JP2681826B2 - 移相器 - Google Patents

移相器

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JP2681826B2 JP12775189A JP12775189A JP2681826B2 JP 2681826 B2 JP2681826 B2 JP 2681826B2 JP 12775189 A JP12775189 A JP 12775189A JP 12775189 A JP12775189 A JP 12775189A JP 2681826 B2 JP2681826 B2 JP 2681826B2
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晃一 松永
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、クォドラチャー検波方式によるFM検波器に
用いる移相器に関する。
(従来の技術) 従来、FM検波器に用いる移相器、ここでは90゜移相器
を実現するために、2次のローパスフィルターや、2次
のハイパスフィルターを用いた。
第5図に90゜移相器をインピーダンス分割で与える2
次のハイパスフィルターの一回路例を示す。図におい
て、1は入力信号端子、2は出力信号端子、3は前記
入,出力端子間に設けられたコンデンサ、4,5,6は夫々
並列共振回路を実現するためのコイル,抵抗,コンデン
サである。
ここで、コンデンサ3の容量値をC1、並列共振回路を
構成するコイル4,抵抗5,コイル6の値を各々、L,R,Cと
し、入力信号端子1の交流信号をVinとし、出力信号端
子2の交流信号をVoutとすると、この交流信号Voutは、
コンデンサ3のインピーダンスZ1と並列共振回路のイン
ピーダンスZ2とのインピーダンス分割で与えられ、Z1,Z
2は各々 (ここで、ωは入力信号の角周波数である。)で与えら
れるので、Vout/Vinは次のようになる。
(ただし、 で与えられ、ωは角同調周波数,Qはクオロりティーフ
ァクターと呼ばれるものである。) となり、2次のハイパスフィルターである。
一般に、フィルターの出力信号の入力信号に対する位
相差の入力信号周波数に対する線型性を表わすものとし
て、群遅延特性 がある。ここで、θは出力信号の入力信号に対する位相
差をあらわし、ωは入力信号角周波数である。
群遅延特性は、2次のローパスフィルターを用いて
も、2次のハイパスフィルターを用いても、同じである
ので、第5図に示したハイパスフィルターの例で示す
と、 出力信号の入力信号に対する位相差θは、次の様にな
る。
ここで、 となるのは、ω=ωとなる点であるから、前述の角同
調周波数を90゜移相させたい周波数になるように、L,C,
C1の値を設定する必要がある。群遅延特性τは、(2)
式を微分することで得られ、次のようになる。
これを移相量90゜、即ちω=ωのまわりで展開する
と、 となる、(ω−ω)の1次の項の係数を0にするに
は、Q=0以外にはない。即ち、2次のハイパスフィル
ターや2次のローパスフィルターを用いても、(ω−ω
)の1次の項を0とすることはできない。
よって、2次のハイパスフィルターや2次のローパス
フィルターを用いても、出力信号と入力信号の位相差が
90゜となる入力周波数の近傍での群遅延特性、即ち、入
力信号周波数対移相量を線型にすることはできない。
第6図に、入力信号周波数Fが4.5MHzで90゜位相が進
むようにした場合の2次ハイパスフィルター(ω=2
π×4.5MHz,Q=0.7)の帯域±1MHzでの群遅延特性(DEL
AY)を示す。
第6図より明らかなように、2次のハイパスフィルタ
ーを用いた場合には、群遅延特性は一定となっていな
い。
(発明が解決しようとする課題) クォドラチャー方式によるFM検波器の動作を説明する
と、第7図に示すように、クォドラチャー方式FM検波器
は、90゜移相器7と、位相検波器8から構成されてお
り、90゜移相器7は、入力信号端子9から入力されたFM
信号の搬送波周波数で、出力信号と入力信号の位相差が
90゜となるように設定されている。
位相検波器8は、この位相検波器に入力される入力信
号端子9と90゜移相器とからの2つの入力信号の位相差
にもとづいて90゜からのずれに比例した出力直流電圧を
出力信号端子10に発生する。
クォドラチャー方式FM検波器の入力信号端子9に、FM
信号が加わると、FM信号は変調波の振幅に比例してFM信
号の周波数が、搬送波からずれるようになっているの
で、90゜移相器7が、入力信号周波数と移相量が線型関
係にあるとすると、90゜移相器7の出力信号は、変調波
の振幅に比例して、入力信号に対して、位相が90゜から
ずれることになる。この90゜移相器7の出力信号と、入
力信号端子9からの入力信号(FM信号)を、位相検波器
8に入力すると、前述したように、2つの信号の位相差
にもとづいて90゜からのずれに比例した出力直流電圧を
発生するので、結局、変調波の振幅に比例した、出力直
流電圧を発生することなり、変調波を忠実に再現するこ
とが可能となる。
しかし、90゜移相器7の入力信号周波数対移相量が、
線型関係からずれていると、90゜移相器7の出力信号
が、変調波の振幅に比例した入力信号に対して位相が90
゜からずれた信号とならず、結局、位相検波器8の出力
は変調波の振幅に比例した、出力直流電圧とならず、歪
んだ信号となり、変調波を忠実に再現できなくなるとい
うような不都合が生じる。
(発明の目的) 本発明は上述した90゜移相器の入力信号周波数対移相
量を線型とし、変調波を忠実に再現できる移相器を提供
することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明は上記目的を達成するため、コンデンサ,コイ
