JP2694058B2 - アーク蒸着装置 - Google Patents

アーク蒸着装置

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JP2694058B2 JP3871991A JP3871991A JP2694058B2 JP 2694058 B2 JP2694058 B2 JP 2694058B2 JP 3871991 A JP3871991 A JP 3871991A JP 3871991 A JP3871991 A JP 3871991A JP 2694058 B2 JP2694058 B2 JP 2694058B2
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孜 池田
保之 山田
清 後藤田
邦彦 辻
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Kobe Steel Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアークイオンプレーティ
ングを実施するための蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】アークイオンプレーティングは、図2に
示すように、コーティング用蒸発源(金属)2をアーク電
源3 の陰極側に接続し、真空容器1 内で陽極との間に直
流アーク放電を起こし、陰極側に発生する陰極輝点での
高密度エネルギを利用してコーティング用蒸発源2 を蒸
発させ、負電位とされた基材 (被コーティング物) 21の
上に所望の金属又は金属化合物の薄膜を形成する方法で
ある。図中、4 は基材21を設置するための回転テーブル
であって、バイアス電源5 の陰極側に接続され、基材21
は回転テーブル4 を介して負電位とされている。真空容
器1には、N2 ,CH4 などのプロセスガス供給管6 や
排気管7 が設けられている。
【0003】この方法によると、蒸発源2 から発生する
金属蒸気の多くがイオン化されているという特性があ
り、この金属イオンを利用してイオンボンバード処理を
行い、基材表面をクリーニングできることが大きな特長
となっている。具体的操作手続は下記の通りである。 基材を真空容器内に挿入する。 容器内のガスを排気し、10-5 torr 程度にする。 必要により 200〜400 ℃に予熱し、基材表面に付着
しているガスを放出させる。 イオンボンバードを行う。
【0004】基材に−600 〜−2000Vの電圧を印加し、
アーク放電を開始し、金属イオンを発生させる。金属イ
オンの電荷は正であるため、負電位の基材との電位勾配
により加速されて基材に衝突する。−数百V以下(絶対
値は大)の電圧領域では、イオン粒子は基材に堆積する
よりも、表面を削る作用が勝ち、基材表面を削って活性
な面を露出させる。かかる作用は、通常行われているア
ルゴングロー放電によるボンバードに比し、極めて強力
である。 コーティングを行う。
【0005】基材の印加電圧を0〜−数百Vにすると蒸
着領域となり、所定のコーティングが可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、コーテ
ィング用蒸発源として低融点金属を用いた場合、アーク
放電により蒸発させると、ドロップレットの発生が多
く、かつ低融点金属はイオン化率が低くなることから、
効果的なボンバード処理が行えず、かつボンバード中に
ドロップレットが基材表面に付着し表面を荒らすという
問題があった。例えば、TiAl合金を使用してTiA
lN皮膜を形成しようとする場合、単純にTiを蒸発さ
せて、TiNを形成する場合に比し、低融点のAlを含
んでいるためドロップレットの発生が多く、かつ、ボン
バード効果が低下するため、密着力のよい皮膜が形成で
きない。
【0007】本発明はかかる問題に鑑みなされたもの
で、低融点金属をコーティング用蒸発源として使用した
場合でも、効果的なボンバードを行えるアーク蒸着装置
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明のアーク蒸着装置は、真空容器内で、イオン粒
子を基材表面に衝突させて基材表面をクリーニングする
イオンボンバード処理と、イオン粒子を基材表面に堆積
させて皮膜を形成するコーティング処理とが順次行われ
アーク蒸着装置において、前記真空容器内に、アーク
放電により蒸発してイオンボンバード処理用のイオン粒
子を発生するボンバード用蒸発源と、アーク放電により
蒸発してコーティング処理用のイオン粒子を発生するコ
ーティング用蒸発源と互いに別個に設けられているこ
とを発明の構成とする。
【0009】
【作用】ボンバード用蒸発源を独立させることにより、
コーティング用蒸発源とは別のボンバード効果の大きい
蒸発材料を使用することができ、コーティング用蒸発源
として使用する蒸発材料がボンバード作用の弱いもので
あっても最適のボンバード処理を行うことができ、ボン
バード処理後に所望の材料によって形成されたコーティ
ング用蒸発源を用いて基材表面をコーティングすること
により、密着力の良好な皮膜が形成される。
【0010】
【実施例】図1は本発明に係るアーク蒸着装置であり、
従来と同機能を奏する部材は同符号で示してある。本発
明の装置では、真空容器1内にコーティング用蒸発源2
の他にボンバード用蒸発源8 が設けられている。コーテ
ィング用蒸発源2 およびボンバード用蒸発源8 は、蒸発
器9,10を介してコーティング用アーク電源3 およびボン
バード用アーク電源11の陰極側に接続されている。アー
ク電源3,11の陽極側は蒸発源2,8 の外周近傍域に設けら
れた環状の陽極12,13 に各々接続されている。
【0011】前記コーティング用蒸発源としては、基材
21表面に所望の皮膜が形成できるように種々の金属材料
を用いることができる。一方、ボンバード用蒸発源とし
