JP2604857B2 - 酵素電極 - Google Patents

酵素電極

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JP2604857B2 JP1196305A JP19630589A JP2604857B2 JP 2604857 B2 JP2604857 B2 JP 2604857B2 JP 1196305 A JP1196305 A JP 1196305A JP 19630589 A JP19630589 A JP 19630589A JP 2604857 B2 JP2604857 B2 JP 2604857B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、長期耐久性に優れた固定化酵素電極(以下
酵素電極と略す)に関する。
「従来の技術」 酵素反応を生体物質や食品等に含まれる物質の定量に
用いることは、その反応速度の速さ及び基質特異性を有
する等の利点から広く行われている。特に酵素電極を用
いた濃度測定法は、微量の酵素を反復利用する可能性を
開き、その応用範囲を医療、食品、薬品分析等の分野に
広げつつある。このような応用分野の拡大に伴い、長期
間安定して測定が行える酵素電極への要求が高まってい
る。
酵素選択透過膜もしくは過酸化水素選択透過膜上に酵
素を共有結合固定、あるいは包括固定等により固定化し
た酸素電極や過酸化水素電極は公知であり、特に過酸化
水素電極を用いる酵素電極は応答速度が早く、測定に用
いる溶液中の溶存酸素の変動によるバックグラウンド電
流の変動がないため実用上好ましい。従来より円筒状の
絶縁体の中に作用極と対極を組み込んだ過酸化水素検出
型酵素電極は知られているが、構造上小型化し難く、ま
た、酵素自体の変性により酵素電極の感度が低下した場
合は、酵素固定化膜を取換える必要があるが、その際に
酵素を固定化した新しい膜を傷つけてしまう危険性があ
った。
これらの欠点を解決するため、導電性基体上に直接酵
素を固定化する方法が検討されており、具体的には白
金、金等の導電性基体上に酵素を直接固定したり、セラ
ミック等の絶縁体上に白金等を蒸着することによりミク
ロな白金基体を形成し、これに直接酵素を固定化して酵
素電極を製造する方法が知られている。
例えば特開昭61−187792号や特開昭62−5169号には白
金基体上にアミノ基を有するシランカップリング剤を結
合させ、アミノ基にグルタルアルデヒド等の多官能性ア
ルデヒドを結合させた後、更に酵素を固定化する方法が
開示されている。
しかし、これらの酵素電極では導電性基体とシランカ
ップリング剤の結合点が少なく、固定化された酵素膜の
付着強度が不充分であるため、固定化酵素膜の剥離によ
り長期間の使用に耐えないという問題があった。
「発明が解決しようとする課題」 本発明は、膜付着強度を向上させ、長期耐久性に優れ
た酵素電極を提供することを目的とする。
「課題を解決するための手段」 本発明は、導電性基体(1)の周囲を疎水性絶縁体
(2)で被覆し、露出した導電性基体(1)の端面上に
固定化酵素膜(3)を設けた酵素電極において、少なく
とも疎水性絶縁体(2)の導電性基体(1)の端面と面
を同一にする部位を親水化処理し、固定化酵素膜(3)
を疎水性絶縁体(2)の親水化処理された部位と接する
ように設けたことを特徴とする酵素電極である。
固定化酵素膜(3)の疎水性絶縁体(2)と接する部
位で、固定化酵素膜(3)と疎水性絶縁体(2)が化学
的に結合していることが好ましい。
また本発明は、導電性基体(1)の周囲を疎水性絶縁
体(2)で被覆し、露出した導電性基体(1)の端面上
に選択透過膜(4)を介して固定化酵素膜(3)を設け
た酵素電極において、少なくとも疎水性絶縁体(2)の
導電性基体端面と面を同一にする部位を親水化処理し、
該選択透過膜(4)を疎水性絶縁体(2)の親水化処理
された部位と接するように設けたことを特徴とする酵素
電極である。
選択透過膜(4)の疎水性絶縁体(2)と接する部位
で選択透過膜(4)と疎水性絶縁体(2)が化学的に結
合していることが好ましい。
更に本発明は、導電性基体(1)の周囲を疎水性絶縁
体(2)で被覆し、露出した導電性基体の端面上に固定
化酵素膜(3)を設けるか若しくは選択透過膜(4)を
介して固定化酵素膜(3)を設けた酵素電極において、
