JP2682867B2 - タンパク質の固定化方法 - Google Patents

タンパク質の固定化方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、架橋試薬としてアルデヒド類を用いて行わ
れるタンパク質の固定化方法に関する。
従来の技術 近年、食品・繊維・医薬品・医療・分析・化学工学等
の広い分野において、バイオテクノロジーの進歩に伴
い、従来化学反応で行われていた過程や、化学反応だけ
では困難であつた反応過程に生化学反応を利用する方法
が多く開発されてきた。
たとえば、グルコースイソメラーゼによるハイフルク
トースシロツプの生産、β−ガラクトシダーゼによる牛
乳またはホエー中の乳糖の分解、液化デンブンからのグ
ルコースの製造等の分野では、生化学反応が積極的に利
用されている。
生化学反応を産業上に利用する方法は、生化学・分子
生物学・遺伝子工学等の発達により明らかにされた生化
学反応の性質とその生化学反応を触媒する酵素の特性と
を巧妙に利用して可能となつたものであり、その一層の
発展が期待されている。
しかし、一般に酵素分子の本体であるタンパク質は熱
・強酸・強アルカリ・有機溶媒等に対して不安定であ
り、また生化学反応に適した隠和な条件下でさえも徐々
に失活していくことが知られている。
また、生化学反応の多くは溶液反応であり、反応終了
後に、生理活性を有する酵素などのタンパク質を再度利
用するために、反応溶液中より変性させることなく回収
することは極度に困難であるという問題点が存在してい
る。
これらの問題点を解決してタンパク質を有効に利用す
る方法の一つとして、生理活性を持つた酵素などのタン
パク質を何らかの形で固定化する方法がしばしば用いら
れている。すなわち酵素を、そのまま、あるいは保護タ
ンパク質やその他の高分子と共に担体に吸着させるか、
あるいは架橋試薬により不溶化して、酵素を固定化する
などの方法は広く行われている。このような酵素などの
タンパク質の固定化方法は、各工業分野においてすでに
実用化されており、生理活性を持つた固定化タンパク質
が有効に利用されている。
さらに近年、酵素を固定化してリアクター形式で使用
する段階から、バイオセンシングすなわちセンサーのト
ランスデユーサー部等に生化学反応を精密に応用するこ
とが求められるようになつてきた。
このような時代が到来するに至つて、タンパク質の固
定化を精密に制御することが求められるようになつてき
ている。
タンパク質を固定化する方法としては、大きく分類し
て、 水不溶性の担体に物理的吸着により固定化する、いわ
ゆる吸着法、 複数の官能基を持つ試薬を用いてタンパク質とタンパ
ク質とを架橋反応させて不溶化する、いわゆる架橋法、 タンパク質を高分子ゲルの微細な格子の中に包み込む
か、半透膜性の高分子膜の皮膜によつて被覆する、いわ
ゆる包括法、 等が知られている。
これらの方法の中で、最終的に形成された固定化タン
パク質が強固に固定化され、かつタンパク質を固定化す
るための比較的操作が容易である等の利点を有する架橋
法が良く用いられている。特にグルタルアルデヒドで代
表されるアルデヒド類はタンパク質との反応性が高く、
比較的温和な条件でタンパク質を固定化することができ
るので多用されている。
アルデヒド類を用いたタンパク質の固定化方法では、
たとえば、予め固定化したいタンパク質とアルデヒド類
の混合溶液を調製する。次に、この混合溶液を、固定化
を行いたい担体上に塗布するか、あるいは固定化を行い
たい担体を、この混合溶液に浸漬し(浸漬法)、タンパ
ク質固定化膜を形成させる。ただし浸漬法ではタンパク
質を固定化したい担体の表面に付着する液量を正確に制
