JP2698506B2 - スペクトル拡散受信機 - Google Patents

スペクトル拡散受信機

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JP2698506B2 JP19625192A JP19625192A JP2698506B2 JP 2698506 B2 JP2698506 B2 JP 2698506B2 JP 19625192 A JP19625192 A JP 19625192A JP 19625192 A JP19625192 A JP 19625192A JP 2698506 B2 JP2698506 B2 JP 2698506B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、PN符号を利用した直
接拡散スペクトル拡散(DS/SS)通信に適用する
ペクトル拡散受信機におけるPN信号の同期に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、移動体通信の分野において、直接
拡散スペクトル拡散(DS/SS)通信による符号分割
多元接続(CDMA)方式が注目されている。一方、移
動体通信においては、フェーシングが存在するため、移
動体通信にDS/SS通信を適用する場合、受信機にお
いて搬送波再生が難しく、準同期検波が採用される場合
が多い。
【0003】そして、この準同期検波によれば、受信S
S信号に対し、直交する2つの局部搬送波を混合し、複
素ベースバンド信号を得る。そして、この複素ベースバ
ンド信号とスペクトル拡散に用いたPN信号との相関演
算を行い、PN信号の繰返し周期(すなわちシンボル周
期)に同期して出現する相関信号のエネルギー(すなわ
ち、相関信号の絶対値の二乗)のピークを検出すること
によりPN信号の同期の初期補捉が行われる。初期補捉
が完了すると同期追跡が行われ、PN信号に追随したシ
ンボル周期のクロック(シンボルクロック)が生成され
る。このシンボルクロックで相関信号をラッチすること
により、逆拡散が行われる。
【0004】一方、準同期検波を行う場合、受信信号に
対して局部搬送波に周波数オフセットが存在すると、上
述の相関信号のエネルギーが小さくなり誤り率特性に劣
化が生じる。以下、図5を用いて周波数オフセットに起
因する相関信号エネルギーの減少について説明する。こ
こで、この通信における一次変調は、BPSKを用いる
ものとする(実際には、QPSK等も用いられる)。ま
た、スペクトル拡散に用いるN信号の繰返し周期をM
チップ、チップ周期をTc とし、m(m=1,…,M)
番目のPN信号の値をum (−1または1から構成され
る)とする。さらに、データのシンボル周期(すなわ
ち、PN信号の繰返し周期)をTd (=MTc )とし、
時刻nTd (nは整数)における送信データの値をan
(−1または1から構成される)とし、送信搬送波の周
波数をωc とする。
【0005】このような条件において、受信機は、時刻
nTd +nTc に、an m cos[ωc (nTd +m
c )]なる値の受信SS信号を受信する。この受信S
S信号を周波数混合器10a、10b、ローパスフィル
タ16a、16bにおいて準同期検波し、A/D変換器
18a、18bにおいてA/D変換し、複素ベースバン
ド信号を得る。なお、簡単のため、A/D変換器18
a、18bのサンプリング周期は、チップ周期Tc に等
しいものとし、量子化誤差はないものとする。
【0006】ここで、準同期検波に用いる局部搬送波の
角周波数が、送信搬送波の角周波数ωc に対してΔωだ
け周波数がオフセットしていたとする。また、その初期
位相がφであったとする。この条件において、時刻nT
d +mTc =(nM+m)Tc における複素ベースバン
ド信号の値rnM+mは、次式で与えられる。
【0007】 rnM+m=an m exp[-j{ Δω(nM+m)Tc + φ}] (1−1) この複素ベースバンド信号を複素相関器に入力すると、
複素ベースバンド信号とPN信号との相関係数である複
素相関信号が得られる。この複素相関信号の値cn は、
送信データan に対応しており、次式で表される。
【0008】 Mn =Σ um nM+m m=1 =an exp[-j{ Δω(nM+1)Tc + φ}] { 1- exp[-j ΔωM Tc }{ 1- exp[-j ΔωTc } =an exp[-j{ Δω [(2n+1)M+1]Tc /2 +φ}] sin[ ΔωM Tc /2] /sin[ΔωTc /2] (1−2) これより、周波数オフセットΔωに起因する複素相関信
