JP2707780B2 - 液体クロマトグラフィー用可動栓カラムの充填方法 - Google Patents

液体クロマトグラフィー用可動栓カラムの充填方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、物質の分離・精製に供する液体クロマトグ
ラフィーにおけるカラムへの充填剤の充填方法に関する
ものである。
[従来の技術] 従来の液体クロマトグラフィー装置において、その主
要構成部分である分離・精製用のカラムの作製は、充填
した粗密度な充填剤を、液の流れによって高密度に充填
させる方法が一般に用いられている。
この液流れにより充填剤を高密度に充填させる方法は
通液加圧充填法(スラリー充填法)と呼ばれ、一般に第
4図のように操作される。すなわち、下面を閉塞する下
部フランジ2がセットされたカラム本体1の上端にリザ
ーバー4を接続し、上方より所定量・所定濃度の充填剤
分散スラリー5を投入する(第4図(a)参照)。次ぎ
にリザーバー4の上端に上部フランジ3′を組付けて外
気から封止した状態にセットし、自然沈降と、高圧ポン
プを用いた加圧通液により、カラム本体1内に高密度な
充填剤充填層6を形成させる(第4図(b)参照)。加
圧通液終了後、リザーバー4内の上澄み液7をポンプ等
を用いて排出し(第4図(c)参照)、リザーバー4を
カラム本体1から取り外す。リザーバー4が取り外され
たカラム本体1上部には、充填剤充填層6が山盛りに形
成されており(第4図(d)参照)、この山盛りに形成
された充填剤を除いた後、上部フランジ3をカラム本体
1上部にセット固定して充填作業を終了する(第4図
(e)参照)。
この通液加圧充填法は、安定した高密度な充填剤充填
層が得られ、かつカラムの性能を著しく高めることので
きる優れた方法の1つとして、現在カラム充填法の主流
となっている。
しかし通液による充填剤充填層の形成段階では、リザ
ーバー取り外し時の充填剤充填層の盛り上がりを考慮し
た力を必要とするので、通液流速は分離操作時の3〜10
倍の加圧力が不可欠となり、このことはリザーバーを含
めたカラムの耐圧強度が分離操作時の3〜10倍のものを
必要とすることを意味し、カラムの重量が重くなるとと
もに高圧充填設備が必要になるため、操作及び経済的な
面での欠点となっていた。
またリザーバー取り外し段階では圧縮された充填剤充
填層の盛り上がりが生じるが、この盛り上がり状態は充
填操作毎に異なり、人為的に制御することは困難であ
る。また、リザーバー取り外し段階からフランジ装着段
階までの間の操作を時間的に管理することも容易ではな
い。これらのことは結果的に充填後においてカラムに充
填されている充填剤の量に影響するものであり、カラム
性能及び再現性のよし悪しの原因となる。さらに、上部
のフランジをセットする直前の盛り上がった充填剤の取
り除き処理如何もカラム性能及び再現性に大きく影響す
るものであるが、このために作業者には高度な熟練が要
求されるという問題がある。
これらの問題を解決するため、カラムの一端或は両端
を可動な構造としたいわゆる可動栓カラムが提案され実
施されている。この可動栓カラムにおける充填操作の手
順は第5図により図解的に示され、以下の順序(A)〜
(E)で行われる。
(A)リザーバーを装着したカラムへの充填剤スラリー
の投入 (B)自然沈降による充填剤充填層の初期形成 (C)上澄み液を抜きリザーバの取り外し (D)可動栓の装着 (E)可動栓の移動、充填剤充填層の押下 この方法は、充填剤充填層を空気圧,油圧あるいはそ
の他機械的駆動機構で加圧圧縮して高密度化するもので
あるため機械的加圧充填法とも称される。
第6図はこの機械的加圧充填法による従来の一例(特
公昭58−20284)を示したものであり、可動栓9を有す
るピストンの形をした滑動体8が、カラム本体10内に液
密的にかつ上下動可能に嵌合され、その行程の下死点に
ある状態で、カラム本体10内に吸着剤分散スラリー11を
投入し、この後、液分散板16及びカバー12をカラム本体
の上側の固定フランジ14に固定される。ここで13は集液
板を表しており、上記可動栓の上端に取付けられてい
る。
この状態で油圧ジャッキを利用し、伝達用の軸15を介
して滑動体8を上方に移動させると、粗密度な状態の吸
着剤分散スラリー11に圧力が加わり高密度な充填剤充填
層が形成される。
この機械的加圧充填法では投入した充填剤がそのまま
カラム内に保持されるため、予め投入量を計量しておく
