JP2688242B2 - スパッタ装置及びスパッタ方法 - Google Patents

スパッタ装置及びスパッタ方法

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JP2688242B2 JP1030647A JP3064789A JP2688242B2 JP 2688242 B2 JP2688242 B2 JP 2688242B2 JP 1030647 A JP1030647 A JP 1030647A JP 3064789 A JP3064789 A JP 3064789A JP 2688242 B2 JP2688242 B2 JP 2688242B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、スパッタ装置及びスパッタ方法に関する。
(従来の技術及びその問題点) 一般に、スパッタ装置はスパッタガスを気密容器内に
導入し、このガスをプラズマ化し、例えばイオンが負電
圧のターゲットに衝突してターゲット材をスパッタし、
陽極側に設けられた半導体ウエハ等の試料の表面に付着
して薄膜を形成するものである。
この種の装置として例えばプレートマグネトロンスパ
ッタ装置は、半導体ウエハ等の試料と、スパッタ材より
なるターゲットとを対向配置し、このターゲットの下面
側に、プラズマを封じ込めるためのマグネットを有する
構成となっている。そして、ターゲットの表面近傍にこ
のターゲット面に平行な磁場を作用させながら、この磁
場に直交する高密度の放電プラズマをターゲット面上に
集中させて高速スパッタを行うようにしている。
ここで、ターゲットの裏面側にマグネットを固定配置
した場合には、ターゲットの表面上の磁場を一様に分布
させることが困難なため、磁場が大きく作用する部分の
みイオンが集中し、集中的にスパッタされてしまい、タ
ーゲットの利用効率が悪化するという問題があった。そ
こで、第6図に示すように、イオンをとじ込める磁界を
発生する外極100,内極101からなる磁石を駆動手段によ
ってターゲット102の裏面側で回転することにより、タ
ーゲットの広範囲の表面領域に磁場を形成し、エロージ
ョンエリアを拡大する方法が採用されている。
ところが、上記の外極100,内極101により形成される
磁場は、その磁力線が第6図に示すように形成されるた
め、この磁場によって封じ込められるプラズマリング10
3の直径L1は、前記マグネットの直径L2よりも必ず小さ
くなり、前記ターゲット102の半径方向の全域をエロー
ジョンエリアとするためには、この磁石の直径L2をかな
り大きくせざるを得なかった。この際、ターゲットはプ
ラズマ熱及びスパッタ熱により昇温するため、この温度
を所定温度以下にするために一般に冷却が行われてお
り、上記のように大きな直径を有するマグネットを使用
するためには、第6図に示すようにターゲット102の裏
面側にて循環される冷却媒体の中で前記マグネットを回
転駆動せざるを得なかった。
そこで、本発明の目的とするところは、マグネットの
回転半径方向における占有スペースは小さいながらも、
ターゲット上のエロージョンエリアを拡大することがで
きるスパッタ装置及びスパッタ方法を提供することにあ
る。
[発明の構成] (問題点を解決するための手段) 請求項1の発明は、ターゲット近傍にプラズマを封じ
込める磁界を発生する磁界発生手段と、前記磁界を移動
させる手段とを有し、試料上に薄膜を形成するスパッタ
装置において、 前記磁界発生手段は、前記磁界の移動方向と交差する
交差方向に沿って間隔をおいて設けた一対のマグネット
を有し、前記一対のマグネットの同極のマグネットエレ
メントにより反発磁場を形成することで、前記交差方向
の両側に向けて磁力線が拡がる磁界を発生させることを
特徴とする。
請求項2の発明は、ターゲット近傍にプラズマを封じ
込める磁界を発生する磁界発生手段と、前記磁界を前記
ターゲットのほぼ中心の廻りに回転移動させる手段とを
有し、試料上に薄膜を形成するスパッタ装置において、 前記磁界発生手段は、前記磁界の回転半径方向の内外