号の位相回転量は、1シンボル間(Td の間)に、Δω
MTc (=ΔωTd )であることがわかる。
【0009】ここで、周波数オフセットがない(すなわ
ち、Δω=0)場合には、複素相関信号の値cn0は、 cn0=an M exp[-jφ] (1−3) となる。従って、周波数オフセットΔωにより、複素相
関信号のエネルギーは、次式で与えられるρ倍に減少す
ることになる。
【0010】 ρ=|cn 2 / n02 ={ sin[ΔωM Tc /2]/( M sin[ΔωTc /2]) }2 (1−4) 図9に、周波数オフセットと相関信号エネルギーの関係
を示す。図9より周波数オフセットが大きくなると相関
信号エネルギーが減少することが判る。従って、局部搬
送波の周波数を制御することなどによって、周波数オフ
セットの影響を除去するAFC回路が必要となる。
【0011】そして、AFC回路では、複素ベースバン
ド信号に所定の正負の位相差を与え、誤差信号を生成
し、これに基づいて周波数オフセットを解消するものが
知られているが、このAFC回路は誤差信号をPN信号
の繰返し周期に同期したシンボルクロックによりラッチ
する必要がある。従って、AFC回路は、PN信号に対
する同期が確立した後でなければ動作することができな
い。
【0012】そこで、従来の回路においては、相関信号
の絶対値の二乗からPN信号の同期の初期捕捉を行い、
これに応じて、AFC回路を動作させ、局部搬送波の周
波数オフセットを補償し、エネルギー損失の少ない相関
信号を得て逆拡散等の処理を行っている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の回路
においては、周波数オフセットが大きい場合には、PN
号の同期の初期捕捉が行えないという問題点があっ
た。すなわち、図9に示されているように、局部搬送波
周波数オフセットが2π/T d 近傍になると、相関信
号のエネルギーが小さくなり、PN信号の同期をとるこ
とが困難になる。従って、AFC回路が動作することが
できず、周波数オフセットの補償が行われない。このた
め、相関信号のエネルギーの減少はいつまでたっても解
消されず、PN信号の同期の初期捕捉が行えないという
問題点があった。
【0014】本発明は、上記課題に鑑みなされたもので
あり、周波数オフセットが大きい場合にも、効果的に
N信号の同期を確立できるスペクトル拡散受信機を提供
することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係るスペクトル
拡散受信機は、受信SS信号と局部搬送波を混合し、複
素ベースバンド信号を得る準同期検波回路と、上記複素
ベースバンド信号とPN信号との相関演算を行う相関器
と、上記受信SS信号に対する上記局部搬送波の周波数
オフセットに応じた誤差信号を生成し、この誤差信号に
応じて上局部搬送波の周波数オフセットの影響を補正
するAFC回路と、上記相関器から出力される相関信号
と上記AFC回路の誤差信号に基づきPN信号の初期同
期捕捉及び同期追跡を行う初期捕捉・同期追跡回路と、
を有することを特徴とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に係るスペクトル
拡散受信機は、受信SS信号と局部搬送波を混合し、複
素ベースバンド信号を得る準同期検波回路と、上記複素
ベースバンド信号とPN信号との相関演算を行う相関器
と、上記受信SS信号に対する上記局部搬送波の周波数
オフセットに応じた誤差信号を生成し、この誤差信号に
応じて上記局部搬送波の周波数オフセットの影響を補正
するAFC回路と、上記相関器から出力される相関信号
の大きさについての信号と上記AFC回路の誤差信号
大きさについての信号とを加算した結果に基づき、PN
信号の初期同期捕捉及び同期追跡を行う初期捕捉・同期
追跡回路と、を有することを特徴とする。
【0017】また、受信SS信号と局部搬送波を混合
し、複素ベースバンド信号を得る準同期検波回路と、上
記複素ベースバンド信号とPN信号との相関演算を行う
相関器と、上記受信SS信号に対する上記局部搬送波の
周波数オフセットに応じた誤差信号を生成し、この誤差
信号に応じて上部局部搬送波の周波数オフセットの影
響を補正するAFC回路と、上記相関器から出力される
相関信号の絶対値の二乗を出力する絶対値二乗回路と、