ことにより量的に正確な管理ができる。また、操作を通
じて経験的手法が要求されないため、従来の通液加圧充
填法での通液停止後の盛り上がり充填剤充填層部の処理
に起因するカラム性能及びその再現性の不足という問題
は解消される。
[本発明が解決しようとする課題] しかし、可動栓の移動、圧縮により強固な充填剤充填
層を形成、固定することは、局部的な充填剤充填層の押
圧による充填密度分布の形成を生じ、充填剤充填層全体
に及び安定化が行われないため、液体クロマトグラフィ
ー用カラムとしての分離性能及び耐久性能は未だ改善の
余地がある。
更に充填剤充填層を圧縮するための大きな荷重をもた
らす特別な機構が要求される。これらの要求を満たすた
めには、必然的に空気圧または油圧あるいはその他機械
的な駆動機構は大掛りなものとなってしまう。
本発明は、これらの問題点を解決しようとするもので
ある。
すなわち、本発明は上記のような従来の問題点を解決
し、加圧充填法で用いられている可動栓型カラムの構造
上の特徴を利用して、通液充填法により迅速な高密度充
填操作を実現することを目的とする。
また本発明の別の目的は、従来の固定型カラムを用い
て行っていた通液充填法と比べた場合にも、低圧での通
液充填によって、より優れた分離性能が得られる充填剤
充填法を提供するところにある。
また更に本発明の別の目的は、低圧での通液加圧充填
により、カラムの耐圧強度の低下、通液設備の負担軽減
を実現することができる充填法を提供するところにあ
る。
[課題を解決する手段及び作用] 本発明よりなる液体クロマトグラフィー用可動栓カラ
ムの充填方法の特徴は、機械的加圧充填法で用いられて
いる可動栓型カラムの構造上の特徴と通液加圧充填法の
併用により、優れた性能のカラムを再現性よく得ること
ができることにある。すなわち、端部の隔離部材により
筒内部が外気から封止可能でかつ上方の隔離部材が下方
に移動可能な可動栓をなしているカラム内に、粗密度な
状態の充填剤充填層を形成した後、カラムを外気から封
止してこのカラムに液を下方向に貫流させることにより
高密度な充填剤充填層を形成させる操作と、上記可動栓
を充填剤充填層の降下した上面位置まで下動させて充填
剤充填層を固定する操作とを行なうところにある。
上記操作において、高密度な充填剤充填層の形成に伴
う層上面の降下に追随させた可動栓の可動は、層形成と
同時に行わせてもよいし、層形成の操作が終了した時点
で通液を継続しながら可動栓の下動を行わせてもよい。
上記において、スラリー状態の初期的な充填剤充填層
の形成は、一般的にはカラムの上にリザーバーを取付け
て自然沈降させることにより行なう場合が通常である。
また本発明のもう一つの特徴は、上記通液による高密
度な充填剤充填層の形成を、従来の固定型カラムを用い
て行っていた高圧ポンプによる通液加圧充填法と比べた
場合よりもより低い通液圧力で行うことにある。
従来の通液加圧充填法における通液圧力の具体的な値
は、カラムの寸法、充填剤の種類、大きさ等々により一
律には決まらないが、一般的には液体クロマトグラフィ
ー分離操作時の通液上限圧力の3〜10倍、好ましくは同
4〜8倍とされることが適当である場合が多い。
本発明の方法は、従来の固定型カラムにおいて行って
いた通液加圧充填法と同様に充填剤充填層の形成を通液
により行うものであるが、通液状態下で、形成された充
填剤充填層上面まで可動栓を移動して、通液停止後の充
填剤充填層の盛り上がりを防ぎ層を固定するものである
ため、通液圧力は、実使用範囲の通液圧力の1〜3倍程
度で足りる。そしてこのために従来の可動栓型カラムに
おいて行っていた機械的加圧充填法では期待できなかっ
た、高性能でかつ安定なカラムを作製できるだけでな
く、従来の固定型カラムでの通液加圧充填法により得ら
れるカラムに比べても同等あるいはそれ以上の優れた分
離性能でしかも性能面で再現性のよいカラムが作製でき
る。
しかも本発明方法は、固定型カラムにおいて必要であ
った高圧下での通液加圧充填操作が不要になるので、カ
ラムの耐圧強度を低く設計でき、充填設備も低圧仕様の
ものが仕様できる。
[実 施 例] 以下、図面を参照しつつ、本発明の方法を説明する。
なお説明の便宜上、一具体例を示すが無論装置の構造及
び操作方法はこれに限定されるわけではない。
まず第1図により操作手順の概要を説明する。
充填操作においては、先ずあらかじめ濃度調整された
充填剤分散スラリー20を、第1図(a)の状態にセット
