JP2706328B2 - Ni基超耐熱合金用耐食・耐酸化コーティング時の熱処理方法 - Google Patents

Ni基超耐熱合金用耐食・耐酸化コーティング時の熱処理方法

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JP2706328B2 JP1257900A JP25790089A JP2706328B2 JP 2706328 B2 JP2706328 B2 JP 2706328B2 JP 1257900 A JP1257900 A JP 1257900A JP 25790089 A JP25790089 A JP 25790089A JP 2706328 B2 JP2706328 B2 JP 2706328B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はNi基超耐熱合金の耐食、耐酸化性コーティン
グ時の熱処理方法に関し、特に、ガスタービンのタービ
ン動、静翼や高温ブロア、ボイラ・バーナ部品、ディー
ゼル燃料噴射弁に有利に適用しうる同方法に関する。
〔従来の技術〕
例えば、ガスタービンのタービン動、静翼は高温の燃
焼ガスにさらされるため、翼表層は酸化され、又燃料に
よっては含有する腐食性成分により腐食を生ずる。これ
を防ぐため従来より、CrあるいはAlの拡散浸透処理が多
用されており、又複合コーティング(Ni−Cr合金粉末を
プラズマ溶射後、AlあるいはCr拡散浸透処理、又はAl−
Siの拡散浸透処理)が使用されてきた。
〔発明が解決しようとする課題〕
ガスタービンの熱効率向上を図るため、入口ガス温度
が年々上昇し、産業用ガスタービンでも最近では約1200
℃以上となってきている。このため、翼メタル温度も上
昇している。入口ガス温度が上昇し、翼メタル温度も高
くなったため、従来のCr拡散浸透処理あるいは複合コー
ティングでは耐食・耐酸化に対して十分でなく、Al拡散
浸透処理は耐酸化性の点からは優れているが、地上用ガ
スタービンでは燃料の多様性の点から、さらに耐食性の
優れたコーティングが要求されており、Al拡散浸透処理
はこの点から不十分である。
近年、合金粉末(一般にMCrAlYと言われ、MはCo,Ni,
Feあるいはこれらの元素の1種又は2種を低圧プラズマ
溶射法により溶射することにより、耐食、耐酸化コーテ
ィングとする手法が開発された。しかしながら、良好な
コーティングを得るためには、コーティング後適切な熱
処理を施工する必要があるが、未だ十分な年処理法につ
いての解明がなされていない。
第3図に、従来の非コーティング翼(第3図(a)及
びCr浸透処理翼(第3図(b))の製造プロセス図を示
すが、前記合金粉末の低圧プラズマ溶射法による溶射後
の熱処理プロセスも、第3図(b)に示したCr浸透処理
時の製造プロセスに従ってなされてきた。しかしなが
ら、第3図(b)の製造プロセスではコスト高となると
ともに、被処理合金によっては溶体化処理を再度実施す
るため、結晶粒の粗大化を生じ、材料強度が低下する場
合があった。
即ち、熱処理条件はコーティング層の均一化、母材と
の密着性、母材の材料強度、コストを考慮の上選定する
必要があるが、これらの熱処理条件についても未だ十分
な解明がなされていない。
本発明は上記技術水準に鑑み、Ni基超耐熱合金の耐
食、耐酸化性コーティング時の合目的な熱処理方法を提
供しようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は (1) 重量%で、Cr:12〜25%,Co:10〜18%,Ti:1〜
6%,Al:1〜6%,Mo:2〜8%,W:0.5〜2.5%,C:0.02〜0.
12%,B:0.03〜0.08%,残部Ni及び不可避的不純物より
なるNi基超耐熱合金を溶体化処理、機械加工及び応力除
去した後、MCrAlY(M:CO,Ni,Feの1種又は2種)系合
金粉末をコーティングし、前記Ni基超耐熱合金の安定
化処理温度が950℃を越える場合には、安定化処理、時
効処理を行うことを特徴とするNi基超耐熱合金用耐食耐
酸化性コーティング時の熱処理方法及び (2) 重量%で、Cr:12〜25%,Co:10〜18%,Ti:1〜
6%,Al:1〜6%,Mo:2〜8%,W:0.5〜2.5%,C:0.02〜0.
