JP2683312B2 - カリウム選択的吸着剤及びその製造方法 - Google Patents

カリウム選択的吸着剤及びその製造方法

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JP2683312B2
JP2683312B2 JP5000231A JP23193A JP2683312B2 JP 2683312 B2 JP2683312 B2 JP 2683312B2 JP 5000231 A JP5000231 A JP 5000231A JP 23193 A JP23193 A JP 23193A JP 2683312 B2 JP2683312 B2 JP 2683312B2
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manganese
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康男 田中
正道 辻
光雄 阿部
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財団法人塩事業センター
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  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、かん水や苦汁などの高
濃度のナトリウム含有水溶液中に含まれる比較的低濃度
のカリウムを吸着除去するためのカリウム選択的吸着剤
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、かん水や苦汁などには高濃度のナ
トリウムイオンのほか比較的低濃度ではあるがカリウム
イオンが含有されている。例えばイオン交換膜を用いた
電気透析によって海水を濃縮して得たイオンかん水で
は、ナトリウムよりも選択透過係数の高いカリウムがよ
り濃縮されているので、このようなイオンかん水を煎ご
うして食塩を製造する場合にカリウム含有量の少ない食
塩を得るためには煎ごうを早めに終了して食塩結晶を分
離しなければならず、かん水の利用度を高めることがで
きなかった。また、並塩の水分調整などのために製品塩
に苦汁を振りかけるという苦汁の利用方法があるが、苦
汁中のカリウム濃度が高いと製品の純度規格に合致しな
くなる恐れがあり、カリウム濃度の低い苦汁しか充分に
利用できなかった。
【0003】そこでこれらのかん水や苦汁などの利用効
率を高めるために、これらに含まれるカリウムを除去し
或いはその濃度を低減する技術が求められており、例え
ば濃縮かん水を冷却することにより温度による溶解度の
差を利用してカリウム塩を析出させ、液中のカリウム濃
度を低下させる方法など用いられているが、エネルギー
を大量に消費する欠点があって効率的な技術とは言い難
い。
【0004】またかん水からカリウムを除去して精製す
る方法として、硫酸マンガン水溶液と過マンガン酸カリ
ウム水溶液とを硫酸の存在下に反応させて得たクリプト
メラン型含水マンガン酸化物を、カリウム成分を選択的
に吸着するための無機イオン交換体として用いる方法が
提案されている(特開平4−168290号)。しかし
この無機イオン交換体は、優れた選択的吸着性能を有し
ているものの吸着容量があまり大きくはなく、製造用原
料が高価であり製造方法も簡単でないうえにカリウム吸
着体を再生するのに濃硝酸を使用する必要があるなどの
欠点があり、到底満足できるものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者は、カ
リウム成分を選択的に吸着するための無機イオン交換体
について研究を重ねた結果、ある種の酸化マンガン化合
物が製造コストがより低くて選択的吸着性能が優れ、し
かも吸着容量の大きい無機イオン交換体となることを見
出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、ナトリウ
ムに対して選択的にカリウムの吸着性能が優れると共に
吸着容量も大きく、しかも再生が容易なカリウム選択的
吸着剤を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のカリウム選択的
吸着剤は、マンガン1モルに対してカリウム0.01モ
ル以下を含む含水黒色酸化物であって、a軸が10.2
Å、c軸が2.8Åの正方晶系の結晶構造を有すること
を特徴とするものである。
【0007】そして、かかる本発明のカリウム選択的吸
着剤は、炭酸マンガンとギ酸カリウムとのモル比が2:
1〜8:1の混合物を酸素含有雰囲気中180〜500
℃で熱分解させ、次いで生成物を無機酸により抽出処理
して水溶性成分を除去することにより製造することがで
きる。
【0008】本発明のカリウム選択的吸着剤の合成原料
となる炭酸マンガンとギ酸カリウムとは予め粉末状で配
合したのち充分に混合されるが、その配合割合はモル比
で2:1〜8:1の範囲内にあることが好ましい。炭酸
マンガンの配合割合がこれより少なくても特に支障はな
いがギ酸カリウムが過剰であるため無駄となり、また炭
酸マンガンの配合割合がこれより多いと合成物中の吸着
剤成分が少なくなって使用効率が低下するから、特に炭
酸マンガン4モルに対してギ酸カリウム1モルの割合で
緊密に混合されるのが好ましい。
【0009】このような原料混合物は、空気などの酸素
含有雰囲気中で、例えば電気炉などの加熱手段により1
80〜500℃で少なくとも1時間以上加熱処理して熱
分解させ、マンガンとカリウムとの複合酸化物とする。
この際、熱処理温度が低過ぎると熱分解反応が遅くなる
