためのケーブルを案内する装置に関する。

従来の技術 自動車の製造ラインなどでは、各工程にワークを搬送
するために往復移動するトランスファバー（シャトルバ
ーとも称される）を備えたトランスファ式搬送装置が備
えられている。このようなトランスファ式搬送装置で
は、搬送すべきワークの種別に応じてワーク受け部材を
切り換えるためのワーク受け装置や各工程でワークを上
下移動するためのリフタ装置などがトランスファバー上
に設けられる場合がある。この場合、それらの装置に含
まれる油空圧シリンダや電動モータなどのアクチュエー
タが往復移動するトランスファバー上にあるため、アク
チュエータに空気，油，電気等のエネルギを供給するた
めのケーブル（ホースなども含む）の処理が問題にな
る。

そこで従来は、たとえば第２図に示すように電動モー
タＭの駆動により往復移動するトランスファバー50に、
受け面51の形状が異なる複数のフィンガー（ワーク受け
部材）52を備えたワーク受け装置53が設けられている場
合、床面Ｆとトランスファバー50とに支柱54,55をそれ
ぞれ設け、ワーク受け装置53にエネルギを供給するため
のケーブル56を支柱54,55間に懸架していた。つまり、
トランスファバー50が前進する前の原点位置にある状態
でトランスファバー50の移動ストロークに必要な分だけ
ケーブル56を両支柱54,55間でたるませておき、トラン
スファバー50の往復移動でケーブル56に張力がかからな
いようにしていた。

発明が解決しようとする課題 しかしながら、このような従来例では、トランスファ
バー50の移動ストロークが長くなければなる程、ケーブ
ル56にたるみ量を多くしなければならず、それに伴って
支柱54,55の高さを高くする必要があり、そのスペース
を確保しなければならない問題があった。また、ケーブ
ル56のたるみ量が多くなると各支柱54,55にそれぞれか
かるケーブル56の荷重が増大するため、トランスファバ
ー50の移動時の衝撃によりケーブル56に大きな張力がか
かり、ケーブル56が破損しやすく、ケーブルの寿命が短
くなる。特にトランスファバー50の移動速度が高速の場
合、そのトランスファバー50の移動時の衝撃力がさらに
大きくなってケーブル56の破損時期が早まり、ケーブル
56の寿命がさらに短くなる問題があった。

そこで、この発明はトランスファバーの移動ストロー
クが長い場合でもケーブルを懸架する支柱の高さを低く
抑えることができるとともに、トランスファバーの移動
速度が高速の場合においてもケーブルの寿命が短くなら
ないようにすることができるトランスファ式搬送装置の
ケーブル案内装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段 この発明に係るトランスファ式搬送装置のケーブル案
内装置は、往復移動するトランスファバーに付帯するア
クチュエータに対し所定のエネルギを供給するためのケ
ーブルを、トランスファバーに設けた第１の支柱と、ト
ランスファバーの往復移動で前記第１の支柱が近接離間
する定位置に設けた第２の支柱とで懸架し案内する装置
において、トランスファバーの移動に伴って前記２つの
支柱間を等分する位置に移動するように設けられ、前記
２つの支柱間で前記ケーブルを懸架する少なくとも１つ
の第３の支柱を備えたことを特徴とする。

なお、上記のアクチュエータとしては空圧シリンダや
油圧シリンダのほか電動モータ等も含むものとする。し
たがって、ケーブルとしても油空圧供給系のケーブル
（ホースも含む）のほか給電ケーブル等も含むものとす
る。