上記AFC回路の誤差信号の絶対値を出力する誤差信号
絶対値生成回路と、上記絶対値二乗回路の出力と上記誤
差信号絶対値生成回路の出力を加算する加算器と、上記
AFC回路の引込み完了を判定し、引込み完了信号を出
力するAFC回路引込み判定手段と、上記絶対値二乗回
路の出力と上記加算器の出力を上記引込み完了信号に応
じて選択して出力するセレクタと、上記セレクタの出力
に基づきPN信号の初期同期捕捉及び同期追跡を行う初
期捕捉・同期追跡回路と、を有することを特徴とする。
【0018】
【作用】このように、本発明によれば、受信SS信号と
PN信号との相関信号とAFC回路の誤差信号の両者に
基づきPN信号の初期同期捕捉及び同期追跡を行う。
【0019】AFC回路は、受信SS信号に対する局部
搬送波の周波数オフセットに応じた誤差信号を生成す
る。このため、局部搬送波の周波数オフセットが大きい
場合は、相関エネルギー(すなわち、相関信号の絶対値
の二乗)は減少するが、誤差信号の絶対値は大きいもの
となる。よって、例えば相関信号の絶対値の二乗に誤差
信号の絶対値を加算した信号は周波数オフセットの大小
にかかわらずPN信号の1周期ごとに顕著な極大値を示
す。従って、このような信号を用いることにより、周波
数オフセットの大小にかかわらず(すなわち、AFC回
路が動作不能であっても)PN信号の同期の初期捕捉及
び同期追跡が可能となる。このようにしてPN信号の同
期が確立されれば、AFCが動作可能となり、周波数オ
フセットの影響が除去される。
【0020】また、このように、PN信号の同期が確立
され、AFCが動作を開始して周波数引込みが完了し
て、周波数オフセットの影響が除去されると、相関信号
のエネルギーは大きくなるが、誤差信号の絶対値は0近
傍の値となり、雑音だけが含まれることになる。従っ
て、AFC回路が周波数引込みを完了した後は、相関信
号の絶対値の二乗に誤差信号の絶対値を加算すると、S
N比がかえって低下する。従って、AFC回路が周波数
引込みを完了した後は、相関信号の絶対値の二乗のみを
用いて同期追跡を行うことにより、SN比の高い信号に
より安定した同期追跡が可能となる。
【0021】
【実施例】以下、図面に基づいて、実施例について説明
する。図1は、実施例の全体構成を示すブロック図であ
り、受信SS信号は準同期検波・AFC回路100に入
力される。ここで、準同期検波が行われ、複素ベースバ
ンド信号が出力される。そして、得られた複素ベースバ
ンド信号は複素相関器102に入力され、ここでPN信
号との相関がとられ複素相関信号が得られる。この複素
相関信号は復調処理回路104に入力され、ここで相関
信号をPN信号の繰返し周期に同期してラッチ、変調
方式に応じた復調処理を行う。以下、図6を用いて準同
期検波・AFC回路100の構成と動作について説明す
【0022】6に、準同期検波・AFC回路の構成の
一例を示す。この例では、局部搬送波を出力する局部
振器12をVCOで構成し、これを、誤差信号生成回路
30によって生成した誤差信号によって制御する。な
お、ゲインαを乗算する乗算器32、この出力を積分す
る積分器34、積分器の出力をアナログ電圧信号に変換
するD/A変換器36によって、誤差信号に応じた周波
数の制御を可能としている。
【0023】すなわち、誤差信号生成回路30は、局部
発振器12から出力される局部搬送波の、受信SS信号
に対する周波数オフセットの値に応じた誤差信号出力
する。そこで、これに対し適当なゲインをかけ、積分器
34において平均化を行い、D/A変換器36において
アナログ電圧信号に変している。そして、局部発振器
12を電圧制御発振器(VCO)で構成することによ
り、誤差信号に応じた電圧信号によって、局部発振器1
2の発振周波数を変更することができ、局部搬送波の周
波数を受信SS信号の搬送波周波数に一致させることが
できる。
【0024】ここで、誤差信号生成回路30の構成につ
いて図7に基づいて説明する。準同期検波回路から出力
される複素ベースバンド信号は、乗算器40a、40b
に入力され、ここで、exp(−jω0 t)及びexp
(jω0 t)がそれぞれ乗算され、正の周波数偏差ω0
(ω0 <0)と、負の周波数変換−ω0 が与えられ、正
偏差ベースバンド信号及び負偏差ベースバンド信号とな
。ここで、時刻(nM+c )における正偏差及び
負偏差ベースバンド信号値をそれぞれrpnM+m 及びr
nnM+m とすると、次の関係式成立する。