から好ましくなく、また500℃より高いと所望の結晶
構造の吸着剤は得られない。好ましい熱分解条件は、2
00℃で8時間以上である。
【0010】こうして得た熱分解生成物は無機酸によっ
て抽出処理するが、この際の無機酸としては硝酸や硫酸
等であってよく、カリウムの抽出ができて酸化マンガン
の溶解損失の少ないものであれば使用できる。また抽出
処理する際の無機酸の濃度はカリウムの抽出が効率的で
あれば特に制限はない。このようなカリウムの抽出は、
例えば0.05M〜5M程度の濃度の希硝酸を用いて常
温下で液中のカリウム濃度が充分に低下するまで、必要
に応じて反復して実施することが好ましい。
【0011】こうして得られた本発明のカリウム選択的
吸着剤は黒色の粉末であり、化学組成はマンガン1モル
に対してカリウム0.01モル以下、及び結合水分を含
んでいるものである。そしてX線回折によれば、a軸が
10.2Å、c軸が2.8Åの正方晶系の結晶構造を有
しているものである。
【0012】
【作用】本発明のカリウム選択的吸着剤は、ナトリウ
ム、リチウム等のアルカリ金属イオンやカルシウム、マ
グネシウム等のアルカリ土類金属イオンなどの共存下で
カリウムイオンを選択的に吸着することができ、しかも
吸着したカリウムを無機酸によって容易に脱着させるこ
とにより完全に吸着能力が回復するので、カリウムイオ
ンの選択的吸着に反復して使用することができる。
【0013】
【実施例】
(本発明例)炭酸マンガン8.456g(73.59mm
ol)と、ギ酸カリウム1.547g(18.39mmol)
とを乳鉢内で充分に混合し、坩堝に入れて空気雰囲気の
電気炉中で200℃に40時間保持して熱分解させ、黒
色の塊状物を得た。これを1.0Mの硝酸水溶液800
mlに入れて常温で時々攪拌しながら1昼夜抽出する操作
を行い、液中のカリウム濃度が10-5M以下となるまで
8回反復した。そして更に充分に水洗し脱水して70℃
で乾燥し、黒色粉末状の本発明のカリウム選択的吸着剤
Aを得た。
【0014】こうして得たカリウム選択的吸着剤Aの組
成を分析したところ、MnO2 ・0.008K2 O・x
2 Oの化学組成を有することがわかった。また、粉末
X線回折法により結晶構造を調べたところ、正方晶系で
あってa軸が10.2Å、c軸が2.8Åの格子定数を
有することがわかった。
【0015】苦汁に水酸化ナトリウム水溶液を加えてp
Hをアルカリ性としたうえ約3.4倍に稀釈して得た表
1に示すような各種金属イオンを含む試験溶液10ml
を、密閉できるガラス容器に取り、これに本発明のカリ
ウム選択的吸着剤Aを1g投入して、常温で時々緩く攪
拌しながら1昼夜吸着させて、液中の金属イオン濃度を
測定した。そして吸着前と吸着後との金属イオン濃度の
差から吸着量を算出した結果は、表1に示すとおりであ
った。
【0016】(対照例)0.5Mの過マンガン酸カリウ
ムと1Mの硫酸を含む水溶液200mlと、1Mの硫酸マ
ンガンと1Mの硫酸を含む水溶液200mlとを混合し
て、60℃で一昼夜放置して二酸化マンガンの沈殿を熟
成させ、6Mの硝酸で沈殿を洗浄したのち更に水でpH
が2以上となるまで洗浄し、70℃で2日間乾燥した。
得られた黒色の塊状物を粉砕し、比重が1.38の濃硝
酸水溶液で反復洗浄して液中にカリウムイオンの溶出が
ないことを確かめ、対照のカリウム選択的吸着剤B約4
gを得た。
【0017】このようにして得た対照例のカリウム選択
的吸着剤Bについて、本発明のカリウム選択的吸着剤A
について行ったと同様の方法によって苦汁中の金属イオ
ンの吸着性能を調べた結果を表1に併せて示した。
【0018】
【表1】
【0019】表1の結果から、本発明のカリウム選択的
吸着剤Aはナトリウム、マグネシウム、カルシウムを殆
ど吸着せず、カリウムのみを選択的に吸着すること、及
びカリウムの吸着容量が2mmol/g以上であることがわか
る。これに対して対照例のカリウム選択的吸着剤Bはカ
リウムの選択的吸着性についてはまずまずであるが、カ
リウムの吸着容量が0.75mmol/gと本発明のカリウム
選択的吸着剤Aより遙かにすくないことがわかる。
【0020】
【発明の効果】本発明のカリウム選択的吸着剤は使用原
料が入手し易い安価なものであり、また製造操作も簡単
であって容易に製造できる。そしてカリウムの選択吸着
性が優れているうえ、その吸着容量が著しく改良されて
おり、イオンかん水や苦汁などの利用効率をカリウム除
去を通じて大幅に増進できる効果がある。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マンガン1モルに対してカリウム0.0
    1モル以下を含む含水黒色酸化物であって、a軸が1
    0.2Å、c軸が2.8Åの正方晶系の結晶構造を有す
    ることを特徴とするカリウム選択的吸着剤。
  2. 【請求項2】 炭酸マンガンとギ酸カリウムとのモル比
    が2:1〜8:1の混合物を酸素含有雰囲気中180〜
    500℃で熱分解させ、次いで生成物を無機酸により抽
    出処理して水溶性成分を除去することを特徴とする請求
    項1記載のカリウム選択的吸着剤の製造方法。
JP5000231A 1993-01-05 1993-01-05 カリウム選択的吸着剤及びその製造方法 Expired - Lifetime JP2683312B2 (ja)

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JPH06198163A JPH06198163A (ja) 1994-07-19
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