JP2693565B2 - 平面アンテナ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、直接衛星放送受信などに用いられる平面ア
ンテナにおいて、その給電線路からの不要放射損の抑制
と指向方向の利得に優れた構造に関する。

（従来の技術） 平面アンテナは、マイクロ波帯における衛星放送や衛
星通信等の送受信用アンテナとして、パラボラアンテナ
に替わるものとして開発が進められている。

その構造は、第３図（ａ）に示すように、電波放射の
ための放射素子３と給電線路４とを接地導体１と誘電体
２とからなる積層体５の上に形成するものである。この
放射素子は図示した方形のもののみでなく、多角形、円
形、切欠円形、楕円等種々の形状が知られている。

これらの放射素子３を励振するための給電線路４は、
放射素子３と同一平面に、マイクロストリップ線路とし
て形成されることが多く、給電線路４を構成するインピ
ーダンス変換部、線路屈折部及び分岐部からの不要輻射
があり、利得を低下させるので、第３図（ｂ）及び
（ｃ）に示すように、給電線路４から0.3〜0.4λ（λ：
波長）の間隔を隔てて金属遮蔽板７を支持し、放射素子
の位置に対応する箇所に開口部６を設ける方法が、「平
面アンテナの構造設計」テレビジョン学会技術報告Vol.
10,No.44,19〜24page（Jan.1987）に示されている。ま
た、給電線路４を上下から囲むように接地導体を設ける
方法も、給電線路からの放射損を抑制する方法として知
られている。

更には、特開昭63−195503号公報によって開示されて
いるように、第３図（ｄ）のように、無給電放射素子９
を金属遮蔽板７と同一平面に形成し、給電線路４からの
放射損を抑制するとともに、金属遮蔽板７によるアンテ
ナの放射特性の乱れを少なくし、広帯域のアンテナとし
ている。

（発明が解決しようとする課題） 従来の技術において、給電線路４からの不要輻射を抑
制するために金属遮蔽板７を用いたアンテナは、その放
射特性が変化するので、所望の指向方向での利得が低下
してしまい、無給電放射素子９を金属遮蔽板７と同一平
面に形成したアンテナは、無給電素子９のアンテナ放射
特性を最適に決定できる位置と金属遮蔽板７による最適
の遮蔽効果を得られる位置とを同時に満足できる設計が
困難な場合がある。

本発明は、不要輻射の抑制と所望の指向方向における
利得に優れた平面アンテナを提供する。

（課題を解決するための手段） 本発明は、放射素子を励振素子と電磁結合したアンテ
ナにおいて、給電線路と励振素子の群、放射素子の群及
び金属遮蔽板を各々異なる層に形成して、それぞれ別個
に最適な設計ができる平面アンテナである。

すなわち、第２図（ａ）及び（ｂ）に示すように、最
下層に全面導体である接地導体層１、誘電体２からなる
層、複数の給電線路４および複数の励振素子３を構成す
る導体層、誘電体8aからなる層、電波放射のための複数
の開口部６を有する金属遮蔽板７、誘電体8bからなる
層、他の導体と絶縁され、かつ複数の励振素子３と対に
電磁結合された複数の無給電放射素子９を構成する導体
層の順に重ねられた平面アンテナである。また、開口部
６の形状は、方形、円形、楕円形、切欠円形、多角形で
も使用でき、第２図（ａ）に示すようなＸ字のスロット
形状であってもよい。

本発明に用いることのできる誘電体２の材質として
は、給電線路４の損失を小さくするために、比誘電率ε
ｒと誘電正接tanδの小さいものが好ましく、例えば、
ポリエチレン樹脂、弗素系樹脂、ポリオレフィン樹脂又
はこれらの樹脂と気泡との複合体であり、厚さは波長の
約1/10以下のものが好ましく、薄いフィルム状のものを
使用することもできる。

誘電体８及び8aについても、比誘電率εｒと誘電正接
tanδの小さいものが好ましく、誘電体２と同質の材料
が使用でき、また、空気層を用いることもでき、その場
合には空間に給電線路４、励振素子３、金属遮蔽板７、
又は、無給電放射素子９を支持するためにスペーサを使
用し、そのスペーサはアンテナの特性に影響の無い大き
さであれば導電性の材料でも使用できる。