12%,B:0.03〜0.08%,残部Ni及び不可避的不純物より
なるNi基超耐熱合金を溶体化処理、機械加工及び応力除
去した後、MCrAlY(M:CO,Ni,Feの1種又は2種)系合
金粉末をコーティングし、前記Ni基超耐熱合金の安定
化処理温度が950℃以下の場合には、溶体化処理、安定
化処理及び時効処理を行うことを特徴とするNi基超耐熱
合金用耐食耐酸化コーティング時の熱処理方法 である。
本発明の対象とするNi基超耐熱合金とはγ′{Ni3(A
l,Ti)}析出硬化型Ni基超耐熱合金で、重量%で、Cr:1
2〜25%,Co:10〜18%,Ti:1〜6%,Al:1〜6%,Mo:2〜8
%,W:0.5〜2.5%,C:0.02〜0.12%,B:0.03〜0.08%,残
部Ni及び不可避的不純物よりなるものであり、必要元素
ではないがTa2%以下、Zr0.1%以下を含ませることもで
きるものである。
該合金の組成範囲の限定理由を以下説明する。
○Cr:12〜25% 産業用ガスタービンでは高温における耐食性が必要で
あり、Cr量を多く添加する程、その効果は顕著である。
Cr量が12%未満ではその効果は少なく、十分でないので
12%以上必要である。一方、Ni基合金ではCr量をあまり
多く添加するとσ相(シグマ相)などの金属間化合物が
高温(概ね750〜950℃)で使用中に析出し、金属組織的
に不安定となり、高温強度や延性が低下するので25%以
下とした。
○Co:10〜18% TiやAlなどの析出硬化型Ni基合金において、溶体化処
理でTi,Alを十分に基質中に固溶させ、時効処理におい
てγ相{Ni3(Al,Ti)}として微細に析出させることに
より、良好な高温強度が得られる。CoはこのTi,Alなど
を高温で基質に固溶させる限度(固溶限)を大きくする
作用がある。本発明合金に必要なTi,Al量ではCo量は10
%以上である。一方、このCoは高価な成分であまので不
必要に添加することなく18%以下とした。
○Ti:1〜6% Tiは析出硬化型Ni基合金の高温強度を上げるための析
出相(γ′相)の析出に必要な元素である。Tiが1%未
満では要求強度を満足することはできない。又あまり多
量に添加すると延性を阻害するので6%以下とした。
○Al:1〜6% AlはTiと同様の効果があり、γ′相を生成して、高温
強度を上げるとともに、高温での耐食性(特に耐酸化
性)に寄与する。その量は1%以上必要であり、あまり
多いと延性を阻害し、その効果は飽和するので6%以下
とした。
○Mo:2〜8% Moは基質中に固溶して、高温強度を上昇させる効果
(固溶体強化)があると同時に、時効処理中に炭化物
(Cr21(Mo,W)2C6,(Mo,W)6Cなど)を生成し、弱析出
強化の効果により、高温強度向上に寄与する。その効果
は2%未満では少なく、又あまり多く添加すると延性を
阻害するので8%以下とした。
○W:0.5〜2.5% WはMoと同様に固溶体強化と弱析出強化の作用があ
り、高温強度を向上させる。その効果は0.5未満では少
ない、又Wは比重が大きい元素であるため、あまり多く
添加すると合金の比重が大きくなり、遠心力の働くター
ビン動翼では不利となり、又コスト的にも高くなるので
2.5%以下とした。
○C:0.02〜0.12% Cは炭化物を形成し、特に結晶粒界に析出し、粒界を
強化し、高温強度を上昇させるので0.02%以上必要であ
る。しかし、あまり多く添加すると、炭化物の析出量が
多くなり、延性を阻害し、鍛造性が悪くなるので、0.12
%以下とした。
○B:0.003〜0.08% Bは粒界を強化して、高温強度を上昇させるので、0.
