JP2704650B2 - ディーゼルエンジンの始動装置 - Google Patents

ディーゼルエンジンの始動装置

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JP2704650B2
JP2704650B2 JP63330695A JP33069588A JP2704650B2 JP 2704650 B2 JP2704650 B2 JP 2704650B2 JP 63330695 A JP63330695 A JP 63330695A JP 33069588 A JP33069588 A JP 33069588A JP 2704650 B2 JP2704650 B2 JP 2704650B2
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lever
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一彦 高市
重雄 玉置
康博 尾崎
誠 由利
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ヤンマーディーゼル株式会社
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B3/00Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition
    • F02B3/06Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition with compression ignition

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  • Lubrication Details And Ventilation Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はディーゼルエンジンの始動装置に関するもの
である。
(従来の技術) 従来のディーゼルエンジンにおいては、一般には吸気
通路にバルブを設けておらず、吸気量を絞ることは行わ
れていなかった。
なお、アイドル時の騒音低減のためあるいは始動時の
着火性改善のために吸気量を絞ることが提案されている
が、エンジン始動時に始動トルクを効果的に軽減できる
程度に吸気量を絞ることは従来全く行われていなかっ
た。
(発明が解決しようとする課題) 従来は始動時に吸気量を絞らないので、始動トルクが
大きく、ロープ等を手で引張る手動式の始動では強い力
を要し、またスタータモータを用いる電気式の始動では
容量の大きなスタータモータを要する。
すなわち従来は、始動トルクを効果的に軽減できる程
度に吸気量を絞ると、圧縮行程における燃焼室内の空気
の最高温度が低下して着火しないと考えられていた。し
たがって始動時の着火性改善のために吸気量を絞る従来
の提案においては、吸気量を絞ることにより吸気に仕事
を与えて圧縮時の最高温度を上昇させるために、エンジ
ンの充填効率を数%低下させる程度に吸気量を絞ってお
り、始動トルクを効果的に軽減できる程度に吸気量を絞
るという発想は全く見られない。またアイドル時の騒音
低減のために吸気量を絞る従来の提案においては、アイ
ドル運転を確実に継続できるように吸気量を相当絞って
いるが、この従来方式のものはアイドリング時のみに適
用するものであって、始動時に始動トルクを軽減するも
のではない。しかしながら本発明の発明者らの実験によ
ると、始動トルクを効果的に軽減できる程度に吸気量を
絞っても、吸気量を全く絞らない場合と比較して圧縮時
の最高温度は低下しないことが判明した。本発明はこの
事実に着目してなされたものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、ディーゼルエンジンの吸気経路に、吸入空
気量を制限する吸気量制限手段を設け、エンジン始動時
に、前記吸気量制限手段により吸気量を絞ってエンジン
始動トルクを軽減する構成とし、エンジン始動操作の開
始によりクランクケース内の負圧を利用して吸気量制限
手段を作動状態にさせることにより遅くとも第1回目の
吸気行程までに吸気量を絞らせる吸気量制限手段駆動装
置と、エンジン始動操作の開始から3サイクル以内に前
記吸気量制限手段を非作動状態にさせることにより吸気
量の絞りを解除させる吸気量制限手段解除装置とを設け
たことを特徴とするディーゼルエンジンの始動装置であ
る。
(作用) 吸気量制限手段により第1回目の吸気行程が吸気量を
絞ると、燃焼室の空気量が少ないので、次の圧縮行程に
