JP2704297B2 - 液体噴射記録装置 - Google Patents

液体噴射記録装置

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JP2704297B2 JP22632289A JP22632289A JP2704297B2 JP 2704297 B2 JP2704297 B2 JP 2704297B2 JP 22632289 A JP22632289 A JP 22632289A JP 22632289 A JP22632289 A JP 22632289A JP 2704297 B2 JP2704297 B2 JP 2704297B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は液体噴射記録装置に関し、詳しくは記録ヘッ
ドのインク吐出を回復させる吸引回復装置を備えた液体
噴射記録装置に関する。
〔従来の技術〕
第12図は従来の液体噴射記録装置の吸引回復装置の一
例を示す模式的斜視図である。
第12図において、48は記録ヘッドであり、キャリッジ
49に搭載されている。キャリッジ49は、平行配設された
キャリッジ軸50、52に摺動自在に装着され、不図示のキ
ャリッジモータの駆動によってキャリッジ軸50、52上を
記録媒体75に対向しながら往復移動する。キャリッジ49
のホームポジション位置には、ケーシング80が設置さ
れ、内部にはクリーニング機構53、キャップ54およびキ
ャップ54を開閉させるための駆動機構などが設けられて
いる。
クリーニング機構53は、その先端部に記録ヘッド48の
吐出面と摺擦可能に装着されたスポンジなどのインク吸
収体を備え、さらに、図示の例では、ホームポジション
側へ移動するキャリッジ49の底部に設けられている突起
56がケーシング80の近接位置に配置されているポンプ55
の頭部55aを押圧し、該ポンプ55からチューブ55bを通し
て送り出される圧縮空気を吐出面に向けて噴射すること
により、該吐出面に付着したインクやほこり等を除去す
るように構成されている。
キャップ54は、記録ヘッド48の吐出面に圧接可能な枠
側のゴムなどの弾性材が表面に装着され、その中央部に
はインク吸引用の開口が設けられ、この開口にはチュー
ブ57を介してポンプ58が接続されている。
ポンプ58は、ピストン59を有し、その端部にはピン60
がピストン59の移動方向に直交する方向に取付けられて
いる。ピン60の一端は歯車61aの側面にスパイラル状に
形成された溝62に嵌入しており、歯車61aの回転に応じ
てピストン59が昇降する。歯車61aは、複数の歯車によ
る減速機構に噛合している。
また、キャップ54は、記録ヘッド48が対向する位置に
到着したときに該記録ヘッドの吐出面に圧接し、回復動
作終了とともに該吐出面より離間するように駆動され
る。
このため、カム61bが設けられ、その回転に応じてキ
ャップ54の背面が押圧され、キャップ54およびその一体
化されている部材が前進または後退するように駆動され
る。さらに、キャップ54内の負圧解除などを行なうため
にスプリング機構63が設けられている。
前記ポンプ58には、排インクチューブ64を介してイン
カートリッジ65が連結されている。このインカートリッ
ジ65と記録ヘッド48との間には、インク供給チューブ66
が接続され、ヘッド内のインク室にインクを供給してい
る。
以上の構成において、回復動作を行なう場合、まず、
キャリッジ49を第12図の左方向へ移動させる。キャリッ
ジ49がケーシング80の近傍に達すると、キャリッジ49の
移動と同時に回転を開始している減速機構のカム61bが
コイルバネ76の付勢力に抗してキャップ54の背面を押圧
し、キャップ54をヘッド方向へ押し出し、記録ヘッド48
の吐出面にキャップ54の表面を密接させる。
次いで、溝62の回転によりピストン59が押下され、ポ
ンプ58内に負圧が生じ、同時にキャップ54内に負圧が生
じる。この負圧により、記録ヘッド48の吐出口よりイン
クが強制吸引され、吐出回復が行なわれる。
なお、この回復動作の詳細については、その構成の詳
細説明とともに以下において説明する。
第13図および14図は、キャップ駆動機構の詳細を示す
縦断面図および正面図である。
第13図に示すように、キャップ54はキャップホルダ67
に保持され、このキャップホルダ67をホルダ68が保持し
ている。キャップホルダ67の背面には、ピン状の突起70
がホルダ68の仕切り壁を貫通するように形成されてお
り、この突起コイルバネ69が外嵌されている。
このコイルバネ69は、後端がホルダ68の仕切り壁に接
するように配設されて、キャップ54の表面がヘッド面に
