JP2698216B2 - ズームレンズ鏡筒 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はビデオカメラ、スチルカ
メラ等に用いて好適なズームレンズ鏡筒に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】この種ズームレンズ装置において、ピン
トを合わせたまま焦点距離を変化させるズーム動作は、
通常、変倍レンズを保持した第一移動枠と補正レンズを
保持した第二移動枠との光軸方向の位置を制御すること
により行われるが、その構造は実公昭５７−８００４号
公報に記載されているように、固定枠に固定した光軸と
平行なガイドバーにレンズ枠を係合することにより、レ
ンズ枠を光軸方向に移動できるように保持し、一方、カ
ム環のカム溝穴に金属製のカムピンを係合し、このカム
ピンをレンズ枠にネジ等で固定し、カム環を回転するこ
とによりカム溝に従ってレンズ枠を光軸方向に移動させ
るようになっていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述したような構造を
とる従来技術においては、カムピンを組み込むために、
固定枠にカムピン組み込み用の穴を設け、この穴とカム
環のカム溝とそれぞれのレンズ枠のカムピンの位置を正
確に合わせなければ、カムピンを組み込むことができな
いので組立が煩雑であったり、また、カムピン自体が小
さいため取扱いしづらく、総じて組立作業性の悪いもの
であった。さらにはまた、カム環がアルミ等の金属の機
械加工品であるため、高精度の寸法管理が必要となり高
価なものとなっていた。従って、本発明の解決すべき技
術的課題は上記従来技術のもつ問題点を解消することに
あり、その目的とするところは、ズーム部の組立作業性
を向上し、且つ安価なズームレンズを提供することにあ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は上記した目的を
達成するため、カム環を、従前のカム溝の代わりに内周
面にリブ状の２つのカム（カムリブ）を設けたプラスチ
ック成形品とし、第一移動枠は、該第一移動枠と一体の
カムピン及びバネ状のリブ押さえで、カム環の一方のカ
ムリブを挟み込むようになし、第二移動枠は、ガイドバ
ーの周りに巻装したコイルバネにより、該第二移動枠と
一体のカムピンを後方より他方のカムリブに常に押し付
けるように構成される。さらに、２つのカムリブにはカ
ムとして使用する範囲から延長した部分に組立用のガイ
ド部をそれぞれ設け、且つ、第一移動枠を組み込む際
に、カムピンとリブ押さえがスムーズにカムリブを挟み
込める位置にくるように、カム環の内周における第一移
動枠用のカムリブのガイド部近傍に台座リブが設けられ
る。これによって、第一移動枠をガイドバーに係合しそ
のカムピンがカム環の台座リブに突き当たった状態から
カム環を少し回転させることで、カムピンとリブ押さえ
がカムリブのガイド部を挟み込むようになり、組立作業
性が大幅に向上する。

【０００５】

【作用】従前は金属の機械加工品であったカム環をプラ
スチック成形品としたことによる材料及び部品加工費の
低減、レンズ枠（第一，第二移動枠）とカムピンを一体
化したことによる部品数の削減と組立工数の低減、ま
た、カム環のカムリブをカムとして使用する範囲から延
長して第一移動枠及び第二移動枠を組み立てるためのガ
イド部を設けたことと、第一移動枠組立のためにカムピ
ンの位置決め用の台座リブをカム環に設けたこととが相
俟つことによる、組立作業性の大幅な改善効果により、
総じて安価なズームレンズを実現することができる．