おいてピストンを上昇させるのに必要な力は小さい。し
かもこの場合でも、圧縮時の最高温度は、吸気量を絞ら
ない場合と比較して低下しない。
(実施例) 以下、本発明の一実施例を第1図〜第5図に基づいて
説明する。
第1図は本発明の一実施例におけるディーゼルエンジ
ンの始動装置の概略構成図、第2図は同始動装置を備え
たディーゼルエンジンの平面図で、1はシリンダヘッド
であり、このシリンダヘッド1には吸気通路2が形成さ
れている。吸気通路2の上流側の端部はエアクリーナー
3を介して大気に開放されており、吸気通路2の下流側
の端部には吸気弁4が配置されている。シリンダヘッド
1の上にはボンネット5が固定されており、このボンネ
ット5には弁腕室6が形成されている。弁腕室6はボン
ネット5に形成された通路7とシリンダヘッド1に形成
された通路8とを介して吸気通路2に連通しており、通
路7には弁腕室6側から吸気通路2側へのみ空気の通路
を許すボール弁9が配置されている。ボンネット5には
デコンプレバー11の軸12が回動自在に支持されており、
この軸12には、ほぼL字状の通路13と、軸12の外周部を
直線状に切欠いた通路14とが形成されている。ボンネッ
ト5には軸12の周囲に通路15,16,17が形成されており、
第1図のようにデコンプレバー11が右側に倒されていな
い非排気デコンプ状態では、通路13は通路15を介して弁
腕室6に連通しており、通路14は通路16と通路17とを連
通させている。ボンネット5には通路16に連通する配管
19の一端が接続されており、配管19の他端は弁装置20を
介してバキュームアクチェータ21に接続されている。弁
装置20の内部にはチェックバルブ22と絞り流路23とが互
いに並列に配置されており、チェックバルブ22はバキュ
ームアクチェータ21から弁腕室6側へのみ空気の通路を
許容する。バキュームアクチェータ21の内部には、ダイ
ヤフラム24と、このダイヤフラム24を弁装置20側とは反
対側に付勢するコイルばね25とが配置されており、ダイ
ヤフラム24にはコイルばね25側とは反対側にロッド26の
一端が連結されている。ロッド26の他端部にはピン27を
介してレバー28の一端部が回動自在に連結されており、
レバー28の他端部にはスロットル弁29の軸30が固定され
ている。スロットル弁29は吸気通路2に配置されてお
り、その位置は通路8よりも上流側である。ボンネット
5には通路17に連通する配管32の一端が接続されてお
り、配管32の他端はエアクリーナー33を介して大気に開
放されている。なお図面には現れていないが、周知のよ
うに弁腕室6はクランクケースの内部に連通しており、
また周知のようにデコンプレバー11を第1図の状態から
右回りに回動させることにより排気弁が下方へ押し下げ
られて開弁する。この排気デコンプ状態では配管19は通
路13,15を介して弁腕弁6に連通する。さらに周知のよ
うに、手動式の始動では、始動用のロープを引張ること
によりピストンが上下動し、排気行程において、排気弁
がさらに下方に押し下げられて全開状態になり、デコン
プレバー11はリターンばねの付勢力により左回りに回動
して第1図の姿勢に戻る。
次に動作を説明する。デコンプレバー11を第1図の右
側に倒すと、排気弁が開弁して排気デコンプ状態にな
り、通路13,15を介して配管19と弁腕室6とが連通す
る。そして始動用のロープを引張ると、ピストンが上下
動してクランクケース内の圧力が変動し、クランクケー
ス内に連通する弁腕室6の圧力も同様に第3図(a)の
ように変動する。なお第3図(a)の破線は配管19内の
圧力を示す。バキュームアクチェータ21は弁装置20と配
管19と通路16,13,15とを介して弁腕室6に連通している
ので、弁腕室6の負圧によりチェックバルブ22が開弁
し、第1回目の圧縮行程の終了までにバキュームアクチ
ェータ21のダイヤフラム室21aの圧力が第3図(b)の
ように負圧になる。これによりダイヤフラム24がコイル
ばね25の付勢力に抗してダイヤフラム室21a側に引張ら
れ、ロッド26が上側に移動する。したがってレバー28を
介して軸30が左回りに回動し、第3図(c)のようにス
ロットル弁29が開弁する。この状態を第1図に仮想線で
示す。第1回目の爆発行程の直前に第1回目の燃料噴射
が行われるが、このときは排気デコンプ状態であるので
着火しない。また第1回目の爆発行程でピストンが上死
点から下死点に下降するので、弁腕室6の圧力がバキュ
ームアクチェータ21のダイヤフラム室21aの圧力よりも
高くなるが、この状態ではチェックバルブ22は開弁しな
いので、弁腕室6の空気は絞り流路23を通って僅かずつ