に向けて磁力線が拡がる磁界を発生させることを特徴と
する。
請求項3の発明は、請求項2において、前記回転半径
方向に沿って配置されたマグネットの磁界強さよりも、
前記回転半径方向と交差する方向に沿って配置されたマ
グネットの磁界強さを同等以上に設定したことを特徴と
する。
請求項4の発明は、請求項2において、前記回転半径
方向に沿って離間して配置されたマグネット間で反発磁
場を形成する同極のマグネットエレメント同士の対向間
距離を、前記回転半径方向と交差する方向に沿って離間
して配置されたマグネットの同極のマグネットエレメン
ト同士の対向間距離よりも狭く設定したことを特徴とす
る。
請求項5の発明は、ターゲット近傍にプラズマを閉じ
こめるための磁界位置を移動させてスパッタするに際し
て、前記磁界の移動方向と交差する交差方向に沿って間
隔をおいて設けた一対のマグネットの同極のマグネット
エレメントにより反発磁場を形成して、前記交差方向の
両側に向けて磁力線が拡がる磁界を発生させることを特
徴とする。
(作 用) 本発明では、磁界の移動方向と交差する磁界幅方向の
両側に向けて磁力線が拡がる磁界、あるいは、磁界の回
転半径方向の内外に向けて磁力線が拡がる磁界をターゲ
ット表面近傍に形成するため、ターゲット上のエロージ
ョンエリアを拡大することができる。
(実施例) 以下、本発明を適用したスパッタ装置の一実施例につ
いて図面を参照して具体的に説明する。
第1図は、スパッタ装置の一例としてプレートマグレ
トロン形スパッタ装置を示すもので、図示しない真空容
器内には、半導体ウエハ1とターゲット2とが対向して
例えば平行に配置される。前記半導体ウエハ1は、ウエ
ハ加熱機構3を内蔵した試料台4に支持されている。
前記ウエハ1の上方には前記ターゲット2が、保持部
材5に支持されている。前記ターゲット2は、ウエハ1
上にスパッタリングする材料に応じてその母材が選択さ
れる。例えばアルミニウム,シリコン,タングステン,
チタン,モリブデン,クロム,コバルト,ニッケル等、
あるいはこれらを素材とする合金で形成され、場合によ
っては焼結金属等の熱伝導性の悪い材料も用いられる。
このターゲット2には、例えば試料台4に対して負の直
流電圧が印加され、カソード電極を構成するものであ
る。
前記保持部材5のさらに上方には、この保持部材5を
支持し、かつ、後述するマグネット10を回転自在に支持
するための基台6が設けられている。この基台6の中央
部には、中空筒状の円筒部6aが形成され、その最下端が
前記保持部材5と接面している。そして、前記円筒部6a
の周囲にはベアリング7が配置され、このベアリング7
によって回転アーム8が回転自在に支持されている。そ
して、この回転アーム8の自由端位置に前記マグネット
10が固着されている。一方、前記基台6の上面にはマグ
ネット回転用モータ11が固定され、このモータ11の出力
軸には第1のギア12が固着されている。また、前記回転
アーム8にこれと同軸にて第2のギア13が固着され、こ
の第1,第2のギア12,13が噛合するようになっている。
この結果、前記マグネット回転用モータ11を駆動するこ
とで、この回転出力は第1のギア12,第2のギア13を介
して前記回転アーム8に伝達され、前記マグネット10を
回転駆動することが可能となる。尚、このマグネット10
の詳細については後述する。
前記保持部材5は、ターゲット2を冷却可能に保持す
るものであり、このために、保持部材5の内部には複数
の冷却ジャケット15が配置されている。そして、この冷
却ジャケット15内に冷却媒体例えば冷却水を循環させる
ことで、保持部材5を冷却し、この保持部材5とターゲ
ット2との間の熱交換によってプラズマ発生時のターゲ
ット2の昇温を抑制するようになっている。
尚、前記ターゲット2の周囲には、絶縁体16を介して
アノード電極17が設けられ、さらに、ウエハ1とターゲ
ット2との間を必要に応じて遮ぎることが可能なように
シャッタ18が設けられ、このシャッタ18をシャッタ駆動
機構19によって駆動可能としている。
前記ターゲット2は、第3図に示すように段付きの円
板状に形成され、スパッタリング面を有する大径部21