003%以下必要であるが、あまり多く添加すると、その
効果は飽和し、かえって延性を阻害する恐れがあるので
0.08%以下とした。
なお、これ以外に、Ta,Zrを架橋の理由で添加しても
よい。
○Ta;2%以下 Taは本発明合金に必ずしも必要でないが、Taはγ′相
生成による析出強化、及び固溶体強化並びに耐酸化性向
上に2%以下の添加は有効である。あまり多く添加する
と、延性を阻害するので、2%以下とすべきである。
○Zr;0.1%以下 Zrは本発明合金に必ずしも必要でないが、Zrじん性
(衝撃値)や延性の向上に0.1%以下の添加は有効であ
る。あまり多く添加すると、返って高温強度を低下させ
るので、最大0.1%以下とすべきである。
その他通常Ni基耐熱合金には、不純物元素として、原
材料よりSi,Mn,Fe,P,S,Cuが混入し、通常避けることは
できないが、不可避的にこれらの元素が含まれることは
許容される。
上記Ni基超耐熱合金にコーティングされる合金粉末
は、MCrAlY(M:CO,Ni,Feの1種又は2種)系合金粉末で
あって、例えば下表のようなものである。
次に、本発明の耐食、耐酸化コーティング時の熱処理
方法について詳述する。
良好な耐食、耐酸化コーティングを得るためには、前
記のMCrAlY合金粉末を例えば低圧プラズマ溶射法により
コーティングした後、適当な熱処理を行う必要がある。
この熱処理条件は、コーティング層の組織の均一化の
点では950℃以上の温度で、母材との密着性向上の点
からは850℃以上の温度で、かつ母材の材料強度を確
保するためには結晶粒の成長が生じないで最終的に母材
の標準熱処理(合金組成が同じでも、熱処理条件が異な
ると材料強度は著しく異なるため、構造部材として合金
を使用するに当っては使用条件より合金と熱処理条件と
は一対として選定されている。この熱処理条件を標準処
理条件という)がなされていることが必要であるほか、
コストの観点より熱処理回数がすくないことが要望され
ている。
上述したように、良好な耐食、耐酸化コーティング
であるためにはMCrAlY合金粉末の組成によるところが大
きいが、コーティング層の組織が均一であることも重要
な要因である。コーティング層の組織の均一化のために
は概ね1000℃程度であり、その下限温度は950℃であ
る。あまり高い温度では母材の結晶粒が粗大化したり、
コーティングのMCrAlY合金粉末の成分が母材に拡散し、
母材とコーティング層の密着性は向上するものゝ耐食・
耐酸化性の劣化、境界層での有害層の析出などの問題を
惹起させる。従って上限は母材の溶体化温度以下であ
る。また、コーティング層が外的機械的応力、起動、
停止時の熱応力により剥離しないよう母材との密着性を
十分確保するためには、コーティング後の熱処理によ
り、コーティング材と母材との合金成分の相互拡散を図
る必要がある。このためには温度は高いほどよいが、前
項と同じ理由により上限は母材の溶体化処理温度以下
であり、下限は相互拡散により母材との密着性確保の点
から850℃で20時間以上である。更に、また母材の材
料強度の確保の点からは、母材の標準処理を遵守する必
要がある。
上記〜の観点より、本発明のNi基超耐熱合金用耐
食、耐酸化コーティング時の熱処理方法を完成したもの
である。その熱処理プロセスを第1図に示す。第1図の
(a)は母材であるNi基超耐熱合金の安定化処理温度が
950℃を超える場合(第1発明)の、また第1図の
(b)はその安定化処理温度が950℃以下の場合(第2
発明)の熱処理プロセスを示す図表である。
第1発明の場合は、コーティング後の溶体化処理によ
り、コーティング層の組織均一化、母材との密着性を確
保した。コーティング後の熱処理条件は標準熱処理と同
一であり、母材の材料強度は十分確保される。コスト的
にはコーティング前の熱処理回数が少なくなり、安価と
なる。
一方、安定化処理温度が950℃を超える第2発明の場
合はコーティング後の安定化処理により、コーティング
層の組織均一化、母材との密着性は確保される。全体の
熱処理工程は、応力除去処理を除いて、標準熱処理と同
一であり、母材の材料強度は十分確保される。
なお、第1発明、第2発明ともコーティング直前の応
力除去処理は機械加工による残留応力を除去しコーティ
ング以後の変形等を事前に防止するためである。
〔実施例〕
実験に供した供試材(A合金,B合金)の化学成分を第
2表に示す。
A合金,B合金により製作した鍛造翼について第3表に
示すプロセスに従って実験を進めた。コーティングは第
4表に示す低圧プラズマ溶射法(LPPS)により第1表に
示したCoCrAlYコーティングを施工した。又、丸棒15φ
×50を同様のプロセスでコーティングを施工した。
第3表に示す全てのプロセスが終了した後、クリープ
破断試験片、引張試験片、結晶粒度測定用の試験片を翼
より加工した。続いて、850℃でのクリープ破断試験をJ