御することが困難なので、タンパク質の固定化量を精密
に制御することは困難である。
一方、再現性よくタンパク質を固定化するために前記
混合溶液の一定量を担体に塗布する場合には、タンパク
質とその架橋試薬であるアルデヒド類を予め混合してし
まうために混合溶液中で架橋反応が徐々に進行する。し
たがつて多数の固定化タンパク質を連続的に大量生産す
る場合には、生産工程の途中で混合溶液が固定化してし
まうという問題点がある。たとえば特開昭61−245051号
に提案されているように、ノズルからタンパク質とアル
デヒド類の混合溶液を連続的に噴出して大量の固定化タ
ンパク質膜を形成しようとする場合には、タンパク質と
アルデヒド類との混合溶液を粘度が徐々に上昇しやがて
固化してしまうので、連続的に固定化タンパク質膜を形
成することが困難であるという欠点がある。
このような問題点に対して、次のような方法が用いら
れることもある。すなわち、まず最初に固定化を行いた
い担体上にタンパク質を吸着させるか、あるいはタンパ
ク質を含む水溶液を塗布した後乾燥させて、タンパク質
の膜を形成させる。この後、アルデヒド類溶液を別途塗
布するか、あるいはアルデヒド類溶液に浸漬し、タンパ
ク質との架橋反応を行わせ、固定化タンパク質膜を形成
させる。
しかし、この方法ではタンパク質を予め定量的に担体
上に吸着あるいは膜形成させることができたとしても長
時間を要する。そのうえ、その後アルデヒド類を別途に
反応させるときに、タンパク質に対するアルデヒド類の
濃度が一定になるように定量的かつ均質に架橋反応を行
わせることは困難である。したがつてタンパク質の再現
性のよい固定化を行うことは困難であり、個々に特性の
バラツキがある固定化タンパク質膜しか得られないとい
う問題点がある。
また、特開昭63−111454号には最初にタンパク質を膜
状に形成させた後、アルデヒド類を気相からこのタンパ
ク質膜に浸透させて架橋反応させて固定化する方法が提
案されている。しかし、この方法では固定化したいタン
パク質に対するアルデヒド類の濃度を細かく制御するこ
とが困難であり、やはり再現性のよいタンパク質の固定
化を行うことは困難である。
発明が解決しようとする課題 このように再現性よいタンパク質を均質に固定化する
ためには、予め一定比率のタンパク質とアルデヒド類と
の混合溶液を調製して担体上に塗布した後、架橋反応を
行うのが望ましい。しかしながら、この方法では製造工
程における混合溶液の増粘・硬化により作業性が低下す
るという問題点については、これまで有効な解決策が提
示されず現在に至つている。
したがつて本発明の目的は、アルデヒド類を用いてタ
ンパク質を固定化する際に、製造工程途中の不要な架橋
硬化を防ぎ、かつ架橋硬化過程を防げずに定量的に再現
性良く、かつ連続的にタンパク質の固定化作業を行うこ
とが可能なタンパク質の固定化方法を提供することであ
る。
課題を解決するための手段 本発明は、タンパク質を架橋試薬であるアルデヒド類
と架橋反応させてタンパク質を固定化する方法におい
て、 前記タンパク質とアルデヒド類との混合溶液中にカル
ボン酸塩類を少なくとも一種類以上共存させ、pHを5〜
8の範囲とし、 加熱または乾燥させることによって架橋反応を進行さ
せて前記タンパク質を固定することを特徴とするタンパ
ク質の固定化方法である。
また前記カルボン酸塩類がナトリウム塩、カリウム塩
ましくはマグネシウム塩またはこれらの塩の混合物であ
ることが好ましい。
また前記カルボン酸塩類のカルボン酸の分子量は300
以下であることが望ましい。
また前記カルボン酸塩が共存するタンパク質とアルデ