適度の圧力で接触できるようにされている。また、突起
70の後部には、キャップ54の前進を規制するEリング71
が外嵌されている。
ホルダ68の一部には、ダボ部72が設けられ、フラット
カム73のダボ部74とダボ部72の間にコイルバネ76が係着
されている。キャップホルダ67およびホルダ68は、図示
の矢印方向に移動可能で配設されている。
このため、キャップ54および前記駆動機構は、スライ
ダ77上に一体的に装着されており、スライダ77のアーム
部78に記録ヘッド48の一部が当接して、スライダ77がキ
ャップ軸78に沿ってキャリッジ49と共に第12図の左方向
へ移動する。
このとき、ホルダ68のダボ部72がフラットカム73のカ
ム面58に沿って移動するため、ホルダ68が前方すなわち
記録ヘッド48方向へ移動し、最終的にはキャップ54が記
録ヘッド48の記録面に圧接される。このとき、第14図お
よび第15図に示すように、キャップ54のダボ部であるエ
アバルブ79が、ストッパ81に当接する。この状態では、
第15図のように、大気開放弁(エアバルブ)79がストッ
パ81により閉じられ、大気連通孔82が閉じる。
一方、インクキャップチューブ57は、第12図のポンプ
58に接続されているので、ピストン59が押下されると、
ポンプ58内に負圧が生じて、記録ヘッド48に密着してい
るキャップ54内にも負圧が生じる。この結果、記録ヘッ
ド48の吐出口から強制的にインクが吸引され、吐出口内
外の異物、固着物などが排除され、不吐出状態が解消さ
れる。
下死点に達したピストン59が溝62に対するカム運動に
より、上方向に移動すると、ポンプ58は加圧状態にな
り、キャップ54内から吸引されたインクが排インクとし
て排インクチューブ64を介してインカートリッジ65内の
排インク溜に回収される。
この状態では、記録ヘッド43の吐出口より吸引された
インクは、まだキャップ54内および排インクチューブ内
に残っている。したがって、吐出面(吐出口が形成され
た面)にインクが付着しており、この付着インクのため
に、インクの表面張力がインク吐出力より大きい場合に
は、インク不吐出が発生し、或いはキャリッジ49の右方
向移動時にクリーニング機構53のブレードの当接によっ
てインク飛散が生じ、記録媒体75を汚し、著しい印字品
位の低下を招いている。
このような、問題を解決するために、次のシーケンス
としては、キャップ54内のインクおよび吐出面に付着し
たインクを除去するため、キャップ54が吐出面に圧接し
た状態のまま、エアバルブ79とストッパ81の当接を解除
するようにキャリッジ49を右方向へ移動させる。
この状態でポンプ58を動作させると、大気連通孔82が
第15図のようにL型になり、これが第14図のようにキャ
ップ54の上側に配設されているため、大気連通孔82を介
して空気がキャップ54に吸収され、キャップ54の上側か
ら排インクチューブ57が取付けられている下側へと空気
が流動するため、キャップ54内のインクおよび吐出面に
付着したインクが除去される。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、上記従来技術による吸引回復装置では、キャ
ップ54を記録ヘッド48の吐出面に圧接させるためのフラ
ットカム73の他、キャップ54内を大気に連通または遮断
させるためのストッパ81を必要とするため、構成が複雑
になる。
また、ストッパ81をキャリッジ49の走行方向に設ける
必要があり、キャッピング時に吐出口を加圧しないよう
にするためには、回復系がキャリッジ49の走行方向に大
きくなるという問題があった。
更に、キャップ54の側面に大気連通孔82を設ける必要
があり、キャップ54構造が複雑になる。
また、インク吸引後、キャップ54内のおよび吐出口面
に介在するインクを除去するために、キャリッジ49を右
方向へ移動(エアバルブ79とストッパ81との当接を解除
させるため)させ、この後にポンプ58を作動させる必要
がある。このためにキャリッジ49を右方向へ移動させる
ための時間が必要になると共に、吐出口からインクを吸
引するためおよびインク除去のために2回のポンプ動作
を必要としていた。
本発明はこのような従来技術に鑑みてなされたもので
あり、本発明の目的は、キャリッジの移動を利用してキ
ャップの覆蓋駆動および大気開放弁の閉駆動を行なうこ
とができ、簡単な構成により記録ヘッドの吐出回復を短
時間にしかも効率よく行うことができる吸引回復装置を
備えた液体噴射記録装置を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明(請求項1)の液体噴射記録装置は、上記目的
を達成するため、液体を吐出する吐出口が設けられた吐