と、この大径部21の裏面側中央にて突出形成された小径
部22とから構成されている。尚、上記大径部21の周縁部
21aの直径をl1とし、小径部22の周縁部22aの直径をl2
する。一方、前記ターゲット2を保持するための保持部
材5は段付き穴形状となっていて、前記ターゲット2の
大径部21に対応する大径穴24と、前記小径部22に対応す
る小径穴25とを有している。尚、大径穴24の内周面24a
の直径をl3とし、小径穴25の内周面25aの直径をl4とす
る。そして、上記ターゲット2及び保持部材5の大きさ
については、常温下にあってはl1〜l4の関係が以下のよ
うになっている。
l1<l3,l2<l4 ここで、前記大径部21と大径穴24との直径方向のギャ
ップ及び小径部22と小径穴22との直径方向のギャップ
は、それぞれ以下のように設定されている。
すなわち、ターゲット2はプラズマ発生時の昇温によ
り熱膨張するため、前記大径部21の直径方向の熱膨張長
さが、前記大径部21,大径穴24の直径方向の間隙とほぼ
同一となっている。同様に、ターゲット2の熱膨張によ
る前記小径部22の熱膨張長さは、この小径部22,小径穴2
5の直径方向の間隙とほぼ同一となっている。したがっ
て、ターゲット2の熱膨張により、大径部21の周縁部21
a及び小径部22の周縁部22aがそれぞれ膨張し、前記大径
穴24,小径穴25のそれぞれの内周面24a,25aにほぼ同様の
密閉度で密着することになる。尚、同一温度の下にあっ
ては、前記大径部21と小径部22の膨張長さが相違するた
め、これらの周縁部21a,22aとこれに対向する穴部の内
周面24a,25a間のギャップ距離はそれぞれ相違してい
る。このように、ターゲット2の各段の周縁部21a,22a
と保持部材5の対向する内周面24a,25aとの密着を確保
することによって、ターゲット2の効率良い冷却を可能
としている。
また、ターゲット2と保持部材5とのクランプを、タ
ーゲットの中央部裏面側にて実施している。すなわち、
ターゲット2の前記小径部22の周縁部22aには、それぞ
れ相対向する位置にて直径方向で外側に突出する係止用
ピン23,23が形成されている。一方、保持部材5の前記
大径穴24の底面24bには、小径穴25の相対向する位置に
連通し前記係止用ピン23,23を挿入可能な所定深さの挿
入用スリット26,26が設けられ、さらにこの挿入用スリ
ット26,26の下端側にて連通し、同一回転方向に伸びる
横溝から構成される係止用溝27,27を有している。この
結果、前記ターゲット2の小径部22を保持部材5の小径
穴25に対して前記係止用ピン23,23が挿入用スリット26,
26に挿入されるように配置し、この後、このターゲット
2を回転が許容される方向に所定角度回転することによ
り、前記係止用ピン23,23を保持部材5の係止用溝27,27
の末端に配置することができる。
このようなクランプにより、ターゲット2の昇温が著
しく反りの発生しやすい中心領域を機械的にクランプす
ることによって、ターゲット2の裏面と保持部材5との
密着性をも確保し、冷却効率を高めている。また、上記
クランプによってワンタッチな交換が可能となり、しか
もクランプ部材がターゲット2の表面に露出しないの
で、ターゲット2の全面をエロージョンエリアとして有
効に利用することができる。
次に、上記マグネット10の構成について第2図を参照
して説明する。
このマグネット10は、ターゲット2近傍に内,外側に
広がる磁界を形成するもので、外形が楕円形リング形状
となっていて、前記回転アーム8の延びる方向である回
転半径方向が短手軸となっている。そして、この短手軸
方向に沿って、厚さ方向に磁化した永久磁石(例えばフ
ェライト)を3枚積層し、この3枚の永久磁石であるマ
グネットエレメント40を一組とする二組のマグネットエ
レメント群42が、比較的狭い距離で離間配置されてい
る。一方、楕円形の長手軸方向には、上記マグネットエ
レメント群42より小なる磁界が形成される如く厚さ方向
に磁化された2枚の永久磁石を設け、この2枚の永久磁
石であるマグネットエレメント44を一組とする二組のマ
