JP2696781B2 - 頭髪用化粧料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、煙草臭消臭効果に優れ
た頭髪用化粧料に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
煙草臭を消臭する方法として、植物抽出成分を利用する
方法（特公平２−２２６７０号公報）や香料組成物によ
るマスキング法等が挙げられる。しかし、植物抽出成分
を利用する方法では化粧料として使用する場合、配合量
に限界があるためその効果は不十分である。また、香料
組成物によるマスキング法では、十分なマスキング効果
を得るために重く暗く非常に特徴のある強い香りを使用
しなければならず、香りが強すぎてかえって不快感を与
えてしまう等の問題があるのが現状である。

【０００３】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な現状に鑑み鋭意検討を重ねた結果、煙草臭とは数１０
０種類に及ぶ複合臭であるが、通常、煙草の嫌な臭いと
はニコチン由来であることを見出し、塩基性であるニコ
チンを緩衝剤でコントロールすれば、頭髪に使用しても
使用上違和感がなく、また、頭髪に対して安全性も高
く、更にイランイラン、ラベンダー、ラバンジンの少な
くとも１つから得られる精油を含有した香料成分を含有
することで煙草臭を完全に消臭することを見出し、本発
明を完成した。

【０００４】即ち、本発明の目的は、頭髪に対する安全
性が高く、使用上違和感がない煙草臭消臭効果に優れた
頭髪用化粧料を提供することにある。

【０００５】本発明は、ｐＨ３〜７において、有機酸及
びその塩、又は無機酸及びその塩からなる緩衝能を有す
る物質と、イランイラン、ラベンダー、ラバンジンの少
なくとも１つから得られる精油を含有した香料成分とを
含有することを特徴とする頭髪用化粧料である。

【０００６】本発明で用いる有機酸とは、酒石酸、クエ
ン酸等であり、又その塩とは、酒石酸ナトリウム、クエ
ン酸ナトリウム等である。又、無機酸とはリン酸等であ
り、又その塩とはリン酸水素ナトリウム等が挙げられ
る。緩衝剤は溶解して用いるのが好ましく、その溶媒と
しては単なる水でも、水−エタノール等の混合系でも良
い。混合の割合は特に限定されないが、例えば水−エタ
ノール系ではエタノール濃度として１〜６０重量％とす
るのが好ましい。緩衝剤の濃度は上記ｐＨの範囲にする
ための必要濃度であるが、通常０．０１〜１０重量％が
好ましく、更に好ましくは０．１〜４重量％である。本
発明の頭髪用化粧料のｐＨは３〜７であるが、これが３
未満であると髪を痛め、７を越えると消臭効果が劣り、
いずれも好ましくない。

【０００７】本発明で用いるイランイランから得られる
精油は、公知の物質であり、モルッカ諸島を原産地とす
るバンレイシ科（Ａｎｏｎａｃｅａｅ）に属する植物カ
ナンガオドラータ（Ｃａｎａｎｇａ ｏｄｏｒａｔａ）
の花を水蒸気蒸留して得られる、イランイランオイルフ
ァースト、イランイランオイルセカンド、イランイラン
オイルサード、カナンガオイル、又は石油エーテル、ベ
ンゼン等の有機溶媒で抽出したイランイランアブソリュ
ート等、以下の特性を有する物をさす。

【０００８】色調：単黄色〜暗褐色 比重：０．９０５〜０．９５５（１５℃） 屈折率：１．４９０〜１．５２５（２０℃） 香調：フローラル、ウォーム、バルサミック

【０００９】本発明で用いるラベンダーから得られる精
油は、公知の物質であり、地中海沿岸地帯を原産地とす
るシソ科の小灌木、ラバンデュラ・オフィシナリス（Ｌ
ａｖａｎｄｕｌａ ｏｆｆｉｃｉｎａｌｉｓ）の草花を
水蒸気蒸留して得られるラベンダーオイル、又はヘキサ
ン等の有機溶媒で抽出したラベンダーアブソリュート
等、以下の特性を有する物をさす。

【００１０】色調：単黄色〜暗緑色 比重：０．７００〜０．９４０（１５℃） 屈折率：１．４３０〜１．４９０（２０℃） 香調：フレッシュ、スパイシー、ウッディ

【００１１】本発明で用いるラバンジンから得られる精
油は、公知の物質であって、前述のラバンデュラ・オフ
ィシナリスとラバンデュラ・ラチフォリア（Ｌａｖａｎ
ｄｕｌａ ｌａｔｉｆｏｌｉａ）との交雑によるラベン
ダーによく似た植物であるラバンデュラ・ハイブリダ
（Ｌａｖａｎｄｕｌａ ｈｙｂｒｉｄａ）の草花を水蒸
気蒸留して得られるラバンジンオイル、又はヘキサン等
の有機溶媒で抽出したラバンジンアブソリュート等、以
下の特性を有する物をさす。