給電線路４、励振素子３、金属遮蔽板７、又は無給電
放射素子９に使用できる導体としては、銅やアルミニウ
ムが抵抗値が小さく好ましいが、他の金属でも使用でき
る。また、これらの導体は、薄い箔状のものを誘電体に
貼り合わせて不要な部分をエッチング除去する方法によ
って形成することができ、また金属板を加工して用いる
こともできる。

（作用） 本発明の平面アンテナは、給電線路と励振素子の群、
放射素子の群及び金属遮蔽板を各々異なる層に形成して
いるので、金属遮蔽板は不要輻射を抑制するために独立
して設計することができ、また、放射素子と励振素子は
アンテナの放射特性を独立して設計でき、それぞれ別個
に最適な設計ができる。

実施例１ 使用周波数を12GHzとし、第１図（ａ）及び（ｂ）に
示す構造とした。

接地導体１として、厚さ1mmのアルミニウム板を用い
た。

誘電体２は、比誘電率が1.8の発泡ポリエチレンで、
厚さ0.8mmのものを用いた。

励振素子３は、その形状を一辺8.6mmの正方形とし、
厚さ35μｍの銅箔を用いた。

給電線路４は、励振素子３と同質の材料を用いた。

誘電体8aの厚さを1mm、8bの厚さを7mmとし、発泡倍率
30倍の発泡ポリエチレンフォームとし、開口部６と同一
形状・寸法の開口部18a及び18bを開口部６とほぼ一致す
る位置に設けた。このときに、無給電素子９を厚さ38μ
ｍのポリエステルフィルム11に35μｍの厚さの銅箔を貼
り合わせたものをエッチング加工して無給電素子９とし
た。

開口部６は、形状を一辺13mmの正方形とした。

金属遮蔽板７は、厚さ0.5mmのアルミニウム板を用い
た。

無給電放射素子９は、直径8mmの円形とした。

このようにして構成されたユニットを512素子同一平
面に並べた。

実施例２ 無給電放射素子９の形状を一辺が8mmの正方形とした
以外は、実施例１と同様とした。

実施例３ 第２図（ａ）及び（ｂ）に示す構成とし、開口部６の
形状をＸ字とし、無給電素子９の形状を直径8mmの円形
とした以外は実施例３と同様とした。

このようにして作製したアンテナは、いずれも指向方
向での利得低下がなく、また不要放射損の小さいもので
あった。

（発明の効果） 以上に説明したように、本発明によって、不要放射損
の抑制と指向方向での利得に優れた平面アンテナを提供
することができた。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ）は本発明の一実施例を示す上面透視図、第
１図（ｂ）は本発明の一実施例を示す断面図、第２図
（ａ）は本発明の他の実施例を示す上面透視図、第２図
（ｂ）は本発明の他の実施例を示す断面図、第３図
（ａ）は従来例を示す斜視透視図、第３図（ｂ）は他の
従来例を示す上面透視図、第３図（ｃ）は他の従来例を
示す断面図、第３図（ｄ）は他の従来例を示す断面図で
ある。 符号の説明 １……接地導体、２……誘電体 ３……励振素子、４……給電線路 ６……開口部、７……金属遮蔽板 8a……誘電体、8b……誘電体 ９……無給電放射素子

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平尾 充 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化 成工業株式会社下館研究所内 (72)発明者 王丸 謙治 東京都世田谷区砧１丁目10番11号 日本 放送協会放送技術研究所内 (72)発明者 村田 孝雄 東京都世田谷区砧１丁目10番11号 日本 放送協会放送技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−135003（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−134002（ＪＰ，Ａ)

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の誘電体層と複数の導体層とが交互に
   積層されており、最下層に全面導体である接地導体１、
   誘電体２からなる層、複数の給電線路４および複数の励
   振素子３を構成する導体層、誘電体8aからなる層、他の
   導体と絶縁され、かつ複数の励振素子３と対に電磁結合
   された複数の無給電放射素子９を構成する導体層、誘電
   体8bからなる層、電波放射のための複数の開口部６を有
   する金属遮蔽板７の順に重ねられ、かつ、各々の励振素
   子３、無給電放射素子９及び電波放射のための開口部６
   が互いにその積層体のなす平面での位置がほぼ一致する
   ように重ねられた平面アンテナ。
2. 【請求項２】電波放射のための開口部６がＸ字形状であ
   る請求項１記載の平面アンテナ。
3. 【請求項３】誘電体層8aおよび／または8bが空気層であ
   り、所望の層を支持するスペーサを有する請求項１また
   は２記載の平面アンテナ。