ヒド類との混合溶液におけるカルボン酸塩類の濃度が10
mM〜200mMの範囲であることが好ましい。
さらに前記アルデヒド類としては、グルタルアルデヒ
ドが好適に使用される。
作 用 架橋試薬を用いて架橋反応を起こさせてタンパク質を
固定化する場合には、タンパク質と架橋試薬の成分比を
細かく制御しかつ均質に架橋反応を行わせるために、予
めタンパク質と架橋試薬との成分比が一定である混合溶
液を調製して用いることが望ましい。また担体等の表面
上に定量的にタンパク質を固定化するために、この混合
溶液の一定量を塗布する必要がある。
しかし、架橋剤にアルデヒド類を用いた場合には、架
橋反応は、タンパク質と架橋試薬との混合溶液を調製し
た瞬間から開始し、混合溶液中で徐々に進行する。この
ため、この混合溶液の一定量を正確に塗布しようとして
も、この混合溶液を分注器等の器具に充填すると器具内
で徐々に架橋反応が進行する。
したがつて混合溶液はこの器具内で徐々にその流動性
の低下を来し、やがては固化してしまう。これによつて
多数の固定化タンパク質を製造する場合に、担体等の表
面に連続的に効率よくタンパク質の固定化作業を行うこ
とはできなかつた。
本件発明者らは、特にタンパク質とアルデヒド類との
混合溶液を予め調製し、担体等の表面上にタンパク質を
固定化する方法において、定量的にタンパク質を固定化
するために前記混合溶液の一定量を担体等の表面上に塗
布する際の混合溶液の不必要な凝固を阻止する方法を検
討し、本発明を完成するに至つた。
タンパク質は生体由来の化合物でありその生理活性を
保持させるために溶液として用いるのが一般的であり、
通常溶媒として、水または緩衝液が用いられる。
したがつて、本発明者らは、タンパク質とアルデヒド
類との混合溶液中に共存させることが可能であり、なお
かつ乾燥または加熱等の固定化操作を行うまではタンパ
ク質とアルデヒド類との架橋能力を保持させたままの状
態で架橋反応を阻止する作用を持つ化合物を探索した。
このような化合物には、 タンパク質とアルデヒド類との混合溶液に溶解し、タ
ンパク質、アルデヒド類または緩衝液の成分と沈澱等を
形成しないこと、 タンパク質とアルデヒド類との架橋反応能力を損なわ
ないこと、 生理活性を持つタンパク質に対してその生理活性を失
わせないこと、 乾燥あるいは加熱等のタンパク質とアルデヒド類との
架橋反応処理の際にタンパク質とアルデヒド類との架橋
反応を阻害せず、また人体に対して悪影響のある気体等
の物質を発生させないこと、などの性質が要求される。
この結果、カルボン酸塩類を少なくとも1種類以上タ
ンパク質とアルデヒド類との混合溶液中に共存させ、こ
の混合溶液のpHを5〜8の範囲とすればよいことが見い
だされた。すなわちカルボン酸塩類は、タンパク質、ア
ルデヒド類または緩衝溶液と沈殿等を形成せず、カルボ
ン酸塩類が共存する混合溶液を乾燥させるか、あるいは
加熱処理を行うまでは架橋反応を抑制し、乾燥または加
熱処理によって架橋反応が進行する。またpHが5〜8の
範囲にあるので、生理活性を有するタンパク質、特に酵
素に対して、その生理活性を失わせないことが見いださ
れた。
カルボン酸塩類のカルボン酸の種類としてはその分子
量が300以下のものが望ましい。分子量がこの範囲を越
えるとカルボン酸塩類の溶解度が小さくなり、タンパク
質とアルデヒド類との混合溶液に添加する際に完全に溶
解しなかつたり、また溶解しても架橋阻止効果が低い。
水または緩衝液を溶媒としたタンパク質とアルデヒド
類との混合溶液に共存させることのできるカルボン酸塩
類としては、アクリル酸、アスコルビン酸、イソバレリ
アン酸、イソ酪酸、ギ酸、バレリアン酸、クエン酸、グ
