JP2697212B2 - 繊維方向に異方性を有するポリマー粒子含有繊維 - Google Patents

繊維方向に異方性を有するポリマー粒子含有繊維

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、高度に架橋された架橋ポリマー粒子を含有
し、繊維方向に異方性を有する繊維に関する。
[従来の技術] 近年、服飾のファッション化に伴なって、材料の布お
よび繊維に対して高度の機能が要求されている。
これまで繊維では、極微細化、異形状化、複合繊維
化、中空化など種々の試みがなされ、数多くの成果が得
られた。しかしながら、これら繊維の横方向に関する異
形化、複合化であった。
一方、繊維での繊維方向に関して異方性を付与する
と、その光沢、すべり性などに有効であると推定されて
いながら、製造上の困難さのために実用化が進んでいな
かった。
従来、この目的のために、シリカ粒子、アルミナ粒子
などの無機粒子を含有する合成繊維用ポリマーをノズル
から溶融紡糸し、粒子部分がノズルを通過した後のふく
らみが他の部分のふくらみと異なること、繊維の側面に
できる粒子による凹凸の効果によって、光沢の改良を行
なっていた。
しかしながら、無機粒子はノズル通過時に全く形状変
化せず、これを利用した繊維方向の異方性も大きなもの
ではなく、側面の凹凸も小さいものであった。かつ、ま
た無機粒子は粗粒が多く、これらがノズル詰りを発生さ
せるため、一定の粒子径に揃えるために気流分級を繰り
返して行なう必要があり、実用上大きな問題があった。
なお、合成繊維ポリマーに有機ポリマー粒子を混入さ
せる試みもなされている。
しかしながら、従来は合成繊維ポリマーを溶融紡糸す
る際の高い温度に耐える高度に架橋された架橋粒子が得
られず、また得られても実用上使用できるような揃った
粒子径のものとはならなかった。
また、特開昭59−217755、特開平1−236267などにお
いて、特別な架橋ポリマー粒子をポリエステルフィルム
に添加することは知られていたが、本発明で見い出した
繊維の特有な効果は予想されていなかった。
[本発明が解決しようとする問題点] そこで本発明者らは、合成繊維用ポリマーに添加して
紡糸工程に耐える高い耐熱性を有し、かつ粒子径の揃っ
た架橋ポリマー粒子を得、従来よりも繊維方向の異方性
に優れ、繊維の側面に大きな有効な凹凸を有するポリマ
ー粒子含有繊維をめざして検討を行ない、本発明に到達
した。
[問題点を解決するための手段] すなわち本発明は、下記条件の架橋ポリマー粒子を繊
維100重量部当たり、0.01〜5重量部含有させて溶融紡
糸し、延伸して得られる、繊維方向に異方性を有するポ
リマー粒子含有繊維(以下「ポリマー粒子含有繊維」あ
るいは「繊維」ともいう)である。
(a)多官能ビニルモノマーを5重量%以上含有するラ
ジカル重合性モノマーを乳化重合したもの。
(b)体積平均粒子径が0.1〜3μm。
(c)体積平均粒子径の±30%の範囲内に80重量%以上
の粒子が存在する。
本発明で用いる架橋ポリマー粒子は、上記の条件にあ
てはまれば特に制限はないが、特に次の製造法によるも
のを好適に用いることができる。
つまり、数平均分子量500〜10,000の低分子量種ポリ
マーラテックスの存在下に、多官能ビニルモノマーを5
重量%以上が有するラジカル重合性ポリマーを水中で重
合して得られる体積平均粒子径0.1〜3μmの架橋ポリ
マー粒子である。
本発明での多官能ビニルモノマーとしては、ジビニル
ベンゼンに代表される非共役ジビニル化合物、あるいは
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチ
ロールプロパントリアクリレートに代表される多価アク
リレート化合物などの、2個以上、好まくは2個の共重
合性二重結合を有する化合物を好ましく用いることがで
きる。
本発明に使用することができる多価アクリレート化合
物の例としては、次の化合物を挙げることができる。
ジアクリレート化合物 ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチ
レングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコ
ールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリ
レート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,
2′−ビス(4−アクリロキシプロピルキシフェニル)
プロパン、2,2′−ビス(4−アクリロキシジエトキシ
フェニル)プロパン トリアクリレート化合物 トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチ
ロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタ
ントリアクリレート テトラアクリレート化合物 テトラメチロールメタンテトラアクリレート ジメタクリレート化合物 エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレング
リコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジ
メタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレ
ート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4
−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサ
ングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタク
リレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレー
ト、2,2′−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェ
ニル)プロパン トリメタクリレート化合物 トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメ
チロールエタントリメタクリレート。
以上のうち、特にジビニルベンゼン、エチレングリコ
ールジメタクリレートまたはトリメチロールプロパント
リメタクリレートを用いることが好ましい。また、これ
らの多官能ビニルモノマーは、2種以上を混合して用い
ることもできる。
なお、ここでブタジエン、イソプレンなどの共役ジエ
ンモノマーは、実際上、1官能ビニルモノマーとして重
合を行なうものであるので、多官能ビニルモノマーには
入れない。
本発明においては、多官能ビニルモノマーの割合を、
全モノマーに対して10〜100重量%、好ましくは15〜100
重量%、さらに好ましくは30〜100重量%とすることが
必要である。10重量%未満では、得られる架橋ポリマー
粒子の耐熱性が不足し、繊維ポリマーとの複合化の際、
あるい紡糸の際に形状維持が困難となる。
本発明において、上記多官能ビニルモノマーとともに
用いられる重合性モノマーとしては、スチレン、α−メ
チルスチレン、フルオロスチレン、ビニルピリンなどの
芳香族モノビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、ブチルアクリ
レート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアク
リレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシ
ジルアクリレート、N,N′−ジメチルアミノエチルアク
リレートなどのアクリル酸エステルモノマー、ブチルメ
タクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メ
チルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート、グリシジルメタクリレート、N,N′−ジメチルア
ミノエチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル
モノマー、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イ
タコン酸などのモノまたはジカルボン酸およびジカルボ
ン酸の酸無水物、アクリルアミド、メタクリルアミドな
どのアミド系モノマーを用いることができる。
また、重合速度および重合安定性の点で許容される範
囲内において、ブタジエン、イソプレンなどの共役二重
結合化合物や酢酸ビニルなどのビスルエステル化合物、
4−メチル−1−ペンテン、その他のα−オレフィン化
合物も使用することができる。これらは2種以上を使用
してもよい。
これらのモノマーを重合する方法としては特に制限が
ないが、好ましい重合法として、数平均分子量が500〜1
0,000の低分子量の種ポリマーラテックスの存在下に、
モノマーを加えて重合する方法を挙げることができる。
この方法において、低分子量の種ポリマーラテックス
としては、メルカプタン類などの分子量調整剤を比較的
多量に使用して、乳化重合あるいはソープフリー重合で
重合して得られるものが好ましく、ポリスチレン系のラ
テックスを好適に用いることができる。この種ポリマー
ラテックスの存在下に、多官能ビニルモノマーを含むラ
ジカル重合性モノマーの重合を行なう。
モノマーを添加する方法としては、重合開始前に一時
に添加する方法、および重合に従ってモノマーを連続的
にあるいは分割して添加する方法があり、どちらも使用
することができる。
種ポリマー粒子1重量部に対するモノマーの使用量
は、2〜500重量部であり、種ポリマーの粒子径と目的
とする架橋ポリマー粒子の粒子径から計算して選択する
ことができる。
重合のための重合開始剤は、過硫酸カリウム、過硫酸
ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫化水素などの水
溶性重合開始剤、およびベンゾイルペルオキシバ、アゾ
ビスイソブチロニトリル、ジラウロイルペルオキシドな
どの油溶性重合開始剤を用いることができる。
なお、この架橋ポリマー粒子の重合を行なう際に、ト
ルエン、n−ヘキサン、n−ヘブタン、シクロヘキサノ
ール、シクロヘキサン、メチルイソブチルケトンなどの
溶剤を共存させると、得られる架橋ポリマー粒子は多孔
粒子となる。
本発明において、この多孔粒子はアンカー効果によっ
て繊維ポリマーと物理的な結合力がさらに強くなり、繊
維の延伸による粒子表面の界面剥離に強くなって、本発
明の効果をさらに強める。
架橋ポリマー粒子の粒子径は、体積平均粒子径が0.1
〜3μm、好ましくは0.15〜2.5μmである。0.1μm未
満では、繊維に入れて紡糸し、繊維方向の異方性を発現
させるには小さすぎて不十分である。一方、3μm以上
では、一般の紡糸ノズルに詰りが生じるとともに、糸切
れなどの問題が生じる。
本発明で目的とする繊維方向の異方性を発現させるた
めに、紡糸ノズルを通過する限界に近い、できるだけ粒
径の大きな粒子のみを選択的に使用するのが好ましい。
このため、本発明での架橋ポリマー粒子の粒子径分布
は狭いものが好ましい。具体的には、体積平均粒子径の
前後±30%の範囲内に80重量%以上、好ましくは85重量
%以上存在するようなものであることが好ましい。
この範囲より大きい粒子が多く存在すると、ノズル詰
りおよび糸切れの原因となり、またこの範囲より小さい
粒子が多く存在すると、不必要な粒子が繊維に入って、
繊維の強度と伸びを低下させるだけでなく、光沢や肌ざ
わりなどの感触を低下させる。
架橋ポリマー粒子は、軟化温度が180℃以上、好まし
くは200℃以上、さらに好ましくは250℃以上のものが好
ましい。
本発明の架橋ポリマー粒子を従来の無機粒子と比べる
と、有機物であるために繊維ポリマーとの親和性が高
く、繊維内での剥離が生じにくい点に第1の特徴があ
る。このため繊維の糸切れが生じにくいほか、強度、伸
びが大きい。
さらに、本発明の1つの実施形態である多孔粒子にお
いては、繊維ポリマーとの付着力がさらに強く、この効
果が大きい。
第2の特徴は、本発明の架橋ポリマー粒子は、高温で
の繊維の溶融紡糸の段階に若干の変形を示し、従来の無
機粒子よりも2倍程度大きな平均粒径のものでも、容易