【０００６】

【実施例】以下、本発明によるズームレンズ鏡筒を図１
〜図４に示した一実施例によって説明する。

【０００７】図１はズールレンズ鏡筒の断面図である。
同図において、１はフォーカスレンズＬ１を保持した距
離環、２は指標環、３はズーム環、４はマクロ切換え用
釦、５は変倍レンズＬ２を保持したプラスチック成形品
よりなる第一移動枠、９は補正レンズＬ３を保持したプ
ラスチック成形品よりなる第二移動枠、６は第一移動枠
５の光軸方向の位置を制御するカムリブ６ａと第二移動
枠９の光軸方向の位置を制御するカムリブ６ｂ等を有す
るプラスチック成形品よりなるカム環、７はズーム部を
保持する固定枠、８は第一移動枠５と第二移動枠９を光
軸方向に移動可能に保持するガイドバー、１０は第二移
動枠９のカムピン９ａをカム環６のカムリブ６ｂに押し
当てるためのバネ（コイルバネ）、１１はアイリス、１
２はマスターレンズＬ５を内蔵したマスターレンズ枠、
１３はマスターレンズ枠１２を光軸方向に調整可能に保
持し且つレンズＬ４を保持するマスター枠受である。こ
こで、ガイドバー８はマスター枠受１３と固定枠７によ
り光軸と平行に保持されており、また、カムリブ６ａの
カム面は第１図において右側の面となっており、第一移
動枠５は、このカム面に突き当たるカムピン５ａと弾性
力を持ったリブ押さえ５ｂによりカムリブ６ａを挟み込
んでいる。

【０００８】上記構成において、カム環６を回転させる
ことにより、第一移動枠５並びに第二移動枠９がカム環
６の２つのカムリブ６ａ，６ｂに従い光軸方向に移動
し、公知のズーム動作が行われる。

【０００９】図２はズーム部の分解斜視図である。同図
によって、ズーム部の組立順序を次に説明する。まず、
レンズＬ４を保持したマスター枠受け１３に、第二移動
枠押さえ用のバネ１０とガイドバー８を取り付け、次
に、第二移動枠９をガイドバー８に係合させて取り付
け、続いてカム環６を、該カム環６のカムリブ６ｂが、
バネ１０により第二移動枠９のカムピン９ａと当接する
ように組み込む。この時、カム環６の回転方向位置は、
カムとして使用する範囲外のカムリブ６ｂ部分たるカム
リブ６ｂのガイド部に、上記カムピン９ａが接触する状
態にしておく。

【００１０】次に、第一移動枠５をガイドバー８に係合
させて組込むと共に、第一移動枠５のカムピン５ａをカ
ム環６の台座リブ６ｃに突き当てる。この台座リブ６ｃ
は、カム環６の内周面に形成された第一移動枠５用のカ
ムリブ６ａの近傍位置、詳細には、カムとして使用する
範囲外のカムリブ６ａ部分たるカムリブ６ａのガイド部
より若干量だけ離間した位置に設けられている。この状
態から続いて、カム環６をワイドからテレ方向に回転さ
せることにより、第一移動枠５のカムピン５ａとリブ押
さえ５ｂとでカムリブ６ａのガイド部が挟み込まれる。
なお、このリブ押さえ５ｂは、本実施例では第１移動枠
５と一体に形成された弾性力をもつ板バネ状の構造をと
るものとされているが、リブ押さえは別ピースのバネ材
であっても良い。

【００１１】続いて、ズーム環３のカム環６との連結ピ
ン（図示せず）を、カム環６の連結溝（図示せず）に合
わせて組み込み、最後に固定枠７を組み込んで、マスタ
ー枠受１３と固定枠７とを図示せぬネジで固定すること
により、ズーム部が汲み上げられる。

【００１２】図３及び図４は、第一移動枠５組み込み時
のカムリブ６ａ，６ｂとカムピン５ａ，９ａとの位置関
係を示すカム環６の展開図であり、同各図において、上
方向がレンズの前方向（被写体側方向）である。第一移
動枠用のカムリブ６ａと第二移動枠用のカムリブ６ｂの
カムとしての範囲はそれぞれθ１とθ２であり、またθ
３とθ４は、それぞれに前記両移動枠５，９を組み込む
ためにガイド部として延長した部分である。なお、カム
リブ６ａは、第一移動枠５のリブ押さえ５ｂの板バネ部
の弾性変形量が変化しないようにリブの厚みを変化させ
てある。