バキュームアクチェータ21のダイヤフラム室21aに流入
し、ダイヤフラム室21aの圧力は第3図(b)のように
ゆっくりと高くなり、スロットル弁29は第3図(c)の
ように開弁状態を維持する。第1回目の排気行程で排気
弁が排気デコンプ状態よりもさらに大きく開弁され、デ
コンプレバー11はリターンスプリングの付勢力により左
回りに回動して第1図の状態に戻る。これにより通路16
は通路17のみとつながるため、配管19は配管32とつなが
り、通路19内の圧力は第3図(a)に破線で示す通りの
大気圧となり、したがってダイヤフラム室21aの圧力は
第3図(b)に示す通り引き続き上昇し、コイルばね25
によりダイヤフラム24が押し戻されてスロットル弁29が
開き始める。第1回目の吸気行程で吸気弁4が開弁し、
ピストンが下降すると、スロットル弁29が閉弁している
ので吸気通路2が負圧になり、これによりボール弁9が
開弁して弁腕室6の空気が通路7,8と吸気通路2とを介
して燃焼室に供給される。このとき通路7,8は流路断面
積が吸気通路2と比較して非常に小さいので、燃焼室に
供給される空気の量はスロットル弁29が介弁している時
と比較して少なく、吸気量が絞られたことになる。第2
回目の圧縮行程においては、デコンプレバー11が第1図
の状態に戻っており、排気デコンプ状態が解除されて排
気弁が閉弁しているが、第1回目の排気行程における吸
気量が少ないので、ピストンを上昇させるのに大きな力
は不要である。そして第2回目の爆発行程の直前で燃料
噴射が行われ、着火する。第2回目以降の吸気行程にお
いては、第3図(c)のようにスロットル弁29が開弁し
ているので、吸気量が絞られることはなく、エンジン回
転数が従来のエンジンと同様に上昇し、所定の回転数に
達する。
ここで、吸気絞り比(スロットル弁29を全開して吸気
量を絞らない時の吸気の流路断面積と、吸気量を絞った
ときの吸気の流路断面積との比)と、エンジンの充填効
率、圧縮時の最高温度、圧縮時の最高圧力との関係は、
第4図のようになる。すなわち、第1回目の吸気行程で
充填効率が70%程度以下になるように吸気量を絞ったと
すると、圧縮時の最高温度は第4図(b)のようにスロ
ットル弁29の全開時とほとんど同じであり、第2回目の
燃料噴射で確実に着火することがわかる。また圧縮時の
最高圧力は第4図(c)のように30kg/cm2程度であり、
スロットル弁29の全開時よりも10kg/cm2程度小さくなる
ことがわかる。したがって、従来のように第1回目の吸
気行程で吸気量を絞らない場合は、第5図に破線で示す
ように、始動用のロープの引き終り直前の第2回目の圧
縮行程において非常に大きな力でロープを引かなければ
ならないのに対して、本実施例のように第1回目の吸気
行程で充填効率が70%程度以下になるように吸気量を絞
れば、第5図に実線で示すように、ロープを引き力を効
果的に軽減できる。勿論、着火可能な範囲で、吸気量を
さらに絞ってロープを引く力をさらに軽減させてもよ
い。
このように、第1回目の吸気行程で吸気量を絞ったの
で、第2回目の圧縮行程におけるピストンの上昇に必要
なトルクを効果的に軽減できる。したがって手動始動式
のディーゼルエンジンの場合、始動に要する力を効果的
に軽減でき、力の弱い者でも始動作業を楽に行える。ま
た電気始動式のディーゼルエンジンの場合、クランキン
グ力を効果的に軽減できるので、スタータモータの容量
を小さくでき、軽量コンパクト化および低コスト化を図
ることができる。また本実施例のように、弁腕室6の負
圧を利用して、デコンプレバー11の操作により自動的に
スロットル弁29が閉弁するように構成すれば、スロット
ル弁29の閉弁操作を別途行う必要がなく、始動作業を容
易かつ迅速に行える。また本実施例のように、弁腕室6
の圧力を所定値以下に維持するためのブリーザ通路を構
成する通路7,8を、スロットル弁29の閉弁時に燃焼室に
空気を供給する絞り通路として兼用すれば、スロットル
弁29に絞り通路としての孔を形成する等の特別な加工が
必要であり、製作コストを低減できる。
(別の実施例) 第6図は本発明の別の実施例におけるディーゼルエン
ジンの始動装置の概略構成図、第7図は同始動装置を備
えたディーゼルエンジンの平面図で、この実施例では、
配管19にチェックバルブ36を介装し、さらに配管19から
吸気流路2に連通する分岐管19aを分岐させ、この分岐
管19aに、弁装置37と弁装置20とを介装している。弁装
置37は、弁装置37の内部を一方の部屋37aと他方の部屋3
7bとに区画するダイヤフラム38と、他方の部屋37bに配
置されてダイヤフラム38を一方の部屋37a側に付勢する
コイルばね39とを備えている。また配管32から弁装置37