リオキシル酸、ヒドロキシ酢酸、2,3−ジヒドロキシプ
ロピオン酸、1,3−プロパンジカルボン酸、コハク酸、
酢酸、シユウ酸、酒石酸、チオ酢酸、乳酸、ビニル酢
酸、ピルビン酸、プロピオン酸、マレイン酸、マロン
酸、マンデル酸、無水酢酸、無水フタル酸、メソシユウ
酸、酪酸、リンゴ酸、オレイン酸、安息香酸等のカルボ
ン酸の塩類を用いることができる。また、これらカルボ
ン酸塩類を複数組み合わせて用いることができる。塩の
種類は溶解度およびタンパク質の構造に影響を与えにく
いとい点からナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム
塩等が望ましい。
これらのカルボン酸塩類は、濃度が低すぎると所望の
効果が得られない場合があり、また濃度が高いとタンパ
ク質を変性させる等の好ましくない作用をする場合があ
るため、10mM〜200mMの範囲で好ましく用いられる。
架橋試薬であるアルデヒド類としては、ホルマリン、
グルタルアルデヒド、サクシニルアルデヒド、ジアルデ
ヒドデンプン等が挙げられるが、この中でタンパク質の
変性、あるいは酵素タンパク質の活性低下等の悪影響を
避ける意味でグルタルアルデヒドが最も好ましく用いら
れる。
これらのカルボン酸塩類をタンパク質とアルデヒド類
との混合溶液中に共存させることにより溶液中でのタン
パク質とアルデヒド溶液との架橋反応の進行を阻止する
ことができ、またタンパク質とアルデヒド混合溶液を乾
燥または加熱等により架橋せしめることが可能な理由は
必ずしも明らかではないが、以下のように推測される。
カルボン酸は緩衝液の構成成分として用いられること
があるが、その緩衝能が強い範囲がpH4あるいはそれ以
下であることから分かるように、そのpKaはほぼ4.0以下
にある。したがつて本発明の好適pH範囲では、カルボン
酸はほぼ完全に解離状態にある。一方ではタンパク質の
表面に存在し、アルデヒド類と反応するアミノ基は水素
イオンが付加した状態にあると考えられる。このような
化合物が水中に共存するとタンパク質分子表面のアミノ
基とカルボン酸はイオン相互作用を行い、アルデヒド類
がアミノ基と反応するのを阻害していると思われる。し
かし、水分が蒸発するとカルボン酸は本来の対イオン、
たとえばナトリウムイオンとイオン結合し結晶化するこ
とによつて系外に除かれる。その後タンパク質分子表面
のアミノ基とアルデヒド類が反応し架橋硬化が起きる。
またカルボン酸の分子量により効果に差異が認められる
のは、溶解度の問題を除外して考えても、分子量が大き
くなるとタンパク質分子表面に接近するのがより困難に
なり、分子量の比較的低いアルデヒド類、たとえばグル
タルアルデヒドの方が相互作用を起こしやすくなるため
と思われる。この相互作用の強さがほぼ分子量300を境
界として、より低分子側ではカルボン酸の方が強く、そ
れより高分子側ではアルデヒド類の方が強くなると考え
られる。
本発明によれば一般によく用いられる固定化生体触媒
用の担体上にタンパク質を効率良く固定化することがで
きる。特に固定化酵素電極など膜状にタンパク質を固定
化することが要求される場合には、作業効率を向上さ
せ、かつ連続的に大量生産することが可能となる。
実施例 以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明する
が、もちろん本発明はこれのみに限定されるものでな
い。なお、%は重量%を表す。
実施例1 タンパク質としてウシ血清アルブミン(フラクシヨン
V,シグマ社製)を、アルデヒド類としてはグルタルアル
デヒドを、カルボン酸塩類として酢酸ナトリウムを用い
た。
