JP2683397B2 - SiCウィスカーの製造方法 - Google Patents

SiCウィスカーの製造方法

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哲朗 浦川
敏次 石井
裕 岡田
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東芝セラミックス株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はSiCウィスカーの製造方法に関する。
〔従来の技術〕
従来、シリ還元法によるSiCウィスカーの合成におい
ては、多くの場合、例えばSiO2−C−NaF(融剤)系
からSiCウィスカーを合成する方法(例えば、特開昭61
−227993号公報、特開昭62−96399号公報)のように、
原料となるSiO2、C及び融剤を、それぞれ別々に加えて
混合し、混合原料を得ている。
このほか、融剤成分を多量に含むSiO2源を用いる合成
法として、ガラス工業における廃棄物であるSiO2とNa
2Oを主成分とするカレットの微粉末をシリカ源として用
い、更にCと融剤とを加えてSiCウィスカーを合成する
方法(例えば、特許第1267758号、特公昭61−104490
号)が知られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、の方法では、原料となるSiO2、C及び融剤
(NaF)をそれぞれ別々に加えて混合するため、Si源と
して通常のシリカ粉末を用いた場合には均質な混合状態
にすることが困難であり、クラスターや粉状物の少ない
SiCウィスカーを合成することが困難であった。したが
って、原料の混合状態をできるだけ良好にするために
は、SiO2源としてアエロジル、レオロシールなどの超微
粉を用いることが必要となるが、このような超微粉はか
さ密度が小さく扱いにくいという問題があった。また、
NaFなどのフッ化物やその他の塩化物を融剤として用い
た場合、腐食性の強いハロゲン化物のガスが発生するた
め、操炉の点で問題があった。
一方、のガラス工業の廃棄物を用いる方法では、原
料の供給が不安定である、廃棄物であるので不純物の管
理が困難である、高品位のウィスカーを得るためには、
更に融剤を添加する必要があるなどの問題があった。
本発明は前記問題点を解消するためになされたもので
あり、クラスターや粉状物が少なく、かつ高純度のSiC
ウィスカーを低コストで製造することができる方法を提
供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明のSiCウィスカーの製造方法は、ケイ酸ソーダ
又はケイ酸ソーダを水に溶解した水ガラスとカーボン粉
末とを、モル比で(ケイ酸ソーダ中のSiO2):C=1:3〜
9の割合となるように混合し、この混合原料を非酸化性
雰囲気中、1400〜1700℃で加熱することを特徴とするも
のである。
以下、本発明方法を更に詳細に説明する。
本発明において、原料のうちSi源となるケイ酸ソーダ
は、Na2OとSiO2との固溶体である。このうちNa2Oは融剤
として作用する。ケイ酸ソーダは水に溶解して水ガラス
の形態で用いてもよい。ケイ酸ソーダ中のNa2OとSiO2
の比率は、モル比でNa2O/SiO2=0.25〜2の範囲である
ことが望ましい。これは次のような理由による。すなわ
ち、Na2O/SiO2が0.25未満では融剤として作用するNa2O
量が少ないので、ウィスカー化が充分に進行せず粉状物
が多くなるため好ましくない。一方、Na2O/SiO2が2を
超えると融剤として作用するNa2O量が過剰となり、良好
なウィスカー化が妨げられて収率の低下を招くため好ま
しくない。
本発明において、原料のうちC源となるカーボン粉末
としては、例えばカーボンブラックが使用される。
これらケイ酸ソーダ又はケイ酸ソーダを水に溶解した
水ガラスとカーボン粉末との混合方法は、エタノール、
アセトン、水などを溶媒とする湿式混合法が好ましい。
本発明において、原料の配合比をモル比で(ケイ酸ソ
