JP2683558B2 - 4脚消波根固ブロックの製造型枠及びこれを用いた4脚消波根固ブロックの製造方法 - Google Patents

4脚消波根固ブロックの製造型枠及びこれを用いた4脚消波根固ブロックの製造方法

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JP2683558B2
JP2683558B2 JP6072724A JP7272494A JP2683558B2 JP 2683558 B2 JP2683558 B2 JP 2683558B2 JP 6072724 A JP6072724 A JP 6072724A JP 7272494 A JP7272494 A JP 7272494A JP 2683558 B2 JP2683558 B2 JP 2683558B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海岸や河川の護岸用な
どに使用される4脚消波根固ブロックを製造するための
型枠及びこの型枠を用いた4脚消波根固ブロックの製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】海岸や河川の護岸用に利用される4脚消
波根固ブロックは、日本テトラポッド株式会社の登録商
標である「テトラボッド」などによって良く知られてい
る。この4脚消波根固ブロック(以下、単に「4脚ブロ
ック」とも称する)は、図9の斜視図(A)と平面図
(B)とによって示すように、中央部とこの中央部から
放射状に突出する4個の載頭円錐形状の脚部とから構成
される。4個の脚部は、相互に等しい立体角を保ちなが
ら中央部から放射状に突出すると共に、通常、コンクリ
ートを素材としている。このようなブロックは、型枠に
流動状態のコンクリートを充填し、その固化をまって型
枠から取り外すことによって製造される。
【0003】従来、上記4脚ブロックの製造に用いる型
枠は、図10にその一つ10aで代表して示すような同
一形状の4個の型枠部材10a,10b,10c,10
dを用意し、それぞれの突き合わせ部分に形成されたフ
ランジなどの結合部を介して図11図に示すように立体
状に組み立てることによって中空状の型枠11としたも
のである。4個の型枠部分10a〜10dのそれぞれ
は、製造時の4脚ブロックの隣接する3個の脚部を円周
方向に1/3ずつ覆うようになっている。上部には3個
の型枠部材10a,10b,10cが鉛直線の周りに1
20o の間隔を保って結合され、この上部の底部に1個
の型枠部材10d(図中では隠れて見えない)が結合さ
れる。なお、図10中の鏡板13は、図11の型枠11
の3個の下脚部の解放端面を覆うための円板である。
【0004】このような型枠によって製造される4脚ブ
ロックは、相互に等しい立体角を保ちながら中心部から
放射状に突出する4個の脚部から構成されているため、
製造後はどの脚部を上向きにした状態でも、あるいはど
の脚部も上向きにしない状態でも任意の角度で設置可能
である。しかしながら、平地に設置した型枠を使用して
の製造は、図11に示すように、1個の脚部のみを上向
きにし、残る3個の脚部を下向きにする状態で行われ
る。このような型枠11の内部に充填したコンクリート
が固化するまでの時間と適宜な養生期間をおいて、上部
3個の型枠部材10a,10b,10cがクレーンなど
による吊り上げによって一枚ずつ完成した4脚ブロック
から分離され、続いてこの4脚ブロックが吊り上げによ
って底部の型枠部材10dから分離される。
【0005】4脚ブロックの製造は、通常、これを使用
する工事現場の近くで行われる。これは、護岸工事など
の工事現場が海岸や河川など工場から離れた場所に存在
するため、工場で製造したものを遠隔の工事現場まで運
搬することは費用がかさむだけでなく、特に、大型のも