ワツセルマン試験管中で 5%ウシ血清アルブミン水溶液 1200μ、 25%グルタルアルデヒド水溶液 80μ、 1M酢酸ナトリウム水溶液 200μ、 蒸留水520μ、 を混合し、 最終濃度 3% ウシ血清アルブミン、 1% グルタルアルデヒド、 100mM 酢酸ナトリウム の混合水溶液を調製した。この水溶液のpHは6.3であつ
た。
この混合水溶液を分光光度計のセルに移し、波長660n
mで30秒毎に透過率I/I0を測定したところ、第1図に示
すように、透過率I/I0に変化はなく調製後10分経過した
後も溶液状態のままであつた。なお、タンパク質とアル
デヒド類との混合溶液は、架橋反応が進行するにつれ、
白濁し、特に波長660nm付近の光の吸光度が増加するの
で、この波長の光の透過率を測定すれば、架橋反応の進
行の度合が判る。
この混合溶液10μをスライドグラス上に展開し40℃
で20分乾燥させたところ、水に不溶のタンパク質膜が得
られた。
実施例2 タンパク質としてウシ血清アルブミン(フラクシヨン
V,シグマ社製)を、アルデヒド類としてはグルタルアル
デヒドを、カルボン酸塩類としてクエン酸カリウムを用
いた。
ワツセルマン試験管中で 5%ウシ血清アルブミン水溶液 1200μ、 25%グルタルアルデヒド 80μ、 1Mクエン酸カリウム水溶液 200μ、 蒸溜水 520μ、 を混合し、 最終濃度 3% ウシ血清アルブミン、 1% グルタルアルデヒド、 100mM クエン酸カリウム の混合水溶液を調製した。この混合水溶液のpHは6.5で
あつた。
この混合水溶液を分光光度計のセルに移し、波長660n
mで30秒毎に透過率I/I0を測定したところ、第2図に示
すように、透過率I/I0に変化はなく調製後10分経過した
後も溶液状態のままであつた。
この混合溶液10μをスライドグラス上に展開し40℃
で20分乾燥させたところ、水に不溶のタンパク質膜が得
られた。
実施例3 タンパク質としてウシ血清アルブミン(フラクシヨン
V,シグマ社製)をアルデヒド類としてはグルタルアルデ
ヒドを、カルボン酸塩類として乳酸ナトリウムを用い
た。
ワツセルマン試験管中で 5%ウシ血清アルブミン水溶液 1200μ、 25%グルタルアルデヒド 80μ、 1M乳酸ナトリウム水溶液 200μ、 蒸溜水 520μ、 を混合し、 最終濃度 3% ウシ血清アルブミン、 1% グルタルアルデヒド、 100mM 乳酸ナトリウム の混合水溶液を調製した。この混合溶液のpHは5.5であ
つた。
この混合水溶液を分光光度計のセルに移し、波長660n
mで30秒毎に透過率I/I0を測定したところ、第3図に示
すように、透過率I/I0に変化はなく調製後10分経過した
後も溶液状態のままであつた。
この混合溶液10μをスライドグラス上に展開し40℃
で20分乾燥させたところ、水に不溶のタンパク質膜が得
られた。
実施例4 測定装置 本実施例では、第4図に示されるフロー型測定装置が
使用された。このフロー型測定装置は、μオーダの試
料注入が可能な高速液体クロマトグラフイ用のインジエ
クタ3と、本発明に従うタンパク質の固定化方法を用い
て製造された酵素電極E1および参照電極としての銀・塩
化銀参照電極8が取付けられ、対極7としてステンレス
鋼製の管路が備えられた測定用セル5とを含んで構成さ
れる。たとえば内径0.5mm、長さ1.5mのテフロン製の希
釈用管路4は、インジエクタ3と、測定用セル5との間
に接続される。測定用セル5の内容積は40μであり、
酵素電極E1と銀・塩化銀参照電極8とが、緩衝液の管路
を介して対向して配置される。酵素電極E1には、ポテン
シオスタツト9によつて銀・塩化銀参照電極8に対して
+0.60Vの電圧が印加される。