グネットエレメント群46が、比較的長い距離で離間配置
され、マグネット10が構成されている。
尚、各マグネットエレメント40,44の磁局は、各組の
内側がN極,外側がS極となっている。なお、このマグ
ネット10の移動例えば回転速度は、スパッタ膜の値に応
じて選択することができ例えば60rpmの速度で回転駆動
される。
次に、作用について説明する。
このスパッタ装置にてスパッタリングを行うために、
ウエハ1及びターゲット2をそれぞれ支持した状態で、
これらが配置される真空容器(図示せず)内の真空度を
例えば10-1〜10-3Torrに荒引きする。次に、上記真空容
器内の真空度を10-5〜10-8Torr台に高真空引きし、その
後この真空容器内にスパッタガス例えばArガスを導入
し、真空容器内を10-2〜10-3Torr台に設定する。ここ
で、ターゲット2に負電圧を印加すると、このターゲッ
ト2のスパッタリング面側にプラズマが形成され、さら
にこのターゲット2の裏面側にてマグネット10を回転駆
動することにより、このプラズマを磁界によって閉込め
たプラズマリング30を形成することができる。このプラ
ズマリング30の形成によりイオン化率が向上し、ターゲ
ット2のスパッタリング面での所定エロージョンエリア
にてスパッタが実行されることになる。
そして、本実施例では、上記エロージョンエリアを従
来よりも拡大することが可能となっている。
すなわち、このエロージョンエリアはターゲット2上
に形成される上記プラズマリング30の径と密接な関係が
あり、このプラズマリング径を拡大することで上記エロ
ージョンエリアを拡大することが可能である。
ここで、このプラズマリング30が形成されるための前
記マグネット10による磁界について考察する。
まず、第2図中の図示B−B断面での磁力線について
説明すると、これは第5図に示すように、楕円形のマグ
ネット10の長手軸方向で内側のN極より外側のS極に向
かうように形成され、第2図中で左右のマグネットエレ
メント群46の対向間距離が長いので相互の磁力線に影響
を与えることは少ない。したがって、この磁力線のうち
ターゲット2に平行な領域に生ずるプラズマリング20
は、一組のマグネットエレメント群46の中心位置に形成
される。
一方、第2図中の図示A−A断面での磁力線について
考察すると、これは第4図に示すように形成される。す
なわち、この磁力線も同様に楕円形の短手軸方向で内側
のN極より外側のS極に向かうように形成されるが、相
向かい合う内側のマグネットエレメント40,40のN極が
近接しているため、ここで反発磁場が形成され、第4図
に示すようにマグネット10の外側(回転半径方向では
内,外側)に膨らむように歪んだ形状となる。すなわ
ち、内側の磁力線は極率が小さく、外側ほど極率が大き
くなり、ターゲット2と平行な磁力線領域に生ずるプラ
ズマリング30は、短手方向のマグネット10の幅よりも外
側位置に形成されることになる。
このように、回転アーム8の軸方向である回転半径方
向のマグネット10の幅(すなわち、楕円形の短手方向の
幅)が小さくても、この方向のマグネットリング30の径
を長手軸での径に近付けることができ、ほぼ円形のマグ
ネットリング30をターゲット2上に形成することができ
る。
そして、特にターゲット2の半径方向でのマグネット
リング30の拡がりは、マグネット10のその方向の幅より
も大きく、該方向のマグネット10の占有スペースを狭く
しながらも、エロージョンエリアを十分に確保すること
ができる。
このように、マグネット10の回転半径方向での占有ス
ペースを狭くできる結果、これによって得られるターゲ
ット2の裏面側のスペースを有効に利用することができ
る。すなわち、上記のようにターゲット2の周縁部21a,
22aでの冷却を効果的に行うためには、保持部材5に内
蔵される前記冷却ジャケット15として、第1図に示すよ
うにターゲット2の中心部裏面側に位置する箇所と、タ
ーゲット2の周縁部に対応する位置にのみ配置すればよ
い。ところが、従来構成ではこのような冷水ジャケット
15を配置するスペースがマグネットの回転領域によって
