JP2700875B2

JP2700875B2 - 加熱蒸散体

Info

Publication number: JP2700875B2
Application number: JP7226701A
Authority: JP
Inventors: 隆啓長谷川; 孝信柏原; 潤一郎目崎; 昭西村
Original assignee: アース製薬株式会社
Priority date: 1995-09-04
Filing date: 1995-09-04
Publication date: 1998-01-21
Anticipated expiration: 2015-09-04
Also published as: JPH0898638A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、本体に収容した
殺虫剤、殺菌剤等の加熱蒸散用剤をこの本体に備えた吸
液芯により吸い上げつつ、吸液芯を適宜の加熱装置によ
り加熱し、加熱蒸散用剤を蒸散することのできる加熱蒸
散体に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の加熱蒸散体には、実開昭
６０−１２５８７６号公報に記載されたものが存在す
る。このものは、吸上げ芯を薬液容器の蓋部より垂設し
た筒状部に挿着し、この筒状部に通気孔を形成してい
る。そのため、保管や輸送中の外気温度の変化等によ
り、薬液容器内の圧力が上昇しても、この圧力上昇分を
通気孔を通じて外部に放散でき、圧力上昇により薬液容
器内の薬液が吸液芯を通じて洩れ出るのを防止してい
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の加熱蒸散体では、吸液芯の安定確実保持のために、
吸液芯を筒状部の内面で保持している。そのため、吸液
芯を筒状部へ挿着するときに大きな摩擦が生じ、吸液芯
の筒状部への挿着が困難であるという課題を有してい
た。また、筒状部に形成した通気孔では、吸液芯を加熱
装置により加熱する場合等の薬液容器内の急激な圧力上
昇に対処できないという課題を有していた。

【０００４】そこで、この発明の加熱蒸散体は、上記従
来の加熱蒸散体が有する課題を解決することを目的とし
てなされたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】そのため、請求項１記載
の発明では、内部に加熱蒸散用剤を収容した本体の口部
に閉鎖体を設け、この閉鎖体に吸液芯を包囲する筒状部
を設け、さらに筒状部の内面の少なくとも一部に保持突
起を形成すると共に、筒状部の下部を吸液芯に内接させ
て、筒状部と吸液芯との間に形成した隙間に加熱蒸散用
剤が一時的に溜まるようにしたものとしている。

【０００６】さらに、請求項２記載の発明では、前記請
求項１記載の発明において、前記保持突起を、三角柱形
状の小突起としている。

【０００７】さらに、請求項３記載の発明では、前記請
求項１記載の発明において、前記保持突起を、長尺の板
体としている。

【０００８】さらに、請求項４記載の発明では、前記請
求項１記載の発明において、前記筒状部の下部に、パッ
キンを設けたものとしている。

【０００９】この発明において、加熱蒸散用剤として
は、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、忌避剤、芳香剤、消臭
剤、防黴剤等の任意ものが使用できる。これら薬剤は、
そのまま若しくはシリコーン油、灯油等の溶剤に加え、
さらには共力剤、酸化防止剤、揮散率調節剤等の各種添
加剤を添加して用いられる。