作用 トランスファバーが移動する前の原点位置にあるとき
は各支柱が相互に近接した位置にある。この状態でトラ
ンスファバーの移動ストロークに応じて各支柱間にケー
ブルをたるませて懸架しておくと、トランスファバーが
被搬送物であるワークの搬送で往復移動するに伴い、第
１の支柱と第２の支柱との間隔が広くなっていく。この
とき、第３の支柱はたえずそれらの支柱間を等分する位
置（第３の支柱が１つであれば前記支柱間の中間位置）
に移動する。この動作でトランスファバーの動きに追従
してケーブルが送り出され、各支柱間のケーブルのたる
み量が少なくなっていく。トランスファバーが全ストロ
ーク往動した後、原点位置まで復動されるときは、往復
時とは逆に各支柱間の間隔が等しいまま狭くなってい
き、各支柱間のケーブルのたるみ量が多くなっていく。

実施例 第１図に基づき、この発明をプレーンシャトルコンベ
アに適用した一実施例について説明する。

１は製造ラインの複数の工程間にまたがって配設され
たトランスファバーを示す。このトランスファバー１
は、トランスファバー１の下部に付設されたラック２に
噛み合うピニオン３が電動モータＭによって回動駆動さ
れることにより、１ストローク間を直線往復移動する。

４は被搬送物であるワークを位置決め・支持する一対
のワーク受け装置を示す。この各ワーク受け装置４は、
トランスファバー１に直交して取り付けられた支持アー
ム５の両端部にそれぞれ配設され、ワークが位置決めさ
れる一対のフィンガー4a,4bと、この各フィンガー4a,4b
を外部信号により選択切換えするアクチュエータ4cとを
含む。各フィンガー4a,4bには異種のワークの形状に応
じたワーク受け面P1,P2がそれぞれ形成されていて、各
フィンガー4a,4bは搬送されるワークに合わせて、アク
チュエータ4cにより交互に上下動され、切換えられる。
アクチュエータ4cは、空圧シリンダ，油圧シリンダ，電
動モータ等の駆動源と、各フィンガー4a,4bを上下動さ
せる機構とを含むものである。

アクチュエータ4cに図示しないエネルギ供給源から空
気，油，電気等のエネルギーを供給するケーブル６は、
３つの支柱7,8,9間に懸架されている。第１の支柱７
は、アクチュエータ4cの近傍位置のトランスファバー１
に取り付けられた張出しアーム10の張出し先端部に立設
されている。第２の支柱８は、トランスファバー１が前
進する前の原点位置にあるときに第１の支柱７より前記
エネルギ供給源に近い位置の床面Ｆに立設されている。
第３の支柱９はトランスファバーに並行して配設された
レール13上を往復移動する台車14上に立設されている。
前記ラック２と、このラック２に対向するように床面４
に立設されたラック11とに噛み合うピニオン12の回動に
より、台車14は往復運動する。さらに詳しくは、ピニオ
ン12に取り付けられた回転軸15が台車14に設けられた軸
受16,17で支持されており、トランスファバー１が往復
移動すると、これに伴いピニオン12がラック11上をころ
がり、台車14がトランスファバー１の移動量の半分の移
動量だけ同方向に移動する。したがって、第３の支柱９
は、トランスファバー１の移動に伴い、第１の支柱７と
第２の支柱８の中間位置にたえず移動する。

各支柱7,8,9の上部には張出しアーム7a,8a,9aがそれ
ぞれ設けられていて、図示しないエネルギ供給源に接続
されたケーブル10は、張出しアーム8a,張出しアーム9a,
張出しアーム7aの順にそれぞれ懸架され、アクチュエー
タ4cに導かれる。なお、張出しアーム7aとアクチュエー
タ4cとの間のケーブル６はトランスファバー５と張出し
アーム10とに添って取り付けられている。

次にこの実施例の動作について説明する。まず、トラ
ンスファバー１が前記原点位置にあるときは、３つの支
柱7,8,9が相互に近接した位置にあり、ケーブル６はト
ランスファバー１の移動ストロークに必要な分だけたる
ませて各支柱7,8,9間に懸架されている。そして、選択
されたフィンガー4aまたは4bにワークが載置されると、
トランスファバー１が原点位置から前進される。そうす
ると、これに伴いピニオン12が回転し、台車14がトラン
スファバー１の移動距離に対して半分の距離だけ前進さ
れる。したがって、トランスファバー１の前進に従い支
柱7,8間の間隔が広くなっていくが、支柱９が支柱7,8間
のちょうど中間位置に位置しながら移動し、支柱7,8,9
間のケーブル６のたるみ量が徐々に小さくなっていく。