【００１２】色調：単黄色〜暗緑色 比重：０．８３０〜０．９４０（１５℃） 屈折率：１．４３０〜１．４９０（２０℃） 香調：フレッシュ、スパイシー、ウッディ

【００１３】本発明の頭髪用化粧料のイランイラン、ラ
ベンダー、ラバンジンの少なくとも１つから得られる精
油の頭髪用化粧料中における配合量は、０．００００５
〜０．５重量％が好ましく、更に好ましくは０．０００
５〜０．１重量％である。

【００１４】本発明の頭髪用化粧料の香料組成物に配合
されるその他の香料成分としては、ミュゲベース、ロー
ズベース、ジャスミンベース、シトラスベース、ムスク
ベース等の明るく軽い香料成分が好ましいものとして挙
げられる。例えば、ミュゲベースはハイドロキシシトロ
ネラール、リラール、リリアール等から成り、ローズベ
ースはフェニルエチルアルコール、シトロネロール、ゲ
ラニオール等から成り、ジャスミンベースはベンジルア
セテート、メチルジハイドロジャスモネート、ヘキシル
シンナミックアルデヒド等から成り、シトラスベースは
リモネン、シトラール、リナロール、リナリルアセテー
ト等から成り、ムスクベースはギャラクソリッド、ムス
クケトン、シクロペンタデカノライド等から成るが、こ
れらに限定されるものではない。

【００１５】本発明の頭髪用化粧料の香料組成物には、
香料成分の組成比の調整のために、ジエチルフタレート
等の希釈剤を配合することもできる。

【００１６】本発明の頭髪用化粧料には公知の任意成分
を配合することができる。例えば、殺菌剤、油分、界面
活性剤、防腐剤、糖類、消炎剤、増粘剤、色素、保湿
剤、エアゾール用噴射剤等を本発明の効果を損なわない
範囲で適宜配合することが可能である。

【００１７】本発明の頭髪用化粧料の塗布方法は特に限
定されないが、例えばローション、スプレー等の方法で
塗布することが望ましい。

【００１８】

【実施例】次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、配
合量は、重量％である。本実施例の消臭試験、及び毛髪
に対する安全性試験は以下の試験法により行った。

【００１９】消臭試験 各実施例に示す組成の頭髪用化粧料を製造した。次に、
ある一定体積の容器内に毛束を吊し、その内部に点火し
た煙草を設置し、１０分後毛束を取り出し、煙草臭を付
着させた毛髪を得た。この毛髪に、上述の頭髪用化粧料
を塗布し、専門パネラー１０名が表１に示す６段階臭気
レベルに基づいて評価した。結果は専門パネラー１０名
の平均値を記載した。

【００２０】毛髪に対する安全性試験 毛髪を上述の化粧料に１週間浸漬し、表２に示す毛髪の
損傷度に基づいて目視により評価した。

【００２１】

【表１】

【００２２】

【表２】

【００２３】実施例１〜３、比較例１〜６ まず、表３に示す組成で香料を調製し、表４に示す組成
で頭髪用化粧料を製造した。評価結果を表４に示す。表
４から明らかなように本発明の実施例１〜３は比較例１
〜６に比べて消臭効果、安全性に優れていた。

【００２４】

【表３】

【００２５】

【表４】

【００２６】実施例４〜６、比較例７〜１０ 表５に示す組成で頭髪用化粧料を製造した。評価結果を
表５に示す。表５から明らかなように本発明の実施例４
〜６は比較例７〜１０に比べて消臭効果、安全性に優れ
ていた。

【００２７】

【表５】

【００２８】実施例７ 表６に示す組成でスプレータイプの頭髪用化粧料を製造
した。評価結果を表６に示す。表６から明らかなように
本発明の実施例７は消臭効果、安全性に優れていた。

【００２９】

【表６】

【００３０】

【発明の効果】以上記載のとおり、本発明の頭髪用化粧
料は、煙草臭消臭効果に優れ、その上、頭髪に対する安
全性に優れたものであった。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ｐＨ３〜７において、有機酸及びその
   塩、又は無機酸及びその塩からなる緩衝能を有する物質
   と、イランイラン、ラベンダー、ラバンジンの少なくと
   も１つから得られる精油を含有した香料成分とを含有す
   ることを特徴とする頭髪用化粧料。