出面を備えた記録ヘッドを搭載して移動するためのキャ
リッジと、前記吐出面を覆蓋するためのキャップと、該
キャップが前記吐出面を覆蓋しているときに前記吐出口
から吸引を行うための吸引手段と、該吸引手段による吸
引後または吸引中に前記キャップ内に大気を導入するた
めの大気開放弁と、前記キャリッジの移動方向に沿って
前記キャップの背部の配設された1または複数のレール
と、を有し、前記キャリッジの移動に連動して当該移動
方向に沿って前記キャップが移動し、該キャップの移動
に応じて前記レールが前記キャップを押圧することによ
り前記キャップを覆蓋駆動がなされ、前記キャップの移
動に応じて前記レールが前記大気開放弁を押圧すること
により前記大気開放弁の閉駆動がなされ、前記覆蓋駆動
と前記閉駆動とは両者のタイミングに時間差があるよう
になされることを特徴とする。
請求項2〜5の発明は、上記構成に加えて、前記大気
開放弁の閉駆動のタイミングを前記キャップの覆蓋駆動
のタイミングより遅らせる構成、前記レールの前記両者
のタイミングに対応する部分に、記録ヘッド側へせり出
した段差部を設ける構成、前記レールが複数であると
き、前記キャップの覆蓋駆動用のレールの段差部を前記
大気開放弁の閉駆動用のレールの段差部より印字領域寄
りに設ける構成、あるいは前記レールが複数であると
き、前記キャップの覆蓋駆動用のレールの段差部と比
べ、前記大気開放弁の閉駆動用のレールの段差部は、そ
の傾斜開始位置が同一でかつその傾斜角度が緩やかであ
ることを構成とすることにより、一層効率よく上記目的
を達成するものである。
〔作用〕
上記構成の液体噴射記録装置によれば、キャリッジの
移動に連動しかつレールに沿ったキャップおよび大気開
放弁の移動を利用することで、専用かつ複雑な作動機構
を設けることなく該キャップおよび該大気開放弁を自動
的に適正時期に駆動することができる。
そして、キャップの覆蓋駆動を大気開放弁の閉駆動に
先行して行うことにより、キャップが覆蓋された後に大
気開放弁が閉められることになり、キャッピング時にキ
ャップ内が加圧されて吐出口のメニスカスが大きく後退
することを防止でき、メニスカス後退に起因する不吐出
を防止することができる。
〔実施例〕
以下、第1図〜第11図を参照して本発明を具体的に説
明する。
〔第1の実施例〕 第1図は本発明を適用した液体噴射記録装置の一実施
例を示す模式的斜視図、第2図および第3図は第1図中
の紙送り駆動とキャップ駆動の切り換えのためのギア機
構を示す模式的斜視図、第4図は第1図中のキャッピン
グユニットを示す模式的縦断面図、第5図および第6図
は第1図中の吸引回復装置を示す模式的斜視図、第7図
(a)〜(d)は第5図および第6図の吸引回復装置の
キャップおよび大気開放弁の作動状態を示す模式的平面
図、第8図は本発明による液体噴射記録装置の吸引回復
装置の各部の動作を例示するタイミングチャート、第9
図〜第11図は本発明を適用した液体噴射記録装置の第2
実施例〜第4実施例の要部を示す模式的斜視図である。
第1図において、1は内臓するエネルギー発生手段
(圧電素子、抵抗発熱体など)を記録情報に応じて駆動
することによりインク滴を吐出する複数の吐出口を備え
た記録ヘッド、2は記録ヘッド1を搭載して主走査方向
へ移動するキャリッジ、3はキャリッジ2を摺動自在に
支持するキャリッジ軸、4は記録される記録媒体、5は
記録媒体4を搬送(紙送り)するフィードローラであ
る。
6はフィードローラ5の駆動および自動給紙を行なう
ための駆動源となるパルスモータ、7はキャップユニッ
トを搭載したポンプキャリッジ、8はキャリッジ軸3と
平行に設置されたガイド軸である。前記ポンプキャリッ
ジ7は、前記ガイド軸8に沿ってキャリッジ移動方向と
平行な方向に移動可能に案内支持されている。9はポン
プキャリッジ7を図の右方向へ付勢するための戻しバネ
である。
ポンプキャリッジ7にはアーム部7aが設けられ、その
先端部にはキャリッジ2の右側面に設けられた突起2aが
嵌入可能な穴7bが設けられている。この穴7bにはキャリ
ッジ2が左に移動してきたときに突起2aが嵌入し、記録
ヘッド1の吐出面にキャップ17を被せるときに、キャリ
ッジ2が上下方向に回動するのを防止している。
ポンプキャリッジ7の後部には、第2図に示すよう
に、キャリッジ走行方向に弾力性を持った板バネ10の一
端が固定されている。さらに、板バネ10の他端は、スラ
イドギア11を支持しているスライドギア支持台12に挟み
こまれるように保持されている。
また、スライドギア支持台12は、スライド軸13に沿っ
てキャリッジ走行方向に移動可能に設けられている。し
たがって、スライドギア11は板バネ10の弾性力で押圧さ