のダイヤフラム38に臨む分岐管32aを分岐させている。
他の構成は第1図の実施例と同様である。
この実施例においては、デコンプレバー11を第6図の
右側に倒して排気デコンプ状態にすることにより、弁腕
室6の負圧でバキュームアクチェータ21が作動してスロ
ットル弁29が閉弁すると、デコンプレバー11がリターン
してもチェックバルブ36によりスロットル弁29の閉弁状
態が保持される。そして第1回目の吸気行程で吸気通路
2が負圧になると、弁装置20のチェックバルブ22が開弁
して弁装置37の他方の部屋37bの圧力が一方の部屋37aよ
りも低くなり、ダイヤフラム38がコイルばね39の付勢力
に抗して他方の部屋37b側に変形する。これにより分岐
管32aとダイヤフラム38との間に隙間ができて、一方の
部屋37aが分岐管32aと配管32とエアクリーナー33とを介
して大気に連通し、この一方の部屋37aは分岐管19aおよ
び配管19を介してバキュームアクチェータ21のダイヤフ
ラム室21aに連通しているので、ダイヤフラム室21aの圧
力が大気圧になって、スロットル弁29が開弁する。すな
わち始動操作時において、弁腕室6の圧力は第8図
(a)のように変化し、デコンプレバー11の姿勢は第8
図(b)のように変化し、配管19内のチェックバルブ36
よりも通路16側の圧力は第8図(c)のように変化し、
バキュームアクチェータ21のダイヤフラム室21aの圧力
は第8図(d)のように変化し、吸気通路2の圧力は第
8図(e)に実線で示すように変化し、弁装置37の他方
の部屋37bの圧力は第8図(e)に破線で示すように変
化する。なお第8図(e)の一転鎖線は弁装置37の作動
線を示している。
このようにすれば、スロットル弁29を全開にするのを
第1回目の吸気行程の負圧により行うことになるので、
第2回目の吸気行程ではスロットル弁29を確実に全開に
できる。
第9図は本発明のさらに別の実施例におけるディーゼ
ルエンジンの始動装置の概略構成図、第10図は同始動動
作を備えたディーゼルエンジンの平面図で、この実施例
では、ボンネット5の上部に始動補助剤注入手段として
のシリンダ装置42を設け、このシリンダ装置42を配管43
により燃料タンク44の内部に連通させ、配管43にチェッ
クバルブ45を介装し、シリンダ装置42のピストンロッド
46をボンネット5から外部に突出させてその先端をデコ
ンプレバー11に対向させている。またボンネット5に通
路7と連通する通路47を形成し、この通路47にチェック
バルブ48を配置して、配管43から通路47に連通する分岐
管43aを分岐させている。なおシリンダ装置42は、ピス
トン42aと、このピストン42aをピストンロッド46側に付
勢するコイルばね42bとを備えている。他の構成は第6
図の実施例と同様である。
この実施例においては、デコンプレバー11を第9図の
右側に倒して排気デコンプ状態にすることにより、デコ
ンプレバー11によってピストンロッド46が右側に押さ
れ、油圧によりチェックバルブ48が開弁して、始動補助
剤としての燃料が吸気通路2に注入される。
このようにすれば、始動補助剤が燃焼室に供給される
ので、着火性が向上し、始動をより一層確実に行うこと
ができる。またデコンプレバー11の操作により自動的に
始動補助剤を供給できるので、始動補助剤を供給するた
めの操作を別途行う必要がなく、始動操作を容易に行え
る。また始動補助剤として燃料を用いたので、別途始動
補助剤用のタンク等を設ける必要がなく、コストダウン
を図ることができる。なお始動補助剤として必ずしも燃
料を用いる必要はない。
第11図は本発明のさらに別の実施例におけるディーゼ
ルエンジンの始動装置の概略構成図で、この実施例で
は、シリンダ装置42をボンネット5の下部に設けて、ピ
ストンロッド46の先端に取手50を設け、手動操作により
始動補助剤を供給するように構成している。他の構成は
第9図の実施例と同様である。このようにすれば、任意
の時期に始動補助剤を供給できる。またデコンプレバー
11を設けていないエンジンにも採用できる。
なお上記第1,6,9,11図の実施例では、通路7,8がスロ
ットル弁29の下流側に連通されていてスロットル弁29に
は孔が設けられていないが、通路7,8がスロットル弁29
の上流側に連通している場合または大気開放されている
場合は、スロットル弁29自体に孔(図示せず)を設ける
必要がある。
第12図は本発明のさらに別の実施例におけるディーゼ
ルエンジンの始動装置の概略構成図、第13図は同始動装
置を備えたディーゼルエンジンの平面図で、この実施例
では、デコンプレバー11の操作によりスロットル弁29を
メカニカルに閉弁している。すなわち、スロットル弁29