ーダ中のSiO2):C=1:3〜9の割合となるように混合す
ると規定したのは以下のような理由による。すなわち、
C/SiO2が3未満ではCが不足するため、粉状物の多いウ
ィスカーしか得られない。また、反応中に反応系外へ飛
散するSi成分の割合が増加し、収率の低下を招くので好
ましくない。一方、C/SiO2が9を超えるとCが多すぎて
未反応のCが残留するので好ましくない。
得られた混合原料は、乾燥、解砕された後、例えば黒
鉛ルツボ中に充填され、非酸化性雰囲気中、1400〜1700
℃の温度範囲で加熱される。加熱温度を1400〜1700℃と
したのは、1400℃未満ではウィスカー化が充分に進行せ
ず粉状物が多くなり、一方1700℃を超えると過度な合成
条件となり、結晶性のよいウィスカーの成長が阻害され
るためである。より好ましい加熱温度は、1500〜1650℃
の範囲である。
以上のような構成の本発明方法により、直径0.2〜1.0
μm、長さ数10μmのSiCウィスカーを製造することが
できる。
〔作用〕
本発明方法によれば、原料としてSi源であるSiO2と融
剤として作用するNaOとが最初から均一に混合されてい
る状態のケイ酸ソーダを用いているため、クラスターや
粉状物の少ないSiOウィスカーを容易に製造することが
できる。
また、ケイ酸ソーダの価格は200円/kg程度であり、し
かもそれ自体融剤を兼ねており他に融剤を用いる必要が
ないので、大幅なコストダウンが期待できる。
また、従来のように融剤としてNaFなどを用いた場合
と異なり、ハロゲン化物のガスが発生することがないの
で、操炉の点で非常に有利となる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を説明する。
実施例1、2及び比較例1、2 実施例1、2及び比較例1、2ではいずれの場合もケ
イ素源として化学分析値SiO260wt%、Na2O21wt%(Na2O
/SiO2(モル比)=0.34)、加熱減量(Igloss)18.5wt
%のケイ酸ソーダ粉末を使用した。
ケイ酸ソーダ粉末とカーボンブラックとを、モル比で
第1表に示す値となるように秤量し、エタノールを溶媒
として湿式ボールミルで混合した。次に、乾燥、解砕し
た混合原料100g(混合原料中のSiO2量を第1表に表示)
を黒鉛ルツボに充填し、カーボン板で蓋をして、N2雰囲
気中、1600℃で2時間加熱した。
生成物の全重量、脱炭処理後のSiCウィスカー重量及
び脱炭処理により除去されたフリーC量を第1表に示
す。また、原料中のSiO2量を基準とするSiCウィスカー
の収率を第1表に示す。
更に、SiCウィスカー粉末のX線回折及びSEM観察によ
りクラスター及び粉状物の量を調べた結果を第1表に示
す。
比較例3 SiO2源としてレオロシール、融剤としてNaFを使用
し、第1表に示すようにSiO2:C:NaF=1:5:0.8となるよ
うに秤量し、エタノールを溶媒として湿式ボールミルで
混合した。次に、乾燥、解砕した混合原料100g(混合原
料中のSiO2量を第1表に表示)を黒鉛ルツボに充填し、
カーボン板で蓋をして、N2雰囲気中、1600℃で2時間加
熱した。
前記と同様に、生成物の全重量、SiCウィスカー重
量、フリーC量、SiCウィスカーの収率、クラスター及
び粉状物の量を第1表に示す。
〔発明の効果〕 以上詳述したように本発明によれば、クラスターや粉
状物が少なく、かつ高純度のSiCウィスカーを低コスト
で製造することができ、その工業的価値は極めて大き
い。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケイ酸ソーダ又はケイ酸ソーダを水に溶解
    した水ガラスとカーボン粉末とを、モル比で(ケイ酸ソ
    ーダ中のSiO2):C=1:3〜9の割合となるように混合
    し、この混合原料を非酸化性雰囲気中、1400〜1700℃で
    加熱することを特徴とするSiCウィスカーの製造方法。
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