に同じノズルを通過することである。このため、従来の
無機物粒子よりも、ノズル詰りの心配が少ないほか、同
一ノズルで大きな粒子を使用することができ、繊維方向
の異方性と繊維側面の凹凸を大きくすることができるの
である。
第3の特徴は、本発明の粒子は変形してノズルを通過
後、もとの形状に戻る点にある。このため、本発明の粒
子では従来の無機粒子を使用したものよりも、繊維の繊
維方向での異方性が著しく大きくなる。それによって、
この粒子複合繊維による織物には特殊な光沢や、つやを
有し、高級感に富んだものが得られる。
本発明での架橋ポリマー粒子を入れる繊維には特に指
定はないが、150℃以上、好ましくは200℃以上で溶融紡
糸するポリマーが好ましい。
繊維ポリマーの具体例としては、ナイロン6、ナイロ
ン66、ナイロン610、ナイロン11、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポ
リビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリウレタンなどが挙げられる。このうち、ナイ
ロン6、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレートが特
に好ましい。
これら繊維ポリマーと架橋ポリマー粒子との複合化の
方法には特に制限はないが、繊維ポリマーへの架橋ポリ
マー粒子粉体のドライブレンド、および架橋ポリマーラ
テックスでのラテックスブレンドがある。これらの方法
においては、繊維ポリマー中での架橋ポリマー粒子の均
一な混合分散をさせるため、十分な分散操作を行なうこ
とが好ましい。
繊維ポリマーへの均一な分散のために最も好ましい方
法は、架橋粒子を共存させて繊維ポリマーの合成を行な
うことである。具体的には、例えばε−カプロラクタム
の開環縮合反応の際に、架橋ポリマー粒子を共存させる
ことによって分散性の優れた架橋粒子の複合のナイロン
6を得ることができる。
架橋ポリマー粒子を複合化した繊維ポリマーの紡糸に
は、従来の溶融紡糸が好適に用いられる。溶融紡糸の温
度は、繊維ポリマーに応じて設定するが、架橋ポリマー
粒子の耐熱性の点から450℃×10分以下の熱条件が好ま
しい。また、溶液紡糸でも好適に紡糸することができ
る。
本発明での繊維ポリマーへの架橋ポリマー粒子の混入
量は、繊維ポリマー100重量当たり、0.01〜5重量部、
好ましくは0.1〜3重量部である。架橋ポリマー粒子の
添加量が5重量部より大きいと、糸切れなどの工程上の
問題が増大するほかに、糸の強度の低下が大きくなる。
0.01重量部以下では、本発明の効果が得られない。
本発明において、架橋ポリマー粒子の平均粒子径およ
び粒子径分布を求めるには、粒子の電子顕微鏡写真を撮
り、この写真上の統計上有意な数の粒子像の計測によっ
て求めることができる。
なお、レーザー回折法、コールターカウンター法など
による測定を行なう場合は、上記方法との校正を行なう
必要がある。
[実 施 例] 以下、本発明の実施例を説明する。なお、以下の記載
において、「部」は重量部である。
<種ポリマー粒子ラテックスの合成> スチレン 98部 メタクリル酸 2部 t−ドデシルメルカプタン 10部 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.05部 過硫酸カリウム 1.0部 水 200部 以上の物質を容量2のフラスコ中に入れ、撹拌しな
がら窒素ガス中にて70℃に昇温して、6時間重合を行な
った。これにより、重合収率98%で粒子径0.50μm、粒
子径の標準偏差値が0.015μmの種ポリマー粒子(1)
を得た。ここで粒子径とは、透過型電子顕微鏡写真によ
り100個のポリマー粒子について計測した値の平均値で
ある。
この種ポリマー粒子(1)は、トルエン溶解分98%、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定した分子
量が、重量平均分子量(Mw)=5,000、数平均分子量(M
n)=3,100であった。
次に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量を