少なくとも疎水性絶縁体(2)の導電性基体(1)端面
と面を同一にする部位を金属ナトリウムを用いて親水化
処理し、前記部位にアミノ基を含有するシランカップリ
ング剤を結合させた後、固定化酵素膜(3)若しくは選
択透過膜(4)を前記シランカップリング剤のアミノ基
と多官能性アルデヒドで結合するように形成してなる酵
素電極である。
「作用」 一般に電極素材に導電性基体を用いる場合、導電性基
体の固定化酵素膜もしくは選択透過膜と接する部分以外
は疎水性絶縁体で被覆する。これは、不必要な電極反応
を避け、S/N比を向上するための措置である。
第1図は本発明の酵素電極を例示した断面図である。
導電性基体(1)としては、金、白金、カーボン等の各
種材料が用いられる。
また疎開水性絶縁体(2)としてはポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリカーボネート、フッ素樹脂、塩化ビ
ニル等の高分子材料が用いられる。これらの絶縁体は、
その疎水性のために親水性高分子からなる固定化酵素膜
との付着性が弱く、固定化酵素膜の耐久性向上には役に
立っていない。
しかし、本発明は少なくともこれらの疎水性絶縁体
(2)の導電性基体(1)端面と面を同一とする部位を
親水化処理するもので、固定化酵素膜(3)(選択透過
膜を導電性基体上に設ける場合は選択透過膜)との付着
性が改善され、酵素電極の耐久性を向上させることがで
きる。
例えば、直径2mmの白金線の周囲を厚さ0.2mmのフッ素
樹脂で覆い、その端面に酵素を固定化する場合を考える
と、白金線の断面積は0.031cm2であり、フッ素樹脂の端
面の面積は0.014cm2となる。つまり疎水性絶縁体を親水
化処理すれば、固定化酵素膜の付着面積を45%増加させ
ることができ、耐久性を向上させることができる。
酵素としては特に限定されず、グルコースオキシダー
ゼ、アルコールオキシダーゼ等のオキシダーゼ、並びに
フラクトースデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲ
ナーゼ(両者とも電子受容体は補酵素以外のアクセプタ
ーであるもの)等が用いられる。
第2図は導電性基体(1)と固定化酵素膜(3)間に
選択透過膜(4)を設けた態様を例示したものである。
選択透過膜(4)は例えば過酸化水素電極の場合アス
コルビン酸等の測定妨害物質の透過を阻止することによ
り、その影響を防ぐものである。
選択透過膜(4)としてはアルブミン等の球状タンパ
ク質をグルタルアルデヒド等の架橋剤で架橋したもの
や、多官能性アミンを含むアセチルセルロース膜、アク
リル系樹脂、シリコン膜等があるが、親水性のものが付
着強度が大きい点で好ましい。選択透過膜(4)が親水
性高分子であれば前記第1図に関する記載と同様に疎水
性絶縁体(2)表面を親水化処理することにより酵素電
極の耐久性は向上する。
疎水性絶縁体を親水化する手法としては、親水化する
部位に対してコロナ放電を行う等の物理的方法、熱硝酸
や熱硫酸中で化学的処理をする方法が例示できる。また
金属ナトリウムを用いた化学的親水化処理は、処理効率
が良く素早く大量の対象を親水化できるため特に好まし
い。
金属ナトリウムによる親水化処理は、疎水性絶縁体の
油分やその他の汚れを溶剤、水などで洗浄して除き、充
分乾燥させた後、金属ナトリウムを表面に接触させ、数
秒〜10分間程度放置し、最後に水洗して過剰の金属ナト
リウムを除くことにより行うことができる。
さらに、親水化処理した絶縁体端面と固定化酵素膜若
しくは選択透過膜を化学的に結合させることにより一層
耐久性を増すことができる。化学的結合方法としては、
例えば金属ナトリウム処理等により絶縁体表面に導入さ
れた水酸基に、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート等の多官能基性イソシアネートを
反応させ、その上に固定化酵素膜若しくは選択透過膜を
形成することにより、タンパク質分子中のアミノ基にイ
ソシアネートを反応させることができる。
また親水化された絶縁体をγ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、γ−アミノフェニルプロピルトリメトキ
シシラン等のアミノ基を含有するシランカップリング剤
で処理することによりアミノシラン化した後に、サクシ
ニルアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキザール
等の多官能性アルデヒドやカーボジイミド等を反応させ
ることにより同様に固定化酵素膜若しくは選択透過膜と
強固な化学結合を作ることができる。
タンパク質を含有しない選択透過膜を用いる場合、例
えばアセチルセルロース膜では、膜中にトリアミノオク
タン等の多官能性アミンを含有させて、結合肢とするこ
とができる。
これらの方法のなかで、導電性基体の周囲を絶縁体で
被覆し、少なくとも疎水性絶縁体の導電性基体端面と面
を同一にする部位を金属ナトリウムを用いて親水化処理
し、前記のようなアミノ基を含有するシランカップリン
グ剤を結合させた後、固定化酵素膜もしくは選択透過膜
とシランカップリング剤のアミノ基を多官能性アルデヒ
ドで結合させる方法は以下の点で特に優れている。
親水化処理が高速で行われる。
同様にシランカップリング剤による処理も数分〜1
時間程度で完了する。
架橋に使う多官能性アルデヒドは酵素の固定化にも
良く用いられ、共存して酵素活性を損なう可能性が低
い。
さらに、導電性基体の表面が自然酸化して形成され
た水酸基、または金属ナトリウム処理前、もしくは処理
後に、電気化学的に酸化して形成された水酸基を、後続
するアミノシラン化処理時に修飾できる。つまり、結合
点を増やすことができ、一層耐久性に優れた電極が得ら
れる。
本発明の酵素電極は、きわめて強固に固定化酵素膜も
しくは選択透過膜が固定化されており、通常のバッチ測
定、あるいはフロー型測定装置に組み込んで利用する際
に優れた性能を発揮する。特にフロー型測定において
は、流速の変化する場合や高流速で使用しても、優れた
耐久性を発揮する。
「実施例」 以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明する
が、もちろん本発明はこれらのみに限定されるものでは
ない。なお%は重量%を表す。
測定装置 本実施例では、第3図に示したフロー型測定装置を使
用した。第3図に示したフロー型測定装置は、高速液体
クロマトグラフ用のインジェクタ(レオダイン社製、71
25型)(13)と、本発明に従う酵素電極E1〜E3(または
C1〜C3)および参照電極としてのAg/AgCl電極(18)が
取り付けられ、対極(17)としてステンレス鋼製の管路
が備えられた測定用セル(15)とを含んで構成される。
たとえば内径0.5mm、長さ1.5mのフッ素樹脂製の希釈用
管路(14)は、インジェクタ(13)と、測定用セル(1
5)との間に接続される。測定用セル(15)の内容積は4
0μlであり、酵素電極E1〜E3(C1〜C3)とAg/AgCl電極
(18)とが、緩衝液の管路を介して対向して配置され
る。酵素電極E1〜E3(C1〜C3)には、ポテンシオスタッ
ト(19)によってAg/AgCl電極(18)に対して+0.60Vの
電圧が印加される。
このような構成は、恒温槽(22)内に配置され、恒温
槽(22)内の温度は37±0.1℃に保持される。緩衝液(1
1)の送液には高速液体クロマトグラフィ用のポンプ(1
2)を用い、緩衝液(11)としてはpH6.0の0.1Mリン酸ナ
トリウム緩衝液が送液される。測定を終えた試料を含む
緩衝液は廃液瓶(21)にて捕捉される。なお測定値は記
録計(20)によって記録され、試料が電極を通過する際
に見られるピーク電流値から、ベース電流値を引くこと
により検出電流値を求めた。
実施例1 導電性基体として直径2mmの白金線を用い、その側面
を疎水性絶縁体である熱収縮テフロン(商品名)を用い
て被覆し、その端面を1600番手のエメリー紙で研磨す
る。この処理により白金とテフロンの端面を同一面とす
る。このように作成した電極の端面に金属ナトリウムを
1分間接触させ、その後水洗しテフロンの親水化処理を
施した。
次に、ウシ血清アルブミン(フラクションV、シグマ
社製)5mg/mlとグルコースオキシダーゼ(タイプII、シ
グマ社製)5mg/ml、グルタルアルデヒド0.2%を含む0.1
Mリン酸緩衝液(pH7.0)を調製する。この混合溶液を先
に用意した白金電極表面および親水化された絶縁体面
に、マイクロシリンジで5μlのせて40℃で15分間乾燥
し、酵素電極E1を作成した。
この固定化酵素膜で被覆された白金電極からなる酵素
電極E1を第3図に示すフロー型計測装置に組み込み、0.