【0025】 rpnM+m =an m exp[-j{(Δω+ ωo ) Tc + φ}] rnnM+m =an m exp[-j{(Δω- ωo ) Tc + φ}] (1−5) この正偏差及び負偏差ベースバンド信号をそれぞれ複素
相関器44a、44bに入力し、PN信号との相関演算
を行い、正偏差相関信号及び負偏差相関信号を得る。シ
ンボル周期Td 毎に得られる送信データan に対する正
偏差及び負偏差相関信号の値をそれぞれcpn,cnnとす
ると、式(1−2)と同様に次の関係式が成立する。
【0026】 cpn=an exp[-j{(Δω+ ωo ) Bn c /2 +φ}]・ sin[(Δω+ ωo ) M Tc /2] /sin[ (Δω+ ωo ) Tc /2] cnn=an exp[-j{(Δω- ωo ) Bn c /2 +φ}]・ sin[(Δω- ωo ) M Tc /2] /sin[ (Δω- ωo ) Tc /2] Bn =(2n+1)M+1 (1−6) さらに、正偏差及び負偏差相関信号を絶対値2乗演算器
46a、46bに入力し、これらの信号の絶対値をそれ
ぞれ2乗して正偏差誤差信号及び負偏差誤差信号を得
る。正偏差誤差信号と負偏差誤差信号の値は、周波数オ
フセットΔωが存在しない場合には等しくなるが、Δω
が存在する場合にはこれに応じて両者に差が生じる。そ
こで、正偏差誤差信号と負偏差誤差信号の差を算器4
8によって求め、シンボル周期Td 毎にその値をラッチ
回路50でラッチすることにより誤差信号を得る。すな
わち、送信データan に対する誤差信号en は次式で与
えられる。
【0027】 en =|cpn2 −|cnn2 ={sin[(Δω+ ωo )MTc /2]/(sin[(Δω+ ωo ) Tc /2])} 2 - {sin[(Δω- ωo )MTc /2]/(sin[(Δω- ωo ) Tc /2])} 2 (1−7) この誤差信号en は、図8に示すような周波数オフセッ
特性を示す。ここで、この図は、M=127、ω0
π/Td とした場合の図である。図から明らかなよう
、誤差信号en は周波数オフセットΔωに応じた値を
す。そこで、このような誤差信号に応じて局部搬送波
の周波数を変更することにより、受信SS信号の搬送波
周波数に局部搬送波の周波数を合致させることができ
る。このように、従来のAFC回路によって、準同期
回路における局部搬送波の周波数を受信SS信号の
送波周波数に合致するようフィードバック制御すること
ができ、好適な複素ベースバンド信号を得ることができ
る。図9に示したように、周波数オフセットにより、相
関信号エネルギーが減少するが、上述のようなAFC回
路を設けることにより、周波数オフセットを最低限に減
少でき、相関信号のエネルギー損失少なくすることが
でき、より正確な信号の復調を行うことができる。
【0028】本実施例においては、AFC回路の誤差信
号を利用する。すなわち、図に示すように、複素相関
信号絶対値乗を計算する絶対値二乗回路104
と、AFC回路のラッチ前の誤差信号の絶対値を計算す
る絶対値回路106と、絶対値二乗回路104と絶対値
回路106の出力を加算する加算器108と、この加算
器108の出力から初期捕捉・同期追跡を行う初期捕捉
同期追跡回路110を有している。
【0029】従って、複素相関信号の絶対値乗と
差信号の絶対値が加算器108において加算され、初期
捕捉・同期追跡回路110はこの加算された信号に基づ
いてPN信号の同期を確立し、受信SS信号に含まれる
PN信号の周期に同期したシンボルクロックを発生し
て、準同期検波・AFC回路100、復調処理回路10
4に供給する。
【0030】ここで、相関信号の絶対値乗と、これ
に周波数偏差ω o をπ/Td、7π/4Tdとした場合
の誤差信号の絶対値を加算した信号の特性を図2に示
す。図2より、AFC誤差信号の絶対値を加算した場
合、相関信号の絶対値の二乗がほとんど0となるΔω=
2π/ Td の近傍においても、充分なレベルの信号を得
られることが判る。これは、図9に示すようにAFC誤
差信号の絶対値は相関信号のエネルギーが大きく減少す
る|Δω|>π/ Td の領域で大きい値となっているか
らである。従って、複素相関信号の絶対値を二乗した信
号(すなわち、一般的に同期確立に用いられる信号)に
AFC誤差信号の絶対値を加算することにより、周波数
オフセットΔωの絶対値が大きい場合でもある程度のレ
ベルの信号を得ることができる。よって、この信号を同
期確立に用いることにより、同期確立可能な周波数オフ
セットの範囲拡大することができる。
【0031】なお、加算するAFC誤差信号は、同期確