した充填用リザーバー21及びカラム本体22内に導入し、
充填剤が自然沈降して所定の粗密度な状態となるまで放
置する。
放置後リザーバー21内の上澄み液を抜き、リザーバー
21を取り外す(第1図(b),(c)参照)。
なお使用されるリザーバー21の長さは、設定された充
填剤スラリー濃度,必要とされる充填剤層高さの組合せ
により決まるものであり、したがって場合によってはリ
ザーバー21を用いないで直接カラム本体22内に充填剤ス
ラリー20を導入して自然沈降させた後、或るいは直ちに
通液加圧充填の操作を開始してもよい。
次に充填された粗密度な充填剤充填層26′に対して充
填状態を高密度化する通液加圧充填法による充填剤充填
層の形成を行なう。
すなわち第1図(c)の状態で自然沈降した粗密度な
充填剤充填層26′に対し可動栓24をカラム本体22内に挿
入し、上記フランジ25をカラム上部に固定セットして通
液加圧充填の準備状態とする(第1図(d)参照)。
次に、定流量ポンプを用いてカラム内に液を貫流通液
することで、高密度な充填剤充填層26の形成(以下これ
を「層形成」という)操作を行なう。すなわち第1図
(e)に示しているように上方からカラム本体22内を貫
通して所定の通液圧で通液加圧を行うと、粗密度な充填
剤充填層26′は漸次高密度化して高密度な充填剤充填層
26を形成し、層上面は初期の位置から若干降下する(第
1図(e)参照)。
そしてこの通液加圧による高密度化の操作に次いて通
液を行いながら可動栓の下動を行わせ、充填剤層を固定
し、充填剤操作を終了する(第1図(f)参照)。
透明な構造材料でカラム本体を作製してある場合など
の他は、降下する充填剤充填層上面に対して可動栓の位
置を逐次的に追随させることは容易でなく、充填剤充填
層形成操作の終了後に可動栓を下動させることが作業上
からは一般的である。
第2図は本発明の方法の実施に用いられる具体的なカ
ラム本体22の構成を断面図で示したものである。同図
(a)は可動栓24がカラム本体22内に挿入される前、同
図(b)は可動栓24が挿入された液をそれぞれ示してい
る。なお本例装置における全ての接液部は耐薬品性等を
考慮してSUS316を使用して構成するのが好ましいが、使
用される液の性質により、もちろんこれに限定されるも
のではない。
この装置を説明するとカラム本体22内は、充填剤充填
層26と、液流れが下方流である場合はこの層26の上端に
位置する液分散板27、及び下端に位置する集液板28とに
より構成される。なお液流れを上方流とした場合は上記
液分散板及び集液板はそれぞれ逆の役割関係となる。こ
れらは充填剤のカラム内からの漏えいを防ぐ役割も兼ね
ている。
上記液分散板27及び集液板28には一般に多孔質のステ
ンレス焼結板などが用いられ、本例では、これらを保持
する保持体29、30と共に、その一方を可動栓24下部に、
また他方を下部フランジ44の上面に装着させている。な
お保持体29、30には金網等が用いられるが、液の流れを
整える整流手段としての作用を持ち合わせていることが
望ましい。
31はシールリングであり、可動栓24の外周溝に組付け
られて、カラム内液及び圧力バランス室32内液の漏えい
防止に作用する。33は同様のシールリングであり、可動
栓ロッド34の摺動時に圧力バランス室32内の液がカラム
外に漏えいすることを防止するのに作用する。これらの
シールリングにはポリテトラフロロエチレン(PTFE)等
のV−パッキンリングが好ましく用いられる。
上部フランジ35は可動栓24とともにカラム本体22に対
し取り外し可能であり、可動栓24をカラム本体22内に挿
入装着した時には、ボルトナット36でカラム上部フラン
ジ37に締結固定される。なお、可動栓ロッド34の上端に
締結した可動栓駆動板38と、カラム上部フランジ37と
は、層形成操作の終了後、ボルトナット39で固定され、
これにより液体クロマトグラフィー操作時には、可動栓
24が上方に移動することは阻止される。
なお40はカラム下部フランジ、44は下部フランジであ
り、締結ボルトナット41で固定される。
以上の構成の可動栓型カラムにおいて、管路42から45
に貫通される液の流れにより高密度な層形成がなされ
る。
そして通液操作による充填剤充填層26の形成が終了し
た段階で、通液を継続して層の盛り上がりを防止しつつ
送液管路43から圧力バランス室32内へ圧液を供給し、可
動栓24を下動させる。