1Mリン酸緩衝液1を1.0ml/minの流速で流しながら、Ag/
AgCl電極(18)に対して+0.6Vの電位を印加した。この
状態でインジェクタ(13)から30mMグルコースを注入し
たところ検出電流値は420nAであった。
次に緩衝液の流速を5.0ml/minに上げ60分間送液を続
ける。そして流速を1.0ml/minに戻し、再度30mMのグル
コースを5μl注入し、感度の変化を調べた。また、流
速を5.0ml/minとし、60分間送液した後、感度変化を調
べた。更に以上の操作を順次繰り返しながら、高流速で
の感度変化を調べた。
この結果は、第1表に示されている。第1表から、酵
素電極E1のグルコースに対する感度は、高流速で送液し
た場合も6時間程度にわたって安定である、つまり膜の
剥離等が起きていないことが分かる。
比較例1 導電性基体として直径2mmの白金線を用い、その側面
を疎水性絶縁体である熱収縮テフロンで被覆し、その端
面を1600番手のエメリー紙で研磨する。この処理により
白金とテフロンの端面を同一面とする。親水化処理を省
いた以外実施例1と同様に固定化酵素膜を形成した。
この固定化酵素膜で被覆された白金電極からなる酵素
電極C1を実施例における酵素電極E1の代わりに第3図に
示すフロー型計測装置に組み込み、0.1Mリン酸緩衝液
(11)を1.0ml/minの流速で流しながら、Ag/AgCl電極
(18)に対して+0.6Vの電位を印加した。この状態でイ
ンジェクタ(13)から30mMグルコースを注入したところ
検出電流値は415nAであった。
次に緩衝液の流速を5.0ml/minに上げ60分間送液を続
ける。そして流速を1.0ml/minに戻し、再度30mMのグル
コースを5μl注入し、感度の変化を調べた。また、流
速を5.0ml/minとし、60分間送液した後、感度変化を調
べた。以下実施例1と同様に感度変化を記録した。
この結果は、第1表に示されている。第1表から、酵
素電極1のグルコースに対する感度は、高流速で2時間
以上送液した場合、低下してくることが分かる。
実施例2 導電性基体として、直径2mmの白金線を用い、その側
面を疎水性絶縁体である熱収縮テフロン(商品名)を用
いて被覆し、その端面を1600番手のエメリー紙で研磨し
た。この処理により白金とテフロンの端面を同一面とし
た。このように作成した電極の端面に金属ナトリウムを
1分間接触させ、その後水洗し親水化処理を施した。
次に、この電極端面を0.1M硫酸中に浸漬し、飽和カロ
メル電極に対して+1.4Vに分極し、10分間酸化処理を行
う。よく電極先端を水洗し乾燥した。この操作は白金の
表面に酸化被膜を作るために行った。電極先端を10%γ
−プロピルトリエトキシラン・トルエン溶液に1時間浸
漬し、親水化された絶縁体面および白金電極表面をアミ
ノシラン化した。
次に、ウシ血清アルブミン(フラクションV、シグマ
社製)5mg/mlとグルコースオキシダーゼ(タイプII、シ
グマ社製)5mg/ml、グルタルアルデヒド0.2%を含む0.1
Mリン酸緩衝液(pH7.0)を調製した。この混合溶液を先
に用意した白金電極表面および親水化処理された絶縁体
面に、マイクロシリンジで5μlのせて40℃で15分間乾
燥し、酵素電極E2を作成した。
この固定化酵素膜で被覆された白金電極からなる酵素
電極E2を第3図に示すフロー型計測装置に組み込み、0.