0、0.01、0.2、2.0部とし、他は上記種ポリマー(1)
と同様にして、種ポリマー粒子(2)、(3)、
(4)、(5)を得た。(2)〜(5)の粒子径は、そ
れぞれ2.1μ、1.1μm、0.12μm、0.04μmであった。
<架橋ポリマー粒子A〜Lの合成> 種ポリマー粒子(1)(固形分換算) 8部 ラウリル硫酸ナトリウム 0.2部 過硫酸カリウム 0.5部 水 500部 を窒素気流下に混合し、80℃に昇温し、これに市販ジビ
ニルベンゼン100部 組成:ジビニルベンゼン 55重量% エチルビニルベンゼン 42重量% 飽和炭化水素 3重量% を4時間かけて滴下しつつ重合を行なった。
滴下後、さらに80℃で2時間重合を続けたところ、重
合収率99%、200メッシュフィルター上に残る重合凝固
物0.02%(対重合固形分)である架橋ポリマー粒子Aの
ラテックスが得られた。電子顕微鏡写真にて、この粒子
を無作為に200個計測した結果、体積平均粒子径は1.0μ
m、0.7〜1.3μmの範囲にある粒子は、全粒子の92重量
%であった。また、これらの粒子は、ほぼ完全な球形で
あった。
同様にして種ポリマー粒子(2)〜(5)を用い、他
は上記Aと同様にして、架橋ポリマー粒子B〜Eを得
た。
次に、市販ジビニルベンゼン100部の代わりに、それ
ぞれ市販ジビニルベンゼン55部とスチレン45部(ジビニ
ルベンゼン純品換算30重量%)、および市販ジビニルベ
ンゼン18部とスチレン82部(ジビニルベンゼン純品換算
10重量%)、および市販ジビニルベンゼン9部とスチレ
ン91部(ジビニルベンゼン純品換算5重量%)に変えた
以外は、架橋ポリマー粒子Aの合成と全く同様にして、
架橋ポリマー粒子F、G、Hを得た。
架橋ポリマー粒子Aの合成において、種ポリマー粒子
(1)の代わりに、市販のスチレンブタジエンゴムラテ
ックス(日本合成ゴム(株)製、JSR#0561;平均粒子径
0.55μm、粒子径の標準偏差値0.21μm)を用いた以外
は、Aと全く同様にして架橋ポリマー粒子(I)を合成
した。架橋ポリマー粒子(I)は、幅広い粒子径分布と
なった。
次に、一般的な懸濁重合法にて市販ジビニルベンゼン
を重合し、平均粒子径10μmの幅広い粒子径分布の粒子
を合成した。これをコロイドミルで24時間かけて破砕
し、粒子を乾燥後、気流分級機にて5回の分級を繰り返
し、1μm付近の粒径成分を分取した。これを架橋ポリ
マー粒子Jとする。
次に、市販ジビニルベンゼン100部の代わりに、市販
ジビニルベンゼン100部とシクロヘキサノール30部の混
合物を用い、他は架橋ポリマー粒子Aの合成を全く同様
にして多孔性の架橋ポリマー粒子Kを得た。この粒子は
電子顕微鏡で観察すると、粒子全体がラズベリー状の凹
凸の形状をしている上に、さらに全面にわたって0.05μ
m以下の微細な凹凸あるいはシワが生じていた。
架橋ポリマー粒子Aの合成において、粒子の重合が完
結した後、さらにヒドロキシエチルメタクリレート10
部、スチレン10部、および過硫酸カリウム0.1部を加
え、引き続き80℃で2時間反応を続けることにより、粒
子表面を水酸基で変性した架橋ポリマー粒子(L)を得
た。
これらの架橋ポリマー粒子のデータを表−1に示す。
実施例1 オートクレーブにε−カプロラクタム1000g入れ、120
℃に加熱して溶融した後、撹拌しながら架橋ポリマー粒
子(A)のラテックス(固形分として10g)を徐々に加
え、水分を留出させた。水の留出が終った後冷却し、一
部をサンプリングすると、架橋ポリマー粒子(A)はε
−カプロラクタムに均一に分散していた。
これに、アジピン酸12gおよび水10gを加え、オートク
レーブを密封したうえで、撹拌しながら250℃で3時間
反応させた。その後、徐々に減圧にし、最終的に3mmHg
で250℃×1時間処理することによって、架橋粒子
(A)が均一に分散したナイロン6を得た。
次に、これをプレッシャーメルタ型の溶融紡糸機に
て、350℃のポリマー温度、ノズル口数100、紡糸速度50
0m/min、紡糸後の延伸倍率100倍の条件で、溶融紡糸お
よび延伸を行ない、実施例1の粒子複合繊維を得た。