のでは運搬車両の積載重量などの制限から運搬が事実上
不可能になることによる。ちなみに、大型の4脚消波根
固ブロックは重量が60トン、大きさが5メートル以上
にも達する。従って、このような4脚ブロックは、通
常、特に大型になるほど、作業環境が工場に比べて遙か
に劣る工事現場の近くで製造しなければならないという
特殊な事情がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の製造用型枠
では、1個の4脚ブロックの製造のつど、上部3個の型
枠部材の組立・分解作業が必要になる。このため、以下
のような問題がある。
【0007】第1に、通常、特に大型の4脚ブロックの
製造に際しては、高さ5メートルにも達する大型の型枠
部材の分解・組立が大型のクローラクレーンなどを利用
して行われるが、風の影響や足場の悪さなど作業環境の
悪い工事現場での組立・分解作業は、多大の労力と時間
がかかるという問題がある。特に、海岸などの風の強い
工事現場では、上部3個の型枠部材の組立・分解作業中
に個々の型枠部材が受ける風圧は相当大きなものとな
る。このことは、組立前の個々の型枠部材が、図11に
示すように、湾曲した凧のような形状をしていることか
らも用意に理解できよう。
【0008】第2に、上部の3個の型枠部材相互の結合
や分離は、最上部までにわたって行う必要があるため、
高所作業が必要になり、工場と異なり足場の悪い工事現
場では転落などの事故を生じかねないという問題もあ
る。
【0009】第3に、上部の3個の型枠部材は、クレー
ンによる吊り上げと着地とを伴う結合や分離が1個の4
脚ブロックを製造するたびに反復されるため、着地の際
の衝撃などによって変形が生じ易くなるという問題があ
る。変形した型枠部材は、結合用のフランジなどに形成
された孔の位置などがずれることにより相互の結合や分
離を一層困難にする。また、大きな変形を生じた型枠部
材についてはこれを工場に返送して修理することも必要
になるが、大型のものではその運搬に多大の費用がかか
るだけでなく、護岸工事の進行に大きな支障をきたすと
いう問題がある。
【0010】第4に、型枠部材を分離するたびに、フラ
ンジなどの相互の結合部や内部に付着したコンクリート
を除去する清掃作業が必要になる。この清掃作業は、主
としてケレン棒、タガネ、電気グラインダーなどの工具
を用いて行われるが、労力と時間がかかるだけでなく、
粉塵の発生を伴う汚れ作業のため作業員に敬遠されると
いう問題がある。
【0011】上述した従来技術の各種の問題点は、主と
して上部の3個の型枠部材を製造のたびに結合し分離す
ることによって生じている。従って、上部の3個の型枠
部材の結合状態を保ったまま、これらを一体として吊り
上げることによって製造済みの4脚ブロックから分離す
ることが可能であれば、この種の問題がほぼ解決され
る。しかしながら、従来構造の型枠を使用する限り、こ
れは不可能である。
【0012】すなわち、図11の型枠11の下脚部の一
つをその中心線に対向しかつ上脚部の中心線に平行な面
で切断した断面形状は、図12に示すようなものとな
る。フランジ結合部12aの結合を解除することなく型
枠部材10aと10bの結合状態を保ったまま、フラン
ジ結合部12cと12dの結合状態のみを解除する。そ
して、型枠部材10aと10bを一体として上方に吊り
上げることにより、これらを底部の型枠部材10dと製
造済みの4脚ブロックから分離しようとしても、点線で
示す底部の切断面αが、一点鎖線で示す製造済み4脚部
の最も太い部分の切断面を通過することができない。す
なわち、上部の3個の型枠部材の結合状態を保ったま
ま、これらを4脚ブロックから分離することは不可能で
ある。
【0013】要するに、本発明の一つの解決課題は、上
部の3個の型枠部材を相互の結合状態を保ったまま製造
済みの4脚ブロックから分離可能とすることにより、従