1Mリン酸緩衝液(11)を1.0ml/minの流速で流しなが
ら、Ag/AgCl電極(18)に対して+0.6Vの電位を印加し
た。この状態でインジェクタ(13)から30mMグルコース
を注入したところ検出電流値は432nAであった。
次に緩衝液の流速を5.0ml/minに上げ60分間送液を続
けた。そして流速を1.0ml/minに戻し、再度30mMのグル
コースを5μlに注入し、感度の変化を調べた。また、
流速を5.0ml/minとし、60分間送液した後、感度変化を
調べた。以上の操作を順次繰り返しながら、高流速での
感度変化を調べた。
この結果は、第2表に示されている。第2表から、酵
素電極E2のグルコースに対する感度は、高流速で送液し
た場合も8時間以上にわたって安定である、つまり膜の
剥離等が起きていないことが分かる。また、アミノシラ
ン化処理により固定化酵素膜及び白金電極表面と親水化
された絶縁体面が共有結合により結ばれることによっ
て、実施例1に比べて、さらに安定な酵素電極が形成さ
れたことが分かった。
比較例2 導電性基体として直径2mmの白金線を用い、その側面
を疎水性絶縁体である熱収縮テフロンを用いて被覆し、
その端面を1600番手のエメリー紙で研磨した。この処理
により白金とテフロンの端面を同一面とした。以下実施
例2で行った親水化処理を省き、白金電極先端を0.1M硫
酸中に浸漬し、飽和カロメル電極に対して+1.4Vに分極
し、10分間酸化処理を行った。よく白金電極先端を水洗
し乾燥した。白金電極先端を、10%γ−プロピルトリエ
トキシシラン・トルエン溶液に1時間浸漬し、導電性基
体表面のみをアミノシラン化した。以下、実施例2と同
様に固定化酵素膜を形成した。
この固定化酵素膜で被覆された白金電極からなる酵素
電極C2を第3図に示すフロー型計測装置に組み込み、0.
1Mリン酸緩衝液(11)を1.0ml/minの流速で流しなが
ら、Ag/AgCl電極(18)に対して+0.6Vの電位を印加し
た。この状態でインジェクタ(13)から30mMグルコース
を注入したところ検出電流は422nAであった。
次に緩衝液の流速を5.0ml/minに上げ60分間送液を続
けた。そして流速を1.0ml/minに戻し、再度30mMのグル
コースを5μl注入し、感度の変化を調べた。また、流
速を5.0ml/minとし、60分間送液した後、感度変化を調
べた。以下実施例2と同様に感度変化を記録した。
この結果を、第2表に示した。第2表から、酵素電極
C2のグルコースに対する感度は、高流速で4時間以上送
液した場合、低下してくることが分かる。つまり、導電
性基体のみをアミノシラン化処理することによりClに比
べて耐久性が改善されるものの、本発明の実施例に比べ
て著しく劣ることが分かる。
実施例3 実施例2と同様に親水化処理およびアミノシラン化処
理を行った電極を作成した。次に、ウシ血清アルブミン
(フラクションV、シグマ社製)17.5mgを0.2%グルタ
ルアルデヒドを含む蒸留水1mlに溶かし、この溶液をマ
イクロシリンジで、アミノシラン化した白金電極表面お
よび絶縁体面に5μlのせて40℃で15分間乾燥し、選択
透過膜とした。
次に、5mg/mlの牛血清アルブミン、5mg/mlのグルコー
スオキシダーゼ(タイプII、シグマ社製)、グルタルア
ルデヒド0.2%を含む0.1Mリン酸緩衝(pH7.0)を調製す
る。この混合溶液を先に作成した選択透過膜表面に、マ
イクロシリンジで5μlのせて40℃で15分間乾燥し、電
極E3を作成した。
この固定化酵素膜で被覆された白金電極からなる酵素
電極E3を第3図に示すフロー型計測装置に組み込んだ。
0.1Mリン酸緩衝液を1.0ml/minの流速で流しながら、Ag/
AgCl電極(18)に対して+0.6Vの電位を印加した。この
状態でインジェクタ(13)から各10mMのグルコース、過
酸化水素、アスコルビン酸水溶液をそれぞれ5μl注入
したところ検出電流値は各々205nA、702nA、8nAであっ
た。
次に緩衝液の流速を5.0ml/minに上げ60分間送液を続
ける。そして流速を1.0ml/minに戻し、再度グルコー
ス、過酸化水素、アスコルビン酸を5μl注入し、感度
の変化を調べる。また、流速を5.0ml/minとし、60分間
送液した後、感度変化を調べる。以上の操作を順次繰り
返しながら、高流速での感度変化を調べる。