れた位置で停止している。このため、キャリッジ2が移
動して、キャリッジ2の突起2aがポンプキャリッジ7の
アーム部7aに当接し、一体となって移動することによ
り、スライドギア11はキャリッジ走行方向に移動する。
スライドギア11は第3図に示すように、キャリッジ走
行方向と平行に独立して回動するギアに噛合している。
図中、14は紙送りギアに駆動力を伝達するフィードギ
ア、15はASF紙送りの駆動力を伝達するASFギア、16は吸
引回復装置に駆動力を伝達するポンプギアである。
ポンプギア16は2枚のギアが一体にされ、左側のギア
16bが吸引回復装置のポンプカム28に噛合している。し
たがって、キャリッジ2の停止位置によってポンプキャ
リッジ7および板バネ10を介してスライドギア11がギア
14、15、16のいずれかに噛合し、パルスモータ6の駆動
力を選択的に伝達できるようにされている。
第4図はキャッピングユニットの詳細を示す模式的縦
断面図である。
キャップ17は、ヘッドの吐出面の外縁部に弾性力を持
って圧接するゴムなどの弾性部材を用いて構成され、通
気口17aおよび駆動空間17bを有している。また、キャッ
プ17はキャップホルダー18に支持され、このキャップホ
ルダー18はホルダー19に保持されている。
キャップホルダー18の背面には、棒状でかつ先端部が
ホルダー19の後壁を貫通する突起18aが形成され、この
突起18aにコイルバネ20が外嵌されている。また、突起1
8aの先端部には、キャップホルダー18のヘッド方向への
移動を規制するEリング21が装着されている。
なお、キャップホルダー18は、ホルダー19に対してホ
ルダー19に設けられた不図示のガイドによって第4図の
左右方向に移動可能であると共に、ホルダー19はポンプ
キャリッジ7に対してポンプキャリッジ7に設けられた
不図示のガイドにより第4図の左右方向へ移動可能にさ
れている。
ホルダー19の後部には、溝19aが設けられており、こ
の溝19aにレール22が挿入されている。レール22は、上
下方向に2分割されており(この場合、レール22aおよ
び22bは独立して動きさえすればよく、互いに独立して
いても、1つのレールが途中で2分割されてもよい)、
下側のレール22bはホルダー19(従ってキャップ17)を
記録ヘッド1に対して前進、後退させるために用いら
れ、上側のレール22aは大気開放弁23を開閉させるため
に用いられる。
このレール22の背部には、レールアーム部22cが設け
られ、その先端にレールダボ部22dが設けられている。
なお、レール22は、第5図に示すように装置本体と一体
または該装置本体に固定されたポンプベース25に支持さ
れている。
第4図において、ホルダー19の背面には、大気開放弁
23が設けられており、該大気開放弁23はバネ24によって
図の左側に付勢されている。したがって、大気開放弁23
は、レール23aに沿って図の左右方向へ移動可能であ
る。なお、大気開放弁23の取付けは、ホルダー19の上方
向から挿入して固定する。
また、大気開放弁23はキャップ17に設けた通気口17a
の正面に位置しており、この通気口17aを大気開放弁23
で閉じることにより、空間17bを密閉状態にすることが
できる。さらに、キャップ17内の底部にはインク吸収体
69が配設され、インクの吸引時にインクを吸収保持し、
キャッピング時のノズルの乾燥を防止している。
レール22は、必ずしも剛体である必要はなく、弾性変
位可能な部材で形成してもよい。このレール22は、記録
装置の上部から見ると第7図の各図に示すように図の左
方向へ向かうにつれて記録ヘッド1側にせり出した形状
を成している。したがって、ポンプキャリッジ7のアー
ム部7aにキャリッジ2の突起2aが当接し、ポンプキャリ
ッジ7とキャリッジ2が一体に移動し、ホルダー19およ
び大気開放弁23がレール22bおよび22aの形状に沿って移
動し、第7図(b)の段階でキャップ17がヘッド吐出面
に圧接する。
まず、キャリッジ2が第1図のように、印字範囲にあ
るとき、ポンプキャリッジ7は戻しバネ9によって付勢
されており、第7図(a)のようにポンプベース25の側
面に当接している。この状態でキャップ17は記録ヘッド
1とオーバーラップしない(当接しない)位置関係にあ
り、かつ大気開放弁23は通気口17aを閉じていない。
次に、キャリッジ2が印字範囲を越えて左に移動し、
突起2aがアーム部7aに当接し、更に左に移動すると大気
開放弁23とホルダー19が、レール22aおよび23bに沿って
移動し、第7図(b)の位置にキャリッジ2が移動した
ときにキャップ17が記録ヘッド1の吐出面に圧接する。
なお、このときの圧接力は、バネ20により約300gであ
る。
このとき、第7図(b)に示すように、ホルダー19が