占有されていた。本実施例では、マグネット10をその回
転半径方向で小さく構成できるので、マグネット10の回
転に支障なく上記冷水ジャケット15を配置することが可
能である。
また、本実施例では、保持部材5の内部に冷却ジャケ
ット15を配置するのみでよいので、ターゲット2の裏面
に近接したマグネット10及びマグネット10を回転駆動す
るための構造体を大気中にさらすことが可能となり、こ
のため、従来のように冷却媒体中でマグネットを回転さ
せた場合のように、冷却水等による腐蝕が発生すること
なく信頼性を向上することができる。
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、
本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上記実施例では直交する2軸上にマグネット
エレメント群42,46を配置したが、他の方向にも配置す
るものであっても良く、また、上記のように反発磁場の
形成によりマグネット10の幅よりも膨らんだ磁力線を形
成する構成を、回転半径方向以外の他の方向に採用する
ことも可能である。なお、このように歪んだ磁場を形成
する方法としては、同極を近接配置するものに限らず、
他の外部磁場によって形成するなど他の種々の構成を採
用し得る。
次に、前記プラズマリング30のターゲット2上の移動
奇跡のほぼ全域をエロージョンエリアとして確保するた
めの構成について説明する。
ここで、前記マグネット10における回転半径方向のマ
グネットエレメント群42,42と、これと直交する方向の
マグネットエレメント群44,46の、スパッタへの寄与に
ついて考察する。
第8図(A)に示すように、回転半径方向に沿って配
置されたマグネットエレメント群42,42の回転時の瞬時
における磁界の角面積は、同図の領域S1,S2であり、こ
の領域がターゲト2上のエロージョンエリアに反映する
ことになる。一方、回転半径方向と直交する方向に沿っ
て配置されたマグネットエレメント群44,46の回転時の
瞬時における磁界の角面積は、同図の領域S3,S4であ
り、回転方向との関係で上記領域S1,S2に比べて狭くな
ってしまう。
したがって、第8図(B)に示すように、ターゲット
2上のエロージョンエリアとして上記領域S1,S2に対応
する2箇所S1′,S2′での浸蝕が特に著しくなり、エロ
ージョンエリアを有効に確保できなかった。従来は、上
記点に関して着目すること無く、回転半径方向に直交す
るマグネットエレメント群44,46は、単にリング上に閉
ループのプラズマリングを形成するために、エレクトロ
ンを曲げる機能さえ有していれば良いと考えられてい
た。したがって、マグネット10のR形状付近のマグネッ
ト配列を、第9図に示すように実施することも考えられ
ていた。
プラズマリング30に対応するターゲット2上でのエロ
ージョンエリアを拡大するためには、回転半径方向と直
交する方向のマグネットエレメント群44,46での磁界を
強くする必要があり、上記エレメント群44,46によって
ターゲット2上の同一経路を2度通過することを考慮す
れば、前記磁界の角面積である領域S3,S4の和が、マグ
ネットエレメント群42での磁界の角面積S1又はS2と同等
以上であれば良い。本発明者は、プラズマリング30に対
応するほぼ全域を有効なエロージョンエリアとするため
に、回転半径方向に沿って配列されたマグネットエレメ
ント群42,42の磁界の強さよりも、この方向と直交する
方向に沿って配置されたマグネットエレメント群44,46
の磁界の強さを同等以上に設定することで対処できるこ
とを、実験の結果確認できた。
このために、第7図(A)に示すように、互いに同一
形状であって、同数のマグネットを各所に配置した場合
には、各マグネットエレメント群42,42,44,46を構成す
るエレメントの透磁率μを同一の材料としておけば、回
転時の瞬時における回転半径方向とこれに直交する方向
とのエレメント群の磁界の強さをほぼ同一にすることが
できる。
あるいは、マグネットエレメント群44,46の透磁率μ
を高くしておけば、マグネットエレメント群44,46によ