の軸30にレバー53の一端部を固定し、軸30にレバー54の
一端部を回動自在に支持させ、レバー53の他端部とレバ
ー54の中間部とを思案点ばね55により連結している。デ
コンプレバー11の軸12の先端に、レバー54の先端部に第
12図の左側から当接するレバー56を固定し、レバー54の
先端部に円柱状の突起57を突設しており、この突起57は
バキュームアクチェータ58のロッド59に形成された長孔
60を貫通している。そしてバキュームアクチェータ58と
吸気通路2のスロットル弁29よりも下流側とを配管61に
より連通させており、配管61には弁装置20が介装されて
いる。
この実施例においては、デコンプレバー11の操作によ
り軸12が回動すると、レバー56によりレバー54が第12図
の右側に押されて右回りに回動し、この回動角度が所定
角度を越えた時点で、思案点ばね55の付勢力によりレバ
ー53が左回りに回動して、デコンプレバー11の操作を終
了したときにはレバー53,54は実線で示す姿勢になって
いる。ここでスロットル弁29はレバー53と一体に回動す
るので、デコンプレバー11の操作を終了したときには実
線で示すように全閉状態になる。第1回目の排気行程で
デコンプレバー11がリターンしても、レバー56はレバー
54に左側から当接しているので、レバー56によってレバ
ー54が左側へ押されることはなく、スロットル弁29の全
閉状態は継続される。第1回目の吸気行程で、スロット
ル弁29が閉弁しているので吸気通路2が負圧になり、弁
装置20のチェックバルブ22を経てバキュームアクチェー
タ58のダイヤフラム室58aが負圧になり、ロッド59が左
側へ引かれるが、弁装置20に絞り流路23があるため、ダ
イヤフラム室58aの負圧はゆっくりと減少する。これに
よりレバー54の突起57がロッド59によって左側に引かれ
てレバー54が左回りに回動し、この回動角度が所定角度
を越えた時点で、思案点ばね55の付勢力によりレバー53
が右回りに回動して、結局レバー53,54が仮想線で示す
姿勢に戻る。したがってレバー53と一体に回動するスロ
ットル弁29も仮想線で示すように全開状態に戻る。すな
わち始動操作時において、デコンプレバー11の姿勢は第
14図(a)のように変化し、スロットル弁29は第14図
(b)に示すタイミングで開閉し、レバー54は第14図
(c)に示すタイミングで回動し、吸気通路2のスロッ
トル弁29よりも下流側の圧力は第14図(d)に示すよう
に変化し、ダイヤフラム室58aの圧力は第14図(e)に
示すように変化する。なお、第12図は理解を容易にする
ために構成を簡略化して示しているが、実際には第13図
のように、ロッド59とレバー54とを、レバー54aとロッ
ド59aとを介して連結しており、突起57はレバー54aに突
設している。
このようにすれば、デコンプレバー11の操作によりメ
カニカルにスロットル弁29を閉弁できるので、閉弁動作
が確実であり、また製作コストが安価で、しかも故障が
少ない。なおデコンプレバー11とレバー54との連動を本
実施例のように軸12を用いて行う代わりに、ワイヤー等
で連動させることも考えられる。
第15図は本発明のさらに別の実施例におけるディーゼ
ルエンジンの始動装置の概略構成図で、この実施例で
は、エンジン始動用のロープの操作によりスロットル弁
29を閉弁させている。すなわち、リコイルケース64内の
リール65に巻回された始動用のロープ66の先端には取手
67が固定されており、リコイルケース64内のロープ出口
付近にはベローズ68が配置されている。ベローズ68の下
端には一端部が下向きに突出する円弧状に湾曲したレバ
ー69の一端部が当接しており、このレバー69の一端部下
面にはロープ66が当接している。レバー69はばね70によ
り第15図において左回りに付勢されており、ロープ66を
下向きに押圧して円弧状の屈曲部を形成させている。ベ
ローズ68は配管71を介してバキュームアクチェータ72の
ダイヤフラム室72aに連通しており、ダイヤフラム73は
コイルばね74によりダイヤフラム室72a側へ付勢されて
いる。ダイヤフラム73にはロッド75が連結されている。
ロッド75の先端にはピン76によりレバー77の一端部が回
動自在に連結されており、レバー77の他端部はスロット
ル弁29の軸30に固定されている。配管71からは大気に連
通する分岐管78が分岐しており、この分岐管78には絞り
79が介装されている。
この実施例においては、ロープ66を引張ることにより
レバー69がばね70の付勢力に抗して第15図の右回りに回
動し、ベローズ68を押し上げて圧縮する。これによりバ