来技術が抱える各種の問題を解決できる4脚ブロックの
製造型枠を提供することにある。
【0014】本発明の他の解決課題は、上記製造型枠を
用いた4脚ブロックの製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記従来技術の課題を解
決する本発明の4脚ブロックの製造型枠は、中央部から
上方に向けて形成される載頭円錐形状の上脚部の全外周
面と中央部から下方に向けて形成される3個の載頭円錐
形状の下脚部の上部の外周面とを覆うための上部型枠
と、3個の下脚部の下部の外周面を覆うための下部型枠
と、上下の型枠を着脱自在に結合させる結合手段と、3
個の下脚部の先端部を覆うための先端部型枠とを備えて
いる。そして、上部型枠と下部型枠との着脱自在な結合
は、製造対象の4脚消波根固ブロックの各下脚部をほぼ
真上からほぼ水平な面上に投影した投影図形の輪郭線に
対応する部位を各下脚部側に求め、これらの部位を含む
面上で行われる。
【0016】上記従来技術の課題を解決する本発明の製
造方法は、上記製造用型枠を設置することと、この設置
された製造型枠内に流動性固化物を充填することと、こ
の充填された流動性固化物が4脚ブロックとして固化し
たのちに、結合手段による上部型枠及び下部型枠の結合
を解除することと、上部型枠の吊り上げを含む作業によ
ってこの上部型枠を4脚ブロックから分離することと、
4脚ブロックの吊り上げを含む作業によってこの4脚ブ
ロックを下部型枠から分離することとを含んでいる。
【0017】
【作用】本発明の製造型枠によれば、上部型枠と下部型
枠のそれぞれが、各下脚部を真上から投影した場合に輪
郭線を発生させる下脚部の外周線に沿って結合されるよ
うに下脚部のほぼ上半分とほぼ下半分を覆うことによ
り、上部と下部の型枠どうしが最大の膨らみとなる下脚
部の外周線に沿って結合されることになる。このため、
下部型枠との結合が解除された上部型枠の底部が鉛直上
方への吊り上げに際し各下脚部の最大の膨らみの箇所を
通過することが可能になる。従って、4脚ブロックの固
化後に、上部と下部の型枠間の結合を解除し、上部型枠
をほぼ鉛直上方に吊り上げることにより、これを4脚ブ
ロックから容易に分離することができる。
【0018】
【実施例】図1は、本発明の一実施例に係わる4脚ブロ
ックの製造用型枠の全体を示す斜視図である。この製造
用型枠は、上部型枠1と、下部型枠2と、3個の先端部
型枠3a,3b,3c(背面のため見えない)とから構
成されている。上部型枠1は、4脚ブロックの上脚部の
全外周を面覆うためにその中心部から上方に突出される
中空の載頭円錐形状の部分と、4脚ブロックの3個の下
脚部の外周面のうちの上部を覆うために下方に突出され
る3個の載頭円錐の上側部分とから構成されている。こ
れに対して、下部型枠2は、4脚ブロックの3個の下脚
部の下部の外周面を覆う構造となっている。また、3個
の蓋体3a,3b,3cは、3個の下脚部の先端部分を
覆う構造となっている。上部型枠1と下部型枠2とは、
相互の接合面に形成されたフランジ5とこのフランジに
形成された孔6と、ボルト・ナットあるいはコッター・
コッターピンを介して互いに着脱自在に結合される。
【0019】上部型枠1は、図2の斜視図に示すよう
に、3個の型枠部材1a,1b,1cから構成されてい
る。各型枠部材1a,1b,1cは、製造対象の4脚ブ
ロックの上脚部の軸線の周りに3等分された同一の形状
を有し、かつ相互の結合のためのフランジ7とこのフラ
ンジに形成された孔8とを介して互いに着脱自在に結合
可能な構造となっている。各型枠部材1a,1b,1c
のそれぞれは、型枠部材1aで代表して図3の正面図に
示すように、上脚部の外周面の1/3を覆うための円弧
状の型板1aαと、隣接する2個の下脚部の上部外周面
のほぼ半分(全外周面のほぼ1/4)のそれぞれを覆う