本例の場合上記圧力バランス室32に供給する液圧の程
度は、可動栓24に対して作用する下方への液圧力(つま
り圧力バランス室からの液圧力)と、上方への液圧力
(充填剤層での通液圧力)との関係により本来決められ
るべきものである。この両液圧力の供給は2台のポンプ
を用いて個別に行うことができる。管路42からの液流れ
により充填剤充填層26の層形成を行うと、充填剤充填層
上面の降下により可動栓24に作用する上方への押し上げ
反力は減少する。この反力減少分(すなわち充填剤充填
層上面降下分)だけ可動栓24を下動させるわけである
が、この反力は充填操作時において経時的に変化するた
め、これに追従して圧力バランス室への供給液圧(すな
わち可動栓24の下動速度)をコントロールすることは容
易ではない。
これに対して、充填剤充填層の形成のために通液する
液の供給源を共用して圧力バランス室32に通液(液圧供
給)すると、管路42と43への総送液量に等しい量の液が
常に管路45より排出され、すなわち一定通液量による充
填が可能となる。
更には、必要装置類の削減、全体の小型化、低コスト
化等の観点からも好ましい。
可動栓24の移動終了後は、ボルトナット39により可動
栓駆動板38をカラム本体22のカラム上部フランジ37に固
定し、以後液体クロマトグラフィーの処理に供される。
第3図は以上述べた充填剤充填層形成時の通液系の概
要を簡略して図示したものである。この図において定流
量ポンプ50からの充填液は途中分岐され、充填剤充填層
26の形成、可動栓24の下方移動の目的のために、カラム
通液用のバルブ51及び圧力バランス室51への液供給用バ
ルブ52を通じてそれぞれ通液される。カラム本体22から
の充填液の排出は排出バルブ53より行われる。また予め
バルブ52を開いて圧力バランス室51内を排気し、排気バ
ルブ54を閉じて可動栓24の下動に備える。
このように、定流量ポンプを使用するだけで(しかも
定流量ポンプは液体クロマトグラフィーにそのまま使用
できる)、特別な駆動機構を使用することなく液流れに
よって高性能なカラムを形成する通液加圧充填法が実行
でき、また可動栓型カラムの特徴による再現性のよい充
填操作が可能となる。
第2図の装置を用い、極性の違いを利用した分配・吸
着に基いて分離を行う逆相クロマトグラフィー用充填剤
(TSKgel ODS−80TM、東ソー株式会社製)を充填剤とし
て、本発明の可動栓カラムによる通液加圧充填法、従来
の固定型カラムにおける通液加圧充填法、及び可動栓カ
ラムにおける機械的加圧充填法によりそれぞれ充填剤充
填層の形成を行い、そのカラムの分離性能を試験し、そ
の結果を実施例、比較例として以下に説明する。
なお比較例における機械的加圧充填法は、第2図で示
した可動栓ロッド34に具備された油圧機構の機能を強化
し、その駆動機構を利用して可動栓を移動することで充
填剤充填層を圧縮する方式で行った。
実施例1 本発明方法(第1図の手順)に従って内径5.3cm,最大
有効充填剤層高30cm、可動栓の可動距離5cmの一端可動
式の可動栓型カラムに、リザーバーを取付け充填剤700m
lをアセトンでスラリー化したものを投入し、自然沈降
による初期充填剤充填層の形成後、上澄み液を排出、リ
ザーバーを取外し、可動栓をカラムに取付け、液流速20
0ml/minの流速で下記表1の圧力で充填を行った。通液
時のカラム出入り口での通液圧力差(圧力損失)は20kg
f/cm2であった。
そして通液開始から30分後、通液を維持したまま可動
栓を下動させて充填剤充填層を固定し操作を終了した。
この充填カラムの分離性能を、サンプルとして0.2%
ベンゼン4.7ml、溶離液としてMeOH/H2O=7/3(体積比)
を用い、流速40ml/minで通液して成分の溶出時間tR及び
溶出ピーク幅Wを測定し、下記式でカラム理論段数Nに
より評価した。
N=16(tR/W) 比較例 同じ可動栓型カラム及び充填剤を用いて従来の通液加
速充填法、及び機械的加圧充填法を実施し、同様に分離
性能を測定してその結果を下記表1に併せて示した。
なお機械的加圧充填法においては、充填剤700mlをア
セトンでスラリー化したものをカラムに投入し、自然沈
降による初期充填剤充填層の形成後、可動栓を移動させ
て充填剤充填層を1cm押し込んだ。
また通液充填法においては、その通液速度を500ml/mi
n、通液圧力を70kgf/cm2として行った。
最終的にカラム内に充填された充填剤の量は、それぞ