このような構成は、恒温槽12内に配置され、恒温槽12
内の温度は37℃に保持される。緩衝液1は、高速流体ク
ロマトグラフイ用のポンプ2を用いて1.0ml/分の流量で
送液される。測定を終えた試料を含む緩衝液は廃液瓶11
にて捕捉される。なお測定値は記録計10によつて記録さ
れる。
固定化酵素電極E1の作成 タンパク質としてウシ血清アルブミン(フラクシヨン
V,シグマ社製)とグルコースオキシダーゼ(Type II,シ
グマ社製)を、アルデヒド類としてはグルタルアルデヒ
ドを、カルボン酸塩類として酢酸ナトリウムを用いた。
ワツセルマン試験管中で 5%ウシ血清アルブミン水溶液 100μ、 5%グルコースオキシダーゼ溶液 100μ、 1M酢酸ナトリウム水溶液 100μ、 10%グルタルアルデヒド水溶液 100μ、 100mMリン酸緩衝液(pH7) 600μ、 を混合し、 最終濃度 0.5% ウシ血清アルブミン、 0.5% グルコースオキシダーゼ、 1.0% グルタルアルデヒド、 100mM 酢酸ナトリウム の混合水溶液を調製した。この混合溶液のpHは7.0であ
つた。
この混合溶液を室温で20分間放置後、直径2mmの白金
線の側面を熱収縮テフロンで被覆しその断面を1600番手
のエメリー紙で研磨した表面にマイクロシリンジで5μ
のせて40℃で乾燥し固定化酵素電極E1とした。
測定 この固定化グルコースオキシダーゼ電極E1を第4図に
示すフロー型計測装置に組み込み100mMリン酸緩衝液(p
H6.0)1を流しながら、銀・塩化銀参照電極8に対して
0.6Vの電位を印加し5mM過酸化水素を注入したところ検
出電流値は331nAであつた。次に5mMグルコースの溶液を
注入したところ検出電流値は83nAであつた。したがつて
第1表に示すように、グルコースによる検出電流値の同
濃度の過酸化水素の検出電流値に対する割合は25%であ
つた。
このように、カルボン酸塩類が共存するタンパク質と
グルタルアルデヒド類との混合溶液調製後、室温放置を
20分行つても簡単に混合溶液を白金線などの担当上に展
開でき、固定化酵素電極の製造をゆとりをもつて実施で
きた。また第1表からわかるように、カルボン酸塩の添
加により最終的に作成された酵素電極の活性は全く影響
を受けていないことがわかる。さらに本電極E1を室温、
pH6.0の100mMリン酸緩衝液中に90日間保存した後、再度
同じ測定装置に装着しグルコースに対する感度を確認し
たところ、同じ感度が得られ酵素が安定に固定化されて
いることが確認された。
比較例1 測定装置 実施例4と同じものを用いた。
固定化酵素電極E2の作成 タンパク質としてウシ血清アルブミン(フラクシヨン
V,シグマ社製)とグルコースオキシダーゼ(Type II,シ
グマ社製)を、アルデヒド類としてはグルタルアルデヒ
ドを、カルボン酸塩類として酢酸ナトリウムを用いた。
ワツセルマン試験管中で 5%ウシ血清アルブミン水溶液 100μ、 5%グルコースオキシダーゼ溶液 100μ、 10%グルタルアルデヒド水溶液 100μ、 100mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5) 700μ、 を混合し、 最終濃度 0.5% ウシ血清アルブミン、 0.5% グルコースオキシダーゼ、 1.0% グルタルアルデヒド、 70mM 酢酸ナトリウム緩衝液 の混合溶液を調製した。この混合溶液のpHは4.5であつ
た。
この混合溶液を室温で20分間放置後、直径2mmの白金
線の側面を熱収縮テフロンで被覆しその断面を1600番手
のエメリー紙で研磨した表面にマイクロシリンジで5μ
のせて40℃で乾燥し固定化酵素電極E2とした。