【００１０】この発明において、閉鎖体としては、蓋、
栓等の形態を有するものが挙げられ、閉鎖機能を有する
限り何ら限定されるものではない。

【００１１】この発明において、吸液芯としては、素材
が有機材、無機材を問わず任意であるが、具体的には、
次に示すものが挙げられる。例えば、フェルト芯、素焼
芯、石綿芯、磁器多孔質、グラスファイバー、石綿など
の無機繊維を石膏やベントナイトなどの結合剤で固めた
ものや、ガラス粉末、カオリン、活性白土、タルク、ケ
イソウ土、クレー、パーライト、ベントナイト、アルミ
ナ、シリカ、アルミナシリカ、チタニウム、ガラス質火
山岩の焼成粉末やガラス質火山灰の焼成粉末などの鉱物
質粉末の一種または二種以上またはこれら粉末と木粉、
炭粉、活性炭などとの混合物を例えばデキストリン、デ
ンプン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アラビヤゴム、
カルボキシメチルセルロース、合成糊などのバインダー
で固めたものなどである。特に好ましい吸液芯として
は、前記鉱物質粉末１００重量部と木粉またはこの木粉
に等重量までの炭粉および／または活性炭を混合した混
合物１０〜３００重量部とを混合し、これに全吸液芯重
量の５〜２５重量部の前記バインダーを配合し、さらに
これらに水を加えて混練後、押出成形し、乾燥すること
により製造されたものが挙げられる。この吸液芯は、吸
液速度が１〜４０時間、好ましくは８〜２１時間である
のが望ましい。このような吸液速度とは、液温２５℃の
ｎ−パラフィン液中に直径７mm ×長さ７０mmの吸液芯
をその下部より１５mm まで浸漬し、吸液芯の芯頂にｎ
−パラフィンが達するまでの時間を測定することにより
求められた値を意味する。また、上記吸液芯には、さら
に必要に応じてマカライトグリーンなどの色素、ソルビ
ン酸およびその塩類、デヒドロ酢酸などの黴止め剤など
を配合することもできる。

【００１２】この発明において、本体としては、加熱蒸
散用薬剤を収容しうるものであれば、大きさ、形状、材
質等任意である。尚、本体は、形態的に本体の内圧が上
昇したとき、この内圧を吸収しうるようなフレキシブル
性のある材質のもの等で蛇腹型の容器としてもよい。

【００１３】この発明は、上記手段を施したため、次の
ような作用を有する。すなわち、請求項１記載の発明で
は、筒状部の保持突起および筒状部の下部と吸液芯との
接触が点接触または線接触となって、吸液芯が筒状部に
確実に保持され、吸液芯は加熱蒸散用剤を収容した本体
に栓として機能する。そして、気温の上昇時や電気加熱
式ヒータへの装着使用時に、加熱蒸散用剤が加熱され本
体の内圧が上昇しても、筒状部と吸液芯との間に形成し
た隙間に加熱蒸散用剤が一時的に溜まり、加熱蒸散用剤
が閉鎖体上面にあふれ出ることがない。

【００１４】さらに、請求項２記載の発明では、筒状部
の保持突起と吸液芯との接触が点接触となる。

【００１５】さらに、請求項３記載の発明では、筒状部
の保持突起と吸液芯との接触が線接触となる。

【００１６】さらに、請求項４記載の発明では、吸液芯
が筒状部の下部において確実に保持される。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、この発明の加熱蒸散体の構
成を実施例として示した図面に基づいて説明する。

【００１８】図１は、この発明の一実施例を示す縦断面
図である。１は内部に加熱蒸散用剤２を収容した本体で
あり、この本体１の口部１ａは閉鎖体３で閉じられてい
る。前記閉鎖体３には、吸液芯４を包囲する筒状部５が
垂設され、さらにこの筒状部５の内面の少なくとも一部
には保持突起６を形成すると共に、筒状部５の下部５ａ
を吸液芯４に内接させている。そして、筒状部５と吸液
芯４との間に隙間を形成し、この隙間に加熱蒸散用剤２
が一時的に溜まるようにしている。

【００１９】前記保持突起６は、図３に示したような三
角柱形状の小突起６ａとしたり、図４に示したような断
面を三角形状とした長尺の板体６ｂとしたりすることが
できるが、吸液芯４との接触が点接触または線接触する
形状であればその他任意の形状として実施することがで
きる。

【００２０】図２は、この発明の他実施例を示す縦断面
図である。この実施例に示したものは、筒状部５の下部
５ａにパッキン７を設けたものとした以外は、図１に示
すものと実質的に異なるところはない。前記パッキン７
は、筒状部５の下部５ａに一体または別体として設ける
ことができる。