レール22に当接している位置と、大気開放弁23がレール
22に当接している位置とは、レール22の長手方向に距離
lだけずれているため、レール22aと22bの立ち上がり位
置、立ち上がり角度およびレール22の変位量が同じでも
大気開放弁23はレール22aを登りきっておらず、キャッ
プ17の通気口17aを閉じていない。
そのため、キャップ17と記録ヘッド1との空間17bは
大気と連通状態にあり、キャッピングによって記録ヘッ
ド1が加圧されない為、吐出部でのメニスカス後退によ
る不吐出を生じることは無い。
更に、キャリッジ2が左に移動し、大気開放弁23がレ
ール22aを登りきったときに大気開放弁23がキャップ17
の通気口17aを閉じ、空間17bが密閉状態になる。
この状態から更にキャリッジ2が左に移動して第7図
(c)の位置に来ると、スライドギア11がポンプギア16
に噛合し、吸引回復装置が作動する。このとき、第4図
〜第6図に示すように、キャップ17に吸引チューブ26が
接続されており、他端は第5図に示すようにシリンダ27
に接続されているので、このシリンダ27で発生した負圧
が吸引チューブ26を介して空間17bに導かれる。
第7図(c)の位置にキャリッジ2が位置することに
よって、パルスモータ6の回転力が、ポンプギア16→ギ
ア16b→ポンプカム28のギア部を介して吸引回復装置に
伝達される。
ポンプカム28と29は、不図示の位置決め用ダボと一体
化されており、ポンプカム軸30に対して回動可能にされ
ている。ポンプカム28と29の対向面には、第6図に示す
ように、ピストン31に一体的に結合された平行ピン32の
両端が摺動可能なように楕円形の溝部が設けられ、カム
の回転に応じて平行ピン32が上下動し、ピストン31を上
下動させる。
また、第5図に示すように、ポンプカム29にはポンプ
フラグ33の一端を押し下げる突起34が設けられており、
このポンプフラグ33はガイド軸8を回転中心として回転
運動が可能にされている。
また、ポンプフラグ33の他端部33aの対向位置(第1
図に示すキャリッジ2の下部に)に、透過型センサ35を
設けられている。突起34が回転して来てポンプフラグ33
の一端に当接している間、他端部33aが透過型センサ35
の発光部より受光部に送られている光線を遮断すること
により、この遮断時点からパルスモータ6のパルス数を
管理することにより吸引回復装置の位置制御が可能にな
る。
この状態から更に突起34が回転してポンプフラグ33の
一端を外れると、ポンプフラグ33は自重もしくはバネに
よる弾性力により、ガイド軸8を回転中心として逆回転
する。ポンプフラグ33の他端33aは、透過型センサ35か
ら出た光線が、透過できるようになる。なお、ポンプフ
ラグ33は、ポンプベース25に設けられた不図示のストッ
パにより回転が停止する。
ポンプカム28の右側面には、第5図に示すように、レ
ール22aに設けられたアーム22cのダボ部22dをガイドす
るカム28bおよび擦りレバー36をガイドするカム(不図
示)が設けられている。擦りレバー36はポンプベース25
によて支持されており、記録ヘッド1に対して回転可能
な構成にされている。
擦りレバー36の後部は、ポンプカム28の右側面に設け
られて不図示のカムによりガイドされ、このカムに乗り
上げたときに回転を受け、擦り部材37(擦りレバー36の
右側に設けられており、その材料に例えば、エーテル系
ポリウレタン連続気孔体が用いられる)を記録ヘッド1
に対してオーバーラップする位置まで前進させることが
可能なようにされている。
そして、擦り部材37を前進させた状態で、キャリッジ
2が擦り部材37の前面に来るまで左から右へ移動するこ
とにより、記録ヘッド1の吐出面のインク、不純物など
が除去され、記録ヘッド1の吐出安定性が確保される、
なお、擦り部材37の記録ヘッド1に対する圧接力は、擦
り部材37自身の弾性力を用い、あるいは別個に擦り部材
37の後方に設けることにより得ることができる(その圧
接力は、例えば100g程度である)。
第5図および第6図に示すように、ポンプカム28の上
部には、突起28cが設けられ、この突起28cがホルダー19
の後部を押圧することにより、レール22bおよびキャッ
プ17を弾性変形させ、吐出口内に空気を押し込むことに
より印字不良の原因の1つである微小泡を除去すること
ができる。
この微小泡の除去は、空気押し込みによって形成され
る大きな泡と共にインクを吐出口から排出することによ
って行われる。また、カム28bがアーム22cのダボ部22d
を後方へ引くと、レール22aが大気開放弁23の押圧を解
除し、バネ24の弾性力によって大気開放23が押し戻さ
れ、それまで密封状態であったキャップ17内に大気が導