キュームアクチェータ72のダイヤフラム室72aの圧力が
高くなり、ダイヤフラム73がコイルばね74の付勢力に抗
してダイヤフラム室72a側とは反対側に変形し、ロッド7
5を右側に押す。したがってレバー77が左回りに回動
し、レバー77と一体にスロットル弁29が回動して仮想線
のように全閉状態になる。配管71の空気は分岐管78と絞
り79とを介して次第に大気に逃げるので、ダイヤフラム
室72aの圧力は次第に低下し、所定時間が経過すればダ
イヤフラム73は元の状態に戻る。したがってスロットル
弁29も元の開弁状態に戻る。すなわちダイヤフラム室72
aの圧力は第16図(a)のように変化し、スロットル弁2
9の弁開度は第16図(b)のように変化する。
このようにすれば、ロープ66を引張ることにより自動
的にスロットル弁29を閉弁させることができ、スロット
ル弁29の閉弁操作を別途行う必要がないので、エンジン
の始動操作を容易かつ迅速に行える。また構成が簡単で
あるので、安価に製作できる。またデコンプレバー11を
設けていないエンジンにも適用できる。なお本実施例で
はベローズ68を圧縮しているが、ロープを引張ることに
よりベローズが引張られてベローズ内に負圧を発生さ
せ、この負圧によりダイヤフラムを作動させる方式も考
えられる。
第17図は本発明のさらに別の実施例におけるディーゼ
ルエンジンの始動装置に概略構成図で、この実施例で
は、遠心力とクランクケース内の負圧とを利用してスロ
ットル弁29を閉弁させている。すなわち、例えばクラン
ク軸やカム軸等のエンジンの出力軸と一体に回動する回
転体82の一方の面に、複数の重錘83が回転体82の半径方
向と直交する軸芯回りに回動自在に取付けられており、
各重錘83から回転体82の中心側に向けて一体に突出する
突起部84は、切換弁85のスプール86の一端に当接してい
る。スプール86はシリンダブロック1′に形成された孔
87に摺動自在に嵌合しており、ばね88により回転体82側
に付勢されている。シリンダブロック1′には孔87に臨
む通路89,90,91,92が形成されており、通路89はクラン
クケース内に連通し、通路91は大気に開放され、通路92
は通路90から分岐している。回転体82が第17図に示すよ
うに回転していない状態では、通路89と通路90とが連通
し、通路91と通路92との連通がスプール86により遮断さ
れている。通路90は配管93を介してバキュームアクチェ
ータ94のダイヤフラム室に連通しており、配管93には弁
装置95が介装されている。弁装置95の内部には、バキュ
ームアクチェータ94側から通路90側へのみ空気の通過を
許すチェックバルブ96と絞り流路97とが互いに並列に配
置されている。バキュームアクチェータ94のロッド98の
先端部には、ピン99によりレバー100の一端部が回動自
在に連結されており、レバー100の他端部はスロットル
弁29の軸30に固定されている。なおこの実施例では、シ
リンダブロック1′に切換弁85を設けているが、シリン
ダヘッド等の機関本体または外部に切換弁を設けてもよ
い。
この実施例においては、回転体82の回転により重錘83
に遠心力が作用して重錘83が回動し、突起部84によりス
プール86がばね88の付勢力に抗して第17図の右側に押さ
れる。スプール86を右側へ押す力は回転体82の回転速度
が増加するに従って大きくなる。したがって、回転体82
が回転していない状態では通路89と通路90とが連通し、
通路91と通路92との連通は遮断されている。回転体82が
回転を始めて回転速度が所定値に達すると、通路89と通
路90との連通が遮断され、通路91と通路92とが連通す
る。この結果、第1の圧縮行程においては回転体82の回
転速度が遅く、通路89と通路90とが連通しているので、
クランクケース内の負圧によりチェックバルブ96が開弁
してバキュームアクチェータ94のダイヤフラム室が負圧
になり、ロッド98が左側に引かれて第17図に実線で示す
ようにスロットル弁29が閉弁する。この後エンジン回転
速度が所定値に達すれば通路91と通路92とが連通する
が、チェックバルブ96は開弁せず、絞り流路97を介して
少量ずつバキュームアクチェータ94のダイヤフラム室に
空気が流入してゆっくりと圧力が高くなるので、第1回
目の吸気行程ではスロットル弁29は全閉状態であり、そ
の後に次第に開弁する。すなわちエンジン回転速度は第
18図(a)のように変化し、クランクケース内の圧力は
第18図(b)のように変化し、重錘83の開度は第18図
(c)のように変化し、通路89と通路90との連通路の開
度は第18図(d)に実線で示すように変化し、通路91と
通路92との連通路の開度は第18図(d)に破線で示すよ
