JP2708506B2 - 温度補償用誘電体磁器組成物 - Google Patents

温度補償用誘電体磁器組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、温度補償用誘電体磁器組成物に係り、特に
高いQ値を有し、高誘電率であり、誘電率温度係数が小
さくかつ低温で焼結が可能な温度補償用誘電体磁器組成
物に関する。
〔従来の技術〕
電子回路のコンデンサ材料等として用いられる誘電体
材料のうち、温度補償用誘電体材料としては、従来、Ba
O−TiO2−NdO3/2系磁器組成物や、CaTiO3−MgTiO3−La2
O3・2TiO2系磁器組成物を用いていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のこれらの磁器組成物は本焼成温度が1300℃〜13
40℃と比較的高温であるため、積層チップコンデンサの
如き構造のコンデンサを製造する場合、内部電極には高
温に耐える電極材料、パラジウム(Pd)、金(Au)、白
金(Pt)又はその合金等を使用する必要があった。
ところがこれらの電極材料は高価であるため、結果的
に積層チップコンデンサのコストを著しく高くすること
になる。
内部電極の電極材料として、コストの安い銀−パラジ
ウム(Ag−Pd)合金を使用すれば、安いコストで積層チ
ップコンデンサの製造が可能である。しかし、誘電体材
料の焼成温度はAgの蒸発等が起きないように1200℃以下
に下げる必要がある。
ところが、従来の誘電体材料では焼成温度を下げると
誘電率や絶縁抵抗(IR)が低下し、素子の信頼性等で満
足な特性が得られないという問題点があった。
従って、本発明の目的は高いQ値を有し、高誘電率、
高絶縁抵抗であってかつ、誘電率の温度係数が小さい誘
電体磁器組成物の本焼成温度を従来のものより約140℃
〜300℃低下させた焼結性良好な誘電体磁器組成物を提
供することである。
〔課題を解決するための手段〕
このため本発明者等は、鋭意研究の結果、 BaO :1.0mol%〜15.0mol% TiO2 :50.0mol%〜67.5mol% NdO3/2 :20.0mol%〜47.5mol% の合計が100部から成る主成分に対して、副成分とし
て、MnOを0〜0.3wt%、Pb5Ge3O11を2〜20wt%添加含
有させた磁器組成物により、上記目的を達成することを
見出した。
これにより、高誘電率、高絶縁抵抗である上、誘電率
の温度係数が小さく、焼成温度が従来より低いにも拘ら
ず焼結性良好な誘電体磁器組成物を提供できる。
〔実施例〕
本発明の実施例を詳細に説明する。
本発明の誘電体磁器組成物を得るため出発原料とし
て、BaCO3、TiO2、Nd2O3、MnCO3、PbO、GeO2の各粉末を
用いる。なおこれらの原料粉末は純度95%のNd2O3を除
いて、何れも純度98%以上のものを使用する。
次に誘電体磁器組成物の主成分となるBaCO3、TiO2、N
d2O3と、添加物となるMnCO3の各粉末を後掲の第1表の
組成範囲となるように秤量し、これをボールミル中で湿
式混合処理する。
さらにこの混合物を脱水乾燥し、直径60mmφ、高さ50
mmの円柱状に加圧成形し、1100℃〜1200℃の温度条件で
2時間空気中で仮焼成を行う。その後、この仮焼成物を
更に粉砕する。
この粉砕粉末に副成分としてPb5Ge3O11を第1表の組
成範囲となるように秤量し、これを再度ボールミル中で
湿式合成処理を行う。
脱水乾燥後に粘結剤としてポリビニールアルコール
(PVA)を適当量加え、約3トン/cm2の圧力を加えて、
直径16.5mmφ、厚み0.6mmの円板に加圧成形した後、960
〜1300℃の温度条件で2時間本焼成する。
このようにして得られる各誘電体磁器組成物の両端面
に銀電極を焼きつけて磁器コンデンサとする。これらの
磁器コンデンサ試料の誘電率(εS)、Q、誘電率の温
度係数(T.C)PPM/℃、絶縁抵抗(IR)等を測定し、得
られた結果を第1表に示す。
第1表において、T.Cは+20℃を基準として+20℃〜8
5℃の温度範囲で周波数1KHzの条件で測定した。また、
本焼成時の焼成温度及び焼結性についても併記した。
さらに第1表中、試料番号に○印を付したものは本発