トランスファバー１が全ストローク前進されて、ワー
クが次の工程に達し、その工程でワークがリフタで持ち
上げられると、トランスファバー１の後退移動が開始さ
れる。そうすると、これに伴いピニオン12が逆回転して
台車14が後退し、前進とは逆に支柱7,8,9間の間隔が狭
くなっていき、支柱7,8,9間のケーブル６のたるみ量が
徐々に大きくなっていく。トランスファバー１が原点位
置に達すると、支柱7,8,9間のたるみ量は元に戻る。

このような動作の繰り返しにより、ワークは１工程ず
つ歩進的に次工程へと搬送されていく。

以上のようにこの実施例では、トランスファバー１と
ともに移動する第１の支柱７と、床面下に固定された第
２の支柱８との間に、トランスファバー１の移動に伴っ
てそれらの中間位置に移動する第３の支柱９を設けたの
で、支柱7,8,9間のケーブル６のたるみ量を少なくする
ことができる。したがって、支柱7,8,9の高さを低く抑
えることができる。また、上記のようにケーブル６のた
るみ量が少なくなることによって各支柱7,8,9のそれぞ
れにかかるケーブル６の荷重が軽減され、ケーブル６に
かかる張力が小さくなる。さらに、支柱7,8,9間の相対
移動速度が低下するので、トランスファバー１の移動速
度が高速であってもトランスファバー１の移動時の衝撃
力があまり大きくならず、ケーブル６にかかる張力が小
さいため、ケーブル６の寿命が長くなる。

この発明では、トランスファバーの移動ストロークお
よび移動速度，配置スペース，ケーブルの材質などに応
じて、第３の支柱を複数配置することが可能である。こ
の場合、前述の実施例よりさらにケーブルを懸架する支
柱の高さを低く抑えることができるとともに、１つの支
柱にかかるケーブル荷重が軽減され、支柱間の相対移動
速度が低下するのでケーブルの長寿命化が図れる。

発明の効果 以上のようにこの発明によれば、トランスファバーの
動きに伴って移動して第１の支柱と第２の支柱との間を
等分する位置にたえず位置する第３の支柱を設けたの
で、２つの支柱でケーブルを懸架する場合より、支柱間
のケーブルのたるみ量が少なくなり、支柱の高さを低く
することができる。また、ケーブルのたるみ量が少なく
なることで、１つの支柱にかかる荷重が軽減され、ケー
ブルにかかる張力が小さくなるので、ケーブルが破損し
にくくなり、ケーブルの長寿命化が図れる。さらに、支
柱間の相対移動速度が低下するので、トランスファバー
の移動速度が高速である場合でもトランスファバーの移
動時の衝撃力があまり大きくならず、同様にケーブルの
長寿命化が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明をプレーンシャトルコンベアに適用し
た場合の一実施例の構成を示す説明図、第２図は従来例
の構成を示す説明図である。 １……トランスファバー、2,11……ラック、4c……アク
チュエータ、６……ケーブル、７……第１の支柱、８…
…第２の支柱、９……第３の支柱、12……ピニオン、14
……台車。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】往復移動するトランスファバーに付帯する
   アクチュエータに対し所定のエネルギを供給するための
   ケーブルを、トランスファバーに設けた第１の支柱と、
   トランスファバーの往復移動で前記第１の支柱が近接離
   間する定位置に設けた第２の支柱とで懸架し案内する装
   置において、 トランスファバーの移動に伴って前記２つの支柱間を等
   分する位置に移動するように設けられ、前記２つの支柱
   間で前記ケーブルを懸架する少なくとも１つの第３の支
   柱を備えたことを特徴とするトランスファ式搬送装置の
   ケーブル案内装置。