この結果は、第3表に示されている。第3表から、酵
素電極E3のグルコース、過酸化水素に対する感度は、高
流速で送液した場合も8時間以上にわたって安定であり
固定化酵素層が安定に保たれていることがわかる。また
アスコルビン酸は常にグルコースの5%以下しか検出さ
れず選択透過膜も安定に保持されていることがわかる。
比較例3 絶縁体の親水化処理、および白金電極表面と絶縁体の
アミノシラン化処理を行わなかった以外は実施例3と同
様に電極を作成し、選択透過膜の形成、固定化酵素層の
形成を同様に行い酵素電極C3とした。このC3を第3図に
示すフロー型計測装置に組み込み実施例3と同じ測定を
行った。この結果は、第4表に示されている。高速送液
を行う前のグルコースに対するアルコルビン酸の相対感
度は4%である。しかし時間と共に各化合物の感度が変
化し、特にアルコルビン酸については高速送液を行った
時間が2時間を越えると徐々に相対感度があがる。これ
は白金電極表面と選択透過膜の付着力が弱いために、選
択透過膜が徐々に剥離してくるためである。
「効果」 以上説明した様に、本発明により、簡便な方法によっ
て、導電性基体と固定化酵素膜若しくは選択透過膜間の
付着力を向上させ、長期耐久性に優れた酵素電極を作成
できた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の酵素電極の一例を示した断面図であ
る。第2図は本発明の酵素電極の他の例を示した断面図
である。第3図は本発明の実施例及び比較例におけるフ
ロー型計測装置の概略図である。 (1)……導電性基体 (2)……疎水性絶縁体 (3)……固定化酵素膜 (4)……選択透過膜 (11)……緩衝液 (12)……ポンプ (13)……インジェクタ (14)……希釈用管路 (15)……測定用セル (16)……ジョイント (17)……対極 (18)……Ag/AgCl電極 (19)……ポテンシオスタット (20)……コンピュータ (21)……廃液瓶 (22)……恒温槽

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基体(1)の周囲を疎水性絶縁体
    (2)で被覆し、露出した導電性基体(1)の端面上に
    固定化酵素膜(3)を設けた酵素電極において、少なく
    とも疎水性絶縁体(2)の導電性基体(1)の端面と面
    を同一にする部位を親水化処理し、固定化酵素膜(3)
    を疎水性絶縁体(2)の親水化処理された部位と接する
    ように設けたことを特徴とする酵素電極。
  2. 【請求項2】固定化酵素膜(3)の疎水性絶縁体(2)
    と接する部位で、固定化酵素膜(3)と疎水性絶縁体
    (2)が化学的に結合していることを特徴とする請求項
    (1)記載の酵素電極。
  3. 【請求項3】導電性基体(1)の周囲を疎水性絶縁体
    (2)で被覆し、露出した導電性基体(1)の端面上に
    選択透過膜(4)を介して固定化酵素膜(3)を設けた
    酵素電極において、少なくとも疎水性絶縁体(2)の導
    電性基体端面と面を同一にする部位を親水化処理し、該
    選択透過膜(4)を疎水性絶縁体(2)の親水化処理さ
    れた部位と接するように設けたことを特徴とする酵素電
    極。
  4. 【請求項4】選択透過膜(4)の疎水性絶縁体(2)と
    接する部位で選択透過膜(4)と疎水性絶縁体(2)が
    化学的に結合していることを特徴とする請求項(3)記
    載の酵素電極。
  5. 【請求項5】導電性基体(1)の周囲を疎水性絶縁体
    (2)で被覆し、露出した導電性基体の端面上に固定化
    酵素膜(3)を設けるか若しくは選択透過膜(4)を介
    して固定化酵素膜(3)を設けた酵素電極において、少
    なくとも疎水性絶縁体(2)の導電性基体(1)端面と
    面を同一にする部位を金属ナトリウムを用いて親水化処
    理し、前記部位にアミノ基を含有するシランカップリン
    グ剤を結合させた後、固定化酵素膜(3)若しくは選択
    透過膜(4)を前記シランカップリング剤のアミノ基と
    多官能性アルデヒドで結合するように形成してなる酵素
    電極。
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