立(初期捕捉・追跡)に用いるため、シンボル周期Td
でラッチする以前の信号でなければならない。
【0032】一方、AFC回路が周波数引込みを完了
し、AFCループが定常状態になると、誤差信号の値は
ほとんど0となり、雑音のみが含まれることになる。ま
た、このときには複素ベースバンド信号からは周波数オ
フセットの影響は除去されるので、複素相関信号のエネ
ルギーの減少も回復している。従って、AFC引込み完
了後は、AFC誤差信号の絶対値を加算することは却っ
て同期確立用信号のSN比を低下させることとなってし
まう。
【0033】このことを考慮して同期確立用信号の切替
えを行うDS/ SS受信機の構成を図3に示す。このよ
うに、この構成では、絶対値二乗回104の出力であ
相関信号の絶対値乗と、加算器108の出力であ
誤差信号の絶対値加算した信号の両方が入力される
セレクタ112と、AFCの引き込みを判定する引き込
み判定回路114を有している。
【0034】そして、この引き込み判定回路114の判
定結果に応じてセレクタ112を制御し、次のように同
期確立用信号を選択する。
【0035】AFCの引込みが完了する以前は、加算
器108からの信号を選択し、複素相関信号の絶対値を
二乗した信号にAFC誤差信号の絶対値を加算して同期
確立用信号とする(引込みモード)。
【0036】引込み完了後は、絶対値二乗回路104
からの信号を選択し、複素相関信号の絶対値を二乗した
信号をそのまま同期確立用信号とする(定常モード)。
【0037】このような構成とすることによって、周波
数オフセットが大きい場合にも初期捕捉を行うことがで
き、かつAFC引込み完了後はより正確な同期追跡を行
うことができる。従って、初期捕捉・同期追跡回路11
0からより正確なチップクロックおよびシンボルクロッ
クを出力でき、これに基づいて、ラッチタイミングを正
確なものとできる。
【0038】なお、引き込み判定回路114における引
き込みの判定は、初期捕捉・同期追跡回路110におけ
るシンボルクロックに同期して誤差信号をラッチした値
が所定値以下、すなわちAFCの周波数補正誤差が所定
値以下であることをもって引込み完了と判定する方法等
がある。
【0039】また、初期捕捉・同期追跡回路110にお
ける初期捕捉は図4に示すように、巡回加算を行う加算
器110a、1シンボル周期分の加算結果を記憶するフ
レームメモリ110b、加算結果の信号のピークを検出
するピーク検出回路110cによって行う方法がある
すなわち、この回路によれば、フレームメモリ110
出力は1シンボル周期前の加算結果となっているた
め、加算器110aにおいて、1シンボル周期で累積加
算(いわゆる巡回加算)が行われる。加算器110aに
入力される同期確立用信号にはPN信号の繰返し周期
(すなわちシンボル 周期)に同期してピークが出現する
ため、この巡回加算によりピークの累積加算が行われて
SN比が向上し、ピークの検出がより確実になる。この
PN信号に同期したピークの検出により初期補捉が行わ
れる。
【0040】このようにして、本実施例の回路を用いる
ことにより、周波数オフセットΔωの絶対値が大きい
(例えば 2π/ Td 近傍)場合においても、PN信号の
同期を確立することができる。そこで、これに基づい
て、AFC回路が動作を開始し、周波数オフセット補償
が行われ、相関信号のエネルギーを回復することができ
る。
【0041】このように、本発明においては、図7に示
す誤差信号生成回路のラッチ前の誤差信号をPN信号
期の確立に利用する。そして、初期捕捉・同期追跡回路
110により得られたシンボルクロックによって、ラッ
チ回路50のラッチタイミングが制御され、図8に示す
ような誤差信号が得られる。そこで、この誤差信号を用
いて好適なAFC動作を達成できる。更に、このシンボ
ルクロックは復調処理回路104にも供給され、ここに
おける相関信号ラッチタイミングが制御される。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るスペク
トル拡散受信機によれば、相関信号と誤差信号の両方を
用いてPN信号の同期の初期補捉を行うため、局部搬送
波の周波数オフセットが大きい時でもPN信号の同期を
確立することができる
【0043】また、AFCの引込みが完了した後は、相
関信号のみに基づいて同期追跡を行うことにより、より
正確な同期追跡を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の全体構成を示すブロック図である。