入される。
さらに、記録ヘッド1の吐出安定性を確保するため
に、ポンプベース25の右側板にワイパー38が設けられて
いる。このワイパー38は、たとえば肉厚0.3mmのシリコ
ンゴム板が用いられ、記録ヘッド1に対して常時オーバ
ーラップ(そのオーバーラップ量は、例えば、1.0mm)
するように固定されている。これにより、記録ヘッド1
がワイパー38の前を通過するときには、必ず吐出面が拭
き取られるので、吐出面に付着する紙粉、塵、インクか
すなどが除去される。
次に、回復動作について、第7図(a)〜(d)およ
び第8図のタイミングチャートを参照して説明する。
回復動作の信号が制御ユニットのCPU(或いはMPU)に
与えられると、キャリッジ2は印字領域から、吸引回復
装置が作動可能な領域へと移動する。この移動過程にお
いて、ワイパー38の前を通過する際に記録ヘッド1の吐
出面がクリーニングされる。
次いで、キャリッジ2の突起2aがポンプキャリッジ7
のアーム部7aに当接し、そのまま一体になって第7図
(a)の左方向へ移動する。ホルダー19および大気開放
弁23がレール22a、22bの斜面を登り、最初にキャップ17
の表面部が記録ヘッド1に圧接する。このとき、第7図
(b)に示すように、ホルダー19および大気開放弁23が
レール22に接する位置がlだけずれているため、キャッ
プ17内部は大気に連通しており、吐出口が加圧されるこ
とはなく、キャッピングによる吐出口のメニスカス後退
は発生しない。
この状態から、更にキャリッジ2が左に移動すると、
吸引回復装置が駆動される位置に来る。この状態では、
すでに大気開放弁23がキャップ17の通気口17aを閉じて
おり、記録ヘッド1とキャップ17との間の空間部17b
は、密閉状態になっている。
ここで、ポンプカム28、29が回転を始め、最初にポン
プカム29面上にある突起34がポンプフラグ33の一端を押
し上げ、ポンプフラグ33の他端に設けられた他端部33a
がキャリッジ2の下部に配設された透過型センサ35の構
成を遮断する。この位置を吸引回復装置のイニシャル位
置と定め、パルスモータ6のパルス数を管理する。
この状態から更にポンプカム28、29が回転し、突起34
がポンプフラグ33の位置を通過すると、ポンプフラグ33
は元の位置に戻り、透過側センサ35の光線は非遮断状態
になる。
ポンプカム28がさらに回転すると、ポンプカム28の右
側面に設けたカム(不図示)により、擦りレバー36の後
部がモーメントを受け、その結果、擦りレバー36が回転
し、擦り部材37が記録ヘッド1とオーバーラップする位
置まで前進して来る。
ここで、一旦、ポンプカム28の回転を停止させ、擦り
部材37を通過するようにキャリッジ2を右へ移動させ
る。このとき、記録ヘッド1の吐出面が擦り部材37によ
って擦られ、吐出面に付着していたインク、固着物など
が除去される。次いで、キャリッジ2を再び左に移動さ
せ、吸引回復装置の駆動が可能になる位置にセットす
る。
そしてポンプカム28を回転させてホルダー19の後部を
押圧し、キャップ17を記録ヘッド1の吐出面に圧接さ
せ、更に突起28cでレール22bとキャップ17を弾性変形さ
せて該キャップ内の空間17bを加圧することにより吐出
口内に空気を押し込む。
こうして吐出口内に空気を押し込んだ後、ポンプカム
28、29の回転によりピストン31を押し下げる。このとき
にシリンダ27に生じた負圧が吸引チューブ26を介して、
キャップ17内に形成された空間17bに作用し、吐出口内
のインクを吸引する。これにより、吐出不良の原因であ
る吐出口内の微小気泡および吐出口前面に付着する塵、
不純物などのが除去される。
しかし、この状態のままでは、記録ヘッド1の吐出口
より吸引されたインクがキャップ17内および吸引チュー
ブ26に残留しており、これが吐出面に再付着して、不吐
出および吐出方向の偏向を生じさせ、インク滴の着弾点
位置精度を悪化させる。また、ワイパー38で拭かれる際
に飛散したインクが記録装置内を汚染する可能性もあ
る。
そこで、この問題を解決するために、本実施例では、
カム28bによってレール22先端に設けたダボ22dを後方に
引くようにし、レール22aが弾性変形して後方に引か
れ、大気開放弁23が後退するようにしている。
これにより、キャップ17の通気口が開かれ、キャップ
17の空間部17bが大気に連通し、吐出口からのインク吸
引が停止し、シリンダ27内の負圧により通気口17aより
空気が流れ込み、空間部17bのインクと共にシリンダ27
内に吸引される。
したがって、キャップ17内にインク溢れが生じること
はなく、吐出面に付着したインクも除去される。ポンプ
カム28が更に回転することにより、レール22aの後方へ