紡糸および延伸工程では、糸切れ、ノズル詰りなどの
問題はなく、良好に操作できた。得られた糸は、ほぼ10
μmの太ささで、ところどころに架橋粒子によると考え
られる膨らみのある繊維方向異方性の繊維であった。
ここで、繊維の平均の太さをD、膨らみの部分の太さ
をDBとし、繊維の異方性指数Xを として定めると、実施例1ではX=1.87であった。
なお、透過型電子顕微鏡で切片試料の繊維と粒子の界
面の部分を観察したところ、界面剥離による空隙は全く
見い出されなかった。この繊維を巻取機にかけたときの
繊維のステンレス金属に接触する部分での走行抵抗を測
定したところ、粒子の入らない比較品の1/4であった。
次に、この繊維で布を作ったところ、特異な光沢があ
り、高級感に優れたものであった。
比較例1 市販の樹脂添加用のシリカ粒子(気流分級したもの、
体積平均粒子径1.2μm、体積平均粒子径の±30%の範
囲の粒子が70%を占める)を実施例1での架橋粒子の代
わりに用いた以外は、実施例1と同様にして比較例1の
シリカ粒子複合繊維を得た。
このものの紡糸工程において、シリカ粒子中の粗大粒
子のために糸切れがひんぱんに生じた。得られた繊維の
太ささは15μmで、X=1.21で異方性の小さいものであ
った。また、透過型電子顕微鏡の観察では、繊維ポリマ
ーと粒子の界面での剥離が認められた。
実施例2〜7、比較例2〜6 架橋ポリマー粒子(A)を(B)〜(L)に代えた以
外は、実施例1と同様にして実施例2〜7、比較例2〜
6を得た。この結果を表−2に示す。
比較例2では、架橋ポリマー粒子の粒子径が大きす
ぎ、ノズルの口径と延伸倍率を工夫した結果、ノズル詰
りないものの、糸れが頻発して安定紡糸できなかった。
実施例2、3では、架橋ポリマー粒子の粒子径を変更
した実施例である。
比較例3は、架橋ポリマー粒子の粒子径が小さすぎる
場合の例であり、紡糸工程には支障がないが、架橋ポリ
マー粒子が小さすぎて本発明の効果が得られていない。
実施例4、5、比較例4は、架橋ポリマー粒子での多
官能ビニルモノマーの含量を代えた例である。
比較例4では、架橋粒子の耐熱性が低く、繊維中で熱
分解を始めており、粒子の形状が不明確になっており、
また本発明の効果が得られていない。
比較例5、6は、架橋ポリマー粒子の粒子径分布が広
すぎる場合の例である。
比較例5では、ノズル詰りがないものの、延伸での糸
切れが頻発して安定な条件での糸が得られていなかっ
た。
比較例6では、ノズル詰りが頻発して紡糸作業ができ
なかった。
実施例6〜9は、架橋粒子を多孔性にしたもの、およ
び粒子表面を水酸基変性したものの効果を見たものであ
る。
なお、実施例8、9は、延伸倍率を500倍にしたもの
である。
このように粒子表面に繊維ポリマーとの物理的あるい
は化学的な親和性処理したものは、本発明の効果をさら
に大きくすることができる。
[発明の効果] 本発明のポリマー粒子含有繊維は、従来の技術よりも
大きな繊維方向の異方性と繊維の側面の凹凸を容易に付
与することができる。また、延伸による粒子界面の剥離
のための物性低下も防げる。
これにより、この繊維を用いた織物は、光沢および肌
ざわりに高度な高級感を与えることができる。また、本
発明の繊維は、繊維の加工工程での糸の走行における抵
抗が低減し、加工機の摩耗が大幅に減少する。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記条件の架橋ポリマー粒子を繊維ポリマ
    ー100重量部当たり、0.01〜5重量部含有させて溶融紡
    糸し、延伸して得られる、繊維方向に異方性を有するポ
    リマー粒子含有繊維。 (a)多官能ビニルモノマーを5重量%以上含有するラ
    ジカル重合性モノマーを乳化重合したもの。 (b)体積平均粒子径が0.1〜3μm。 (c)体積平均粒子径の±30%の範囲内に80重量%以上
    の粒子が存在する。
  2. 【請求項2】架橋ポリマー粒子が多孔粒子である特許請
    求の範囲(1)項の繊維方向に異方性を有するポリマー
    粒子含有繊維。
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