ルおよび第1の抵抗を並列接続した並列共振回路と、基
準電位点に一端が接続され、かつ負性抵抗特性を有する
第2の抵抗とによって直列回路を構成し、前記並列共振
回路を介して入力信号を与え、前記第2の抵抗の他端か
ら出力信号を取り出すように構成したことを特徴とす
る。
(作 用) 上記負性抵抗のインピーダンスと、並列共振回路のイ
ンピーダンスのインピーダンス分割により得られる2次
のオールパスフィルターの入出力特性(Vout/Vin)は、 で与えられる。(但し、ωは角同調周波数、Qはクオ
リティーファクターである。) よって、出力信号の入力信号に対する位相差θは次の
ようになる。
ここで となる角周波数をωとするとωは、 となる。
群遅延特性τは、次のようになる。
これを、移相量90゜即ち、ω=ωのまわりで展開す
ると、 となり、(ω−ω)の1次の項の係数を0にするQの
値は、 となる Qをこのように設定すると(ω−ω)の1次の項の
係数が0となり、 θ=−90゜でのまわりでの群遅延特性が一定、即ち入
力信号周波数対移相量が線型関係に近くなる。
よって、2次のオールパスフィルターを用いると群遅
延特性即ち、入力信号周波数対移相量を線型に近づける
ことができる。
(実施例) 第1図は本発明の一実施例による回路図を示し、図に
おいて11は負性抵抗であり、前記第5図と同じ素子は同
一番号を付してある。いま、負性抵抗11の値を−R/2、
並列共振回路を構成するコイル4,抵抗5,コンデンサ6の
値を各々、L,R,Cとし、入力信号端子1の交流信号をVin
とし、出力信号端子2の交流信号をVoutとすると、Vout
は負性抵抗11のインピーダンスと、並列共振回路のイン
ピーダンスのインピーダンス分割で与えられるので、 (但し、 で与えられる。)となり、インピーダンス分割により、
2次のオールパスフィルターの特性が得られる。
第2図は入力信号周波数が、4.5HMzで90゜位相が遅れ
るようにした場合の2次のオールパスフィルター(ω
=2π×9.2MHz,Q=0.64)の帯域±1MHzでの群遅延特性
を示す。
(7)式よりQ=0.64の時、入力信号周波数が4.5MHz
で90゜位相が遅れるようにするためにはω=2π×9.
2MHzとなることがわかる。
第2図より、2次のオールパスフィルターを用いた場
合には、第6図と比べて群遅延特性が殆んど一定となっ
ていることがわかる。
第1図の負性抵抗11を得るための回路例を第3図に示
す。図において、110は入力信号端子、111はオペアン
プ、112〜114は抵抗であり、各々の抵抗値をR112,R113,
R114とする。
入力端子110から電流iが流入したとすると、抵抗112
の両端に電圧降下R112iを発生する。抵抗112はオペアン
プ111の出力端子と(−)入力端子、抵抗113は出力端子
と、(+)入力端子と接続されているため、抵抗113の
両端にもR112iの電圧降下が発生する。従って、抵抗11
3、即ち抵抗114には、 の電流が流れることによって、オペアンプ111の(+)
入力端子、したがって(−)入力端子にも の電圧変化が発生している。
従って、入力信号端子110からみたインピーダンス
は、電流iが流入することにより、 の電圧変化が発生するので、 となる。
第4図は、第1図でのべた2次のオールパスフィルタ
ーを90゜移相器7として用いた場合のクォドラチャー方
式のFM検波器の例を示すブロック構成図であり、前記第
7図と同じ素子は同一番号を付してある。
90゜移相器7は、ある決められた(FM検波器として用
いる場合は、搬送波周波数)周波数で、位相が90゜進む
か遅れるかすれば良いので、2次のオールパスフィルタ
ー7−(1)〜7−(2n−1)を奇数個縦続接続するこ
とによっても実現できる。このようにすれば、群遅延量
τの値、即ち、入力周波数変化に対する位相差の変化率
を調整することも可能である。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明によれば、移相器として、
負性抵抗のインピーダンスと、並列共振回路のインピー
ダンスとのインピーダンス分割により得られる2次のオ
ールパスフィルターを用いた場合、入力信号周波数対移
相量を線型に近づけることができ、その移相器を、クォ
ドラチャー方式のFM検波器に用いた場合には、変調波を
忠実に再現することが可能となり非常に好都合である。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の一実施例による回路図、第2図は2次
のオールパスフィルターの群遅延特性の一例図、第3図
は第1図の負性抵抗を得るための回路例図、第4図は本
発明をクォドラチャー方式のFM検波器に用いた構成ブロ
ック図、第5図は従来の2次のハイパスフィルターの一
回路図、第6図は第5図の2次のハイパスフィルターの
群遅延特性の一例図、第7図は従来のクォドラチャー方
式のFM検波器の構成ブロック図である。 1,9……入力信号端子、2,10……出力信号端子、4……
コイル(L)、5……抵抗(R)、6……コンデンサ
(C)、7……90゜移相器、7−(1),7−(2)……
7−(2n−1)……2次オールパスフィルター、11……
負性抵抗。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コンデンサ,コイルおよび第1の抵抗を並
    列接続した並列共振回路と、 基準電位点に一端が接続され、かつ負性抵抗特性を有す
    る第2の抵抗と、によって直列回路を構成し、 前記並列共振回路を介して入力信号を与え、前記第2の
    抵抗の他端から出力信号を取り出すように構成したこと
    を特徴とする移相器。
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