うに変化し、バキュームアクチェータ94のダイヤフラム
室の圧力は第18図(e)のように変化し、スロットル弁
29の開度は第18図(f)のように変化する。
このようにすれば、エンジンの回転とクランクケース
内の負圧とを利用して自動的にスロットル弁29を開閉で
きるので、別途スロットル弁29の開閉操作をする必要が
なく、エンジンの始動作業を容易かつ迅速に行える。ま
たデコンプレバー11を設けていないエンジンにも適用で
きる。
第19図(A)(B)は本発明のさらに別の実施例にお
けるディーゼルエンジンの始動装置の概略構成図で、こ
の実施例では、遠心力を利用してスロットル弁29を開閉
している。すなわち、回転体82および重錘83を設けるの
は第17図の実施例と同様であるが、重錘83の突起部84が
回転体82の軸芯方向に移動可能な移動体103の一端に当
接しており、移動体103の他端は、中央部を回動自在に
支持されたレバー104の一端に当接している。レバー104
は他端をばね105により移動体103側とは反対側に付勢さ
れており、レバー104の他端部にはロッド106の一端部が
回動自在に連結されている。ロッド106の他端部はレバ
ー107の一端部に回動自在に連結されており、レバー107
の他端部はスロットル弁29の軸30に回動自在に支持され
ている。レバー107の一端部には思案点ばね108の一端が
固定されており、思案点ばね108の他端はレバー109の一
端部に固定されている。レバー109の他端部はスロット
ル弁29の軸30に固定されている。
この実施例においては、回転体82が回転していないと
きには第19図(A)のようにスロットル弁29が全閉状態
である。回転体82が回転して遠心力により重錘83が変位
すると、突起部84により移動体103が右方に押され、ば
ね105の付勢力に抗してレバー104が右回りに回動し、ロ
ッド106が左側に引かれてレバー107が左回りに回動す
る。この回動角度が所定角度を越えると、思案点ばね10
8の付勢力によりレバー109が右回りに回動し、レバー10
9と一体に回動するスロットル弁29が開弁する。エンジ
ンの回転速度が所定値に達すると、第19図(B)のよう
にスロットル弁29が全開する。この状態で重錘83は回転
体82に当接しており、これ以上エンジン回転速度が上昇
してもスロットル弁29は回動せずに全開状態を維持す
る。エンジン回転速度が所定値以下になれば、上記と逆
の動作によりスロットル弁29が次第に閉弁する。
このようにすれば、エンジンの回転を利用して自動的
にスロットル弁29を開閉できるので、別途スロットル弁
29の開閉操作をする必要がなく、エンジンの始動作業を
容易かつ迅速に行える。またメカニカルにスロットル弁
29を開閉するので、構造が簡単で安価に製作でき、しか
も故障が少なく耐久性に優れている。またデコンプレバ
ー11を設けていないエンジンにも適用できる。
(発明の効果) 以上説明したように本発明によれば、ディーゼルエン
ジンの吸気経路に、吸入空気量を制限する吸気量制限手
段を設け、エンジン始動時に、吸気量制限手段により吸
気量を絞ってエンジン始動トルクを軽減する構成とした
ので、手動始動式のディーゼルエンジンの場合、始動に
要する力を効果的に軽減でき、力の弱い物でも始動作業
を楽に行える。また電気始動式のディーゼルエンジンの
場合、クランキング力を低減できるので、スタータモー
タの容量を小さくでき、軽量コンパクト化および低コス
ト化を図ることができる。
またエンジン始動操作の開始によりクランクケース内
の負圧を利用して吸気量制限手段を作動状態にさせるこ
とにより遅くとも第1回目の吸気行程までに吸気量を絞
らせる吸気量制限手段駆動装置を設ければ、クランクケ
ース内の負圧を利用するので駆動用のメカニズムが不要
であり、空圧機器とエアー配管だけで吸気量制限手段を
駆動できることから、製作が容易である。
また吸気量制限手段駆動装置を、クランクケース内の
負圧により作動するダイアフラム式のバキュームアクチ
ェータにより構成し、吸気量制限手段解除装置を、バキ
ュームアクチェータ内を負圧にするためのチェックバル
ブと、バキュームアクチェータ内の負圧を次第に大気圧
に近付けるための絞りとが互いに並列に接続された弁装
置により構成すれば、空圧回路の構成が簡単であり、安
価に製作できる。
また吸気量制限手段を、レバーの操作に基づいて作動
する構成にすれば、吸気量制御手段を任意の時期に作動
させることができる。
また吸気量制限手段を、エンジン始動時に排気弁を開
弁させるためのデコンプレバーの操作に基づいて作動す
る構成にすれば、排気デコンプに連動して吸気量制限手
段を作動させることができ、エンジンの始動操作を容易