ては、皮膜の物性に悪影響を与えず、イオン化率の高
く、荷電量の大きい高融点又は高質量の金属 (例えばM
o、W)が好適であり、またコーティング用蒸発金属と
して合金を使用する場合、合金成分の内で高融点元素の
純金属を使用すればよい。因みに、イオン化率はW 245
%、Mo 169%、Ti 80 %である。
【0012】コーティングに際しては、まず、真空引き
後、ボンバード用蒸発源8 をアーク放電によりイオン化
してボンバード処理を行う。ボンバード処理終了後、ボ
ンバード用アーク電源11を切り、次にコーティング用ア
ーク電源3 を通電し、コーティング用蒸発源をアーク放
電によりイオン化して、基材21表面に所定皮膜を形成す
る。
【0013】ところで、基材のボンバードクリーニング
効果は、スパッタリング yieldからみると温度依存性を
示し、ある温度以上で急激にスパッタリング収率が増加
する傾向にある。従って、真空容器内部に独立したヒー
タを設け、基材をプレヒートしながらボンバードクリー
ニングを行うとよい。蒸発過程とスパッタリングの複合
効果により、より効果的なクリーニング効果がもたらさ
れるからである。
【0014】なお、本発明の装置では、通常のArグロ
ー放電を利用したクリーニングに比べ、高質量数金属イ
オンを利用することができる。この場合、高い運動エネ
ルギーにより、基材が必要以上に加熱昇温されるおそれ
がある。かかる過昇温を防止するには、ボンバード時間
を短時間に設定し、冷却しながらボンバードを繰り返し
行えばよい。
【0015】次に、本発明の装置を使用して、コーティ
ング用蒸発金属としてTiAl合金又はTi、ボンバー
ド用蒸発金属としてTi又はMoを使用し、TiAlN
又はTiN皮膜を形成する場合の具体的実施例を下記に
示す。尚、比較のため、従来例として、ボンバード用蒸
発金属を単独に使用する点を除き、同様の条件で皮膜を
形成した。 真空容器を3×10-5torr程度に真空引きした後、ボ
ンバード用蒸発源と陽極との間にアーク放電を起こさ
せ、Ti又はMoイオンを発生させる。この際、回転テ
ーブル上に載置した基材には、同テーブルを介してバイ
アス電源から−600〜−1000Vの電圧が印加されてい
る。ボンバード用蒸発源を形成する金属は、高度にイオ
ン化されるため、基材に到達する粒子のほとんどが高い
バイアス電圧に引き付けられて基材に高速で衝突し、基
材表面を削る、いわゆるエッチング作用を起こす。 十分なボンバードにより基材表面が清浄化された
後、ボンバード用アーク電源の通電を止め、次にコーテ
ィング用蒸発源にアーク放電を起こさせ、TiAlの蒸
気を発生させる。同時に反応ガスとしてN2 ガスを容器
内に供給し、バイアス電圧を0〜−200 Vの範囲に設定
する。
【0016】尚、従来例の場合は、コーティング前に基
材に−600 〜−1000Vの電圧を印加して、ボンバードを
行った。 以上のようにして形成された皮膜および密着強度の
測定結果を表1に示す。尚、密着強度はダイヤモンドス
タイラスを用いて、コーティング膜面上を荷重零から移
動させ、膜剥離によるAE信号が発生し始める荷重を検
出することによって求めた。
【0017】
【表1】
【0018】 表1より、本発明装置を用いて行った
実施例では、従来例に比して、あらゆる基材に対して安
定した高い密着力を有する皮膜が形成された。
【0019】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明のアーク蒸着
装置によれば、コーティング用蒸発源とは別にボンバー
ド用蒸発源を設けたので、コーティング用蒸発材料のボ
ンバード作用の強弱に拘らず、良好なボンバード作用が
得られ、基材表面を清浄にすることができ、所望のコー
ティング用蒸発材料を用いて密着強度の優れた皮膜を形
成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアーク蒸着装置の断面説明図であ
る。
【図2】従来のアーク蒸着装置の断面説明図である。
【符号の説明】
1 真空容器 2 コーティング用蒸発源 3 コーティング用アーク電源 5 バイアス電源 8 ボンバード用蒸発源 11 ボンバード用アーク電源 21 基材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤田 清 兵庫県神戸市灘区箕岡通1丁目2−18 (72)発明者 辻 邦彦 兵庫県神戸市垂水区塩屋北町2丁目11− 2 (56)参考文献 特開 平1−184267(JP,A) 特開 平2−170968(JP,A) 特開 平2−66168(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器内で、イオン粒子を基材表面に
    衝突させて基材表面をクリーニングするイオンボンバー
    ド処理と、イオン粒子を基材表面に堆積させて皮膜を形
    成するコーティング処理とが順次行われるアーク蒸着装
    置において、前記真空容器内に、アーク放電により蒸発
    してイオンボンバード処理用のイオン粒子を発生する
    ンバード用蒸発源と、アーク放電により蒸発してコーテ
    ィング処理用のイオン粒子を発生するコーティング用蒸
    発源と互いに別個に設けられていることを特徴とする
    アーク蒸着装置。
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JP4609631B2 (ja) * 2004-01-05 2011-01-12 三菱マテリアル株式会社 硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具
JP4693002B2 (ja) * 2005-10-17 2011-06-01 株式会社神戸製鋼所 アークイオンプレーティング装置
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