る磁界の強さを、他のものよりも大きくすることができ
る。
また、透磁率μを同じものとした場合でも、マグネッ
トの形状,個数を変えることで、同様に設定可能であ
る。
このようにした場合、プラズマリング30に対応するタ
ーゲット2上のエロージョンエリアSを第7図(B)に
示すように拡大でき、効率の良いスパッタの実現とスパ
ッタ材の有効利用を図ることができる。
[発明の効果] 以上説明したように、マグネットにより封じ込められ
て形成されるプラズマリングの直径を、マグネットのそ
の方向の幅よりも拡大でき、ターゲット上のエロージョ
ンエリアを拡大することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明を適用したスパッタ装置の一例を示す
概略断面図、第2図は、マグネットの平面図、第3図
は、ターゲット,保持部材の取付け構造を説明するため
の概略斜視図、第4図は、第2図図示A−A断面での磁
力線を示す概略説明図、第5図は、第2図図示B−B断
面での磁力線を示す概略説明図、第6図は、従来のマグ
ネットを説明するための概略説明図、第7図(A),
(B)は、それぞれプラズマリングに対応する領域内で
のエロージョンエリアの拡大のための構成,作用を説明
するための概略説明図、第8図(A),(B)はプラズ
マリングに対応するターゲット上でのエロージョンエリ
アが2箇所に集中する作用を説明するための概略説明
図、第9図はマグネット配列の好ましくない例を説明す
るための概略説明図である。 1……試料、2……ターゲット、 10……マグネット、 40,44……マグネットエレメント、 42,46……マグネットエレメント群、 30……プラズマリング。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ターゲット近傍にプラズマを封じ込める磁
    界を発生する磁界発生手段と、前記磁界を移動させる手
    段とを有し、試料上に薄膜を形成するスパッタ装置にお
    いて、 前記磁界発生手段は、前記磁界の移動方向と交差する交
    差方向に沿って間隔をおいて設けた一対のマグネットを
    有し、前記一対のマグネットの同極のマグネットエレメ
    ントにより反発磁場を形成することで、前記交差方向の
    両側に向けて磁力線が拡がる磁界を発生させることを特
    徴とするスパッタ装置。
  2. 【請求項2】ターゲット近傍にプラズマを封じ込める磁
    界を発生する磁界発生手段と、前記磁界を前記ターゲッ
    トのほぼ中心の廻りに回転移動させる手段とを有し、試
    料上に薄膜を形成するスパッタ装置において、 前記磁界発生手段は、前記磁界の回転半径方向の内外に
    向けて磁力線が拡がる磁界を発生させることを特徴とす
    るスパッタ装置。
  3. 【請求項3】前記回転半径方向に沿って配置されたマグ
    ネットの磁界強さよりも、前記回転半径方向と交差する
    方向に沿って配置されたマグネットの磁界強さを同等以
    上に設定したことを特徴とする請求項2に記載のスパッ
    タ装置。
  4. 【請求項4】前記回転半径方向に沿って離間して配置さ
    れたマグネット間で反発磁場を形成する同極のマグネッ
    トエレメント同士の対向間距離を、前記回転半径方向と
    交差する方向に沿って離間して配置されたマグネットの
    同極のマグネットエレメント同士の対向間距離よりも狭
    く設定したことを特徴とする請求項2に記載のスパッタ
    装置。
  5. 【請求項5】ターゲット近傍にプラズマを閉じこめるた
    めの磁界位置を移動させてスパッタするに際して、前記
    磁界の移動方向と交差する交差方向に沿って間隔をおい
    て設けた一対のマグネットの同極のマグネットエレメン
    トにより反発磁場を形成して、前記交差方向の両側に向
    けて磁力線が拡がる磁界を発生させることを特徴とする
    スパッタ方法。
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