の引っ張りは解除され、レール22aの弾性により元の形
状に復帰し、通気口17aが再び大気開放弁23によって閉
じられる。以上により、回復動作の1シーケンスが終了
する。
なお、インクを大量に吸引するとき、例えば、新しい
インカートリッジから吐出口までインクを充填する場
合、第8図に示すように、大気開放弁23が開く前にポン
プカム28の正、逆回転を繰り返し、ピストン31を繰り返
し昇降させ、連続的にインクを吸引するようにする。
また、吸引されたインクは、ピストン31が上方向に移
動するときにシリンダ27が加圧され、排インクとして排
インクチューブ90を介して排インク取入口91からインカ
ートリッジ92内の排インク溜(不図示)に排出される。
〔第2の実施例〕 第9図は本発明を適用した液体噴射記録装置の第2実
施例の主要部を示す模式的斜視図である。
本実施例が前記実施例と異なる点は、大気開放弁39
(大気開放弁23と同一機能を有する)とホルダー40(ホ
ルダー19と同一機能を有する)とをレール走行方向の同
じ位置に配置したことである。すなわち、前記実施例で
は両者の距離を水平方向にlだけ離していたのに対し、
本実施例では両者を垂直方向に重なるように配設し、水
平方向(レール走行方向)にずれを有しないようにして
いる。
また、大気開放弁39を作動させるためのレール41aの
立ち上がり位置をレール41bの立ち上がり位置より遅れ
るように構成し、キャッピングの瞬間には、未だ大気開
放弁39がレール41aを登りきっておらず、キャップ17内
が大気に連通している状態にしている。これにより、キ
ャッピング時における吐出口の加圧に起因する該吐出口
のメニスカスの過度の後退を防止している。
〔第3の実施例〕 第10図は本発明の第3の実施例の主要部の模式的斜視
図である。
本実施例は、第9図の実施例が立ち上がり位置を変え
ていたのに対し、レール44のレール44aおよび44bの立ち
上がり角度を変え、キャップ17が吐出面をキャッピング
するタイミングにより大気開放弁39が通気口17aを閉じ
るタイミングを時間的に遅らせるようにしたものであ
る。
〔第4の実施例〕 第11図は本発明の第4の実施例を示す主要部の模式的
斜視図である。
本実施例はレールの端部を分割せず、1本のままで大
気開放弁45およびホルダー46を駆動するようにし、かつ
大気開放弁45とホルダー46のレール方向の間隔を十分に
離して配置する構成にしている。
このような構成によれば、大気開放弁45の閉じ動作を
キャッピング動作より時間的に遅らせることができる。
本実施例によれば、レール22の形状を単純化することが
可能になり、製作が容易になる。
〔発明の効果〕
以上の説明から明らかなごとく、本発明(請求項1)
の液体噴射記録装置によれば、液体を吐出する吐出口が
設けられた吐出面を備えた記録ヘッドを搭載して移動す
るためのキャリッジと、前記吐出面を覆蓋するためのキ
ャップと、該キャップが前記吐出面を覆蓋しているとき
に前記吐出口から吸引を行うための吸引手段と、該吸引
手段による吸引後または吸引中に前記キャップ内に大気
を導入するための大気開放弁と、前記キャリッジの移動
方向に沿って前記キャップの背部に配設された1または
複数のレールと、を有し、前記キャリッジの移動に連動
して当該移動方向に沿って前記キャップが移動し、該キ
ャップの移動に応じて前記レールが前記キャップを押圧
することにより前記キャップの覆蓋駆動がなされ、前記
キャップの移動に応じて前記レールが前記大気開放弁を
押圧することにより前記大気開放弁の閉駆動がなされ、
前記覆蓋駆動と前記閉駆動とは両者のタイミングに時間
差があるようになされる構成としたので、キャリッジの
移動を利用してキャップの覆蓋駆動および大気開放弁を
閉駆動を行なうことができ、簡単な構成により記録ヘッ
ドの吐出回復を短時間にしかも効率よく行うことができ
る吸引回復装置を備えた液体噴射記録装置が提供され
る。
請求項2〜5の発明によれば、上記構成に加えて、前
記大気開放弁の閉駆動のタイミングを前記キャップの覆
蓋駆動のタイミングより遅らせる構成、前記レールの前
記両差のタイミングに対応する部分に、記録ヘッド側へ
せり出した段差部を設ける構成、前記レールが複数であ
るとき、前記キャップの覆蓋駆動用のレールの段差部を
前記大気開放弁の閉駆動用のレールの段差部より印字領
域寄りに設ける構成、あるいは前記レールが複数である
とき、前記キャップの覆蓋駆動用のレールの段差部と比
べ、前記大気開放弁の閉駆動用のレールの段差部は、そ
の傾斜開始位置が同一でかつその傾斜角度が緩やかであ
る構成としたので、一層効率よく上記効果を達成するこ
とが可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を適用した吸引回復装置を備えた液体噴