かつ迅速に行える。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例におけるディーゼルエンジン
の始動装置の概略構成図、第2図は同始動装置を備えた
ディーゼルエンジンの平面図、第3図はエンジン始動時
における各部圧力変化の説明図、第4図は吸気絞り比に
対する充填効率と圧縮時の最高温度と圧縮時の最高圧力
との関係の説明図、第5図はエンジン始動時において始
動用ロープを引張るのに要する力の変化の説明図、第6
図は本発明の別の実施例におけるディーゼルエンジンの
始動装置の概略構成図、第7図は同始動装置を備えたデ
ィーゼルエンジンの平面図、第8図はエンジン始動時に
おける各部圧力変化の説明図、第9図は本発明のさらに
別の実施例におけるディーゼルエンジンの始動装置の概
略構成図、第10図は同始動装置を備えたディーゼルエン
ジンの平面図、第11図は本発明のさらに別の実施例にお
けるディーゼルエンジンの始動装置の概略構成図、第12
図は本発明のさらに別の実施例におけるディーゼルエン
ジンの始動装置の概略構成図、第13図は同始動装置を備
えたディーゼルエンジンの平面図、第14図はエンジン始
動時における各部作動タイミングの説明図、第15図は本
発明のさらに別の実施例におけるディーゼルエンジンの
始動装置の概略構成図、第16図はエンジン始動時におけ
るスロットル弁の開度とバキュームアクチェータのダイ
ヤフラム室の圧力との関係の説明図、第17図は本発明の
さらに別の実施例におけるディーゼルエンジンの始動装
置の概略構成図、第18図はエンジン始動時における各部
作動タイミングの説明図、第19図(A)(B)は本発明
のさらに別の実施例におけるディーゼルエンジンの始動
装置の概略構成図である。 2……吸気通路(吸気経路)、7,8……通路(ブリーザ
通路、絞り通路)、11……デコンプレバー、20……弁装
置、21……バキュームアクチェータ、22……チェックバ
ルブ、23……絞り流路(絞り)、29……スロットル弁
(吸気量制限手段)、42……シリンダ装置(始動補助剤
注入手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 由利 誠 大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤン マーディーゼル株式会社内 (56)参考文献 実開 昭61−59846(JP,U) 実開 昭63−186943(JP,U) 実開 昭56−83665(JP,U) 実開 昭58−146045(JP,U) 実開 昭63−14433(JP,U)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ディーゼルエンジンの吸気経路に、吸入空
    気量を制限する吸気量制限手段を設け、エンジン始動時
    に、前記吸気量制限手段により吸気量を絞ってエンジン
    始動トルクを軽減する構成とし、エンジン始動操作の開
    始によりクランクケース内の負圧を利用して吸気量制限
    手段を作動状態にさせることにより遅くとも第1回目の
    吸気行程までに吸気量を絞らせる吸気量制限手段駆動装
    置と、エンジン始動操作の開始から3サイクル以内に前
    記吸気量制限手段を非作動状態にさせることにより吸気
    量の絞りを解除させる吸気量制限手段解除装置とを設け
    たことを特徴とするディーゼルエンジンの始動装置。
  2. 【請求項2】吸気量制限手段駆動装置は、クランクケー
    ス内の負圧により作動するダイアフラム式のバキューム
    アクチェータからなり、吸気量制限手段解除装置は、前
    記バキュームアクチェータ内を負圧にするためのチェッ
    クバルブと、前記バキュームアクチェータ内の負圧を次
    第に大気圧に近付けるための絞りとが互いに並列に接続
    された弁装置からなる構成としたことを特徴とする特許
    請求の範囲第1項に記載のディーゼルエンジンの始動装
    置。
  3. 【請求項3】吸気量制限手段は、レバーの操作に基づい
    て作動し、第1回目の吸気行程の終了後に吸気量の絞り
    を解除する構成としたことを特徴とする特許請求の範囲
    第1項ないし第2項のいずれかに記載のディーゼルエン
    ジンの始動装置。
  4. 【請求項4】レバーは、エンジン始動時に排気弁を開弁
    させるためのデコンプレバーであることを特徴とする特
    許請求の範囲第3項に記載のディーゼルエンジンの始動
    装置。
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