【図2】同期確立用信号の周波数オフセット特性を示す
特性図である。
【図3】他の実施例の全体構成を示すブロック図であ
る。
【図4】初期捕捉・同期追跡回路110における初期補
捉部の構成例を示すブロック図である。
【図5】準同期検波を行うDS/SS受信機の全体構成
を示すブロック図である。
【図6】図1に示す回路の準同期検波・AFC回路10
0の構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示す回路の誤差信号生成回路30の構成
を示すブロック図である。
【図8】AFC回路で利用する誤差信号の周波数オフセ
ット特性を示す特性図である。
【図9】周波数オフセットによる相関信号エネルギーの
減少を示す特性図である。
【符号の説明】
100 準同期検波・AFC回路 102 複素相関器 104 復調処理回路 104 絶対値二乗回路 106 絶対値回路 108 加算器 110 初期捕捉・同期追跡回路

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疑似雑音(PN)信号によってスペクト
    ル拡散された直接拡散スペクトル拡散(SS)信号の受
    信を行うスペクトル拡散受信機であって、 受信SS信号と局部搬送波を混合し、複素ベースバンド
    信号を得る準同期検波回路と、 上記複素ベースバンド信号とPN信号との相関演算を行
    う相関器と、 上記受信SS信号に対する上記局部搬送波の周波数オフ
    セットに応じた誤差信号を生成し、この誤差信号に応じ
    て上記局部搬送波の周波数オフセットの影響を補正する
    AFC回路と、 上記相関器から出力される相関信号の大きさについての
    信号と上記AFC回路の誤差信号の大きさについての信
    号とを加算した結果に基づき、PN信号の初期同期捕捉
    及び同期追跡を行う初期捕捉・同期追跡回路と、 を有することを特徴とするスペクトル拡散受信機。
  2. 【請求項2】 擬似雑音(PN)信号によってスペクト
    ル拡散された直接拡散スペクトル拡散(SS)信号の受
    信を行うスペクトル拡散受信機であって、 受信SS信号と局部搬送波を混合し、複素ベースバンド
    信号を得る準同期検波回路と、 上記複素ベースバンド信号とPN信号との相関演算を行
    う相関器と、 上記受信SS信号に対する上記局部搬送波の周波数オフ
    セットに応じた誤差信号を生成し、この誤差信号に応じ
    て上局部搬送波の周波数オフセットの影響を補正する
    AFC回路と、 上記相関器から出力される相関信号の絶対値の二乗を出
    力する絶対値二乗回路と、 上記AFC回路の誤差信号の絶対値を出力する誤差信号
    絶対値生成回路と、 上記絶対値二乗回路の出力と上記誤差信号絶対値生成回
    路の出力を加算する加算器と、 上記加算の出力に基づきPN信号の初期同期捕捉及び
    同期追跡を行う初期捕捉・同期追跡回路と、 を有することを特徴とするスペクトル拡散受信機。
  3. 【請求項3】 擬似雑音(PN)信号によってスペクト
    ル拡散された直接拡散スペクトル拡散(SS)信号の受
    信を行うスペクトル拡散受信機であって、 受信SS信号と局部搬送波を混合し、複素ベースバンド
    信号を得る準同期検波回路と、 上記複素ベースバンド信号とPN信号との相関演算を行
    う相関器と、 上記受信SS信号に対する上記局部搬送波の周波数オフ
    セットに応じた誤差信号を生成し、この誤差信号に応じ
    て上局部搬送波の周波数オフセットの影響を補正する
    AFC回路と、 上記相関器から出力される相関信号の絶対値の二乗を出
    力する絶対値二乗回路と、 上記AFC回路の誤差信号の絶対値を出力する誤差信号
    絶対値生成回路と、 上記絶対値二乗回路の出力と上記誤差信号絶対値生成回
    路の出力を加算する加算器と、 上記AFC回路の引込み完了を判定し、引込み完了信号
    を出力するAFC回路引込み判定手段と、 上記絶対値二乗回路の出力と上記加算器の出力を上記引
    込み完了信号に応じて選択して出力するセレクタと、 上記セレクタの出力に基づきPN信号の初期同期捕捉及
    び同期追跡を行う初期捕捉・同期追跡回路と、 を有することを特徴とするスペクトル拡散受信機。
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