射記録装置の一実施例を示す模式的斜視図、第2図およ
び第3図は第1図中の紙送り駆動とキャップ駆動の切り
換えるためのギア機構を示す模式的斜視図、第4図は第
1図中のキャッピングユニットの縦断面図、第5図およ
び第6図は第1図中の吸引回復装置の模式的斜視図、第
7図(a)〜(d)は本発明による液体噴射記録装置に
おけるキャップの開閉動作および大気開放弁の開閉動作
を示す模式的平面図、第8図は本発明による液体噴射記
録装置の吸引回復装置の各部の動作を示すタイミングチ
ャート、第9図〜第11図は本発明を適用した液体噴射記
録装置の第2実施例〜第4実施例の要部を示す模式的斜
視図、第12図は従来の液体噴射記録装置の吸引回復装置
を例示する模式的斜視図、第13図および第14図は第12図
中のキャップ駆動機構を示す模式的縦断面図および模式
的正面図、第15図は従来の液体噴射記録装置の吸引回復
装置のキャップの大気連通手段を示す模式的断面図であ
る。 1……記録ヘッド、2……キャリッジ、2a、34……突
起、3……キャリッジ軸、4……記録媒体、6……パル
スモータ、7……ポンプキャリッジ、7a……アーム部、
8……ガイド軸、9……戻しバネ、10……板バネ、16…
…ポンプギア、17……キャップ、17a……通気口、17b…
…空間部、18……キャップホルダー、19、40……ホルダ
ー、20……バネ、22、22a、22b、41、41a、41b、44、44
a、44b、47……レール、23、39、45……大気開放弁、24
……バネ、26……吸引チューブ、27……シリンダ、28、
29……ポンプカム、31……ピストン、32……平行ピン。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液体を吐出する吐出口が設けられた吐出面
    を備えた記録ヘッドを搭載して移動するためのキャリッ
    ジと、 前記吐出面を覆蓋するためのキャップと、 該キャップが前記吐出面を覆蓋しているときに前記吐出
    口から吸引を行うための吸引手段と、 該吸引手段による吸引後または吸引中に前記キャップ内
    に大気を導入するための大気開放弁と、 前記キャリッジの移動方向に沿って前記キャップの背部
    の配設された1または複数のレールと、 を有し、 前記キャリッジの移動に連動して当該移動方向に沿って
    前記キャップが移動し、該キャップの移動に応じて前記
    レールが前記キャップを押圧することにより前記キャッ
    プを覆蓋駆動がなされ、前記キャップの移動に応じて前
    記レールが前記大気開放弁を押圧することにより前記大
    気開放弁の閉駆動がなされ、 前記覆蓋駆動と前記閉駆動とは両者のタイミングに時間
    差があるようになされることを特徴とする液体噴射記録
    装置。
  2. 【請求項2】前記大気開放弁の閉駆動のタイミングを前
    記キャップの覆蓋駆動のタイミングより遅らせることを
    特徴とする請求項1に記載の液体噴射記録装置。
  3. 【請求項3】前記レールの前記両者のタイミングに対応
    する部分に、記録ヘッド側へせり出した段差部を設ける
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射記録装置。
  4. 【請求項4】前記レールが複数であるとき、前記キャッ
    プの覆蓋駆動用のレールの段差部を前記大気開放弁の閉
    駆動用のレールの段差部より印字領域寄りに設けること
    を特徴とする請求項3に記載の液体噴射記録装置。
  5. 【請求項5】前記レールが複数であるとき、前記キャッ
    プの覆蓋駆動用のレールの段差部と比べ、前記大気開放
    弁の閉駆動用のレールの段差部は、その傾斜開始位置が
    同一でかつその傾斜角度が緩やかであることを特徴とす
    る請求項3に記載の液体噴射記録装置。
  6. 【請求項6】前記記録ヘッドは前記吐出口から液体を吐
    出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生手段
    として抵抗発熱体を有することを特徴とする請求項1に
    記載の液体噴射記録装置。
  7. 【請求項7】前記記録ヘッドは前記吐出口から液体を吐
    出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生手段
    として圧電素子を有することを特徴とする請求項1に記
    載の液体噴射記録装置。
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