ための円弧形状の型板1aβ,1aγとを逆Y軸状に組
合せた状態で溶接により一体化した構造となっている。
【0020】下部型枠2は、図4の斜視図に示すよう
に、製造対象の4脚ブロックの3個の下脚部の外周面の
ほぼ下側半分のそれぞれを覆うために、三方に突出した
状態で溶接によって互いに結合された3個の円弧状の型
板2a,2b,2cから構成されている。3個の先端部
型枠3a,3b,3cは、先端部型枠3aで代表して図
5の斜視図に示すように、下脚部先端の面取り部分を覆
う短い中空の載頭円錐形状を呈しており、その周辺部に
形成されたフランジ9とこれに形成された孔10とを介
して上部型枠1と下部型枠2とに着脱自在に結合可能な
構造となっている。
【0021】上部型枠1と下部型枠2とが4脚ブロック
の各下脚部の全外周面のほぼ上下半分ずつを覆う構造と
する。更に、下部型枠2との結合を解除された上部型枠
1の底部が下脚部の最も太い部分を通過可能とするため
に、上部型枠1と下部型枠2との着脱自在な結合は、製
造対象の4脚消波根固ブロックの各下脚部をその上脚部
の中心線にほぼ平行に、すなわち、ほぼ真上からほぼ水
平な面上に投影した投影図形の輪郭線に対応する部位を
上部型枠と下部型枠側に求め、これらの部位を含む面上
で行われる。以下、これについて説明する。
【0022】図6は、製造対象の4脚ブロックの下脚部
の一つを示す正面図である。図中一点鎖線L1は、載頭
円錐形状の下脚部の中心線(軸線)である。この下脚部
をその軸線L1に直交する平面Tで切断すると、その断
面形状は図7(A)に示すように、点C1を中心とする
円になる。一方、この下脚部を上部型枠の吊り上げ方向
である鉛直面Vで切断すると、その断面形状は図7
(B)に示すように点C2を中心とする楕円になる。こ
の楕円の中心C2を通る水平面と下脚部の外周面との交
点P,Qはこの楕円の短軸上に存在するため、各交点
P,Qはこの下脚部を鉛直面で切断した場合に最も外側
に膨らんだ点となる。すなわち、各交点P,Qは、この
下脚部を真上から水平面H上に投影した投影図形の輪郭
点P’,Q’に対応する部位をこの下脚部側に求めた点
である。各交点P,Qは、通常の4脚消波根固ブロック
の場合、上記下脚部の軸線を構成する中心C1よりもΔ
hだけ上方に存在する。
【0023】上記Δhの値は、平面Tと鉛直面Vとによ
る切断箇所を軸線L1方向に沿って変化させると、変化
する。各平面Tによって得られる各切断面の中心C1を
軸線方向に連ねたものは軸線L1に他ならない。一方、
鉛直面Vによる切断箇所を軸線方向に変化させた場合に
得られる各交点Pや各交点Qを軸線方向に連ねた直線
は、図6中の2点鎖線L2となる。この2点鎖線L2
は、この下脚部を真上から投影した場合の輪郭線に他な
らない。また、各脚部部の先端部分に形成される面取り
部分の傾斜はその根元側とは異なるため、この部分の輪
郭線L3は、上記輪郭線L2とは異なる。このような輪
郭線L2の軸線L1からの鉛直方向へのずれ量Δhは、
この下脚部の根元側ほど大きくなる。輪郭線L3につい
ても同様である。このような輪郭線L2とL3は、下脚
部の載頭円錐形状から作図によって容易に求めることが
できる。実際には、上部型枠1と下部型枠2の形状の複
雑化を回避するため、上部型枠1と下部型枠2とを各下
脚部の面取り部分の手前まで延長すると共に、これらの
面取り部分については載頭円錐形状の先端部型枠3a〜
3cによって覆う構成となっている。
【0024】図8は、上部型枠1と、下部型枠2と、先
端部型枠3a,3b,3cとの三者の結合状態を先端部
型枠3aで代表して示す部分側面図である。これら三者
を結合するためのフランジ9は、製造対象の4脚ブロッ
クの先端面からその根元側に向けて多少後退した面取り
箇所に形成されている。換言すれば、先端部型枠3a
は、製造対象の4脚ブロックの先端面ばかりでなく、こ
の先端面から根元側に向けて多少後退した面取り部分の