測定 この固定化グルコースオキシダーゼ電極E2を第4図に
示すフロー型計測装置に組み込み100mMリン酸緩衝液(p
H6.0)1を流しながら、銀・塩化銀参照電極8に対して
0.6Vの電位を印加し5mM過酸化水素を注入したところ検
出電流値は340nAであり、次に5mMグルコースの溶液を注
入したところ検出電流値は50nAであつた。したがつてグ
ルコースによる検出電流値の同濃度の過酸化水素の検出
電流値に対する割合は15%であつた。このように、タン
パク質・グルタルアルデヒド混合溶液調製後、室温放置
を20分行つても簡単に混合溶液を電極上に展開でき、電
極製作をゆとりをもつて実施できた。ただし過酸化水素
に対するグルコースの検出電流値の比が低下しているこ
と、および固定化直後ではこの比の再現性が良いことか
ら、固定化時のpHがグルコースオキシダーゼにとつて低
すぎ、活性低下が起きたものと思われる。さらに本電極
E2を室温でpH6.0の100mMリン酸ナトリウム緩衝液中に保
存した場合、同濃度の過酸化水素に対するグルコースの
検出電流値の比が、7日目で13%、30日目で10%、60日
目で7%、90日目で5%と徐々に低下した。すでに実施
例4において、固定化グルコースオキシダーゼの保存安
定性が確認されており、このグルコースに対する感度低
下現象の原因はグルコースオキシダーゼの固定化が弱
く、酵素が電極表面から脱離することによると思われ
る。つまりカルボン酸塩類の添加により固定化作業の効
率化は可能となつたが、固定化に用いる混合溶液のpHに
よつて、できあがつた固定化膜の強度がやや低下する傾
向が見られた。グルコースオキシダーゼを対象とした実
験によれば、固定化に用いる混合溶液のpHが5以上8以
下の場合には、酵素の脱離が全く起きず安定性に特に優
れた固定化膜が得られた。
比較例2 タンパク質としてウシ血清アルブミン(フラクシヨン
V,シグマ社製)を、アルデヒド類としてはグルタルアル
デヒドを用いた。
ワツセルマン試験管中で 5%ウシ血清アルブミン水溶液 1200μ、 25%グルタルアルデヒド 80μ、 蒸溜水 720μ、 を混合し、 最終濃度 3% ウシ血清アルブミン、 1% グルタルアルデヒド、 の混合水溶液を調製した。
この混合溶液を分光光度計のセルに移し、波長660nm
で30秒毎に透過率を測定したところ、第5図に示すよう
にタンパク質と多価アルデヒド類であるグルタルアルデ
ヒドの混合溶液は徐々に白濁しはじめ、その透過率は時
間の経過とともに低下し、調製後10分経過した後ではセ
ル中で乳白色の固形物を形成しスライドグラス上に展開
することはできなかつた。
比較例3 タンパク質としてウシ血清アルブミン(フラクシヨン
V,シグマ社製)とグルコースオキシダーゼ(Type II、
シグマ社製)を、アルデヒド類としてはグルタルアルデ
ヒドを用いた。
ワツセルマン試験管中で 5%ウシ血清アルブミン水溶液 100μ、 5%グルコースオキシダーゼ溶液 100μ、 10%グルタルアルデヒド水溶液 100μ、 100mMリン酸緩衝液(pH7) 700μ を混合し、 最終濃度 0.5% ウシ血清アルブミン、 0.5% グルコースアルデヒド、 1.0% グルタルアルデヒド の混合溶液を調製した。
この混合溶液を調製後直ちに、直径2mmの白金線の側
面を熱収縮テフロンで被覆しその断面を1600番手のエメ
リー紙で研磨した表面にマイクロシリンジで5μのせ
て40℃で乾燥し固定化酵素電極C1とした。
この固定化グルコースオキシダーゼ電極を第4図に示
すフロー型計測装置に組み込み100mMリン酸緩衝液を流
しながら、銀・塩化銀参照電極8に対して0.6Vの電位を
印加し5mM過酸化水素を注入したところ検出電流値は328