【００１３】図３は、第一移動枠５をガイドバー８に係
合させて組み込み、カムピン５ａを台座リブ６ｃに突き
当てた状態を示している。このとき、第二移動枠９は上
述したようにすでに組み込まれており、第２移動枠９の
カムピン９ａは、バネ１０によりカムリブ６ｂのθ４の
範囲（ガイド部）で当接した状態にある。この状態か
ら、カム環６をワイドからテレの方向（図３において左
から右の方向）に少し回転させた状態が、図４に示され
ている。図４に示した時点では、リブ押さえ５ｂがカム
リブ６ａのガイド部にかかっており、この後、さらにカ
ム環６を同方向に回転させると、カムピン５ａがθ１の
範囲に入って、これにより、リブ押さえ５ｂとカムピン
５ａとがカムリブ６ａを完全に挟み込み、組み込みが完
了する。

【００１４】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、変倍レン
ズを保持した第一移動枠のカムピンがカム環の台座リブ
に突き当たった時点でカム環を回転させるだけで、第一
移動枠とカム環とを簡単に組み合わせることができるた
め、組立作業性が向上する。さらに、カムピンを第一，
第２移動枠と一体に形成し、且つカムリブをもつカム環
をプラスチック成形品としたため、トータル部品コスト
が低減でき、組立作業性の改善効果と相俟って、安価な
ズームレンズが実現できることとなり、該種ズームレン
ズにあってその価値は多大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るズームレンズ鏡筒の断
面図である。

【図２】本発明の一実施例に係るズームレンズ鏡筒の要
部分解斜視図である。

【図３】本発明の一実施例に係るズーム部の組立手法を
示す説明図である。

【図４】本発明の一実施例に係るズーム部の組立手法を
示す説明図である。

【符号の説明】

５ 第一移動枠 ５ａ カムピン ５ｂ リブ押さえ ６ カム環 ６ａ カムリブ ６ｂ カムリブ ６ｃ 台座リブ ７ 固定枠 ８ ガイドバー ９ 第二移動枠 ９ａ カムピン １０ バネ １３ マスター枠受

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定鏡筒に光軸と平行に保持されたガイ
   ドバーと、 このガイドバーに係合し光軸方向に移動可能に保持され
   た、変倍レンズをもつ第一移動枠並びに補正レンズをも
   つ第二移動枠と、 前記第一移動枠と第二移動枠の光軸方向位置を制御する
   ために２つのカムリブを一体形成したプラスチック成形
   品よりなるカム環とを具備し、 前記第一移動枠は、該第一移動枠に一体に形成されたカ
   ムピンと該第一移動枠に設けられた弾性力をもったリブ
   押さえとにより前記カム環の一方のカムリブを常に挟み
   込み、また、前記第二移動枠は、前記ガイドバーの周り
   に巻装したコイルバネにより該第二移動枠に一体に形成
   されたカムピンが前記カム環の他方のカムリブに常に接
   触するようになし、前記カム環を回転させることにより
   前記第一移動枠並びに第二移動枠がカム環の前記２つの
   カムリブに従い光軸方向に移動してズーム動作を行うこ
   とのできるズームレンズ鏡筒であって、 前記カム環の２つのカムリブには、該カムリブをカムと
   して使用する範囲から延長した部分にガイド部をそれぞ
   れ形成すると共に、前記カム環には前記一方のカムリブ
   に近接した位置に、前記第一移動枠の組み込み・位置決
   めのための台座リブを設け、前記第一移動枠を前記ガイ
   ドバーに係合させ第一移動枠の前記カムピンが前記台座
   リブに突き当たった状態で前記カム環を少し回転させる
   ことにより、第一移動枠の前記カムピンと前記リブ押さ
   えとがカム環の前記カムリブの一方のガイド部を挟み込
   み、これにより前記第一移動枠が組み込み可能とされた
   ことを特徴とするズームレンズ鏡筒。
2. 【請求項２】 請求項１記載において、前記第一移動枠
   の前記弾性力をもったリブ押さえが、プラスチック成型
   品よりなる第一移動枠に一体形成された板バネ構造をと
   るものであることを特徴とするズームレンズ鏡筒。