外周面をも覆う構造となっている。この結果、製造済み
の4脚ブロックを型枠から分離する際に、先端部型枠3
aを上部型枠1と下部型枠2とから分離すると、製造済
みの4脚ブロックの先端面がフランジ9が形成された上
部型枠1と下部型枠2の先端面の外部に突出する。
【0025】このため、クレーンによる吊り上げによっ
てこの4脚ブロックを下部型枠2から分離するために4
脚ブロックの先端面に当板を当てがった時に、この当板
と下部型枠2のフランジ9との干渉が回避され、円滑な
分離作業が可能になる。また、載頭円錐形状の先端部型
枠3a〜3cを使用しないで、従来技術のように各下脚
部の先端面のみを円板状の鏡板(図10の13)で塞ぐ
構成とすれば、図6を参照しながら前述したように、上
部型枠1と下部型枠2の結合面が輪郭線L2とL3とを
含む複雑なものとなり、これらの製造費用がかさむと共
に相互の組立の作業が困難になる。
【0026】上述の型枠を使用して行う4脚ブロックの
製造方法について説明する。まず、製造を行う地面を整
地し、麻袋や鉄製のベッドを介在させながら下部型枠2
を載置する。
【0027】次に、3個の型枠部材1a,1b,1cか
ら上部型枠1の組立を行う。この組立は、各型枠部材の
フランジ7に形成された孔8の位置を位置決め用テーパ
ーピンを用いて位置決めしながら各型枠部材のフランジ
7を対向させ、ボルトとナットや、コッターとコッター
ピンを用いて締結することにより行う。ただし、この上
部型枠1の組立は、最初の4脚ブロックのみの製造に先
行して行われるものであり、2個目以降の4脚ブロック
の製造時には不要である。また、製造現場への運搬の便
宜上、上部型枠が3個の型枠部材に分離されているが、
小型のものについては、最初から一体に組立てた上部型
枠として運搬することにより、現場での組立作業を省略
することもできる。
【0028】次に、組立の終了した上部型枠1をクレー
ン等で吊り上げて、下部型枠2上に位置決めしながら載
置し、フランジ5に形成された孔6を使用してボルトと
ナットやコッターとコッターピンによる締結を行う。続
いて、上部型枠1と下部型枠2の結合によって形成され
る下側の中空の載頭円錐形状の解放端面のそれぞれを先
端部型枠3a,3b,3cを取付けて塞ぐことにより型
枠を完成させる。
【0029】こののち、完成した型枠の上部から型枠内
に生コンクリートを充填(打設)する。この打設に際し
ては、型枠内に充填中の生コンクリート内に棒状の振動
体を差し込んでその流動性を高めることにより、これが
型枠の隅々まで行き渡るようにする。打設後、必要に応
じて、硬化途中の生コンクリートから発生する気泡や水
泡を除去するためのスページング作業を行う。また、生
コンクリートが完全に固化するまえに、上脚部の頂部の
天端の仕上げを行い、必要に応じて型枠の頂部を円形の
型枠やシートなどで覆う。
【0030】製造現場の気象条件などを考慮した固化と
養生のための期間を置いてから、固化した4脚ブロック
が規定の強度に達したことを確認する。確認できたら、
先端部型枠3a,3b,3cを上部型枠1と下部型枠2
とから分離したのち、上部型枠1をクレーンなどを使用
して吊り上げることにより、これを4脚ブロックから分
離する。分離した型枠1は、3個の型枠部材1a,1
c,1cに分解することなく一体として専用の清掃装置
にセットしてその内面を清掃したのち、剥離剤を塗布し
て次の4脚ブロックの製造に備える。なお、専用の清掃
装置は、型枠の内面の形状に適合した3軸の回転式ワイ
ヤーブラシや高圧水噴射装置などから構成されている。
このように、本発明の製造方法によれば、上部型枠1が
その吊り上げと吊り下ろしの作業により4脚ブロックか
ら一体として分離される。
【0031】次に、完成した4脚ブロックをクレーンな
どを用いて吊り上げることにより下部型枠2から分離す
る。この4脚ブロックの吊り上に際しては、まず、3個