明の範囲内のものであり、×印を付したものは本発明の
範囲外のものである。
第1表から、本発明の誘電体磁器組成物では、誘電率
εS、Q値が高くなり、絶縁抵抗IRも高い上に誘電率の
温度係数が小さく、しかも焼成温度が1000℃〜1160℃
と、従来のものより140℃〜300℃も低くすることがで
き、焼結性も良好なものが得られることが明らかであ
る。
次に本発明の誘電体磁器組成物の組成範囲の限定理由
について、第1表と第1図を用いて説明する。
第1図は本発明の誘電体磁器組成物におけるPb5Ge3O
11添加量と焼成温度の関係図である。
先ず、BaOが1.0mol%以下では誘電率εSが小さく(例
えば試料No.22〜24参照)、誘電率の低温係数T.Cが+側
へ大きくなり(例えば試料No.24参照)、実用的でな
い。一方、BaOが15.0mol%以上になると、Qが小さくな
る(例えば試料No.1〜3参照)。
次にTiO2が50.0mol%以下では焼結性が悪く、誘電率
εSも低い(例えば試料No.15、21参照)。
またTiO2が67.5mol%以上では誘電率εSが小さく(例
えば試料No.10,16参照)、Q値が小さい(例えば試料N
o.4参照)。
NdO3/2が20.0mol%以下では、Q値が小さくなり(例
えば試料No.1,4参照)、47.5mol%以上では、焼結性が
悪く、誘電率εSも低い(例えば試料No.21参照)。
またMnOは全く添加しなくても実用的には問題ないが
(例えば試料No.5,19参照)、0.3wt%まで添加すること
により絶縁抵抗IRが向上し、誘電率の温度係数T.Cも有
利になる(例えば試料No.5−1,5−2,19−1、19−2参
照)。しかし、0.3wt%以上添加すると、焼結性悪く、
緻密な磁器組成物が得られない(例えば試料No.5−3、
19−3参照)。
Pb5Ge3O11の添加量は焼成温度に影響するが、第2図
等からも明らかな如く、2wt%以下では焼成温度が1200
℃以上と低くならず、本発明の目的に合致しない(例え
ば試料No.5−4,5−5,19−4,19−5参照)。また20wt%
以上になると焼成温度は低下するが焼結性が悪くなるば
かりでなく、電気特性も非常に悪くなり、緻密な誘電体
磁器組成物が得られなくなる。
さらにGeO2原料が高価なため、製品のコスト高につな
がる(例えば試料No.5−10,19−10参照)。
なお、第2図は本発明の誘電体磁器組成物の主成分の
組成範囲を示す成分図である。この主成分の範囲内に副
成分としてMnOを0〜0.3wt%、Pb5Ge3O11を2〜20wt%
を添加含有せしめたものが本発明である。
〔発明の効果〕
本発明の如き組成の誘電体磁器組成物を用いることに
より、温度補償用誘電体磁器組成物として優れた特性を
有する磁器組成物を焼成温度が従来のものより140℃〜3
00℃も低くすることが出来る。
従って、例えば80wt%Ag−20wt%Pdの合金を内部電極
とする温度補償用積層チップコンデンサ等を低コストで
製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の誘電体磁器組成物のPb5Ge3O11の添加
量と焼成温度の関係図、 第2図は本発明の主成分の組成範囲を示す三成分系図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今野 正彦 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭55−56066(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】温度補償用誘電体磁器組成物として、 BaO 1.0mol%〜15.0mol% TiO2 50.0mol%〜67.5mol% NdO3/2 20.0mol%〜47.5mol% 以上の合計が100部から成る主成分に対して、副成分と
    して、MnOを0〜0.3wt%とPb5Ge3O11を2〜20wt%添加
    含有したことを特徴とする温度補償用誘電体磁器組成
    物。
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