【００２１】以上のように構成されたこの発明の加熱蒸
散体は、以下に示すような電気加熱式ヒータに装着さ
れ、吸液芯４が加熱されることにより、本体１内部に収
容した加熱蒸散用剤２が蒸散される。

【００２２】電気加熱式ヒータは、図５に示したよう
に、底部に着脱式の底蓋８を有し、この底蓋８を取り外
すことによって、加熱蒸散体を適宜取り換え得るように
構成されている。前記底蓋８は、その周縁に鍔部８ａを
形成すると共に、その中央に加熱蒸散体の下部を受け入
れるための凹部８ｂを設けている。また、電気加熱式ヒ
ータの本体９内には、吸液芯４により吸い上げられた加
熱蒸散用剤２を蒸散するためのヒータ１０が設けられて
いる。前記ヒータ１０は、吸液芯４の上部を間隙１１を
有して包囲するような筒状のものとしている。

【００２３】

【発明の効果】この発明の加熱蒸散体は、以上に述べた
ように構成されているので、次のような効果を有する。

【００２４】すなわち、請求項１記載の発明では、筒状
部の保持突起および筒状部の下部と吸液芯との接触面積
が小さくなるので、吸液芯を筒状部へ挿着するときの摩
擦抵抗は小さくなり、吸液芯の筒状部への挿着が容易に
なる。また、吸液芯が筒状部に確実に保持され、さらに
吸液芯は加熱蒸散用剤を収容した本体の栓として機能す
るので、間違って本体を倒しても加熱蒸散用剤がこぼれ
出ることがなく、また気温の上昇時や電気加熱式ヒータ
への装着使用時に、加熱蒸散用剤が加熱され本体の内圧
が上昇しても、加熱蒸散用剤が閉鎖体上面にあふれ出る
ことがなく、筒状部と吸液芯との間の隙間に加熱蒸散用
剤を一時的に溜めて、液洩れを確実に防止することがで
き、本体の内圧の急激な圧力上昇にも対処することがで
きる。

【００２５】さらに、請求項２記載の発明では、筒状部
の保持突起と吸液芯との接触が点接触となり、また請求
項３記載の発明では、筒状部の保持突起と吸液芯との接
触が線接触となるので、吸液芯を筒状部へ挿着するとき
の摩擦抵抗はより小さくなり、両発明共に吸液芯の筒状
部への挿着がより容易になる。

【００２６】さらに、請求項４記載の発明では、吸液芯
が筒状部の下部において確実に保持されるので、液洩れ
をより確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の加熱蒸散体の一実施例を示す縦断面
図。

【図２】この発明の加熱蒸散体の他実施例を示す縦断面
図。

【図３】閉鎖体の一実施例を示す半断面斜視図。

【図４】閉鎖体の他実施例を示す半断面斜視図。

【図５】この発明の加熱蒸散体を電気加熱式ヒータに装
着した状態を示す縦断面図。

【符号の説明】

１本体１ａ口部２加熱蒸散用剤３閉鎖体４吸液芯５筒状部５ａ下部６保持突起６ａ小突起６ｂ板体７パッキン

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】内部に加熱蒸散用剤を収容した本体の口
部に閉鎖体を設け、この閉鎖体に吸液芯を包囲する筒状
部を設け、さらに筒状部の内面の少なくとも一部に保持
突起を形成すると共に、筒状部の下部を吸液芯に内接さ
せて、筒状部と吸液芯との間に形成した隙間に加熱蒸散
用剤が一時的に溜まるようにしたことを特徴とする加熱
蒸散体。
【請求項２】前記保持突起が、三角柱形状の小突起で
あることを特徴とする請求項１記載の加熱蒸散体。
【請求項３】前記保持突起が、長尺の板体であること
を特徴とする請求項１記載の加熱蒸散体。
【請求項４】前記筒状部の下部に、パッキンを設けた
ことを特徴とする請求項１記載の加熱蒸散体。