の下脚部のそれぞれの先端面に当て板が当てがわれ、4
脚ブロックの隣接する3個の脚部の連結部分の近傍にそ
れぞれの両端部が位置するように3本のサスペンダーワ
イヤーが各当て板の間に張りわたされる。次に、各サス
ペンダーワイヤーの両端の突き合わせられる3箇所のそ
れぞれに吊り上げ用のワイヤーが係留されこのワイヤー
が真上に吊り上げられる。図8を参照して説明したよう
に、4脚ブロックの先端面が下部型枠2のフランジの外
側に突出しているため、吊り上げ時に使用する当て板が
このフランジと干渉することが有効に回避され、円滑な
分離が可能になる。
【0032】前述のように,次の4脚ブロックの製造工
程では、上部型枠1の組立は不要であり、最初の4脚ブ
ロックの製造に使用し、清掃と剥離剤を塗布済みの上部
型枠1を下部型枠2上に載置することから作業が開始さ
れる。
【0033】
【発明の効果】このように、従来、製造作業に大きな比
重を占めている型枠の分解と再組立の作業を上部型枠と
下部型枠についてのみ行えばよいので、作業時間が大幅
に短縮される。
【0034】また、上部型枠1と下部型枠2との分離や
結合のための作業は、全て地面で行えるため高所作業が
一切不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の製造用型枠の全体を示す斜
視図である。
【図2】図1の製造型枠を構成する上部型枠1を示す斜
視図である。
【図3】図2の上部型枠1を構成する同一形状の3個の
型枠部材をその一つ1aで代表して示す正面図である。
【図4】図1の製造用型枠1を構成する下部型枠2を示
す斜視図である。
【図5】図1の3個の蓋体をその一つである蓋体3aで
代表して示す斜視図である。
【図6】図1の上部型枠1と下部型枠2との接合面の決
め方を説明するための概念図である。
【図7】図1の上部型枠1と下部型枠2との接合面の決
め方を説明するための概念図である。
【図8】図1の上部型枠1と、下部型枠2と3個の蓋板
3a,3b,3cとの結合の様子を蓋板3aで代表して
示す側面図である。
【図9】製造対象の4脚消波根固ブロックを示す斜視図
(A)と、平面図(B)である。
【図10】従来の製造用型枠を構成する4個の部材をその
一つ10aで代表して示す正面図である。
【図11】図10に示した4 個の部材を組合せて構成する従
来の製造用型枠を示す斜視図である。
【図12】従来の製造型枠の問題点を説明するための概念
図である。
【符号の説明】
1 上部型枠 1a〜1c 上部型枠1 を構成する3個の型枠部材 2 下部型枠 3a〜3c 3個の先端部型枠 5 上部型枠1と下部型枠2とを着脱自在に結合す
るためのフランジ 6 フランジ5に形成さた孔 7 上部型枠1 を構成する3個の型枠部材を着脱自
在に結合するためのフランジ 8 フランジ7に形成された孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭35−5640(JP,B1) 特公 昭32−6890(JP,B1) 実公 昭40−21332(JP,Y1)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中央部とこの中央部から放射状に突出する
    4個の載頭円錐形状の脚部とから成る4脚消波根固ブロ
    ックを製造するための型枠であって、 前記4脚消波根固ブロックの中央部から上方に向けて形
    成される上脚部の全外周面とこの中央部から下方に向け
    て形成される3個の下脚部の上部の外周面とを覆うため
    の上部型枠と、 前記3個の下脚部の下部の外周面を覆うための下部型枠
    と、 前記上部型枠と前記下部型枠とを着脱自在に結合させる
    結合手段と、 前記3個の下脚部の先端面を覆うための先端部型枠と、 を備え、 前記上部型枠と前記下部型枠との着脱自在な結合は、製