れ表1に示したとおりである。
表1の結果から分かるように、本発明の充填法により
得られたカラムの分離性能は、従来の通液加圧充填法に
より作製した固定型カラムの分離性能と同等乃至それ以
上の優れた理論段数を示し、しかもその再現性も極めて
よいことが分かる。
また充填時の通液圧力は、従来の通液加圧充填法の場
合の1/3.5であり、カラム耐圧、通液設備とも高圧仕様
を必要としなかった。
以上の実施例(通液圧力20kgf/cm2)と通液加圧充填
法(通液圧力70kgf/cm2)の比較例においての低圧充填
が行えることによる効果を対比して下記表2に示した。
上記表2から分かるように、充填圧力が3.5倍必要で
あることにより、カラム重量が4割増しとなる。使用す
るポンプについても2倍の設備費が必要となる。これら
はカラム径サイズが大きくなるほど大きくなる傾向があ
る。
また高いカラム性能を得る目的で、より小さな充填剤
を使用することが考えられるが、通液圧力は一般に充填
剤径の2乗に比例して増加するので、低圧条件での充填
が可能となることは、経済的にも操作条件的にもその有
用性は極めて高い。
[発明の効果] 本発明の充填法によれば、従来の機械的加圧充填法で
用いられている可動栓型カラムの構造上の特徴を利用し
て、通液加圧充填法による充填剤充填層の形成が実現で
き、しかもその操作に作業者の熟練性も要求されないと
いう効果がある。
また従来の機械的加圧充填法に比べては勿論のこと、
一般に優れた分離性能が得られる通液加圧充填法に比べ
ても、同等乃至それ以上の優れた性能のカラムを再現性
よく得ることができるという効果がある。
また更に低圧での通液加圧充填を可能とすることによ
り、カラムの耐圧強度の低下、通液設備の負担軽減を実
現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)〜(f)は本発明の可動栓型カラムにおけ
る通液加圧充填の操作を説明するための図、第2図
(a),(b)は本発明方法の実施に用いる可動栓型カ
ラムの一例を示した図、第3図は通液時の液の流れを説
明するための図である。 第4図(a)〜(e)は、従来の固定型カラムにおける
通液加圧充填法の手順を説明する図、第5図(A)〜
(E)は従来の可動栓型カラムにおける機械的加圧充填
の手順を説明する図、第6図は従来の機械的加圧充填を
行うための可動栓型カラムの一例を示した図である。 21……リザーバー、22……カラム本体 24……可動栓 25……上部フランジ、26,26′……充填剤充填層 27……液分散板、28……集液板 29,30……保持体、31……シールリング 32……圧力バランス室、33……シールリング 34……可動栓ロッド、35……上部フランジ 36……ボルトナット 37……カラム上部フランジ 38……可動栓駆動板、39……ボルトナット 40……カラム下部フランジ 41……締結ボルトナット 42,43……管路、44……下部フランジ 45……管路、50……定流量ポンプ 51〜53……バルブ、54……排気バルブ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】端部の隔離部材により筒内部が外気から封
    止可能でかつ上方の隔離部材が下方に移動可能なカラム
    内に、粗密度な状態の充填剤層を形成した後、カラムを
    外気から封止してこのカラムに液を下方向に貫流通液さ
    せることにより高密度な充填剤充填層を形成させる操作
    と、上記移動可能の隔離部材をこの充填剤充填層の降下
    した上面位置まで下動させてこの充填剤充填層を固定す
    る操作とを行なうことを特徴とする液体クロマトグラフ
    ィー用可動栓カラムの充填方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、充填剤充填層形成のた
    めにカラムに貫流通液する液の通液圧力が、このカラム
    の実際の分離操作使用時における通液上限圧力の1〜3
    倍であることを特徴とする液体クロマトグラフィー用可
    動栓カラムの充填方法。
JP2039022A 1988-02-25 1990-02-20 液体クロマトグラフィー用可動栓カラムの充填方法 Expired - Fee Related JP2707780B2 (ja)

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