nAであり、次に5mMグルコースの溶液を注入したところ
検出電流値は82nAであつたので、第1表に示すようにグ
ルコースによる検出電流値の同濃度の過酸化水素の検出
電流値に対する割合は25%であつた。この例ではタンパ
ク質・グルタルアルデヒド混合溶液を調製後、素早く電
極上に展開しなければ混合溶液の増粘が起こり、電極作
成の上で大きな制限が加えられた。
発明の効果 以上のように本発明によれば、アルデヒド類を用いて
タンパク質を固定化する際に、タンパク質とアルデヒド
類との混合溶液中にカルボン酸塩類を共存させ、pHを5
〜8の範囲にして、タンパク質の固定化を抑制して、こ
の混合溶液を担体上に塗布し、乾燥または加熱によって
担体上で架橋反応を起こさせタンパク質を固定化するこ
とができる。この場合、溶液状で担体上に塗布できるの
で、均質かつ定量的に、また再現性よく、タンパク質の
固定化ができる。特に酵素等の生理活性を有するタンパ
ク質に対して、生理活性に悪影響を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例1での混合溶液の660nmにおけ
る透過率I/I0の経時変化を示すグラフ、第2図は本発明
の実施例2での混合溶液の660nmにおける透過率I/I0
経時変化を示すグラフ、第3図は本発明の実施例3での
混合溶液の660nmにおける透過率I/I0の経時変化を示す
グラフ、第4図は本発明に従う固定化酵素の活性を確認
するために使用したフロー型計測装置の概略図、第5図
は比較例での混合溶液の660nmにおける透過率I/I0の経
時変化を示すグラフである。 2……ポンプ、3……インジエクタ、5……測定用セ
ル、7……対極、8……銀・塩化銀参照電極、9……ポ
テンシオスタツト、E1,E2……酵素電極

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タンパク質を架橋試薬であるアルデヒド類
    と架橋反応させてタンパク質を固定化する方法におい
    て、 前記タンパク質とアルデヒド類との混合溶液中にカルボ
    ン酸塩類を少なくとも一種類以上共存させ、pHを5〜8
    の範囲とし、 加熱または乾燥させることによって架橋反応を進行させ
    て前記タンパク質を固定することを特徴とするタンパク
    質の固定化方法。
  2. 【請求項2】前記カルボン酸塩類がナトリウム塩、カリ
    ウム塩もしくはマグネシウム塩またはこれらの塩の混合
    物であることを特徴とする請求項第1項記載のタンパク
    質の固定化方法。
  3. 【請求項3】前記カルボン酸塩類のカルボン酸の分子量
    が300以下であることを特徴とする請求項第1項記載の
    タンパク質の固定化方法。
  4. 【請求項4】前記カルボン酸塩類が共存するタンパク質
    とアルデヒド類との混合溶液におけるカルボン酸塩類の
    濃度が10mM〜200mMの範囲である請求項第1項記載のタ
    ンパク質の固定化方法。
  5. 【請求項5】前記アルデヒド類としてグルタルアルデヒ
    ドを使用することを特徴とする請求項第1項記載のタン
    パク質の固定化方法。
  6. 【請求項6】タンパク質である酵素とアルデヒド類とカ
    ルボン酸塩類とを含むpH5〜8の混合溶液を導電性基体
    上に塗布し、加熱または乾燥して、架橋反応を進行さ
    せ、導電性基体上にタンパク質を固定化させることを特
    徴とする固定化酵素電極の製造方法。
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