    造対象の4脚消波根固ブロックの各下脚部をほぼ真上か
    らほぼ水平な面上に投影した投影図形の輪郭線に対応す
    る部位を前記下脚部側に求め、これらの部位を含む面上
    で行われることを特徴とする4脚消波根固ブロックの製
    造型枠。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記上部型枠は、前記上部脚の中心線の周りに3等分さ
    れた同一形状の型枠部材が着脱自在に組立てらることに
    より形成されたことを特徴とする4脚消波根固ブロック
    の製造型枠。
  3. 【請求項3】 請求項において、 前記3等分された型枠部材のそれぞれは、前記上部脚の
    中心線と前記各下部脚の中心線を共に含む各平面上で着
    脱自在に組立てられることを特徴とする4脚消波根固ブ
    ロックの製造型枠。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のそれぞれにおいて、 前記先端部型枠は、前記上部型枠と前記下部型枠との結
    合によって形成される3個の解放端部に着脱自在に装着
    される蓋体から成り、この蓋体は前記4脚消波根固ブロ
    ックの下脚部の先端面と外周面とから成る先端部分を覆
    うことを特徴とする4脚消波根固ブロックの製造型枠。
  5. 【請求項5】 請求項4において、 前記先端部分の外周面は、前記4脚消波根固ブロックの
    下脚部の面取り部分であることを特徴とする4脚消波根
    固ブロックの製造型枠。
  6. 【請求項6】中央部とこの中央部から放射状に突出する
    4個の載頭円錐形状の脚部から成る4脚消波根固ブロッ
    クを製造するための方法であって、 前記4脚消波根固ブロックの中央部から上方に向けて形
    成される上脚部の全外周面とこの中央部から下方に向け
    て形成される3個の下脚部の上部の外周面とを覆うため
    の上部型枠と、前記3個の下脚部の下部の外周面を覆う
    ための下部型枠と、前記上部型枠と前記下部型枠とを着
    脱自在に結合させる結合手段と、前記3個の下脚部の先
    端部分を覆うための先端部型枠とを備え、かつ前記上部
    型枠と前記下部型枠との着脱自在な結合が製造対象の4
    脚消波根固ブロックの各下脚部をほぼ真上からほぼ水平
    な面上に投影した投影図形の輪郭線に対応する部位を前
    記各下脚部側に求め、これらの部位を含む面上で行われ
    る構造の製造用型枠を設置することと、 この設置された製造型枠内に流動性固化物を充填するこ
    とと、 この充填された流動性固化物が前記4脚消波根固ブロッ
    クとして固化したのちに、前記結合手段による前記上部
    型枠と下部型枠との結合を解除することと、 前記上部型枠の吊り上げを含む作業によってこの上部型
    枠を前記4脚消波根固ブロックから分離することと、 前記4脚消波根固ブロックの吊り上げを含む作業によっ
    てこの4脚消波根固ブロックを前記下部型枠から分離す
    ることとを含むことを特徴とする4脚消波根固ブロック
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6において、 前記上部型枠は前記上部脚の中心線の周りに3等分され
    た同一形状の型枠部材が前記上部脚の中心線と前記各下
    部脚の中心線を共に含む各平面上で着脱自在に組立てら
    れており、最初に製造される4脚消波根固ブロックにつ
    いては、前記製造用型枠の設置に先立って前記上部型枠
    の組立てが行われることを特徴とする4脚消波根固ブロ
    ックの製造方法。
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