IS Z 2272、800℃での引張試験をJIS G 0567、結晶粒度
の測定をJIS G 055上に従って行なった。又、コーテン
グのミクロ組織を観察した。又、密着性試験について
は、φ15×50の試験片を用い、熱衝撃試験 を行ない、その後、表面のき裂、断面マクロ組織より密
着性を検討した。
各試験結果を第5表にまとめて示す。この表では、A
合金、B合金各々非コーティング時の標準熱処理材の性
質との比で示した。第4表より明らかなように、A合金
では、標準材に比べて本発明のプロセスの材質は800℃
での引張伸び、結晶粒度がやや劣るが、他の特性は、同
特以上で、又密着性も良好であり、本発明プロセスの有
効性が認められた。
次に、B合金では、プロセス3では、コーティング後
の溶体化処理温度が高いために結晶粒の粗大化が生じ、
クリープ破断強度、引張性質とも低下した。又プロセス
6ではコーティング後の熱処理温度が低いため(840℃
×24h+760℃×16h)、結晶粒の粗大化、及びクリープ
破断強度、引張強さは比較材(標準材)と同程度以上で
あるが、密着性試験で、微細な表面き裂と断面ミクロ組
織で一部母材とコーティング層の剥離が観察され、よく
なかった。一方、プロセス5では、800℃引張試験での
伸びがやや低いものの他の性質は標準材のそれと同等以
上じ、又、密着性は良好であり、本発明プロセスの有効
性が認められた。
一例として、第3表の製造プロセスNo.3〜6で得られ
た熱衝撃試験後の試験片の断面ミクロ金属組織の顕微鏡
写真(倍率15倍)を第2図に示す。
〔発明の効果〕
本発明により、Ni基超耐熱合金にMCrAlYコーティング
の耐食・耐酸化コーティングを施工するにあたり、コー
ティング層のミクロ組織の均一性、母材との密着性、母
材の材料特性、コストの面から優れたコーティング製品
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】 第1図(a),(b)は、本発明の第1発明及び第2発
明の熱処理プロセスの説明図表、第2図は本発明の実施
例、比較例によって作製された試験片の熱衝撃試験後の
試験片の断面ミクロ金属組織を示す顕微鏡写真、第3図
(a),(b)は従来のNi基超耐熱合金の非コーティン
グ翼の製造プロセス及び同合金のCr浸透処理の製造プロ
セスの説明図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 胡中 秀保 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂製作所内 (72)発明者 灘井 義和 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂製作所内 (56)参考文献 特開 昭60−215753(JP,A) 特開 昭53−82815(JP,A) 特開 昭54−28228(JP,A) 特開 昭56−62958(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、Cr:12〜25%,Co:10〜18%,T
    i:1〜6%,Al:1〜6%,Mo:2〜8%,W:0.5〜2.5%,C:0.0
    2〜0.12%,B:0.03〜0.08%,残部Ni及び不可避的不純物
    よりなるNi基超耐熱合金を溶体化処理、機械加工及び応
    力除去した後、MCrAlY(M:CO,Ni,Feの1種又は2種)
    系合金粉末をコーティングし、前記Ni基超耐熱合金の
    安定化処理温度が950℃を越える場合には、安定化処
    理、時効処理を行うことを特徴とするNi基超耐熱合金用
    耐食・耐酸化性コーティング時の熱処理方法。
  2. 【請求項2】重量%で、Cr:12〜25%,Co:10〜18%,T
    i:1〜6%,Al:1〜6%,Mo:2〜8%,W:0.5〜2.5%,C:0.0
    2〜0.12%,B:0.03〜0.08%,残部Ni及び不可避的不純物
    よりなるNi基超耐熱合金を溶体化処理、機械加工及び応
    力除去した後、MCrAlY(M:CO,Ni,Feの1種又は2種)
    系合金粉末をコーティングし、前記Ni基超耐熱合金の
    安定化処理温度が950℃以下の場合には、溶体化処理、
    安定化処理及び時効処理を行うことを特徴とするNi基超
    耐熱合金用耐食耐酸化コーティング時の熱処理方法。
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KR101382141B1 (ko) * 2012-02-21 2014-04-07 한국기계연구원 고온 계면 안정성이 우수한 코팅층을 갖는 니켈기 합금 및 그 제조방법

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